§E2.13開基と可算性

最終更新

実数直線の開区間の全体や距離空間の開球の全体は、それ自身は位相の一部にすぎないが、和集合をとることで位相のすべての開集合を与える。位相をこのように再現する開集合の族を開基といい、有限個の共通部分をとることで開基が得られる族を準開基という。開基のとり方は一通りではなく、たとえば有理数を端点とする開区間の全体も実数直線の通常の位相の開基であって、これは高々可算な族である。本記事では、開基と準開基が定める位相を扱い、開基・近傍基・稠密部分集合を高々可算にとることができるという条件と、その条件のもとで点列が閉包と連続性を判定する範囲を解説する。開基の濃度の最小値を重みとして取り出すと、開基を高々可算にとることができるという条件は、重みが最小の無限基数を超えないことと言い換えられる。

1 開基

定義 1.1 (開基).(X,O)(X,\mathcal O)を位相空間とし、B⊆O\mathcal B\subseteq\mathcal Oとする。O\mathcal Oの各元がB\mathcal Bの元からなる集合族の和集合として表されるとき、B\mathcal BをO\mathcal Oの 開基 (basis) という。

命題 1.2.(X,O)(X,\mathcal O)を位相空間とし、B⊆O\mathcal B\subseteq\mathcal Oとする。次の二条件は同値である。

  1. B\mathcal BはO\mathcal Oの開基である。
  2. 任意のU∈OU\in\mathcal Oと任意のx∈Ux\in Uに対して、x∈B⊆Ux\in B\subseteq Uを満たすB∈BB\in\mathcal Bが存在する。

証明.(1)⇒\Rightarrow(2)を示す。U∈OU\in\mathcal Oとx∈Ux\in Uをとる。UUはB\mathcal Bの元からなるある集合族の和集合であるから、§E1.2 定義 2.1の和集合の定義によりx∈B⊆Ux\in B\subseteq Uを満たすB∈BB\in\mathcal Bが存在する。

(2)⇒\Rightarrow(1)を示す。U∈OU\in\mathcal Oに対してBU={B∈B∣B⊆U}\mathcal B_U=\{B\in\mathcal B\mid B\subseteq U\}とおく。BU\mathcal B_Uの各元はUUに含まれるので⋃BU⊆U\bigcup\mathcal B_U\subseteq Uである。逆にx∈Ux\in Uをとると、仮定によりx∈B⊆Ux\in B\subseteq Uを満たすB∈BB\in\mathcal Bが存在し、このBBはBU\mathcal B_Uに属する。よってU=⋃BUU=\bigcup\mathcal B_Uであり、UUはB\mathcal Bの元からなる集合族の和集合として表される。UUは任意であったから、B\mathcal BはO\mathcal Oの開基である。▨

命題 1.3.XXを集合とし、B\mathcal BをXXの部分集合からなる集合族とする。⋃B=X\bigcup\mathcal B=Xが成り立ち、任意のB1,B2∈BB_1,B_2\in\mathcal Bと任意のx∈B1∩B2x\in B_1\cap B_2に対してx∈B3⊆B1∩B2x\in B_3\subseteq B_1\cap B_2を満たすB3∈BB_3\in\mathcal Bが存在すると仮定する。このとき、B\mathcal Bの元からなる集合族の和集合として表されるXXの部分集合の全体OB\mathcal O_{\mathcal B}はXXの位相であり、B\mathcal BはOB\mathcal O_{\mathcal B}の開基である。

証明.∅\emptysetは空な集合族の和集合であるから§E1.2 注意 2.3によりOB\mathcal O_{\mathcal B}に属し、X=⋃BX=\bigcup\mathcal BもOB\mathcal O_{\mathcal B}に属する。OB\mathcal O_{\mathcal B}の元からなる集合族の和集合は、B\mathcal Bの元からなる集合族の和集合を再びとったものであるからOB\mathcal O_{\mathcal B}に属する。

U,V∈OBU,V\in\mathcal O_{\mathcal B}とx∈U∩Vx\in U\cap Vをとる。UUとVVの表示からx∈B1⊆Ux\in B_1\subseteq Uとx∈B2⊆Vx\in B_2\subseteq Vを満たすB1,B2∈BB_1,B_2\in\mathcal Bが存在する。仮定によりx∈B3⊆B1∩B2⊆U∩Vx\in B_3\subseteq B_1\cap B_2\subseteq U\cap Vを満たすB3∈BB_3\in\mathcal Bが存在する。xxはU∩VU\cap Vの任意の点であったから、U∩VU\cap Vは自身に含まれるB\mathcal Bの元の和集合であり、OB\mathcal O_{\mathcal B}に属する。正の整数nnとU1,…,Un∈OBU_1,\ldots,U_n\in\mathcal O_{\mathcal B}に対する⋂i=1nUi\bigcap_{i=1}^nU_iは、nnについての帰納法によりOB\mathcal O_{\mathcal B}に属する。以上で§E2.11 定義 1.1の三つの公理が成り立つ。

B\mathcal Bの各元は自身一つからなる集合族の和集合であるからB⊆OB\mathcal B\subseteq\mathcal O_{\mathcal B}であり、OB\mathcal O_{\mathcal B}の定義は各元をB\mathcal Bの元からなる集合族の和集合として与える。ゆえにB\mathcal BはOB\mathcal O_{\mathcal B}の開基である。▨

例 1.4.(X,d)(X,d)を距離空間とし、XXに距離から生じる位相Od\mathcal O_dを入れる。B\mathcal Bを開球の全体{B(a,r)∣a∈X, r>0}\{B(a,r)\mid a\in X,\ r>0\}とすると、B\mathcal BはOd\mathcal O_dの開基である。

§E2.2 補題 1.2により各開球はOd\mathcal O_dに属するのでB⊆Od\mathcal B\subseteq\mathcal O_dである。U∈OdU\in\mathcal O_dとx∈Ux\in Uに対して、§E2.2 定義 1.1によりx∈B(x,ε)⊆Ux\in B(x,\varepsilon)\subseteq Uを満たす実数ε>0\varepsilon>0が存在する。ゆえに命題 1.2によりB\mathcal BはOd\mathcal O_dの開基である。

2 準開基と連続性の判定

定義 2.1 (準開基).XXを集合とし、S\mathcal SをXXの部分集合からなる集合族とする。

B(S)={⋂i=1nSi | n≥1, S1,…,Sn∈S}∪{X}\mathcal B(\mathcal S)=\left\{\bigcap_{i=1}^{n}S_i\ \middle|\ n\geq1,\ S_1,\ldots,S_n\in\mathcal S\right\}\cup\{X\}

とおき、B(S)\mathcal B(\mathcal S)の元からなる集合族の和集合として表されるXXの部分集合の全体をO(S)\mathcal O(\mathcal S)と書く。定理 2.2によりO(S)\mathcal O(\mathcal S)はXXの位相であり、これをS\mathcal Sが 生成する位相 (topology generated by a family) という。XXの位相O\mathcal OがO(S)\mathcal O(\mathcal S)に等しいとき、S\mathcal SをO\mathcal Oの 準開基 (subbasis) という。

定理 2.2.XXを集合とし、S\mathcal SをXXの部分集合からなる集合族とする。定義 2.1で定めたB(S)\mathcal B(\mathcal S)は命題 1.3の仮定を満たす。したがってO(S)\mathcal O(\mathcal S)はXXの位相であり、B(S)\mathcal B(\mathcal S)はO(S)\mathcal O(\mathcal S)の開基である。さらにO(S)\mathcal O(\mathcal S)は、S\mathcal Sを含むXXの位相のうち最も粗いものである。

証明.X∈B(S)X\in\mathcal B(\mathcal S)であるから⋃B(S)=X\bigcup\mathcal B(\mathcal S)=Xである。B1,B2∈B(S)B_1,B_2\in\mathcal B(\mathcal S)をとる。両者がともにS\mathcal Sの有限個の元の共通部分であるならばB1∩B2B_1\cap B_2もS\mathcal Sの有限個の元の共通部分であり、一方がXXであるならばB1∩B2B_1\cap B_2は他方に等しい。いずれの場合もB1∩B2∈B(S)B_1\cap B_2\in\mathcal B(\mathcal S)であるから、x∈B1∩B2x\in B_1\cap B_2に対してB3=B1∩B2B_3=B_1\cap B_2ととればよい。ゆえに命題 1.3を適用することができ、O(S)\mathcal O(\mathcal S)はXXの位相であってB(S)\mathcal B(\mathcal S)はその開基である。

