1 可算開被覆と可算コンパクト性
定義 1.1 (可算開被覆、可算コンパクト空間).(X,O)を位相空間とする。開被覆(Ui)i∈Iであって、添字集合Iが高々可算であるものを、Xの可算開被覆 (countable open cover) という。
Xの任意の可算開被覆が有限部分被覆をもつとき、Xを可算コンパクト空間 (countably compact space) という。
補題 1.2. 位相空間Xが可算コンパクトであるための必要十分条件は、Xの開集合の列(Un)n∈N≥1が
X=n∈N≥1⋃Unを満たすならば、あるN∈N≥1が存在してX=U1∪⋯∪UNが成り立つことである。
証明. 必要性を示す。Xを可算コンパクトとし、Xの開集合の列(Un)n∈N≥1がX=⋃n∈N≥1Unを満たすとする。添字集合N≥1は高々可算であるから、(Un)n∈N≥1はXの可算開被覆であり、有限部分集合F⊆N≥1による有限部分被覆(Un)n∈Fをもつ。N=max(F∪{1})とおくと、F⊆{1,…,N}であるから
X=n∈F⋃Un⊆U1∪⋯∪UN⊆Xとなり、X=U1∪⋯∪UNである。
十分性を示す。条件を仮定し、(Ui)i∈IをXの可算開被覆とする。I=∅ならばX=∅であり、空の部分族が有限部分被覆である。I=∅とする。Iは空でない高々可算な集合であるから、§E1.18 補題 3.6により全射e:N≥1→Iが存在する。Vn=Ue(n)とおくと、(Vn)n∈N≥1はXの開集合の列であり、eが全射であることから
n∈N≥1⋃Vn=i∈I⋃Ui=Xである。仮定により、あるN∈N≥1についてX=V1∪⋯∪VNが成り立つ。I0={e(1),…,e(N)}はIの有限部分集合であり、(Ui)i∈I0はXを覆う。したがって(Ui)i∈Iは有限部分被覆をもつ。▨
定理 1.3. コンパクトな位相空間は可算コンパクトである。
証明.Xをコンパクトな位相空間とし、(Ui)i∈IをXの可算開被覆とする。可算開被覆は開被覆であるから、Xのコンパクト性により有限部分被覆をもつ。▨
命題 1.4. 位相空間Xがコンパクトであるための必要十分条件は、Xが Lindelöf かつ可算コンパクトであることである。
証明. 必要性を示す。Xがコンパクトならば、§E2.21 命題 1.2により Lindelöf であり、定理 1.3により可算コンパクトである。
十分性を示す。Xを Lindelöf かつ可算コンパクトとし、(Ui)i∈IをXの開被覆とする。Lindelöf 性により、高々可算な部分集合I0⊆Iであって(Ui)i∈I0がXを覆うものが存在する。可算コンパクト性により、この可算開被覆は有限部分被覆をもつ。それはもとの開被覆の有限部分被覆でもあるから、Xはコンパクトである。▨
2 可算有限交差性
定義 2.1 (可算有限交差性).Xを集合とし、(Fi)i∈IをXの部分集合からなる族とする。添字集合Iが高々可算であり、(Fi)i∈Iが有限交差性をもつとき、(Fi)i∈Iは可算有限交差性 (countable finite intersection property) をもつという。
定理 2.2. 位相空間Xについて、次の二条件は同値である。
- Xは可算コンパクトである。
- 空でない高々可算な添字集合Iをもち、可算有限交差性をもつXの閉集合の族(Fi)i∈Iに対して、つねに⋂i∈IFi=∅である。
証明.(1)⇒(2)を示す。Xを可算コンパクトとし、(Fi)i∈Iを第二条件に現れる閉集合の族とする。⋂i∈IFi=∅であると仮定する。§E1.2 定理 3.2により
i∈I⋃(X∖Fi)=X∖i∈I⋂Fi=Xであるから、(X∖Fi)i∈IはXの可算開被覆である。有限部分集合I0⊆Iによる有限部分被覆(X∖Fi)i∈I0をとる。I0=∅ならばX=∅であり、Iの元iをとるとFi=∅となって有限交差性に反する。I0=∅ならば、ふたたび§E1.2 定理 3.2により⋂i∈I0Fi=X∖⋃i∈I0(X∖Fi)=∅となり、これも有限交差性に反する。ゆえに⋂i∈IFi=∅である。
