§E2.29可算型空間

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位相空間の各点が可算な近傍基をもつという条件は、位相空間論における基本的な可算性条件の一つである。しかし、この条件は点についてのものであり、コンパクト部分集合そのものが可算な近傍基をもつかどうかについては何も述べていない。

そこで、あるコンパクト部分集合を含む、より大きなコンパクト部分集合であって可算な近傍基をもつものの存在を求めると、可算型という性質が得られる。たとえば、距離化可能な空間ではすべてのコンパクト部分集合がこの性質をもつから、距離化可能な空間は可算型である。

可算型は、局所コンパクト空間や Čech 完備な空間といった、互いに独立な発想から導入された空間のクラスを統一的に説明する性質である。さらにこの性質は、空間自身の内側だけでなく、コンパクト化の剰余が Lindelöf であるという条件として言い換えることもでき、Čech 完備性と剰余の σ-コンパクト性の関係と対をなす。

本記事では、可算型の定義を導入し、その基本的な性質や代表的な例について解説し、あわせて Čech 完備な Lindelöf 空間の構造を与える Frolík の定理を扱う。

1 定義

定義 1.1.(X,O)(X,\mathcal O)を位相空間、A⊆XA\subseteq Xとする。A⊆U⊆VA\subseteq U\subseteq Vを満たす開集合U∈OU\in\mathcal Oが存在するとき、V⊆XV\subseteq XをAAの 部分集合の近傍 (neighborhood of a set) といい、AAの近傍の全体をN(A)\mathcal N(A)と書く。

B⊆N(A)\mathcal B\subseteq\mathcal N(A)が、任意のV∈N(A)V\in\mathcal N(A)に対してB⊆VB\subseteq Vを満たすB∈BB\in\mathcal Bをもつとき、B\mathcal BをAAの 部分集合の近傍基 (neighborhood base of a set) という。AAの近傍からなる列(Vn)n≥1(V_n)_{n\geq1}が、任意のV∈N(A)V\in\mathcal N(A)に対してVn⊆VV_n\subseteq Vを満たすnnをもつとき、(Vn)n≥1(V_n)_{n\geq1}をAAの可算近傍基という。

注意 1.2.A={x}A=\{x\}のとき、{x}⊆U⊆V\{x\}\subseteq U\subseteq Vを満たす開集合UUが存在するという条件はx∈U⊆Vx\in U\subseteq Vを満たす開集合が存在するという条件と同じであるから、定義 1.1の近傍・近傍基・可算近傍基は§E2.11 定義 6.1と§E2.13 定義 4.1が点について定めたものに一致する。

補題 1.3.(X,O)(X,\mathcal O)を位相空間、A⊆XA\subseteq Xとする。AAがXXで可算近傍基をもつならば、XXの開集合からなるAAの可算近傍基が存在する。

証明.(Vn)n≥1(V_n)_{n\geq1}をAAの可算近傍基とする。定義 1.1により、各nnに対してA⊆Wn⊆VnA\subseteq W_n\subseteq V_nを満たすXXの開集合WnW_nをとる。WnW_nはAAを含む開集合であるからAAの近傍である。V∈N(A)V\in\mathcal N(A)に対してVn⊆VV_n\subseteq Vを満たすnnをとればWn⊆Vn⊆VW_n\subseteq V_n\subseteq Vである。ゆえに(Wn)n≥1(W_n)_{n\geq1}はXXの開集合からなるAAの可算近傍基である。▨

定理 1.4. 距離化可能空間の任意のコンパクト部分集合は可算近傍基をもつ。

証明.XXを距離化可能空間とし、位相を定める距離ddを一つとる。K⊆XK\subseteq Xをコンパクト部分集合とする。任意の閉部分集合F⊂X∖KF\subset X\setminus Kに対し、hF(x):=inf⁡x′∈Fd(x,x′)h_F(x):=\inf_{x'\in F}d(x,x')により写像hF ⁣:X→R≥0h_F\colon X\to \R_{\geq 0}を定義すれば、これは連続で、定義からF=hF−1(0)F = h_F^{-1}(0)であり、hF(K)⊂R>0h_F(K)\subset \R_{>0}である。KKはコンパクトなのであるn∈N≥0n\in \Nが存在してhF(K)⊂[1/n,∞)h_F(K) \subset [1/n, \infty)が成り立つ。よって(⋃x∈KB(x,1/n))n∈N≥0(\bigcup_{x\in K}B(x,1/n))_{n\in \N}はKKの可算近傍基となる。▨

注意 1.5. 距離化可能空間の閉部分集合は一般に可算近傍基を持つわけではない。問題 6.1を参照。

定義 1.6. 位相空間XXが 可算型 (space of countable type) であるとは、XXの任意のコンパクト部分集合KKに対して、K⊆LK\subseteq Lを満たすXXのコンパクト部分集合LLで、XXにおける可算近傍基をもつものが存在することをいう。

補題 1.7. 次が成り立つ:

  1. コンパクトな位相空間は可算型である。
  2. 距離化可能空間は可算型である。

証明.(1)は全空間の近傍系が一元集合であることからただちに従う。(2)は定理 1.4よりただちに従う。▨

注意 1.8. 可算型であることは第一可算性を含意しない。§E2.19 例 8.3により非可算 Cantor cube2ω12^{\omega_1}はコンパクトであるから、補題 1.7により2ω12^{\omega_1}は可算型である。一方§E2.14 命題 4.2により2ω12^{\omega_1}の全零点は可算近傍基をもたない。定義 1.6が求めているのは各点の近傍基ではなく、与えられたコンパクト部分集合を含むコンパクト部分集合の近傍基だからである。

命題 1.9.XXを可算型の位相空間、FFをXXの閉集合とし、FFには部分空間位相を入れる。このときFFは可算型である。

証明は演習とする(問題 6.3)。

2 可算近傍基を持つコンパクト部分集合とコンパクト化

補題 2.1.XXを T3½ 空間、K⊆XK\subseteq Xをコンパクト部分集合とする。

  1. K⊆WnK\subseteq W_nを満たすXXの開集合の列(Wn)n≥1(W_n)_{n\geq1}に対して、KKのすべての点で値00をとる連続写像f ⁣:X→[0,1]f\colon X\to[0,1]で K⊆f−1({0})⊆⋂n≥1Wn,f−1([0,2−n))⊆Wn(n≥1)K\subseteq f^{-1}(\{0\})\subseteq\bigcap_{n\geq1}W_n, \qquad f^{-1}\bigl([0,2^{-n})\bigr)\subseteq W_n\quad(n\geq1) を満たすものが存在する。
  2. KKがXXのGδG_\delta集合であることと、連続写像f ⁣:X→[0,1]f\colon X\to[0,1]でK=f−1({0})K=f^{-1}(\{0\})を満たすものが存在することとは同値である。
  3. KKがXXで可算近傍基をもつことと、連続写像f ⁣:X→[0,1]f\colon X\to[0,1]で(f−1([0,1/n)))n≥1\bigl(f^{-1}([0,1/n))\bigr)_{n\geq1}がKKの可算近傍基であるものが存在することとは同値である。

