1 連続体と切断点
定義 1.1 (連続体). 空でないコンパクトで連結な Hausdorff 空間を 連続体 (continuum) という。位相空間Xの部分集合Kが部分空間として連続体であるとき、KをXの 部分連続体 (subcontinuum) という。
定義 1.2 (切断点).Xを連結な位相空間、p∈Xとする。部分空間X∖{p}が連結でないとき、pをXの 切断点 (cut point) といい、X∖{p}が連結であるとき、pをXの 非切断点 (non-cut point) という。
補題 1.3.Xを連結な T1 空間、p∈Xとし、(U,V)を部分空間X∖{p}の分離とする。このときUとVはXの開集合であり、U∪{p}とV∪{p}はXの連結な閉集合である。さらにXが連続体ならば、U∪{p}とV∪{p}はXの部分連続体である。
証明.Xは T1 空間であるからX∖{p}は開集合であり、UとVもXの開集合である。Xは互いに素な三つの集合U、V、{p}の和であるから、V∪{p}=X∖UはXの閉集合である。
V∪{p}に分離(A,B)が存在すると仮定し、必要ならばAとBを入れ替えてp∈Aとする。Bは閉集合V∪{p}の閉集合であるからXの閉集合である。またBはV∪{p}の開集合であってpを含まないから、Vの開集合でもある。VはXの開集合であるので、BはXの開集合である。B=∅かつp∈/Bであるから、§E2.43 命題 1.3によりXの連結性と両立しない。したがってV∪{p}は連結である。UとVの役割を入れ替えると、U∪{p}についても同じことが成り立つ。
Xが連続体ならば、U∪{p}とV∪{p}は空でない連結な閉集合であり、§E2.19 命題 4.1によりコンパクトである。したがって両集合はXの部分連続体である。▨
命題 1.4.Xを Hausdorff 空間とし、KをXの部分連続体からなる空でない集合とする。任意のK1,K2∈Kに対してK3⊆K1∩K2を満たすK3∈Kが存在するならば、⋂KはXの部分連続体である。
証明.K0∈Kを一つ固定し、K=⋂Kとおく。仮定の条件を有限回用いると、任意のK1,…,Kn∈Kに対してK′⊆K1∩⋯∩Knを満たすK′∈Kが存在する。Kの各元はコンパクトであるから、§E2.19 命題 6.4によりXの閉集合であり、K0との共通部分はK0の閉集合である。任意のK1,…,Kn∈Kに対して、K0,K1,…,Knに前文の事実を適用して得るK′は空でなくK′⊆K0∩K1∩⋯∩Knを満たすから、K0の閉集合族(K0∩L)L∈Kは有限交差性をもつ。K0はコンパクトであるから、§E2.19 定理 3.2によりK=⋂L∈K(K0∩L)は空でない。KはK0の閉集合であるから§E2.19 命題 4.1によりコンパクトであり、§E2.15 定理 2.1 (3)により Hausdorff である。
Kに分離(A,B)が存在すると仮定する。A=K∖BとB=K∖AはKの閉集合であり、KはK0の閉集合であるから、§E2.12 命題 4.6によりAとBはK0の互いに素な閉集合である。§E2.19 定理 6.11によりK0は正規であるから、A⊆U、B⊆V、U∩V=∅を満たすK0の開集合U,Vが存在する。K0の閉集合族((K0∩L)∖(U∪V))L∈Kの共通部分はK∖(U∪V)=∅であるから、§E2.19 定理 3.2により、有限個のK1,…,Kn∈Kで(K0∩K1∩⋯∩Kn)∖(U∪V)=∅を満たすものが存在する。K′⊆K0∩K1∩⋯∩Knを満たすK′∈Kをとると、K′⊆U∪Vである。K′∩UとK′∩VはK′の互いに素な開集合でその和はK′であり、A⊆K⊆K′とB⊆K⊆K′からそれぞれAとBを含むので空でない。したがって(K′∩U,K′∩V)はK′の分離であり、K′の連結性と両立しない。ゆえにKは連結であり、Xの部分連続体である。▨
定理 1.5 (境界衝突定理).Xを連続体、UをXの開集合でU=∅かつU=Xを満たすものとし、Cを部分空間Uの連結成分とする。このときC∩(U∖U)=∅である。
証明.Z=U、∂=Z∖Uとおく。Zは連続体Xの閉集合であるから、§E2.19 命題 4.1によりコンパクトな Hausdorff 空間であり、∂はZの閉集合である。
C∩∂=∅と仮定する。§E2.43 系 7.4により、C⊆WかつW∩∂=∅を満たすZの開かつ閉な部分集合Wが存在する。W∩∂=∅からW⊆Uである。Wは閉集合Zの閉集合であるからXの閉集合である。また、W=O∩Zを満たすXの開集合Oをとると、W⊆U⊆ZからW=O∩Uであり、WはXの開集合である。∅=C⊆W⊆U=Xであるから、§E2.43 命題 1.3によりXの連結性と両立しない。ゆえにC∩∂=∅である。▨
2 弧と閉区間の特徴づけ
定義 2.1 (弧). 位相空間Xの部分集合Aとa,b∈Xについて、同相写像h:[0,1]→Aでh(0)=aかつh(1)=bを満たすものが存在するとき、Aをaとbを結ぶ 弧 (arc) という。
補題 2.2.[0,1]は連続体であり、その非切断点は0と1だけである。したがって、位相空間Xのaとbを結ぶ弧Aは連続体であり、Aの非切断点はaとbだけであって、a=bである。
証明.[0,1]は§E2.9 定理 4.3によりコンパクトであり、§E2.15 定理 3.2により Hausdorff であり、§E2.43 定理 2.2により連結である。t∈(0,1)ならば、[0,t)と(t,1]は部分空間[0,1]∖{t}の互いに素な空でない開集合であり、その和は[0,1]∖{t}であるから、tは切断点である。[0,1]∖{0}=(0,1]と[0,1]∖{1}=[0,1)は区間であるから、§E2.43 定理 2.2により連結であり、0と1は非切断点である。
h:[0,1]→Aをh(0)=aかつh(1)=bを満たす同相写像とする。§E2.19 定理 4.2と§E2.43 定理 1.4によりAはコンパクトかつ連結であり、hが同相写像であることから Hausdorff であるので、Aは連続体である。t∈[0,1]について、hの制限は[0,1]∖{t}からA∖{h(t)}への同相写像であるから、§E2.43 定理 1.4により、[0,1]∖{t}が連結であることとA∖{h(t)}が連結であることは同値である。したがってAの非切断点はh(0)=aとh(1)=bだけであり、hの単射性からa=bである。▨
定理 2.3.Xを二点以上をもつ連続体とする。任意のa∈Xに対して、aと異なるXの非切断点が存在する。とくにXは少なくとも二つの非切断点をもつ。
証明.a∈Xを固定する。X∖{a}の点がすべて非切断点であれば、X∖{a}は空でないので結論が成り立つ。以下、aと異なる切断点が存在するとする。aと異なる各切断点xに対して、部分空間X∖{x}の分離(Ux,Vx)をa∈Uxとなるように一つずつ選び、Kx=Vx∪{x}とおく。Xは Hausdorff であるから§E2.15 定理 1.11 (4)により T1 であり、補題 1.3によりKxはaを含まないXの部分連続体であって、Kx=X∖Uxである。
