§E2.16実数値連続関数の空間

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位相空間XXの上の実数値連続関数を一つずつ調べるかわりに、その全体を一つの対象として扱うことができる。和と積を各点ごとに定めれば環になり、有界なものに限れば一様距離によって距離空間になる。この対象はXXの位相を反映しており、XXについて述べたい主張を関数の言葉へ翻訳する場を与える。

本記事は、後続の記事が繰り返し用いる基礎事項をここへ集める。連続性を各点の評価で判定する形、関数の四則と束演算が連続性を保つこと、一様収束とその極限の連続性、有界連続関数の空間の完備性、連続写像との合成が定める引き戻し、評価写像の連続性、関数の零点として書ける集合、連続関数の全体がもつ環としての構造、そして関数族が点を分離することと分離公理の関係である。

1 実数値連続関数の環と束

補題 1.1.R\mathbb Rにはd(s,t)=∣s−t∣d(s,t)=\lvert s-t\rvertが定める位相を、R2\mathbb R^2には積位相を入れる。

  1. 和σ ⁣:R2→R\sigma\colon\mathbb R^2\to\mathbb R、σ(s,t)=s+t\sigma(s,t)=s+tは連続である。
  2. 積μ ⁣:R2→R\mu\colon\mathbb R^2\to\mathbb R、μ(s,t)=st\mu(s,t)=stは連続である。
  3. 絶対値∣⋅∣ ⁣:R→R\lvert\cdot\rvert\colon\mathbb R\to\mathbb Rは連続である。
  4. R∖{0}\mathbb R\setminus\{0\}に部分空間位相を入れると、ι ⁣:R∖{0}→R\iota\colon\mathbb R\setminus\{0\}\to\mathbb R、ι(t)=1/t\iota(t)=1/tは連続である。

証明.§E2.14 例 1.16によりR2\mathbb R^2の積位相は Euclid 距離d2d_2が定める位相に一致するから、§E2.12 補題 1.8をd2d_2について用いる。(s0,t0)∈R2(s_0,t_0)\in\mathbb R^2とε>0\varepsilon>0をとる。

(1)を示す。d2((s,t),(s0,t0))<ε/2d_2\bigl((s,t),(s_0,t_0)\bigr)<\varepsilon/2ならば∣s−s0∣<ε/2\lvert s-s_0\rvert<\varepsilon/2かつ∣t−t0∣<ε/2\lvert t-t_0\rvert<\varepsilon/2であるから、∣(s+t)−(s0+t0)∣≤∣s−s0∣+∣t−t0∣<ε\lvert(s+t)-(s_0+t_0)\rvert\leq\lvert s-s_0\rvert+\lvert t-t_0\rvert<\varepsilonである。

(2)を示す。M=∣s0∣+∣t0∣+1M=\lvert s_0\rvert+\lvert t_0\rvert+1とおき、δ=min⁡{1,ε/(2M)}\delta=\min\{1,\varepsilon/(2M)\}とする。d2((s,t),(s0,t0))<δd_2\bigl((s,t),(s_0,t_0)\bigr)<\deltaならば∣t∣≤∣t0∣+1\lvert t\rvert\leq\lvert t_0\rvert+1であり、

∣st−s0t0∣≤∣s−s0∣ ∣t∣+∣s0∣ ∣t−t0∣≤δM≤ε/2<ε\lvert st-s_0t_0\rvert\leq\lvert s-s_0\rvert\,\lvert t\rvert+\lvert s_0\rvert\,\lvert t-t_0\rvert\leq\delta M\leq\varepsilon/2<\varepsilon

である。

(3)を示す。∣ ∣s∣−∣s0∣ ∣≤∣s−s0∣\bigl\lvert\,\lvert s\rvert-\lvert s_0\rvert\,\bigr\rvert\leq\lvert s-s_0\rvertであるから、δ=ε\delta=\varepsilonとすればよい。

(4)を示す。t0≠0t_0\neq0とし、δ=min⁡{∣t0∣/2, ε∣t0∣2/2}\delta=\min\{\lvert t_0\rvert/2,\ \varepsilon\lvert t_0\rvert^2/2\}とする。∣t−t0∣<δ\lvert t-t_0\rvert<\deltaならば∣t∣≥∣t0∣/2>0\lvert t\rvert\geq\lvert t_0\rvert/2>0であり、