証明.(1)を示す。各n≥1n\geq1に対してX∖WnX\setminus W_nは閉集合でありK∩(X∖Wn)=∅K\cap(X\setminus W_n)=\emptysetであるから、§E2.19 補題 6.1 (3)により、KKのすべての点で値00をとりX∖WnX\setminus W_nのすべての点で値11をとる連続写像gn ⁣:X→[0,1]g_n\colon X\to[0,1]をとる。包含写像[0,1]→R[0,1]\to\mathbb Rは§E2.12 定理 4.4により連続であるから、各gng_nをR\mathbb Rに値をとる連続写像とみなす。§E2.16 補題 2.5を列(gn)n≥1(g_n)_{n\geq1}へ適用して、0≤f≤10\leq f\leq1を満たす連続写像f ⁣:X→Rf\colon X\to\mathbb Rで、すべてのN≥1N\geq1とx∈Xx\in Xについて∑n=1N2−ngn(x)≤f(x)\sum_{n=1}^{N}2^{-n}g_n(x)\leq f(x)が成り立ち、f(x)=0f(x)=0であることとすべてのn≥1n\geq1についてgn(x)=0g_n(x)=0であることとが同値であるものをとる。像が[0,1][0,1]に含まれることと§E2.12 定理 4.4により、終域を[0,1][0,1]とした連続写像f ⁣:X→[0,1]f\colon X\to[0,1]を得る。

x∈Kx\in Kに対してはすべてのnnでgn(x)=0g_n(x)=0であるからf(x)=0f(x)=0である。逆にf(x)=0f(x)=0ならばすべてのnnでgn(x)=0g_n(x)=0であり、x∉Wnx\notin W_nならばgn(x)=1g_n(x)=1であるから、x∈Wnx\in W_nがすべてのnnについて成り立つ。ゆえにK⊆f−1({0})⊆⋂n≥1WnK\subseteq f^{-1}(\{0\})\subseteq\bigcap_{n\geq1}W_nである。

n≥1n\geq1とf(x)<2−nf(x)<2^{-n}を満たすxxをとると、2−ngn(x)≤∑m=1n2−mgm(x)≤f(x)<2−n2^{-n}g_n(x)\leq\sum_{m=1}^{n}2^{-m}g_m(x)\leq f(x)<2^{-n}であるからgn(x)<1g_n(x)<1であり、x∈Wnx\in W_nである。ゆえにf−1([0,2−n))⊆Wnf^{-1}([0,2^{-n}))\subseteq W_nである。

(2)と(3)はそれぞれ(1)よりただちに従う。▨

系 2.2.ZZをコンパクト Hausdorff 空間とし、K⊆ZK\subseteq ZをZZのGδG_\delta集合であるコンパクト部分集合とする。このときKKはZZで可算近傍基をもつ。

証明.§E2.19 系 6.12によりZZは T3½ 空間である。補題 2.1 (2)により、連続写像f ⁣:Z→[0,1]f\colon Z\to[0,1]でK=f−1({0})K=f^{-1}(\{0\})を満たすものをとる。任意の開近傍K⊂UK\subset Uに対し、Z∖UZ\setminus UがコンパクトであることとK=f−1(0)K=f^{-1}(0)であることからあるn∈N≥0n\in \Nが存在してf(Z∖U)⊂[1/n,1]f(Z\setminus U) \subset [1/n, 1]が成り立つ。よってK⊂f−1([0,1/n))⊂UK\subset f^{-1}([0,1/n))\subset Uとなり、(f−1([0,1/n)))n∈N≥0(f^{-1}([0,1/n)))_{n\in \N}はKKの可算近傍基である。▨

系 2.3.XXを T3½ 空間、K⊆XK\subseteq Xをコンパクト部分集合とする。次の四条件は同値である。

  1. KKはXXで可算近傍基をもつ。
  2. KKはβX\beta XのGδG_\delta集合である。
  3. XXの任意のコンパクト化cXcXについて、KKはcXcXのGδG_\delta集合である。
  4. XXのあるコンパクト化cXcXについて、KKはcXcXのGδG_\delta集合である。

証明.(1)⇒\Rightarrow(2)を示す。(f−1([0,2−n)))n∈N≥0(f^{-1}([0,2^{-n})))_{n\in \N}がKKの可算近傍基を与えるような連続写像f ⁣:X→[0,1]f\colon X\to[0,1]を任意にとる。ffのβX\beta Xへの延長をf~ ⁣:βX→[0,1]\tilde{f}\colon \beta X\to [0,1]とする。任意の閉集合F⊆βX∖KF\subseteq \beta X\setminus Kに対してK⊂UK\subset U,F⊆βX∖U‾F \subseteq \beta X \setminus \overline{U}となるβX\beta Xの開集合UUを一つとる。(f−1([0,2−n)))n∈N≥0(f^{-1}([0,2^{-n})))_{n\in \N}がKKの近傍基であることから、あるn∈N≥0n\in \Nが存在してK⊂f−1([0,2−n))⊂UK\subset f^{-1}([0,2^{-n})) \subset Uが成り立つ。よってf(X∖U)⊂[2−n,1]f(X\setminus U) \subset [2^{-n}, 1]である。F⊆cl⁡βX(X∖U)F \subseteq \tpcl[\beta X]{X\setminus U}なので、よってf~(F)⊂[2−n,1]\tilde{f}(F) \subset [2^{-n},1]である。以上より(f~−1([0,2−n)))n∈N≥0(\tilde{f}^{-1}([0,2^{-n})))_{n\in \N}はKKのβX\beta Xにおける可算近傍基となる。

(2)⇒\Rightarrow(3)を示す。cXcXをXXの任意のコンパクト化とし、K⊂βXK\subset \beta XはGδG_{\delta}集合であると仮定する。π ⁣:βX→cX\pi\colon \beta X\to cXを自然な連続写像とすると、π(βX∖X)=cX∖X\pi(\beta X\setminus X) = cX\setminus Xを満たすので、π(K)=K\pi(K)=K,π(βX∖K)=π(βX∖X)∪(X∖K)=(cX∖X)∪(X∖K)=cX∖K\pi(\beta X \setminus K) = \pi(\beta X\setminus X) \cup (X\setminus K) = (cX \setminus X) \cup (X\setminus K) = cX\setminus Kが成り立つ。βX∖K\beta X \setminus KはFσF_{\sigma}集合なのでπ\piが閉写像であることからcX∖KcX\setminus KもFσF_{\sigma}集合となりKKはcXcXでGδG_{\delta}である。