主張 2.3.1.xをaと異なるXの切断点とし、y∈VxをXの切断点とする。このときy=aであり、Ky⊆Vx⊊Kxである。
証明.y∈Vxとa∈Uxからy=aである。補題 1.3によりUx∪{x}は連結であり、aを含み、yを含まない。Uy∩(Ux∪{x})とVy∩(Ux∪{x})はUx∪{x}の互いに素な開集合でその和はUx∪{x}であり、前者はaを含むので、Ux∪{x}の連結性から後者は空である。したがってUx∪{x}⊆Uyであり、
Ky=X∖Uy⊆X∖(Ux∪{x})=Vxである。x∈Kx∖VxであるからVx⊊Kxである。▨
K={Kx∣x は a と異なる X の切断点}に包含関係による順序を入れる。§E1.20 定理 3.1により、包含関係について極大なKの鎖Cが存在する。Kは空でないので、その一つの元からなる集合は鎖であり、Cの極大性からC=∅である。Cの任意の二元は一方が他方に含まれるので、命題 1.4によりK∞=⋂CはXの部分連続体であり、とくに空でない。Cの各元はaを含まないのでa∈/K∞である。y∈K∞をとる。yがXの非切断点ならば、yはaと異なる非切断点である。
yがXの切断点であるとする。y=aである。Cの元Kxをとると、y∈Kx=Vx∪{x}である。y=xならばKy=Kxであり、y∈Vxならば主張 2.3.1によりKy⊊Kxである。したがってKyはCのすべての元に含まれ、C∪{Ky}はKの鎖であるから、Cの極大性によりKy∈Cである。Vyは空でないのでz∈Vyをとる。zがXの切断点であると仮定する。主張 2.3.1によりz=aかつKz⊆Vy⊊Kyであり、KyはCのすべての元に含まれるから、KzもCのすべての元に含まれる。Cの極大性によりKz∈Cであり、K∞⊆Kz⊆Vyとなる。一方y∈K∞かつy∈/Vyであるから、K∞⊆Vyと両立しない。ゆえにzはXの非切断点であり、a∈Uyからz=aである。
とくに、Xの点aに対してaと異なる非切断点z1をとり、z1に対してz1と異なる非切断点z2をとると、z1とz2は相異なる二つの非切断点である。▨
定理 2.4.(X,<)を二点以上をもつ全順序集合とし、Xに順序位相を入れる。Xが最小元mと最大元Mをもち、連結かつ可分であるならば、H(m)=0かつH(M)=1を満たす順序同型H:X→[0,1]が存在し、Hは同相写像である。
証明.§E2.43 定理 9.2 (1)⇒(2)により、順序<は稠密かつ Dedekind 完備である。DをXで稠密な高々可算部分集合とし、D0=D∖{m,M}とおく。x<yを満たすx,y∈Xに対して、順序の稠密性により(x,y)は空でない基本開集合であり、mとMを含まないから、(x,y)∩D0=∅である。m<Mであるから、とくにD0=∅である。D0は空でない高々可算集合であるから、全射N≥0→D0、j↦djが存在する。
(0,1)に属する二進有理数k/2n(n∈N≥1、0<k<2n)の全体をRとし、n∈N≥0についてRn={k/2n∣0≤k≤2n}とおく。R∪{0,1}=⋃n∈N≥0Rnである。写像g:R∪{0,1}→Xをnについての再帰で次のように定める。g(0)=m、g(1)=Mとする。Rn上でgが狭義単調増加に定まったとき、0≤k<2nに対して、g(k/2n)<dj<g((k+1)/2n)を満たすj∈N≥0のうち最小のものをjn,kとし、g((2k+1)/2n+1)=djn,kと定める。g(k/2n)<g((k+1)/2n)であるから(g(k/2n),g((k+1)/2n))∩D0=∅であり、jn,kは存在し、gはRn+1上で狭義単調増加である。R∪{0,1}の任意の二点はあるRnに属するから、gは狭義単調増加であり、g(R)⊆D0である。
d∈D0をとり、d=djを満たすj∈N≥0をとる。d∈/g(R)と仮定する。各n∈N≥0について、g(0)=m<d<M=g(1)とgの単調性から、g(kn/2n)<d<g((kn+1)/2n)を満たす0≤kn<2nがただ一つ存在する。rn=(2kn+1)/2n+1とおくとg(rn)=djn,knであり、djはjn,knを定める条件を満たすのでjn,kn≤jである。g(rn)=d=djであるからjn,kn<jである。rnはRn+1∖Rnに属するのでnごとに相異なり、gの単射性からg(rn)も相異なり、したがってjn,knも相異なる。ゆえにj未満の相異なる自然数jn,knが無限個存在することになり、j未満の自然数がj個しかないことと両立しない。ゆえにg(R)=D0であり、gはRからD0への順序同型である。
x∈Xに対してL(x)={r∈R∣g(r)<x}、H(x)=sup(L(x)∪{0})と定める。H(x)∈[0,1]である。x<yとする。(x,y)∩D0=∅からx<d<yを満たすd∈D0が存在し、(d,y)∩D0=∅からd<d′<yを満たすd′∈D0が存在する。r=g−1(d)とr′=g−1(d′)はr<r′を満たす。s∈L(x)ならばg(s)<x<d=g(r)からs<rであるのでH(x)≤rであり、r′∈L(y)からH(y)≥r′>rである。ゆえにHは狭義単調増加である。
g(R)=D0の元はmより大きくMより小さいから、L(m)=∅、L(M)=Rであり、H(m)=0、H(M)=supR=1である。t∈(0,1)をとる。0≤s<s′≤1ならば、§D1.4 命題 2.1により2−n<s′−sを満たすn∈N≥1が存在し、s<k/2n<s′を満たす整数kが存在する。したがってS={g(r)∣r∈R, r<t}は空でなく、Mを上界にもつので、Dedekind 完備性により上限x∈Xをもつ。r∈Rがr<tを満たすならば、r<r′<tを満たすr′∈Rについてg(r)<g(r′)≤xであるからr∈L(x)であり、Rの点はt未満のところでtにいくらでも近づくのでH(x)≥tである。r∈L(x)ならばg(r)<xであり、g(r)はSの上界でないので、g(r)<g(r′)かつr′<tを満たすr′∈Rが存在し、r<r′<tである。したがってH(x)≤tであり、H(x)=tである。
Hは狭義単調増加な全射であるから順序同型である。§E2.17 系 1.4によりHはXから、制限順序の順序位相を入れた[0,1]への同相写像であり、§E2.17 補題 3.14と§E2.17 例 2.3によりこの位相は[0,1]の通常の位相に一致する。▨
系 2.5.(X,<)を空でない全順序集合とし、Xに順序位相を入れる。Xが最小元も最大元ももたず、連結かつ可分であるならば、順序同型X→Rが存在し、それは同相写像である。
