§E1.20選択公理と Zorn の補題

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集合が空でなければ、その集合の元を一つ取ることができる。空でない集合が有限個与えられた場合には、この操作を繰り返して、各集合から元を一つずつ指定することができる。ところが添字集合が無限であるときには、各成分が空でないという条件だけからは、すべての添字に対して同時に値を定める写像を作ることができない。

選択公理は、この同時の指定を一つの写像として与えることを要請する集合の存在原理である。選択公理は、順序についての極大元の存在を述べる Zorn の補題、および任意の集合が整列順序をもつという整列可能定理と同値であり、後続の単元は多くの場合この二つの形で選択公理を用いる。一方、あらかじめ指定された可算個の集合からの選択だけを許す原理と、直前の選択に依存する逐次的な選択だけを許す原理は、選択公理より弱い形として区別される。

本記事では、三つの原理の同値性を証明し、逐次的な選択を扱う従属選択公理を定義して、選択原理の間の含意を調べる。

1 選択関数と選択公理

定義 1.1.Λ\Lambdaを集合とし、(Aλ)λ∈Λ(A_\lambda)_{\lambda\in\Lambda}をΛ\Lambdaを添字集合とする集合族で、すべてのλ∈Λ\lambda\in\Lambdaに対してAλ≠∅A_\lambda\neq\emptysetであるものとする。写像

f ⁣:Λ→⋃λ∈ΛAλf\colon\Lambda\to\bigcup_{\lambda\in\Lambda}A_\lambda

が、すべてのλ∈Λ\lambda\in\Lambdaに対してf(λ)∈Aλf(\lambda)\in A_\lambdaを満たすとき、ffを族(Aλ)λ∈Λ(A_\lambda)_{\lambda\in\Lambda}の選択関数 (choice function) という。空でない集合からなる任意の集合族が選択関数をもつことを要請する集合の存在原理を選択公理 (axiom of choice) という。

例 1.2.Λ=P(N≥0)∖{∅}\Lambda=\mathcal P(\mathbb N_{\geq 0})\setminus\{\emptyset\}とし、S∈ΛS\in\Lambdaに対してAS=SA_S=Sとおく。各ASA_Sは空でない。N≥0\mathbb N_{\geq 0}は通常の順序について整列しているから、S∈ΛS\in\Lambdaに対してSSの最小元min⁡S\min Sがただ一つ定まる。{x}∈Λ\{x\}\in\Lambdaが各x∈N≥0x\in\mathbb N_{\geq 0}について成り立つので⋃S∈ΛAS=N≥0\bigcup_{S\in\Lambda}A_S=\mathbb N_{\geq 0}であり、f(S)=min⁡Sf(S)=\min Sによって写像f ⁣:Λ→N≥0f\colon\Lambda\to\mathbb N_{\geq 0}が定まる。min⁡S∈S=AS\min S\in S=A_Sであるから、ffは族(AS)S∈Λ(A_S)_{S\in\Lambda}の選択関数である。この選択関数は最小元を取るという規則として書き下されており、その存在は選択公理を用いずに得られる。

注意 1.3. 添字集合が有限である場合には、§E1.18 注意 2.7により選択関数の存在が ZF の範囲で得られる。また例 1.2のように、各AλA_\lambdaから元を選ぶ規則を書き下すことができる場合にも、選択公理を用いずに選択関数が得られる。選択公理を必要とするのは、添字集合が無限であり、かつ各AλA_\lambdaから元を選ぶ規則が与えられていない場合である。

2 三つの原理の同値性

定理 2.1. ZF の公理系のもとで、次の三つの主張は同値である。ここで posetPPの鎖とは、任意の二元が比較可能であるPPの部分集合をいい、PPの極大元とは、x<yx<yを満たすy∈Py\in Pが存在しない元x∈Px\in Pをいう。極大元は最大元とは限らない。

  1. 任意の集合IIと、空でない集合からなる族(Ai)i∈I(A_i)_{i\in I}に対して、この族の選択関数f ⁣:I→⋃i∈IAif\colon I\to\bigcup_{i\in I}A_i、すなわちf(i)∈Aif(i)\in A_i(i∈Ii\in I)を満たす写像が存在する(選択公理)。
  2. 任意の集合は整列順序をもつ(整列可能定理)。
  3. 空でない posetPPの任意の鎖がPPに上界をもつならば、PPは極大元をもつ(Zorn の補題)。

証明.(1)⇒\Rightarrow(2)を示す。XXを集合とする。Λ=P(X)∖{∅}\Lambda=\mathcal P(X)\setminus\{\emptyset\}とおき、S∈ΛS\in\Lambdaに対してAS=SA_S=Sとおく。{x}∈Λ\{x\}\in\Lambdaが各x∈Xx\in Xについて成り立つので⋃S∈ΛAS=X\bigcup_{S\in\Lambda}A_S=Xであり、(1)により、すべてのS∈ΛS\in\Lambdaに対してc(S)∈Sc(S)\in Sを満たす写像c ⁣:Λ→Xc\colon\Lambda\to Xが存在する。

e={x∈X∣x∉x}e=\{x\in X\mid x\notin x\}とおく。この集合は§E1.13 定義 2.1により存在する。e∈Xe\in Xと仮定すると、eeの定義により、e∈ee\in eであることとe∉ee\notin eであることが同値になって矛盾する。したがってe∉Xe\notin Xである。

