§E2.47位相次元

最終更新

実数直線の開区間(0,1)(0,1)は連結であり、0 次元ではないが、その境界{0,1}\{0,1\}は 0 次元である。近傍の境界の次元を用いて、空間そのものの次元をどのように定めるかが問題となる。

位相次元には、近傍の境界を用いる帰納的次元と、有限開被覆の細分における集合の重なりを用いる被覆次元がある。同相な空間は、それぞれの次元について同じ値をとる。

1 三つの次元

定義 1.1 (小さい帰納的次元).XXを位相空間とする。整数n≥−1n\geq-1に対して、条件ind⁡X≤n\operatorname{ind}X\leq nをnnに関する帰納法で次のように定める。ind⁡X≤−1\operatorname{ind}X\leq-1とはX=∅X=\emptysetであることをいう。n≥0n\geq0のとき、ind⁡X≤n\operatorname{ind}X\leq nとは、任意のx∈Xx\in Xとxxを含むXXの任意の開集合UUに対して、x∈V⊆Ux\in V\subseteq Uを満たすXXの開集合VVで、部分空間位相を入れた境界∂V\partial Vがind⁡∂V≤n−1\operatorname{ind}\partial V\leq n-1を満たすものが存在することをいう。

条件ind⁡X≤n\operatorname{ind}X\leq nを満たす整数n≥−1n\geq-1が存在するとき、その最小値をind⁡X\operatorname{ind}Xと書き、存在しないときind⁡X=∞\operatorname{ind}X=\inftyと書く。ind⁡X\operatorname{ind}XをXXの 小さい帰納的次元 (small inductive dimension) という。

定義 1.2 (大きい帰納的次元).XXを位相空間とする。整数n≥−1n\geq-1に対して、条件Ind⁡X≤n\operatorname{Ind}X\leq nをnnに関する帰納法で次のように定める。Ind⁡X≤−1\operatorname{Ind}X\leq-1とはX=∅X=\emptysetであることをいう。n≥0n\geq0のとき、Ind⁡X≤n\operatorname{Ind}X\leq nとは、XXの任意の閉集合FFとF⊆UF\subseteq Uを満たすXXの任意の開集合UUに対して、F⊆V⊆UF\subseteq V\subseteq Uを満たすXXの開集合VVで、部分空間位相を入れた境界∂V\partial VがInd⁡∂V≤n−1\operatorname{Ind}\partial V\leq n-1を満たすものが存在することをいう。

条件Ind⁡X≤n\operatorname{Ind}X\leq nを満たす整数n≥−1n\geq-1が存在するとき、その最小値をInd⁡X\operatorname{Ind}Xと書き、存在しないときInd⁡X=∞\operatorname{Ind}X=\inftyと書く。Ind⁡X\operatorname{Ind}XをXXの 大きい帰納的次元 (large inductive dimension) という。

定義 1.3 (族の位数).XXを集合とし、A=(Ai)i∈I\mathcal A=(A_i)_{i\in I}をXXの部分集合族とする。整数n≥0n\geq0について、Ai0∩⋯∩Ain≠∅A_{i_0}\cap\cdots\cap A_{i_n}\neq\emptysetを満たす相異なるn+1n+1個の添字i0,…,in∈Ii_0,\ldots,i_n\in Iが存在し、Ai0∩⋯∩Ain+1≠∅A_{i_0}\cap\cdots\cap A_{i_{n+1}}\neq\emptysetを満たす相異なるn+2n+2個の添字i0,…,in+1∈Ii_0,\ldots,i_{n+1}\in Iが存在しないとき、A\mathcal Aの 位数 (order) はnnであるといい、ord⁡A=n\operatorname{ord}\mathcal A=nと書く。すべてのi∈Ii\in IについてAi=∅A_i=\emptysetであるとき(I=∅I=\emptysetの場合を含む)、ord⁡A=−1\operatorname{ord}\mathcal A=-1と定める。どの整数n≥−1n\geq-1についてもord⁡A=n\operatorname{ord}\mathcal A=nでないとき、ord⁡A=∞\operatorname{ord}\mathcal A=\inftyと定める。

定義 1.4 (被覆次元).XXを位相空間とする。整数n≥−1n\geq-1に対して、XXの任意の有限開被覆U\mathcal Uが、ord⁡W≤n\operatorname{ord}\mathcal W\leq nを満たすXXの有限開被覆W\mathcal WでW≺U\mathcal W\prec\mathcal Uとなるものをもつとき、dim⁡X≤n\dim X\leq nと書く。

条件dim⁡X≤n\dim X\leq nを満たす整数n≥−1n\geq-1が存在するとき、その最小値をdim⁡X\dim Xと書き、存在しないときdim⁡X=∞\dim X=\inftyと書く。dim⁡X\dim XをXXの 被覆次元 (covering dimension) という。

補題 1.5.XXを位相空間、A=(Ai)i∈I\mathcal A=(A_i)_{i\in I}をXXの部分集合族、n≥−1n\geq-1を整数とする。

  1. ord⁡A≤n\operatorname{ord}\mathcal A\leq nであることと、Ai0∩⋯∩Ain+1≠∅A_{i_0}\cap\cdots\cap A_{i_{n+1}}\neq\emptysetを満たす相異なるn+2n+2個の添字i0,…,in+1∈Ii_0,\ldots,i_{n+1}\in Iが存在しないことは同値である。
  2. 条件ind⁡X≤n\operatorname{ind}X\leq n、Ind⁡X≤n\operatorname{Ind}X\leq n、dim⁡X≤n\dim X\leq nのそれぞれについて、それが成り立つならば、nnをn+1n+1に替えた条件も成り立つ。したがって、値ind⁡X\operatorname{ind}X、Ind⁡X\operatorname{Ind}X、dim⁡X\dim Xがnn以下であることは、それぞれ条件ind⁡X≤n\operatorname{ind}X\leq n、Ind⁡X≤n\operatorname{Ind}X\leq n、dim⁡X≤n\dim X\leq nが成り立つことと同値である。
  3. ind⁡X\operatorname{ind}X、Ind⁡X\operatorname{Ind}X、dim⁡X\dim Xのいずれについても、その値が−1-1であることとX=∅X=\emptysetであることは同値である。

証明. 演習とする(問題 5.1)。▨

補題 1.6.XXを位相空間、n≥−1n\geq-1を整数とする。dim⁡X≤n\dim X\leq nであることと、XXの任意の有限開被覆U\mathcal Uが、ord⁡W≤n\operatorname{ord}\mathcal W\leq nを満たすXXの開被覆W\mathcal WでW≺U\mathcal W\prec\mathcal Uとなるものをもつことは同値である。ここでW\mathcal Wの添字集合は有限集合とは限らない。

証明.dim⁡X≤n\dim X\leq nならば、定義が与える有限開被覆がそのまま条件を満たす。

逆に、XXの任意の有限開被覆が位数nn以下の開被覆を細分としてもつとする。U=(Ui)i∈I\mathcal U=(U_i)_{i\in I}をXXの有限開被覆とし、ord⁡W≤n\operatorname{ord}\mathcal W\leq nを満たす開被覆W=(Wj)j∈J\mathcal W=(W_j)_{j\in J}と細分射f ⁣:J→If\colon J\to Iをとる。各i∈Ii\in Iに対して