(2)⇒(1)を示す。第二条件を仮定し、(Ui)i∈IをXの可算開被覆とする。I=∅ならばX=∅であり、空の部分族が有限部分被覆である。I=∅とし、Fi=X∖Uiとおく。族(Fi)i∈Iは空でない高々可算な添字集合をもつXの閉集合の族であり、§E1.2 定理 3.2により
i∈I⋂Fi=X∖i∈I⋃Ui=∅である。第二条件により、(Fi)i∈Iは可算有限交差性をもたない。すなわち、有限個の添字i1,…,ik∈Iが存在してFi1∩⋯∩Fik=∅となる。ふたたび§E1.2 定理 3.2によりX=Ui1∪⋯∪Uikであるから、(Ui)i∈Iは有限部分被覆をもつ。▨
系 2.3. 位相空間Xが可算コンパクトであるための必要十分条件は、Xの空でない閉集合の列(Fn)n∈N≥1が
F1⊇F2⊇⋯を満たすならば、⋂n∈N≥1Fn=∅が成り立つことである。
証明. 必要性を示す。Xを可算コンパクトとし、(Fn)n∈N≥1を空でない閉集合の減少列とする。空でない任意の有限集合J⊆N≥1に対して⋂n∈JFn=FmaxJ=∅であるから、この族は可算有限交差性をもつ。したがって定理 2.2により⋂n∈N≥1Fn=∅である。
十分性を示す。条件を仮定し、Xの開集合の列(Un)n∈N≥1がX=⋃n∈N≥1Unを満たすとする。どのN∈N≥1についてもU1∪⋯∪UN=Xであると仮定する。Fn=X∖(U1∪⋯∪Un)とおくと、(Fn)n∈N≥1は空でない閉集合の減少列であるから、仮定により⋂n∈N≥1Fn=∅である。一方、(Un)n∈N≥1がXを覆うことから⋂n∈N≥1Fn=∅である。この矛盾により、あるNについてX=U1∪⋯∪UNが成り立ち、補題 1.2によりXは可算コンパクトである。▨
3 点列コンパクト性
定義 3.1 (点列コンパクト空間).(X,O)を位相空間とする。Xの任意の点列(xn)n∈N≥1に対して、狭義単調増加写像ν:N≥1→N≥1と点x∈Xが存在して、§E2.13 定義 7.1に従って部分列(xν(k))k∈N≥1がxへ位相収束するとき、Xを点列コンパクト空間 (sequentially compact space) という。
定理 3.3. 点列コンパクトな位相空間は可算コンパクトである。
証明.Xを点列コンパクトな位相空間とし、(Fn)n∈N≥1をXの空でない閉集合の減少列とする。各n∈N≥1に対して点xn∈Fnをとる。点列コンパクト性により、狭義単調増加写像νと点x∈Xが存在してxν(k)→xとなる。
m∈N≥1を任意にとる。νは狭義単調増加であるからν(k)≥kであり(§E2.3 補題 2.2)、k≥mならばxν(k)∈Fν(k)⊆Fmである。Vをxの近傍とすると、あるK∈N≥1が存在して、k≥Kを満たすすべてのkについてxν(k)∈Vである。k=max{K,m}とおくとxν(k)∈V∩Fmであるから、V∩Fm=∅である。したがって§E2.11 命題 7.2 (2)によりx∈Fmであり、Fmが閉集合であることと§E2.11 命題 2.5 (2)によりFm=Fmであるから、x∈Fmである。ゆえにx∈⋂n∈N≥1Fnであり、系 2.3によりXは可算コンパクトである。▨
命題 3.4. 第一可算な可算コンパクト空間は点列コンパクトである。したがって、第一可算空間では可算コンパクト性と点列コンパクト性は同値である。
証明.Xを第一可算な可算コンパクト空間とし、X内の点列(xn)n∈N≥1をとる。Fm=clX({xn:n≥m})とおくと、(Fm)m∈N≥1は空でない閉集合の減少列である。系 2.3により、x∈⋂m∈N≥1Fmをとることができる。
§E2.13 補題 4.3により、xの減少する可算近傍基(Vk)k∈N≥1をとる。n0=0とおく。nk−1を選んだとき、x∈Fnk−1+1であるから、nk>nk−1かつxnk∈Vkとなるnkが存在する。xの任意の近傍Vに対して、あるk0が存在してVk0⊆Vとなる。k≥k0ならばxnk∈Vk⊆Vk0⊆Vであるから、xnk→xである。逆向きの含意は定理 3.3による。▨
命題 3.6. 高々可算個の点列コンパクト空間の直積は点列コンパクトである。