§E1.17 系 2.6 (2)により、順序数の全体で定義された対応FFで、各順序数α\alphaに対して

F(α)={c ⁣(X∖F[α])(X∖F[α]≠∅),e(X∖F[α]=∅)F(\alpha)= \begin{cases} c\!\left(X\setminus F[\alpha]\right) & \left(X\setminus F[\alpha]\neq\emptyset\right),\\ e & \left(X\setminus F[\alpha]=\emptyset\right) \end{cases}

を満たすものがただ一つ定まる。ここでF[α]={F(β)∣β<α}F[\alpha]=\{F(\beta)\mid\beta<\alpha\}であり、これは§E1.13 定義 5.1により集合である。

F(α)=eF(\alpha)=eを満たす順序数が存在することを示す。存在しないとすると、すべての順序数α\alphaに対してF(α)∈X∖F[α]F(\alpha)\in X\setminus F[\alpha]である。β<α\beta<\alphaならばF(β)∈F[α]F(\beta)\in F[\alpha]であるからF(α)≠F(β)F(\alpha)\neq F(\beta)であり、相異なる順序数のFFによる値は相異なる。Y={x∈X∣F(α)=xY=\{x\in X\mid F(\alpha)=xを満たす順序数α\alphaが存在する}\}は§E1.13 定義 2.1により集合であり、各x∈Yx\in Yに対してF(α)=xF(\alpha)=xを満たす順序数α\alphaはただ一つである。§E1.13 定義 5.1により、この対応によるYYの像は集合である。この像は順序数の全体に一致するから、§E1.16 命題 2.6に矛盾する。

F(α1)=eF(\alpha_1)=eを満たす順序数α1\alpha_1を取る。{β∈α1∪{α1}∣F(β)=e}\{\beta\in\alpha_1\cup\{\alpha_1\}\mid F(\beta)=e\}は空でない順序数の集合であるから、§E1.16 命題 2.5 (3)により最小元θ\thetaをもつ。β<θ\beta<\thetaならばβ<α1\beta<\alpha_1であるからF(β)≠eF(\beta)\neq eであり、したがってF(β)∈X∖F[β]F(\beta)\in X\setminus F[\beta]である。上と同じ理由で、β<γ<θ\beta<\gamma<\thetaならばF(β)≠F(γ)F(\beta)\neq F(\gamma)である。F(θ)=eF(\theta)=eであるからX∖F[θ]=∅X\setminus F[\theta]=\emptysetであり、F[θ]⊆XF[\theta]\subseteq XとあわせてF[θ]=XF[\theta]=Xである。したがってβ↦F(β)\beta\mapsto F(\beta)はθ\thetaからXXへの全単射である。θ\thetaは順序数であるから所属関係について整列している。x⪯yx\preceq yを、F(β)=xF(\beta)=xを満たすβ<θ\beta<\thetaとF(γ)=yF(\gamma)=yを満たすγ<θ\gamma<\thetaについてβ≤γ\beta\leq\gammaが成り立つことと定めると、⪯\preceqはXX上の整列順序である。

(2)⇒\Rightarrow(3)を示す。PPを空でない poset とし、PPの任意の鎖がPPに上界をもつとする。(2)によりPP上の整列順序⪯\preceqを取る。§E1.16 定理 3.1により、順序数θ\thetaと、α↦pα\alpha\mapsto p_\alphaで与えられるθ\thetaから(P,⪯)(P,\preceq)への順序同型が存在する。§E1.17 定理 2.1により、θ\thetaを添字集合とする族(tα)α<θ(t_\alpha)_{\alpha<\theta}で、tα=1t_\alpha=1であることが「β<α\beta<\alphaかつtβ=1t_\beta=1を満たすすべてのβ\betaに対してpβ<pαp_\beta<p_\alphaが成り立つ」ことと同値であり、そうでないときtα=0t_\alpha=0であるものがただ一つ定まる。

C={pα∣α<θ, tα=1}C=\{p_\alpha\mid\alpha<\theta,\ t_\alpha=1\}とおく。tα=tγ=1t_\alpha=t_\gamma=1かつα<γ\alpha<\gammaならば、tγ=1t_\gamma=1であることの定義によりpα<pγp_\alpha<p_\gammaであるから、CCの任意の二元は比較可能であり、CCはPPの鎖である。仮定によりCCはPPに上界uuをもつ。

u<vu<vを満たすv∈Pv\in Pが存在したとする。α↦pα\alpha\mapsto p_\alphaは全射であるから、v=pγv=p_\gammaを満たすγ<θ\gamma<\thetaが存在する。β<γ\beta<\gammaかつtβ=1t_\beta=1を満たすβ\betaに対してpβ∈Cp_\beta\in Cであり、uuがCCの上界であるからpβ≤u<v=pγp_\beta\leq u<v=p_\gammaである。したがってtγ=1t_\gamma=1であり、v∈Cv\in Cである。uuがCCの上界であるからv≤uv\leq uとなり、u<vu<vに矛盾する。よってuuはPPの極大元である。