O′\mathcal O'をS⊆O′\mathcal S\subseteq\mathcal O'を満たすXXの位相とする。O′\mathcal O'は有限共通部分について閉じ、XXを含むからB(S)⊆O′\mathcal B(\mathcal S)\subseteq\mathcal O'である。O′\mathcal O'は任意和についても閉じているからO(S)⊆O′\mathcal O(\mathcal S)\subseteq\mathcal O'である。S⊆B(S)⊆O(S)\mathcal S\subseteq\mathcal B(\mathcal S)\subseteq\mathcal O(\mathcal S)であるから、O(S)\mathcal O(\mathcal S)はS\mathcal Sを含む位相のうち最も粗いものである。▨

注意 2.3.B(S)\mathcal B(\mathcal S)へXXを加える規約により、S\mathcal SがXXの部分集合からなるどのような集合族であってもO(S)\mathcal O(\mathcal S)はXXの位相であり、とくにS=∅\mathcal S=\emptysetのときO(S)\mathcal O(\mathcal S)は密着位相{∅,X}\{\emptyset,X\}である。準開基に⋃S=X\bigcup\mathcal S=Xを課したうえでB(S)\mathcal B(\mathcal S)へXXを加えない定式化もあるが、この要求のもとではXX自身がS\mathcal Sの元からなる集合族の和集合として表されるから、二つの定式化が定める位相は一致する。

命題 2.4.(X,O)(X,\mathcal O)を位相空間とし、B\mathcal BをO\mathcal Oの開基とする。このときB\mathcal BはO\mathcal Oの準開基である。

証明.B⊆O\mathcal B\subseteq\mathcal Oであるから、定理 2.2によりO(B)\mathcal O(\mathcal B)はB\mathcal Bを含む位相のうち最も粗いものであり、O(B)⊆O\mathcal O(\mathcal B)\subseteq\mathcal Oである。逆に、O\mathcal Oの各元はB\mathcal Bの元からなる集合族の和集合として表され、定義 2.1によりB\mathcal Bの各元はB(B)\mathcal B(\mathcal B)に属するから、O⊆O(B)\mathcal O\subseteq\mathcal O(\mathcal B)である。ゆえにO=O(B)\mathcal O=\mathcal O(\mathcal B)であり、B\mathcal BはO\mathcal Oの準開基である。▨

命題 2.5.(X,OX)(X,\mathcal O_X)と(Y,OY)(Y,\mathcal O_Y)を位相空間とし、f ⁣:X→Yf\colon X\to Yを写像とする。次が成り立つ。

  1. B\mathcal BをOY\mathcal O_Yの開基とすると、ffが連続であることと、すべてのB∈BB\in\mathcal Bに対してf−1(B)∈OXf^{-1}(B)\in\mathcal O_Xであることは同値である。
  2. S\mathcal SをOY\mathcal O_Yの準開基とすると、ffが連続であることと、すべてのS∈SS\in\mathcal Sに対してf−1(S)∈OXf^{-1}(S)\in\mathcal O_Xであることは同値である。

証明.(1)を示す。B⊆OY\mathcal B\subseteq\mathcal O_Yであるから、ffが連続ならば各B∈BB\in\mathcal Bに対してf−1(B)∈OXf^{-1}(B)\in\mathcal O_Xである。逆に、すべてのB∈BB\in\mathcal Bに対してf−1(B)∈OXf^{-1}(B)\in\mathcal O_Xであると仮定し、V∈OYV\in\mathcal O_Yをとる。開基の定義により、B\mathcal Bの元からなる集合族(Bλ)λ∈Λ(B_\lambda)_{\lambda\in\Lambda}でV=⋃λ∈ΛBλV=\bigcup_{\lambda\in\Lambda}B_\lambdaを満たすものが存在する。§E1.2 定理 4.1によりf−1(V)=⋃λ∈Λf−1(Bλ)f^{-1}(V)=\bigcup_{\lambda\in\Lambda}f^{-1}(B_\lambda)である。右辺はOX\mathcal O_Xの元からなる集合族の和集合であるからOX\mathcal O_Xに属する。ゆえにffは連続である。

(2)を示す。S⊆O(S)=OY\mathcal S\subseteq\mathcal O(\mathcal S)=\mathcal O_Yであるから、ffが連続ならば各S∈SS\in\mathcal Sに対してf−1(S)∈OXf^{-1}(S)\in\mathcal O_Xである。逆に、すべてのS∈SS\in\mathcal Sに対してf−1(S)∈OXf^{-1}(S)\in\mathcal O_Xであると仮定する。定理 2.2によりB(S)\mathcal B(\mathcal S)はOY\mathcal O_Yの開基である。B(S)\mathcal B(\mathcal S)の元はS\mathcal Sの有限個の元の共通部分であるか、またはYYである。§E1.2 定理 4.1により前者の逆像はOX\mathcal O_Xの有限個の元の共通部分であり、後者についてはf−1(Y)=X∈OXf^{-1}(Y)=X\in\mathcal O_Xである。したがってB(S)\mathcal B(\mathcal S)の各元の逆像はOX\mathcal O_Xに属し、(1)によりffは連続である。▨

定理 2.6. 位相空間XX、YYと写像f ⁣:X→Yf\colon X\to Y、およびXXの開基B\mathcal Bについて、次の三条件は同値である。内部は、XXの部分集合についてはXXの位相に関して、YYの部分集合についてはYYの位相に関してとる。

  1. ffは開写像である。
  2. 任意のA⊆XA\subseteq Xに対してf(int⁡(A))⊆int⁡(f(A))f(\tpint{A})\subseteq\tpint{f(A)}が成り立つ。
  3. 任意のB∈BB\in\mathcal Bに対してf(B)f(B)はYYの開集合である。

証明.(1)⇔\Leftrightarrow(2)は§E2.12 命題 5.8 (1)である。

(1)⇒\Rightarrow(3)を示す。B\mathcal Bの元はXXの開集合であるから、ffが開写像ならばその像はYYの開集合である。

(3)⇒\Rightarrow(1)を示す。UUをXXの開集合とすると、定義 1.1によりUUはB\mathcal Bの元からなる集合族(Bi)i∈I(B_i)_{i\in I}の和集合である。§E1.2 定理 4.2により

f(U)=f(⋃i∈IBi)=⋃i∈If(Bi)f(U)=f\Bigl(\bigcup_{i\in I}B_i\Bigr)=\bigcup_{i\in I}f(B_i)

であり、仮定により各f(Bi)f(B_i)はYYの開集合であるから、§E2.11 定義 1.1によりf(U)f(U)はYYの開集合である。▨

例 2.7.R\Rに通常の距離d(s,t)=∣s−t∣d(s,t)=|s-t|から生じる位相を入れ、S={(a,∞)∣a∈R}∪{(−∞,b)∣b∈R}\mathcal S=\{(a,\infty)\mid a\in\R\}\cup\{(-\infty,b)\mid b\in\R\}とおく。例 1.4により開球の全体は通常の位相の開基であり、a∈Ra\in\Rと実数r>0r>0に対してB(a,r)=(a−r,∞)∩(−∞,a+r)B(a,r)=(a-r,\infty)\cap(-\infty,a+r)であるから、各開球はB(S)\mathcal B(\mathcal S)に属する。したがって通常の位相の各元はB(S)\mathcal B(\mathcal S)の元からなる集合族の和集合であり、O(S)\mathcal O(\mathcal S)に属する。逆にS\mathcal Sの各元とR\R自身は開集合であるから、B(S)\mathcal B(\mathcal S)の各元は開集合であり、O(S)\mathcal O(\mathcal S)の各元も開集合である。ゆえにO(S)\mathcal O(\mathcal S)は通常の位相に一致し、S\mathcal Sは通常の位相の準開基である。

S\mathcal S自身は通常の位相の開基ではない。S\mathcal Sの各元は、上に有界でないか、または下に有界でない。一方(0,1)(0,1)は上にも下にも有界であるから、1/2∈S⊆(0,1)1/2\in S\subseteq(0,1)を満たすS∈SS\in\mathcal Sは存在しない。ゆえに命題 1.2 (2)が成り立たない。

