§E2.25σ-コンパクト空間

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コンパクト空間は位相空間論において最も基本的なクラスの一つであり、位相空間に対する多くの性質はまずコンパクト空間に対して証明される。しかしながら、解析学や幾何学で実際に現れる空間は、局所的にはコンパクトであっても、空間全体としてはしばしばコンパクトでない。たとえば、d∈Z≥1d\in\mathbb{Z}_{\ge 1}に対して、Euclid 空間Rd\mathbb{R}^dは通常の位相においてコンパクトではない。

それでもなお、そのような重要な空間は、可算個のコンパクト部分空間の合併として表すことができる場合がある。このような性質をもつ空間を σ-コンパクト空間という。 σ-コンパクト性は、コンパクト空間に対して証明された主張を非コンパクトな空間へ広げるときの前提として用いられる。解析学や幾何学が扱う対象は、位相空間に他の構造を加えて定められることが多いが、σ-コンパクト性はそのような対象に対しても、加えた構造を除いて残る位相空間についての条件として課される。

本記事では、σ-コンパクト空間の定義を導入し、その基本的な性質や代表的な例について解説する。

1 定義

定義 1.1. 位相空間XXが σ-コンパクト (sigma-compact space) であるとは、コンパクトな部分集合の列(Kn)n∈Z≥1(K_n)_{n\in\mathbb{Z}_{\ge 1}}が存在して

X=⋃n∈Z≥1KnX=\bigcup_{n\in\mathbb{Z}_{\ge 1}}K_n

を満たすことをいう。

注意 1.2. σ-コンパクト空間の定義に Hausdorff 性は含まない。したがって、コンパクト部分集合は閉集合であるとは限らない。この区別は§E2.19 注意 6.7が扱う。

命題 1.3. 位相空間XXが σ-コンパクトであることと、コンパクトな部分集合の増加列(Ln)n∈Z≥1(L_n)_{n\in\mathbb{Z}_{\ge 1}}が存在して

Ln⊆Ln+1(n∈Z≥1),X=⋃n∈Z≥1LnL_n\subseteq L_{n+1}\quad(n\in\mathbb{Z}_{\ge 1}),\qquad X=\bigcup_{n\in\mathbb{Z}_{\ge 1}}L_n

を満たすことは同値である。

証明.(Ln)n∈Z≥1(L_n)_{n\in\mathbb{Z}_{\ge 1}}が上の条件を満たすならば、定義 1.1によりXXは σ-コンパクトである。逆にX=⋃n∈Z≥1KnX=\bigcup_{n\in\mathbb{Z}_{\ge 1}}K_nを満たすコンパクト部分集合の列をとる。各n∈Z≥1n\in\mathbb{Z}_{\ge 1}に対して

Ln=K1∪⋯∪KnL_n=K_1\cup\cdots\cup K_n

とおく。§E2.19 補題 2.8によりLnL_nはコンパクトであり、Ln⊆Ln+1L_n\subseteq L_{n+1}である。また、各KnK_nはLnL_nに含まれるから

⋃n∈Z≥1Ln=⋃n∈Z≥1Kn=X\bigcup_{n\in\mathbb{Z}_{\ge 1}}L_n=\bigcup_{n\in\mathbb{Z}_{\ge 1}}K_n=X

が成り立つ。▨

例 1.4. 次の空間は σ-コンパクトである。

  1. コンパクト空間は σ-コンパクトである。
  2. 台集合が高々可算である任意の位相空間は、一点集合の高々可算な和であるため、σ-コンパクトである。特に、Q\Qは§E1.18 定理 4.1により可算であるから、Q⊆R\Q\subseteq \Rに通常の位相の相対位相を入れた位相空間は σ-コンパクトである。
  3. d∈Z≥1d\in \mathbb{Z}_{\ge 1}とし、Rd\R^dに Euclid 距離d2d_2から生じる位相を入れる。Rd=⋃n∈Z≥1[−n,n]d\R^d = \bigcup_{n\in \mathbb{Z}_{\ge 1}} [-n, n]^dであり、各[−n,n]d[-n,n]^dはd2d_2に関して有界かつ閉であるから、§E2.9 定理 4.3によりコンパクトである。したがってdd次元 Euclid 空間Rd\R^dは σ-コンパクトである。