(3)⇒\Rightarrow(1)を示す。IIを集合とし、(Ai)i∈I(A_i)_{i\in I}を空でない集合からなる族とする。U=⋃i∈IAiU=\bigcup_{i\in I}A_iとおく。J⊆IJ\subseteq Iと、定義域がJJ、終域がUUでありg(i)∈Aig(i)\in A_i(i∈Ji\in J)を満たす写像ggのグラフΓ\Gammaとの対(J,Γ)(J,\Gamma)の全体をPPとする。Γ⊆I×U\Gamma\subseteq I\times Uであるから、PPは§E1.13 定義 3.1 (3)で得られる集合P(I)×P(I×U)\mathcal P(I)\times\mathcal P(I\times U)からの§E1.13 定義 2.1による分出で得られる集合である。定義域と終域が対から復元されるので、以下ではPPの元を、対応する写像ggを用いて(J,g)(J,g)と書く。

(J,g)⪯(K,h)(J,g)\preceq(K,h)を、J⊆KJ\subseteq Kかつh(i)=g(i)h(i)=g(i)(i∈Ji\in J)が成り立つことと定める。⪯\preceqは反射的かつ推移的である。(J,g)⪯(K,h)(J,g)\preceq(K,h)かつ(K,h)⪯(J,g)(K,h)\preceq(J,g)ならばJ=KJ=Kであり、JJの各元での値が一致し、終域はいずれもUUであるからg=hg=hである。したがって(P,⪯)(P,\preceq)は poset である。

C\mathcal CをPPの鎖とする。J∗=⋃{J∣(J,g)∈C}J^{*}=\bigcup\{J\mid (J,g)\in\mathcal C\}とおく。i∈J∩Ki\in J\cap Kかつ(J,g),(K,h)∈C(J,g),(K,h)\in\mathcal Cならば、(J,g)⪯(K,h)(J,g)\preceq(K,h)と(K,h)⪯(J,g)(K,h)\preceq(J,g)のいずれかが成り立ち、どちらの場合もg(i)=h(i)g(i)=h(i)である。したがって、i∈J∗i\in J^{*}に対してi∈Ji\in Jを満たす(J,g)∈C(J,g)\in\mathcal Cを取りg∗(i)=g(i)g^{*}(i)=g(i)と定めると、この値は(J,g)(J,g)の取り方に依存しない。g∗(i)∈Aig^{*}(i)\in A_iであるから(J∗,g∗)∈P(J^{*},g^{*})\in Pであり、(J∗,g∗)(J^{*},g^{*})はC\mathcal Cの上界である。C=∅\mathcal C=\emptysetの場合にはJ∗=∅J^{*}=\emptysetであり、g∗g^{*}は∅\emptysetからUUへの空写像である。この元もPPに属するから、とくにP≠∅P\neq\emptysetである。

(3)によりPPは極大元(J,g)(J,g)をもつ。J≠IJ\neq Iとするとi0∈I∖Ji_0\in I\setminus Jが存在する。Ai0≠∅A_{i_0}\neq\emptysetであるからb∈Ai0b\in A_{i_0}を取ることができ、J′=J∪{i0}J'=J\cup\{i_0\}と、g′(i)=g(i)g'(i)=g(i)(i∈Ji\in J)およびg′(i0)=bg'(i_0)=bによって定まる写像g′ ⁣:J′→Ug'\colon J'\to Uに対して(J′,g′)∈P(J',g')\in Pである。(J,g)⪯(J′,g′)(J,g)\preceq(J',g')かつ(J,g)≠(J′,g′)(J,g)\neq(J',g')であるから、(J,g)(J,g)の極大性に矛盾する。したがってJ=IJ=Iであり、ggは族(Ai)i∈I(A_i)_{i\in I}の選択関数である。

以上の三つの含意により、三つの主張は互いに同値である。▨

注意 2.2.定理 2.1 (3)の仮定は空の鎖についても課されている。空集合の上界とは、空集合のすべての元以上であるPPの元、すなわちPPの任意の元であるから、空集合がPPに上界をもつことはP≠∅P\neq\emptysetと同値である。したがって Zorn の補題を適用するときには、空の鎖を含めて一様に上界を与えてもよく、空でない鎖について上界を構成したうえでP≠∅P\neq\emptysetを別に確かめてもよい。

例 2.3.P=N≥0P=\mathbb N_{\geq 0}に通常の順序を入れる。PPは空でない poset であり、PP自身は鎖である。各n∈Pn\in Pに対してn<n+1n<n+1であるからPPの元はいずれも極大でなく、PPは極大元をもたない。またn≤mn\leq mがすべてのn∈Pn\in Pについて成り立つm∈Pm\in Pは存在しないから、鎖PPはPPに上界をもたない。したがって、鎖が上界をもつという仮定を外すと定理 2.1 (3)の結論は成り立たない。