Vi=⋃j∈f−1(i)WjV_i=\bigcup_{j\in f^{-1}(i)}W_j

とおく。ViV_iは開集合であり、j∈f−1(i)j\in f^{-1}(i)ならばWj⊆UiW_j\subseteq U_iであるからVi⊆UiV_i\subseteq U_iである。各x∈Xx\in Xはx∈Wjx\in W_jを満たすj∈Jj\in Jをもち、x∈Vf(j)x\in V_{f(j)}であるから、V=(Vi)i∈I\mathcal V=(V_i)_{i\in I}はXXの有限開被覆であり、恒等写像I→II\to Iを細分射としてV≺U\mathcal V\prec\mathcal Uである。相異なるi0,…,in+1∈Ii_0,\ldots,i_{n+1}\in Iとx∈Vi0∩⋯∩Vin+1x\in V_{i_0}\cap\cdots\cap V_{i_{n+1}}が存在したとすると、各kkについてx∈Wjkx\in W_{j_k}を満たすjk∈f−1(ik)j_k\in f^{-1}(i_k)をとることができ、f(jk)=ikf(j_k)=i_kが相異なるのでj0,…,jn+1j_0,\ldots,j_{n+1}も相異なり、x∈Wj0∩⋯∩Wjn+1x\in W_{j_0}\cap\cdots\cap W_{j_{n+1}}となる。これは補題 1.5 (1)によりord⁡W≤n\operatorname{ord}\mathcal W\leq nに反する。よって補題 1.5 (1)によりord⁡V≤n\operatorname{ord}\mathcal V\leq nであり、dim⁡X≤n\dim X\leq nである。▨

注意 1.7. Engelking の Dimension Theory は、小さい帰納的次元を正則空間に対して、大きい帰納的次元と被覆次元を正規空間に対して定義する。本記事の三つの定義はこの制限を課さず、0 次元の三条件と同じく任意の位相空間に対して定める。また、各点を含む族の元の個数の最大値で族の位数を数える流儀もあり、その値は本記事の位数より11だけ大きい。

2 基本性質

命題 2.1.h ⁣:X→Yh\colon X\to Yを位相空間の間の同相写像とする。

  1. ind⁡X=ind⁡Y\operatorname{ind}X=\operatorname{ind}Y、Ind⁡X=Ind⁡Y\operatorname{Ind}X=\operatorname{Ind}Y、dim⁡X=dim⁡Y\dim X=\dim Yが成り立つ。

証明.(1)を示す。整数n≥−1n\geq-1について、同相な任意の位相空間XX、YYに対して条件ind⁡X≤n\operatorname{ind}X\leq nとind⁡Y≤n\operatorname{ind}Y\leq nが同値であることは、nnに関する帰納法による。n=−1n=-1のとき、全単射が存在するのでX=∅X=\emptysetとY=∅Y=\emptysetは同値である。n≥0n\geq0とし、n−1n-1について同値性が成り立つと仮定する。同相写像h ⁣:X→Yh\colon X\to Yがあり、ind⁡X≤n\operatorname{ind}X\leq nが成り立つとする。y∈Yy\in Yとyyを含む開集合UUをとると、h−1(U)h^{-1}(U)はh−1(y)h^{-1}(y)を含む開集合であるから、h−1(y)∈V⊆h−1(U)h^{-1}(y)\in V\subseteq h^{-1}(U)を満たす開集合VVでind⁡∂V≤n−1\operatorname{ind}\partial V\leq n-1を満たすものが存在する。§E2.12 命題 6.3 (6)によりh(∂V)=∂h(V)h(\partial V)=\partial h(V)であり、§E2.12 補題 5.6 (1)によりhhとh−1h^{-1}の境界への制限はともに連続である。したがって∂V\partial Vと∂h(V)\partial h(V)は同相であり、帰納法の仮定によりind⁡∂h(V)≤n−1\operatorname{ind}\partial h(V)\leq n-1である。h(V)h(V)はy∈h(V)⊆Uy\in h(V)\subseteq Uを満たす開集合であるので、ind⁡Y≤n\operatorname{ind}Y\leq nが成り立つ。h−1h^{-1}に同じ議論を適用すると逆向きも成り立つ。Ind⁡\operatorname{Ind}については、点yyを閉集合FFに替えて同じ議論を行う。

dim⁡\dimについて、同相写像h ⁣:X→Yh\colon X\to Yがありdim⁡X≤n\dim X\leq nであるとする。(Ui)i∈I(U_i)_{i\in I}をYYの有限開被覆とすると、(h−1(Ui))i∈I(h^{-1}(U_i))_{i\in I}はXXの有限開被覆であるから、ord⁡(Wj)j∈J≤n\operatorname{ord}(W_j)_{j\in J}\leq nを満たすXXの有限開被覆(Wj)j∈J(W_j)_{j\in J}と細分射f ⁣:J→If\colon J\to Iが存在する。(h(Wj))j∈J(h(W_j))_{j\in J}はYYの有限開被覆であり、h(Wj)⊆Uf(j)h(W_j)\subseteq U_{f(j)}である。hhは全単射であるから、添字j0,…,jmj_0,\ldots,j_mについてh(Wj0)∩⋯∩h(Wjm)=h(Wj0∩⋯∩Wjm)h(W_{j_0})\cap\cdots\cap h(W_{j_m})=h(W_{j_0}\cap\cdots\cap W_{j_m})であり、補題 1.5 (1)によりord⁡(h(Wj))j∈J≤n\operatorname{ord}(h(W_j))_{j\in J}\leq nである。よってdim⁡Y≤n\dim Y\leq nであり、h−1h^{-1}について同様である。

三つの次元のそれぞれについて、同じnnに対する条件がXXとYYで同値であるから、値も一致する。▨

命題 2.2. 位相空間XXの任意の部分空間MMについて、ind⁡M≤ind⁡X\operatorname{ind}M\leq\operatorname{ind}Xである。

証明. 整数n≥−1n\geq-1について、任意の位相空間XXと任意のM⊆XM\subseteq Xに対して条件ind⁡X≤n\operatorname{ind}X\leq nから条件ind⁡M≤n\operatorname{ind}M\leq nが従うことは、nnに関する帰納法による。n=−1n=-1のときX=∅X=\emptysetであるからM=∅M=\emptysetである。n≥0n\geq0とし、n−1n-1についてこの主張が成り立つと仮定し、ind⁡X≤n\operatorname{ind}X\leq nとする。x∈Mx\in Mと、xxを含むMMの開集合UUをとる。U=U′∩MU=U'\cap Mを満たすXXの開集合U′U'をとると、x∈V′⊆U′x\in V'\subseteq U'を満たすXXの開集合V′V'でind⁡∂V′≤n−1\operatorname{ind}\partial V'\leq n-1を満たすものが存在する。V=V′∩MV=V'\cap Mはx∈V⊆Ux\in V\subseteq Uを満たすMMの開集合であり、§E2.12 命題 4.7 (4)によりMMにおける境界∂MV\partial_MVは∂V′\partial V'の部分集合である。帰納法の仮定を空間∂V′\partial V'とその部分集合∂MV\partial_MVに適用するとind⁡∂MV≤n−1\operatorname{ind}\partial_MV\leq n-1であり、ind⁡M≤n\operatorname{ind}M\leq nが成り立つ。補題 1.5 (2)により値についてind⁡M≤ind⁡X\operatorname{ind}M\leq\operatorname{ind}Xである。▨

命題 2.3. 位相空間XXの任意の閉部分空間MMについて、Ind⁡M≤Ind⁡X\operatorname{Ind}M\leq\operatorname{Ind}Xである。

