1 選択関数と選択公理
定義 1.1.Λを集合とし、(Aλ)λ∈ΛをΛを添字集合とする集合族で、すべてのλ∈Λに対してAλ=∅であるものとする。写像
f:Λ→λ∈Λ⋃Aλが、すべてのλ∈Λに対してf(λ)∈Aλを満たすとき、fを族(Aλ)λ∈Λの選択関数 (choice function) という。空でない集合からなる任意の集合族が選択関数をもつことを要請する集合の存在原理を選択公理 (axiom of choice) という。
例 1.2.Λ=P(N≥0)∖{∅}とし、S∈Λに対してAS=Sとおく。各ASは空でない。N≥0は通常の順序について整列しているから、S∈Λに対してSの最小元minSがただ一つ定まる。{x}∈Λが各x∈N≥0について成り立つので⋃S∈ΛAS=N≥0であり、f(S)=minSによって写像f:Λ→N≥0が定まる。minS∈S=ASであるから、fは族(AS)S∈Λの選択関数である。この選択関数は最小元を取るという規則として書き下されており、その存在は選択公理を用いずに得られる。
2 三つの原理の同値性
定理 2.1. ZF の公理系のもとで、次の三つの主張は同値である。ここで posetPの鎖とは、任意の二元が比較可能であるPの部分集合をいい、Pの極大元とは、x<yを満たすy∈Pが存在しない元x∈Pをいう。極大元は最大元とは限らない。
- 任意の集合Iと、空でない集合からなる族(Ai)i∈Iに対して、この族の選択関数f:I→⋃i∈IAi、すなわちf(i)∈Ai(i∈I)を満たす写像が存在する(選択公理)。
- 任意の集合は整列順序をもつ(整列可能定理)。
- 空でない posetPの任意の鎖がPに上界をもつならば、Pは極大元をもつ(Zorn の補題)。
証明.(1)⇒(2)を示す。Xを集合とする。Λ=P(X)∖{∅}とおき、S∈Λに対してAS=Sとおく。{x}∈Λが各x∈Xについて成り立つので⋃S∈ΛAS=Xであり、(1)により、すべてのS∈Λに対してc(S)∈Sを満たす写像c:Λ→Xが存在する。
e={x∈X∣x∈/x}とおく。この集合は§E1.13 定義 2.1により存在する。e∈Xと仮定すると、eの定義により、e∈eであることとe∈/eであることが同値になって矛盾する。したがってe∈/Xである。
§E1.17 系 2.6 (2)により、順序数の全体で定義された対応Fで、各順序数αに対して
F(α)={c(X∖F[α])e(X∖F[α]=∅),(X∖F[α]=∅)を満たすものがただ一つ定まる。ここでF[α]={F(β)∣β<α}であり、これは§E1.13 定義 5.1により集合である。
F(α)=eを満たす順序数が存在することを示す。存在しないとすると、すべての順序数αに対してF(α)∈X∖F[α]である。β<αならばF(β)∈F[α]であるからF(α)=F(β)であり、相異なる順序数のFによる値は相異なる。Y={x∈X∣F(α)=xを満たす順序数αが存在する}は§E1.13 定義 2.1により集合であり、各x∈Yに対してF(α)=xを満たす順序数αはただ一つである。§E1.13 定義 5.1により、この対応によるYの像は集合である。この像は順序数の全体に一致するから、§E1.16 命題 2.6に矛盾する。
F(α1)=eを満たす順序数α1を取る。{β∈α1∪{α1}∣F(β)=e}は空でない順序数の集合であるから、§E1.16 命題 2.5 (3)により最小元θをもつ。β<θならばβ<α1であるからF(β)=eであり、したがってF(β)∈X∖F[β]である。上と同じ理由で、β<γ<θならばF(β)=F(γ)である。F(θ)=eであるからX∖F[θ]=∅であり、F[θ]⊆XとあわせてF[θ]=Xである。したがってβ↦F(β)はθからXへの全単射である。θは順序数であるから所属関係について整列している。x⪯yを、F(β)=xを満たすβ<θとF(γ)=yを満たすγ<θについてβ≤γが成り立つことと定めると、⪯はX上の整列順序である。
