1 コンパクト開位相と各点収束
定義 1.1.(X,OX)と(Y,OY)を位相空間とし、連続写像全体をC(X,Y)と書く。コンパクト部分集合K⊆XとU∈OYに対して
[K,U]={f∈C(X,Y)∣f(K)⊆U}とおく。コンパクト部分集合Kと開集合Uを動かして得られる集合族{[K,U]}が準開基として生成する位相を コンパクト開位相 (compact-open topology) という。その準開基の有限個の共通部分とC(X,Y)を コンパクト開基本開集合 (compact-open basic open set) という。
例 1.2.(Y,OY)を位相空間とし、P={p}を一点空間とする。PからYへの任意の写像は連続であるから、写像
e:C(P,Y)⟶Y,e(f)=f(p)は全単射である。Pのコンパクト部分集合は∅とPだけであり、[∅,U]=C(P,Y)および[P,U]=e−1(U)が成り立つ。したがって、コンパクト開位相は{e−1(U)∣U∈OY}である。よってeとe−1はともに連続であり、eは同相写像である。
定義 1.3.(X,OX)と(Y,OY)を位相空間とする。x∈XとU∈OYに対して
W(x,U)={f∈C(X,Y)∣f(x)∈U}とおく。集合族{W(x,U)∣x∈X, U∈OY}が生成するC(X,Y)の位相を 各点収束の位相 (topology of pointwise convergence) といい、集合C(X,Y)に各点収束の位相を入れた位相空間をCp(X,Y)と書く。Cp(X,R)をCp(X)と略記する。X=∅のとき、Cp(X,Y)は空写像だけからなる一点空間である。
定理 1.4.(X,OX)と(Y,OY)を位相空間とする。このとき、自然な写像Cp(X,Y)→YXはYXの直積位相に関して位相的埋め込みである。
証明. 積位相の準開基要素πx−1(U)に対して
πx−1(U)∩Cp(X,Y)=W(x,U)が成り立つ。§E2.13 系 3.3により、二つの位相を生成する準開基が一致する。▨
補題 1.5.Xを Tychonoff 空間、F⊆Xを有限集合とする。任意の写像a:F→Rに対して、f∣F=aを満たす連続写像f:X→Rが存在する。
証明. 各x∈Fに対して、F∖{x}は§E2.15 命題 1.5により閉集合であり、xを含まない。完全正則性により、gx(x)=0でありF∖{x}上で値1をとる連続写像gx:X→[0,1]を選ぶ。これらを実数値連続関数とみなし、
f=x∈F∑a(x)(1−gx)とおく。§E2.16 補題 1.2 (1)によりfは連続である。y∈Fに対して、x=yの項はa(y)であり、x=yの項は0なので、f(y)=a(y)である。F=∅の場合、この空和は零関数であり、やはりf∣F=aを満たす。▨
系 1.6.Xを Tychonoff 空間とする。自然な埋め込みCp(X)→RXの像はRXで稠密である。
証明.U⊆RXを空でない開集合とし、h∈Uをとる。§E2.14 命題 1.3により、有限集合F⊆Xと各x∈Fに対するRの開集合Vxを
h∈x∈F⋂prx−1(Vx)⊆Uとなるようにとることができる。補題 1.5をa=h∣Fに適用すると、f∣F=h∣Fを満たす連続写像f:X→Rが存在する。各x∈Fに対してf(x)=h(x)∈Vxであるからf∈Uである。したがって§E2.11 命題 2.9 (2)によりCp(X)の像はRXで稠密である。▨
命題 1.7.(X,OX)と(Y,OY)を位相空間とする。点列(fn)n≥1とf∈Cp(X,Y)について、各点収束の位相でfn→fであることと、すべてのx∈Xに対してYでfn(x)→f(x)であることは同値である。
証明.fn→fとし、x∈Xとf(x)の開近傍Uをとる。W(x,U)はfの開近傍であるから、あるNが存在し、n≥Nならばfn∈W(x,U)、すなわちfn(x)∈Uとなる。よって各x∈Xでfn(x)→f(x)である。