∣1t−1t0∣=∣t−t0∣∣t∣ ∣t0∣≤2δ∣t0∣2≤ε\left\lvert\frac1t-\frac1{t_0}\right\rvert=\frac{\lvert t-t_0\rvert}{\lvert t\rvert\,\lvert t_0\rvert}\leq\frac{2\delta}{\lvert t_0\rvert^2}\leq\varepsilon

である。§E2.12 命題 4.8によりR∖{0}\mathbb R\setminus\{0\}の部分空間位相は制限距離が定める位相であるから、ι\iotaは連続である。▨

補題 1.2.XXを位相空間とし、R\mathbb Rにはd(s,t)=∣s−t∣d(s,t)=\lvert s-t\rvertが定める距離と、その距離が定める位相を入れる。XXからR\mathbb Rへの連続写像の全体をC(X,R)C(X,\mathbb R)と書く。u,v∈C(X,R)u,v\in C(X,\mathbb R)とc∈Rc\in\mathbb Rに対して次が成り立つ。

  1. 和u+vu+v、積uvuv、スカラー倍cucu、および値ccをとる定数写像は、いずれもC(X,R)C(X,\mathbb R)に属する。
  2. 絶対値∣u∣\lvert u\rvertはC(X,R)C(X,\mathbb R)に属する。各点で max⁡(u,v)=12(u+v+∣u−v∣),min⁡(u,v)=12(u+v−∣u−v∣)\max(u,v)=\tfrac12\bigl(u+v+\lvert u-v\rvert\bigr), \qquad \min(u,v)=\tfrac12\bigl(u+v-\lvert u-v\rvert\bigr) が成り立ち、max⁡(u,v)\max(u,v)とmin⁡(u,v)\min(u,v)はC(X,R)C(X,\mathbb R)に属する。
  3. すべてのx∈Xx\in Xについてu(x)≠0u(x)\ne0であるならば、1/u1/uはC(X,R)C(X,\mathbb R)に属する。

証明.u,v∈C(X,R)u,v\in C(X,\mathbb R)とする。§E2.14 定理 1.6により、各成分がuuとvvである写像(u,v) ⁣:X→R2(u,v)\colon X\to\mathbb R^2は連続である。

(1)を示す。u+v=σ∘(u,v)u+v=\sigma\circ(u,v)とuv=μ∘(u,v)uv=\mu\circ(u,v)であるから、補題 1.1 (1)・補題 1.1 (2)と§E2.12 命題 1.10によりu+vu+vとuvuvは連続である。定数写像は§E2.12 例 1.12により連続であり、スカラー倍cucuは値ccをとる定数写像とuuの積であるから連続である。

(2)を示す。∣u∣\lvert u\rvertはuuと絶対値の合成であるから、補題 1.1 (3)と§E2.12 命題 1.10により連続である。実数a,ba,bについてmax⁡(a,b)=12(a+b+∣a−b∣)\max(a,b)=\tfrac12(a+b+\lvert a-b\rvert)とmin⁡(a,b)=12(a+b−∣a−b∣)\min(a,b)=\tfrac12(a+b-\lvert a-b\rvert)が成り立つことは、a≥ba\geq bの場合とa<ba<bの場合に分けて∣a−b∣\lvert a-b\rvertを書き下せば確かめられる。右辺は(1)といま示したことにより連続な写像から和とスカラー倍で得られるから、max⁡(u,v)\max(u,v)とmin⁡(u,v)\min(u,v)は連続である。

(3)を示す。すべてのxxについてu(x)≠0u(x)\neq0であるとする。§E2.12 定理 4.4 (3)により、終域をR∖{0}\mathbb R\setminus\{0\}へ制限した写像u0 ⁣:X→R∖{0}u_0\colon X\to\mathbb R\setminus\{0\}は連続である。1/u=ι∘u01/u=\iota\circ u_0であるから、補題 1.1 (4)と§E2.12 命題 1.10により連続である。▨

2 有界連続関数の空間

定義 2.1 (有界連続関数の空間).XXを位相空間とする。有界な連続写像X→RX\to\Rの全体をXX上の 有界連続関数の空間 (space of bounded continuous functions) といい、Cb(X)C_b(X)またはCb(X,R)C_b(X,\R)と書く。X≠∅X\ne\emptysetのとき、Cb(X)C_b(X)は§E2.5 定義 5.2の有界関数空間Fb(X)\mathcal F_b(X)の部分集合であり、一様距離d∞d_\inftyの制限を入れる。X=∅X=\emptysetのとき、Cb(X)C_b(X)は空写像00だけからなる集合であり、d∞(0,0)=0d_\infty(0,0)=0と定める。