証明. 整数n≥−1n\geq-1について、任意の位相空間XXとXXの任意の閉集合MMに対して条件Ind⁡X≤n\operatorname{Ind}X\leq nから条件Ind⁡M≤n\operatorname{Ind}M\leq nが従うことは、nnに関する帰納法による。n=−1n=-1のときM=∅M=\emptysetである。n≥0n\geq0とし、n−1n-1についてこの主張が成り立つと仮定し、Ind⁡X≤n\operatorname{Ind}X\leq nとする。FFをMMの閉集合、UUをF⊆UF\subseteq Uを満たすMMの開集合とする。MMはXXの閉集合であるから、§E2.12 命題 4.6によりFFはXXの閉集合である。U=U′∩MU=U'\cap Mを満たすXXの開集合U′U'をとり、U′′=U′∪(X∖M)U''=U'\cup(X\setminus M)とおくと、U′′U''はFFを含むXXの開集合である。仮定により、F⊆V′⊆U′′F\subseteq V'\subseteq U''を満たすXXの開集合V′V'でInd⁡∂V′≤n−1\operatorname{Ind}\partial V'\leq n-1を満たすものが存在する。V=V′∩MV=V'\cap MはMMの開集合であり、F⊆V⊆U′′∩M=UF\subseteq V\subseteq U''\cap M=Uを満たす。§E2.11 命題 2.8 (3)によりMMにおける境界∂MV\partial_MVはMMの閉集合であり、MMがXXの閉集合であるからXXの閉集合である。§E2.12 命題 4.7 (4)により∂MV⊆∂V′\partial_MV\subseteq\partial V'であるから、∂MV\partial_MVは∂V′\partial V'の閉集合である。帰納法の仮定によりInd⁡∂MV≤n−1\operatorname{Ind}\partial_MV\leq n-1であり、Ind⁡M≤n\operatorname{Ind}M\leq nが成り立つ。補題 1.5 (2)により値についてInd⁡M≤Ind⁡X\operatorname{Ind}M\leq\operatorname{Ind}Xである。▨

命題 2.4. 位相空間XXの任意の閉部分空間MMについて、dim⁡M≤dim⁡X\dim M\leq\dim Xである。

証明. 整数n≥−1n\geq-1についてdim⁡X≤n\dim X\leq nとし、(Ui)i∈I(U_i)_{i\in I}をMMの有限開被覆とする。各i∈Ii\in IについてUi=Ui′∩MU_i=U_i'\cap Mを満たすXXの開集合Ui′U_i'をとる。IIに属さない添字∗*を一つ加え、U∗′=X∖MU'_*=X\setminus Mとおくと、(Ui′)i∈I∪{∗}(U_i')_{i\in I\cup\{*\}}はXXの有限開被覆である。仮定により、ord⁡(Wj)j∈J≤n\operatorname{ord}(W_j)_{j\in J}\leq nを満たすXXの有限開被覆(Wj)j∈J(W_j)_{j\in J}と細分射f ⁣:J→I∪{∗}f\colon J\to I\cup\{*\}が存在する。JM=f−1(I)J_M=f^{-1}(I)とおく。x∈Mx\in Mに対してx∈Wjx\in W_jを満たすj∈Jj\in Jをとると、Wj⊆Uf(j)′W_{j}\subseteq U'_{f(j)}とx∉X∖Mx\notin X\setminus Mからf(j)≠∗f(j)\neq*であり、j∈JMj\in J_Mである。したがって(Wj∩M)j∈JM(W_j\cap M)_{j\in J_M}はMMの有限開被覆であり、Wj∩M⊆Uf(j)′∩M=Uf(j)W_j\cap M\subseteq U'_{f(j)}\cap M=U_{f(j)}であるからffのJMJ_Mへの制限は細分射である。相異なるj0,…,jn+1∈JMj_0,\ldots,j_{n+1}\in J_Mについて(Wj0∩M)∩⋯∩(Wjn+1∩M)⊆Wj0∩⋯∩Wjn+1(W_{j_0}\cap M)\cap\cdots\cap(W_{j_{n+1}}\cap M)\subseteq W_{j_0}\cap\cdots\cap W_{j_{n+1}}であり、右辺は補題 1.5 (1)により空であるから、同じ判定によりord⁡(Wj∩M)j∈JM≤n\operatorname{ord}(W_j\cap M)_{j\in J_M}\leq nである。よってdim⁡M≤n\dim M\leq nであり、補題 1.5 (2)により値についてdim⁡M≤dim⁡X\dim M\leq\dim Xである。▨

3 次元が 0 以下の空間と次元の下界

命題 3.1.XXを空でない位相空間とする。

  1. ind⁡X≤0\operatorname{ind}X\leq0であることと、XXが 0 次元であることは同値である。
  2. Ind⁡X≤0\operatorname{Ind}X\leq0であることと、§E2.45 定義 1.1 (2)が成り立つことは同値である。
  3. dim⁡X≤0\dim X\leq0であることと、§E2.45 定義 1.1 (3)が成り立つことは同値である。

とくに、§E2.45 定義 1.1が条件として定めた記法ind⁡X=0\operatorname{ind}X=0、Ind⁡X=0\operatorname{Ind}X=0、dim⁡X=0\dim X=0は、本記事で定めた値が00であることと一致する。

証明.VVをXXの開集合とすると、§E2.11 命題 2.8 (1)により∂V=V‾∖V\partial V=\overline V\setminus Vであるから、∂V=∅\partial V=\emptysetであることとV‾=V\overline V=Vであること、すなわちVVが閉集合であることは同値である。ind⁡∂V≤−1\operatorname{ind}\partial V\leq-1とInd⁡∂V≤−1\operatorname{Ind}\partial V\leq-1はいずれも∂V=∅\partial V=\emptysetを意味する。

(1)を示す。上の同値により、ind⁡X≤0\operatorname{ind}X\leq0は、任意の開集合UUとx∈Ux\in Uに対してx∈V⊆Ux\in V\subseteq Uを満たす開かつ閉な集合VVが存在することと同値である。§E2.13 命題 1.2により、この条件は開かつ閉な集合の全体が開基であることと同値である。

(2)を示す。上の同値により、Ind⁡X≤0\operatorname{Ind}X\leq0は、任意の閉集合FFとF⊆UF\subseteq Uを満たす任意の開集合UUに対してF⊆V⊆UF\subseteq V\subseteq Uを満たす開かつ閉な集合VVが存在することと同値であり、これは§E2.45 定義 1.1 (2)そのものである。

(3)を示す。補題 1.5 (1)により、族の位数が00以下であることは、族が互いに交わらないことと同値である。したがって補題 1.6により、dim⁡X≤0\dim X\leq0は、XXの任意の有限開被覆が互いに交わらない開集合からなるXXの開被覆を細分としてもつことと同値であり、これは§E2.45 定義 1.1 (3)そのものである。

XXは空でないから、補題 1.5 (3)により三つの値はいずれも−1-1でなく、補題 1.5 (2)により値が00であることは条件≤0\leq0と同値である。▨

命題 3.2. 位相空間XXが、二点以上を含む連結部分集合CCをもつとする。

  1. XXが T0 空間ならば、ind⁡X≥1\operatorname{ind}X\geq1である。
  2. XXが T1 空間ならば、ind⁡X≥1\operatorname{ind}X\geq1、Ind⁡X≥1\operatorname{Ind}X\geq1、dim⁡X≥1\dim X\geq1である。