(3)⇒\Rightarrow(4)は明らかである。(4)⇒\Rightarrow(1)は系 2.2よりただちに従う。▨

系 2.4.XXを T3½ 空間、cXcXをXXのコンパクト化とする。XXが可算型であることと、XXの任意のコンパクト部分集合KKに対してK⊆L⊆XK\subseteq L\subseteq Xを満たすコンパクト部分集合LLでcXcXのGδG_\delta集合であるものが存在することとは同値である。とくに、後者の条件が成り立つかどうかはcXcXの取り方によらない。

証明は演習とする(問題 6.4)。

3 Henriksen–Isbell の定理

補題 3.1.XXをハウスドルフ空間、K⊂XK\subset Xをコンパクト部分集合、L⊂XL\subset XをK∩L=∅K\cap L = \emptysetとなる Lindelöf な部分空間とする。このとき、次が成り立つ:

  1. K⊂G⊂X∖LK\subset G\subset X\setminus LとなるGδG_{\delta}集合が存在する。
  2. もしKKがX∖LX\setminus LでGδG_{\delta}集合であれば、KKはXXでGδG_{\delta}集合である。

証明.(1)を示す。XXはハウスドルフなので、任意の点x∈Lx\in Lに対してある開集合K⊂VxK\subset V_x,x∈Wxx\in W_xが存在してVx∩Wx=∅V_x\cap W_x = \emptysetが成り立つ。L⊂⋃x∈LWxL \subset \bigcup_{x\in L}W_xなので、LLが Lindelöf であることから、可算部分集合L0⊂LL_0\subset Lが存在してL⊂⋃x∈L0WxL\subset \bigcup_{x\in L_0}W_xが成り立つ。このとき、

K⊂⋂x∈L0Vx⊂X∖⋃x∈L0Wx⊂X∖LK\subset \bigcap_{x\in L_0}V_x \subset X\setminus \bigcup_{x\in L_0}W_x \subset X\setminus L

となる。⋂x∈L0Vx\bigcap_{x\in L_0}V_xが求めるGδG_{\delta}集合である。

(2)を示す。KKが部分空間X∖LX\setminus LのGδG_{\delta}集合であるとすると、XXの開集合の列(Un)n≥1(U_n)_{n\geq1}でK=(X∖L)∩⋂n≥1UnK = (X\setminus L)\cap\bigcap_{n\geq1}U_nを満たすものが存在する。(1)のGGをとるとK⊂G⊂X∖LK\subset G\subset X\setminus LであるからK=G∩⋂n≥1UnK = G\cap\bigcap_{n\geq1}U_nであり、これはXXの二つのGδG_{\delta}集合の共通部分であるからXXのGδG_{\delta}集合である。▨

定理 3.2 (Henriksen–Isbell の定理).XXを T3½ 空間とする。このとき、次の主張は同値である:

  1. XXは可算型空間である。
  2. βX∖X\beta X\setminus Xは Lindelöf である。
  3. 任意のコンパクト化cXcXに対し、cX∖XcX\setminus Xは Lindelöf である。
  4. あるコンパクト化cXcXに対し、cX∖XcX\setminus Xは Lindelöf である。

とくに、剰余が Lindelöf であるかどうかはコンパクト化の取り方によらない。

証明.(2)⇒\Rightarrow(3)は自然な連続写像βX→cX\beta X\to cXが剰余を剰余に全射に写すことからただちに従う。(3)⇒\Rightarrow(4)は自明である。

(4)⇒\Rightarrow(1)を示す。cXcXをXXのコンパクト化とし、cX∖XcX\setminus Xが Lindelöf であると仮定する。C⊂XC\subset Xをコンパクト集合とする。cXcXはコンパクト Hausdorff 空間でありC∩(cX∖X)=∅C\cap(cX\setminus X)=\emptysetであるから、補題 3.1 (1)をcXcXとその Lindelöf な部分空間cX∖XcX\setminus Xへ適用して、あるcXcXのGδG_{\delta}集合G=⋂n∈N≥0UnG = \bigcap_{n\in \N}U_nが存在してC⊂G⊂XC\subset G\subset Xが成り立つ。補題 2.1 (1)よりある連続写像f ⁣:cX→[0,1]f\colon cX\to [0,1]が存在してC⊂f−1(0)C\subset f^{-1}(0),f−1([0,2−n))⊂Unf^{-1}([0,2^{-n}))\subset U_nが成り立つ。K:=f−1(0)K:=f^{-1}(0)と置く。このときC⊂K⊂G⊂XC\subset K\subset G\subset Xである。さらに、KKはcXcXのコンパクトなGδG_{\delta}集合なので、系 2.3 (1)⇔\Leftrightarrow(3)より、KKはXXの可算近傍基を持つコンパクト部分集合である。以上よりXXは可算型である。

(1)⇒\Rightarrow(2)を示す。XXを可算型とし、(Ui)i∈I(U_i)_{i\in I}をβX\beta Xの開集合族であってβX∖X⊂⋃i∈IUi\beta X\setminus X\subset \bigcup_{i\in I}U_iとなるものとする。C:=βX∖⋃i∈IUiC := \beta X\setminus \bigcup_{i\in I} U_iと置くと、これはβX\beta Xの閉集合なのでコンパクトであり、C⊂XC\subset Xである。よってXXが可算型であることから、ある可算近傍基を持つコンパクト集合C⊂K⊂XC\subset K\subset Xが存在する。系 2.3 (1)⇔\Leftrightarrow(3)より、KKはβX\beta XのGδG_{\delta}集合である。特にβX∖K\beta X\setminus KはFσF_{\sigma}集合であり、βX\beta Xがコンパクトであることからこれは σ-コンパクト、特に Lindelöf である。また、βX∖⋃i∈IUi=C⊂K\beta X \setminus \bigcup_{i\in I}U_i = C\subset Kなので、βX∖K⊂⋃i∈IUi\beta X\setminus K\subset \bigcup_{i\in I}U_iである。よって、可算部分集合I0⊂II_0\subset Iが存在してβX∖X⊂βX∖K⊂⋃i∈I0Ui\beta X\setminus X \subset \beta X\setminus K \subset \bigcup_{i\in I_0}U_iが成り立つ。以上よりβX∖X\beta X\setminus Xは Lindelöf である。▨