値00をとる定数関数を00と書く。f∈Cb(X)f\in C_b(X)の 一様ノルム (uniform norm) を

∥f∥∞=d∞(f,0)\|f\|_\infty=d_\infty(f,0)

と定める。X≠∅X\ne\emptysetのとき∥f∥∞=sup⁡x∈X∣f(x)∣\|f\|_\infty=\sup_{x\in X}|f(x)|であり、X=∅X=\emptysetのとき∥0∥∞=0\|0\|_\infty=0である。

注意 2.2.X≠∅X\ne\emptysetのとき、§E2.5 命題 5.3によりd∞d_\inftyはFb(X)\mathcal F_b(X)の距離であるから、§E2.1 命題 2.2によりその制限はCb(X)C_b(X)の距離である。X=∅X=\emptysetの場合も、d∞d_\inftyは一点集合Cb(X)C_b(X)の距離である。Cb(X)C_b(X)は一般にC(X,R)C(X,\mathbb R)の真の部分集合である。両者が一致する空間のクラスは、後続の「コンパクト空間」と「擬コンパクト空間」が扱う。

定義 2.3 (一様収束).SSを集合とし、wn:S→Rw_n:S\to\mathbb R(n≥1n\geq1)とw:S→Rw:S\to\mathbb Rを写像とする。(wn)(w_n)がwwへ 一様収束 (uniform convergence) するとは、

∀ε>0 ∃N≥1 ∀n≥N ∀s∈S,∣wn(s)−w(s)∣≤ε\forall\varepsilon>0\ \exists N\geq1\ \forall n\geq N\ \forall s\in S, \qquad |w_n(s)-w(s)|\leq\varepsilon

が成り立つことをいう。

定理 2.4.(X,O)(X,\mathcal O)を位相空間とし、wn:X→Rw_n:X\to\mathbb Rを連続写像の列とする。(wn)(w_n)がw:X→Rw:X\to\mathbb Rへ一様収束するならば、wwは連続である。

証明.x∈Xx\in Xとε>0\varepsilon>0をとる。一様収束により、すべてのy∈Xy\in Xについて∣wN(y)−w(y)∣≤ε/3|w_N(y)-w(y)|\leq\varepsilon/3を満たすNNが存在する。wNw_Nの連続性と§E2.12 補題 1.9により、xxの開近傍WWであって、y∈Wy\in Wについて∣wN(y)−wN(x)∣<ε/3|w_N(y)-w_N(x)|<\varepsilon/3を満たすものが存在する。y∈Wy\in Wに対して

∣w(y)−w(x)∣≤∣w(y)−wN(y)∣+∣wN(y)−wN(x)∣+∣wN(x)−w(x)∣<ε|w(y)-w(x)| \leq |w(y)-w_N(y)|+|w_N(y)-w_N(x)|+|w_N(x)-w(x)|<\varepsilon

である。よって§E2.12 補題 1.9によりwwは連続である。▨

補題 2.5.XXを位相空間とし、(gn)n≥1(g_n)_{n\geq1}をXXからR\mathbb Rへの連続写像の列で、すべてのn≥1n\geq1とx∈Xx\in Xについて0≤gn(x)≤10\leq g_n(x)\leq1を満たすものとする。N≥1N\geq1に対してwN=∑n=1N2−ngnw_N=\sum_{n=1}^{N}2^{-n}g_nとおく。このとき、各x∈Xx\in Xについてw(x)=sup⁡{wN(x)∣N≥1}w(x)=\sup\{w_N(x)\mid N\geq1\}は実数として定まり、w ⁣:X→Rw\colon X\to\mathbb Rは0≤w≤10\leq w\leq1を満たす連続写像である。さらに、すべてのN≥1N\geq1とx∈Xx\in Xについて

wN(x)≤w(x)≤wN(x)+2−Nw_N(x)\leq w(x)\leq w_N(x)+2^{-N}

が成り立ち、w(x)=0w(x)=0であることと、すべてのn≥1n\geq1についてgn(x)=0g_n(x)=0であることとは同値である。

証明.補題 1.2 (1)により各wNw_Nは連続である。0≤gn≤10\leq g_n\leq1から各x∈Xx\in Xについて列(wN(x))N≥1(w_N(x))_{N\geq1}は単調増加であり