補題 2.7.Xを連続体とし、Xの非切断点はちょうど二点a,b(a=b)であるとする。x∈X∖{a,b}に対して、部分空間X∖{x}におけるaの連結成分をL(x)、bの連結成分をR(x)とする。このとき(L(x),R(x))はX∖{x}の分離であり、L(x)とR(x)はXの開集合である。
証明.xはXの切断点であるから、X∖{x}の分離が存在する。(U,V)をX∖{x}の任意の分離とする。Xは Hausdorff であるから§E2.15 定理 1.11 (4)により T1 であり、補題 1.3によりU∪{x}は二点以上をもつXの部分連続体である。定理 2.3によりU∪{x}はxと異なる非切断点zをもち、z∈Uである。補題 1.3によりV∪{x}は連結であり、(U∪{x})∖{z}も連結であって、両者はxを共有するので、§E2.43 命題 1.7によりX∖{z}=((U∪{x})∖{z})∪(V∪{x})は連結である。ゆえにzはXの非切断点であり、z∈{a,b}である。すなわちUはaまたはbを含み、UとVの役割を入れ替えた同じ議論により、Vもaまたはbを含む。したがって、X∖{x}の任意の分離の二つの開集合は、いずれもaまたはbを含む。
X∖{x}の分離(U,V)を一つとる。UとVはいずれもaまたはbを含み、U∩V=∅であるから、必要ならばUとVを入れ替えてa∈Uかつb∈Vとすることができる。Uに分離(P,Q)が存在すると仮定し、必要ならばPとQを入れ替えてa∈Pとする。補題 1.3によりUはXの開集合であるから、PとQはXの開集合であり、(Q,P∪V)はX∖{x}の分離である。Q⊆U∖Pはaもbも含まないから、X∖{x}の任意の分離の二つの開集合がいずれもaまたはbを含むことと両立しない。ゆえにUは連結であり、同様にVも連結である。Uはaを含むX∖{x}の連結部分集合であるから、§E2.43 定理 6.2 (1)によりU⊆L(x)である。L(x)∩UとL(x)∩VはL(x)の互いに素な開集合でその和はL(x)であり、前者はaを含むので、L(x)の連結性から後者は空である。したがってL(x)=Uであり、同様にR(x)=Vである。UとVは補題 1.3によりXの開集合である。▨
定理 2.8.Xを距離化可能な連続体とし、Xの非切断点はちょうど二点a,b(a=b)であるとする。このときXはaとbを結ぶ弧である。すなわち、同相写像h:[0,1]→Xでh(0)=aかつh(1)=bを満たすものが存在する。
証明.x∈X∖{a,b}については補題 2.7のL(x)とR(x)をとり、L(a)=∅、R(a)=X∖{a}、L(b)=X∖{b}、R(b)=∅と定める。補題 2.7と§E2.15 命題 1.5により、すべてのx∈Xについて、Xは互いに素な三つの集合L(x)、{x}、R(x)の和であり、L(x)とR(x)はXの開集合であり、a∈/R(x)かつb∈/L(x)である。さらにL(x)∪{x}はaを含む連結集合であり、R(x)∪{x}はbを含む連結集合である。実際、x∈/{a,b}ならば補題 1.3によりL(x)∪{x}とR(x)∪{x}は連結であり、x∈{a,b}ならば一方は一点集合で他方はXである。
主張 2.8.1.x,y∈Xとする。y∈R(x)であることとx∈L(y)であることは同値であり、このときL(x)∪{x}⊆L(y)かつR(y)∪{y}⊆R(x)である。
証明.y∈R(x)とする。L(x)∪{x}はaを含みyを含まない連結集合である。y=bならばL(x)∪{x}⊆X∖{b}=L(b)である。y=bならば、a∈/R(x)からy=aでもあり、L(x)∪{x}はaを含む部分空間X∖{y}の連結部分集合であるから、§E2.43 定理 6.2 (1)によりL(y)に含まれる。いずれの場合もL(x)∪{x}⊆L(y)であり、とくにx∈L(y)である。
x∈L(y)とする。R(y)∪{y}はbを含みxを含まない連結集合である。x=aならばR(y)∪{y}⊆X∖{a}=R(a)である。x=aならば、b∈/L(y)からx=bでもあり、§E2.43 定理 6.2 (1)によりR(y)∪{y}⊆R(x)である。いずれの場合もR(y)∪{y}⊆R(x)であり、とくにy∈R(x)である。▨
x,y∈Xについて、y∈R(x)であるときx<yと定める。x∈/R(x)であるからx<xではない。x<yかつy<zならば、主張 2.8.1によりz∈R(y)⊆R(x)であるからx<zである。x=yならばy∈L(x)またはy∈R(x)であり、前者の場合は主張 2.8.1によりx∈R(y)、すなわちy<xである。したがって<はXの全順序である。主張 2.8.1により、y∈Xについて{x∈X∣x<y}=L(y)、{x∈X∣y<x}=R(y)である。とくにaは最小元、bは最大元であり、x<yならば{z∈X∣x<z<y}=R(x)∩L(y)である。
したがって、順序位相の基本開集合はいずれもXのもとの位相Oの開集合であり、§E2.17 定理 1.2により順序位相の開集合は基本開集合の和であるからOの開集合である。ゆえに、(X,O)から順序位相を入れたXへの恒等写像は連続な全単射である。§E2.17 定理 1.8により順序位相は Hausdorff であり、(X,O)はコンパクトであるから、§E2.19 定理 6.8によりこの恒等写像は同相写像であり、二つの位相は一致する。
§E2.27 命題 1.7によりXは可分である。定理 2.4により、H(a)=0かつH(b)=1を満たす順序同型H:X→[0,1]が存在し、Hは同相写像である。h=H−1が求める同相写像である。▨
例 2.9. 次が成り立つ。
- 円周S1={(x,y)∈R2∣x2+y2=1}は連続体であり、すべての点が非切断点である。
- T=([−1,1]×{0})∪({0}×[0,1])は連続体であり、その非切断点は(−1,0)、(1,0)、(0,1)だけである。
証明.(1)を示す。§E2.12 例 8.13の連続全射q:[0,1]→S1、q(t)=(cos(2πt),sin(2πt))により、S1はコンパクトかつ連結であり、R2の部分空間であるから連続体である。q−1({(1,0)})={0,1}であるから、q((0,1))=S1∖{(1,0)}である。開区間(0,1)は連結であるので、§E2.43 定理 1.4によりS1∖{(1,0)}は連結である。
p=(p1,p2)∈S1をとる。写像Rp(x,y)=(p1x−p2y,p2x+p1y)はp12+p22=1によりS1を保ち、連続な逆写像R(p1,−p2)をもつから、S1の同相写像である。Rp(1,0)=pであるから、S1∖{p}=Rp(S1∖{(1,0)})は連結である。したがってpは非切断点である。