2 基本性質

定理 2.1.XX、YYを位相空間、f ⁣:X→Yf\colon X\to Yを固有写像とする。YYが σ-コンパクトならばXXは σ-コンパクトである。

証明.定義 1.1により、YYのコンパクト部分集合の列(Kn)n∈Z≥1(K_n)_{n\in\mathbb{Z}_{\ge 1}}でY=⋃n∈Z≥1KnY=\bigcup_{n\in\mathbb{Z}_{\ge 1}}K_nを満たすものが存在する。ffは固有であるから§E2.20 定義 1.1により各f−1(Kn)f^{-1}(K_n)はXXのコンパクト部分集合であり、§E1.2 定理 4.1 (1)によりX=f−1(Y)=⋃n∈Z≥1f−1(Kn)X=f^{-1}(Y)=\bigcup_{n\in\mathbb{Z}_{\ge 1}}f^{-1}(K_n)である。ゆえに定義 1.1によりXXは σ-コンパクトである。▨

系 2.2.XXを σ-コンパクトな位相空間とする。

  1. F⊆XF\subseteq XがXXの閉集合であり、FFに部分空間位相を入れるならば、FFは σ-コンパクトである。
  2. KKがコンパクトな位相空間ならば、積空間X×KX\times Kは σ-コンパクトである。

証明.(1)を示す。§E2.20 命題 1.2 (3)により包含写像ιF ⁣:F→X\iota_F\colon F\to Xは固有であるから、定理 2.1をιF\iota_Fへ適用するとFFは σ-コンパクトである。

(2)を示す。§E2.20 命題 4.5により射影pr⁡X ⁣:X×K→X\operatorname{pr}_X\colon X\times K\to Xは固有であるから、定理 2.1をpr⁡X\operatorname{pr}_Xへ適用するとX×KX\times Kは σ-コンパクトである。▨

定理 2.3. σ-コンパクト空間からの連続写像の像は σ-コンパクトである。

証明.XXを σ-コンパクトな位相空間とし、X=⋃n∈Z≥1KnX=\bigcup_{n\in\mathbb{Z}_{\ge 1}}K_n、各KnK_nをコンパクトとする。f ⁣:X→Yf\colon X\to Yを連続写像とする。包含写像Kn→XK_n\to Xは§E2.12 定理 4.4により連続であるから、制限f∣Kn ⁣:Kn→Yf|_{K_n}\colon K_n\to Yは連続であり、§E2.19 定理 4.2によりf(Kn)f(K_n)はYYのコンパクトな部分集合である。§E2.19 補題 2.7により、f(Kn)f(K_n)はf(X)f(X)の部分空間としてもコンパクトである。さらに

f(X)=f(⋃n∈Z≥1Kn)=⋃n∈Z≥1f(Kn)f(X)=f\left(\bigcup_{n\in\mathbb{Z}_{\ge 1}}K_n\right)=\bigcup_{n\in\mathbb{Z}_{\ge 1}}f(K_n)

である。したがってf(X)f(X)は σ-コンパクトである。▨

命題 2.4. 位相空間XXが部分集合A1,…,AmA_1,\ldots,A_mの有限和であり、各AiA_iが部分空間として σ-コンパクトであるならば、XXは σ-コンパクトである。