wN(x)≤∑n=1N2−n<1w_N(x)\leq\sum_{n=1}^{N}2^{-n}<1

を満たすから、§D1.4 定義 1.2により上限w(x)w(x)が実数として定まり、0≤w(x)≤10\leq w(x)\leq1である。M>NM>Nに対して

0≤wM(x)−wN(x)=∑n=N+1M2−ngn(x)≤∑n=N+1M2−n<2−N0\leq w_M(x)-w_N(x)=\sum_{n=N+1}^{M}2^{-n}g_n(x)\leq\sum_{n=N+1}^{M}2^{-n}<2^{-N}

であるから、上限をとってwN(x)≤w(x)≤wN(x)+2−Nw_N(x)\leq w(x)\leq w_N(x)+2^{-N}を得る。N≥1N\geq1について2N≥N2^{N}\geq Nが帰納法で従うから2−N≤1/N2^{-N}\leq1/Nであり、§D1.4 系 2.2により、任意の実数ε>0\varepsilon>0に対して2−N≤1/N<ε2^{-N}\leq1/N<\varepsilonを満たすNNが存在する。ゆえに定義 2.3の意味で(wN)N≥1(w_N)_{N\geq1}はwwへ一様収束し、定理 2.4によりwwは連続である。

w(x)=0w(x)=0とすると、0≤2−ngn(x)≤wn(x)≤w(x)=00\leq2^{-n}g_n(x)\leq w_n(x)\leq w(x)=0からすべてのnnについてgn(x)=0g_n(x)=0である。逆にすべてのnnについてgn(x)=0g_n(x)=0ならば、すべてのNNについてwN(x)=0w_N(x)=0であるからw(x)=0w(x)=0である。▨

定理 2.6.XXを空でない位相空間とする。Cb(X)C_b(X)はFb(X)\mathcal F_b(X)の閉集合であり、一様距離について完備な距離空間である。

証明.w∈Fb(X)w\in\mathcal F_b(X)をCb(X)C_b(X)の閉包の点とする。各n∈Z≥1n\in\mathbb Z_{\geq1}に対してd∞(wn,w)<1/nd_\infty(w_n,w)<1/nを満たすwn∈Cb(X)w_n\in C_b(X)をとると、任意のε>0\varepsilon>0に対して1/N≤ε1/N\leq\varepsilonを満たすNNをとればn≥Nn\geq Nのとき、すべてのx∈Xx\in Xについて∣wn(x)−w(x)∣≤d∞(wn,w)<ε\lvert w_n(x)-w(x)\rvert\leq d_\infty(w_n,w)<\varepsilonである。ゆえに定義 2.3の意味で(wn)(w_n)はwwへ一様収束し、定理 2.4によりwwは連続である。w∈Fb(X)w\in\mathcal F_b(X)からwwは有界であるからw∈Cb(X)w\in C_b(X)であり、§E2.11 命題 2.5 (2)によりCb(X)C_b(X)はFb(X)\mathcal F_b(X)の閉集合である。

§E2.5 定理 5.5によりFb(X)\mathcal F_b(X)は完備であるから、§E2.5 系 3.4により閉部分空間Cb(X)C_b(X)は完備である。▨

3 引き戻しと評価写像

命題 3.1.XX、YYを空でない位相空間、f ⁣:X→Yf\colon X\to Yを連続写像とする。u∈Cb(Y)u\in C_b(Y)に対してf∗(u)=u∘ff^{*}(u)=u\circ fと定めると、f∗f^{*}はCb(Y)C_b(Y)からCb(X)C_b(X)への写像であり、任意のu,v∈Cb(Y)u,v\in C_b(Y)に対して

d∞(f∗(u),f∗(v))≤d∞(u,v)d_\infty\bigl(f^{*}(u),f^{*}(v)\bigr)\leq d_\infty(u,v)

を満たす。とくにf∗f^{*}は連続である。f(X)f(X)がYYで稠密ならば等号が成り立ち、f∗f^{*}は等距離写像である。とくにffが全射ならばf∗f^{*}は等距離写像である。