(2)を示す。Tは原点を共有する三つの閉線分の和である。各線分は閉区間の連続像であるからコンパクトかつ連結であり、§E2.19 補題 2.8と§E2.43 命題 1.7によりTはコンパクトかつ連結である。TはR2の部分空間であるから連続体である。三端点のいずれかを除くと、一つの線分は片方の端点を除いた区間の連続像となり、残りの二線分と原点を共有する。したがって三端点はいずれも非切断点である。
原点を除いたTは、相対開集合T∩{(x,y)∣x<0}とT∩{(x,y)∣x>0 または y>0}に分離される。またp=(r,0)、−1<r<1、r=0ならば、T∖{p}は相対開集合T∩{(x,y)∣x<r}とT∩{(x,y)∣x>r}に分離される。p=(0,r)、0<r<1ならば、T∖{p}は相対開集合T∩{(x,y)∣y<r}とT∩{(x,y)∣y>r}に分離される。各場合の二集合は互いに素で空でなく、和がT∖{p}であるから、三端点以外の点はすべて切断点である。▨
3 Peano 連続体と弧
定義 3.1 (Peano 連続体). 局所連結で距離化可能な連続体を Peano 連続体 (Peano continuum) という。
補題 3.2.Xを連結な位相空間、UをXの開集合からなる集合でX=⋃Uを満たすものとする。任意のa,b∈Xに対して、Uの元の有限列U1,…,Um(m∈N≥1)で、a∈U1、b∈Umを満たし、1≤i<mについてUi∩Ui+1=∅を満たすものが存在する。
補題 3.3.OをRの開集合とし、Cを部分空間Oの連結成分とする。このときCはRの開集合であって区間である。さらにCが有界ならば、c=infCとd=supCについてC=(c,d)であり、c∈/Oかつd∈/Oである。
補題 3.4.Yを Hausdorff 空間、α:[0,1]→Yを連続写像とする。このとき連続写像β:[0,1]→Yで次の二条件を満たすものが存在する。
- β(0)=α(0)かつβ(1)=α(1)であり、β([0,1])⊆α([0,1])である。
- 0≤u<v≤1がβ(u)=β(v)を満たすならば、βは[u,v]上で定数である。
証明.0≤s<t≤1とα(s)=α(t)を満たす開区間(s,t)からなる集合Iで、その相異なる二元が互いに素であるもの全体の集合をPとする。I,J∈Pについて、Iの各元がJのある元に含まれるときI⪯Jと書く。⪯は反射的かつ推移的である。I⪯J⪯Iならば、I∈Iに対してI⊆J⊆I′を満たすJ∈JとI′∈Iが存在し、IとI′は交わるのでI=I′=Jである。したがってI⊆Jであり、同様にJ⊆Iであるから、⪯はPの半順序である。∅∈PであるからPは空でない。
主張 3.4.1.(P,⪯)の任意の鎖はPに上界をもつ。
証明.Sを鎖とする。S=∅ならば∅が上界である。S=∅とし、Sの元の元である開区間すべての和をOとおく。Oは(0,1)に含まれるRの開集合である。部分空間Oの連結成分全体をVとすると、補題 3.3によりVの各元はc,d∈/Oを満たす開区間(c,d)であって0≤c<d≤1であり、§E2.43 定理 6.2 (3)によりVの相異なる二元は互いに素である。I∈Sの元IはOの連結部分集合であるから、§E2.43 定理 6.2 (1)によりVのある元に含まれる。
(c,d)∈Vとし、α(c)=α(d)と仮定する。α(c)∈P、α(d)∈Q、P∩Q=∅を満たすYの開集合P,Qをとる。αの連続性により、0<ε<(d−c)/2を満たすεで、[c,c+ε)の各点のαによる像がPに属し、(d−ε,d]の各点の像がQに属するものが存在する。閉区間K=[c+ε/2,d−ε/2]は§E2.9 定理 4.3によりコンパクトであり、Oに含まれるので、§E2.19 命題 2.6により、有限個のI1,…,Il∈Sの元I1∈I1,…,Il∈Ilで覆われる。Sは鎖であるから、I1,…,Ilのうち⪯について最大のものI∗が存在し、各IiはI∗のある元に含まれる。したがってKはI∗の有限個の元の和に含まれる。I∗の元は互いに素な開集合であり、Kは§E2.43 定理 2.2により連結であるから、Kはそのうちの一つ(s,t)∈I∗に含まれる。実際、Kが二つ以上と交われば、一つとの共通部分と残りの和との共通部分がKの分離を与える。(s,t)はOの連結部分集合で(c,d)と交わるから、§E2.43 定理 6.2 (1)により(s,t)⊆(c,d)であり、c≤s<c+ε/2かつd−ε/2<t≤dである。ゆえにα(s)∈Pかつα(t)∈Qであり、α(s)=α(t)からP∩Q=∅となって、P∩Q=∅と両立しない。したがってα(c)=α(d)である。
以上によりV∈Pであり、Sの各元IについてI⪯Vである。▨
主張 3.4.1と§E1.20 定理 2.1 (3)により、⪯について極大なV∈Pが存在する。E=[0,1]∖⋃Vとおく。(s,t)∈Vならばs,t∈Eである。実際、s,t∈/(s,t)であり、Vの他の元Iがsを含めば、Iは開区間であるからsより大きい(s,t)の点を含み、I∩(s,t)=∅と両立しない。tについても同様である。また、Vの元は(0,1)に含まれるので0,1∈Eである。
β:[0,1]→Yを、u∈Eならばβ(u)=α(u)、u∈(s,t)∈Vならばβ(u)=α(s)と定める。Vの元は互いに素であるからβは写像として定まり、α(s)=α(t)であるから、βは各(s,t)∈Vについて[s,t]上で値α(s)をとる定数である。0,1∈Eからβ(0)=α(0)かつβ(1)=α(1)であり、βの値はすべてαの値であるから、(1)が成り立つ。
u∈[0,1]とβ(u)を含むYの開集合Gをとる。u∈(s,t)∈Vならば、βは[0,1]の開集合(s,t)上で定数であるから(s,t)⊆β−1(G)である。u∈Eならば、αの連続性により、ε>0で、∣v−u∣<εを満たす任意のv∈[0,1]についてα(v)∈Gとなるものが存在する。そのようなvをとる。v∈Eならばβ(v)=α(v)∈Gである。v∈(s,t)∈Vかつu<vならば、u∈/(s,t)からu≤s<vであり、β(v)=α(s)∈Gである。v∈(s,t)∈Vかつv<uならば、v<t≤uであり、β(v)=α(t)∈Gである。いずれの場合もβ(v)∈Gである。したがってβ−1(G)は各点の近傍であり、§E2.11 補題 2.6により[0,1]の開集合である。ゆえにβは連続である。
(2)を示す。0≤u<v≤1がβ(u)=β(v)を満たすとする。u∈Eならばu′=u、u∈(s,t)∈Vならばu′=sとおき、v∈Eならばv′=v、v∈(s,t)∈Vならばv′=tとおく。u′,v′∈E、u′≤u<v≤v′であり、βの定義からα(u′)=β(u)=β(v)=α(v′)である。Vの元Iが[u′,v′]と交わるならば、u′,v′∈/IであるからIは(u′,v′)の点を含み、Iは区間であるからI⊆(u′,v′)である。したがって