証明. 有限個の因子の場合には一点空間を補い、因子を(Xj)j∈N≥1と添字付ける。積空間P=∏j∈N≥1Xj内の点列(zn)n∈N≥1をとり、M0=N≥1とおく。各j∈N≥1について、Mj−1を増加順に添字付けた点列(prj(zn))n∈Mj−1にXjの点列コンパクト性を適用する。これにより、無限部分集合Mj⊆Mj−1と点aj∈Xjを、(prj(zn))n∈Mjがajに収束するように選ぶことができる。
nk∈Mkをnk+1>nkとなるように選び、a=(aj)j∈N≥1∈Pとおく。jを固定すると、k≥jならばnk∈Mjであるから、prj(znk)→ajである。aの基本近傍が指定する座標は有限個なので、各座標における収束から、その基本近傍は(znk)のある番号以降のすべての項を含む。したがってznk→aである。▨
4 固有閉写像による継承
可算コンパクト性は、固有な閉写像による逆像へ引き戻される。この一つの定理から、閉部分空間への遺伝と、コンパクトな空間との直積での保存が、写像を選ぶだけで得られる。
定理 4.1.Xを位相空間、Yを可算コンパクト空間、f:X→Yを閉連続写像とする。任意のy∈Yに対してf−1(y)⊂Xが可算コンパクトであれば、Xは可算コンパクトである。特に、fが固有閉写像であれば、Xは可算コンパクトである。
証明.(Un)n∈N≥0をXの可算開被覆とし、N≥0の部分集合F⊆N≥0に対してV(F):=Y∖f(X∖⋃n∈FUn)と置く。fは閉写像なので、任意のF⊆N≥0に対してV(F)⊆Yは開である。任意のy∈Yに対し、f−1(y)⊆Xは可算コンパクトなので、f−1(y)の可算開被覆(f−1(y)∩Un)n∈N≥0に対して有限部分集合Iy⊆N≥0が存在してf−1(y)⊆⋃n∈IyUnが成り立つ。このときy∈V(Iy)はyの開近傍であり、よってY=⋃y∈YV(Iy)が成り立つ。
N≥0の有限部分集合全体を[N≥0]<∞と書き、写像I∗:Y→[N≥0]<∞、y↦Iyを考える。[N≥0]<∞は高々可算であるから像I∗(Y)も高々可算であり、各A∈I∗(Y)についてIy=Aを満たすyを一つずつ選ぶと、高々可算な部分集合Y0⊆YであってI∗(Y0)=I∗(Y)を満たすものが得られる。このときY=⋃y∈Y0V(Iy)が成り立つ。Yは可算コンパクトなので、ある有限部分集合F0⊆Y0が存在し、Y=⋃y∈F0V(Iy)が成り立つ。よって、IX:=⋃y∈F0Iy⊆N≥0とおけば、これは有限集合の有限族(Iy)y∈F0の和なので有限集合であり、さらに
X=y∈F0⋃f−1(V(Iy))⊆y∈F0⋃n∈Iy⋃Un=n∈IX⋃Unとなるので(Un)n∈IXは(Un)n∈N≥0の有限部分被覆である。▨
系 4.2.Xを可算コンパクトな位相空間とする。
- A⊆XがXの閉集合であり、Aに部分空間位相を入れるならば、Aは可算コンパクトである。
- Kがコンパクトな位相空間ならば、積空間X×Kは可算コンパクトである。
証明.(1)を示す。§E2.20 命題 1.2 (3)により包含写像ιA:A→Xは固有であって閉写像であるから、定理 4.1をιAへ適用するとAは可算コンパクトである。
(2)を示す。§E2.20 命題 4.5により射影prX:X×K→Xは固有であって閉写像であるから、定理 4.1をprXへ適用するとX×Kは可算コンパクトである。▨
補題 4.4.Kをコンパクト Hausdorff 空間とする。このとき、次の主張は同値である:
- Kの任意の可算コンパクト部分集合は閉である。
- 任意の可算コンパクト空間Xに対し、標準射影prK:X×K→Kは閉写像である。
証明.(1)⇒(2)を示す。Xを可算コンパクト空間とし、F⊂X×Kを閉集合とする。このとき、系 4.2 (2)よりX×Kは可算コンパクトであり、さらに系 4.2 (1)よりその閉集合F⊂X×Kも可算コンパクトである。よって命題 4.7より、prK(F)は可算コンパクトであり、仮定よりこれはKの閉部分集合である。
(2)⇒(1)を示す。A⊂Kを可算コンパクト部分集合とすると、Kは T2 であるからΔA:={(a,a)∣a∈A}⊂K×Aは閉であり、仮定よりA=prK(ΔA)⊂Kは閉である。▨