系 3.3.XXを距離化可能空間とするとき、任意のコンパクト化cXcXの剰余cX∖XcX\setminus Xは Lindelöf 空間である。特にβX∖X\beta X\setminus Xは Lindelöf 空間である。

証明.定理 3.2 (1)⇔\Leftrightarrow(2)と補題 1.7 (2)よりただちに従う。▨

例 3.4.βQ∖Q\beta \Q \setminus \Qやβ(R∖Q)∖(R∖Q)\beta (\R\setminus \Q) \setminus (\R\setminus \Q)は Lindelöf 空間である。

系 3.5. Čech 完備空間は可算型である。特に局所コンパクトハウスドルフ空間は可算型である。

証明.§E2.26 系 2.4により Čech 完備空間の任意のコンパクト化の剰余は σ-コンパクトであり、§E2.25 定理 3.1により Lindelöf である。よって前半は定理 3.2よりただちに従う。後半は、§E2.26 補題 2.2 (3)により局所コンパクト Hausdorff 空間が Čech 完備であることから従う。▨

剰余それ自身が可算型であるかどうかも、定理 3.2から決まる。剰余のコンパクト化はcXcXからコンパクト近傍をもつ点の全体を除いたものであり、その剰余はXXからコンパクト近傍をもつ点の全体を除いたものだからである。

定理 3.6.XXを T3½ 空間、cXcXをXXのコンパクト化とする。このとき、次の二条件は同値である。

  1. X∖XlcX\setminus X_{\mathrm{lc}}は Lindelöf である。ただしここで、XlcX_{\mathrm{lc}}はXXのコンパクト近傍をもつ点の全体である。§E2.24 定義 1.3参照。
  2. 剰余cX∖XcX\setminus Xは可算型である。

証明.R=cX∖XR=cX\setminus X、K=cX∖XlcK=cX\setminus X_{\mathrm{lc}}とおく。§E2.26 補題 4.1によりK=cl⁡cX(R)K=\tpcl[cX]{R}であるから、cXcXがコンパクト Hausdorff 空間であることと§E2.22 補題 1.4 (2)によりKKはRRのコンパクト化であり、§E2.22 命題 1.3によりRRは T3½ 空間である。同じ補題によりK∖R=X∖XlcK\setminus R=X\setminus X_{\mathrm{lc}}であって、X∖XlcX\setminus X_{\mathrm{lc}}とXXはともにcXcXの部分空間であるから、§E2.12 系 4.5によりX∖XlcX\setminus X_{\mathrm{lc}}がKKから受ける部分空間位相はXXから受けるものに一致する。定理 3.2をRRとそのコンパクト化KKへ適用すると、RRが可算型であることとK∖RK\setminus Rが Lindelöf であることとは同値である。これで(1)⇔\Leftrightarrow(2)は示された。▨

系 3.7.XXを Lindelöf な T3½ 空間、cXcXをXXのコンパクト化とする。このとき剰余cX∖XcX\setminus Xは可算型である。

証明.§E2.24 命題 1.4 (1)によりXlcX_{\mathrm{lc}}はXXの開集合であるから、X∖XlcX\setminus X_{\mathrm{lc}}はXXの閉集合である。XXは Lindelöf であるから、§E2.21 系 1.4 (1)により部分空間X∖XlcX\setminus X_{\mathrm{lc}}は Lindelöf である。ゆえに定理 3.6により剰余cX∖XcX\setminus Xは可算型である。▨

注意 3.8.XXを T3½ 空間、cXcXをXXのコンパクト化とすると、XXとその部分空間X∖XlcX\setminus X_{\mathrm{lc}}の性質は、剰余cX∖XcX\setminus Xの性質と次のように対応する。四つの行はいずれも同値である。

左辺の空間 左辺の性質 剰余cX∖XcX\setminus Xの性質 同値を与える主張
XX Čech 完備 σ-コンパクト §E2.26 系 2.4
XX 可算型 Lindelöf 定理 3.2
X∖XlcX\setminus X_{\mathrm{lc}} σ-コンパクト Čech 完備 §E2.26 定理 4.2
X∖XlcX\setminus X_{\mathrm{lc}} Lindelöf 可算型 定理 3.6

下二行の左辺がXX自身ではなくX∖XlcX\setminus X_{\mathrm{lc}}であるのは、剰余のコンパクト化がcXcXではないからである。剰余のコンパクト化はcl⁡cX(cX∖X)\tpcl[cX]{cX\setminus X}であり、§E2.26 補題 4.1によりこの閉包はcX∖XlccX\setminus X_{\mathrm{lc}}に一致し、同じ補題によりそのなかでの剰余はX∖XlcX\setminus X_{\mathrm{lc}}である。したがって下二行は、上二行をXXとそのコンパクト化cXcXの対から、剰余cX∖XcX\setminus Xとそのコンパクト化cX∖XlccX\setminus X_{\mathrm{lc}}の対へ適用し、左右の列を入れ替えたものである。この対での剰余がX∖XlcX\setminus X_{\mathrm{lc}}であるから、上二行の右辺の性質がそのまま下二行の左辺の性質として現れる。

下二行の左辺をXX自身の性質へ替えると、含意は左から右の一方向だけになる。§E2.24 命題 1.4 (1)によりXlcX_{\mathrm{lc}}はXXの開集合であるからX∖XlcX\setminus X_{\mathrm{lc}}はXXの閉集合であり、σ-コンパクト性は§E2.25 系 2.2 (1)により、Lindelöf 性は§E2.21 系 1.4 (1)により閉部分空間へ遺伝するので、XXがσ-コンパクトであれば§E2.26 系 4.3が、XXが Lindelöf であれば系 3.7が従う。この二つの含意の逆はいずれも成り立たない。σ-コンパクト性については§E2.26 例 4.4が非可算離散空間とその一点コンパクト化で、Lindelöf 性については問題 6.2がω1\omega_1とその一点コンパクト化ω1+1\omega_1+1で、それぞれ反例を与える。どちらの例でもXXは局所コンパクトであってXlc=XX_{\mathrm{lc}}=Xであり、X∖XlcX\setminus X_{\mathrm{lc}}が空になることによって下二行の左辺だけが成り立っている。

可算型という条件をさらに緩めた空間のクラス、および剰余それ自身の理論は「一般位相空間論」が扱う。

定理 3.9.XX、YYを T3½ 空間、f ⁣:X→Yf\colon X\to Yを完全写像とする。XXが可算型ならばYYは可算型である。

証明.ffは完全写像なので、§E2.22 定理 5.2より(βf)−1(Y)=X(\beta f)^{-1}(Y)=Xであり、ffは全射なのでβf(βX∖X)=βY∖Y\beta f (\beta X\setminus X) = \beta Y\setminus Yである。XXは可算型なので定理 3.2よりβX∖X\beta X\setminus Xは Lindelöf であり、よってβY∖Y\beta Y\setminus Yも Lindelöf である。ふたたび定理 3.2によりYYは可算型である。▨