証明は演習とする(問題 5.1)。

3 可算性条件との比較

定理 3.1. σ-コンパクトな位相空間は Lindelöf である。

証明.X=⋃n∈Z≥1KnX=\bigcup_{n\in\mathbb{Z}_{\ge 1}}K_nとし、各KnK_nをコンパクトとする。(Ui)i∈I(U_i)_{i\in I}をXXの開被覆とする。各n∈Z≥1n\in\mathbb{Z}_{\ge 1}に対して、k∈Z≥0k\in\mathbb{Z}_{\ge 0}と写像u ⁣:{1,…,k}→Iu\colon\{1,\ldots,k\}\to I(k=0k=0のとき定義域は空集合である)の対(k,u)(k,u)であって

Kn⊆⋃1≤j≤kUu(j)K_n\subseteq\bigcup_{1\le j\le k}U_{u(j)}

を満たすもの全体をSn\mathcal S_nとおく。KnK_nのコンパクト性と§E2.19 命題 2.6により、KnK_nを覆う有限部分族が存在する。その添字集合は有限であるから、あるkkに対して{1,…,k}\{1,\ldots,k\}からこの添字集合への全単射が存在し、それをIIへの写像とみなすとSn\mathcal S_nの元を得る。ゆえにSn\mathcal S_nは空でない。すべてのnnについて(kn,un)∈Sn(k_n,u_n)\in\mathcal S_nを満たす列((kn,un))n∈Z≥1((k_n,u_n))_{n\in\mathbb{Z}_{\ge 1}}をとる。

各nnに対してRn={un(j)∣1≤j≤kn}R_n=\{u_n(j)\mid 1\le j\le k_n\}とおくと、RnR_nは有限集合である。i∈Rni\in R_nにmin⁡{j∈{1,…,kn}∣un(j)=i}\min\{j\in\{1,\ldots,k_n\}\mid u_n(j)=i\}を対応させる写像は単射Rn→Z≥0R_n\to\mathbb{Z}_{\ge 0}であり、選んだ列(un)n∈Z≥1(u_n)_{n\in\mathbb{Z}_{\ge 1}}からnnについて一つの族として定まる。したがって

I0=⋃n∈Z≥1RnI_0=\bigcup_{n\in\mathbb{Z}_{\ge 1}}R_n

とおくと、§E1.18 定理 6.3によりI0I_0は高々可算である。また

X=⋃n∈Z≥1Kn⊆⋃n∈Z≥1⋃1≤j≤knUun(j)=⋃i∈I0UiX=\bigcup_{n\in\mathbb{Z}_{\ge 1}}K_n\subseteq\bigcup_{n\in\mathbb{Z}_{\ge 1}}\bigcup_{1\le j\le k_n}U_{u_n(j)}=\bigcup_{i\in I_0}U_i

が成り立つ。したがって(Ui)i∈I0(U_i)_{i\in I_0}は高々可算な部分被覆であり、XXは Lindelöf である。▨

命題 3.2. ZF 上で、「任意の σ-コンパクト空間は Lindelöf である」ことと可算選択公理が成り立つこととは同値である。

証明は演習とする(問題 5.2)。定理 3.1の証明が可算選択公理を用いる箇所は、この同値により取り除くことができない。

定理 3.3.XXを局所コンパクトな Lindelöf 空間とすると、XXは σ-コンパクトである。

証明.O\mathcal{O}をXXの開集合系とする。

I={(U,K)∣U∈O, K⊆X はコンパクトであり、U⊆K}I = \{ (U, K) \mid U\in\mathcal O,\ K\subseteq X\text{ はコンパクトであり、}U\subseteq K\}