証明.(1)を示す。XXはCCの点を含むので空でない。ind⁡X≤0\operatorname{ind}X\leq0であるとすると、命題 3.1 (1)によりXXは 0 次元の T0 空間であり、§E2.45 命題 2.11 (3)により完全不連結である。一方、§E2.45 命題 2.3により完全不連結な空間は二点以上を含む連結部分集合をもたないので、CCの存在と両立しない。よってind⁡X≥1\operatorname{ind}X\geq1である。

(2)を示す。§E2.15 定理 1.11 (5)によりXXは T0 空間であるから、(1)によりind⁡X≥1\operatorname{ind}X\geq1である。

Ind⁡X≤0\operatorname{Ind}X\leq0であるとすると、命題 3.1 (2)により§E2.45 定義 1.1 (2)が成り立ち、XXは T1 空間であるから§E2.45 命題 1.4 (2)によりXXは 0 次元である。命題 3.1 (1)によりind⁡X≤0\operatorname{ind}X\leq0となり、ind⁡X≥1\operatorname{ind}X\geq1と両立しない。

dim⁡X≤0\dim X\leq0であるとすると、命題 3.1 (3)と§E2.45 定理 1.3により§E2.45 定義 1.1 (2)が成り立ち、同じ理由でind⁡X≥1\operatorname{ind}X\geq1と両立しない。よってInd⁡X≥1\operatorname{Ind}X\geq1かつdim⁡X≥1\dim X\geq1である。▨

例 3.3.S={0,1}S=\{0,1\}にOS={∅,{1},S}\mathcal O_S=\{\emptyset,\{1\},S\}を入れた Sierpiński 空間について、ind⁡S=1\operatorname{ind}S=1であり、Ind⁡S=dim⁡S=0\operatorname{Ind}S=\dim S=0である。SSは二点を含む連結な T0 空間であるから、命題 3.2 (2)の仮定の T1 性を T0 性に弱めることはできない。

証明.SSの空でない開集合は{1}\{1\}とSSであり、どちらも11を含むので、SSを互いに素な空でない二つの開集合の和に分けることはできない。したがってSSは連結である。開集合{1}\{1\}は11を含み00を含まないので、SSは T0 空間である。命題 3.2 (1)によりind⁡S≥1\operatorname{ind}S\geq1である。

SSの閉集合は∅\emptyset、{0}\{0\}、SSであるから、{1}‾=S\overline{\{1\}}=Sであり、∂{1}=S∩{0}‾={0}\partial\{1\}=S\cap\overline{\{0\}}=\{0\}、∂S=∅\partial S=\emptysetである。一点空間{0}\{0\}ではその開集合{0}\{0\}の境界が空であるから、ind⁡{0}≤0\operatorname{ind}\{0\}\leq0である。x∈Ux\in Uを満たすSSの開集合UUについて、U=SU=SならばV=SV=S、U={1}U=\{1\}ならばV={1}V=\{1\}とおくと、ind⁡∂V≤0\operatorname{ind}\partial V\leq0である。よってind⁡S≤1\operatorname{ind}S\leq1であり、ind⁡S=1\operatorname{ind}S=1である。

§E2.45 例 1.7により§E2.45 定義 1.1 (2)と§E2.45 定義 1.1 (3)が成り立つので、命題 3.1によりInd⁡S=dim⁡S=0\operatorname{Ind}S=\dim S=0である。▨

4 閉区間・実数直線・円周の次元

補題 4.1. 二点以上を含む区間を含まない部分集合A⊆RA\subseteq\Rについて、ind⁡A≤0\operatorname{ind}A\leq0、Ind⁡A≤0\operatorname{Ind}A\leq0、dim⁡A≤0\dim A\leq0である。

証明.A=∅A=\emptysetならば、補題 1.5 (3)により三つの値は−1-1である。A≠∅A\neq\emptysetとし、a∈Aa\in Aと、aaを含むAAの開集合UUをとる。U=U′∩AU=U'\cap Aを満たすR\Rの開集合U′U'と、(a−ε,a+ε)⊆U′(a-\varepsilon,a+\varepsilon)\subseteq U'を満たす実数ε>0\varepsilon>0をとる。二点以上を含む区間(a−ε,a)(a-\varepsilon,a)と(a,a+ε)(a,a+\varepsilon)はAAに含まれないので、r∈(a−ε,a)∖Ar\in(a-\varepsilon,a)\setminus Aとs∈(a,a+ε)∖As\in(a,a+\varepsilon)\setminus Aが存在する。C=(r,s)∩AC=(r,s)\cap AはAAの開集合であり、r,s∉Ar,s\notin AからC=[r,s]∩AC=[r,s]\cap Aであるので、§E2.12 命題 4.6によりAAの閉集合でもある。a∈C⊆(a−ε,a+ε)∩A⊆Ua\in C\subseteq(a-\varepsilon,a+\varepsilon)\cap A\subseteq Uであるから、§E2.13 命題 1.2によりAAの開かつ閉な部分集合の全体はAAの開基であり、AAは 0 次元である。

AAは第二可算な T1 空間である(§E2.13 例 5.2、§E2.13 命題 3.2、§E2.15 定理 3.2 (4))。したがって、§E2.45 系 1.6により§E2.45 定義 1.1 (2)と§E2.45 定義 1.1 (3)も成り立つ。命題 3.1により三つの値は00以下である。▨

補題 4.2.G⊆RG\subseteq\Rとし、VVをGGの開集合とする。部分空間GGにおけるVVの境界∂GV\partial_GVは、二点以上を含む区間を含まない。

証明.∂GV\partial_GVに含まれる区間JJが二点c<dc<dを含んだとすると、区間の条件により(c,d)⊆J⊆∂GV(c,d)\subseteq J\subseteq\partial_GVである。§E2.11 命題 2.8 (1)により∂GV=cl⁡G(V)∖V\partial_GV=\tpcl[G]{V}\setminus Vであるから、(c,d)∩V=∅(c,d)\cap V=\emptysetである。(c,d)(c,d)はR\Rの開集合であってGGに含まれるのでGGの開集合であり、G∖(c,d)G\setminus(c,d)はVVを含むGGの閉集合である。したがってcl⁡G(V)⊆G∖(c,d)\tpcl[G]{V}\subseteq G\setminus(c,d)であり、空でない(c,d)(c,d)がcl⁡G(V)\tpcl[G]{V}に含まれることと両立しない。▨

命題 4.3. 任意の部分集合G⊆RG\subseteq\Rについて、ind⁡G≤1\operatorname{ind}G\leq1かつInd⁡G≤1\operatorname{Ind}G\leq1である。

証明.GGの開集合UUに対して、補題 4.2と補題 4.1によりind⁡∂GU≤0\operatorname{ind}\partial_GU\leq0かつInd⁡∂GU≤0\operatorname{Ind}\partial_GU\leq0である。x∈Ux\in Uを満たす点xx、またはF⊆UF\subseteq Uを満たす閉集合FFに対してV=UV=Uとおけば定義の条件が満たされるので、ind⁡G≤1\operatorname{ind}G\leq1かつInd⁡G≤1\operatorname{Ind}G\leq1である。▨