逆に、すべてのx∈Xでfn(x)→f(x)とする。Oをfの開近傍とする。準開基が生成する開基から、f∈B⊆Oを満たす基本開集合Bが存在する。B=C(X,Y)の場合は、すべてのnについてfn∈B⊆Oである。B=C(X,Y)の場合は、ある正の整数m、点x1,…,xm∈X、および開集合U1,…,Um⊆Yにより
B=i=1⋂mW(xi,Ui)と書くことができる。各iについてfn(xi)→f(xi)∈Uiであるから、n≥Niならばfn(xi)∈UiとなるNiが存在する。N=max{N1,…,Nm}とおけば、n≥Nならばfn∈B⊆Oである。したがってfn→fである。▨
命題 1.8.(X,OX)と(Y,OY)を位相空間とする。C(X,Y)のコンパクト開位相は各点収束の位相より細かい。
証明.x∈Xをとる。{x}の任意の開被覆からxを含む一要素を選べば有限部分被覆となるため、{x}はコンパクトである。任意の開集合U⊆Yに対して
W(x,U)=[{x},U]である。したがって各点収束の位相の準開基はコンパクト開位相に含まれ、その準開基が生成する各点収束の位相もコンパクト開位相に含まれる。▨
例 1.9.X=Y=Rに通常の位相を入れ、
K={0}∪{1/n∣n≥1}とおく。Kの任意の開被覆をとり、0を含む被覆要素Uを一つとる。あるε>0について(−ε,ε)⊆Uであり、§D1.4 命題 2.1により1/N<εとなる正の整数Nをとれば、n≥Nに対する1/nはすべてUに含まれる。残る1,1/2,…,1/(N−1)を覆う被覆要素を一つずつ追加すれば有限部分被覆を得る。したがってKはコンパクトである。零写像0C∈C(R,R)はコンパクト開位相の開集合[K,(−1,1)]に属する。
[K,(−1,1)]が各点収束の位相で開いていると仮定する。0Cを含む基本開集合BでB⊆[K,(−1,1)]を満たすものが存在する。B=C(R,R)の場合をm=0と書き、それ以外の場合は
B=i=1⋂mW(xi,Ui),m≥1,0∈Uiと書く。集合{1/n∣n≥1}は無限であるから、t∈{1/n∣n≥1}∖{x1,…,xm}をとることができる。
δ=min({∣t−xi∣∣1≤i≤m}∪{1})>0,g(s)=max{0,1−δ∣s−t∣}とおく。m=0の場合にも右の有限集合は{1}であり、δ=1と定まる。任意のs,s′∈Rに対して、逆三角不等式とa↦max{0,a}が1-Lipschitz であることから
∣g(s)−g(s′)∣≤δ∣s−t∣−∣s′−t∣≤δ∣s−s′∣が成り立つ。よってgは1/δ-Lipschitz であり、§E2.4 命題 3.4により連続である。各iについて∣xi−t∣≥δなのでg(xi)=0∈Uiである。m=0の場合にも自明にg∈Bである。したがってg∈Bである。一方、t∈Kかつg(t)=1∈/(−1,1)であるからg∈/[K,(−1,1)]である。これはB⊆[K,(−1,1)]に反する。ゆえに[K,(−1,1)]は各点収束の位相で開いておらず、コンパクト開位相は各点収束の位相より真に細かい。
2 一様距離と完備性
補題 2.1.(X,OX)を位相空間、(Y,dY)を距離空間とし、YにはdYが生じる位相を入れる。f,g∈C(X,Y)に対してh:X→R、h(x)=dY(f(x),g(x))は連続である。
証明.V⊆Rを開集合とし、x0∈h−1(V)をとる。あるε>0について(h(x0)−ε,h(x0)+ε)⊆Vである。
U=f−1(B(f(x0),ε/2))∩g−1(B(g(x0),ε/2))とおく。f,gの連続性によりUはx0の開近傍である。x∈Uならば、三角不等式をx,x0の両順序で用いることにより
∣h(x)−h(x0)∣≤dY(f(x),f(x0))+dY(g(x),g(x0))<εとなる。したがってU⊆h−1(V)である。x0は任意であるからh−1(V)は開集合であり、hは連続である。▨
定義 2.2. 集合E上の写像d:E×E→Rが、任意のu,v,w∈Eに対してd(u,u)=0、d(u,v)=d(v,u)、d(u,w)≤d(u,v)+d(v,w)を満たすとき、dを 擬距離 (pseudometric) という。