と置き、f ⁣:I→Of\colon I\to \mathcal{O}をf(U,K)=Uf(U, K) = Uと定義する。各x∈Xx\in Xに対して、局所コンパクト性によりコンパクトな近傍KKが存在し、その内部UUはxxを含む開集合でU⊆KU\subseteq Kを満たすから、(f(i))i∈I(f(i))_{i\in I}はXXの開被覆である。よってXXが Lindelöf であることから、ある高々可算な部分集合I0⊆II_0\subseteq Iが存在して、(f(i))i∈I0(f(i))_{i\in I_0}はまたXXの開被覆となる。X=∅X=\varnothingならば、各nnに対してKn=∅K_n=\varnothingと置けば、(Kn)n∈Z≥1(K_n)_{n\in\mathbb{Z}_{\ge 1}}はコンパクト集合の列である。X≠∅X\neq\varnothingとするとI0≠∅I_0\neq\varnothingであり、§E1.18 補題 3.6により全射φ ⁣:Z≥1→I0\varphi\colon \mathbb{Z}_{\ge 1}\to I_0が存在する。各nnに対してφ(n)=(Un,Kn)\varphi(n) = (U_n, K_n)と書く。このとき、(Un)n∈Z≥1(U_n)_{n\in\mathbb{Z}_{\ge 1}}がXXを覆うこととUn⊆KnU_n\subseteq K_nから、⋃nKn⊇⋃nUn=X\bigcup_{n}K_n \supseteq \bigcup_{n}U_n = Xとなる。各KnK_nはコンパクトであるから、以上よりXXは σ-コンパクトである。▨

注意 3.4.定理 3.1では、各KnK_nを覆う添字の有限列を可算回選ぶために可算選択公理を用いる。選んだ有限列は添字集合I0I_0の枚挙をそのまま与えるので、選択公理の使用はこの一箇所に閉じている。これに対し、定理 3.3では Lindelöf 性が与える一つの部分被覆から、固定した全射だけでコンパクト集合列を定める。したがって逆向きの証明は選択公理を用いない。この証明は ZF 上で成立するが、そのためには開被覆の定義が§E2.19 注意 1.1のとおり集合族ではなく写像の形で与えられていることが本質的に重要である。Lindelöf 性と可算選択公理の関係は§E2.21 補題 6.1が扱う。開被覆を族としてとるか開集合の集合としてとるかによって Lindelöf 性が ZF の上で別の条件になることは、§E2.50 注意 3.6が扱う。

系 3.5. 局所コンパクト空間XXについて、次は同値である。

  1. XXは σ-コンパクトである。
  2. XXは Lindelöf である。

証明.(1)⇒\Rightarrow(2)は定理 3.1により従う。(2)⇒\Rightarrow(1)は定理 3.3により従う。▨

系 3.6. 第二可算な局所コンパクト空間は σ-コンパクトである。

証明.§E2.21 命題 1.6により、この空間は Lindelöf である。定理 3.3を適用すると σ-コンパクトである。▨

命題 3.7. 位相空間XXが σ-コンパクトかつ可算コンパクトならば、XXはコンパクトである。

証明.定理 3.1によりXXは Lindelöf である。§E2.23 命題 1.4を適用するとXXはコンパクトである。▨

例 3.8.D=Z≥1D=\mathbb Z_{\ge 1}に離散位相を入れると、DDは σ-コンパクトだが可算コンパクトではない。

証明.DDの台集合Z≥1\mathbb Z_{\ge 1}は可算であるから、例 1.4 (2)によりDDは σ-コンパクトである。

Un={n}U_n=\{n\}とおくと、(Un)n∈Z≥1(U_n)_{n\in\mathbb Z_{\ge 1}}はDDの可算開被覆である。任意のN∈Z≥1N\in\mathbb Z_{\ge 1}に対してU1∪⋯∪UN={1,…,N}≠DU_1\cup\cdots\cup U_N=\{1,\ldots,N\}\ne Dである。したがってこの開被覆は有限部分被覆をもたず、DDは可算コンパクトでない。▨

4 例

例 4.1. 非可算集合DDに離散位相を入れると、DDは、コンパクト性、Lindelöf 性、σ-コンパクト性および Hausdorff 性をすべてもつ空間の開部分空間であるが、DD自身は Lindelöf でも σ-コンパクトでもない。