(2)⇒(3)を示す。Pを空でない poset とし、Pの任意の鎖がPに上界をもつとする。(2)によりP上の整列順序⪯を取る。§E1.16 定理 3.1により、順序数θと、α↦pαで与えられるθから(P,⪯)への順序同型が存在する。§E1.17 定理 2.1により、θを添字集合とする族(tα)α<θで、tα=1であることが「β<αかつtβ=1を満たすすべてのβに対してpβ<pαが成り立つ」ことと同値であり、そうでないときtα=0であるものがただ一つ定まる。
C={pα∣α<θ, tα=1}とおく。tα=tγ=1かつα<γならば、tγ=1であることの定義によりpα<pγであるから、Cの任意の二元は比較可能であり、CはPの鎖である。仮定によりCはPに上界uをもつ。
u<vを満たすv∈Pが存在したとする。α↦pαは全射であるから、v=pγを満たすγ<θが存在する。β<γかつtβ=1を満たすβに対してpβ∈Cであり、uがCの上界であるからpβ≤u<v=pγである。したがってtγ=1であり、v∈Cである。uがCの上界であるからv≤uとなり、u<vに矛盾する。よってuはPの極大元である。
(3)⇒(1)を示す。Iを集合とし、(Ai)i∈Iを空でない集合からなる族とする。U=⋃i∈IAiとおく。J⊆Iと、定義域がJ、終域がUでありg(i)∈Ai(i∈J)を満たす写像gのグラフΓとの対(J,Γ)の全体をPとする。Γ⊆I×Uであるから、Pは§E1.13 定義 3.1 (3)で得られる集合P(I)×P(I×U)からの§E1.13 定義 2.1による分出で得られる集合である。定義域と終域が対から復元されるので、以下ではPの元を、対応する写像gを用いて(J,g)と書く。
(J,g)⪯(K,h)を、J⊆Kかつh(i)=g(i)(i∈J)が成り立つことと定める。⪯は反射的かつ推移的である。(J,g)⪯(K,h)かつ(K,h)⪯(J,g)ならばJ=Kであり、Jの各元での値が一致し、終域はいずれもUであるからg=hである。したがって(P,⪯)は poset である。
CをPの鎖とする。J∗=⋃{J∣(J,g)∈C}とおく。i∈J∩Kかつ(J,g),(K,h)∈Cならば、(J,g)⪯(K,h)と(K,h)⪯(J,g)のいずれかが成り立ち、どちらの場合もg(i)=h(i)である。したがって、i∈J∗に対してi∈Jを満たす(J,g)∈Cを取りg∗(i)=g(i)と定めると、この値は(J,g)の取り方に依存しない。g∗(i)∈Aiであるから(J∗,g∗)∈Pであり、(J∗,g∗)はCの上界である。C=∅の場合にはJ∗=∅であり、g∗は∅からUへの空写像である。この元もPに属するから、とくにP=∅である。
(3)によりPは極大元(J,g)をもつ。J=Iとするとi0∈I∖Jが存在する。Ai0=∅であるからb∈Ai0を取ることができ、J′=J∪{i0}と、g′(i)=g(i)(i∈J)およびg′(i0)=bによって定まる写像g′:J′→Uに対して(J′,g′)∈Pである。(J,g)⪯(J′,g′)かつ(J,g)=(J′,g′)であるから、(J,g)の極大性に矛盾する。したがってJ=Iであり、gは族(Ai)i∈Iの選択関数である。
以上の三つの含意により、三つの主張は互いに同値である。▨
例 2.3.P=N≥0に通常の順序を入れる。Pは空でない poset であり、P自身は鎖である。各n∈Pに対してn<n+1であるからPの元はいずれも極大でなく、Pは極大元をもたない。またn≤mがすべてのn∈Pについて成り立つm∈Pは存在しないから、鎖PはPに上界をもたない。したがって、鎖が上界をもつという仮定を外すと定理 2.1 (3)の結論は成り立たない。
系 2.4.定理 2.1 (1)を仮定する。次が成り立つ。
- 空でない集合からなる任意の族(Ai)i∈Iに対して∏i∈IAi=∅である。
- 任意の全射g:Y→Xに対して、g∘t=idXを満たす写像t:X→Yが存在する。