定義 2.3.(X,OX)を位相空間、(Y,dY)を距離空間とし、K⊆Xをコンパクト部分集合とする。f,g∈C(X,Y)に対して
ρK(f,g)={maxx∈KdY(f(x),g(x))0(K=∅),(K=∅)と定め、ρKをK上の 一様擬距離 (uniform pseudometric) という。この最大値の存在と、ρKが定義 2.2に従って擬距離であることは命題 2.4が示す。
命題 2.4.(X,OX)を位相空間、(Y,dY)を距離空間とし、K⊆Xをコンパクト部分集合とする。f,g∈C(X,Y)に対して、定義 2.3に現れる最大値はK=∅のとき存在し、ρKは擬距離である。さらに、K⊆Lを満たすコンパクト部分集合L⊆Xに対してρK(f,g)≤ρL(f,g)である。
証明.K=∅なら、補題 2.1によりx↦dY(f(x),g(x))は連続であり、§E2.19 定理 4.4によりK上で最大値をとる。したがってρKは定まる。
K=∅の場合、任意のf,g,h∈C(X,Y)に対してρK(f,f)=0、ρK(f,g)=ρK(g,f)=0、およびρK(f,h)=0≤0+0=ρK(f,g)+ρK(g,h)が成り立つ。K=∅の場合、dYの距離公理からρK(f,f)=0とρK(f,g)=ρK(g,f)が従う。また、任意のx∈Kに対して
dY(f(x),h(x))≤dY(f(x),g(x))+dY(g(x),h(x))≤ρK(f,g)+ρK(g,h)である。右辺はxに依存しないため、左辺のK上の最大値をとると
ρK(f,h)≤ρK(f,g)+ρK(g,h)を得る。よってρKは擬距離である。
K⊆Lとする。K=∅ならばρK(f,g)=0≤ρL(f,g)である。K=∅ならばL=∅であり、任意のx∈KについてdY(f(x),g(x))≤ρL(f,g)であるから、K上の最大値をとってρK(f,g)≤ρL(f,g)を得る。▨
証明.f∈C(X,R)をとる。Xは空でないコンパクト空間であるから、§E2.19 定理 4.4によりfはX上で最大値βと最小値αをとる。M=max{∣α∣,∣β∣}とおくと、任意のx∈Xについてα≤f(x)≤βであるから∣f(x)∣≤Mである。よってfは有界な実数値関数であり、§E2.5 定義 5.2によりf∈Fb(X)である。
f,g∈C(X,R)をとり、
A={∣f(x)−g(x)∣∣x∈X}とおく。X自身がXの空でないコンパクト部分集合であるから、定義 2.3と命題 2.4により
ρX(f,g)=x∈Xmax∣f(x)−g(x)∣である。したがってρX(f,g)∈Aであり、任意のx∈Xについて∣f(x)−g(x)∣≤ρX(f,g)であるから、ρX(f,g)はAの上界である。uをAの上界とすると、ρX(f,g)∈AによりρX(f,g)≤uである。ゆえにρX(f,g)はAの上界のうち最小のものであり、§D1.4 定義 1.1により
x∈Xsup∣f(x)−g(x)∣=ρX(f,g)である。左辺は§E2.5 定義 5.2で定めた一様距離のf,gにおける値であり、右辺は定義 2.5によりd∞(f,g)である。よって二つの一様距離はC(X,R)上で一致する。▨
証明.命題 2.4により擬距離である。d∞(f,g)=0なら、すべてのx∈XでdY(f(x),g(x))=0となりf=gである。X=∅の場合にもC(X,Y)は一点集合である。▨
証明.X=∅ならばC(X,Y)は空写像だけからなる一点集合であり、二つの位相はいずれも一点集合の位相である。以下、X=∅とする。
K⊆Xをコンパクト部分集合、U⊆Yを開集合とする。K=∅またはF=Y∖U=∅ならば[K,U]=C(X,Y)であり、一様距離の位相で開いている。K=∅かつF=∅とし、f∈[K,U]をとる。各y∈Yに対して、集合{dY(y,z)∣z∈F}は空でなく0を下界にもつため、