証明.§E2.24 例 5.1によりDDは局所コンパクト Hausdorff 空間である。DDは無限集合であるから、§E2.19 例 2.9によりDDはコンパクトでない。よって§E2.24 命題 2.2 (3)により1点コンパクト化αD\alpha Dが存在する。αD\alpha Dはコンパクトであるから例 1.4 (1)により σ-コンパクトであり、§E2.21 命題 1.2により Lindelöf である。DDはαD\alpha Dにおいて添加した一点の補集合であるから、αD\alpha Dの開部分空間である。

一点集合の族({x})x∈D(\{x\})_{x\in D}はDDの開被覆である。この開被覆の部分被覆の添字集合はDD全体でなければならない。したがって高々可算な部分被覆は存在せず、DDは Lindelöf でない。定理 3.1の対偶により、DDは σ-コンパクトでもない。▨

補題 4.2. 順序数空間ω1\omega_1について、C⊆ω1C\subseteq\omega_1がコンパクトなら、C⊆[0,β]C\subseteq[0,\beta]を満たすβ<ω1\beta<\omega_1が存在する。

証明.C=∅C=\emptysetの場合はβ=0\beta=0と置けばよい。実際、0<ω10<\omega_1であり∅⊆[0,0]\emptyset\subseteq[0,0]である。以下ではC≠∅C\neq\emptysetとする。

§E2.17 定義 1.1により、0<α<ω10<\alpha<\omega_1に対して(−∞,α)(-\infty,\alpha)はω1\omega_1の基本開集合である。ω1\omega_1の順序位相は基本開集合の全体が生成する位相であるから、(−∞,α)(-\infty,\alpha)はω1\omega_1の開集合である。[0,α)=(−∞,α)[0,\alpha)=(-\infty,\alpha)であるから、族([0,α))0<α<ω1([0,\alpha))_{0<\alpha<\omega_1}はω1\omega_1の開被覆である。この開被覆とCCのコンパクト性に§E2.19 命題 2.6を適用して、CCを覆う有限部分族[0,α1),…,[0,αm)[0,\alpha_1),\ldots,[0,\alpha_m)を取る。C≠∅C\neq\emptysetであり、この有限部分族はCCを覆うから、m≥1m\ge 1である。そこでβ=max⁡1≤i≤mαi\beta=\max_{1\le i\le m}\alpha_iと置く。β\betaはα1,…,αm\alpha_1,\ldots,\alpha_mのいずれかであるからβ<ω1\beta<\omega_1であり、初期区間[0,α1),…,[0,αm)[0,\alpha_1),\ldots,[0,\alpha_m)は包含について全順序であってその合併は[0,β)[0,\beta)に等しいから、C⊆[0,β)⊆[0,β]C\subseteq[0,\beta)\subseteq[0,\beta]が成り立つ。▨

定理 4.3. 順序数空間ω+1\omega+1、ω1\omega_1、ω1+1\omega_1+1のうち σ-コンパクトなのはω+1\omega+1とω1+1\omega_1+1であり、ω1\omega_1は σ-コンパクトではない。

証明.ω+1\omega+1とω1+1\omega_1+1は§E2.19 定理 7.2によりコンパクトであるから、例 1.4 (1)により σ-コンパクトである。

反対にω1\omega_1が σ-コンパクトであると仮定し、ω1=⋃n∈Z≥1Cn\omega_1=\bigcup_{n\in\mathbb Z_{\ge1}}C_nを満たすコンパクト集合の列(Cn)n∈Z≥1(C_n)_{n\in\mathbb Z_{\ge1}}をとる。各CnC_nは補題 4.2によりある初期区間[0,βn][0,\beta_n]に含まれる。§E1.22 補題 3.1によりβn+1<ω1\beta_n+1<\omega_1である。可算集合{βn+1∣n∈Z≥1}\{\beta_n+1\mid n\in\mathbb Z_{\ge1}\}は§E2.17 補題 4.2によりあるδ<ω1\delta<\omega_1以下に収まる。δ+1∈ω1\delta+1\in\omega_1であるが、各nnでβn<δ+1\beta_n<\delta+1だからδ+1∉Cn\delta+1\notin C_nとなる。すなわちδ+1\delta+1はどのCnC_nにも属さない。一方、ω1=⋃n∈Z≥1Cn\omega_1=\bigcup_{n\in\mathbb Z_{\ge1}}C_nでありδ+1∈ω1\delta+1\in\omega_1であるから、δ+1\delta+1はあるCnC_nに属する。この二つは両立しない。したがってω1\omega_1は σ-コンパクトでない。▨