3 始位相と部分空間の開基

補題 3.1.XXを集合、{(Yλ,Oλ)}λ∈Λ\{(Y_\lambda,\mathcal O_\lambda)\}_{\lambda\in\Lambda}を位相空間の族、fλ ⁣:X→Yλf_\lambda\colon X\to Y_\lambda(λ∈Λ)(\lambda\in\Lambda)を写像の族とし、I\mathcal Iを族(fλ)λ∈Λ(f_\lambda)_{\lambda\in\Lambda}による始位相とする。

  1. 各λ∈Λ\lambda\in\Lambdaに対して、Sλ\mathcal S_\lambdaをOλ\mathcal O_\lambdaの準開基とする。このときS′=⋃λ∈Λ{fλ−1(S)∣S∈Sλ}\mathcal S'=\bigcup_{\lambda\in\Lambda}\{f_\lambda^{-1}(S)\mid S\in\mathcal S_\lambda\}はI\mathcal Iの準開基である。とくに、{fλ−1(V)∣λ∈Λ, V∈Oλ}\{f_\lambda^{-1}(V)\mid\lambda\in\Lambda,\ V\in\mathcal O_\lambda\}はI\mathcal Iの準開基である。
  2. Λ\Lambdaが一元集合であり、その元に対応する写像をf ⁣:X→Yf\colon X\to Yとする。B\mathcal BがYYの開基ならば、{f−1(B)∣B∈B}\{f^{-1}(B)\mid B\in\mathcal B\}はI\mathcal Iの開基である。

証明.(1)を示す。S′\mathcal S'が生成する位相をT\mathcal Tと書く。各fλf_\lambdaはI\mathcal Iに関して連続であるから、S′⊆I\mathcal S'\subseteq\mathcal Iであり、定理 2.2によりT⊆I\mathcal T\subseteq\mathcal Iである。一方、Sλ\mathcal S_\lambdaの各元のfλf_\lambdaによる逆像はT\mathcal Tに属するから、命題 2.5 (2)により各fλ ⁣:(X,T)→Yλf_\lambda\colon(X,\mathcal T)\to Y_\lambdaは連続である。§E2.12 命題 3.3 (2)によりI⊆T\mathcal I\subseteq\mathcal Tであり、T=I\mathcal T=\mathcal Iである。Sλ=Oλ\mathcal S_\lambda=\mathcal O_\lambdaとすれば、最後の主張も従う。

(2)を示す。§E2.12 補題 3.6によりI\mathcal Iの各元はYYの開集合VVによるf−1(V)f^{-1}(V)の形である。VVはB\mathcal Bの元からなる集合族の和集合であり、逆像は任意和を保つから、f−1(V)f^{-1}(V)は{f−1(B)∣B∈B}\{f^{-1}(B)\mid B\in\mathcal B\}の元からなる集合族の和集合である。ゆえにこの集合族はI\mathcal Iの開基である。▨

命題 3.2.(X,O)(X,\mathcal O)を位相空間、A⊆XA\subseteq Xとする。B\mathcal BがO\mathcal Oの開基ならば、BA={B∩A∣B∈B}\mathcal B_A=\{B\cap A\mid B\in\mathcal B\}はAAの部分空間位相の開基である。

証明. 包含写像ιA ⁣:A→X\iota_A\colon A\to Xに対してιA−1(B)=B∩A\iota_A^{-1}(B)=B\cap Aである。部分空間位相はιA\iota_Aによる始位相であるから、補題 3.1 (2)によりBA\mathcal B_Aはその開基である。▨

系 3.3.S\mathcal Sを集合XXの部分集合からなる集合族とし、O(S)\mathcal O(\mathcal S)をS\mathcal Sが生成する位相とする。A⊆XA\subseteq Xに対してSA={S∩A∣S∈S}\mathcal S_A=\{S\cap A\mid S\in\mathcal S\}とおくと、SA\mathcal S_Aが生成するAAの位相はO(S)\mathcal O(\mathcal S)の部分空間位相に一致する。

証明.S\mathcal Sが生成する位相はO(S)\mathcal O(\mathcal S)であり、S∈SS\in\mathcal Sに対してιA−1(S)=S∩A\iota_A^{-1}(S)=S\cap Aであるから、SA={ιA−1(S)∣S∈S}\mathcal S_A=\{\iota_A^{-1}(S)\mid S\in\mathcal S\}である。§E2.12 命題 4.3により部分空間位相はιA\iota_Aによる始位相であるから、補題 3.1 (1)によりSA\mathcal S_Aが生成する位相は部分空間位相に一致する。▨

4 近傍基と第一可算性

定義 4.1 (近傍基、可算近傍基、第一可算).(X,O)(X,\mathcal O)を位相空間、x∈Xx\in Xとし、NO(x)\mathcal N_{\mathcal O}(x)をxxの近傍系とする。部分集合族Bx⊆NO(x)\mathcal B_x\subseteq\mathcal N_{\mathcal O}(x)がxxの 近傍基 (neighborhood base) であるとは、任意のV∈NO(x)V\in\mathcal N_{\mathcal O}(x)に対してB⊆VB\subseteq Vを満たすB∈BxB\in\mathcal B_xが存在することをいう。

xxの近傍からなる列(Vn)n∈N≥1(V_n)_{n\in\NN}が、任意のV∈NO(x)V\in\mathcal N_{\mathcal O}(x)に対してVn⊆VV_n\subseteq Vを満たす正の整数nnをもつとき、(Vn)n∈N≥1(V_n)_{n\in\NN}をxxの 可算近傍基 (countable neighborhood base) という。XXの各点が可算近傍基をもつとき、XXは 第一可算 (first countable) であるという。

命題 4.2.(X,d)(X,d)を距離空間とし、XXにddが定める位相Od\mathcal O_dを入れる。このときXXは第一可算である。

証明.x∈Xx\in Xをとり、各正の整数nnに対してVn=B(x,1/n)V_n=B(x,1/n)とおくと、各VnV_nはxxを含む開集合であるからxxの近傍である。VVをxxの任意の近傍とすると、§E2.11 命題 6.3によりB(x,ε)⊆VB(x,\varepsilon)\subseteq Vを満たす実数ε>0\varepsilon>0が存在する。§D1.4 系 2.2により1/n<ε1/n<\varepsilonを満たす正の整数nnが存在し、このnnについてVn⊆B(x,ε)⊆VV_n\subseteq B(x,\varepsilon)\subseteq Vとなる。したがって(Vn)n∈N≥1(V_n)_{n\in\NN}はxxの可算近傍基である。xxは任意であったからXXは第一可算である。▨

補題 4.3. 位相空間(X,O)(X,\mathcal O)の点xxが可算近傍基をもつならば、xxは、すべての正の整数nnについてWn+1⊆WnW_{n+1}\subseteq W_nを満たす可算近傍基(Wn)n∈N≥1(W_n)_{n\in\NN}をもつ。

証明.(Vn)n∈N≥1(V_n)_{n\in\NN}をxxの可算近傍基とし、Wn=⋂k=1nVkW_n=\bigcap_{k=1}^nV_kと定める。§E2.11 補題 6.6により割り当てy↦NO(y)y\mapsto\mathcal N_{\mathcal O}(y)は近傍系の公理を満たすから、§E2.11 定義 6.5 条件 (d)をn−1n-1回用いると、各WnW_nはxxの近傍である。定義からWn+1⊆WnW_{n+1}\subseteq W_nである。V∈NO(x)V\in\mathcal N_{\mathcal O}(x)をとると、Vm⊆VV_m\subseteq Vを満たす正の整数mmが存在し、Wm⊆Vm⊆VW_m\subseteq V_m\subseteq Vとなる。したがって(Wn)n∈N≥1(W_n)_{n\in\NN}はxxの可算近傍基である。▨

5 第二可算性

定義 5.1 (第二可算). 位相空間(X,O)(X,\mathcal O)が 第二可算 (second countable) であるとは、O\mathcal Oの開基であって高々可算なものが存在することをいう。