系 2.4.定理 2.1 (1)を仮定する。次が成り立つ。

  1. 空でない集合からなる任意の族(Ai)i∈I(A_i)_{i\in I}に対して∏i∈IAi≠∅\prod_{i\in I}A_i\neq\emptysetである。
  2. 任意の全射g ⁣:Y→Xg\colon Y\to Xに対して、g∘t=id⁡Xg\circ t=\operatorname{id}_Xを満たす写像t ⁣:X→Yt\colon X\to Yが存在する。

証明.§E1.2 定義 5.1により、∏i∈IAi\prod_{i\in I}A_iの元とは、すべてのi∈Ii\in Iに対してx(i)∈Aix(i)\in A_iを満たす、IIを添字集合とする族xxである。これは族(Ai)i∈I(A_i)_{i\in I}の選択関数と同じ値の指定であるから、定理 2.1 (1)により(1)が成り立つ。

g ⁣:Y→Xg\colon Y\to Xを全射とし、x∈Xx\in Xに対してBx=g−1({x})B_x=g^{-1}(\{x\})とおく。ggが全射であるからBx≠∅B_x\neq\emptysetである。各y∈Yy\in YはBg(y)B_{g(y)}に属するから⋃x∈XBx=Y\bigcup_{x\in X}B_x=Yである。定理 2.1 (1)により族(Bx)x∈X(B_x)_{x\in X}の選択関数t ⁣:X→Yt\colon X\to Yが存在し、t(x)∈g−1({x})t(x)\in g^{-1}(\{x\})、すなわちg(t(x))=xg(t(x))=xである。よって(2)が成り立つ。▨

注意 2.5.定理 2.1の三つの主張は、いずれも集合を添字集合とする族と、集合である poset について述べている。真のクラスを添字集合とする選択、およびすべての集合に対して一斉に選択関数を与える global choice は、この定理の主張に含まれない。また、この定理は、選択公理を用いて証明された個々の主張がその証明に選択公理を必要とすることを主張しない。ある主張が選択公理から従うことと、その主張から選択公理が従うこととは別の事柄である。

注意 2.6.定理 2.1は ZF の公理系のもとでの同値性であり、選択公理そのものが ZF の定理であることを述べてはいない。ZF が無矛盾であれば、選択公理を ZF の他の公理から証明することも反証することもできない。構成可能宇宙を用いる無矛盾性の議論は「公理的集合論」が扱う。

注意 2.7. 選択公理を一つの原理として取り出したのは Zermelo であり、1904 年に、任意の集合が整列順序をもつことをこの原理から導いた。定理 2.1 (1)から定理 2.1 (2)を導く上の証明が、その論証にあたる。元を選ぶ規則を与えずに無限個の選択を一度に要請するという点をめぐって、この証明は当時の論争の対象になった。帰結の側にも、選択公理を認めるかどうかで存在が分かれる対象がある。選択公理を仮定すると、実数の集合で Lebesgue 測度に関して可測でないものが存在する。選択公理は、証明を短くするための技術的な仮定ではなく、何が存在するかを変える原理である。

3 Zorn の補題の応用

定理 3.1 (Hausdorff の極大原理).定理 2.1 (1)を仮定する。任意の posetPPに対して、包含関係について極大なPPの鎖が存在する。すなわち、PPの鎖CCであって、C⊊DC\subsetneq Dを満たすPPの鎖DDが存在しないものが存在する。

証明.PPの鎖の全体をK\mathcal Kとする。鎖はPPの部分集合であるから、K\mathcal KはP(P)\mathcal P(P)からの§E1.13 定義 2.1による分出で得られる集合であり、包含関係について poset である。

D\mathcal Dを(K,⊆)(\mathcal K,\subseteq)の鎖とし、U=⋃DU=\bigcup\mathcal Dとおく。x,y∈Ux,y\in Uとすると、x∈C1x\in C_1かつy∈C2y\in C_2を満たすC1,C2∈DC_1,C_2\in\mathcal Dが存在する。D\mathcal Dが包含関係について鎖であるからC1⊆C2C_1\subseteq C_2またはC2⊆C1C_2\subseteq C_1であり、いずれの場合もxxとyyはD\mathcal Dの一つの元に属する。その元はPPの鎖であるから、xxとyyは比較可能である。したがってUUはPPの鎖であり、U∈KU\in\mathcal Kである。D\mathcal Dの各元はUUに含まれるから、UUはD\mathcal Dの上界である。D=∅\mathcal D=\emptysetの場合にはU=∅U=\emptysetであり、空集合はPPの鎖であるからU∈KU\in\mathcal Kである。とくにK≠∅\mathcal K\neq\emptysetである。