C-閉空間の基本性質については問題 8.4を参照せよ。
命題 4.6.Xを点列コンパクトな位相空間とし、A⊆XをXの閉集合として、AにXからの部分空間位相を入れる。このときAは点列コンパクトである。
証明.(an)n∈N≥1をAの点列とし、これをXの点列とみなす。Xの点列コンパクト性により、狭義単調増加写像νと点x∈Xが存在して、Xにおいてaν(k)→xとなる。
VをXにおけるxの近傍とすると、あるKが存在してk≥Kならばaν(k)∈Vであり、aν(K)∈V∩AであるからV∩A=∅である。§E2.11 命題 7.2 (2)によりx∈Aであり、Aが閉集合であることと§E2.11 命題 2.5 (2)によりA=Aであるから、x∈Aである。
WをAにおけるxの近傍とすると、§E2.11 定義 6.1によりx∈O⊆Wを満たすAの開集合Oが存在し、§E2.12 定義 4.1によりO=U∩Aを満たすXの開集合Uが存在する。UはXにおけるxの近傍であるから、あるKが存在して、k≥Kならばaν(k)∈Uである。各項はAに属するから、k≥Kならばaν(k)∈U∩A=O⊆Wである。ゆえにAにおいてaν(k)→xであり、Aは点列コンパクトである。▨
命題 4.7.Xを可算コンパクトな位相空間、Yを位相空間とし、f:X→Yを連続な全射とする。このときYは可算コンパクトである。
証明は演習とする(問題 8.1)。
5 無限離散閉部分集合と開被覆の Star
命題 5.1.Xを位相空間とし、D⊆XはXの集積点(§E2.11 定義 7.1参照)をもたないとする。このとき、次が成り立つ:
- DはXの閉集合である。
- Dに部分空間位相を入れると、その位相は離散位相である。
証明.(1)を示す。x∈Dをとる。仮定によりxはDの集積点でないから、§E2.11 定義 7.1によりxの近傍VでV∩(D∖{x})=∅を満たすものが存在する。§E2.11 命題 7.2 (2)によりV∩D=∅であるからV∩D={x}であり、とくにx∈Dである。ゆえにD⊆Dであり、§E2.11 命題 2.5 (2)によりDは閉集合である。
(2)を示す。d∈Dをとる。上と同じ理由で、dの近傍VでV∩(D∖{d})=∅を満たすものが存在し、d∈DとあわせてV∩D={d}である。§E2.11 定義 6.1によりd∈U⊆Vを満たすXの開集合UをとるとU∩D={d}であり、§E2.12 定義 4.1により{d}は部分空間Dの開集合である。Dの任意の部分集合は一点集合の和集合として書くことができるから、§E2.11 定義 1.1の任意和公理によりDの開集合である。ゆえに部分空間Dの位相は離散位相である。▨
系 5.2.Xを位相空間とする。このとき、次が成り立つ:
- Xが可算コンパクトであれば、任意の可算無限部分集合D⊂Xは集積点をもつ。
- Xが T1 であるとすれば、Xが可算コンパクトであるための必要十分条件は、Xが無限離散閉部分集合D⊂Xを持たないことである。
証明.(1)を示す。もしD⊂Xが集積点を持たなければ、命題 5.1よりD⊂Xは離散閉部分集合である。このとき系 4.2 (1)よりDは可算コンパクトであるから、これはDが無限離散空間であることに反する。
(2)を示す。必要性は(1)より従うので十分性を示す。(Fn)n∈N≥1をXの空でない閉部分集合の減少列とする。系 2.3より、⋂n∈N≥1Fn=∅を示せば良い。任意のn∈N≥1に対してFn⊋Fn+1と仮定しても一般性を失わない。各n∈N≥1に対して点xn∈Fn∖Fn+1を取り、D:={xn∣n∈N≥1}⊂Xとおけば、Dは無限集合である。Xは T1 空間なのでDも T1 空間であり、さらに任意のn∈N≥1に対してDn:={xk∣k≥n}=D∩Fn⊂Dは閉集合なので、Dは離散空間である。よって仮定よりD⊂Xは閉でない。集積点x∈D∖Dをとれば、任意のn∈N≥1に対してx∈Dn⊂Fnを満たすので、x∈⋂n∈N≥1Fn=∅が成り立つ。▨
6 順序数区間
定理 6.1.ω1は点列コンパクトであるが、コンパクトではない。