補題 4.4.R2\R^2に Euclid 距離を入れ、ノルムを∣⋅∣|\cdot|と書き、円周S1={w∈R2∣∣w∣=1}S^1=\{w\in\R^2\mid |w|=1\}に部分空間位相を入れる。z=(z1,z2)∈S1z=(z_1,z_2)\in S^1に対してz⊥=(−z2,z1)z^{\perp}=(-z_2,z_1)とおき、写像hz ⁣:R→R2h_z\colon\R\to\R^2を

hz(s)=s2−1s2+1 z+2ss2+1 z⊥h_z(s)=\frac{s^2-1}{s^2+1}\,z+\frac{2s}{s^2+1}\,z^{\perp}

で定める。

  1. hzh_zはR\Rから部分空間S1∖{z}S^1\setminus\{z\}への同相写像である。
  2. 任意のs∈Rs\in\Rに対して∣hz(s)−z∣=2/s2+1|h_z(s)-z|=2/\sqrt{s^2+1}である。

証明. 演習とする(問題 5.2)。▨

命題 4.5. 円周S1S^1について、ind⁡S1≤1\operatorname{ind}S^1\leq1かつInd⁡S1≤1\operatorname{Ind}S^1\leq1である。

証明.UUをS1S^1の開集合とする。U=∅U=\emptysetならば∂U=∅\partial U=\emptysetであり、ind⁡∂U≤0\operatorname{ind}\partial U\leq0かつInd⁡∂U≤0\operatorname{Ind}\partial U\leq0である。U≠∅U\neq\emptysetならばz∈Uz\in Uをとる。S1S^1は§E2.15 定理 3.2 (4)により T1 空間であるから、§E2.15 命題 1.5によりW=S1∖{z}W=S^1\setminus\{z\}は開集合である。§E2.11 命題 2.8 (1)により∂U=U‾∖U\partial U=\overline U\setminus Uはzzを含まないので∂U⊆W\partial U\subseteq Wであり、§E2.12 命題 4.7 (5)により∂U=∂U∩W=∂W(U∩W)\partial U=\partial U\cap W=\partial_W(U\cap W)である。補題 4.4 (1)の同相写像hz ⁣:R→Wh_z\colon\R\to Wの逆写像に§E2.12 命題 6.3 (6)を適用すると、hz−1(∂U)h_z^{-1}(\partial U)はR\Rの開集合hz−1(U∩W)h_z^{-1}(U\cap W)の境界である。hzh_zとhz−1h_z^{-1}の制限は§E2.12 補題 5.6 (1)により連続であるから、∂U\partial Uとhz−1(∂U)h_z^{-1}(\partial U)は同相である。補題 4.2と補題 4.1によりhz−1(∂U)h_z^{-1}(\partial U)の小さい帰納的次元と大きい帰納的次元は00以下であるから、命題 2.1 (1)によりind⁡∂U≤0\operatorname{ind}\partial U\leq0かつInd⁡∂U≤0\operatorname{Ind}\partial U\leq0である。

x∈Ux\in Uを満たす点xx、またはF⊆UF\subseteq Uを満たす閉集合FFに対してV=UV=Uとおけば定義の条件が満たされるので、ind⁡S1≤1\operatorname{ind}S^1\leq1かつInd⁡S1≤1\operatorname{Ind}S^1\leq1である。▨

補題 4.6.(Ui)i∈I(U_i)_{i\in I}をR\Rの有限開被覆とする。任意のj∈Zj\in\Zについてtj<tj+1t_j<t_{j+1}を満たす実数の族(tj)j∈Z(t_j)_{j\in\Z}で、次を満たすものが存在する。

  1. 任意の実数MMに対して、tj<M<tkt_j<M<t_kを満たすj,k∈Zj,k\in\Zが存在する。
  2. 任意のj∈Zj\in\Zに対して、[tj−1,tj+1]⊆Ui[t_{j-1},t_{j+1}]\subseteq U_iを満たすi∈Ii\in Iが存在する。
  3. 任意のs∈Rs\in\Rに対して、Zs={j∈Z∣tj−1<s<tj+1}Z_s=\{j\in\Z\mid t_{j-1}<s<t_{j+1}\}は空でなく、ZsZ_sの任意の二元の差の絶対値は11以下である。

証明. あるi∈Ii\in IについてUi=RU_i=\Rであるとする。tj=jt_j=jとおくと(1)と(2)が成り立つ。

すべてのi∈Ii\in IについてUi≠RU_i\neq\Rであるとする。R∖Ui\R\setminus U_iは空でない閉集合であり、§E2.10 定義 5.1の点と集合の距離を用いて

ρ(x)=max⁡i∈Id(x,R∖Ui)(x∈R)\rho(x)=\max_{i\in I}d(x,\R\setminus U_i)\qquad(x\in\R)

とおく。R\Rは空でないのでIIも空でない。

ρ\rhoは次の三つの性質をもつ。第一に、x∈Rx\in\Rはx∈Uix\in U_iを満たすiiをもち、xxは閉集合R∖Ui\R\setminus U_iに属さないので、§E2.10 命題 5.2 (2)によりd(x,R∖Ui)>0d(x,\R\setminus U_i)>0であり、ρ(x)>0\rho(x)>0である。

第二に、ρ(x)=d(x,R∖Ui)\rho(x)=d(x,\R\setminus U_i)を満たすiiについて(x−ρ(x),x+ρ(x))⊆Ui(x-\rho(x),x+\rho(x))\subseteq U_iである。実際、∣y−x∣<ρ(x)|y-x|<\rho(x)かつy∉Uiy\notin U_iならばd(x,R∖Ui)≤∣x−y∣<ρ(x)d(x,\R\setminus U_i)\leq|x-y|<\rho(x)となる。

第三に、任意のx,y∈Rx,y\in\Rについてρ(y)≥ρ(x)−∣x−y∣\rho(y)\geq\rho(x)-|x-y|である。実際、ρ(x)=d(x,R∖Ui)\rho(x)=d(x,\R\setminus U_i)を満たすiiをとると、§E2.10 命題 5.2 (1)によりρ(y)≥d(y,R∖Ui)≥ρ(x)−∣x−y∣\rho(y)\geq d(y,\R\setminus U_i)\geq\rho(x)-|x-y|である。

t0=0t_0=0とおき、j≥0j\geq0についてtj+1=tj+ρ(tj)/3t_{j+1}=t_j+\rho(t_j)/3、j≤0j\leq0についてtj−1=tj−ρ(tj)/3t_{j-1}=t_j-\rho(t_j)/3と再帰的に定める。第一の性質によりtj<tj+1t_j<t_{j+1}である。

j∈Zj\in\Zをとる。j≥0j\geq0ならばtj+1−tj=ρ(tj)/3t_{j+1}-t_j=\rho(t_j)/3である。j≥1j\geq1ならば、第三の性質により

tj−tj−1=ρ(tj−1)3≤ρ(tj)+(tj−tj−1)3t_j-t_{j-1}=\frac{\rho(t_{j-1})}{3}\leq\frac{\rho(t_j)+(t_j-t_{j-1})}{3}

であるからtj−tj−1≤ρ(tj)/2t_j-t_{j-1}\leq\rho(t_j)/2であり、j=0j=0ならばt0−t−1=ρ(t0)/3t_0-t_{-1}=\rho(t_0)/3である。j≤−1j\leq-1の場合も、tj−tj−1=ρ(tj)/3t_j-t_{j-1}=\rho(t_j)/3と、第三の性質から従うtj+1−tj=ρ(tj+1)/3≤(ρ(tj)+(tj+1−tj))/3t_{j+1}-t_j=\rho(t_{j+1})/3\leq(\rho(t_j)+(t_{j+1}-t_j))/3によって同じ評価を得る。したがってtj+1−tj≤ρ(tj)/2t_{j+1}-t_j\leq\rho(t_j)/2かつtj−tj−1≤ρ(tj)/2t_j-t_{j-1}\leq\rho(t_j)/2であり、ρ(tj)>0\rho(t_j)>0であるから[tj−1,tj+1]⊆(tj−ρ(tj),tj+ρ(tj))[t_{j-1},t_{j+1}]\subseteq(t_j-\rho(t_j),t_j+\rho(t_j))である。第二の性質によりこの開区間はあるUiU_iに含まれるので、この場合に(2)が成り立つ。