定理 2.1の定理 2.1 (3)により、K\mathcal Kは極大元CCをもつ。C⊊DC\subsetneq Dを満たすPPの鎖DDが存在すればD∈KD\in\mathcal Kとなり、CCの極大性に矛盾する。したがってCCは求める鎖である。▨

注意 3.2.定理 3.1の証明は、Zorn の補題を用いる論証の標準的な形をとっている。すなわち、求める対象の候補を部分集合の族として集め、包含関係を順序とし、鎖の和集合がふたたび候補であることを確かめて上界とし、得られた極大元が求める対象であることを示す。ベクトル空間が基底をもつことは、一次独立な部分集合の全体へ同じ形の論証を適用して得られ、これは「線形代数 II」が扱う。

4 従属選択公理と可算選択公理

注意 4.1. 本記事では、可算選択公理を§E1.18 定義 6.1の意味で用いる。この定義は添字集合をZ≥1\mathbb Z_{\geq1}として述べているが、添字集合をω\omegaと全単射な集合に取り替えた形も、その全単射による番号の付け替えによって同じ主張になる。したがって、以下ではω\omegaを添字集合とする形で述べる。

定義 4.2 (従属選択公理). 従属選択公理 (axiom of dependent choice) とは、次を主張する集合の存在原理である。XXを空でない集合とし、R⊆X×XR\subseteq X\times Xを、任意のx∈Xx\in Xに対してxRyxRyを満たすy∈Xy\in Xが存在するという条件を満たす二項関係とする。このとき、任意に指定したx0∈Xx_0\in Xに対して、ω\omegaを添字集合とするXXの元の族(xn)n∈ω(x_n)_{n\in\omega}であって、第00項がx0x_0に等しく、すべてのn∈ωn\in\omegaに対してxnRxn+1x_nRx_{n+1}を満たすものが存在する。この原理を DC と略記する。

したがって従属選択公理は、各段階で次の候補が存在することだけが分かる逐次構成を、一つの無限列として実行することを許す。

例 4.3.X={0,1}X=\{0,1\}、R={(0,1)}R=\{(0,1)\}とする。X≠∅X\neq\emptysetである。1Ry1Ryを満たすy∈Xy\in Xは存在しないから、RRは定義 4.2の条件を満たさない。すべてのn∈ωn\in\omegaに対してxnRxn+1x_nRx_{n+1}を満たす族(xn)n∈ω(x_n)_{n\in\omega}が存在したとすると、(x0,x1)∈R(x_0,x_1)\in Rからx1=1x_1=1であり、(x1,x2)∈R(x_1,x_2)\in Rを満たすx2x_2は存在しないから矛盾する。したがって、任意の元がRRに関する後続をもつという条件を外すことができない。

例 4.4.PPを空でない poset とし、各x∈Px\in Pに対してx<yx<yを満たすy∈Py\in Pが存在するとする。R={(x,y)∈P×P∣x<y}R=\{(x,y)\in P\times P\mid x<y\}とおくと、RRは定義 4.2の条件を満たす。したがってx0∈Px_0\in Pを任意に指定すると、x0x_0を第00項とし、すべてのn∈ωn\in\omegaに対してxn<xn+1x_n<x_{n+1}を満たす族(xn)n∈ω(x_n)_{n\in\omega}が存在する。第n+1n+1項の候補の集合{y∈P∣xn<y}\{y\in P\mid x_n<y\}は第nn項に依存して定まるので、この構成では選ぶ対象の集合の列をあらかじめ指定することができない。

命題 4.5. ZF の公理系のもとで、次の二つの主張は同値である。

  1. 従属選択公理。すなわち、空でない集合XXと、任意のx∈Xx\in Xに対してxRyxRyを満たすy∈Xy\in Xが存在するという条件を満たす二項関係R⊆X×XR\subseteq X\times Xと、任意に指定したa∈Xa\in Xに対して、第00項がaaに等しく、すべてのn∈ωn\in\omegaに対してxnRxn+1x_nRx_{n+1}を満たす族(xn)n∈ω(x_n)_{n\in\omega}が存在する。
  2. 空でない集合XXと、任意のx∈Xx\in Xに対してxRyxRyを満たすy∈Xy\in Xが存在するという条件を満たす二項関係R⊆X×XR\subseteq X\times Xに対して、すべてのn∈ωn\in\omegaに対してxnRxn+1x_nRx_{n+1}を満たす族(xn)n∈ω(x_n)_{n\in\omega}が存在する。

証明.(1)⇒\Rightarrow(2)を示す。X≠∅X\neq\emptysetであるからa∈Xa\in Xを取ることができ、(1)をこのaaに対して適用すれば、第00項の条件を落とした主張が得られる。