証明.§E1.2 定義 5.1により、∏i∈IAiの元とは、すべてのi∈Iに対してx(i)∈Aiを満たす、Iを添字集合とする族xである。これは族(Ai)i∈Iの選択関数と同じ値の指定であるから、定理 2.1 (1)により(1)が成り立つ。
g:Y→Xを全射とし、x∈Xに対してBx=g−1({x})とおく。gが全射であるからBx=∅である。各y∈YはBg(y)に属するから⋃x∈XBx=Yである。定理 2.1 (1)により族(Bx)x∈Xの選択関数t:X→Yが存在し、t(x)∈g−1({x})、すなわちg(t(x))=xである。よって(2)が成り立つ。▨
3 Zorn の補題の応用
定理 3.1 (Hausdorff の極大原理).定理 2.1 (1)を仮定する。任意の posetPに対して、包含関係について極大なPの鎖が存在する。すなわち、Pの鎖Cであって、C⊊Dを満たすPの鎖Dが存在しないものが存在する。
証明.Pの鎖の全体をKとする。鎖はPの部分集合であるから、KはP(P)からの§E1.13 定義 2.1による分出で得られる集合であり、包含関係について poset である。
Dを(K,⊆)の鎖とし、U=⋃Dとおく。x,y∈Uとすると、x∈C1かつy∈C2を満たすC1,C2∈Dが存在する。Dが包含関係について鎖であるからC1⊆C2またはC2⊆C1であり、いずれの場合もxとyはDの一つの元に属する。その元はPの鎖であるから、xとyは比較可能である。したがってUはPの鎖であり、U∈Kである。Dの各元はUに含まれるから、UはDの上界である。D=∅の場合にはU=∅であり、空集合はPの鎖であるからU∈Kである。とくにK=∅である。
定理 2.1の定理 2.1 (3)により、Kは極大元Cをもつ。C⊊Dを満たすPの鎖Dが存在すればD∈Kとなり、Cの極大性に矛盾する。したがってCは求める鎖である。▨
4 従属選択公理と可算選択公理
例 4.3.X={0,1}、R={(0,1)}とする。X=∅である。1Ryを満たすy∈Xは存在しないから、Rは定義 4.2の条件を満たさない。すべてのn∈ωに対してxnRxn+1を満たす族(xn)n∈ωが存在したとすると、(x0,x1)∈Rからx1=1であり、(x1,x2)∈Rを満たすx2は存在しないから矛盾する。したがって、任意の元がRに関する後続をもつという条件を外すことができない。
例 4.4.Pを空でない poset とし、各x∈Pに対してx<yを満たすy∈Pが存在するとする。R={(x,y)∈P×P∣x<y}とおくと、Rは定義 4.2の条件を満たす。したがってx0∈Pを任意に指定すると、x0を第0項とし、すべてのn∈ωに対してxn<xn+1を満たす族(xn)n∈ωが存在する。第n+1項の候補の集合{y∈P∣xn<y}は第n項に依存して定まるので、この構成では選ぶ対象の集合の列をあらかじめ指定することができない。
命題 4.5. ZF の公理系のもとで、次の二つの主張は同値である。
- 従属選択公理。すなわち、空でない集合Xと、任意のx∈Xに対してxRyを満たすy∈Xが存在するという条件を満たす二項関係R⊆X×Xと、任意に指定したa∈Xに対して、第0項がaに等しく、すべてのn∈ωに対してxnRxn+1を満たす族(xn)n∈ωが存在する。
- 空でない集合Xと、任意のx∈Xに対してxRyを満たすy∈Xが存在するという条件を満たす二項関係R⊆X×Xに対して、すべてのn∈ωに対してxnRxn+1を満たす族(xn)n∈ωが存在する。
証明.(1)⇒(2)を示す。X=∅であるからa∈Xを取ることができ、(1)をこのaに対して適用すれば、第0項の条件を落とした主張が得られる。
(2)⇒(1)を示す。XとRを(1)の条件のとおりに取り、a∈Xを任意に指定する。n∈ωに対して、nを添字集合とするXの元の族を長さnの列という。長さが正である列sであって、s(0)=aが成り立ち、k+1がsの長さより小さいすべてのkに対してs(k)Rs(k+1)が成り立つものの全体をHとする。族はそのグラフによって定まり、グラフはω×Xの部分集合であるから、HはP(ω×X)からの§E1.13 定義 2.1による分出で得られる集合である。第0項がaである長さ1の列はHに属するからH=∅である。
