§E2.21Lindelöf 空間

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コンパクト性は、任意の開被覆から有限個を選んで空間全体を覆うことを要求する。通常の位相を入れたR\mathbb Rはこの要求を満たさないが、その開被覆からも高々可算個を選んで空間全体を覆うことができる。有限という要求を高々可算まで緩めたときに、コンパクト空間について成り立つ事柄のうち何が残り何が失われるのかは、コンパクト性の議論からは決まらない。任意の開被覆が高々可算部分被覆をもつという条件を Lindelöf 性という。Lindelöf 性は閉部分空間と連続像では保たれる一方で一般の直積では保たれず、コンパクト性がいずれでも保たれることと比べたときのこの非対称が、Lindelöf 性の性格を形づくっている。本記事では、Lindelöf 性を定義し、その基本的な性質と、コンパクト性との違いが現れる場面を扱う。

1 Lindelöf 性

定義 1.1 (Lindelöf). 開被覆の定義は§E2.19 定義 2.1に従う。位相空間XXが Lindelöf (Lindelöf) であるとは、XXの任意の開被覆(Ui)i∈I(U_i)_{i\in I}が高々可算部分被覆をもつこと、すなわち高々可算な部分集合I0⊆II_0\subseteq Iが存在して(Ui)i∈I0(U_i)_{i\in I_0}がまたXXの開被覆となることをいう。この条件を満たす位相空間を Lindelöf 空間という。

命題 1.2. コンパクトな位相空間は Lindelöf である。

証明. 開被覆(Ui)i∈I(U_i)_{i\in I}をとると、§E2.19 定義 2.1により、有限なI0⊆II_0\subseteq Iで(Ui)i∈I0(U_i)_{i\in I_0}が開被覆となるものが存在する。有限集合は高々可算であるため、これは定義 1.1が要求する部分被覆である。▨

定理 1.3.XX、YYを位相空間、f ⁣:X→Yf\colon X\to Yを固有閉写像とする。YYが Lindelöf ならばXXは Lindelöf である。

証明.XXの開被覆U=(Ui)i∈I\mathcal{U} = (U_i)_{i\in I}を任意にとれば、ffは固有写像であるから、§E2.20 補題 3.1 (2)よりf(U)=(Y∖f(X∖⋃i∈AUi))A∈[I]<∞f(\mathcal{U}) = (Y\setminus f(X\setminus \bigcup_{i\in A}U_i))_{A\in[I]^{<\infty}}はYYの開被覆である。YYは Lindelöf なので可算部分集合J⊂[I]<∞J\subset [I]^{<\infty}が存在して(Y∖f(X∖⋃i∈AUi))A∈J(Y\setminus f(X\setminus \bigcup_{i\in A}U_i))_{A\in J}はYYの被覆となる。このとき§E2.20 補題 3.1 (1)より(⋃i∈AUi)A∈J(\bigcup_{i\in A}U_i)_{A\in J}はXXの可算開被覆であり、よって(Ui)i∈⋃A∈JA(U_i)_{i\in \bigcup_{A\in J}A}はU\mathcal{U}の可算部分被覆である。以上で示された。▨

系 1.4.XXを Lindelöf な位相空間とする。

  1. F⊆XF\subseteq XがXXの閉集合であり、FFに部分空間位相を入れるならば、FFは Lindelöf である。
  2. KKがコンパクトな位相空間ならば、積空間X×KX\times Kは Lindelöf である。

証明.(1)を示す。§E2.20 命題 1.2 (3)により包含写像ιF ⁣:F→X\iota_F\colon F\to Xは固有であって閉写像であるから、定理 1.3をιF\iota_Fへ適用するとFFは Lindelöf である。

(2)を示す。§E2.20 命題 4.5により射影pr⁡X ⁣:X×K→X\operatorname{pr}_X\colon X\times K\to Xは固有であって閉写像であるから、定理 1.3をpr⁡X\operatorname{pr}_Xへ適用するとX×KX\times Kは Lindelöf である。▨

命題 1.5.(X,OX)(X,\mathcal O_X)を Lindelöf な位相空間、(Y,OY)(Y,\mathcal O_Y)を位相空間とし、f ⁣:X→Yf\colon X\to Yを連続写像とする。このとき、部分空間f(X)f(X)は Lindelöf である。

証明.(Vi)i∈I(V_i)_{i\in I}をf(X)f(X)の開被覆とする。各ViV_iはf(X)f(X)の開集合であるため、§E2.12 定義 4.1によりVi=W∩f(X)V_i=W\cap f(X)を満たすYYの開集合WWが存在する。f(X)f(X)はffの像であるからf−1(Vi)=f−1(W)f^{-1}(V_i)=f^{-1}(W)であり、§E2.12 定義 1.1によりf−1(Vi)f^{-1}(V_i)はXXの開集合である。したがって(f−1(Vi))i∈I(f^{-1}(V_i))_{i\in I}はXXの開被覆であり、高々可算なI0⊆II_0\subseteq Iが存在して(f−1(Vi))i∈I0(f^{-1}(V_i))_{i\in I_0}がXXを覆う。y∈f(X)y\in f(X)をとりy=f(x)y=f(x)と書くと、x∈f−1(Vi)x\in f^{-1}(V_i)となるi∈I0i\in I_0が存在するからy∈Viy\in V_iである。ゆえに(Vi)i∈I0(V_i)_{i\in I_0}はf(X)f(X)を覆い、f(X)f(X)は Lindelöf である。▨

命題 1.6. 第二可算な位相空間は Lindelöf である。

証明.(X,O)(X,\mathcal O)を第二可算な位相空間とし、§E2.13 定義 5.1が与える高々可算な開基B\mathcal Bをとる。(Ui)i∈I(U_i)_{i\in I}をXXの開被覆とし、