(2)⇒\Rightarrow(1)を示す。XXとRRを(1)の条件のとおりに取り、a∈Xa\in Xを任意に指定する。n∈ωn\in\omegaに対して、nnを添字集合とするXXの元の族を長さnnの列という。長さが正である列ssであって、s(0)=as(0)=aが成り立ち、k+1k+1がssの長さより小さいすべてのkkに対してs(k)Rs(k+1)s(k)Rs(k+1)が成り立つものの全体をHHとする。族はそのグラフによって定まり、グラフはω×X\omega\times Xの部分集合であるから、HHはP(ω×X)\mathcal P(\omega\times X)からの§E1.13 定義 2.1による分出で得られる集合である。第00項がaaである長さ11の列はHHに属するからH≠∅H\neq\emptysetである。

s,t∈Hs,t\in Hに対して、ssの長さをnnとするとき、ttの長さがn+1n+1でありt(k)=s(k)t(k)=s(k)(k<nk<n)が成り立つことをsR′tsR'tと定める。s∈Hs\in Hの長さをnnとするとn≥1n\geq1であるからm+1=nm+1=nを満たすm∈ωm\in\omegaが存在し、RRの条件によりs(m)Rzs(m)Rzを満たすz∈Xz\in Xが存在する。t(k)=s(k)t(k)=s(k)(k<nk<n)およびt(n)=zt(n)=zによって定まる長さn+1n+1の列ttはHHに属し、sR′tsR'tを満たす。よってHHとR′R'は(2)の条件を満たす。

(2)をHHとR′R'に適用すると、すべてのn∈ωn\in\omegaに対してsnR′sn+1s_nR's_{n+1}を満たす族(sn)n∈ω(s_n)_{n\in\omega}が得られる。s0s_0の長さをm0m_0とすると、sns_nの長さはm0+nm_0+nであり、n≤n′n\leq n'ならばsn′s_{n'}はsns_nの定義域上でsns_nと一致する。k∈ωk\in\omegaに対してk<m0+nk<m_0+nを満たすnnを取りxk=sn(k)x_k=s_n(k)と定めると、この値はnnの取り方に依存しない。s0∈Hs_0\in Hであるからx0=s0(0)=ax_0=s_0(0)=aである。また各k∈ωk\in\omegaに対してk+1<m0+nk+1<m_0+nを満たすnnを取ると、sn∈Hs_n\in HであるからxkRxk+1x_kRx_{k+1}である。よって(1)が成り立つ。▨

定理 4.6. ZF の公理系のもとで、選択公理は従属選択公理を含意し、従属選択公理は可算選択公理を含意する。ここで二つの原理は次を主張する。

  1. 従属選択公理——空でない集合XXと、任意のx∈Xx\in Xに対してxRyxRyを満たすy∈Xy\in Xが存在するという条件を満たす二項関係R⊆X×XR\subseteq X\times Xに対して、すべてのn∈ωn\in\omegaに対してxnRxn+1x_nRx_{n+1}を満たす族(xn)n∈ω(x_n)_{n\in\omega}が存在する。第00項としてXXの任意に指定した元を取ることもできる。
  2. 可算選択公理(§E1.18 定義 6.1)——空でない集合からなる族(An)n∈ω(A_n)_{n\in\omega}に対して、すべてのn∈ωn\in\omegaに対してan∈Ana_n\in A_nを満たす族(an)n∈ω(a_n)_{n\in\omega}が存在する。

証明.定理 2.1 (1)から(1)を示す。XXを空でない集合、R⊆X×XR\subseteq X\times Xを、任意のx∈Xx\in Xに対してxRyxRyを満たすy∈Xy\in Xが存在するという条件を満たす二項関係とし、a∈Xa\in Xとする。x∈Xx\in Xに対してSx={y∈X∣xRy}S_x=\{y\in X\mid xRy\}とおくとSx≠∅S_x\neq\emptysetである。定理 2.1 (1)により族(Sx)x∈X(S_x)_{x\in X}の選択関数が存在し、その値はすべてXXに属するから、xRc(x)xRc(x)(x∈Xx\in X)を満たす写像c ⁣:X→Xc\colon X\to Xが得られる。§E1.17 定理 2.1により、x0=ax_0=aおよびxn+1=c(xn)x_{n+1}=c(x_n)(n∈ωn\in\omega)を満たす族(xn)n∈ω(x_n)_{n\in\omega}がただ一つ定まる。xnRc(xn)=xn+1x_nRc(x_n)=x_{n+1}であるから、(1)が成り立つ。

(1)⇒\Rightarrow(2)を示す。(An)n∈ω(A_n)_{n\in\omega}を空でない集合からなる族とし、U=⋃n∈ωAnU=\bigcup_{n\in\omega}A_nとおく。Z={(n,a)∈ω×U∣a∈An}Z=\{(n,a)\in\omega\times U\mid a\in A_n\}とおくと、ZZは§E1.13 定義 2.1による分出で得られる集合である。A0≠∅A_0\neq\emptysetであるからa∗∈A0a_{*}\in A_0を取ることができ、(0,a∗)∈Z(0,a_{*})\in ZであるからZ≠∅Z\neq\emptysetである。

(n,a),(m,b)∈Z(n,a),(m,b)\in Zに対して、m=n+1m=n+1が成り立つことを(n,a)T(m,b)(n,a)T(m,b)と定める。(n,a)∈Z(n,a)\in ZとするとAn+1≠∅A_{n+1}\neq\emptysetであるからb∈An+1b\in A_{n+1}を取ることができ、(n+1,b)∈Z(n+1,b)\in Zが(n,a)T(n+1,b)(n,a)T(n+1,b)を満たす。よってZZとTTは(1)の条件を満たす。