証明.u∈Cb(Y)u\in C_b(Y)とすると、§E2.12 命題 1.10によりu∘fu\circ fは連続であり、uuの値の全体が有界であることからu∘fu\circ fも有界であるからf∗(u)∈Cb(X)f^{*}(u)\in C_b(X)である。

u,v∈Cb(Y)u,v\in C_b(Y)とx∈Xx\in Xについて

∣f∗(u)(x)−f∗(v)(x)∣=∣u(f(x))−v(f(x))∣≤d∞(u,v)\bigl\lvert f^{*}(u)(x)-f^{*}(v)(x)\bigr\rvert=\bigl\lvert u(f(x))-v(f(x))\bigr\rvert\leq d_\infty(u,v)

であるから、左辺の上限をとってd∞(f∗(u),f∗(v))≤d∞(u,v)d_\infty(f^{*}(u),f^{*}(v))\leq d_\infty(u,v)を得る。この不等式により、ε>0\varepsilon>0に対してδ=ε\delta=\varepsilonとおけば連続性の条件が満たされる。

f(X)f(X)がYYで稠密であるとする。u,v∈Cb(Y)u,v\in C_b(Y)をとり、c=d∞(f∗(u),f∗(v))c=d_\infty(f^{*}(u),f^{*}(v))とおく。補題 1.2 (1)と補題 1.2 (2)によりw=∣u−v∣w=\lvert u-v\rvertはYYからR\mathbb Rへの連続写像であり、x∈Xx\in Xについてw(f(x))=∣f∗(u)(x)−f∗(v)(x)∣≤cw(f(x))=\lvert f^{*}(u)(x)-f^{*}(v)(x)\rvert\leq cであるから、f(X)⊆w−1((−∞,c])f(X)\subseteq w^{-1}\bigl((-\infty,c]\bigr)である。§E2.12 命題 1.6によりw−1((−∞,c])w^{-1}\bigl((-\infty,c]\bigr)はYYの閉集合であるから、§E2.11 命題 2.5 (1)によりf(X)‾⊆w−1((−∞,c])\overline{f(X)}\subseteq w^{-1}\bigl((-\infty,c]\bigr)であり、§E2.11 定義 2.7によりf(X)‾=Y\overline{f(X)}=Yである。ゆえにすべてのy∈Yy\in Yについて∣u(y)−v(y)∣≤c\lvert u(y)-v(y)\rvert\leq cであり、上限をとってd∞(u,v)≤cd_\infty(u,v)\leq cを得る。ffが全射ならばf(X)=Yf(X)=YはYYで稠密であるから、この場合も等号が成り立つ。▨

系 3.2.XXを空でない位相空間とする。

  1. 各x∈Xx\in Xとu,v∈Cb(X)u,v\in C_b(X)について∣u(x)−v(x)∣≤d∞(u,v)\lvert u(x)-v(x)\rvert\leq d_\infty(u,v)が成り立つ。
  2. Cb(X)C_b(X)の点列(un)(u_n)がu∈Cb(X)u\in C_b(X)へ収束するならば、各x∈Xx\in Xについて実数列(un(x))(u_n(x))はu(x)u(x)へ収束する。

証明.(1)を示す。x∈Xx\in Xをとる。一点部分空間{x}\{x\}の包含写像ι{x} ⁣:{x}→X\iota_{\{x\}}\colon\{x\}\to Xは§E2.12 定理 4.4 (1)により連続であるから、命題 3.1により、これに沿った引き戻しι{x}∗ ⁣:Cb(X)→Cb({x})\iota_{\{x\}}^{*}\colon C_b(X)\to C_b(\{x\})は

d∞(ι{x}∗(u),ι{x}∗(v))≤d∞(u,v)d_\infty\bigl(\iota_{\{x\}}^{*}(u),\iota_{\{x\}}^{*}(v)\bigr)\leq d_\infty(u,v)

を満たす。§E2.5 定義 5.2の一様距離は一点集合の上の関数に対しては一元集合の上限であるから、左辺は∣u(x)−v(x)∣\lvert u(x)-v(x)\rvertに等しい。

(2)を示す。x∈Xx\in Xとε>0\varepsilon>0をとる。(un)(u_n)がuuへ収束することから、n≥Nn\geq Nを満たすすべてのnnについてd∞(un,u)<εd_\infty(u_n,u)<\varepsilonが成り立つNNが存在する。そのようなnnについて、(1)により∣un(x)−u(x)∣≤d∞(un,u)<ε\lvert u_n(x)-u(x)\rvert\leq d_\infty(u_n,u)<\varepsilonである。ゆえに(un(x))(u_n(x))はu(x)u(x)へ収束する。▨