{tj∣j≥0}\{t_j\mid j\geq0\}が上に有界であると仮定し、その上限をt∗t^*とする。ρ(t∗)>0\rho(t^*)>0であるから、tj>t∗−ρ(t∗)/4t_j>t^*-\rho(t^*)/4を満たすj≥0j\geq0が存在し、第三の性質によりρ(tj)≥ρ(t∗)−(t∗−tj)>3ρ(t∗)/4\rho(t_j)\geq\rho(t^*)-(t^*-t_j)>3\rho(t^*)/4である。このとき

tj+1=tj+ρ(tj)3>t∗−ρ(t∗)4+ρ(t∗)4=t∗t_{j+1}=t_j+\frac{\rho(t_j)}{3}>t^*-\frac{\rho(t^*)}{4}+\frac{\rho(t^*)}{4}=t^*

となり、t∗t^*が上界であることに反する。よって{tj∣j≥0}\{t_j\mid j\geq0\}は上に有界でない。{tj∣j≤0}\{t_j\mid j\leq0\}が下に有界でないことも、下限について同じ評価を行って得られる。(tj)j∈Z(t_j)_{j\in\Z}は増加するので、任意の実数MMに対してtj<M<tkt_j<M<t_kを満たすj,kj,kが存在し、この場合に(1)が成り立つ。

(3)を示す。どちらの場合にも(1)が成り立つので、s∈Rs\in\Rに対してtj<s<tkt_j<s<t_kを満たすj,kj,kをとる。{m∈Z∣tm≤s}\{m\in\Z\mid t_m\leq s\}はjjを含み、kk以上の整数を含まないので、最大元m0m_0をもつ。tm0−1<tm0≤s<tm0+1t_{m_0-1}<t_{m_0}\leq s<t_{m_0+1}であるからm0∈Zsm_0\in Z_sである。m,m′∈Zsm,m'\in Z_sがm′≥m+2m'\geq m+2を満たしたとすると、tm′−1<s<tm+1≤tm′−1t_{m'-1}<s<t_{m+1}\leq t_{m'-1}となって両立しない。▨

命題 4.7. 次が成り立つ。

  1. dim⁡R≤1\dim\R\leq1である。
  2. dim⁡[0,1]≤1\dim[0,1]\leq1である。
  3. 補題 4.4の円周S1S^1についてdim⁡S1≤1\dim S^1\leq1である。

証明.(1)を示す。(Ui)i∈I(U_i)_{i\in I}をR\Rの有限開被覆とし、補題 4.6の族(tj)j∈Z(t_j)_{j\in\Z}をとる。開区間の族W=((tj−1,tj+1))j∈Z\mathcal W=((t_{j-1},t_{j+1}))_{j\in\Z}は、補題 4.6 (3)によりZsZ_sが空でないのでR\Rの開被覆であり、補題 4.6 (2)により各jjに(tj−1,tj+1)⊆Ui(t_{j-1},t_{j+1})\subseteq U_{i}を満たすiiを対応させる写像が細分射になる。相異なる三つの添字j<j′<j′′j<j'<j''の開区間が点ssを共有したとすると、j,j′′∈Zsj,j''\in Z_sかつj′′−j≥2j''-j\geq2となって補題 4.6 (3)に反する。したがって補題 1.5 (1)によりord⁡W≤1\operatorname{ord}\mathcal W\leq1であり、補題 1.6によりdim⁡R≤1\dim\R\leq1である。

(2)は、[0,1][0,1]がR\Rの閉集合であるから、命題 2.4と(1)による。

(3)を示す。(Ui)i∈I(U_i)_{i\in I}をS1S^1の有限開被覆とし、z∈S1z\in S^1とz∈Ui0z\in U_{i_0}を満たすi0∈Ii_0\in Iをとる。∣w−z∣<ε|w-z|<\varepsilonを満たす任意のw∈S1w\in S^1がUi0U_{i_0}に属するような実数ε>0\varepsilon>0をとり、M=2/εM=2/\varepsilonとおく。補題 4.4 (2)により、∣s∣≥M|s|\geq Mならば∣hz(s)−z∣<2/∣s∣≤ε|h_z(s)-z|<2/|s|\leq\varepsilonであるからhz(s)∈Ui0h_z(s)\in U_{i_0}である。

(hz−1(Ui))i∈I(h_z^{-1}(U_i))_{i\in I}はR\Rの有限開被覆であるから、補題 4.6の族(tj)j∈Z(t_j)_{j\in\Z}をとる。補題 4.6 (1)により、ta+1<−Mt_{a+1}<-Mかつtb−1>Mt_{b-1}>Mを満たす整数a,ba,bをとる。(tj)(t_j)は増加するのでa+1<b−1a+1<b-1である。

G={z}∪hz((−∞,ta+1)∪(tb−1,∞)),Aj=hz((tj−1,tj+1))(a+1≤j≤b−1)G=\{z\}\cup h_z\bigl((-\infty,t_{a+1})\cup(t_{b-1},\infty)\bigr),\qquad A_j=h_z\bigl((t_{j-1},t_{j+1})\bigr)\quad(a+1\leq j\leq b-1)

とおき、有限族W\mathcal WをGGとAa+1,…,Ab−1A_{a+1},\ldots,A_{b-1}からなる族とする。

W=S1∖{z}W=S^1\setminus\{z\}はS1S^1の開集合であり、補題 4.4 (1)によりhz ⁣:R→Wh_z\colon\R\to Wは同相写像である。したがって各AjA_jとG∖{z}G\setminus\{z\}はS1S^1の開集合である。

K=max⁡{∣ta+1∣,∣tb−1∣}K=\max\{|t_{a+1}|,|t_{b-1}|\}とおき、∣w−z∣<2/K2+1|w-z|<2/\sqrt{K^2+1}を満たすw∈S1∖{z}w\in S^1\setminus\{z\}をとると、w=hz(s)w=h_z(s)を満たすssについて補題 4.4 (2)により2/s2+1<2/K2+12/\sqrt{s^2+1}<2/\sqrt{K^2+1}であるから∣s∣>K|s|>Kであり、s<ta+1s<t_{a+1}またはs>tb−1s>t_{b-1}であってw∈Gw\in Gである。したがってGGは、開集合G∖{z}G\setminus\{z\}と、∣w−z∣<2/K2+1|w-z|<2/\sqrt{K^2+1}を満たすw∈S1w\in S^1の全体との和であり、S1S^1の開集合である。