B0={B∈B∣B⊆Ui を満たす i∈I が存在する}\mathcal B_0=\{B\in\mathcal B\mid B\subseteq U_i\text{ を満たす }i\in I\text{ が存在する}\}

とおく。さらに

P={(B,i)∈B0×I∣B⊆Ui}P=\{(B,i)\in\mathcal B_0\times I\mid B\subseteq U_i\}

とおき、p ⁣:P→B0p\colon P\to\mathcal B_0を第一成分への射影とする。B0\mathcal B_0の定義からppは全射であり、B0\mathcal B_0は高々可算であるから、§E1.20 補題 4.8によりp∘s=id⁡B0p\circ s=\operatorname{id}_{\mathcal B_0}を満たす写像s ⁣:B0→Ps\colon\mathcal B_0\to Pが存在する。s(B)s(B)の第二成分をiBi_Bと書くとB⊆UiBB\subseteq U_{i_B}である。I0={iB∣B∈B0}I_0=\{i_B\mid B\in\mathcal B_0\}はB↦iBB\mapsto i_BによるB0\mathcal B_0の像であるから、§E1.18 補題 3.5により高々可算である。

x∈Xx\in Xをとる。(Ui)i∈I(U_i)_{i\in I}がXXを覆い、B\mathcal Bが開基であるため、x∈B⊆Uix\in B\subseteq U_iを満たすB∈BB\in\mathcal Bとi∈Ii\in Iが存在する。このときB∈B0B\in\mathcal B_0かつx∈B⊆UiBx\in B\subseteq U_{i_B}である。したがって(Ui)i∈I0(U_i)_{i\in I_0}はXXを覆い、XXは Lindelöf である。▨

例 1.7.

  1. 非可算集合XXに離散位相を入れた空間は Lindelöf でない。一点集合の族({x})x∈X(\{x\})_{x\in X}は開被覆であるが、高々可算なI0⊆XI_0\subseteq Xに対して⋃x∈I0{x}=I0\bigcup_{x\in I_0}\{x\}=I_0であり、XXは非可算であるからI0≠XI_0\neq Xである。ゆえに定義 1.1の条件が破れる。
  2. 通常の位相を入れたR\mathbb Rは Lindelöf であるが、コンパクトでない。§E2.13 例 5.2によりR\mathbb Rは第二可算であるから、命題 1.6により Lindelöf である。コンパクトでないことは§E2.19 例 2.9が与える。

注意 1.8. Lindelöf 性の名は、Euclid 空間の開集合からなる任意の族が、同じ和集合をもつ高々可算な部分族を含むことを示した Ernst Leonard Lindelöf に由来する。この結論の根拠は Euclid 空間の第二可算性にあり、命題 1.6は同じ議論を一般の位相空間の開被覆に対して述べたものである。定義 1.1は、そこで結論として現れる高々可算部分被覆の存在を、空間に課す条件として抜き出している。

2 Lindelöf 性と分離公理

補題 2.1.(X,O)(X,\mathcal O)を正則な位相空間とし、A,B⊆XA, B\subseteq Xを互いに交わらない閉集合とする。このとき

W(A,B)={W∈O∣W‾∩B=∅}\mathcal W(A,B)=\{W\in\mathcal O\mid\overline W\cap B=\emptyset\}

はAAを覆う。

証明.a∈Aa\in Aをとる。§E2.15 定義 1.7 (1)を点aaと閉集合BBに適用すると、a∈Wa\in W、B⊆W′B\subseteq W'、W∩W′=∅W\cap W'=\emptysetを満たす開集合W,W′W,W'が存在する。W⊆X∖W′W\subseteq X\setminus W'でありX∖W′X\setminus W'は閉集合であるため、W‾⊆X∖W′\overline W\subseteq X\setminus W'である。したがってW‾∩B=∅\overline W\cap B=\emptysetであり、W∈W(A,B)W\in\mathcal W(A,B)である。aaは任意であるから、W(A,B)\mathcal W(A,B)はAAを覆う。▨

補題 2.2.(X,O)(X,\mathcal O)を位相空間とし、A,B⊆XA,B\subseteq Xを互いに交わらない閉集合とする。開集合列(Un)n≥1(U_n)_{n\geq1}と(Vn)n≥1(V_n)_{n\geq1}が

A⊆⋃n≥1Un,B⊆⋃n≥1Vn,A\subseteq\bigcup_{n\geq1}U_n,\qquad B\subseteq\bigcup_{n\geq1}V_n,Un‾∩B=∅,Vn‾∩A=∅(n≥1)\overline{U_n}\cap B=\emptyset,\qquad\overline{V_n}\cap A=\emptyset\quad(n\geq1)

を満たすならば、AAとBBを互いに交わらない開集合で分離することができる。

証明.n≥1n\geq1に対して

Un′=Un∖⋃k=1nVk‾,Vn′=Vn∖⋃k=1nUk‾U'_n=U_n\setminus\bigcup_{k=1}^{n}\overline{V_k},\qquad V'_n=V_n\setminus\bigcup_{k=1}^{n}\overline{U_k}

とおく。有限個の閉集合の合併は閉集合であるから、Un′U'_nとVn′V'_nは開集合である。さらに

U=⋃n≥1Un′,V=⋃n≥1Vn′U=\bigcup_{n\geq1}U'_n,\qquad V=\bigcup_{n\geq1}V'_n

とおくと、UUとVVも開集合である。AAの各点はどのVk‾\overline{V_k}にも属さず、あるUnU_nに属するためA⊆UA\subseteq Uである。同様にB⊆VB\subseteq Vである。

z∈Un′∩Vm′z\in U'_n\cap V'_mと仮定する。n≤mn\leq mならば、z∈Un⊆Un‾z\in U_n\subseteq\overline{U_n}である一方、Vm′V'_mの定義からz∉Un‾z\notin\overline{U_n}となる。m<nm<nならば、z∈Vm⊆Vm‾z\in V_m\subseteq\overline{V_m}である一方、Un′U'_nの定義からz∉Vm‾z\notin\overline{V_m}となる。いずれの場合にも矛盾するためU∩V=∅U\cap V=\emptysetである。▨