φ0(y)=z∈FinfdY(y,z)は§D1.4 命題 1.4により実数として定まる。y,y′∈Yとz∈Fに対してdY(y,z)≤dY(y,y′)+dY(y′,z)であるから、zに関する下限をとってφ0(y)≤dY(y,y′)+φ0(y′)を得る。y,y′を交換した不等式と合わせると
∣φ0(y)−φ0(y′)∣≤dY(y,y′)である。したがってφ0は1-Lipschitz であり、§E2.4 命題 3.4により連続である。
φ=φ0∘fは連続である。x∈Kに対してf(x)∈Uであり、Uは開集合であるから、あるrx>0についてB(f(x),rx)⊆Uである。したがってz∈FならばdY(f(x),z)≥rxであり、φ(x)≥rx>0となる。§E2.19 定理 4.4によりφ∣Kは最小値
ε=x∈Kminφ(x)をとる。最小値をとる点でもφは正であるから、ε>0である。
d∞(f,g)<εとする。x∈Kに対して
dY(f(x),g(x))≤d∞(f,g)<ε≤z∈FinfdY(f(x),z)である。g(x)∈Fならば右辺はdY(f(x),g(x))以下となって矛盾するため、g(x)∈Uである。よってg∈[K,U]であり、Bd∞(f,ε)⊆[K,U]である。各準開基要素は一様距離の位相で開いているため、コンパクト開位相は一様距離の位相に含まれる。
逆に、一様距離の位相の開集合Vとf∈Vをとり、Bd∞(f,ε)⊆Vを満たすε>0をとる。§E2.9 定理 5.1により、
dX(x,x′)<δ⟹dY(f(x),f(x′))<ε/4を満たすδ>0が存在する。開球族{B(a,δ/3)}a∈Xから有限部分被覆B(a1,δ/3),…,B(an,δ/3)をとる。
Ki=B(ai,δ/3)とおく。Kiはコンパクト空間Xの閉部分集合なので§E2.19 命題 4.1によりコンパクトである。また、連続な距離関数の閉区間の逆像である閉集合{x∈X∣dX(x,ai)≤δ/3}はB(ai,δ/3)を含むため、閉包の最小性から
Ki⊆{x∈X∣dX(x,ai)≤δ/3}である。したがってx∈KiならばdY(f(x),f(ai))<ε/4である。Ui=B(f(ai),ε/4)とおけばf(Ki)⊆Uiであり、
N=i=1⋂n[Ki,Ui]はfを含むコンパクト開基本開集合である。g∈Nとx∈Xをとり、x∈B(ai,δ/3)⊆Kiを満たすiを選ぶ。f(x),g(x)∈Uiであるから
dY(f(x),g(x))≤dY(f(x),f(ai))+dY(f(ai),g(x))<ε/2.xは任意であるからd∞(f,g)≤ε/2<εである。よってN⊆Bd∞(f,ε)⊆Vとなる。したがってVはコンパクト開位相で開いており、一様距離の位相はコンパクト開位相に含まれる。▨
定理 2.10.(X,OX)をコンパクト位相空間、(Y,dY)を完備距離空間とする。一様距離を入れたC(X,Y)は完備である。
証明.X=∅ならばC(X,Y)は空写像だけからなる一点集合であり、その任意の Cauchy 列は空写像へ収束する。以下、X=∅とし、(fn)n≥1を(C(X,Y),d∞)の Cauchy 列とする。
x∈Xを固定する。任意のm,nに対して
dY(fm(x),fn(x))≤d∞(fm,fn)であるから、(fn(x))nはYの Cauchy 列である。Yの完備性により極限は存在し、距離空間における極限の一意性により一意である。その極限をf(x)と書くと、f:X→Yが定まる。
ε>0をとる。(fn)が Cauchy 列であることから、m,n≥Nならばd∞(fm,fn)<ε/2となるNが存在する。n≥Nとx∈Xを固定し、η>0をとる。fm(x)→f(x)であるから、m≥NかつdY(fm(x),f(x))<ηとなるmが存在する。このとき
dY(fn(x),f(x))≤dY(fn(x),fm(x))+dY(fm(x),f(x))<ε/2+η.η>0は任意であるから
dY(fn(x),f(x))≤ε/2(n≥N, x∈X)(1)を得る。この評価は、任意の正のεについて成り立つ。