V′={I∈V∣I∩[u′,v′]=∅}∪{(u′,v′)}の相異なる二元は互いに素であり、α(u′)=α(v′)からV′∈PかつV⪯V′である。Vの極大性によりV′=Vであり、(u′,v′)∈Vである。βの定義によりβは[u′,v′]上で定数であり、[u,v]⊆[u′,v′]であるから、(2)が成り立つ。▨
定理 3.5.Yを Hausdorff 空間、α:[0,1]→Yを連続写像とし、a=α(0)とb=α(1)は相異なるとする。このときα([0,1])に含まれる、aとbを結ぶ弧が存在する。
証明.補題 3.4のβをとり、A=β([0,1])とおく。§E2.21 系 2.7によりAはコンパクト距離化可能であり、§E2.43 定理 1.4により連結である。また、§E2.27 命題 1.7によりAは可分である。
y∈Aに対してFy=β−1({y})とおく。Yは Hausdorff であるからFyは[0,1]の空でない閉集合であり、§E2.19 定理 4.4により最小元σyと最大元τyをもつ。補題 3.4 (2)によりβは[σy,τy]上で定数であるから、Fy=[σy,τy]である。
相異なるy,z∈Aのファイバーは互いに素な閉区間であるから、τy<σzまたはτz<σyのいずれか一方が成り立つ。τy<σzであるときy<zと定める。σy≤τyであるからy<yは成り立たず、y<zかつz<wならばτy<σz≤τz<σwからy<wである。したがって<はAの全順序である。0∈Faかつ1∈Fbであるから、aは最小元、bは最大元である。
各y∈Aについて、この順序の半直線は
{z∈A∣z<y}=A∖β([σy,1]),{z∈A∣y<z}=A∖β([0,τy])である。右辺で除いた集合は§E2.19 定理 4.2によりコンパクトであり、Aは Hausdorff であるから§E2.19 命題 6.4により閉集合である。したがって二つの半直線はAのもとの位相で開集合である。§E2.17 定理 1.2により、もとの位相のAから順序位相のAへの恒等写像は連続である。順序位相は§E2.17 定理 1.8により Hausdorff であり、もとのAはコンパクトであるから、§E2.19 定理 6.8により二つの位相は一致する。
a=bであり、順序位相を入れたAは連結かつ可分であるから、定理 2.4により、H(a)=0かつH(b)=1を満たす同相写像H:A→[0,1]が存在する。H−1によりAはaとbを結ぶ弧であり、補題 3.4 (1)によりA⊆α([0,1])である。▨
補題 3.6.(X,d)を局所連結な完備距離空間、WをXの連結な開集合とし、a,b∈Wとする。このときaからbへの道γ:[0,1]→Xでγ([0,1])⊆Wを満たすものが存在する。
証明.
主張 3.6.1.VをXの連結な開集合、p,q∈V、r>0とする。このとき整数m≥2と、Xの連結な開集合V1,…,Vmと、Xの点x0,…,xmで、各ViがVと半径rのある開球に含まれ、x0=p、xm=qであって、1≤i≤mについてxi−1,xi∈Viを満たすものが存在する。
証明. 各x∈Vについて、V∩B(x,r)は§E2.2 補題 1.2によりxを含むXの開集合であるから、Xの局所連結性により、x∈U⊆V∩B(x,r)を満たす連結な開集合Uが存在する。そのようなUの全体をUとすると、Uは部分空間Vの開集合からなり、V=⋃Uを満たす。Vは連結であるから、補題 3.2によりU1,…,Ul∈Uでp∈U1、q∈Ulを満たし、1≤i<lについてUi∩Ui+1=∅を満たすものが存在する。l≥2ならばm=l、Vi=Uiとし、l=1ならばm=2、V1=V2=U1とする。x0=p、xm=qとし、1≤i<mについてxi∈Vi∩Vi+1をとる。▨
各n∈N≥0に対して、整数Nn≥1、[0,1]の点0=t0n<t1n<⋯<tNnn=1、Xの点p0n,…,pNnn、Xの連結な開集合V1n,…,VNnnを、Jkn=[tk−1n,tkn]とおいて次の条件が成り立つように、nについての再帰で定める。t0n,…,tNnnを段nの点、J1n,…,JNnnを段nの閉区間と呼ぶ。
- p0n=a、pNnn=bであり、1≤k≤Nnについてpk−1n,pkn∈Vknである。
- N0=1かつV10=Wであり、n≥1ならば、各Vknは半径2−n−1のある開球に含まれ、各Jknの長さは2−n以下である。
- n≥1ならば、各1≤k≤Nnに対してJkn⊆Jjn−1かつVkn⊆Vjn−1を満たすjが存在し、各tjn−1はあるtknに等しく、tkn=tjn−1ならばpkn=pjn−1である。
n=0ではN0=1、p00=a、p10=b、V10=Wとする。段nまで定まったとする。各1≤j≤Nnに主張 3.6.1をV=Vjn、p=pj−1n、q=pjn、r=2−n−2として適用し、得られるmj≥2、Vj,1,…,Vj,mj、xj,0,…,xj,mjをとる。Jjnを長さの等しいmj個の閉区間に分け、左からi番目の閉区間にVj,iを、その左端と右端にxj,i−1とxj,iを対応させる。j=1,…,Nnについて得られる閉区間と、それに対応させた開集合と点を左から並べたものを段n+1とする。
xj,0=pj−1nかつxj,mj=pjnであるから、隣り合う閉区間が共有する端点に対応させた点は一致し、段n+1は条件 (a)と条件 (c)を満たす。mj≥2であるから段n+1の各閉区間の長さは段nの閉区間の長さの半分以下であり、条件 (b)も成り立つ。
条件 (c)を繰り返し用いると、n≤n′ならば、段n′の各閉区間Jk′n′に対してJk′n′⊆JknかつVk′n′⊆Vknを満たすkが存在し、各Jknは段n′のいくつかの閉区間の和であり、tk′n′=tknならばpk′n′=pknである。相異なるJknは端点しか共有しないので、Jk′n′⊆Jknを満たすkはただ一つである。また、条件 (b)と§E2.2 補題 2.5により、n≥1ならばVknは半径2−n−1のある閉球に含まれ、Vknの任意の二点の距離は2−n以下である。
T={tkn∣n∈N≥0, 0≤k≤Nn}とおく。γ:[0,1]→Xを次のように定める。t∈Tならば、t=tknを満たすn,kをとってγ(t)=pknとする。条件 (c)の帰結として述べたとおり、この値はn,kの選び方によらない。
t∈/Tならば、各n≥1についてtを含む段nの閉区間はただ一つであり、その閉区間をJknnとすると、tを含む段n+1の閉区間Jkn+1n+1はJknnに含まれるのでVkn+1n+1⊆Vknnである。したがって(Vknn)n≥1は完備距離空間Xの空でない閉集合の減少列で、任意の二点の距離が2−n以下であるから、§E2.27 補題 1.9によりその共通部分はちょうど一点からなる。その点をγ(t)とする。