定理 3.10.XX、YYを T3½ 空間、f ⁣:X→Yf\colon X\to Yを固有な閉写像とする。YYが可算型ならばXXは可算型である。

証明.§E2.22 命題 3.1の連続写像βf ⁣:βX→βY\beta f\colon\beta X\to\beta Yについて、ffは閉写像であって固有であるから§E2.22 定理 5.2により(βf)−1(Y)=X(\beta f)^{-1}(Y)=Xであり、§E1.1 命題 4.4 (5)により(βf)−1(βY∖Y)=βX∖X(\beta f)^{-1}(\beta Y\setminus Y)=\beta X\setminus Xである。§E2.22 定理 2.2によりβX\beta XはコンパクトでありβY\beta Yは Hausdorff であるから、§E2.20 命題 1.2 (4)によりβf\beta fは閉写像であって固有であり、§E2.20 命題 1.5により、定義域と終域を剰余へ制限した写像βX∖X→βY∖Y\beta X\setminus X\to\beta Y\setminus Yも閉写像であって固有である。§E2.22 系 2.4によりβX\beta XとβY\beta YはそれぞれXXとYYのコンパクト化であり、YYは可算型であるから定理 3.2によりβY∖Y\beta Y\setminus Yは Lindelöf であり、§E2.21 定理 1.3によりβX∖X\beta X\setminus Xも Lindelöf であるから、ふたたび定理 3.2によりXXは可算型である。▨

系 3.11.XXを T3½ かつ可算型の位相空間とする。

  1. XXの閉部分空間は可算型である。
  2. 任意のコンパクト Hausdorff 空間KKに対し、X×KX\times Kは可算型である。

証明.(1)を示す。F⊆XF\subseteq Xを閉集合とすると、§E2.15 系 2.2により部分空間FFは T3½ 空間であり、§E2.20 命題 1.2 (3)により包含写像F→XF\to Xは固有であって閉写像であるから、定理 3.10によりFFは可算型である。

(2)を示す。§E2.19 系 6.12によりKKは T3½ 空間であるから、§E2.15 系 2.9によりX×KX\times Kは T3½ 空間である。§E2.20 命題 4.5により射影pr⁡X ⁣:X×K→X\operatorname{pr}_X\colon X\times K\to Xは固有であって閉写像であるから、定理 3.10をpr⁡X\operatorname{pr}_Xへ適用するとX×KX\times Kは可算型である。▨

4 Čech 完備 Lindelöf 空間への応用

定理 4.1 (Frolík の定理).XXを T3½ 空間とする。このとき次は同値である:

  1. XXは Čech 完備な Lindelöf 空間である。
  2. あるポーランド空間YYと完全写像f ⁣:X→Yf\colon X\to Yが存在する。
  3. あるポーランド空間YYとあるコンパクト Hausdorff 空間KKとある位相的閉埋め込みX→K×YX\to K\times Yが存在する。

証明.X=∅X=\emptysetのときは、Y=∅Y=\emptyset,K=∅K=\emptysetと唯一の写像∅→∅\emptyset\to \emptysetをとればこれらの同値性は明らかであるから、以下X≠∅X\neq\emptysetとする。

(2)⇒\Rightarrow(3)はポーランド空間への完全写像f ⁣:X→Yf\colon X\to Yに対してグラフ写像X→βX×Y,x↦(x,f(x))X\to \beta X \times Y, x\mapsto (x, f(x))を考えて§E2.22 系 5.5を適用することでただちに従う。

(3)⇒\Rightarrow(1)はY×KY\times Kが Čech 完備な Lindelöf 空間空間であること、Čech 完備性と Lindelöf 性が閉部分空間へ遺伝することからただちに従う。

(1)⇒\Rightarrow(2)を示す。cXcXをXXのコンパクト化とする。このとき、§E2.26 定理 2.3よりcX∖XcX\setminus Xは σ-コンパクトである。またX∖Xlc⊂XX\setminus X_{\mathrm{lc}}\subset Xは閉なので Lindelöf であり、よって定理 3.6よりcX∖XcX\setminus Xは可算型である。特に、可算個の可算近傍基を持つコンパクト部分集合Kn⊂cX∖XK_n\subset cX\setminus X,n∈N≥0n\in \Nが存在し、cX∖X=⋃n∈N≥0KncX\setminus X = \bigcup_{n\in \N}K_nが成り立つ。各KnK_nはcX∖XcX\setminus XでGδG_{\delta}であり、XXは Lindelöf であるから、よって補題 3.1 (2)より各KnK_nはcXcXのGδG_{\delta}集合である。従って、補題 2.1 (2)より、ある連続写像fn ⁣:cX→[0,1]f_n\colon cX\to [0,1]が存在してfn−1(0)=Knf_n^{-1}(0) = K_nとなる。fnf_nを並べることによって得られる連続写像

f~ ⁣:cX→[0,1]N≥0,x↦(fn(x))n∈N≥0\tilde{f}\colon cX\to [0,1]^{\N}, \quad x\mapsto (f_n(x))_{n\in \N}

を考えると、fnf_nの取り方から、

cX∖X=⋃n∈N≥0Kn=⋃n∈N≥0fn−1(0)=f~−1([0,1]N≥0∖(0,1]N≥0)cX\setminus X = \bigcup_{n\in \N} K_n = \bigcup_{n\in \N}f_n^{-1}(0) = \tilde{f}^{-1}([0,1]^{\N}\setminus (0,1]^{\N})

が成り立つ。よってf~−1((0,1]N≥0)=X\tilde{f}^{-1}((0,1]^{\N}) = Xであり、§E2.20 命題 1.5よりf~\tilde{f}のXXへの制限により得られる連続写像f ⁣:X→(0,1]N≥0f\colon X\to (0,1]^{\N}は固有閉写像である。特に、X→f(X)X\to f(X)は完全写像である。ここで(0,1]N≥0(0,1]^{\N}は完備距離化可能空間の可算直積なので完備距離化可能であり、よってその閉部分空間f(X)⊂(0,1]N≥0f(X) \subset (0,1]^{\N}も完備距離化可能である。XXは Lindelöf なのでf(X)f(X)も Lindelöf であり、f(X)f(X)は距離化可能なので、以上よりf(X)f(X)はポーランド空間である。以上ですべて示された。▨