命題 3.3.XXを空でない位相空間とし、X×Cb(X)X\times C_b(X)に積位相を入れる。評価写像

ev⁡ ⁣:X×Cb(X)⟶R,ev⁡(x,u)=u(x)\operatorname{ev}\colon X\times C_b(X)\longrightarrow\mathbb R, \qquad \operatorname{ev}(x,u)=u(x)

は連続である。

証明.(x0,u0)∈X×Cb(X)(x_0,u_0)\in X\times C_b(X)とε>0\varepsilon>0をとる。u0u_0は連続であるから、x0x_0を含む開集合OOで、すべてのx∈Ox\in Oが∣u0(x)−u0(x0)∣<ε/2\lvert u_0(x)-u_0(x_0)\rvert<\varepsilon/2を満たすものが存在する。B={u∈Cb(X)∣d∞(u,u0)<ε/2}B=\{u\in C_b(X)\mid d_\infty(u,u_0)<\varepsilon/2\}は§E2.2 補題 1.2によりCb(X)C_b(X)の開集合でありu0u_0を含む。(x,u)∈O×B(x,u)\in O\times Bに対して

∣u(x)−u0(x0)∣≤∣u(x)−u0(x)∣+∣u0(x)−u0(x0)∣≤d∞(u,u0)+∣u0(x)−u0(x0)∣<ε\lvert u(x)-u_0(x_0)\rvert\leq\lvert u(x)-u_0(x)\rvert+\lvert u_0(x)-u_0(x_0)\rvert \leq d_\infty(u,u_0)+\lvert u_0(x)-u_0(x_0)\rvert<\varepsilon

である。§E2.14 補題 1.11によりO×BO\times Bは(x0,u0)(x_0,u_0)の近傍であるから、§E2.12 補題 1.9によりev⁡\operatorname{ev}は連続である。▨

4 零集合と余零集合

定義 4.1.XXを位相空間とし、f∈C(X,R)f\in C(X,\mathbb R)とする。

Z(f)=f−1({0})={x∈X∣f(x)=0}Z(f)=f^{-1}(\{0\})=\{x\in X\mid f(x)=0\}

をffの 零集合 (zero set) という。あるf∈C(X,R)f\in C(X,\mathbb R)についてA=Z(f)A=Z(f)と書ける部分集合A⊆XA\subseteq XをXXの零集合といい、XXの零集合の全体をZ(X)\mathcal Z(X)と書く。

定義 4.2.XXを位相空間とし、f∈C(X,R)f\in C(X,\mathbb R)とする。Z(f)Z(f)の補集合

coz⁡(f)=X∖Z(f)={x∈X∣f(x)≠0}\operatorname{coz}(f)=X\setminus Z(f)=\{x\in X\mid f(x)\ne0\}

をffの 余零集合 (cozero set) という。XXの零集合の補集合をXXの余零集合という。

命題 4.3.XXを位相空間とし、f,g∈C(X,R)f,g\in C(X,\mathbb R)、c∈Rc\in\mathbb Rとする。

  1. Z(f)Z(f)はXXの閉集合であり、coz⁡(f)\operatorname{coz}(f)はXXの開集合である。さらに、XXの開集合の列(Vn)n∈Z≥1(V_n)_{n\in\mathbb Z_{\ge1}}でZ(f)=⋂n∈Z≥1VnZ(f)=\bigcap_{n\in\mathbb Z_{\ge1}}V_nを満たすものが存在する。
  2. X=Z(0)X=Z(0)と∅=Z(1)\emptyset=Z(1)はいずれもXXの零集合である。ここで00と11は値00と値11をとる定数写像である。
  3. Z(f)∩Z(g)=Z(f2+g2)Z(f)\cap Z(g)=Z(f^2+g^2)かつZ(f)∪Z(g)=Z(fg)Z(f)\cup Z(g)=Z(fg)である。とくにZ(X)\mathcal Z(X)は有限個の共通部分と有限個の和集合について閉じている。
  4. f−1({c})=Z(f−c)f^{-1}(\{c\})=Z(f-c)、f−1((−∞,c])=Z(max⁡(f−c,0))f^{-1}((-\infty,c])=Z(\max(f-c,0))およびf−1([c,∞))=Z(min⁡(f−c,0))f^{-1}([c,\infty))=Z(\min(f-c,0))はいずれもXXの零集合である。
  5. (Zn)n∈N≥1(Z_n)_{n\in\NN}をXXの零集合の列とする。このとき⋂n∈N≥1Zn\bigcap_{n\in\NN}Z_nは零集合である。