n∈N≥0、1≤k≤Nn、t∈Jknとする。t∈Tならば、tが段n′の点であるようなn′≥nをとる。Jknは段n′のいくつかの閉区間の和であるから、tはその一つJk′n′⊆Jknに属し、段n′の点であるtはJk′n′の端点である。条件 (a)によりγ(t)∈Vk′n′⊆Vknである。
t∈/Tかつn≥1ならば、k=knであり、γ(t)∈Vknnである。t∈/Tかつn=0ならば、γ(t)∈Vk11⊆V10である。いずれの場合もγ(t)∈Vknである。
n≥1とし、δnを段nの閉区間の長さの最小値とする。s,t∈[0,1]がs<tかつt−s<δnを満たすならば、[s,t]は段nの点を高々一つしか含まない。[s,t]が段nの点を含まなければ、sとtは同じJknに属し、γ(s),γ(t)∈Vknからd(γ(s),γ(t))≤2−nである。[s,t]が段nの点eを含めば、sとeはあるJknに、eとtはあるJk′nに属し、d(γ(s),γ(t))≤d(γ(s),γ(e))+d(γ(e),γ(t))≤21−nである。したがってγは連続である。γ(0)=p00=a、γ(1)=p10=bであり、J10=[0,1]とV10=Wからγ([0,1])⊆Wである。▨
定理 3.7 (Mazurkiewicz–Moore–Menger の定理).(X,d)を連結かつ局所連結な完備距離空間とする。Xの相異なる任意の二点a,bに対して、aとbを結ぶ弧がXの中に存在する。
証明.補題 3.6をW=Xに適用すると、aからbへの道γが存在する。定理 3.5によりγ([0,1])に含まれるaとbを結ぶ弧が存在する。▨
命題 3.8.Xを Peano 連続体、dをXの位相を定める距離とする。任意のε>0に対してδ>0が存在し、d(x,y)<δを満たすXの相異なる任意の二点x,yに対して、xとyを結ぶ弧Aで、Aの任意の二点u,vがd(u,v)<εを満たすものが存在する。
証明.ε>0をとる。コンパクトな距離空間(X,d)は§E2.9 系 3.3により完備であり、§E2.9 定理 3.1により点列コンパクトである。各x∈Xについて、局所連結性によりx∈U⊆B(x,ε/4)を満たす連結な開集合Uが存在する。そのようなUの全体UはXの開被覆であり、§E2.9 補題 2.3により Lebesgue 数δ>0をもつ。
x,y∈Xがx=yかつd(x,y)<δを満たすとする。{x,y}⊆B(x,δ)であるから、{x,y}⊆Uを満たすU∈Uが存在する。補題 3.6により、xからyへの道で像がUに含まれるものが存在し、定理 3.5によりその像に含まれるxとyを結ぶ弧Aが存在する。Uは半径ε/4のある開球に含まれるから、Uは同じ中心と半径の閉球に含まれる。したがってA⊆Uの任意の二点の距離はε/2以下であり、ε未満である。▨
4 Hahn–Mazurkiewicz の定理
補題 4.1.E⊆[0,1]を§E2.17 命題 5.5の Cantor 集合とする。Eは0と1を含む[0,1]の閉集合であり、空でない任意のコンパクト距離化可能空間Xに対して、連続な全射E→Xが存在する。
証明.§E2.17 命題 5.5により、Eは[0,1]の閉集合であり、φ:2ω→Eは同相写像である。すべての座標が0である点と1である点のφによる像はそれぞれ0と∑n∈ω2/3n+1=1であるから、0,1∈Eである。
Xの位相を定める距離をとる。§E2.42 命題 3.7 (4)により、連続な全射f:2ω→Xが存在する。f∘φ−1:E→Xは連続な全射である。▨
補題 4.2.Fを0と1を含む[0,1]の閉集合とする。部分空間[0,1]∖Fの各連結成分は、s,t∈Fかつs<tを満たす開区間(s,t)である。さらに、任意のη>0に対して、長さがη以上である[0,1]∖Fの連結成分は有限個である。
証明.Fは閉集合[0,1]の閉集合であるからRの閉集合であり、0,1∈FからO=[0,1]∖F=(0,1)∩(R∖F)はRの開集合である。補題 3.3により、Oの各連結成分はs,t∈/Oを満たす開区間(s,t)であり、(s,t)⊆(0,1)から0≤s<t≤1であるのでs,t∈[0,1]∖O=Fである。η>0とし、I1,…,INを長さがη以上である相異なる連結成分とする。左端の小さい順にIi=(si,ti)と並べると、§E2.43 定理 6.2 (3)により連結成分は互いに素であるからti≤si+1であり、
Nη≤i=1∑N(ti−si)≤tN−s1≤1である。ゆえに長さがη以上の連結成分は高々1/η個である。▨
補題 4.3.Xを Peano 連続体、Fを0と1を含む[0,1]の閉集合とし、f:F→Xを連続写像とする。このとき連続写像g:[0,1]→Xで、Fの各点uについてg(u)=f(u)を満たすものが存在する。
証明.dをXの位相を定める距離とする。コンパクトな距離空間(X,d)は§E2.9 系 3.3により完備である。またFはコンパクトであるから、§E2.9 定理 5.1によりfは一様連続である。各k∈N≥1について、命題 3.8をε=2−kに適用して得るδk>0をとり、0<ηk≤2−kで、u,v∈Fかつ∣u−v∣<ηkならばd(f(u),f(v))<δkを満たすものをとる。
[0,1]∖Fの連結成分の全体をGとする。補題 4.2により、Gの各元はs,t∈Fを満たす開区間I=(s,t)である。f(s)=f(t)ならば、γI:[0,1]→Xを値f(s)の定値写像とする。
f(s)=f(t)であり、t−s<ηkを満たすk∈N≥1が存在しないならば、定理 3.7によりf(s)とf(t)を結ぶ弧をとる。その弧の上への同相写像で0と1をf(s)とf(t)に写すものを、Xへの写像γIとして用いる。
f(s)=f(t)であり、t−s<ηkを満たすk∈N≥1が存在するならば、ηk≤2−kからそのようなkは有限個であるので、その最大のものをkIとする。d(f(s),f(t))<δkIであるから、命題 3.8によりf(s)とf(t)を結ぶ弧で、任意の二点の距離が2−kI未満であるものをとる。その弧の上への同相写像で0と1をf(s)とf(t)に写すものを、Xへの写像γIとして用いる。
いずれの場合もγIは連続であり、γI(0)=f(s)かつγI(1)=f(t)である。またt−s<ηkならば、γI([0,1])の任意の二点の距離は2−k未満である。実際、γIが定値写像ならば成り立ち、定値写像でなければk≤kIである。
g:[0,1]→Xを、u∈Fならばg(u)=f(u)、u∈I=(s,t)∈Gならばg(u)=γI((u−s)/(t−s))と定める。Gの元は互いに素であるから、gは well-defined である。各I∈Gは開集合であり、g∣Iは連続写像γIと一次関数の合成であるから、gはIの各点で連続である。