例 5.2. 通常の位相を入れたR\Rは第二可算である。有理数の組(p,q)(p,q)に対してI(p,q)={t∈R∣p<t<q}I(p,q)=\{t\in\R\mid p<t<q\}とおき、B={I(p,q)∣(p,q)∈Q×Q}\mathcal B=\{I(p,q)\mid (p,q)\in\Q\times\Q\}とする。I(p,q)I(p,q)はp<qp<qのときは開区間であり、p≥qp\geq qのときは空集合であるから、いずれの場合も開集合である。§E1.18 定理 4.1と§E1.18 定理 5.2によりQ×Q\Q\times\Qは高々可算であり、B\mathcal Bは写像(p,q)↦I(p,q)(p,q)\mapsto I(p,q)によるQ×Q\Q\times\Qの像であるから、§E1.18 補題 3.5により高々可算である。UUを開集合、x∈Ux\in Uとすると、§E2.2 定義 1.1によりある実数ε>0\varepsilon>0に対して(x−ε,x+ε)⊆U(x-\varepsilon,x+\varepsilon)\subseteq Uである。§D1.4 系 2.2によりx−ε<p<xx-\varepsilon<p<xを満たす有理数ppとx<q<x+εx<q<x+\varepsilonを満たす有理数qqをとることができ、x∈I(p,q)⊆Ux\in I(p,q)\subseteq Uである。ゆえに命題 1.2によりB\mathcal Bは通常の位相の開基である。

非可算集合XXの離散位相は第二可算でない。B\mathcal Bを離散位相の開基とする。各x∈Xx\in Xに対して{x}\{x\}は開集合であるから、命題 1.2によりx∈B⊆{x}x\in B\subseteq\{x\}を満たすB∈BB\in\mathcal Bが存在し、このBBは{x}\{x\}に等しい。したがってXXの一点集合はすべてB\mathcal Bに属する。XXの一点x0x_0を固定し、写像h ⁣:B→Xh\colon\mathcal B\to Xを、BBが一点集合{x}\{x\}であるときはh(B)=xh(B)=x、そうでないときはh(B)=x0h(B)=x_0と定めると、hhは全射である。B\mathcal Bが高々可算であるとすると、§E1.18 補題 3.5によりX=h(B)X=h(\mathcal B)は高々可算となり、XXが非可算であることに反する。ゆえにB\mathcal Bは高々可算でない。

命題 5.3. 第二可算な位相空間は第一可算である。

証明.(X,O)(X,\mathcal O)を第二可算な位相空間とし、高々可算な開基B\mathcal Bをとる。x∈Xx\in Xを固定する。XXはxxを含む開集合であるから、命題 1.2によりx∈B⊆Xx\in B\subseteq Xを満たすB∈BB\in\mathcal Bが存在し、とくにB\mathcal Bは空でない。§E1.18 補題 3.6により全射e ⁣:N≥1→Be\colon\NN\to\mathcal Bが存在する。各正の整数nnに対して、x∈e(n)x\in e(n)ならばVn=e(n)V_n=e(n)、そうでなければVn=XV_n=Xと定める。VnV_nはxxを含む開集合であるからxxの近傍である。

VVをxxの近傍とする。§E2.11 定義 6.1によりx∈U⊆Vx\in U\subseteq Vを満たす開集合UUが存在し、命題 1.2によりx∈B⊆Ux\in B\subseteq Uを満たすB∈BB\in\mathcal Bが存在する。eeは全射であるからe(n)=Be(n)=Bを満たす正の整数nnが存在し、x∈e(n)x\in e(n)であるからVn=B⊆U⊆VV_n=B\subseteq U\subseteq Vである。ゆえに(Vn)n∈N≥1(V_n)_{n\in\NN}はxxの可算近傍基である。xxは任意であったからXXは第一可算である。▨

命題 5.4.(X,O)(X,\mathcal O)を第二可算な位相空間とし、U⊆O\mathcal U\subseteq\mathcal Oとする。U\mathcal Uのどの元も空でなく、U\mathcal Uの相異なる二元U,U′U,U'がつねにU∩U′=∅U\cap U'=\emptysetを満たすならば、U\mathcal Uは高々可算である。

証明.U=∅\mathcal U=\emptysetならばU\mathcal Uは有限であるから高々可算である。以下U≠∅\mathcal U\ne\emptysetとし、高々可算な開基B\mathcal Bをとり、U\mathcal Uの元U0U_0をとる。U0U_0は空でないからx0∈U0x_0\in U_0をとると、命題 1.2によりx0∈B⊆U0x_0\in B\subseteq U_0を満たすB∈BB\in\mathcal Bが存在し、とくにB\mathcal Bは空でない。§E1.18 補題 3.6により全射e ⁣:N≥1→Be\colon\NN\to\mathcal Bが存在する。

U∈UU\in\mathcal Uをとる。UUは空でないからx∈Ux\in Uをとると、命題 1.2によりx∈B⊆Ux\in B\subseteq Uを満たすB∈BB\in\mathcal Bが存在する。このBBはxxを含むので空でない。eeは全射であるからe(n)=Be(n)=Bを満たす正の整数nnが存在し、このnnはe(n)≠∅e(n)\ne\emptysetとe(n)⊆Ue(n)\subseteq Uをともに満たす。したがって、e(n)≠∅e(n)\ne\emptysetかつe(n)⊆Ue(n)\subseteq Uを満たす正の整数nnの全体は空でなく、そのうち最小のものをν(U)\nu(U)と定めることができる。この定め方はU\mathcal Uの各元に対して一意であるから、写像ν ⁣:U→N≥1\nu\colon\mathcal U\to\NNが得られる。

U,U′∈UU,U'\in\mathcal Uがν(U)=ν(U′)\nu(U)=\nu(U')を満たすとし、n=ν(U)=ν(U′)n=\nu(U)=\nu(U')とおく。ν\nuの定め方によりe(n)≠∅e(n)\ne\emptyset、e(n)⊆Ue(n)\subseteq U、e(n)⊆U′e(n)\subseteq U'であるからU∩U′≠∅U\cap U'\ne\emptysetであり、U\mathcal Uの相異なる二元が交わらないという仮定によりU=U′U=U'である。ゆえにν\nuは単射である。包含写像N≥1→Z≥0\NN\to\Z_{\geq0}は単射であるから、ν\nuとこの包含写像の合成はU\mathcal UからZ≥0\Z_{\geq0}への単射であり、U\mathcal Uは高々可算である。▨

注意 5.5.命題 5.3の逆は一般に成り立たない。非可算集合XXに離散位相を入れると、各x∈Xx\in Xについて{x}\{x\}はxxの近傍であり、xxの任意の近傍は{x}\{x\}を含むから、定値列Vn={x}V_n=\{x\}はxxの可算近傍基である。したがってXXは第一可算であるが、例 5.2により第二可算でない。

補題 5.6.(X,O)(X,\mathcal O)を位相空間とする。∣B∣=κ\lvert\mathcal B\rvert=\kappaを満たすO\mathcal Oの開基B\mathcal Bが存在するような基数κ\kappaの全体は空でない集合であり、最小元をもつ。

証明.O\mathcal Oの各元は自身一つからなる集合族の和集合であるから、O\mathcal OはO\mathcal Oの開基である。§E1.21 定理 2.2 (1)により基数κ0=∣O∣\kappa_0=\lvert\mathcal O\rvertが定まり、κ0\kappa_0は問題の性質をもつ。

B\mathcal BをO\mathcal Oの開基とするとB⊆O\mathcal B\subseteq\mathcal Oであり、包含写像は単射であるから、§E1.21 命題 2.5 (1)により順序数として∣B∣≤κ0\lvert\mathcal B\rvert\leq\kappa_0である。すなわち∣B∣∈κ0\lvert\mathcal B\rvert\in\kappa_0または∣B∣=κ0\lvert\mathcal B\rvert=\kappa_0であるから、問題の基数はすべて集合κ0∪{κ0}\kappa_0\cup\{\kappa_0\}に属する。ゆえに問題の基数の全体はκ0∪{κ0}\kappa_0\cup\{\kappa_0\}から分出される集合であり、κ0\kappa_0を元にもつので空でない。

§E1.21 定義 1.1により基数は順序数であるから、§E1.16 命題 2.5 (3)によりこの集合は∈\inによる比較について整列される。整列された集合の空でない部分集合は最小元をもつから、この集合自身が最小元をもつ。▨