定理 2.3.(X,O)(X,\mathcal O)を正則かつ Lindelöf な位相空間とする。このときXXは正規である。

証明.A,B⊆XA,B\subseteq Xを互いに交わらない閉集合とする。一方が空集合ならば、空集合とXXが両者を分離する。A≠∅A\neq\emptysetかつB≠∅B\neq\emptysetとする。

補題 2.1によりW(A,B)\mathcal W(A,B)はAAを覆い、W(B,A)\mathcal W(B,A)はBBを覆う。W(A,B)∪{X∖A}\mathcal W(A,B)\cup\{X\setminus A\}を、それ自身を添字集合とする族とみなすとXXの開被覆である。Lindelöf 性が与える高々可算な部分被覆からX∖AX\setminus Aを除くと、AAを覆うW(A,B)\mathcal W(A,B)の空でない高々可算な部分族を得る。§E1.18 補題 3.6により、その元をU1,U2,…U_1,U_2,\ldotsと並べることができる。同様に、BBを覆うW(B,A)\mathcal W(B,A)の元をV1,V2,…V_1,V_2,\ldotsと並べることができる。

各n≥1n\geq1についてUn‾∩B=∅\overline{U_n}\cap B=\emptysetかつVn‾∩A=∅\overline{V_n}\cap A=\emptysetである。補題 2.2からAAとBBは互いに交わらない開集合で分離される。AAとBBは任意であるから、§E2.15 定義 1.7 (3)によりXXは正規である。▨

系 2.4. Lindelöf な T3 空間は T4 である。

証明.XXを Lindelöf な T3 空間とする。§E2.15 定義 1.8 (1)によりXXは正則かつ T1 である。定理 2.3によりXXは正規であり、正規性と T1 性から、§E2.15 定義 1.8 (3)によってXXは T4 である。▨

系 2.5. 第二可算かつ正則かつ T1 である位相空間は T4 である。

証明.XXを第二可算かつ正則かつ T1 である位相空間とする。命題 1.6によりXXは Lindelöf であり、§E2.15 定義 1.8 (1)によりXXは T3 である。したがって系 2.4によりXXは T4 である。▨

系 2.6 (Urysohn の距離化定理). 第二可算な位相空間XXについて、XXが距離化可能であるための必要十分条件は、XXが T3(すなわち、正則かつ T1)であることである。

証明. 必要性は§E2.15 定理 3.2 (4)よりただちに従う。十分性は§E2.15 系 4.5、§E2.18 系 3.3、系 2.5よりただちに従う。▨

系 2.7.XXをコンパクト距離化可能空間、YYを Hausdorff 空間とし、f ⁣:X→Yf\colon X\to Yを連続写像とする。このとき、ffの像im⁡(f)⊂Y\im(f)\subset Yは相対位相でコンパクト距離化可能空間である。

証明.Y=im⁡(f)Y=\im(f)として良い。このときYYはコンパクト T2 空間であるため、T3 空間である。§E2.13 補題 5.10よりXXは第二可算である。ffが全射な場合に帰着しているので§E2.20 命題 2.5よりffは完全写像であり、よって§E2.20 系 3.2よりYYは第二可算である。よって系 2.6よりYYは距離化可能である。▨

注意 2.8. 第二可算性を課さない距離化定理として、Nagata–Smirnov の距離化定理と Bing の距離化定理があり、後続の単元が扱う。

例 2.9.§E2.15 例 5.4は第二可算 T2 であって T3 でない、従って距離化可能でない空間である。

注意 2.10. 一般に第二可算空間の閉写像による連続像が第二可算であるというわけではない。

3 Lindelöf 性と直積

定理 3.1. Sorgenfrey 直線Rℓ\mathbb R_\ellは Lindelöf である。

証明.(Ui)i∈I(U_i)_{i\in I}をRℓ\mathbb R_\ellの開被覆とする。§E1.18 定理 4.1によりQ\mathbb QとN≥0\mathbb N_{\geq 0}のあいだに全単射が存在するから、全単射e ⁣:N≥0→Qe\colon\mathbb N_{\geq 0}\to\mathbb Qを一つ固定する。各x∈Rx\in\mathbb Rに対して

Nx={n∈N≥0∣x<e(n) であり、[x,e(n))⊆Ui を満たす i∈I が存在する}N_x=\{n\in\mathbb N_{\geq 0}\mid x<e(n)\text{ であり、}[x,e(n))\subseteq U_i\text{ を満たす }i\in I\text{ が存在する}\}

とおく。(Ui)i∈I(U_i)_{i\in I}はRℓ\mathbb R_\ellを覆うからx∈Uix\in U_iを満たすi∈Ii\in Iが存在し、§E2.17 命題 8.2により半開区間の全体S\mathcal SはRℓ\mathbb R_\ellの開基であるから、§E2.13 命題 1.2 (2)によりx∈[a,b)⊆Uix\in[a,b)\subseteq U_iを満たす[a,b)∈S[a,b)\in\mathcal Sが存在する。a≤x<ba\le x<bであり、§D1.4 系 2.2が与える有理数の稠密性によりx<q<bx<q<bを満たす有理数qqが存在するから、e(n)=qe(n)=qを満たすn∈N≥0n\in\mathbb N_{\geq 0}に対して[x,e(n))⊆[a,b)⊆Ui[x,e(n))\subseteq[a,b)\subseteq U_iが成り立ち、n∈Nxn\in N_xである。したがって各NxN_xは空でない。その最小元をn(x)n(x)とおき、bx=e(n(x))b_x=e(n(x))と定める。各x∈Rx\in\mathbb Rについてx<bxx<b_xであり、[x,bx)⊆Ui[x,b_x)\subseteq U_iを満たすi∈Ii\in Iが存在する。