(0,a∗)(0,a_{*})を第00項として(1)を適用すると、ZZの元の族((nk,bk))k∈ω((n_k,b_k))_{k\in\omega}で、(n0,b0)=(0,a∗)(n_0,b_0)=(0,a_{*})を満たし、すべてのk∈ωk\in\omegaに対してnk+1=nk+1n_{k+1}=n_k+1を満たすものが得られる。n0=0n_0=0であるから、kkについての帰納法によりnk=kn_k=kである。(k,bk)∈Z(k,b_k)\in Zであるからbk∈Akb_k\in A_kであり、族(bk)k∈ω(b_k)_{k\in\omega}が(2)の結論を与える。▨

注意 4.7. 従属選択公理と可算選択公理のどちらを用いるかは、選ぶ対象の集合が何によって定まるかで決まる。あらかじめ指定された集合の族(An)n∈ω(A_n)_{n\in\omega}から各nnについて一つずつ元を選ぶ場合には、可算選択公理で足りる。これに対して、第n+1n+1段で選ぶ候補の集合が第nn段までに選んだ対象によって決まる場合には、選ぶ対象の集合の族をあらかじめ指定することができないので、可算選択公理を適用することができない。例 4.4がその形である。従属選択公理はこの場合を扱い、逐次的な構成を一つの無限列として与える。定理 4.6が示すとおり含意は従属選択公理から可算選択公理への向きであり、可算選択公理から従属選択公理が従うことは本記事では主張しない。

補題 4.8. ZF の公理系のもとで、次の二つの主張は同値である。

  1. 可算選択公理(§E1.18 定義 6.1)。
  2. 任意の集合II、高々可算な集合XXおよび全射f ⁣:I→Xf\colon I\to Xに対して、f∘s=id⁡Xf\circ s=\operatorname{id}_Xを満たす写像s ⁣:X→Is\colon X\to Iが存在する。

証明.(1)⇒\Rightarrow(2)を示す。X=∅X=\emptysetの場合、f ⁣:I→Xf\colon I\to Xが存在すればI=∅I=\emptysetであり、∅\emptysetから∅\emptysetへの空写像ssがf∘s=id⁡Xf\circ s=\operatorname{id}_{X}を満たす。X≠∅X\neq\emptysetとする。XXは高々可算であるから、§E1.18 定理 3.3により全射e ⁣:N≥0→Xe\colon\mathbb N_{\geq 0}\to Xが存在する。§E1.16 注意 4.10によりN≥0\mathbb N_{\geq 0}はω\omegaに等しいから、eeをω\omegaを定義域とする全射とみなす。n∈ωn\in\omegaに対してAn=f−1({e(n)})A_n=f^{-1}(\{e(n)\})とおくと、ffが全射であるからAn≠∅A_n\neq\emptysetである。(1)により、in∈Ani_n\in A_n(n∈ωn\in\omega)を満たす族(in)n∈ω(i_n)_{n\in\omega}が存在する。x∈Xx\in Xに対してe(n)=xe(n)=xを満たすn∈ωn\in\omegaが存在し、ω\omegaは所属関係について整列しているから、そのうち最小のものをn(x)n(x)と書くことができる。s(x)=in(x)s(x)=i_{n(x)}によって写像s ⁣:X→Is\colon X\to Iを定めると、s(x)∈An(x)=f−1({x})s(x)\in A_{n(x)}=f^{-1}(\{x\})であるからf(s(x))=xf(s(x))=xである。

(2)⇒\Rightarrow(1)を示す。(An)n∈ω(A_n)_{n\in\omega}を空でない集合からなる族とし、U=⋃n∈ωAnU=\bigcup_{n\in\omega}A_nとおく。I={(n,a)∈ω×U∣a∈An}I=\{(n,a)\in\omega\times U\mid a\in A_n\}とおくと、IIは§E1.13 定義 2.1による分出で得られる集合である。f(n,a)=nf(n,a)=nによって写像f ⁣:I→ωf\colon I\to\omegaを定めると、各AnA_nが空でないからffは全射である。ω\omegaは§E1.18 定義 1.2の意味で可算であり、とくに高々可算である。(2)により、f∘s=id⁡ωf\circ s=\operatorname{id}_\omegaを満たす写像s ⁣:ω→Is\colon\omega\to Iが存在する。s(n)s(n)の第一成分はf(s(n))=nf(s(n))=nに等しいからs(n)=(n,an)s(n)=(n,a_n)と書くことができ、IIの定義によりan∈Ana_n\in A_nである。よって族(an)n∈ω(a_n)_{n\in\omega}が(1)の結論を与える。▨

注意 4.9. 後続の単元は補題 4.8を両方の向きで用いる。可算選択公理を仮定する体系では、高々可算な集合への全射から切断を取り出すために順向きを用いる。逆に、可算選択公理を仮定しない体系では、高々可算な集合への任意の全射が切断をもつことを示せば可算選択公理が得られる。「位相空間論 I」は、第二可算空間と可算離散空間の Lindelöf 性が可算選択公理と同値であることを示すために、この両方の向きを用いる。

5 演習

問題 5.1.定理 2.1の証明を用いずに、定理 2.1 (2)から定理 2.1 (1)が従うことを証明せよ。

解答.