系 4.2. T3½ 空間からなる位相空間のクラスであって、コンパクト Hausdorff 空間とポーランド空間を含み、さらに有限直積と閉部分空間をとる操作と同相で閉じるもののうち最小のものは Čech 完備な Lindelöf 空間の全体に等しい。

証明. コンパクト Hausdorff 空間とポーランド空間を含み、有限直積、閉部分空間をとる操作、同相で閉じる最小のクラスをC0\mathcal{C}_0、 Čech 完備な Lindelöf 空間全体のなすクラスをC\mathcal Cと書く。C\mathcal{C}は有限直積、閉部分空間をとる操作、同相で閉じていて、コンパクト Hausdorff 空間とポーランド空間を含むので、C0\mathcal{C}_0の最小性からC0⊂C\mathcal{C}_0\subset \mathcal{C}が成り立つ。逆に定理 4.1 (1)⇔\Leftrightarrow(3)より、X∈CX\in \mathcal{C}に対しあるコンパクト Hausdorff 空間K∈C0K\in\mathcal{C}_0とあるポーランド空間P∈C0P\in\mathcal{C}_0と位相的閉埋め込みX→K×PX\to K\times Pが存在する。C0\mathcal{C}_0が有限直積をとる操作で閉じていることから、K×P∈C0K\times P\in\mathcal{C}_0が成り立つ。X→K×PX\to K\times Pの像をX′X'とすると、C0\mathcal{C}_0が閉部分空間をとる操作により閉じていることからX′∈C0X'\in \mathcal{C}_0が成り立つ。X≅X′X\cong X'であるから、C0\mathcal{C}_0が同相で閉じていることからX∈C0X\in \mathcal{C}_0が成り立つ。以上よりC⊂C0\mathcal{C}\subset \mathcal{C}_0が成り立ち、C=C0\mathcal{C} = \mathcal{C}_0が従う。▨

5 例

例 5.1.§E2.18 定義 7.1の Tychonoff の板T=(ω1+1)×(ω+1)T=(\omega_1+1)\times(\omega+1)から辺ω1×{ω}\omega_1\times\{\omega\}を除いた部分空間を

X=T∖(ω1×{ω})X=T\setminus\bigl(\omega_1\times\{\omega\}\bigr)

と置く。これは T3½ 空間の部分空間なので T3½ 空間である。TTはω1×ω\omega_1\times \omegaのコンパクト化であるから、ω1×ω⊂X⊂T\omega_1\times \omega\subset X\subset TであることからTTはXXのコンパクト化でもある。T∖X=ω1×{ω}≅ω1T\setminus X = \omega_1\times\{\omega\}\cong \omega_1であり、これは§E2.23 系 6.2より可算コンパクトである。ω1\omega_1は§E2.19 定理 7.2によりコンパクトでないので、§E2.23 命題 1.4の対偶よりこれは Lindelöf でもない。定理 3.2により、XXが可算型であればXXのコンパクト化TTの剰余は Lindelöf でなければならない。ゆえにXXは可算型でない。とくにXXは Čech 完備でも距離化可能でもなく、局所コンパクトでもない。

例 5.2. σ-コンパクト空間は可算型であるとは限らない。たとえばDDを非可算無限離散空間とすると、DDとN≥0N≥0\N^{\N}は Čech 完備であるから、§E2.26 系 2.5よりX:=N≥0N≥0×DX := \N^{\N} \times Dは Čech 完備であるが、DDが非可算離散空間であることからこれは Lindelöf でない。またN≥0N≥0\N^{\N}は局所コンパクトな点を持たないため、Xlc=∅X_{\mathrm{lc}} = \emptysetである。特にY:=βX∖XY:=\beta X \setminus XはβX\beta Xで稠密であるため、βX\beta XはY=βX∖XY = \beta X\setminus Xのコンパクト化である。認知的便宜のためcY=βXcY = \beta Xと置くと、X=cY∖YX = cY\setminus Yである。X=cY∖YX = cY\setminus Yは Čech 完備だが Lindelöf でない空間であるため、§E2.26 定理 4.2 (1)⇔\Leftrightarrow(2)と定理 3.2より、YYは σ-コンパクトであるが可算型でない。

例 5.3.

  1. 順序数空間ω1+1\omega_1+1はコンパクト Hausdorff 空間なので Čech 完備な Lindelöf 空間であるが、§E2.17 定理 4.7によりω1+1\omega_1+1は第二可算でないため、§E2.27 命題 1.5よりω1+1\omega_1+1はポーランド空間でない。
  2. XXを空でないコンパクト Hausdorff 空間とすると、定理 4.1の結論は、一点からなる離散空間YYと唯一の写像f ⁣:X→Yf\colon X\to Yによって満たされる。§E2.27 例 1.8 (3)によりYYはポーランド空間であり、ffは全射であって、XXの閉集合の像は∅\emptysetまたはYYであるからffは閉写像であり、§E2.20 命題 1.2 (2)によりffは固有である。
  3. R×(ω1+1)\R\times(\omega_1+1)は Čech 完備な Lindelöf 空間であるが、コンパクトでもポーランド空間でもない。

6 演習

問題 6.1.R×{1}⊂R2\R\times\{1\}\subset \R^2は可算近傍基を持たないことを示しなさい。

解答.

R2\R^2には通常の距離ddを入れ、A=R×{1}A=\R\times\{1\}とおく。

まずAAはR2\R^2の閉集合である。実際、(x,y)∉A(x,y)\notin Aならば∣y−1∣>0|y-1|>0であり、d((x,y),(x′,y′))<∣y−1∣d((x,y),(x',y'))<|y-1|を満たす(x′,y′)(x',y')は∣y′−y∣≤d((x,y),(x′,y′))<∣y−1∣|y'-y|\leq d((x,y),(x',y'))<|y-1|を満たすから∣y′−1∣≥∣y−1∣−∣y′−y∣>0|y'-1|\geq|y-1|-|y'-y|>0となり、AAに属さない。ゆえに§E2.2 定義 1.1によりR2∖A\R^2\setminus Aは開集合である。

AAがR2\R^2で可算近傍基をもつと仮定する。補題 1.3により、R2\R^2の開集合からなるAAの可算近傍基(Vn)n≥1(V_n)_{n\geq1}をとることができる。各n≥1n\geq1に対して(n,1)∈A⊆Vn(n,1)\in A\subseteq V_nであるから、§E2.2 定義 1.1によりB((n,1),εn)⊆VnB((n,1),\varepsilon_n)\subseteq V_nを満たす実数εn>0\varepsilon_n>0が存在する。ηn=εn/2\eta_n=\varepsilon_n/2とおく。

n≥1n\geq1に対して

Rn={(x,y)∈R2∣∣x−n∣<1, ∣y−1∣<ηn},R0={(x,y)∈R2∣x<2, ∣y−1∣<η1}R_n=\{(x,y)\in\R^2\mid |x-n|<1,\ |y-1|<\eta_n\}, \qquad R_0=\{(x,y)\in\R^2\mid x<2,\ |y-1|<\eta_1\}