定義 5.7 (重み).(X,O)(X,\mathcal O)を位相空間とする。補題 5.6が与える最小の基数、すなわち∣B∣=κ\lvert\mathcal B\rvert=\kappaを満たすO\mathcal Oの開基B\mathcal Bが存在するような基数κ\kappaのうち最小のものを、XXの 重み (weight) といい、w(X)w(X)と書く。

命題 5.8. 位相空間XXが第二可算であることと、w(X)≤ℵ0w(X)\leq\aleph_0が成り立つこととは同値である。

証明. まず、集合AAについて、AAが高々可算であることと∣A∣≤ℵ0\lvert A\rvert\leq\aleph_0が成り立つこととが同値であることを見る。§E1.16 命題 4.9によりN≥0=ω\mathbb N_{\geq0}=\omegaであり、§E1.21 定義 4.1により記号ℵ0\aleph_0はω\omegaそのものを指す。§E1.21 命題 1.3によりω\omegaは基数であるから、§E1.21 定理 2.2 (3)により∣N≥0∣=ω=ℵ0\lvert\mathbb N_{\geq0}\rvert=\omega=\aleph_0である。§E1.18 定理 3.3 (1)によりAAが高々可算であることは単射A→N≥0A\to\mathbb N_{\geq0}が存在することと同値であり、§E1.21 命題 2.5 (1)によりこれは∣A∣≤ℵ0\lvert A\rvert\leq\aleph_0と同値である。

XXが第二可算であるとする。高々可算な開基B\mathcal Bをとると、いま見たことにより∣B∣≤ℵ0\lvert\mathcal B\rvert\leq\aleph_0である。w(X)w(X)は∣B∣\lvert\mathcal B\rvertを元にもつ集合の最小元であるからw(X)≤∣B∣≤ℵ0w(X)\leq\lvert\mathcal B\rvert\leq\aleph_0である。

逆にw(X)≤ℵ0w(X)\leq\aleph_0とする。定義 5.7により∣B∣=w(X)\lvert\mathcal B\rvert=w(X)を満たすO\mathcal Oの開基B\mathcal Bが存在し、∣B∣≤ℵ0\lvert\mathcal B\rvert\leq\aleph_0であるから、いま見たことによりB\mathcal Bは高々可算である。ゆえにXXは第二可算である。▨

注意 5.9.w(X)w(X)は有限でありうる。空でない集合XXに密着位相{∅,X}\{\emptyset,X\}を入れると、XXは{X}\{X\}の元からなる集合族の和集合であり、∅\emptysetは§E1.2 注意 2.3により空な集合族の和集合であるから、{X}\{X\}は開基であって∣{X}∣=1\lvert\{X\}\rvert=1である。11より小さい基数は00だけであり、濃度00の集合は∅\emptysetに限るが、空な集合族の和集合は∅\emptysetだけであってXXと異なるから、∅\emptysetは開基でない。ゆえにw(X)=1w(X)=1である。重みが無限基数になるように、定義の側でℵ0≤w(X)\aleph_0\leq w(X)と約束する流儀もあるが、本記事は最小値としての定義をそのまま用いる。

第二可算性は、開被覆から高々可算な部分被覆を取り出す議論にも用いられる。被覆に関する可算性は後続の記事が扱う。第二可算性はまた、分離公理と組み合わせることで、位相を生成する距離の存在を保証する定理の仮定である。

補題 5.10.(X,d)(X, d)をコンパクト距離空間とし、XXに距離から生じる位相を入れる。このとき、XXは濃度がℵ0\aleph_0以下である開基をもつ。

証明. 各正整数nnに対して、半径1/n1/nの開球全体はXXの開被覆である。(X,d)(X, d)はコンパクト距離空間であるから、有限集合Fn⊂XF_n\subset Xが存在して、

{B(a,1/n)∣a∈Fn}\{B(a,1/n)\mid a\in F_n\}

はXXの開被覆となる。B=⋃n≥1{B(a,1/n)∣a∈Fn}\mathcal B=\bigcup_{n\geq1}\{B(a,1/n)\mid a\in F_n\}とおくと、各FnF_nは有限であるからB\mathcal Bは高々可算である。

UUを開集合、x∈Ux\in Uとする。あるε>0\varepsilon>0についてB(x,ε)⊆UB(x,\varepsilon)\subseteq Uである。2/n<ε2/n<\varepsilonを満たす正整数nnを取り、x∈B(a,1/n)x\in B(a,1/n)を満たすa∈Fna\in F_nを取る。y∈B(a,1/n)y\in B(a,1/n)ならば三角不等式からd(x,y)<2/n<εd(x,y)<2/n<\varepsilonである。よってx∈B(a,1/n)⊆Ux\in B(a,1/n)\subseteq Uであり、B\mathcal Bは開基である。▨

補題 5.11.κ\kappaを無限基数、XXを濃度がκ\kappa以下である開基をもつ位相空間とする。XXの任意の開被覆は、濃度がκ\kappa以下である添字集合をもつ部分被覆をもつ。

証明.B\mathcal Bを∣B∣≤κ|\mathcal B|\leq\kappaを満たす開基とし、(Ui)i∈I(U_i)_{i\in I}をXXの開被覆とする。B0={B∈B∣B⊆Ui となる i∈I が存在する}\mathcal B_0=\{B\in\mathcal B\mid B\subseteq U_i\text{ となる }i\in I\text{ が存在する}\}とおく。各B∈B0B\in\mathcal B_0に対してB⊆Ui(B)B\subseteq U_{i(B)}を満たす添字i(B)i(B)を一つとる。

任意のx∈Xx\in Xに対して、あるi∈Ii\in IとB∈BB\in\mathcal Bが存在してx∈B⊆Uix\in B\subseteq U_iとなる。このBBはB0\mathcal B_0に属し、x∈B⊆Ui(B)x\in B\subseteq U_{i(B)}である。したがって(Ui)i∈{i(B):B∈B0}(U_i)_{i\in\{i(B):B\in\mathcal B_0\}}は部分被覆であり、添字集合の濃度は∣B0∣≤κ|\mathcal B_0|\leq\kappa以下である。▨

6 可分性

定義 6.1 (可分空間). 位相空間XXが 可分空間 (separable space) であるとは、XXで稠密な高々可算部分集合が存在することをいう。

定理 6.2. 第二可算な位相空間は可分空間である。

証明.(X,O)(X,\mathcal O)を第二可算な位相空間とする。X=∅X=\emptysetならば∅\emptysetはXXで稠密であるからXXは可分空間である。以下X≠∅X\ne\emptysetとし、高々可算な開基B\mathcal Bをとり、z∈Xz\in Xを固定する。XXはzzを含む開集合であるから、命題 1.2によりB\mathcal Bは空でなく、§E1.18 補題 3.6により全射e ⁣:N≥1→Be\colon\NN\to\mathcal Bが存在する。各正の整数nnに対して、e(n)≠∅e(n)\ne\emptysetならばAn=e(n)A_n=e(n)、そうでなければAn={z}A_n=\{z\}と定めると、各AnA_nは空でない。各nnについてxn∈Anx_n\in A_nを選ぶ。包含写像N≥1→Z≥0\NN\to\Z_{\geq0}は単射であるからN≥1\NNは高々可算であり、n↦xnn\mapsto x_nの像D={xn∣n∈N≥1}D=\{x_n\mid n\in\NN\}は§E1.18 補題 3.5により高々可算である。

UUをXXの空でない開集合とし、x∈Ux\in Uをとる。命題 1.2によりx∈B⊆Ux\in B\subseteq Uを満たすB∈BB\in\mathcal Bが存在する。eeは全射であるからe(n)=Be(n)=Bを満たす正の整数nnが存在し、BBはxxを含むので空でない。したがってAn=BA_n=Bであり、xn∈B⊆Ux_n\in B\subseteq UであるからU∩D≠∅U\cap D\ne\emptysetである。ゆえに§E2.11 命題 2.9によりDDはXXで稠密であり、XXは可分空間である。▨

注意 6.3.定理 6.2で可算選択公理を用いるのは、空でない集合の列(An)n∈N≥1(A_n)_{n\in\NN}から各nnについて一点xnx_nを選ぶ箇所だけである(§E1.18 注意 6.2)。この含意は ZF だけでは証明することができない。