補題 4.6 (2)により各AjA_jはあるhz(hz−1(Ui))⊆Uih_z(h_z^{-1}(U_i))\subseteq U_iに含まれる。GGの点はzzであるか、∣s∣>M|s|>Mを満たすssによるhz(s)h_z(s)であるから、G⊆Ui0G\subseteq U_{i_0}である。したがってW\mathcal Wの元はいずれも(Ui)i∈I(U_i)_{i\in I}のある元に含まれる。

zzはGGに属し、hzh_zの像に属さないので、W\mathcal Wの元のうちzzを含むものはGGだけである。

s∈Rs\in\Rをとり、Zs={j∈Z∣tj−1<s<tj+1}Z_s=\{j\in\Z\mid t_{j-1}<s<t_{j+1}\}とおくと、hzh_zは単射であるから、hz(s)∈Ajh_z(s)\in A_jであることはj∈Zsj\in Z_sであることと同値である。s<ta+1s<t_{a+1}ならばhz(s)∈Gh_z(s)\in Gであり、j∈Zsj\in Z_sかつj≥a+1j\geq a+1ならばtj−1<s<ta+1t_{j-1}<s<t_{a+1}からj=a+1j=a+1であるので、hz(s)h_z(s)を含むW\mathcal Wの元はGGと高々Aa+1A_{a+1}である。s>tb−1s>t_{b-1}の場合も同様に、hz(s)h_z(s)を含む元はGGと高々Ab−1A_{b-1}である。

ta+1≤s≤tb−1t_{a+1}\leq s\leq t_{b-1}ならばhz(s)∉Gh_z(s)\notin Gである。{m∈Z∣tm≤s}\{m\in\Z\mid t_m\leq s\}はa+1a+1を含み、tb>st_{b}>sからbb以上の整数を含まないので、最大元mmをもつ。tm−1<tm≤s<tm+1t_{m-1}<t_m\leq s<t_{m+1}からm∈Zsm\in Z_sであり、a+1≤m≤b−1a+1\leq m\leq b-1であるからhz(s)∈Amh_z(s)\in A_mである。hz(s)h_z(s)を含むAjA_jは補題 4.6 (3)により高々二つである。

以上からW\mathcal WはS1S^1の有限開被覆であり、補題 1.5 (1)によりord⁡W≤1\operatorname{ord}\mathcal W\leq1である。よってdim⁡S1≤1\dim S^1\leq1である。▨

定理 4.8. 閉区間[0,1][0,1]、実数直線R\R、補題 4.4の円周S1S^1のいずれについても、小さい帰納的次元、大きい帰納的次元、被覆次元はすべて11である。

証明. 上からの評価は、[0,1][0,1]とR\Rの帰納的次元については命題 4.3、S1S^1の帰納的次元については命題 4.5、三つの空間の被覆次元については命題 4.7による。

[0,1][0,1]とR\Rは区間であるから§E2.43 定理 2.2により連結である。§E2.12 例 8.13の写像q ⁣:[0,1]→S1q\colon[0,1]\to S^1は連続な全射であるから、§E2.43 定理 1.4によりS1S^1は連結である。三つの空間はいずれも二点以上を含む距離空間であり、§E2.15 定理 3.2 (4)により T1 空間であるから、命題 3.2 (2)により三つの次元はいずれも11以上である。▨

注意 4.9.dim⁡[0,1]=1\dim[0,1]=1は、nn次元立方体[0,1]n[0,1]^nの被覆次元がnnであるという Lebesgue の被覆定理のn=1n=1の場合にあたる。一般のnnについての証明は後の記事で扱う。

例 4.10.[0,1][0,1]に属さない点ccをとり、X=[0,1]∪{c}X=[0,1]\cup\{c\}に、[0,1][0,1]の開集合の全体にXXを加えた集合族O\mathcal Oを位相として入れる。このとき[0,1][0,1]はXXの開部分空間であって、その部分空間位相は通常の位相であり、Ind⁡X=dim⁡X=0\operatorname{Ind}X=\dim X=0であるが、Ind⁡[0,1]=dim⁡[0,1]=1\operatorname{Ind}[0,1]=\dim[0,1]=1である。したがって命題 2.3と命題 2.4から部分空間の閉性の仮定を外すことはできない。一方、命題 2.2によりind⁡X≥1\operatorname{ind}X\geq1である。

証明.[0,1][0,1]の開集合の和は[0,1][0,1]の開集合であり、XXを含む族の和はXXである。[0,1][0,1]の開集合とXXの共通部分はその開集合自身であるので、O\mathcal OはXXの位相である。O\mathcal Oの元と[0,1][0,1]の共通部分の全体は[0,1][0,1]の開集合の全体であるから、[0,1][0,1]の部分空間位相は通常の位相であり、[0,1]∈O[0,1]\in\mathcal Oである。

ccを含むO\mathcal Oの元はXXだけである。XXの有限開被覆(Ui)i∈I(U_i)_{i\in I}はccを含む元Ui0=XU_{i_0}=Xをもつので、一つの元XXからなる族は、その唯一の添字をi0i_0へ送る細分射によって(Ui)i∈I(U_i)_{i\in I}の細分であり、その位数は00である。よってdim⁡X≤0\dim X\leq0である。命題 3.1 (3)と§E2.45 定理 1.3と命題 3.1 (2)によりInd⁡X≤0\operatorname{Ind}X\leq0である。XXは空でないので、補題 1.5 (3)によりInd⁡X=dim⁡X=0\operatorname{Ind}X=\dim X=0である。Ind⁡[0,1]=dim⁡[0,1]=1\operatorname{Ind}[0,1]=\dim[0,1]=1は定理 4.8による。ind⁡X≥ind⁡[0,1]=1\operatorname{ind}X\geq\operatorname{ind}[0,1]=1は命題 2.2と定理 4.8による。▨

5 演習

問題 5.1.補題 1.5の証明を完成させよ。

解答.

補題 1.5 (1)を示す。ord⁡A=m≤n\operatorname{ord}\mathcal A=m\leq nとする。m=−1m=-1ならばすべてのAiA_iが空であるから、共通部分が空でない添字の組は存在しない。m≥0m\geq0ならば、共通部分が空でない相異なるn+2n+2個の添字が存在したとすると、そのうちのm+2≤n+2m+2\leq n+2個の添字の共通部分も空でなく、位数の定義に反する。逆に、共通部分が空でない相異なるn+2n+2個の添字が存在しないとする。整数k≥1k\geq1で、共通部分が空でない相異なるkk個の添字が存在するものの全体をKKとする。k∈Kk\in Kかつk≥n+2k\geq n+2ならば、そのkk個のうちn+2n+2個をとると共通部分が空でないので、K⊆{1,…,n+1}K\subseteq\{1,\ldots,n+1\}である。K=∅K=\emptysetならばすべてのAiA_iが空でありord⁡A=−1≤n\operatorname{ord}\mathcal A=-1\leq nである。K≠∅K\neq\emptysetならばKKの最大元k0k_0についてk0+1∉Kk_0+1\notin Kであり、定義によりord⁡A=k0−1≤n\operatorname{ord}\mathcal A=k_0-1\leq nである。