R\mathbb Rに通常の位相を入れ、

V=⋃x∈R(x,bx),A=R∖VV=\bigcup_{x\in\mathbb R}(x,b_x),\qquad A=\mathbb R\setminus V

とおく。各(x,bx)(x,b_x)は通常の位相の開集合であるから、VVは通常の位相の開集合である。

x,y∈Ax,y\in Aがx<yx<yを満たすとする。(x,bx)⊆V(x,b_x)\subseteq Vかつy∉Vy\notin Vであるからy∉(x,bx)y\notin(x,b_x)であり、x<yx<yと合わせてbx≤yb_x\le yを得る。したがって(x,bx)(x,b_x)の元はすべてyyより小さく、(y,by)(y,b_y)の元はすべてyyより大きいから、(x,bx)∩(y,by)=∅(x,b_x)\cap(y,b_y)=\emptysetである。

x∈Ax\in Aに対してx<bxx<b_xであるから、§D1.4 系 2.2が与える有理数の稠密性によりx<q<bxx<q<b_xを満たす有理数qqが存在し、集合{n∈N≥0∣e(n)∈(x,bx)}\{n\in\mathbb N_{\geq 0}\mid e(n)\in(x,b_x)\}は空でない。その最小元をm(x)m(x)とおく。x,y∈Ax,y\in Aがx≠yx\neq yを満たすとすると、x<yx<yとy<xy<xのいずれか一方が成り立ち、どちらの場合にも前段落により(x,bx)∩(y,by)=∅(x,b_x)\cap(y,b_y)=\emptysetである。e(m(x))∈(x,bx)e(m(x))\in(x,b_x)かつe(m(y))∈(y,by)e(m(y))\in(y,b_y)であるからe(m(x))≠e(m(y))e(m(x))\neq e(m(y))であり、eeは単射であるからm(x)≠m(y)m(x)\neq m(y)である。ゆえにx↦m(x)x\mapsto m(x)は単射A→N≥0A\to\mathbb N_{\geq 0}であり、§E1.18 定義 1.2によりAAは高々可算である。

VVに通常の位相からの部分空間位相を入れる。§E2.13 例 5.2により通常の位相を入れたR\mathbb Rは第二可算であるから、高々可算な開基B\mathcal Bをとると、§E2.13 命題 3.2によりBV={B∩V∣B∈B}\mathcal B_V=\{B\cap V\mid B\in\mathcal B\}は部分空間VVの開基であり、§E1.18 補題 3.5によりBV\mathcal B_Vは高々可算である。したがって§E2.13 定義 5.1によりVVは第二可算であり、命題 1.6によりVVは Lindelöf である。各x∈Rx\in\mathbb Rについて(x,bx)(x,b_x)は通常の位相の開集合であってVVに含まれるから、§E2.12 定義 4.1により(x,bx)(x,b_x)は部分空間VVの開集合である。VVの定義から((x,bx))x∈R((x,b_x))_{x\in\mathbb R}はVVの開被覆であり、VVの Lindelöf 性により、高々可算な部分集合A0⊆RA_0\subseteq\mathbb Rが存在してV=⋃x∈A0(x,bx)V=\bigcup_{x\in A_0}(x,b_x)が成り立つ。

§E1.18 定理 5.1によりA0∪AA_0\cup Aは高々可算である。

Q={(x,i)∈(A0∪A)×I∣[x,bx)⊆Ui}Q=\{(x,i)\in(A_0\cup A)\times I\mid [x,b_x)\subseteq U_i\}

とおき、r ⁣:Q→A0∪Ar\colon Q\to A_0\cup Aを第一成分への射影とする。各x∈A0∪Ax\in A_0\cup Aについて[x,bx)⊆Ui[x,b_x)\subseteq U_iを満たすi∈Ii\in Iが存在するからrrは全射であり、A0∪AA_0\cup Aは高々可算であるから、可算選択公理と§E1.20 補題 4.8によりr∘σ=id⁡A0∪Ar\circ\sigma=\operatorname{id}_{A_0\cup A}を満たす写像σ ⁣:A0∪A→Q\sigma\colon A_0\cup A\to Qが存在する。σ(x)\sigma(x)の第二成分をi(x)i(x)と書くと[x,bx)⊆Ui(x)[x,b_x)\subseteq U_{i(x)}である。x↦i(x)x\mapsto i(x)による像

I0={i(x)∣x∈A0∪A}I_0=\{i(x)\mid x\in A_0\cup A\}

は§E1.18 補題 3.5により高々可算である。x∈A0x\in A_0に対して(x,bx)⊆[x,bx)⊆Ui(x)(x,b_x)\subseteq[x,b_x)\subseteq U_{i(x)}であるからV⊆⋃i∈I0UiV\subseteq\bigcup_{i\in I_0}U_iであり、x∈Ax\in Aに対してx∈[x,bx)⊆Ui(x)x\in[x,b_x)\subseteq U_{i(x)}であるからA⊆⋃i∈I0UiA\subseteq\bigcup_{i\in I_0}U_iである。R=V∪A\mathbb R=V\cup Aであるから、(Ui)i∈I0(U_i)_{i\in I_0}はRℓ\mathbb R_\ellの高々可算部分被覆である。ゆえに定義 1.1によりRℓ\mathbb R_\ellは Lindelöf である。▨