例 4.4.N≥0\Nは σ-コンパクトであるが、その可算個の直積空間N≥0N≥0\N^{\N}は σ-コンパクトでない。可算個のコンパクト部分空間の族(Kn)n∈N≥0(K_n)_{n\in \N}を任意にとる。各n∈N≥0n\in \Nに対し、πn ⁣:N≥0N≥0→N≥0\pi_n\colon \N^{\N}\to \Nを標準射影とすると、πn(Kn)⊂N≥0\pi_n(K_n)\subset \Nはコンパクトなので、N≥0\Nが離散であることからこれは有限集合である。よってxn∈N≥0∖πn(Kn)x_n\in \N\setminus \pi_n(K_n)をとることができる。このとき、もし点x:=(xn)n∈N≥0x:=(x_n)_{n\in \N}があるKmK_mに属していれば、πm(x)=xm∈πm(Km)\pi_m(x) = x_m\in \pi_m(K_m)となるので、これはxmx_mの取り方に矛盾する。特にx∉⋃n∈N≥0Knx\not\in\bigcup_{n\in \N}K_nが成り立ち、N≥0N≥0\N^{\N}は可算個のコンパクト部分空間の族の和にならない。

5 演習

問題 5.1.命題 2.4の証明を、各AiA_iのコンパクト被覆から直接完成させよ。

解答.

各i∈{1,…,m}i\in\{1,\ldots,m\}に対してAi=⋃n∈Z≥1Ki,nA_i=\bigcup_{n\in\mathbb Z_{\ge 1}}K_{i,n}と書く。包含写像Ai→XA_i\to Xは§E2.12 定理 4.4により連続であるから、§E2.19 定理 4.2により各Ki,nK_{i,n}はXXのコンパクト部分集合でもある。Ln=K1,n∪⋯∪Km,nL_n=K_{1,n}\cup\cdots\cup K_{m,n}とおくと、§E2.19 補題 2.8によりLnL_nはコンパクトであり、

X=⋃i=1mAi=⋃n∈Z≥1LnX=\bigcup_{i=1}^{m}A_i=\bigcup_{n\in\mathbb Z_{\ge 1}}L_n

が成り立つ。したがってXXは σ-コンパクトである。▨

問題 5.2.命題 3.2の証明を完成させよ。

解答.

可算選択公理を仮定すると、定理 3.1の証明がそのまま ZF 上で遂行され、任意の σ-コンパクト空間は Lindelöf である。

逆に、任意の σ-コンパクト空間が Lindelöf であると仮定する。可算な集合XXに離散位相を入れると、例 1.4 (2)によりXXは σ-コンパクトである。よって仮定により任意の可算離散空間は Lindelöf である。したがって§E2.21 補題 6.1により可算選択公理が成り立つ。▨

参考文献

  1. 松坂和夫『集合・位相入門』新装版, 岩波書店, 2018.σ-コンパクト性、Lindelöf 性および局所コンパクト性の基本的な関係を参考にした。
  2. James R. Munkres, Topology, 2nd ed., Prentice Hall, 2000.コンパクト性、可算性条件および局所コンパクト Hausdorff 空間の標準的な例を参考にした。
  3. Stephen Willard, General Topology, Dover Publications, 2004, originally published 1970.一般位相空間における σ-コンパクト性と選択原理の関係を参考にした。

前提記事

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