s,t∈Hに対して、sの長さをnとするとき、tの長さがn+1でありt(k)=s(k)(k<n)が成り立つことをsR′tと定める。s∈Hの長さをnとするとn≥1であるからm+1=nを満たすm∈ωが存在し、Rの条件によりs(m)Rzを満たすz∈Xが存在する。t(k)=s(k)(k<n)およびt(n)=zによって定まる長さn+1の列tはHに属し、sR′tを満たす。よってHとR′は(2)の条件を満たす。
(2)をHとR′に適用すると、すべてのn∈ωに対してsnR′sn+1を満たす族(sn)n∈ωが得られる。s0の長さをm0とすると、snの長さはm0+nであり、n≤n′ならばsn′はsnの定義域上でsnと一致する。k∈ωに対してk<m0+nを満たすnを取りxk=sn(k)と定めると、この値はnの取り方に依存しない。s0∈Hであるからx0=s0(0)=aである。また各k∈ωに対してk+1<m0+nを満たすnを取ると、sn∈HであるからxkRxk+1である。よって(1)が成り立つ。▨
定理 4.6. ZF の公理系のもとで、選択公理は従属選択公理を含意し、従属選択公理は可算選択公理を含意する。ここで二つの原理は次を主張する。
- 従属選択公理——空でない集合Xと、任意のx∈Xに対してxRyを満たすy∈Xが存在するという条件を満たす二項関係R⊆X×Xに対して、すべてのn∈ωに対してxnRxn+1を満たす族(xn)n∈ωが存在する。第0項としてXの任意に指定した元を取ることもできる。
- 可算選択公理(§E1.18 定義 6.1)——空でない集合からなる族(An)n∈ωに対して、すべてのn∈ωに対してan∈Anを満たす族(an)n∈ωが存在する。
証明.定理 2.1 (1)から(1)を示す。Xを空でない集合、R⊆X×Xを、任意のx∈Xに対してxRyを満たすy∈Xが存在するという条件を満たす二項関係とし、a∈Xとする。x∈Xに対してSx={y∈X∣xRy}とおくとSx=∅である。定理 2.1 (1)により族(Sx)x∈Xの選択関数が存在し、その値はすべてXに属するから、xRc(x)(x∈X)を満たす写像c:X→Xが得られる。§E1.17 定理 2.1により、x0=aおよびxn+1=c(xn)(n∈ω)を満たす族(xn)n∈ωがただ一つ定まる。xnRc(xn)=xn+1であるから、(1)が成り立つ。
(1)⇒(2)を示す。(An)n∈ωを空でない集合からなる族とし、U=⋃n∈ωAnとおく。Z={(n,a)∈ω×U∣a∈An}とおくと、Zは§E1.13 定義 2.1による分出で得られる集合である。A0=∅であるからa∗∈A0を取ることができ、(0,a∗)∈ZであるからZ=∅である。
(n,a),(m,b)∈Zに対して、m=n+1が成り立つことを(n,a)T(m,b)と定める。(n,a)∈ZとするとAn+1=∅であるからb∈An+1を取ることができ、(n+1,b)∈Zが(n,a)T(n+1,b)を満たす。よってZとTは(1)の条件を満たす。
(0,a∗)を第0項として(1)を適用すると、Zの元の族((nk,bk))k∈ωで、(n0,b0)=(0,a∗)を満たし、すべてのk∈ωに対してnk+1=nk+1を満たすものが得られる。n0=0であるから、kについての帰納法によりnk=kである。(k,bk)∈Zであるからbk∈Akであり、族(bk)k∈ωが(2)の結論を与える。▨
補題 4.8. ZF の公理系のもとで、次の二つの主張は同値である。
- 可算選択公理(§E1.18 定義 6.1)。
- 任意の集合I、高々可算な集合Xおよび全射f:I→Xに対して、f∘s=idXを満たす写像s:X→Iが存在する。