命題 3.2. Sorgenfrey 平面Rℓ×Rℓ\mathbb R_\ell\times\mathbb R_\ellは T3 空間である。

証明.§E2.17 系 8.3によりRℓ\mathbb R_\ellは T5 空間であり、§E2.15 命題 1.13により T4 空間であり、§E2.15 定理 1.11 (1)により T3 空間である。§E2.15 系 2.9により T3 空間の直積は T3 空間であるから、Rℓ×Rℓ\mathbb R_\ell\times\mathbb R_\ellは T3 空間である。▨

定理 3.3. Sorgenfrey 平面Rℓ×Rℓ\mathbb R_\ell\times\mathbb R_\ellは Lindelöf でない。

証明.Rℓ×Rℓ\mathbb R_\ell\times\mathbb R_\ellが Lindelöf であると仮定する。命題 3.2と系 2.4によりRℓ×Rℓ\mathbb R_\ell\times\mathbb R_\ellは T4 空間であり、§E2.15 定義 1.8 (3)により正規である。一方§E2.18 定理 8.4によりRℓ×Rℓ\mathbb R_\ell\times\mathbb R_\ellは正規でない。Rℓ×Rℓ\mathbb R_\ell\times\mathbb R_\ellが正規であることと正規でないことは両立しない。ゆえにRℓ×Rℓ\mathbb R_\ell\times\mathbb R_\ellは Lindelöf でない。▨

系 3.4. Lindelöf 空間の二つの直積は Lindelöf であるとは限らない。

証明.定理 3.1によりRℓ\mathbb R_\ellは Lindelöf であり、定理 3.3によりRℓ×Rℓ\mathbb R_\ell\times\mathbb R_\ellは Lindelöf でない。▨

一方の因子がコンパクトである場合には Lindelöf 性が保たれることを系 1.4 (2)が述べており、系 3.4は、その仮定を落とすことができないことを示している。

注意 3.5.命題 3.2によりRℓ×Rℓ\mathbb R_\ell\times\mathbb R_\ellは T3 空間であり、§E2.15 定義 1.8 (1)により正則である。一方§E2.18 定理 8.4によりこの空間は正規でない。したがって定理 2.3の Lindelöf 性の仮定を外すことはできない。

4 距離空間における可算性

命題 4.1.(X,d)(X,d)を距離空間とし、§E2.11 定義 1.3に従ってXXに距離ddから生じる位相を入れる。XXが Lindelöf ならば、XXは§E2.13 定義 6.1で定める可分空間である。

証明.n∈Z≥1n\in\mathbb Z_{\geq1}に対して

Dn={D⊆X ∣ D は高々可算であり、X=⋃x∈DB(x,1/n)}\mathcal D_n=\Bigl\{D\subseteq X\ \Big|\ D\text{ は高々可算であり、}X=\bigcup_{x\in D}B(x,1/n)\Bigr\}

とおく。§E2.1 定義 1.4で定める開球B(x,1/n)B(x,1/n)は§E2.2 補題 1.2により開集合であり、§E2.1 定義 1.1 条件 (a)によるd(x,x)=0<1/nd(x,x)=0<1/nからx∈B(x,1/n)x\in B(x,1/n)であるから、(B(x,1/n))x∈X(B(x,1/n))_{x\in X}はXXの開被覆である。XXは Lindelöf であるから、高々可算な部分集合D⊆XD\subseteq Xが存在して(B(x,1/n))x∈D(B(x,1/n))_{x\in D}はXXを覆う。ゆえに各Dn\mathcal D_nは空でなく、すべてのn∈Z≥1n\in\mathbb Z_{\geq1}についてDn∈DnD_n\in\mathcal D_nを満たす列(Dn)n∈Z≥1(D_n)_{n\in\mathbb Z_{\geq1}}をとることができる。

D=⋃n∈Z≥1DnD=\bigcup_{n\in\mathbb Z_{\geq1}}D_nとおく。§E1.18 定理 6.3によりDDは高々可算である。UUをXXの空でない開集合とし、y∈Uy\in Uをとる。§E2.2 定義 1.1によりB(y,ε)⊆UB(y,\varepsilon)\subseteq Uを満たす実数ε>0\varepsilon>0が存在し、§D1.4 系 2.2が与える1/n→01/n\to0により1/n<ε1/n<\varepsilonを満たすn∈Z≥1n\in\mathbb Z_{\geq1}が存在する。Dn∈DnD_n\in\mathcal D_nであるからy∈B(x,1/n)y\in B(x,1/n)を満たすx∈Dnx\in D_nが存在し、§E2.1 定義 1.1 条件 (b)によりd(y,x)=d(x,y)<1/n<εd(y,x)=d(x,y)<1/n<\varepsilonであるからx∈B(y,ε)⊆Ux\in B(y,\varepsilon)\subseteq Uである。x∈Dx\in DであるからU∩D≠∅U\cap D\neq\emptysetである。ゆえに§E2.11 命題 2.9 (2)によりDDはXXで稠密であり、XXは可分空間である。▨

定理 4.2.(X,d)(X,d)を距離空間とし、XXに距離ddから生じる位相を入れる。このとき、次の三条件は同値である。

  1. XXは Lindelöf である。
  2. XXは可分空間である。
  3. XXは第二可算である。

証明.(1)⇒\Rightarrow(2)は命題 4.1が与える。(2)と(3)が同値であることは§E2.13 系 6.5が与える。(3)⇒\Rightarrow(1)は命題 1.6が与える。三条件のあいだの残る含意は、この三つの合成として得られる。▨