定理 6.4.(X,d)(X,d)を距離空間とし、XXにddが定める位相Od\mathcal O_dを入れる。XXが可分空間ならばXXは第二可算である。

証明.D⊆XD\subseteq XをXXで稠密な高々可算部分集合とする。a∈Da\in Dとq∈Qq\in\Qに対して、q>0q>0ならばφ(a,q)=B(a,q)\varphi(a,q)=B(a,q)、そうでなければφ(a,q)=∅\varphi(a,q)=\emptysetと定め、B=φ(D×Q)\mathcal B=\varphi(D\times\Q)とおく。§E2.2 補題 1.2により開球は開集合であるから、B\mathcal Bの各元は開集合である。§E1.18 定理 4.1と§E1.18 定理 5.2によりD×QD\times\Qは高々可算であり、§E1.18 補題 3.5によりB\mathcal Bは高々可算である。

UUを開集合、x∈Ux\in Uとする。§E2.2 定義 1.1によりある実数ε>0\varepsilon>0に対してB(x,ε)⊆UB(x,\varepsilon)\subseteq Uである。B(x,ε/3)B(x,\varepsilon/3)は空でない開集合であるから、§E2.11 命題 2.9によりa∈D∩B(x,ε/3)a\in D\cap B(x,\varepsilon/3)をとることができる。2d(x,a)<2ε/3<ε2d(x,a)<2\varepsilon/3<\varepsilonであるからd(x,a)<ε−d(x,a)d(x,a)<\varepsilon-d(x,a)であり、§D1.4 系 2.2によりd(x,a)<q<ε−d(x,a)d(x,a)<q<\varepsilon-d(x,a)を満たす有理数qqが存在する。q>d(x,a)≥0q>d(x,a)\geq0であるからq>0q>0であり、φ(a,q)=B(a,q)\varphi(a,q)=B(a,q)はB\mathcal Bに属する。d(a,x)<qd(a,x)<qからx∈B(a,q)x\in B(a,q)であり、y∈B(a,q)y\in B(a,q)ならば三角不等式によりd(x,y)≤d(x,a)+d(a,y)<d(x,a)+q<εd(x,y)\leq d(x,a)+d(a,y)<d(x,a)+q<\varepsilonであるからB(a,q)⊆B(x,ε)⊆UB(a,q)\subseteq B(x,\varepsilon)\subseteq Uである。ゆえにx∈B(a,q)⊆Ux\in B(a,q)\subseteq Uであり、命題 1.2によりB\mathcal BはOd\mathcal O_dの開基である。B\mathcal Bは高々可算であるからXXは第二可算である。▨

系 6.5. 距離空間が可分空間であることと第二可算であることは同値である。

証明. 距離空間が第二可算ならば定理 6.2により可分空間であり、可分空間ならば定理 6.4により第二可算である。▨

命題 6.6.XXを可分空間、YYを位相空間とし、f ⁣:X→Yf\colon X\to Yを連続な全射とする。このときYYは可分空間である。

証明.D⊆XD\subseteq XをXXで稠密な高々可算部分集合とする。§E1.18 補題 3.5によりf(D)f(D)は高々可算である。WWをYYの空でない開集合とする。ffは連続であるからf−1(W)f^{-1}(W)はXXの開集合であり、ffは全射であるからf−1(W)≠∅f^{-1}(W)\ne\emptysetである。§E2.11 命題 2.9によりf−1(W)∩D≠∅f^{-1}(W)\cap D\ne\emptysetであるから、z∈f−1(W)∩Dz\in f^{-1}(W)\cap Dをとるとf(z)∈W∩f(D)f(z)\in W\cap f(D)であり、W∩f(D)≠∅W\cap f(D)\ne\emptysetである。ゆえに§E2.11 命題 2.9によりf(D)f(D)はYYで稠密であり、YYは可分空間である。▨

定義 6.7 (特定点位相).XXを集合、p∈Xp\in Xとし、Op={∅}∪{U⊆X∣p∈U}\mathcal O_p=\{\emptyset\}\cup\{U\subseteq X\mid p\in U\}とおく。命題 6.8によりOp\mathcal O_pはXXの位相であり、これをppによる 特定点位相 (particular point topology) という。

命題 6.8.XXを集合、p∈Xp\in Xとすると、定義 6.7のOp\mathcal O_pはXXの位相である。

証明.∅∈Op\emptyset\in\mathcal O_pであり、p∈Xp\in XであるからX∈OpX\in\mathcal O_pである。Op\mathcal O_pの元からなる集合族の和集合は、空でない項をもつならばppを含むのでOp\mathcal O_pに属し、空でない項をもたないならば∅\emptysetであってOp\mathcal O_pに属する。正の整数nnとU1,…,Un∈OpU_1,\ldots,U_n\in\mathcal O_pに対して、いずれかのUiU_iが∅\emptysetならば⋂i=1nUi=∅∈Op\bigcap_{i=1}^nU_i=\emptyset\in\mathcal O_pであり、すべてのUiU_iがppを含むならば⋂i=1nUi\bigcap_{i=1}^nU_iもppを含むのでOp\mathcal O_pに属する。ゆえに§E2.11 定義 1.1の三つの公理が成り立つ。▨

命題 6.9.XXを非可算集合、p∈Xp\in Xとし、XXにppによる特定点位相を入れる。このときXXは可分空間であるが第二可算でない。

証明. 特定点位相の空でない元はすべてppを含むから、XXの空でない任意の開集合は{p}\{p\}と交わる。§E2.11 命題 2.9により{p}\{p\}はXXで稠密であり、{p}\{p\}は有限であるからXXは可分空間である。

B\mathcal Bを特定点位相の開基とする。x∈X∖{p}x\in X\setminus\{p\}に対して{p,x}\{p,x\}は開集合であるから、命題 1.2によりx∈B⊆{p,x}x\in B\subseteq\{p,x\}を満たすB∈BB\in\mathcal Bが存在する。BBは空でない開集合であるからp∈Bp\in Bであり、B={p,x}B=\{p,x\}である。したがって、X∖{p}X\setminus\{p\}の各点xxについて{p,x}∈B\{p,x\}\in\mathcal Bである。写像h ⁣:B→Xh\colon\mathcal B\to Xを、BBがppとpp以外のちょうど一つの点xxからなるときはh(B)=xh(B)=x、そうでないときはh(B)=ph(B)=pと定めると、h(B)h(\mathcal B)はX∖{p}X\setminus\{p\}を含む。B\mathcal Bが高々可算であるとすると、§E1.18 補題 3.5によりh(B)h(\mathcal B)は高々可算であり、§E1.18 定理 5.1によりX=h(B)∪{p}X=h(\mathcal B)\cup\{p\}も高々可算となる。これはXXが非可算であることに反する。ゆえにB\mathcal Bは高々可算でなく、XXは第二可算でない。▨

系 6.10.XXを非可算集合、p∈Xp\in Xとする。XX上のどの距離ddについても、ddが定める位相Od\mathcal O_dはppによる特定点位相と一致しない。

証明.XX上の距離ddについてOd\mathcal O_dがppによる特定点位相に一致すると仮定する。命題 6.9によりXXは可分空間であるから、定理 6.4によりXXは第二可算である。これは命題 6.9の述べるXXが第二可算でないことと両立しない。▨

7 点列による判定

定義 7.1 (位相収束).(X,O)(X,\mathcal O)を位相空間とし、(xn)n∈N≥1(x_n)_{n\in\NN}をXXの点列、x∈Xx\in Xとする。任意のV∈NO(x)V\in\mathcal N_{\mathcal O}(x)に対して、ある正の整数NNが存在して、n≥Nn\geq Nを満たすすべての正の整数nnについてxn∈Vx_n\in Vが成り立つとき、(xn)n∈N≥1(x_n)_{n\in\NN}はxxに 位相収束 (topological convergence) するといい、xn→xx_n\to xと書く。

命題 7.2.(X,d)(X,d)を距離空間とし、XXにddが定める位相Od\mathcal O_dを入れる。XXの点列(xn)n∈N≥1(x_n)_{n\in\NN}と点x∈Xx\in Xについて、§E2.3 定義 1.1で定める距離収束xn→xx_n\to xと、位相収束xn→xx_n\to xは同値である。