fの連続性を示す。V⊆Yを開集合とし、x0∈f−1(V)をとる。あるr>0についてB(f(x0),r)⊆Vである。(1) を2r/3に対して用い、すべてのx∈XについてdY(fn(x),f(x))≤r/3となる一つのnを固定する。fnは連続であるから
U=fn−1(B(fn(x0),r/3))はx0の開近傍である。x∈Uならば
dY(f(x),f(x0))≤dY(f(x),fn(x))+dY(fn(x),fn(x0))+dY(fn(x0),f(x0))<r.したがってU⊆f−1(V)である。x0は任意であるからf−1(V)は開集合であり、f∈C(X,Y)である。
最後に、(1) からn≥Nならば
d∞(fn,f)=x∈XmaxdY(fn(x),f(x))≤ε/2<εとなる。よってfn→fであり、C(X,Y)は完備である。▨
3 コンパクト収束と距離化
補題 3.1.(X,OX)を位相空間、(Y,dY)を距離空間とする。開球の記法を一様擬距離へ広げ、f∈C(X,Y)、コンパクト部分集合K⊆X、およびε>0に対して
BK(f,ε)={g∈C(X,Y)∣ρK(f,g)<ε}と書く。f、K、εを動かして得られる集合BK(f,ε)の全体は、位相の開基となるための二条件を満たす。
証明.f∈C(X,Y)ならばρ∅(f,f)=0<1なのでf∈B∅(f,1)であり、開基候補の和はC(X,Y)である。
g∈BK1(f1,ε1)∩BK2(f2,ε2)とする。
ηi=εi−ρKi(fi,g)>0(i=1,2),K=K1∪K2,η=min{η1,η2}>0とおく。§E2.19 補題 2.8によりKはコンパクトである。h∈BK(g,η)ならば、i=1,2について
ρKi(fi,h)≤ρKi(fi,g)+ρKi(g,h)≤(εi−ηi)+ρK(g,h)<(εi−ηi)+η≤εiである。よってBK(g,η)⊆BK1(f1,ε1)∩BK2(f2,ε2)である。またρK(g,g)=0<ηなのでg∈BK(g,η)である。したがって開基の二条件が成り立つ。▨
定義 3.2.(X,OX)を位相空間、(Y,dY)を距離空間とする。補題 3.1が与える開基から生成されるC(X,Y)の位相を コンパクト集合上の一様収束の位相 (topology of uniform convergence on compacta)、または コンパクト収束の位相 (compact convergence topology) という。
命題 3.3.(X,OX)を位相空間、(Y,dY)を距離空間とし、C(X,Y)にコンパクト収束の位相を入れる。点列(fn)n≥1とf∈C(X,Y)について、fn→fがコンパクト収束の位相で成り立つことと、任意のコンパクト部分集合K⊆Xに対してρK(fn,f)→0であることは同値である。
証明.fn→fとし、コンパクト部分集合K⊆Xとε>0をとる。BK(f,ε)はfの開近傍なので、あるNが存在し、n≥Nならばfn∈BK(f,ε)、すなわちρK(fn,f)<εとなる。よってρK(fn,f)→0である。
逆に、すべてのコンパクト部分集合KについてρK(fn,f)→0とする。Oをfの開近傍とする。ある開基の元BK(f0,ε)についてf∈BK(f0,ε)⊆Oである。η=ε−ρK(f0,f)>0とおく。あるNが存在し、n≥NならばρK(fn,f)<ηとなる。三角不等式により
ρK(f0,fn)≤ρK(f0,f)+ρK(f,fn)<(ε−η)+η=εであるから、fn∈BK(f0,ε)⊆Oである。よってfn→fである。▨
証明.X自身がコンパクトであり、BX(f,ε)=Bd∞(f,ε)である。したがって一様距離の各開球はコンパクト収束の位相で開いており、一様距離の位相はコンパクト収束の位相に含まれる。
逆に、Oをコンパクト収束の位相の開集合、f∈Oとする。ある開基の元BK(f0,ε)についてf∈BK(f0,ε)⊆Oである。η=ε−ρK(f0,f)>0とおく。d∞(f,g)<ηならばK⊆Xと三角不等式により