証明.(xn)n∈N≥1をω1の点列とし、各n∈N≥1に対してTn={xk∣k≥n}とおく。T1は高々可算な集合N≥1の像であるから§E1.18 補題 3.5により高々可算であり、§E2.17 補題 4.2によりT1⊆[0,δ]を満たすδ<ω1が存在する。各Tnは順序数δ+1の空でない部分集合であるから、§E1.16 定義 2.1により最小元をもつ。それをγnとおく。Tn+1⊆Tnであるからγn≤γn+1であり、列(γn)n∈N≥1は非減少である。各γnはT1の元であるからγn≤δである。§E1.16 補題 4.4によりγ=⋃{γn∣n∈N≥1}は{γn∣n∈N≥1}の最小上界であり、γ≤δ<ω1であるからγ∈ω1である。
m1=1とおく。γm1はTm1の元であるからxk=γm1を満たすk≥m1が存在し、その最小のものをk1とおく。kiを定めた後、mi+1=ki+1とおくと、γmi+1はTmi+1の元であるからxk=γmi+1を満たすk≥mi+1が存在し、その最小のものをki+1とおく。各iについてki≥miである。したがってmi+1=ki+1>ki≥miであり、ki+1≥mi+1>kiであるから、(mi)i∈N≥1と(ki)i∈N≥1はともに狭義単調増加である。ゆえに(xki)i∈N≥1は(xn)n∈N≥1の部分列であり、xki=γmiである。列(γn)が非減少であることと(mi)が狭義単調増加であることから、(γmi)i∈N≥1は非減少である。
{γmi∣i∈N≥1}の最小上界もγである。実際、(mi)が狭義単調増加であることから、任意のnに対してmi≥nを満たすiが存在し、γmi≥γnである。したがって{γmi∣i}の上界は{γn∣n}の上界でもあり、両者の最小上界は一致する。とくに各iについてγmi≤γであるから、γmi0=γを満たすi0が存在するか、すべてのiについてγmi<γであるかのいずれかである。
γmi0=γを満たすi0が存在する場合を考える。i≥i0ならば、非減少性からγ≤γmiであり、γが上界であることからγmi≤γであるからxki=γである。γの任意の近傍はγを含むから、i≥i0を満たすすべてのiについてxkiはその近傍に属し、xki→γである。
すべてのiについてγmi<γである場合を考える。γ>γm1≥0であるからγ=0である。γ=η+1であると仮定する。η<γでありγは最小上界であるから、ηは{γmi∣i}の上界でなく、γmi>ηすなわちγmi≥η+1=γを満たすiが存在する。これはγmi<γに反する。
§E2.17 命題 4.3により、η<γを満たすηに対する(η,γ]の全体は、ω1におけるγの近傍基である。Vをγの近傍とすると、(η,γ]⊆Vを満たすη<γが存在する。γが最小上界であることからγmi0>ηを満たすi0が存在し、i≥i0ならばη<γmi0≤γmi≤γであるからxki=γmi∈(η,γ]⊆Vである。ゆえにxki→γである。
いずれの場合にも(xn)n∈N≥1は位相収束する部分列をもつので、ω1は点列コンパクトである。ω1がコンパクトでないことは§E2.19 定理 7.2による。▨
系 6.2.ω+1、ω1、ω1+1はいずれも可算コンパクトである。
系 6.4.ω+1とω1+1について、次が成り立つ。
- ω+1は点列コンパクトである。
- ω1+1は点列コンパクトである。
証明.(1)を示す。ω1∖(ω+1)={x∈ω1∣ω<x}である。ω<x<ω1を満たすxをとると、§E1.22 補題 3.1によりx+1<ω1であり、基本開集合(ω,x+1)は§E2.17 定理 1.2によりω1の開集合であってx∈(ω,x+1)⊆ω1∖(ω+1)を満たす。したがって§E2.11 補題 2.6によりω1∖(ω+1)は開集合であり、ω+1はω1の閉集合である。§E2.17 注意 4.1により、ω+1がω1から受ける部分空間位相はω+1の順序位相と一致する。ゆえに定理 6.1と命題 4.6により、ω+1は点列コンパクトである。