証明. 距離による意味でxn→xx_n\to xであると仮定し、V∈NOd(x)V\in\mathcal N_{\mathcal O_d}(x)をとる。§E2.11 命題 6.3によりB(x,ε)⊆VB(x,\varepsilon)\subseteq Vを満たす実数ε>0\varepsilon>0が存在する。距離による収束から、ある正の整数NNが存在して、n≥Nn\geq Nならばd(xn,x)<εd(x_n,x)<\varepsilonである。このときxn∈B(x,ε)⊆Vx_n\in B(x,\varepsilon)\subseteq Vである。

位相による意味でxn→xx_n\to xであると仮定し、実数ε>0\varepsilon>0をとる。B(x,ε)B(x,\varepsilon)はxxを含む開集合であるからxxの近傍であり、ある正の整数NNが存在して、n≥Nn\geq Nならばxn∈B(x,ε)x_n\in B(x,\varepsilon)である。このときd(xn,x)<εd(x_n,x)<\varepsilonである。▨

注意 7.3. 二点以上をもつ集合XXに密着位相{∅,X}\{\emptyset,X\}を入れる。各点の近傍はXXだけであるから、各点について定値列Vn=XV_n=Xは可算近傍基であり、XXは第一可算である。一方、XXの任意の点列はXXのすべての点へ位相収束する。したがって、第一可算性を仮定しても点列の極限が一意であるとは限らない。

定理 7.4.(X,O)(X,\mathcal O)を第一可算な位相空間、A⊆XA\subseteq X、x∈Xx\in Xとする。次の二条件は同値である。

  1. x∈A‾x\in\overline Aである。
  2. AAの点からなる点列(an)n∈N≥1(a_n)_{n\in\NN}でan→xa_n\to xを満たすものが存在する。

証明.(2)⇒\Rightarrow(1)を示す。AAの点からなる点列(an)n∈N≥1(a_n)_{n\in\NN}がan→xa_n\to xを満たすとし、V∈NO(x)V\in\mathcal N_{\mathcal O}(x)をとる。位相収束の定義により、ある正の整数NNが存在してaN∈Va_N\in Vである。aN∈Aa_N\in AでもあるからV∩A≠∅V\cap A\ne\emptysetであり、§E2.11 命題 7.2 (2)によりx∈A‾x\in\overline Aである。

(1)⇒\Rightarrow(2)を示す。x∈A‾x\in\overline Aとする。第一可算性と補題 4.3により、xxはWn+1⊆WnW_{n+1}\subseteq W_nを満たす可算近傍基(Wn)n∈N≥1(W_n)_{n\in\NN}をもつ。§E2.11 命題 7.2 (2)により、各正の整数nnについてA∩Wn≠∅A\cap W_n\ne\emptysetである。各nnについてan∈A∩Wna_n\in A\cap W_nを選ぶ。

V∈NO(x)V\in\mathcal N_{\mathcal O}(x)をとると、近傍基の定義によりWm⊆VW_m\subseteq Vを満たす正の整数mmが存在する。n≥mn\geq mならばan∈Wn⊆Wm⊆Va_n\in W_n\subseteq W_m\subseteq Vであるからan→xa_n\to xである。▨

注意 7.5.定理 7.4のうち、定理 7.4 (2)から定理 7.4 (1)への含意は ZF の範囲で成り立つ。可算選択公理を用いるのは逆向きの証明であり、空でない集合A∩WnA\cap W_nから各正の整数nnについて点ana_nを選ぶ箇所である(§E1.18 注意 6.2)。この向きの含意は ZF だけでは証明することができない。

定理 7.6.XXを第一可算な位相空間、YYを位相空間とし、f ⁣:X→Yf\colon X\to Yを写像とする。次の二条件は同値である。

  1. ffは連続である。
  2. XXの任意の点列(xn)n∈N≥1(x_n)_{n\in\NN}と任意のx∈Xx\in Xに対して、xn→xx_n\to xならばf(xn)→f(x)f(x_n)\to f(x)である。

証明.(1)⇒\Rightarrow(2)を示す。ffが連続であるとし、xn→xx_n\to xとする。VVをf(x)f(x)の近傍とすると、§E2.11 定義 6.1によりf(x)∈W⊆Vf(x)\in W\subseteq Vを満たすYYの開集合WWが存在する。f−1(W)f^{-1}(W)はxxを含む開集合であるからxxの近傍であり、ある正の整数NNが存在して、n≥Nn\geq Nならばxn∈f−1(W)x_n\in f^{-1}(W)である。このときf(xn)∈W⊆Vf(x_n)\in W\subseteq Vであるからf(xn)→f(x)f(x_n)\to f(x)である。

(2)⇒\Rightarrow(1)を示す。(2)を仮定し、ffが連続でないとする。YYのある開集合VVに対してf−1(V)f^{-1}(V)は開集合でない。§E2.11 命題 2.5 (2)によりint⁡(f−1(V))≠f−1(V)\tpint{f^{-1}(V)}\ne f^{-1}(V)であり、int⁡(f−1(V))⊆f−1(V)\tpint{f^{-1}(V)}\subseteq f^{-1}(V)であるから、x∈f−1(V)∖int⁡(f−1(V))x\in f^{-1}(V)\setminus\tpint{f^{-1}(V)}を満たすxxが存在する。§E2.11 命題 2.5 (3)によりX∖int⁡(f−1(V))=X∖f−1(V)‾X\setminus\tpint{f^{-1}(V)}=\overline{X\setminus f^{-1}(V)}であるからx∈X∖f−1(V)‾x\in\overline{X\setminus f^{-1}(V)}である。定理 7.4により、X∖f−1(V)X\setminus f^{-1}(V)の点からなる点列(xn)n∈N≥1(x_n)_{n\in\NN}でxn→xx_n\to xを満たすものが存在する。

仮定によりf(xn)→f(x)f(x_n)\to f(x)である。x∈f−1(V)x\in f^{-1}(V)からf(x)∈Vf(x)\in Vであり、VVはf(x)f(x)を含む開集合であるからf(x)f(x)の近傍である。ゆえに、ある正の整数NNが存在してf(xN)∈Vf(x_N)\in V、すなわちxN∈f−1(V)x_N\in f^{-1}(V)である。一方、点列のとり方によりxN∈X∖f−1(V)x_N\in X\setminus f^{-1}(V)である。二つは両立しないから、ffは連続である。▨

注意 7.7. 非可算集合XXに補可算位相を入れ、x∈Xx\in XとA=X∖{x}A=X\setminus\{x\}をとる。XXが非可算であることと§E1.18 定理 5.1によりAAは非可算であるから、補可算位相においてAAを含む閉集合はXXだけである。したがってA‾=X\overline A=Xであり、とくにx∈A‾x\in\overline Aである。

AAの点からなる任意の点列(an)n∈N≥1(a_n)_{n\in\NN}をとる。N≥1\NNは高々可算であるから、その値域S={an∣n∈N≥1}S=\{a_n\mid n\in\NN\}は§E1.18 補題 3.5により高々可算であり、x∉Sx\notin Sである。したがってX∖SX\setminus Sはxxを含む開集合であるが、点列の項を一つも含まない。ゆえに(an)n∈N≥1(a_n)_{n\in\NN}はxxへ位相収束しない。第一可算性を仮定しなければ、定理 7.4 (1)から定理 7.4 (2)への含意は成り立たない。

注意 7.8. 第一可算性を仮定しない一般の位相空間では、すべての収束点列を保つ写像が連続であるとは限らない。非可算集合XXに補可算位相Occ\mathcal O_{\mathrm{cc}}を入れ、同じ集合XXに離散位相を入れた空間をYYと書き、f ⁣:X→Yf\colon X\to Yを恒等写像とする。