とおき、U=⋃n≥0RnU=\bigcup_{n\geq0}R_nとおく。

UUはAAを含む。実際、x<2x<2ならば(x,1)∈R0(x,1)\in R_0であり、x≥2x\geq2ならばn≤x<n+1n\leq x<n+1を満たす整数nnをとるとn≥2≥1n\geq2\geq1かつ∣x−n∣<1|x-n|<1であるから(x,1)∈Rn(x,1)\in R_nである。

UUは開集合である。p=(x0,y0)∈Rnp=(x_0,y_0)\in R_n(n≥1n\geq1)に対してε=min⁡{1−∣x0−n∣, ηn−∣y0−1∣}\varepsilon=\min\{1-|x_0-n|,\ \eta_n-|y_0-1|\}とおくとε>0\varepsilon>0であり、d((x,y),p)<εd((x,y),p)<\varepsilonならば∣x−x0∣<ε|x-x_0|<\varepsilonかつ∣y−y0∣<ε|y-y_0|<\varepsilonであるから

∣x−n∣≤∣x−x0∣+∣x0−n∣<1,∣y−1∣≤∣y−y0∣+∣y0−1∣<ηn|x-n|\leq|x-x_0|+|x_0-n|<1, \qquad |y-1|\leq|y-y_0|+|y_0-1|<\eta_n

となり(x,y)∈Rn(x,y)\in R_nである。R0R_0についてもε=min⁡{2−x0, η1−∣y0−1∣}\varepsilon=\min\{2-x_0,\ \eta_1-|y_0-1|\}として同じ評価が成り立つ。ゆえにB(p,ε)⊆UB(p,\varepsilon)\subseteq Uであり、§E2.2 定義 1.1によりUUは開集合である。したがってUUはAAの近傍である。

ところが、どのm≥1m\geq1についてもVm⊆UV_m\subseteq Uは成り立たない。pm=(m,1+ηm)p_m=(m,1+\eta_m)とおくと、d(pm,(m,1))=ηm<εmd(p_m,(m,1))=\eta_m<\varepsilon_mであるからpm∈B((m,1),εm)⊆Vmp_m\in B((m,1),\varepsilon_m)\subseteq V_mである。一方、n≥1n\geq1についてpm∈Rnp_m\in R_nであるためには∣m−n∣<1|m-n|<1すなわちn=mn=mが必要であるが、そのとき∣y−1∣=ηm<ηm|y-1|=\eta_m<\eta_mは成り立たない。またpm∈R0p_m\in R_0であるためにはm<2m<2すなわちm=1m=1が必要であるが、そのとき∣y−1∣=η1<η1|y-1|=\eta_1<\eta_1は成り立たない。ゆえにpm∉Up_m\notin Uであり、Vm⊈UV_m\not\subseteq Uである。

これは(Vn)n≥1(V_n)_{n\geq1}がAAの近傍基であることに反する。ゆえにAAはR2\R^2で可算近傍基をもたない。▨

問題 6.2. 順序数空間ω1\omega_1について、ω1\omega_1が可算型であること、ω1+1\omega_1+1における剰余が可算型であること、およびω1\omega_1が Lindelöf でないことを示し、系 3.7の逆がω1\omega_1によっても破られることを確かめよ。

解答.

§E2.24 定理 5.4によりω1+1\omega_1+1はω1\omega_1の一点コンパクト化であるから、§E2.22 定義 1.1によりω1+1\omega_1+1はコンパクト Hausdorff 空間であり、§E2.22 命題 1.3によりω1\omega_1は T3½ 空間である。§E2.15 定理 1.11によりω1\omega_1は Hausdorff であり、§E2.24 定理 5.2により局所コンパクトであるから、系 3.5によりω1\omega_1は可算型である。

剰余(ω1+1)∖ω1(\omega_1+1)\setminus\omega_1は一点集合であるから§E2.19 例 2.3によりコンパクトであり、補題 1.7により可算型である。一方§E2.21 系 5.2によりω1\omega_1は Lindelöf でない。ゆえに、剰余が可算型であっても、もとの空間が Lindelöf であるとは限らない。▨

問題 6.3.命題 1.9の証明を完成させよ。

解答.

XXを可算型、F⊆XF\subseteq Xを閉集合とし、FFには部分空間位相を入れる。K⊆FK\subseteq Fをコンパクト部分集合とすると、§E2.19 補題 2.7によりKKはXXのコンパクト部分集合である。ゆえにK⊆LK\subseteq Lを満たすXXのコンパクト部分集合LLで可算近傍基をもつものが存在し、補題 1.3により、その可算近傍基はXXの開集合からなる列(Vn)n≥1(V_n)_{n\geq1}にとることができる。

L′=L∩FL'=L\cap Fとおく。§E2.12 命題 4.6によりL′L'は部分空間LLの閉集合であるから、§E2.19 命題 4.1と§E2.19 補題 2.7によりL′L'はFFのコンパクト部分集合であり、K⊆LK\subseteq LとK⊆FK\subseteq FからK⊆L′K\subseteq L'である。Vn∩FV_n\cap FはL′L'を含むFFの開集合であるからL′L'の近傍である。

VVをFFにおけるL′L'の近傍とし、L′⊆U⊆VL'\subseteq U\subseteq Vを満たすFFの開集合UUをとる。U=U′∩FU=U'\cap Fを満たすXXの開集合U′U'をとり、W=U′∪(X∖F)W=U'\cup(X\setminus F)とおくとWWはXXの開集合である。LLの点はFFに属せばL′⊆U⊆U′L'\subseteq U\subseteq U'によりU′U'に属し、FFに属さなければX∖FX\setminus Fに属するから、L⊆WL\subseteq Wである。ゆえにVn⊆WV_n\subseteq Wを満たすnnが存在し、このnnについて

Vn∩F⊆W∩F=U′∩F=U⊆VV_n\cap F\subseteq W\cap F=U'\cap F=U\subseteq V

である。したがって(Vn∩F)n≥1(V_n\cap F)_{n\geq1}はFFにおけるL′L'の可算近傍基であり、定義 1.6によりFFは可算型である。▨

問題 6.4.系 2.4を証明せよ。

解答.