(2)を示す。(xn)n∈N≥1をω1+1の点列とする。xn=ω1を満たすnが無限個あるとする。k1をそのようなnの最小のものとし、kiを定めた後、xn=ω1かつn>kiを満たすnの最小のものをki+1とすると、(xki)i∈N≥1は値ω1の定数列でありω1へ位相収束する。
xn=ω1を満たすnが有限個であるとする。あるNが存在して、n≥Nならばxn∈ω1である。yk=xN+k−1とおくと(yk)k∈N≥1はω1の点列であるから、定理 6.1により、狭義単調増加写像νと点x∈ω1が存在して、ω1においてyν(i)→xとなる。§E2.17 注意 4.1によりω1がω1+1から受ける部分空間位相はω1の順序位相と一致するから、ω1+1におけるxの近傍Vに対してV∩ω1はω1におけるxの近傍であり、ある番号から先の項がV∩ω1⊆Vに属する。したがってω1+1においてもyν(i)→xである。k↦N+k−1とνの合成は狭義単調増加であるから、(yν(i))i∈N≥1は(xn)n∈N≥1の部分列である。ゆえにω1+1は点列コンパクトである。▨
7 例
例 7.1.X=N≥1に離散位相を入れる。各n∈N≥1に対してUn={1,…,n}とおくと、(Un)n∈N≥1はXの開集合の列であってX=⋃n∈N≥1Unを満たす。一方、任意のN∈N≥1についてU1∪⋯∪UN=UN=Xである。したがって補題 1.2によりXは可算コンパクトでない。定理 3.3の対偶により、Xは点列コンパクトでもない。
例 7.2.κを非可算無限基数とし、(Xλ)λ<κを空でない位相空間の族とする。x:=(xλ)λ<κ∈∏λ<κXλを一つとり、
Σ(x):={y∈λ<κ∏Xλ:{λ<κ:yλ=xλ} は高々可算}と置く。(これはΣ-積と呼ばれる空間であり、本単元の後続記事にて詳しくその性質を調べる。§E2.41 定義 2.1参照。)
このとき、次が成り立つ:
- 任意のλ<κに対してXλがコンパクトであれば、Σ(x)も可算コンパクトである。
- 任意のλ<κに対してXλが点列コンパクトであれば、Σ(x)も点列コンパクトである。
証明.Σ(x)内の点列(yn)n∈N≥1に対して、
J=n∈N≥1⋃{λ<κ:(yn)λ=xλ}は高々可算である。Jの外の座標をxと等しくする部分空間
KJ={y∈∏λ<κXλ:yλ=xλ (λ∈/J)}はΣ(x)に含まれ、各ynはKJに属する。§E2.14 補題 1.7 (5)の制限射影と切断により、KJは∏λ∈JXλと同相である。
(1)を示す。(Fn)n∈N≥1をΣ(x)の空でない閉集合の減少列とし、各nについてyn∈Fnをとる。この点列から上のJとKJを定めると、§E2.19 定理 8.2によりKJはコンパクトである。各Fn∩KJはKJの閉集合であってynを含み、これらは減少列をなす。§E2.19 系 3.3により⋂n∈N≥1(Fn∩KJ)=∅であり、したがって⋂n∈N≥1Fn=∅である。系 2.3によりΣ(x)は可算コンパクトである。
(2)を示す。Σ(x)内の任意の点列から上のJとKJを定めると、命題 3.6によりKJは点列コンパクトである。したがって、この点列はKJ内で収束する部分列をもち、その部分列はΣ(x)内でも同じ点へ収束する。▨
8 演習
解答.
(Vi)i∈IをYの可算開被覆とする。§E2.12 定義 1.1により各f−1(Vi)はXの開集合であり、(Vi)i∈IがYを覆うことから
i∈I⋃f−1(Vi)=f−1(i∈I⋃Vi)=f−1(Y)=Xである。添字集合Iは高々可算であるから、(f−1(Vi))i∈IはXの可算開被覆である。Xの可算コンパクト性により、有限部分集合I0⊆Iが存在してX=⋃i∈I0f−1(Vi)となる。
y∈Yとする。fは全射であるからf(x)=yを満たすx∈Xが存在し、x∈f−1(Vi)を満たすi∈I0をとるとy=f(x)∈Viである。ゆえにY=⋃i∈I0Viであり、(Vi)i∈Iは有限部分被覆をもつ。▨
問題 8.2 (無限離散距離空間).N≥0に離散距離δを入れ、距離から生じる位相を入れる。次を示せ。
- この位相は離散位相である。
- N≥0は可算コンパクトでない。
- 部分空間A⊆N≥0が可算コンパクトであることと、Aが有限集合であることは同値である。
解答.