ρK(f0,g)≤ρK(f0,f)+ρK(f,g)≤(ε−η)+d∞(f,g)<εである。よってBd∞(f,η)⊆BK(f0,ε)⊆Oであり、Oは一様距離の位相で開いている。二つの位相は一致する。▨
補題 3.5.(X,OX)を局所コンパクト位相空間とし、C⊆Xをコンパクト部分集合とする。このとき、開集合W⊆Xとコンパクト部分集合N⊆XでC⊆W⊆Nを満たすものが存在する。
証明.C=∅の場合はW=N=∅とする。C=∅とし、
V={U∈OX∣U⊆N′ を満たすコンパクト部分集合 N′⊆X が存在する}とおく。局所コンパクト性により、各x∈CはあるU∈Vに属する。したがってVはCの開被覆である。Cのコンパクト性から、有限部分被覆U1,…,Um∈Vをとることができる。各iについては、この有限個を得た後でUi⊆Niを満たすコンパクト部分集合Niを一つとる。W=⋃i=1mUi、N=⋃i=1mNiとおけば、Wは開集合であり、§E2.19 補題 2.8によりNはコンパクトであり、C⊆W⊆Nが成り立つ。▨
定理 3.6.(X,OX)を局所コンパクトかつ σ-コンパクトな位相空間とする。このとき、コンパクト部分集合の列(Kn)n≥1で、各nについてKn⊆int(Kn+1)、X=⋃n≥1Kn、および任意のコンパクト部分集合K⊆XがあるKNに含まれることを満たすものが存在する。
証明.§E2.25 命題 1.3により、Ln⊆Ln+1とX=⋃n≥1Lnを満たすコンパクト部分集合の列(Ln)n≥1をとる。K1=L1とする。Knが定まったとき、Kn∪Ln+1はコンパクトである。補題 3.5により、Kn∪Ln+1⊆W⊆Kn+1を満たす開集合Wとコンパクト部分集合Kn+1をとる。WはKn+1に含まれる開集合なのでW⊆int(Kn+1)であり、
Kn∪Ln+1⊆int(Kn+1)となるように帰納的に列を構成する。
この包含からKn⊆int(Kn+1)が従う。またL1=K1であり、Ln+1⊆Kn+1であるから、すべてのnについてLn⊆Knである。したがって
X=n≥1⋃Ln⊆n≥1⋃Kn⊆Xであり、X=⋃n≥1Knである。
Kn⊆int(Kn+1)⊆Kn+1により(Kn)は増加列である。さらにint(Kn)はKn+1に含まれる開集合なのでint(Kn)⊆int(Kn+1)である。また、
X=n≥1⋃Kn⊆n≥1⋃int(Kn+1)であるから、(int(Kn))n≥2はXの増加開被覆である。コンパクト部分集合K⊆Xが空ならばK⊆K1である。K=∅ならば、有限個の添字n1,…,njによりK⊆⋃i=1jint(Kni)となる。N=max{n1,…,nj}とおけば、増加性からK⊆int(KN)⊆KNである。▨
定理 3.7.(X,OX)を局所コンパクトかつ σ-コンパクトな位相空間、(Y,dY)を距離空間とする。(Kn)n≥1を定理 3.6が与える列とし、f,g∈C(X,Y)に対して
ρ(f,g)=n≥1∑2−nmin{1,ρKn(f,g)}とおく。ρはC(X,Y)上の距離であり、ρが生じる位相はコンパクト収束の位相に一致する。
証明. 各項は0以上2−n以下であり、∑n≥12−n=1であるから、級数は収束して0≤ρ(f,g)≤1となる。対角上の零値と対称性は各ρKnから従う。a,b≥0に対して
min{1,a+b}≤min{1,a}+min{1,b}である。各ρKnの三角不等式とt↦min{1,t}の単調性から、任意の正の整数mについて
n=1∑m2−nmin{1,ρKn(f,h)}≤n=1∑m2−nmin{1,ρKn(f,g)}+n=1∑m2−nmin{1,ρKn(g,h)}となる。m→∞としてρ(f,h)≤ρ(f,g)+ρ(g,h)を得る。ρ(f,g)=0ならば非負な各項が零なので、すべてのnについてρKn(f,g)=0である。任意のx∈XはあるKnに属するためdY(f(x),g(x))=0、したがってf(x)=g(x)である。よってf=gであり、ρは距離である。