XXを T3½ 空間、cXcXをXXのコンパクト化とする。XXを可算型とし、K⊆XK\subseteq Xをコンパクト部分集合とする。定義 1.6により、K⊆LK\subseteq Lを満たすコンパクト部分集合L⊆XL\subseteq XでXXにおける可算近傍基をもつものが存在し、系 2.3 (1)⇒\Rightarrow(3)によりLLはcXcXのGδG_\delta集合である。

逆に後者の条件が成り立つとし、K⊆XK\subseteq Xをコンパクト部分集合とする。K⊆L⊆XK\subseteq L\subseteq Xを満たすコンパクト部分集合LLでcXcXのGδG_\delta集合であるものをとると、系 2.3 (4)⇒\Rightarrow(1)によりLLはXXで可算近傍基をもつ。ゆえに定義 1.6によりXXは可算型である。

同値の一方の条件はcXcXを含まないから、後者の条件はcXcXの取り方によらない。▨

問題 6.5.Q\mathbb QにR\mathbb Rの通常の距離の制限が定める位相を入れる。剰余βQ∖Q\beta\mathbb Q\setminus\mathbb Qが Lindelöf であるが σ-コンパクトでないことを示せ。

解答.

Q\mathbb Qは距離化可能であるから定理 1.4により可算型であり、§E2.15 定理 3.2 (3)により T3½ 空間である。§E2.22 系 2.4によりβQ\beta\mathbb QはQ\mathbb Qのコンパクト化であるから、定理 3.2によりβQ∖Q\beta\mathbb Q\setminus\mathbb Qは Lindelöf である。

βQ∖Q\beta\mathbb Q\setminus\mathbb Qが σ-コンパクトであるとすると、§E2.26 系 2.4によりQ\mathbb Qは Čech 完備となるが、これは§E2.28 系 5.2と両立しない。ゆえにβQ∖Q\beta\mathbb Q\setminus\mathbb Qは σ-コンパクトでない。▨

問題 6.6.補題 2.1 (3)の証明を完成させよ。

解答.

連続写像f ⁣:X→[0,1]f\colon X\to[0,1]で(f−1([0,1/n)))n≥1\bigl(f^{-1}([0,1/n))\bigr)_{n\geq1}がKKの可算近傍基であるものが存在すれば、この列自身がKKの可算近傍基である。逆にKKがXXで可算近傍基をもつとすると、補題 1.3により、XXの開集合からなるKKの可算近傍基(Wn)n≥1(W_n)_{n\geq1}が存在する。

補題 2.1 (1)をこの列へ適用して、KKのすべての点で値00をとりf−1([0,2−n))⊆Wnf^{-1}([0,2^{-n}))\subseteq W_nを満たす連続写像f ⁣:X→[0,1]f\colon X\to[0,1]をとる。m≥1m\geq1に対してOm=f−1([0,1/m))O_m=f^{-1}([0,1/m))とおくと、OmO_mはKKを含む開集合であるからKKの近傍である。V∈N(K)V\in\mathcal N(K)をとりWn⊆VW_n\subseteq Vを満たすnnをとると、m=2nm=2^{n}についてOm=f−1([0,2−n))⊆Wn⊆VO_m=f^{-1}([0,2^{-n}))\subseteq W_n\subseteq Vである。ゆえに(Om)m≥1(O_m)_{m\geq1}はKKの可算近傍基である。▨

問題 6.7.XX、YYを位相空間、f ⁣:X→Yf\colon X\to Yを固有な閉写像とする。YYが可算型ならばXXは可算型であることを、コンパクト化を用いずに§E2.12 系 5.11から直接に示せ。これにより定理 3.10から T3½ の仮定を外せることを確かめよ。

解答.

YYを可算型とし、K⊆XK\subseteq Xをコンパクト部分集合とする。包含写像と§E2.19 定理 4.2によりf(K)f(K)はYYのコンパクト部分集合である。YYは可算型であるから、f(K)⊆Nf(K)\subseteq Nを満たすコンパクト部分集合N⊆YN\subseteq Yで可算近傍基をもつものが存在し、補題 1.3により、その可算近傍基はYYの開集合からなる列(Wn)n≥1(W_n)_{n\geq1}にとることができる。

L=f−1(N)L=f^{-1}(N)とおく。ffは固有であるから§E2.20 定義 1.1によりLLはXXのコンパクト部分集合であり、K⊆f−1(f(K))⊆LK\subseteq f^{-1}(f(K))\subseteq Lである。f−1(Wn)f^{-1}(W_n)はLLを含むXXの開集合であるからLLの近傍である。

V∈N(L)V\in\mathcal N(L)をとり、L⊆U⊆VL\subseteq U\subseteq Vを満たす開集合UUをとる。ffは閉写像でありf−1(N)=L⊆Uf^{-1}(N)=L\subseteq Uであるから、§E2.12 系 5.11により、N⊆WN\subseteq Wかつf−1(W)⊆Uf^{-1}(W)\subseteq Uを満たすYYの開集合WWが存在する。WWはNNの近傍であるからWn⊆WW_n\subseteq Wを満たすnnが存在する。したがって

f−1(Wn)⊆f−1(W)⊆U⊆Vf^{-1}(W_n)\subseteq f^{-1}(W)\subseteq U\subseteq V

である。ゆえに(f−1(Wn))n≥1(f^{-1}(W_n))_{n\geq1}はLLの可算近傍基であり、定義 1.6によりXXは可算型である。

この論法は分離公理をどこにも用いていないから、定理 3.10の T3½ の仮定は外せる。▨

参考文献

  1. A. V. Arhangel'skii, Bicompact sets and the topology of spaces, Transactions of the Moscow Mathematical Society 13 (1965), 1–62.可算型の空間というクラスと、コンパクト部分集合の近傍基による特徴づけを参考にした。
  2. Melvin Henriksen and John R. Isbell, Some properties of compactifications, Duke Mathematical Journal 25 (1958), no. 1, 83–105.可算型であることとコンパクト化の剰余が Lindelöf であることの同値を参考にした。
  3. Zdeněk Frolík, Generalizations of the G_δ-property of complete metric spaces, Czechoslovak Mathematical Journal 10 (1960), 359–379.Čech 完備な Lindelöf 空間から可分な完備距離化可能空間への完全写像を与える定理と、そこから得られる直積の閉部分空間としての特徴づけを参考にした。
  4. Ryszard Engelking, General Topology, revised and completed ed., Sigma Series in Pure Mathematics 6, Heldermann Verlag, Berlin, 1989.可算型の空間、完全写像による保存、および剰余の性質による特徴づけの標準的な扱いを参考にした。
  5. 児玉之宏・永見啓応『位相空間論』岩波書店, 2017.コンパクト部分集合の近傍基と、コンパクト化の剰余による空間のクラスの比較を参考にした。

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