u∈Fとし、k∈N≥1をとる。補題 4.2により、長さがηk以上であるGの元は有限個である。ρ>0を次の三条件を満たすようにとる。第一に、v∈Fかつ∣v−u∣<ρならばd(f(v),f(u))<2−kである。第二に、長さがηk以上のI∈Gでuを端点としないものは(u−ρ,u+ρ)と交わらない。第三に、長さがηk以上のI=(s,t)∈Gについて、u=sならばv∈(s,s+ρ)∩Iに対してd(g(v),f(u))<2−kであり、u=tならばv∈(t−ρ,t)∩Iに対してd(g(v),f(u))<2−kである。
第一の条件はfのuでの連続性から満たすことができる。第二の条件ではu∈/[s,t]であるから、uと閉区間[s,t]の距離は正である。第三の条件はγIの0と1での連続性と端点での値から満たすことができる。第二と第三の条件が関わる区間は有限個であるから、三条件を同時に満たすρ>0が存在する。
v∈[0,1]が∣v−u∣<ρを満たすとする。v∈Fならば、第一の条件によりd(g(v),g(u))=d(f(v),f(u))<2−kである。vが長さηk以上のI∈Gに属するならば、第二の条件によりuはIの端点であり、第三の条件によりd(g(v),g(u))<2−kである。
vが長さηk未満のI=(s,t)∈Gに属するならば、u∈/Iであるから、u<vのときe=s、v<uのときe=tとおくとeはuとvの間にあり、e∈Fかつ∣e−u∣<ρである。第一の条件によりd(f(e),f(u))<2−kであり、g(v)とf(e)はともにγI([0,1])に属するのでd(g(v),f(e))<2−kである。三角不等式によりd(g(v),g(u))<21−kである。
すべての場合にd(g(v),g(u))<21−kであり、kは任意であったから、gはuで連続である。▨
定理 4.4 (Hahn–Mazurkiewicz の定理).Xを Hausdorff 空間とする。次の二条件は同値である。
- [0,1]からXへの連続な全射が存在する。
- Xは Peano 連続体である。
証明.(1)⇒(2)を示す。f:[0,1]→Xを連続な全射とする。[0,1]はコンパクト距離化可能であるから、§E2.21 系 2.7によりX=f([0,1])はコンパクト距離化可能であり、§E2.43 定理 1.4により連結であり、空でない。[0,1]は局所連結である。実際、t∈[0,1]とtの近傍Nに対してB(t,r)∩[0,1]⊆Nを満たすr>0が存在し、B(t,r)∩[0,1]は[0,1]の開集合であって区間であるから、§E2.43 定理 2.2により連結である。§E2.20 命題 1.2 (4)によりfは閉写像であるから、§E2.43 命題 8.9によりXは局所連結である。ゆえにXは Peano 連続体である。
(2)⇒(1)を示す。Xを Peano 連続体とする。補題 4.1により、0と1を含む[0,1]の閉集合Eと連続な全射f:E→Xが存在する。補題 4.3により、E上でfに一致する連続写像g:[0,1]→Xが存在し、g([0,1])⊇f(E)=Xであるからgは全射である。▨
系 4.5. Hilbert 立方体[0,1]N≥0は Peano 連続体であり、[0,1]から[0,1]N≥0への連続な全射が存在する。また、各n∈N≥1について、[0,1]から[0,1]nへの連続な全射が存在する。
証明.§E2.27 命題 2.1により[0,1]N≥0はコンパクトなポーランド空間である。補題 2.2により[0,1]は連結であるから、§E2.43 定理 3.2により[0,1]N≥0は連結である。
x∈[0,1]N≥0とxの近傍Nをとる。§E2.13 例 1.4と§E2.13 命題 3.2により、B(t,r)∩[0,1](t∈[0,1]、r>0)の全体は[0,1]の開基であるから、§E2.14 命題 1.3により、有限集合F⊆N≥0と、λ∈Fごとの[0,1]の部分集合Gλ=B(tλ,rλ)∩[0,1]でx∈⋂λ∈Fπλ−1(Gλ)⊆Nを満たすものが存在する。λ∈FについてZλ=Gλ、λ∈N≥0∖FについてZλ=[0,1]とおくと、⋂λ∈Fπλ−1(Gλ)=∏λ∈N≥0Zλである。
各Zλは区間であるから§E2.43 定理 2.2により連結であり、§E2.14 補題 1.8 (1)と§E2.43 定理 3.2により∏λ∈N≥0Zλは連結な開集合である。ゆえに[0,1]N≥0は局所連結であり、Peano 連続体である。定理 4.4により[0,1]から[0,1]N≥0への連続な全射fが存在する。
n∈N≥1とする。[0,1]nを添字集合{1,…,n}上の直積と同一視すると、x↦(x1,…,xn)は§E2.14 定理 1.6により[0,1]N≥0から[0,1]nへの連続な全射であり、この射影とfの合成は[0,1]から[0,1]nへの連続な全射である。▨
例 4.6.§E2.43 定義 5.1の位相幾何学者の正弦曲線T⊆R2は連続体であるが、Peano 連続体でない。
証明.§E2.43 定義 5.1のSの点(x,y)は0<x≤1かつ∣y∣≤1を満たすので、原点を中心とする半径2の閉球に含まれる。§E2.2 補題 2.5によりこの閉球は閉集合であるから、T=Sもこれに含まれ、TはR2の有界閉集合である。§E2.9 定理 4.3によりTはコンパクトであり、距離空間の部分空間であるから距離化可能かつ Hausdorff であり、§E2.43 命題 5.5により連結である。Tは空でないので連続体である。
Tが局所連結であると仮定する。Tはコンパクトであるから、§E2.9 系 3.3により完備距離空間であり、定理 3.7によりTの相異なる任意の二点を結ぶ弧がTの中に存在する。弧の上への同相写像h:[0,1]→Aと包含写像の合成は道であるから、Tは弧状連結である。一方§E2.43 命題 5.5によりTは弧状連結でないので、二つの結論は両立しない。ゆえにTは局所連結でなく、Peano 連続体でない。▨
5 演習
解答.
a∈Xを固定し、Uの元の有限列U1,…,Umでa∈U1、x∈Umを満たし、1≤i<mについてUi∩Ui+1=∅を満たすものが存在するようなx∈Xの全体をPとする。aを含むU∈Uが存在し、一項の列Uによりa∈Pである。x∈Pとし、列U1,…,Umをとると、同じ列によりUmのすべての点はPに属するので、x∈Um⊆Pである。したがってPは開集合である。x∈X∖Pとし、x∈Uを満たすU∈Uをとる。y∈U∩Pが存在すると仮定し、yに対する列U1,…,Umをとると、y∈Um∩Uであるから列U1,…,Um,Uによりx∈Pとなり、x∈/Pと両立しない。ゆえにU⊆X∖Pであり、X∖Pも開集合である。Pは空でない開かつ閉な集合であるから、§E2.43 命題 1.3によりP=Xであり、とくにb∈Pである。▨
解答.