証明.{0}\{0\}はR\mathbb Rの閉集合であるから、§E2.12 命題 1.6によりZ(f)Z(f)は閉集合であり、coz⁡(f)\operatorname{coz}(f)は開集合である。補題 1.2 (2)により∣f∣∈C(X,R)\lvert f\rvert\in C(X,\mathbb R)であるから

Vn=∣f∣−1((−1n,1n))(n∈Z≥1)V_n=\lvert f\rvert^{-1}\bigl((-\tfrac1n,\tfrac1n)\bigr)\qquad(n\in\mathbb Z_{\ge1})

は開集合である。f(x)=0f(x)=0ならばすべてのnnでx∈Vnx\in V_nであり、逆にすべてのnnで∣f(x)∣<1/n\lvert f(x)\rvert<1/nならば、§D1.4 系 2.2により∣f(x)∣>0\lvert f(x)\rvert>0ではありえないのでf(x)=0f(x)=0である。ゆえにZ(f)=⋂n∈Z≥1VnZ(f)=\bigcap_{n\in\mathbb Z_{\ge1}}V_nであり、(1)が成り立つ。

定数写像は補題 1.2 (1)によりC(X,R)C(X,\mathbb R)に属し、Z(0)=XZ(0)=XとZ(1)=∅Z(1)=\emptysetである。これが(2)である。

f2+g2f^2+g^2とfgfgは補題 1.2 (1)によりC(X,R)C(X,\mathbb R)に属する。実数s,ts,tについてs2+t2=0s^2+t^2=0であることとs=t=0s=t=0であることは同値であり、st=0st=0であることとs=0s=0またはt=0t=0であることは同値である。x∈Xx\in Xごとにこれをs=f(x)s=f(x)、t=g(x)t=g(x)へ適用すると(3)の二つの等式を得る。二つの零集合の共通部分と和集合が零集合であることから、有限個の場合が個数についての帰納法で従う。共通部分と和集合の個数が00の場合は(2)が与える。

f−cf-c、max⁡(f−c,0)\max(f-c,0)およびmin⁡(f−c,0)\min(f-c,0)は補題 1.2 (1)と補題 1.2 (2)によりC(X,R)C(X,\mathbb R)に属する。実数ttについてt−c=0t-c=0、max⁡(t−c,0)=0\max(t-c,0)=0、min⁡(t−c,0)=0\min(t-c,0)=0はそれぞれt=ct=c、t≤ct\le c、t≥ct\ge cと同値であるから、(4)が成り立つ。

(5)を示す。各n∈N≥1n\in\NNに対してZn=Z(fn)Z_n=Z(f_n)を満たすfn∈C(X,R)f_n\in C(X,\R)をとる。gn=min⁡{∣fn∣,1}g_n=\min\{\lvert f_n\rvert,1\}とおくと、補題 1.2によりgn∈C(X,R)g_n\in C(X,\R)、0≤gn≤10\le g_n\le1およびZ(gn)=ZnZ(g_n)=Z_nである。補題 2.5によりh=∑n∈N≥12−ngnh=\sum_{n\in\NN}2^{-n}g_nは連続であり、h(x)=0h(x)=0であることとすべてのn∈N≥1n\in\NNについてgn(x)=0g_n(x)=0であることとは同値である。したがってZ(h)=⋂n∈N≥1ZnZ(h)=\bigcap_{n\in\NN}Z_nである。▨

5 連続関数環

命題 5.1.XXを位相空間とする。

  1. 各点ごとの和と積により、C(X,R)C(X,\mathbb R)は可換環である。加法単位元は値00をとる定数写像であり、乗法単位元は値11をとる定数写像である。以下、実数ccに対して値ccをとる定数写像を同じ記号ccで書く。
  2. f∈C(X,R)f\in C(X,\mathbb R)がC(X,R)C(X,\mathbb R)において乗法逆元をもつことと、Z(f)=∅Z(f)=\emptysetであることは同値である。