命題 4.3. Sorgenfrey 直線Rℓ\mathbb R_\ellは可分空間であり、第二可算でない。

証明は演習とする(問題 7.2)。

系 4.4. Sorgenfrey 直線Rℓ\mathbb R_\ellは正則かつ T1 であるが、距離化可能でない。

証明.§E2.17 系 8.3によりRℓ\mathbb R_\ellは T5 空間であり、§E2.15 命題 1.13により T4 空間、§E2.15 定理 1.11 (1)により T3 空間であるから、§E2.15 定義 1.8 (1)により正則かつ T1 である。Rℓ\mathbb R_\ellの位相を生成する距離が存在すると仮定する。定理 3.1によりRℓ\mathbb R_\ellは Lindelöf であるから、定理 4.2によりRℓ\mathbb R_\ellは第二可算である。一方命題 4.3によりRℓ\mathbb R_\ellは第二可算でない。この二つは両立しないから、Rℓ\mathbb R_\ellの位相を生成する距離は存在せず、Rℓ\mathbb R_\ellは距離化可能でない。▨

注意 4.5.定理 3.1と命題 4.3により、Rℓ\mathbb R_\ellは Lindelöf かつ可分であって第二可算でない。したがって定理 4.2の三条件の同値は、距離空間であるという仮定を外すと成り立たない。

5 順序数区間の例

命題 5.1.A⊆ω1A\subseteq\omega_1にω1\omega_1からの部分空間位相を入れる。AAがω1\omega_1において上に有界でないならば、すなわち任意のγ∈ω1\gamma\in\omega_1に対してγ<a\gamma<aを満たすa∈Aa\in Aが存在するならば、部分空間AAは Lindelöf でない。

証明.Λ={α∈ω1∣0<α}\Lambda=\{\alpha\in\omega_1\mid 0<\alpha\}とおき、α∈Λ\alpha\in\Lambdaに対してVα=A∩[0,α)V_\alpha=A\cap[0,\alpha)とおく。ω1\omega_1は最小元00をもつから[0,α)=(−∞,α)[0,\alpha)=(-\infty,\alpha)であり、これは§E2.17 定義 1.1で定める基本開集合であるからω1\omega_1の開集合である。ゆえに§E2.12 定義 4.1により各VαV_\alphaは部分空間AAの開集合である。a∈Aa\in Aに対して§E1.22 補題 3.1によりa+1<ω1a+1<\omega_1であり、a+1∈Λa+1\in\Lambdaかつa∈[0,a+1)a\in[0,a+1)であるから、族(Vα)α∈Λ(V_\alpha)_{\alpha\in\Lambda}は部分空間AAの開被覆である。

Λ0⊆Λ\Lambda_0\subseteq\Lambdaを高々可算な部分集合とする。Λ0⊆ω1\Lambda_0\subseteq\omega_1であるから、§E2.17 補題 4.2により、すべてのα∈Λ0\alpha\in\Lambda_0に対してα≤β\alpha\le\betaを満たす順序数β<ω1\beta<\omega_1が存在する。α≤β\alpha\le\betaならば[0,α)⊆[0,β)[0,\alpha)\subseteq[0,\beta)であるから

⋃α∈Λ0Vα⊆A∩[0,β)\bigcup_{\alpha\in\Lambda_0}V_\alpha\subseteq A\cap[0,\beta)

である。β∈ω1\beta\in\omega_1でありAAはω1\omega_1において上に有界でないから、β<a\beta<aを満たすa∈Aa\in Aが存在し、このaaは[0,β)[0,\beta)に属さない。ゆえに(Vα)α∈Λ0(V_\alpha)_{\alpha\in\Lambda_0}はAAを覆わない。Λ0\Lambda_0は任意であったから、定義 1.1により部分空間AAは Lindelöf でない。▨

系 5.2.ω+1\omega+1とω1+1\omega_1+1は Lindelöf であり、ω1\omega_1は Lindelöf ではない。

証明.§E2.19 定理 7.2によりω+1\omega+1とω1+1\omega_1+1はコンパクトであるから、命題 1.2により Lindelöf である。γ∈ω1\gamma\in\omega_1に対して§E1.22 補題 3.1によりγ+1<ω1\gamma+1<\omega_1であり、γ+1∈ω1\gamma+1\in\omega_1かつγ<γ+1\gamma<\gamma+1であるから、ω1\omega_1はω1\omega_1において上に有界でない。ゆえに命題 5.1によりω1\omega_1は Lindelöf でない。▨

注意 5.3.例 1.7 (2)により、Lindelöf な位相空間がコンパクトであるとは限らず、命題 1.2の逆は成り立たない。

系 5.2によりω1+1\omega_1+1は Lindelöf であり、§E2.17 注意 4.1によりω1\omega_1はω1+1\omega_1+1の部分空間であるが、ω1\omega_1は Lindelöf でない。ゆえにω1\omega_1はω1+1\omega_1+1の閉集合でなく、系 1.4 (1)の閉集合という仮定を外すことはできない。

6 Lindelöf 性と可算選択公理

§E2.19 注意 1.1による族としての定式化は、選択公理を仮定しない場合の Lindelöf 性の取り扱いを支える。ここで可算集合であることは§E1.18 定義 1.2に従い、N≥0\mathbb N_{\geq 0}との全単射が存在することを意味する。開被覆を族としてとるか開集合の集合としてとるかの差と、細分に添字の対応を要求するか包含する値の存在だけを要求するかの差が、ZF の上でそれぞれどの選択原理と同値になるかは§E2.50 定理 3.2が扱う。

補題 6.1. ZF において以下は同値である。

  1. 任意の第二可算空間が Lindelöf である。
  2. 任意の可算離散空間が Lindelöf である。
  3. 可算選択公理が成り立つ。

証明.(3)⇒\Rightarrow(1)は命題 1.6が与える。(1)⇒\Rightarrow(2)を示す。可算離散空間XXにおいて{{x}∣x∈X}\{\{x\}\mid x\in X\}は離散位相の開基であり、これはx↦{x}x\mapsto\{x\}によるXXの像であるから§E1.18 補題 3.5により高々可算である。ゆえに§E2.13 定義 5.1によりXXは第二可算であり、(1)からXXは Lindelöf である。