§E2.43 例 8.7をn=1に適用すると、Oは局所弧状連結であり、§E2.43 定理 8.4 (1)により局所連結である。§E2.43 命題 8.2によりCはOの開集合であり、OはRの開集合であるから、CはRの開集合である。§E2.43 定理 6.2 (1)によりCは連結であるから、§E2.43 定理 2.2により区間である。
Cが有界であるとし、c=infC、d=supCとおく。c∈Cと仮定すると、Cは開集合であるから(c−ε,c+ε)⊆Cを満たすε>0が存在し、c−ε/2∈Cがcが下限であることと両立しない。ゆえにc∈/Cであり、同様にd∈/Cである。c<t<dならば、下限と上限の性質によりu<t<vを満たすu,v∈Cが存在し、Cは区間であるからt∈Cである。Cは空でないのでc<dであり、C=(c,d)である。
c∈Oと仮定する。cを含むOの連結成分C′は、Cについて述べたのと同じ理由によりRの開集合であるから、(c−ε,c+ε)⊆C′を満たすε>0が存在し、C′はC=(c,d)の点を含む。§E2.43 定理 6.2 (2)によりC′=Cであり、c∈Cとなってc∈/Cと両立しない。ゆえにc∈/Oであり、同様にd∈/Oである。▨
解答.
Xに二つの元−∞、+∞を付け加えた集合X∗に、Xの順序を延長し、各x∈Xについて−∞<x<+∞となる全順序を入れる。XはX∗の凸な部分集合であるから、§E2.17 補題 3.14により、XがX∗から受ける部分空間位相はXの順序位相に一致する。
§E2.43 定理 9.2 (1)⇒(2)によりXの順序は稠密かつ Dedekind 完備である。Xは空でなく最小元も最大元ももたないから、x∈Xについて−∞<y<xとx<y′<+∞を満たすy,y′∈Xが存在し、Xの元xについて−∞<x<+∞である。Xの二元の間にはXの稠密性により元が存在する。したがってX∗の順序は稠密である。A⊆X∗を空でない部分集合とする。A⊆{−∞}ならば−∞が上限である。+∞∈Aであるか、A∩XがXの中に上界をもたないならば、+∞が上限である。それ以外の場合は、A∩Xは空でなくXの中に上界をもつので、Xの中の上限sをもち、sはX∗におけるAの上限である。ゆえにX∗の順序は Dedekind 完備であり、§E2.43 定理 9.2 (2)⇒(1)によりX∗は連結である。
DをXで稠密な高々可算部分集合とし、D∗=D∪{−∞,+∞}とおく。GをX∗の空でない開集合とする。G∩X=∅ならば、G∩XはXの空でない開集合であるからDと交わる。G∩X=∅ならばG⊆{−∞,+∞}であり、GはD∗と交わる。ゆえにD∗はX∗で稠密な高々可算部分集合であり、X∗は可分である。
X∗は二点以上をもち、最小元−∞と最大元+∞をもつので、定理 2.4により、H(−∞)=0かつH(+∞)=1を満たす順序同型H:X∗→[0,1]が存在する。その制限はXから(0,1)への順序同型である。写像ψ:(0,1)→Rをψ(t)=(2t−1)/(1−∣2t−1∣)で定めると、w=2t−1∈(−1,1)についてw↦w/(1−∣w∣)は狭義単調増加であり、v↦v/(1+∣v∣)を逆写像にもつので、ψは順序同型である。したがってψ∘H∣X:X→Rは順序同型であり、§E2.17 系 1.4と§E2.17 例 2.3により、Xの順序位相からRの通常の位相への同相写像である。▨
問題 5.4.Eを§E2.17 命題 5.5の Cantor 集合とし、f:E→[0,1]N≥0を補題 4.1が与える連続な全射とする。写像g:[0,1]→[0,1]N≥0を、u∈Eならばg(u)=f(u)、uが[0,1]∖Eの連結成分(s,t)に属するならば
g(u)=t−st−uf(s)+t−su−sf(t)(座標ごとの一次結合)と定める。gが連続な全射であることを示せ。
解答.
補題 4.2により[0,1]∖Eの各連結成分はs,t∈Eを満たす開区間(s,t)であり、連結成分は互いに素であるから、gは写像として定まる。g(u)の各座標は[0,1]の二点の凸結合であるから[0,1]に属する。gはfの延長であるから全射である。§E2.14 定理 1.6により、各λ∈N≥0についてgλ=πλ∘gが連続であることを示せばよい。ϕ=πλ∘f:E→[0,1]は連続であり、gλはE上でϕに一致し、(s,t)上でϕ(s)とϕ(t)を結ぶ一次関数である。
gλは各連結成分(s,t)上で一次関数であり、(s,t)は[0,1]の開集合であるから、(s,t)の各点で連続である。u∈Eとε>0をとる。Eは補題 4.1により[0,1]の閉集合であるから、§E2.9 定理 4.3と§E2.19 命題 4.1によりコンパクトであり、§E2.9 定理 5.1によりϕは一様連続である。a,b∈E、∣a−b∣<ηならば∣ϕ(a)−ϕ(b)∣<εを満たすη>0をとる。補題 4.2により長さがη以上の連結成分は有限個である。0<ρ≤ηを次のようにとる。第一に、v∈Eかつ∣v−u∣<ρならば∣ϕ(v)−ϕ(u)∣<εである。第二に、長さがη以上の連結成分でuを端点としないものは(u−ρ,u+ρ)と交わらない。第三に、長さがη以上の連結成分(s,t)についてu=sまたはu=tならばρ≤ε(t−s)である。
v∈[0,1]が∣v−u∣<ρを満たすとする。v∈Eならば∣gλ(v)−ϕ(u)∣<εである。vが長さη以上の連結成分(s,t)に属するならば、第二の条件によりuはその端点であり、u=sのとき
∣gλ(v)−ϕ(u)∣=t−sv−s∣ϕ(t)−ϕ(s)∣≤t−sv−s<t−sρ≤εであって、u=tのときも同様である。vが長さη未満の連結成分(s,t)に属するならば、u≤s<vまたはv<t≤uである。前者の場合、∣s−u∣<ρから∣ϕ(s)−ϕ(u)∣<εであり、t−s<ηから∣ϕ(t)−ϕ(s)∣<εであるので∣ϕ(t)−ϕ(u)∣<2εである。gλ(v)はϕ(s)とϕ(t)の間にあるから∣gλ(v)−ϕ(u)∣<2εである。後者の場合もsとtの役割を入れ替えて同じ評価を得る。いずれの場合も∣gλ(v)−gλ(u)∣<2εであり、gλはuで連続である。▨