Vをρの位相の開集合、f∈Vとし、Bρ(f,ε)⊆Vとなるε>0をとる。∑n>N2−n<ε/2となるNをとる。(Kn)は増加するため、g∈BKN(f,ε/2)ならばn≤Nに対してρKn(f,g)≤ρKN(f,g)<ε/2である。したがって
ρ(f,g)≤n=1∑N2−n2ε+n>N∑2−n<ε.よってBKN(f,ε/2)⊆Vであり、Vはコンパクト収束の位相で開いている。
逆に、Oをコンパクト収束の位相の開集合、f∈Oとする。f∈BK(f0,ε)⊆Oとなる開基の元をとり、η=ε−ρK(f0,f)>0とおく。吸収性によりK⊆KNとなるNをとり、δ=2−Nmin{1,η}>0とおく。ρ(f,g)<δならば、級数の各項が非負であることから
2−Nmin{1,ρKN(f,g)}<2−Nmin{1,η}.ρKN(f,g)≥ηならば左辺の最小値は右辺の最小値以上となるので、ρKN(f,g)<ηである。K⊆KNと三角不等式から
ρK(f0,g)≤ρK(f0,f)+ρK(f,g)≤ρK(f0,f)+ρKN(f,g)<εとなる。よってBρ(f,δ)⊆BK(f0,ε)⊆Oであり、Oはρの位相で開いている。二つの位相は一致する。▨
例 3.8.QにRからの部分空間位相を入れる。Qは可算であり、一点集合はコンパクトであるから、Qは σ-コンパクトである。
K⊆Qをコンパクト部分集合とする。包含写像K→Q→Rは連続であるから、KはRでもコンパクトである。Rは Hausdorff 空間なので、KはRの閉集合である。KがQで空でない内部をもつと仮定する。部分空間位相の定義から、あるq0∈Qとσ>0について
(q0−σ,q0+σ)∩Q⊆Kとなる。無理数の稠密性によりr∈(q0−σ,q0+σ)∖Qをとる。有理数の稠密性により、rの任意の実開近傍は(q0−σ,q0+σ)∩Qと交わる。したがってrはこの集合のRにおける閉包に属する。KはRで閉じているためr∈K⊆Qとなり、r∈/Qに反する。ゆえにQのコンパクト部分集合はすべてQにおける内部が空である。
Qのコンパクト部分集合の列(Kn)n≥1が、Qの任意のコンパクト部分集合をいずれかの項に含むと仮定する。(0,1/n)∩Qは空でない開集合であり、Knの内部は空なので、
((0,1/n)∩Q)∖Kn=∅である。各nについてこの集合からxnをとると、0<xn<1/nであり、xn→0である。
A={0}∪{xn∣n≥1}とおく。Aの任意の開被覆をとる。0を含む被覆要素は、あるε>0に対して(−ε,ε)∩Qを含む。1/N<εとなるNをとれば、n≥Nに対するxnはすべてその被覆要素に含まれる。残るx1,…,xN−1は有限個なので、被覆から有限個を追加すればAの有限部分被覆を得る。したがってAはコンパクトである。
仮定によりA⊆Kmとなるmが存在するが、構成からxm∈Aかつxm∈/Kmであり、矛盾する。よって任意のコンパクト部分集合を吸収するコンパクト集合列はQに存在しない。また、Qの点がコンパクトな近傍をもてば、その近傍は空でない内部をもつコンパクト部分集合となって上の結論に反する。したがってQは局所コンパクトでない。
4 評価写像
定義 4.1.(X,OX)と(Y,OY)を位相空間とする。写像
ev:C(X,Y)×X⟶Y,ev(f,x)=f(x)を 評価写像 (evaluation map) という。
定理 4.2.(X,OX)を局所コンパクト Hausdorff 空間、(Y,OY)を位相空間とする。C(X,Y)にコンパクト開位相を、C(X,Y)×Xに積位相を入れる。このとき評価写像は連続である。
証明.V⊆Yを開集合とし、(f,x)∈ev−1(V)をとる。f(x)∈Vであり、fは連続なのでf−1(V)はxを含む開集合である。§E2.24 定理 1.6により、
x∈W⊆W⊆f−1(V)を満たし、Wがコンパクトとなる開集合Wが存在する。したがって[W,V]はコンパクト開位相の準開基要素であり、f∈[W,V]である。積位相において[W,V]×Wは開集合であり、