補題 1.5 (2)を示す。ind⁡\operatorname{ind}について、任意の位相空間XXに対して条件ind⁡X≤n\operatorname{ind}X\leq nから条件ind⁡X≤n+1\operatorname{ind}X\leq n+1が従うことは、nnに関する帰納法による。n=−1n=-1のときX=∅X=\emptysetであり、条件ind⁡X≤0\operatorname{ind}X\leq0はXXの点についての条件であるから空虚に成り立つ。n≥0n\geq0のとき、ind⁡X≤n\operatorname{ind}X\leq nの定義が与える開集合VVはind⁡∂V≤n−1\operatorname{ind}\partial V\leq n-1を満たし、帰納法の仮定を空間∂V\partial Vに適用するとind⁡∂V≤n\operatorname{ind}\partial V\leq nであるから、同じVVによってind⁡X≤n+1\operatorname{ind}X\leq n+1が成り立つ。Ind⁡\operatorname{Ind}についても、点を閉集合に替えて同じ議論を行う。dim⁡\dimについては、補題 1.5 (1)により位数がnn以下の族は位数がn+1n+1以下であるから、条件dim⁡X≤n\dim X\leq nから条件dim⁡X≤n+1\dim X\leq n+1が従う。値ind⁡X\operatorname{ind}Xがnn以下であることは、あるm≤nm\leq nについて条件ind⁡X≤m\operatorname{ind}X\leq mが成り立つことであり、単調性によりこれは条件ind⁡X≤n\operatorname{ind}X\leq nと同値である。Ind⁡X\operatorname{Ind}Xとdim⁡X\dim Xについても同様である。

補題 1.5 (3)を示す。ind⁡\operatorname{ind}とInd⁡\operatorname{Ind}については、条件≤−1\leq-1がX=∅X=\emptysetと定められているので、補題 1.5 (2)により値が−1-1であることはX=∅X=\emptysetと同値である。dim⁡\dimについて、X=∅X=\emptysetならば、XXの有限開被覆(Ui)i∈I(U_i)_{i\in I}の元はすべて空であり、恒等写像を細分射として自分自身の細分であって、位数は−1-1である。よってdim⁡X≤−1\dim X\leq-1である。X≠∅X\neq\emptysetならば、一つの元XXからなるXXの有限開被覆の細分はXXを覆うので空でない元をもち、その位数は00以上である。よってdim⁡X≤−1\dim X\leq-1は成り立たない。▨

問題 5.2.補題 4.4の証明を完成させよ。

解答.

⟨⋅,⋅⟩\langle\cdot,\cdot\rangleをR2\R^2の標準内積とする。∣z∣=1|z|=1と⟨z,z⊥⟩=−z1z2+z2z1=0\langle z,z^{\perp}\rangle=-z_1z_2+z_2z_1=0と∣z⊥∣=∣z∣=1|z^{\perp}|=|z|=1が成り立ち、直接の計算により、任意のw∈R2w\in\R^2についてw=⟨w,z⟩z+⟨w,z⊥⟩z⊥w=\langle w,z\rangle z+\langle w,z^{\perp}\rangle z^{\perp}かつ∣w∣2=⟨w,z⟩2+⟨w,z⊥⟩2|w|^2=\langle w,z\rangle^2+\langle w,z^{\perp}\rangle^2である。

α(s)=(s2−1)/(s2+1)\alpha(s)=(s^2-1)/(s^2+1)、β(s)=2s/(s2+1)\beta(s)=2s/(s^2+1)とおくと、hz(s)=α(s)z+β(s)z⊥h_z(s)=\alpha(s)z+\beta(s)z^{\perp}であり、

α(s)2+β(s)2=(s2−1)2+4s2(s2+1)2=1\alpha(s)^2+\beta(s)^2=\frac{(s^2-1)^2+4s^2}{(s^2+1)^2}=1

であるからhz(s)∈S1h_z(s)\in S^1である。⟨hz(s),z⟩=α(s)<1\langle h_z(s),z\rangle=\alpha(s)<1であるからhz(s)≠zh_z(s)\neq zである。

w∈S1∖{z}w\in S^1\setminus\{z\}に対してa=⟨w,z⟩a=\langle w,z\rangle、b=⟨w,z⊥⟩b=\langle w,z^{\perp}\rangleとおくとa2+b2=1a^2+b^2=1であり、a=1a=1ならばb=0b=0となってw=zw=zであるからa≠1a\neq1である。g(w)=b/(1−a)g(w)=b/(1-a)とおく。s∈Rs\in\Rに対して1−α(s)=2/(s2+1)1-\alpha(s)=2/(s^2+1)であるからg(hz(s))=β(s)/(1−α(s))=sg(h_z(s))=\beta(s)/(1-\alpha(s))=sである。t=g(w)t=g(w)とおくと

t2=b2(1−a)2=1−a2(1−a)2=1+a1−a,t2+1=21−at^2=\frac{b^2}{(1-a)^2}=\frac{1-a^2}{(1-a)^2}=\frac{1+a}{1-a},\qquad t^2+1=\frac{2}{1-a}

であるからα(t)=((1+a)−(1−a))/2=a\alpha(t)=\bigl((1+a)-(1-a)\bigr)/2=a、β(t)=2t(1−a)/2=b\beta(t)=2t(1-a)/2=bであり、hz(g(w))=az+bz⊥=wh_z(g(w))=az+bz^{\perp}=wである。したがってhzh_zはR\RからS1∖{z}S^1\setminus\{z\}への全単射であり、ggはその逆写像である。

hzh_zの成分はssの実数係数の有理式で、分母s2+1s^2+1は00にならないので、hz ⁣:R→R2h_z\colon\R\to\R^2は連続であり、§E2.12 定理 4.4 (3)によりR\Rから部分空間S1∖{z}S^1\setminus\{z\}への写像としても連続である。ggはwwの成分の有理式で、分母1−⟨w,z⟩1-\langle w,z\rangleはS1∖{z}S^1\setminus\{z\}の上で00にならないので連続である。よってhzh_zは同相写像であり、補題 4.4 (1)が成り立つ。

hz(s)−z=(α(s)−1)z+β(s)z⊥h_z(s)-z=(\alpha(s)-1)z+\beta(s)z^{\perp}であるから

∣hz(s)−z∣2=4(s2+1)2+4s2(s2+1)2=4s2+1|h_z(s)-z|^2=\frac{4}{(s^2+1)^2}+\frac{4s^2}{(s^2+1)^2}=\frac{4}{s^2+1}

であり、補題 4.4 (2)が成り立つ。▨

問題 5.3. 空でない部分集合G⊆RG\subseteq\Rについて、GGが二点以上を含む区間を含むならばind⁡G=Ind⁡G=1\operatorname{ind}G=\operatorname{Ind}G=1であり、含まないならばind⁡G=Ind⁡G=dim⁡G=0\operatorname{ind}G=\operatorname{Ind}G=\dim G=0であることを示せ。

解答.

GGが二点以上を含む区間JJを含むとする。§E2.43 定理 2.2によりJJはGGの連結部分集合であり、距離空間GGは§E2.15 定理 3.2 (4)により T1 空間であるから、命題 3.2 (2)によりind⁡G≥1\operatorname{ind}G\geq1かつInd⁡G≥1\operatorname{Ind}G\geq1である。命題 4.3によりind⁡G≤1\operatorname{ind}G\leq1かつInd⁡G≤1\operatorname{Ind}G\leq1であるから、ind⁡G=Ind⁡G=1\operatorname{ind}G=\operatorname{Ind}G=1である。

GGが二点以上を含む区間を含まないとする。補題 4.1により三つの値は00以下であり、GGは空でないので補題 1.5 (3)により−1-1でない。よって三つの値はいずれも00である。▨

参考文献

  1. Ryszard Engelking, Theory of Dimensions: Finite and Infinite, Sigma Series in Pure Mathematics 10, Heldermann Verlag, 1995.小さい帰納的次元・大きい帰納的次元・被覆次元と族の位数の定義、小さい帰納的次元の部分空間定理、大きい帰納的次元と被覆次元の閉部分空間定理、および閉区間・実数直線・円周の次元を参考にした。

前提記事

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