証明.補題 1.2 (1)により、f,g∈C(X,R)f,g\in C(X,\mathbb R)に対してf+gf+g、fgfg、−f=(−1)f-f=(-1)fおよび定数写像はC(X,R)C(X,\mathbb R)に属する。§E1.5 定義 2.1が課す条件はいずれも各点ごとの等式であり、R\mathbb Rが可換環であることから成り立つ。値00と値11をとる定数写像がそれぞれ加法単位元と乗法単位元である。ゆえに(1)が成り立つ。

fg=1fg=1を満たすg∈C(X,R)g\in C(X,\mathbb R)があれば、各x∈Xx\in Xでf(x)g(x)=1f(x)g(x)=1であるからf(x)≠0f(x)\ne0であり、Z(f)=∅Z(f)=\emptysetである。逆にZ(f)=∅Z(f)=\emptysetならば補題 1.2 (3)により1/f∈C(X,R)1/f\in C(X,\mathbb R)であり、f⋅(1/f)=1f\cdot(1/f)=1である。これが(2)である。▨

補題 5.2.XXを位相空間とし、c∈Rc\in\mathbb Rに値ccをとる定数写像を対応させる写像をκX ⁣:R→C(X,R)\kappa_X\colon\mathbb R\to C(X,\mathbb R)とする。κX\kappa_Xは環準同型であり、X≠∅X\ne\emptysetならば単射である。

証明.補題 1.2 (1)により定数写像はC(X,R)C(X,\mathbb R)に属する。定数写像の和と積は、対応する定数の和と積をとる定数写像であるから、κX\kappa_Xは加法と乗法を保つ。κX(1)=1\kappa_X(1)=1を満たすのでκX\kappa_Xは環準同型である。X≠∅X\ne\emptysetのときx∈Xx\in Xをとると、c≠c′c\ne c'ならばκX(c)(x)=c≠c′=κX(c′)(x)\kappa_X(c)(x)=c\ne c'=\kappa_X(c')(x)であるからκX\kappa_Xは単射である。▨

6 関数族による分離

命題 6.1. 位相空間XXと実数値連続写像の族(uλ ⁣:X→R)λ∈Λ(u_\lambda\colon X\to\mathbb R)_{\lambda\in\Lambda}が§E2.14 定義 6.1 (1)の意味で点を分離するならば、XXは T2 空間である。

証明. 相異なるx,y∈Xx,y\in Xをとる。仮定によりuλ(x)≠uλ(y)u_\lambda(x)\neq u_\lambda(y)を満たすλ\lambdaが存在するので、u=uλu=u_\lambdaとおく。ε=∣u(x)−u(y)∣/2>0\varepsilon=\lvert u(x)-u(y)\rvert/2>0とおき、

U=u−1((u(x)−ε,u(x)+ε)),V=u−1((u(y)−ε,u(y)+ε))U=u^{-1}\bigl((u(x)-\varepsilon,u(x)+\varepsilon)\bigr), \qquad V=u^{-1}\bigl((u(y)-\varepsilon,u(y)+\varepsilon)\bigr)

とおく。§E2.12 定義 1.1によりUUとVVはXXの開集合であり、x∈Ux\in U、y∈Vy\in Vである。z∈U∩Vz\in U\cap Vとすると

∣u(x)−u(y)∣≤∣u(x)−u(z)∣+∣u(z)−u(y)∣<2ε=∣u(x)−u(y)∣\lvert u(x)-u(y)\rvert\leq\lvert u(x)-u(z)\rvert+\lvert u(z)-u(y)\rvert<2\varepsilon=\lvert u(x)-u(y)\rvert

となって両立しない。ゆえにU∩V=∅U\cap V=\emptysetであり、§E2.15 定義 1.2によりXXは T2 空間である。▨

参考文献

  1. 松坂和夫『集合・位相入門』新装版, 岩波書店, 2018.一様収束と一様収束極限の連続性の標準的な扱いを参考にした。
  2. Leonard Gillman and Meyer Jerison, Rings of Continuous Functions, Graduate Texts in Mathematics 43, Springer, New York, 1976.零集合と余零集合の定義、および実数値連続関数の全体がもつ束としての構造を参考にした。
  3. Ryszard Engelking, General Topology, revised and completed ed., Sigma Series in Pure Mathematics 6, Heldermann Verlag, Berlin, 1989.有界連続関数の空間と一様距離、および関数族による分離の扱いを参考にした。

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