(f,x)∈[W,V]×W⊆ev−1(V)である。実際、(g,x′)∈[W,V]×Wならばx′∈W⊆Wかつg(W)⊆Vなので、ev(g,x′)=g(x′)∈Vである。ev−1(V)の各点がその内部にあるため、この逆像は開集合である。よって評価写像は連続である。▨
例 4.3.X=QにRからの部分空間位相を入れ、Y=Rに通常の位相を入れる。C(Q,R)にコンパクト開位相を、C(Q,R)×Qに積位相を入れる。このとき評価写像
ev:C(Q,R)×Q⟶Rは連続でない。
0Cを零写像、V=(−1/2,1/2)とする。ev−1(V)が(0C,0)の開近傍であると仮定する。積位相とコンパクト開位相の開基から、0の開近傍W⊆Qと0Cを含むコンパクト開基本開集合Bで
B×W⊆ev−1(V)となるものが存在する。B=C(Q,R)の場合をm=0とし、それ以外の場合は
B=i=1⋂m[Ki,Ui],m≥1と書く。K=⋃i=1mKiとおき、m=0のときはK=∅とする。Kはコンパクトであり、例 3.8によりRの閉集合である。
Wは0を含むので、あるδ>0について(−δ,δ)∩Q⊆Wである。無理数の稠密性によりt∈(−δ,δ)∖Qをとる。t∈/KかつR∖Kは開集合なので、あるr0>0について
(t−r0,t+r0)⊆(−δ,δ)∖Kとなる。有理数の稠密性によりq∈(t−r0/2,t+r0/2)∩Qをとり、r=r0/2−∣q−t∣>0とおく。このとき
(q−r,q+r)⊆(t−r0,t+r0)⊆(−δ,δ)∖K.g:Q→Rを
g(s)=max{0,1−r∣s−q∣}で定める。例 1.9と同じ評価によりgは1/r-Lipschitz であり、連続である。s∈Kならば∣s−q∣≥rなのでg(s)=0である。Ki=∅ならば0C∈[Ki,Ui]から0∈Uiであり、g(Ki)={0}⊆Uiとなる。Ki=∅ならばg(Ki)=∅⊆Uiである。したがってg∈Bである。さらにq∈Wなので(g,q)∈B×Wであるが、g(q)=1∈/Vである。これはB×W⊆ev−1(V)に反する。ゆえにev−1(V)は開集合でなく、評価写像は連続でない。
5 演習
問題 5.1.(X,OX)を位相空間、(Y,dY)を距離空間とし、m≥1とする。コンパクト部分集合K1,…,Km⊆XとK=K1∪⋯∪Kmに対して、任意のf,g∈C(X,Y)についてρK(f,g)=max1≤i≤mρKi(f,g)を示せ。また、ε1,…,εm>0とε=min1≤i≤mεiに対してBK(f,ε)⊆⋂i=1mBKi(f,εi)を示せ。
解答.
§E2.19 補題 2.8によりKはコンパクトである。各Ki⊆KからρKi(f,g)≤ρK(f,g)であり、maxiρKi(f,g)≤ρK(f,g)となる。逆に、x∈Kならばあるiについてx∈Kiなので
dY(f(x),g(x))≤ρKi(f,g)≤1≤j≤mmaxρKj(f,g).K=∅の場合は両辺が零であり、K=∅の場合は左辺をK上で最大化することができる。いずれの場合にもρK(f,g)≤maxiρKi(f,g)であり、等号を得る。
g∈BK(f,ε)ならば、各iについてρKi(f,g)≤ρK(f,g)<ε≤εiである。よってg∈⋂i=1mBKi(f,εi)であり、要求された包含が成り立つ。▨
問題 5.2.(X′,OX′)、(X,OX)、(Y,OY)を位相空間とし、h:X′→Xを連続写像とする。C(X,Y)とC(X′,Y)にコンパクト開位相を入れる。前合成写像
h∗:C(X,Y)⟶C(X′,Y),h∗(f)=f∘hが連続であることを示せ。
解答.
f∈C(X,Y)ならばf∘h∈C(X′,Y)なのでh∗は定まる。コンパクト部分集合K′⊆X′と開集合U⊆Yをとる。連続像h(K′)はXのコンパクト部分集合であり、
(h∗)−1([K′,U])={f∈C(X,Y)∣(f∘h)(K′)⊆U}={f∈C(X,Y)∣f(h(K′))⊆U}=[h(K′),U]である。右辺はC(X,Y)のコンパクト開位相の準開基要素である。終域の各準開基要素の逆像が開いているため、h∗は連続である。▨