§E2.1 命題 2.4により、0<r≤1ならばBδ(x,r)={x}である。したがって、任意の部分集合U⊆N≥0と任意のx∈Uに対してBδ(x,1)={x}⊆Uが成り立ち、Uは距離から生じる位相の開集合である。ゆえにこの位相は離散位相である。
集合A=N≥0自身は可算無限部分集合である。x∈N≥0に対して{x}はxの近傍であり{x}∩(A∖{x})=∅であるから、xはAの集積点でない。ゆえにAは集積点をもたず、系 5.2 (1)の対偶によりN≥0は可算コンパクトでない。
A⊆N≥0が有限であるとする。Aは台集合が有限集合である位相空間であるから§E2.19 例 2.3によりコンパクトであり、定理 1.3により可算コンパクトである。Aが無限であるとする。§E2.12 定義 4.1によりAの部分空間位相は離散位相である。A⊆N≥0⊆Z≥0であり包含写像A→Z≥0は単射であるから、§E1.18 定義 1.2によりAは高々可算であり、無限であるから§E1.18 定理 3.3により可算無限である。上と同じ理由でA自身はAの中に集積点をもたないから、系 5.2 (1)の対偶によりAは可算コンパクトでない。▨
問題 8.3 (ω1へ位相収束する点列).ω1の点からなる点列で、ω1+1において点ω1へ位相収束するものが存在しないことを示せ。また、点ω1がω1+1における部分集合ω1の閉包に属することを示せ。この二つと§E2.13 定理 7.4からω1+1について何が従うかを述べよ。
解答.
ω1の点列(xn)n∈N≥1がω1+1において点ω1へ位相収束すると仮定する。値域A={xn∣n∈N≥1}は§E1.18 補題 3.5により高々可算であるから、§E2.17 補題 4.2によりA⊆[0,β]を満たすβ<ω1が存在する。§E2.17 命題 4.3によりV=(β,ω1]はω1+1における点ω1の近傍であり、すべてのnについてxn≤βであるからxn∈/Vである。§E2.13 定義 7.1はある番号から先のすべての項がVに属することを要求するから、これは矛盾である。
γ<ω1に対して§E1.22 補題 3.1によりγ+1<ω1であり、§E2.17 命題 4.3が与える近傍基の元(γ,ω1]はγ+1∈ω1を含む。したがってω1+1における点ω1の任意の近傍は部分集合ω1と交わり、§E2.11 命題 7.2 (2)により点ω1はω1+1における部分集合ω1の閉包に属する。
§E2.13 定理 7.4は、第一可算空間では閉包の点をつねにその集合の点列の極限として得ることができることを述べる。ω1+1では点ω1が部分集合ω1の閉包に属する一方、ω1の点列の極限として点ω1を得ることができない。したがってω1+1は第一可算ではない。▨
問題 8.4. C-閉空間(定義 4.5参照)に関して以下の問いに答えなさい:
- C-閉空間Xの任意の部分空間は C-閉空間であることを示せ。
- O1⊂O2を同じ集合X上の二つの位相とする。このとき、(X,O1)が C-閉空間であれば(X,O2)も C-閉空間であることを示せ。
- (Xi)i∈Iを C-閉空間の族とするとき、∐i∈IXiは C-閉であることを示せ。
- C-閉空間Xと完全写像X→Yに対し、Yは C-閉空間であることを示せ。
- ω1+1は C-閉でない。特に自明な完全写像ω1+1→{0}は C-閉でない空間から C-閉な空間への完全写像である。
- 任意の部分空間が Lindelöf である Hausdorff 空間は C-閉であることを示せ。
- (Xn)n∈ωを可算個の C-閉な T3 空間の族とするとき、∏n∈ωXnは C-閉な T3 空間であることを示せ。
- κを非可算無限基数とし、(Xλ)λ<κを空でないコンパクト空間の族とする。Xλが2点以上をもつ添字λが非可算個存在するとき、∏λ<κXλは C-閉でないことを示せ。
解答.