(2)⇒\Rightarrow(3)を示す。XXを可算集合、IIを集合、f ⁣:I→Xf\colon I\to Xを全射とする。XXに離散位相を入れると各{f(i)}\{f(i)\}は開集合であり、ffが全射であるから族({f(i)})i∈I(\{f(i)\})_{i\in I}はXXの開被覆である。XXが Lindelöf であることにより、高々可算な部分集合I0⊆II_0\subseteq Iが存在して({f(i)})i∈I0(\{f(i)\})_{i\in I_0}はXXを覆う。すなわち、各x∈Xx\in Xに対してf(i)=xf(i)=xを満たすi∈I0i\in I_0が存在する。

XXは可算であるから空でなく、したがってI0I_0も空でない。I0I_0は空でない高々可算な集合であるから、§E1.18 定理 3.3により全射u ⁣:N≥0→I0u\colon\mathbb N_{\geq 0}\to I_0が存在する。x∈Xx\in Xに対して集合{k∈N≥0∣f(u(k))=x}\{k\in\mathbb N_{\geq 0}\mid f(u(k))=x\}は前段落により空でないから、その最小元をk(x)k(x)とおき、s(x)=u(k(x))s(x)=u(k(x))と定めることができる。f(s(x))=xf(s(x))=xであるから、s ⁣:X→Is\colon X\to Iはf∘s=id⁡Xf\circ s=\operatorname{id}_Xを満たす。

以上により、可算集合への任意の全射は切断をもつ。有限集合への全射の切断は§E1.18 補題 2.6が与えるから、高々可算な集合への任意の全射は切断をもつ。ゆえに§E1.20 補題 4.8により可算選択公理が成り立つ。▨

7 演習

問題 7.1.ω1\omega_1の非可算な部分集合は、いずれもω1\omega_1において上に有界でないことを示せ。さらに、ω1\omega_1の非可算な部分空間はいずれも Lindelöf でないことを結論せよ。

解答.

A⊆ω1A\subseteq\omega_1がω1\omega_1において上に有界であるとし、すべてのa∈Aa\in Aについてa≤βa\le\betaを満たすβ∈ω1\beta\in\omega_1をとるとA⊆[0,β]A\subseteq[0,\beta]である。§E1.22 補題 3.1によりβ+1<ω1\beta+1<\omega_1であり、順序数として[0,β]=β+1[0,\beta]=\beta+1であるから、§E1.21 定理 5.1により[0,β][0,\beta]は高々可算である。0∈[0,β]0\in[0,\beta]であるから[0,β][0,\beta]は空でなく、§E1.18 定理 3.3により全射u ⁣:N≥0→[0,β]u\colon\mathbb N_{\geq 0}\to[0,\beta]が存在する。γ∈[0,β]\gamma\in[0,\beta]に対してmin⁡{k∈N≥0∣u(k)=γ}\min\{k\in\mathbb N_{\geq 0}\mid u(k)=\gamma\}を対応させる写像は単射[0,β]→N≥0[0,\beta]\to\mathbb N_{\geq 0}である。包含写像A→[0,β]A\to[0,\beta]も単射であり、二つの単射の合成は単射であるから、単射A→N≥0A\to\mathbb N_{\geq 0}が得られ、§E1.18 定義 1.2によりAAは高々可算である。対偶により、非可算なA⊆ω1A\subseteq\omega_1はω1\omega_1において上に有界でない。

したがって命題 5.1により、ω1\omega_1の非可算な部分空間はいずれも Lindelöf でない。▨

問題 7.2.命題 4.3の証明を完成させよ。

解答.

§E2.17 系 8.4によりRℓ\mathbb R_\ellは可分空間である。

B\mathcal BをRℓ\mathbb R_\ellの開基とし、B\mathcal Bが高々可算であると仮定する。[0,1)[0,1)はRℓ\mathbb R_\ellの空でない開集合であるから、§E2.13 命題 1.2 (2)によりB\mathcal Bは空でない。ゆえに§E1.18 補題 3.6により全射e ⁣:Z≥1→Be\colon\mathbb Z_{\geq1}\to\mathcal Bが存在する。

x∈Rx\in\mathbb Rに対して[x,x+1)[x,x+1)はRℓ\mathbb R_\ellの開集合であってxxを含むから、§E2.13 命題 1.2 (2)によりx∈B⊆[x,x+1)x\in B\subseteq[x,x+1)を満たすB∈BB\in\mathcal Bが存在する。eeは全射であるから集合{m∈Z≥1∣x∈e(m)⊆[x,x+1)}\{m\in\mathbb Z_{\geq1}\mid x\in e(m)\subseteq[x,x+1)\}は空でなく、その最小元をm(x)m(x)とおく。e(m(x))⊆[x,x+1)e(m(x))\subseteq[x,x+1)であるからe(m(x))e(m(x))の元はすべてxx以上であり、x∈e(m(x))x\in e(m(x))であるから、xxはe(m(x))e(m(x))の最小元である。

x,y∈Rx,y\in\mathbb Rがm(x)=m(y)m(x)=m(y)を満たすとするとe(m(x))=e(m(y))e(m(x))=e(m(y))であり、前段落によりxxはe(m(x))e(m(x))の最小元、yyはe(m(y))e(m(y))の最小元であるからx=yx=yである。したがってm ⁣:R→Z≥1m\colon\mathbb R\to\mathbb Z_{\geq1}は単射である。包含写像Z≥1→N≥0\mathbb Z_{\geq1}\to\mathbb N_{\geq 0}は単射であるから合成R→N≥0\mathbb R\to\mathbb N_{\geq 0}も単射であり、§E1.18 定義 1.2によりR\mathbb Rは高々可算である。これは§E1.19 定理 3.3に反する。ゆえにRℓ\mathbb R_\ellの開基はいずれも高々可算でなく、§E2.13 定義 5.1によりRℓ\mathbb R_\ellは第二可算でない。▨