証明.(1)⇒(2)を示す。X=∅の場合、f:I→Xが存在すればI=∅であり、∅から∅への空写像sがf∘s=idXを満たす。X=∅とする。Xは高々可算であるから、§E1.18 定理 3.3により全射e:N≥0→Xが存在する。§E1.16 注意 4.10によりN≥0はωに等しいから、eをωを定義域とする全射とみなす。n∈ωに対してAn=f−1({e(n)})とおくと、fが全射であるからAn=∅である。(1)により、in∈An(n∈ω)を満たす族(in)n∈ωが存在する。x∈Xに対してe(n)=xを満たすn∈ωが存在し、ωは所属関係について整列しているから、そのうち最小のものをn(x)と書くことができる。s(x)=in(x)によって写像s:X→Iを定めると、s(x)∈An(x)=f−1({x})であるからf(s(x))=xである。
(2)⇒(1)を示す。(An)n∈ωを空でない集合からなる族とし、U=⋃n∈ωAnとおく。I={(n,a)∈ω×U∣a∈An}とおくと、Iは§E1.13 定義 2.1による分出で得られる集合である。f(n,a)=nによって写像f:I→ωを定めると、各Anが空でないからfは全射である。ωは§E1.18 定義 1.2の意味で可算であり、とくに高々可算である。(2)により、f∘s=idωを満たす写像s:ω→Iが存在する。s(n)の第一成分はf(s(n))=nに等しいからs(n)=(n,an)と書くことができ、Iの定義によりan∈Anである。よって族(an)n∈ωが(1)の結論を与える。▨
5 演習
解答.
(Ai)i∈Iを空でない集合からなる族とし、U=⋃i∈IAiとおく。定理 2.1 (2)によりU上の整列順序⪯を取る。各i∈Iに対してAiはUの空でない部分集合であるから、⪯に関する最小元minAiがただ一つ定まる。f(i)=minAiによって写像f:I→Uが定まり、f(i)∈Aiであるから、fは族(Ai)i∈Iの選択関数である。▨
解答.
Pを空でない poset とし、Pの任意の鎖がPに上界をもつとする。定理 3.1により、包含関係について極大なPの鎖Cが存在する。仮定によりCはPに上界uをもつ。u<vを満たすv∈Pが存在したとする。Cの各元はu以下でありu<vであるから、Cの各元はvより小さく、C∪{v}の任意の二元は比較可能である。よってC∪{v}はPの鎖である。v∈Cとするとv≤uとなってu<vに矛盾するからv∈/Cであり、C⊊C∪{v}である。これはCの極大性に矛盾する。したがってu<vを満たすv∈Pは存在せず、uはPの極大元である。▨
問題 5.3.Xを集合とし、R⊆X×Xを二項関係とする。Xの空でない任意の部分集合Yに対して、zRyを満たすz∈Yが存在しないy∈Yが存在するとき、Rは整礎であるという。従属選択公理を仮定して、Rが整礎であることと、すべてのn∈ωに対してxn+1Rxnを満たす族(xn)n∈ωが存在しないこととが同値であることを証明せよ。
解答.
必要性を示す。Rが整礎であるとし、すべてのn∈ωに対してxn+1Rxnを満たす族(xn)n∈ωが存在したとする。Y={xn∣n∈ω}は§E1.13 定義 5.1により集合であり、空でないXの部分集合である。整礎性により、zRyを満たすz∈Yが存在しないy∈Yが存在する。y=xnと書くとxn+1Rxnかつxn+1∈Yであり、yの取り方に矛盾する。
十分性を示す。対偶を示す。Rが整礎でないとすると、Xの空でない部分集合Yで、各y∈Yに対してzRyを満たすz∈Yが存在するものが存在する。R′={(y,z)∈Y×Y∣zRy}とおくと、Y=∅であり、各y∈Yに対してyR′zを満たすz∈Yが存在する。従属選択公理をYとR′に適用すると、すべてのn∈ωに対してxnR′xn+1、すなわちxn+1Rxnを満たす族(xn)n∈ωが存在する。▨
本記事で証明した整列可能定理は、任意の集合に等濃な基数を対応させるために「基数とアレフ」が用いる。Zorn の補題は、後続の代数、解析および位相の各単元が、極大な対象の存在を示す標準的な道具として用いる。