(1)を示す。S⊆Xとし、A⊆Sを可算コンパクト部分集合とする。包含写像S→Xは連続なので、命題 4.7によりAはXの可算コンパクト部分集合でもある。Xの C-閉性からAはXで閉であり、したがってSでも閉である。
(2)を示す。恒等写像(X,O2)→(X,O1)は連続であるから、O2に関して可算コンパクトな部分集合AはO1に関しても可算コンパクトである。仮定によりX∖A∈O1⊆O2となるので、AはO2に関して閉である。
(3)を示す。S=∐i∈IXiとし、各XiをSの部分空間と同一視する。A⊆Sが可算コンパクトならば、§E2.12 命題 7.2 (2)により各XiはSで閉であるから、A∩XiはAで閉であり可算コンパクトである。Xiの C-閉性によりA∩XiはXiで閉である。§E2.12 命題 7.2 (1)によりAはSで閉である。
(4)を示す。f:X→Yを完全写像とし、A⊆Yを可算コンパクト部分集合とする。§E2.20 命題 2.5によりf−1(A)→Aは完全写像であるから、定理 4.1によりf−1(A)は可算コンパクトである。Xの C-閉性からf−1(A)はXで閉である。fは全射閉写像なので、A=f(f−1(A))はYで閉である。
(5)を示す。定理 6.1と定理 3.3により、ω1は可算コンパクトである。問題 8.3により、点ω1はω1+1における部分集合ω1の閉包に属するので、ω1はω1+1で閉でない。したがってω1+1は C-閉でない。一点空間{0}の部分集合はすべて閉なので、{0}は C-閉である。定値写像ω1+1→{0}は連続な全射閉写像であり、ω1+1がコンパクトであることから固有でもある。ゆえに完全写像である。
(6)を示す。Xを仮定を満たす空間とし、A⊆Xを可算コンパクト部分集合とする。Aは Lindelöf でもあるから、命題 1.4によりコンパクトである。§E2.19 命題 6.4によりAはXで閉である。Hausdorff 性を外すと、この主張は成り立たない。実際、2点密着空間の任意の部分空間は有限なので Lindelöf であるが、一点部分集合は可算コンパクトであるにもかかわらず閉でない。
(7)を示す。X,Yを C-閉な T3 空間とし、A⊆X×Yを可算コンパクト部分集合、(x,y)∈clX×Y(A)とする。yの任意の開近傍Uに対し、§E2.15 補題 2.6により、y∈V⊆clY(V)⊆Uを満たす開集合Vをとる。B=A∩(X×clY(V))はAの閉部分集合なので可算コンパクトであり、prX(B)も可算コンパクトである。Xの C-閉性によりprX(B)はXで閉である。xの任意の開近傍Wに対して(W×V)∩A=∅となるので、x∈clX(prX(B))=prX(B)である。したがって、あるb∈clY(V)⊆Uが存在して(x,b)∈Aとなる。
Xは T1 なのでA∩({x}×Y)はAで閉であり、切片Ax={b∈Y:(x,b)∈A}はその連続像として可算コンパクトである。Yの C-閉性によりAxは閉である。上の議論からyの任意の開近傍がAxと交わるので、y∈Axであり(x,y)∈Aである。ゆえにX×Yは C-閉である。§E2.15 系 2.9によりX×Yは T3 でもあるから、帰納的に有限個の C-閉な T3 空間の積も C-閉な T3 空間となる。
P=∏n∈ωXnとし、A⊆Pを可算コンパクト部分集合、p∈clP(A)とする。各m∈ωについて、有限射影πm:P→∏n≤mXnの像πm(A)は可算コンパクトであり、有限積の C-閉性により閉である。p∈clP(A)と射影の連続性からπm(p)∈πm(A)=πm(A)となる。したがって
Fm={a∈A:an=pn (n≤m)}は空でない。各因子が T1 であることからFmはAで閉であり、(Fm)m∈ωは減少列である。可算コンパクト性により⋂m∈ωFm=∅である。この共通部分に属する点は全座標がpと等しいので、p∈Aである。ゆえにPは C-閉であり、§E2.15 系 2.9により T3 でもある。
(8)を示す。P=∏λ<κXλの点xをとる。例 7.2 (1)によりΣ(x)は可算コンパクトである。Pの空でない基本開集合が指定する座標の集合をFとすると、Fは有限である。その基本開集合の点zに対し、F上ではzと等しく、Fの外ではxと等しい点をとれば、その点は同じ基本開集合とΣ(x)に属する。したがってΣ(x)はPで稠密である。
J={λ<κ:∣Xλ∣≥2}は非可算である。λ∈Jではyλ∈Xλ∖{xλ}を選び、λ∈/Jではyλ=xλとおくと、y∈P∖Σ(x)である。ゆえにΣ(x)は稠密な真部分集合なので閉でなく、Pは C-閉でない。2点以上をもつ因子が非可算個存在するという仮定を外すと、たとえば全因子が一点空間である場合にはPも一点空間となり、結論は成り立たない。▨