問題 7.3. 二つの元をもつ集合X={a,b}X=\{a,b\}に密着位相O={∅,X}\mathcal O=\{\emptyset,X\}を入れる。この位相空間が第二可算かつ正則であって T1 でないことを示せ。また、集合族{fk−1((0,1])∣k∈Z≥1}\{f_k^{-1}((0,1])\mid k\in\Z_{\geq1}\}がO\mathcal Oの開基となる連続写像の列fk ⁣:X→[0,1]f_k\colon X\to[0,1](k∈Z≥1)(k\in\Z_{\geq1})がこの空間に存在することを示し、そのような任意の列について

F ⁣:X⟶∏k∈Z≥1[0,1],F(x)=(fk(x))k∈Z≥1F\colon X\longrightarrow\prod_{k\in\Z_{\geq1}}[0,1],\qquad F(x)=(f_k(x))_{k\in\Z_{\geq1}}

が単射でないことを示せ。さらにXXが距離化可能でないことを示せ。

解答.

B={X}\mathcal B=\{X\}とおく。B⊆O\mathcal B\subseteq\mathcal Oであり、U∈OU\in\mathcal Oとx∈Ux\in Uに対してU≠∅U\neq\emptysetであるからU=XU=Xであり、x∈X⊆Ux\in X\subseteq Uが成り立つ。よって§E2.13 命題 1.2によりB\mathcal BはO\mathcal Oの開基である。B\mathcal Bは一つの元をもつ集合であるから有限であり、高々可算である。ゆえにXXは第二可算である。

O={∅,X}\mathcal O=\{\emptyset,X\}であるから、XXの閉集合は∅\emptysetとXXの二つだけである。CCをXXの閉集合とし、x∈X∖Cx\in X\setminus CをとるとC≠XC\neq XであるからC=∅C=\emptysetである。U=XU=X、V=∅V=\emptysetとおくとx∈Ux\in U、C⊆VC\subseteq V、U∩V=∅U\cap V=\emptysetであるからXXは正則である。aaを含むO\mathcal Oの元はXXだけであり、b∈Xb\in Xであるから、aaを含みbbを含まない開集合は存在しない。ゆえにXXは T1 空間でない。

各k∈Z≥1k\in\Z_{\geq1}についてfkf_kを値11をとる定値写像とする。[0,1][0,1]の開集合のfkf_kによる逆像は、その開集合が11を含むならばXX、含まないならば∅\emptysetであり、いずれもXXの開集合であるからfkf_kは連続である。各kkについてfkf_kの値は11だけであるからfk−1((0,1])=Xf_k^{-1}((0,1])=Xであり、集合族{fk−1((0,1])∣k∈Z≥1}\{f_k^{-1}((0,1])\mid k\in\Z_{\geq1}\}はB\mathcal Bに等しい。前段によりB\mathcal BはO\mathcal Oの開基であるから、列(fk)k∈Z≥1(f_k)_{k\in\Z_{\geq1}}は問題文の条件を満たす。

f ⁣:X→[0,1]f\colon X\to[0,1]を連続写像とし、f(a)≠f(b)f(a)\neq f(b)と仮定する。§E2.15 定理 3.2 (1)により[0,1][0,1]は T2 空間であるから、f(a)∈Vf(a)\in V、f(b)∈Wf(b)\in W、V∩W=∅V\cap W=\emptysetを満たす[0,1][0,1]の開集合V,WV,Wが存在する。f−1(V)f^{-1}(V)はXXの開集合であり、a∈f−1(V)a\in f^{-1}(V)である。f(b)∈Wf(b)\in WとV∩W=∅V\cap W=\emptysetからf(b)∉Vf(b)\notin Vであるためb∉f−1(V)b\notin f^{-1}(V)である。一方、O={∅,X}\mathcal O=\{\emptyset,X\}の元は、aaを含むならばbbも含む。f−1(V)f^{-1}(V)はaaを含みbbを含まないから、この二つは両立しない。ゆえにXXから[0,1][0,1]への連続写像はすべて定値写像である。とくに問題文の条件を満たす任意の列(fk)k∈Z≥1(f_k)_{k\in\Z_{\geq1}}についてfk(a)=fk(b)f_k(a)=f_k(b)がすべてのkkで成り立ち、F(a)=F(b)F(a)=F(b)である。a≠ba\neq bであるからFFは単射でない。

XXの位相を生成する距離が存在すると仮定すると、§E2.15 定理 3.2 (4)によりXXは T1 空間になり、XXが T1 空間でないことと両立しない。ゆえにXXは距離化可能でない。▨

参考文献

  1. 松坂和夫『集合・位相入門』新装版, 岩波書店, 2018.開被覆による被覆性質の定式化と、分離公理との関係を参考にした。
  2. James R. Munkres, Topology, 2nd ed., Prentice Hall, 2000.Lindelöf 性の閉部分空間と連続像による保存、正則 Lindelöf 空間の正規性、Sorgenfrey 直線と Sorgenfrey 平面の可算性条件、および距離空間における可算性条件の同値を参考にした。
  3. Stephen Willard, General Topology, Dover Publications, 2004, originally published 1970.一般位相空間における Lindelöf 性の定式化と、可算性条件どうしの比較を参考にした。

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