XXの点列(xn)n∈N≥1(x_n)_{n\in\NN}がx∈Xx\in Xへ位相収束するとする。A={n∈N≥1∣xn≠x}A=\{n\in\NN\mid x_n\ne x\}とおくと、包含写像A→Z≥0A\to\Z_{\geq0}は単射であるからAAは高々可算であり、§E1.18 補題 3.5によりS={xn∣n∈A}S=\{x_n\mid n\in A\}は高々可算である。x∉Sx\notin SであるからX∖SX\setminus Sはxxを含むOcc\mathcal O_{\mathrm{cc}}の元であり、xxの近傍である。したがって、ある正の整数NNが存在して、n≥Nn\geq Nならばxn∈X∖Sx_n\in X\setminus S、すなわちxn=xx_n=xである。YYにおけるf(x)f(x)の任意の近傍はf(x)=xf(x)=xを含むから、n≥Nn\geq Nを満たすすべてのnnについてf(xn)f(x_n)はその近傍に属し、f(xn)→f(x)f(x_n)\to f(x)である。ゆえにffは定理 7.6 (2)を満たす。

p∈Xp\in Xをとると{p}\{p\}はYYの開集合である。XXが非可算であることと§E1.18 定理 5.1によりX∖{p}X\setminus\{p\}は非可算であるから、f−1({p})={p}f^{-1}(\{p\})=\{p\}はOcc\mathcal O_{\mathrm{cc}}に属さない。ゆえにffは連続でない。

点列では判定することができない収束を記述するネットとフィルターは、後続の単元が扱う。

8 演習

問題 8.1 (半開区間の族が生成する位相).a<ba<bを満たす実数a,ba,bに対して[a,b)={t∈R∣a≤t<b}[a,b)=\{t\in\R\mid a\leq t<b\}とおき、B={[a,b)∣a,b∈R, a<b}\mathcal B=\{[a,b)\mid a,b\in\R,\ a<b\}とする。B\mathcal Bが命題 1.3の仮定を満たすことを示し、命題 1.3の位相OB\mathcal O_{\mathcal B}がR\Rの通常の位相より真に細かいこと、すなわち通常の位相がOB\mathcal O_{\mathcal B}に含まれ、両者が一致しないことを示せ。

解答.

実数aaに対してa∈[a,a+1)a\in[a,a+1)であるから⋃B=R\bigcup\mathcal B=\Rである。[a1,b1),[a2,b2)∈B[a_1,b_1),[a_2,b_2)\in\mathcal Bとx∈[a1,b1)∩[a2,b2)x\in[a_1,b_1)\cap[a_2,b_2)をとり、a=max⁡{a1,a2}a=\max\{a_1,a_2\}、b=min⁡{b1,b2}b=\min\{b_1,b_2\}とおく。実数ttが[a1,b1)∩[a2,b2)[a_1,b_1)\cap[a_2,b_2)に属することとa≤t<ba\leq t<bが成り立つことは同値であるから、[a1,b1)∩[a2,b2)=[a,b)[a_1,b_1)\cap[a_2,b_2)=[a,b)である。xxはこの集合に属するのでa≤x<ba\leq x<bであり、とくにa<ba<bであるから[a,b)∈B[a,b)\in\mathcal Bである。ゆえにx∈[a,b)⊆[a1,b1)∩[a2,b2)x\in[a,b)\subseteq[a_1,b_1)\cap[a_2,b_2)であり、B\mathcal Bは命題 1.3の仮定を満たす。したがってOB\mathcal O_{\mathcal B}はR\Rの位相であり、B\mathcal Bはその開基である。

UUを通常の位相の開集合とし、BU={B∈B∣B⊆U}\mathcal B_U=\{B\in\mathcal B\mid B\subseteq U\}とおく。BU\mathcal B_Uの各元はUUに含まれるので⋃BU⊆U\bigcup\mathcal B_U\subseteq Uである。x∈Ux\in Uをとると、§E2.2 定義 1.1によりある実数ε>0\varepsilon>0に対して(x−ε,x+ε)⊆U(x-\varepsilon,x+\varepsilon)\subseteq Uであり、[x,x+ε)⊆(x−ε,x+ε)⊆U[x,x+\varepsilon)\subseteq(x-\varepsilon,x+\varepsilon)\subseteq Uであるから[x,x+ε)∈BU[x,x+\varepsilon)\in\mathcal B_Uであってx∈⋃BUx\in\bigcup\mathcal B_Uである。よってU=⋃BUU=\bigcup\mathcal B_Uであり、UUはOB\mathcal O_{\mathcal B}に属する。UUは任意であったから、通常の位相はOB\mathcal O_{\mathcal B}に含まれる。

[0,1)[0,1)はB\mathcal Bの元であるからOB\mathcal O_{\mathcal B}に属する。[0,1)[0,1)が通常の位相の開集合であるとすると、§E2.2 定義 1.1によりある実数ε>0\varepsilon>0に対して(−ε,ε)⊆[0,1)(-\varepsilon,\varepsilon)\subseteq[0,1)であるが、−ε/2-\varepsilon/2は(−ε,ε)(-\varepsilon,\varepsilon)に属し[0,1)[0,1)に属さない。ゆえに[0,1)[0,1)は通常の位相の開集合でなく、通常の位相はOB\mathcal O_{\mathcal B}に一致しない。§E2.11 定義 1.10によりOB\mathcal O_{\mathcal B}は通常の位相より真に細かい。▨

問題 8.2 (R2\R^2の第二可算性).R2\R^2の通常の距離から生じる位相が第二可算であることを示せ。

解答.

§E1.18 定理 4.1と§E1.18 定理 5.2によりQ×Q\Q\times\Qは高々可算である。UUをR2\R^2の空でない開集合とし、x=(x1,x2)∈Ux=(x_1,x_2)\in Uをとる。§E2.2 定義 1.1によりある実数ε>0\varepsilon>0に対してB(x,ε)⊆UB(x,\varepsilon)\subseteq Uである。§D1.4 系 2.2により、i=1,2i=1,2について∣xi−pi∣<ε/2|x_i-p_i|<\varepsilon/2を満たす有理数pip_iをとることができる。p=(p1,p2)p=(p_1,p_2)とおくと

d(x,p)=(x1−p1)2+(x2−p2)2≤∣x1−p1∣+∣x2−p2∣<εd(x,p)=\sqrt{(x_1-p_1)^2+(x_2-p_2)^2}\leq|x_1-p_1|+|x_2-p_2|<\varepsilon

であるからp∈B(x,ε)⊆Up\in B(x,\varepsilon)\subseteq Uであり、U∩(Q×Q)≠∅U\cap(\Q\times\Q)\ne\emptysetである。ゆえに§E2.11 命題 2.9によりQ×Q\Q\times\QはR2\R^2で稠密であり、R2\R^2は可分空間である。したがって定理 6.4によりR2\R^2の位相は第二可算である。▨

問題 8.3 (特定点位相の第一可算性).XXを集合、p∈Xp\in Xとし、XXにppによる特定点位相を入れる。XXが第一可算であることを示せ。

解答.

{p}\{p\}はppを含む開集合であるからppの近傍であり、ppの任意の近傍はppを含むので{p}\{p\}を含む。ゆえに定値列Vn={p}V_n=\{p\}はppの可算近傍基である。

x∈X∖{p}x\in X\setminus\{p\}をとる。{p,x}\{p,x\}はxxを含む開集合であるからxxの近傍である。VVをxxの近傍とすると、x∈U⊆Vx\in U\subseteq Vを満たす開集合UUが存在する。UUは空でないからp∈Up\in Uであり、{p,x}⊆U⊆V\{p,x\}\subseteq U\subseteq Vである。ゆえに定値列Vn={p,x}V_n=\{p,x\}はxxの可算近傍基である。

したがってXXの各点は可算近傍基をもち、XXは第一可算である。▨

参考文献

  1. 松坂和夫『集合・位相入門』新装版, 岩波書店, 2018.開基と準開基による位相の生成、可算性の公理、および可分性の標準的な扱いを参考にした。
  2. James R. Munkres, Topology, 2nd ed., Prentice Hall, 2000.開基と準開基の定式化、準開基による連続性の判定、および可分距離空間の可算開基を参考にした。
  3. Stephen Willard, General Topology, Dover Publications, 2004, originally published 1970.第一可算性・第二可算性・可分性の関係と、点列による判定が一般には失敗することを参考にした。
  4. Ryszard Engelking, General Topology, revised and completed ed., Sigma Series in Pure Mathematics 6, Heldermann Verlag, Berlin, 1989.開基の濃度の最小値としての重みの定義と、第二可算性との一致を参考にした。

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