(Ai)i∈I(A_i)_{i\in I}を空でない集合からなる族とし、U=⋃i∈IAiU=\bigcup_{i\in I}A_iとおく。定理 2.1 (2)によりUU上の整列順序⪯\preceqを取る。各i∈Ii\in Iに対してAiA_iはUUの空でない部分集合であるから、⪯\preceqに関する最小元min⁡Ai\min A_iがただ一つ定まる。f(i)=min⁡Aif(i)=\min A_iによって写像f ⁣:I→Uf\colon I\to Uが定まり、f(i)∈Aif(i)\in A_iであるから、ffは族(Ai)i∈I(A_i)_{i\in I}の選択関数である。▨

問題 5.2.定理 3.1から定理 2.1 (3)が従うことを証明せよ。

解答.

PPを空でない poset とし、PPの任意の鎖がPPに上界をもつとする。定理 3.1により、包含関係について極大なPPの鎖CCが存在する。仮定によりCCはPPに上界uuをもつ。u<vu<vを満たすv∈Pv\in Pが存在したとする。CCの各元はuu以下でありu<vu<vであるから、CCの各元はvvより小さく、C∪{v}C\cup\{v\}の任意の二元は比較可能である。よってC∪{v}C\cup\{v\}はPPの鎖である。v∈Cv\in Cとするとv≤uv\leq uとなってu<vu<vに矛盾するからv∉Cv\notin Cであり、C⊊C∪{v}C\subsetneq C\cup\{v\}である。これはCCの極大性に矛盾する。したがってu<vu<vを満たすv∈Pv\in Pは存在せず、uuはPPの極大元である。▨

問題 5.3.XXを集合とし、R⊆X×XR\subseteq X\times Xを二項関係とする。XXの空でない任意の部分集合YYに対して、zRyzRyを満たすz∈Yz\in Yが存在しないy∈Yy\in Yが存在するとき、RRは整礎であるという。従属選択公理を仮定して、RRが整礎であることと、すべてのn∈ωn\in\omegaに対してxn+1Rxnx_{n+1}Rx_nを満たす族(xn)n∈ω(x_n)_{n\in\omega}が存在しないこととが同値であることを証明せよ。

解答.

必要性を示す。RRが整礎であるとし、すべてのn∈ωn\in\omegaに対してxn+1Rxnx_{n+1}Rx_nを満たす族(xn)n∈ω(x_n)_{n\in\omega}が存在したとする。Y={xn∣n∈ω}Y=\{x_n\mid n\in\omega\}は§E1.13 定義 5.1により集合であり、空でないXXの部分集合である。整礎性により、zRyzRyを満たすz∈Yz\in Yが存在しないy∈Yy\in Yが存在する。y=xny=x_nと書くとxn+1Rxnx_{n+1}Rx_nかつxn+1∈Yx_{n+1}\in Yであり、yyの取り方に矛盾する。

十分性を示す。対偶を示す。RRが整礎でないとすると、XXの空でない部分集合YYで、各y∈Yy\in Yに対してzRyzRyを満たすz∈Yz\in Yが存在するものが存在する。R′={(y,z)∈Y×Y∣zRy}R'=\{(y,z)\in Y\times Y\mid zRy\}とおくと、Y≠∅Y\neq\emptysetであり、各y∈Yy\in Yに対してyR′zyR'zを満たすz∈Yz\in Yが存在する。従属選択公理をYYとR′R'に適用すると、すべてのn∈ωn\in\omegaに対してxnR′xn+1x_nR'x_{n+1}、すなわちxn+1Rxnx_{n+1}Rx_nを満たす族(xn)n∈ω(x_n)_{n\in\omega}が存在する。▨

本記事で証明した整列可能定理は、任意の集合に等濃な基数を対応させるために「基数とアレフ」が用いる。Zorn の補題は、後続の代数、解析および位相の各単元が、極大な対象の存在を示す標準的な道具として用いる。

参考文献

  1. Thomas Jech, Set Theory, 3rd millennium ed., Springer Monographs in Mathematics, Springer, Berlin, 2003.選択公理と同値な諸原理、および選択公理を用いる基数算術を参考にした。
  2. Paul R. Halmos, Naive Set Theory, Undergraduate Texts in Mathematics, Springer, New York, 1974, originally published 1960.選択公理、Zorn の補題、整列可能定理を参考にした。
  3. Thomas J. Jech, The Axiom of Choice, Dover Publications, 2008, originally published 1973.選択公理とその弱い形を並べ、それぞれが必要になる場面を参考にした。

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