1 平面の弧
補題 1.1.(X,d)を距離空間とし、A⊆Xを弧とする。
- Aはコンパクトであり、Xの閉集合である。
- AはXのレトラクトである。
証明. 弧の定義により、同相写像h:[0,1]→Aが存在する。
(1)を示す。§E2.48 補題 2.1 (1)により[0,1]はコンパクトであるから、§E2.19 定理 4.2によりA=h([0,1])はコンパクトである。§E2.15 定理 3.2 (1)によりXは Hausdorff 空間であるから、§E2.19 命題 6.4によりAはXの閉集合である。
(2)を示す。§E2.15 定理 3.2 (2)によりXは T4 空間であり、とくに正規空間である。Aは閉集合であり、h−1:A→[0,1]は連続であるから、§E2.18 系 4.2により、連続写像F:X→[0,1]でAの上でh−1に一致するものが存在する。ρ=h∘F:X→Aは連続であり、y∈Aについてρ(y)=h(h−1(y))=yである。よってρはレトラクションであり、AはXのレトラクトである。▨
補題 1.2.KをR2の閉集合とする。
- R2∖Kの各連結成分は、R2の開集合であり、弧状連結である。
- R2∖Kの各連結成分Cについて∂C⊆Kである。
- 実数a1<b1とa2<b2について、長方形R=[a1,b1]×[a2,b2]がKを含むならば、R2∖Kの連結成分Oで、R2∖R⊆Oを満たし、O以外の連結成分がすべてRに含まれるものが存在する。このときOは有界でなく、O以外の連結成分はすべて有界である。
証明.G=R2∖Kとおく。Kは閉集合であるから、GはR2の開集合である。
(1)を示す。§E2.43 例 8.7によりGは局所弧状連結である。CをGの連結成分とし、x∈Cをとると、Cはxの連結成分C(x)である。§E2.43 定理 8.4 (3)によりC(x)はxの弧状連結成分P(x)に等しいので、§E2.43 定理 6.6 (2)によりCは弧状連結であり、§E2.43 定理 8.4 (2)によりCはGの開集合である。GはR2の開集合であるから、§E2.12 命題 5.16 (1)によりCはR2の開集合である。
(2)を示す。CをGの連結成分とする。(1)と§E2.11 命題 2.5 (2)によりint(C)=Cであるから、§E2.11 命題 2.8 (1)により∂C=C∖Cである。y∈∂CがKに属さないと仮定する。y∈Gであるから、yを含むGの連結成分C′があり、(1)によりC′はyを含むR2の開集合である。y∈Cであるから、§E2.11 命題 7.2 (2)によりC′∩C=∅であり、§E2.43 定理 6.2 (3)によりC′=Cである。よってy∈Cであり、これはy∈C∖Cと両立しない。したがって∂C⊆Kである。
(3)を示す。
H1={y∈R2∣y1<a1},H2={y∈R2∣y2>b2},H3={y∈R2∣y1>b1},H4={y∈R2∣y2<a2}とおくと、R2∖R=H1∪H2∪H3∪H4である。各Hiの二点y,zについて、t↦(1−t)y+tzはHiの中のyからzへの道であるから、Hiは弧状連結であり、§E2.43 命題 4.2により連結である。(a1−1,b2+1)∈H1∩H2、(b1+1,b2+1)∈H2∩H3、(b1+1,a2−1)∈H3∩H4であるから、§E2.43 命題 1.7によりH1∪H2、H1∪H2∪H3、R2∖Rはこの順に連結である。K⊆RであるからR2∖R⊆Gである。(b1+1,b2+1)を含むGの連結成分をOとすると、§E2.43 定理 6.2 (1)によりR2∖R⊆Oである。§E2.43 定理 6.2 (3)により、Oと異なるGの連結成分はOと交わらないので、Rに含まれる。
§E2.48 補題 2.1 (1)と§E2.9 系 4.1によりRは有界であるから、Rに含まれる連結成分は有界である。z∈R2と実数r>0をとり、y=(max{b1,z1}+r+1,z2)とおくと、y∈H3⊆Oであり、d2(y,z)=max{b1,z1}+r+1−z1>rである。よってOはどの開球B(z,r)にも含まれず、Oは空でないから有界でない。▨
補題 1.3.KをR2の閉集合とする。KがR2のレトラクトであるならば、R2∖Kの連結成分はすべて有界でない。
証明.ρ:R2→Kをレトラクションとし、R2∖Kに有界な連結成分Cが存在すると仮定する。p∈Cをとる。Cは有界で空でないから、C⊆B(z,r)を満たすz∈R2と実数r>0がある。y∈Cについて、§E2.1 公式 4.2により
d∞(y,p)≤d2(y,p)≤d2(y,z)+d2(z,p)<2rであるから、CはP=[p1−2r,p1+2r]×[p2−2r,p2+2r]に含まれる。§E2.48 補題 2.1 (1)と§E2.9 系 4.1によりPは閉集合であるから、§E2.11 命題 2.5 (1)によりC⊆Pである。s=2r+1とおき、Q=[p1−s,p1+s]×[p2−s,p2+s]とする。§E2.48 補題 2.1 (3)により、∂Qはd∞(y,p)=sを満たすy∈Qの全体であるから、C⊆P⊆Q∖∂Qである。
Kは閉集合であるから、補題 1.2 (1)によりCはR2の開集合であり、§E2.11 命題 2.5 (2)、§E2.11 命題 2.8 (1)、および補題 1.2 (2)によりC∖C=∂C⊆Kである。C=C∩QとQ∖C=(R2∖C)∩Qは、R2の閉集合とQの共通部分であるから、§E2.12 命題 4.6によりQの閉集合である。二つの和はQであり、共通部分C∖CはKに含まれ、Kの上でρは恒等写像である。よって§E2.12 系 4.11により、Cの上でρに一致し、Q∖Cの上で恒等写像に一致する写像g:Q→R2は連続である。ρ(C)⊆Kであり、p∈CはKにもQ∖Cにも属さないので、g(Q)⊆R2∖{p}である。
y∈R2∖{p}に対して
π(y)=p+d∞(y,p)s(y−p)とおく。d∞(y,p)=max{∣y1−p1∣,∣y2−p2∣}>0であるから、π:R2∖{p}→R2は連続である。d∞(π(y),p)=sであるからπ(y)∈∂Qであり、y∈∂Qならばd∞(y,p)=sからπ(y)=yである。σ=π∘g:Q→∂Qは連続である。y∈∂Qならば、y∈/Cであるからy∈Q∖Cであり、σ(y)=π(y)=yである。よってσはレトラクションであり、∂QはQのレトラクトである。これは§E2.48 系 3.2と両立しないので、R2∖Kに有界な連結成分は存在しない。▨
定理 1.4.A⊆R2を弧とする。このときR2∖Aは弧状連結である。
証明.補題 1.1 (1)と補題 1.1 (2)により、Aはコンパクトな閉集合であり、R2のレトラクトである。§E2.9 系 4.1によりAは有界であり、Aは空でないから、A⊆B(z,r)を満たすz∈R2と実数r>0がある。y∈Aとi=1,2について、§E2.1 公式 4.2により∣yi−zi∣≤d2(y,z)<rであるから、Aは長方形R=[z1−r,z1+r]×[z2−r,z2+r]に含まれる。補題 1.2 (3)により、R2∖Aの連結成分Oで、O以外の連結成分がすべて有界であるものが存在する。補題 1.3によりR2∖Aに有界な連結成分は存在しないので、R2∖Aの連結成分はOだけである。§E2.43 定理 6.2 (3)によりR2∖A=Oであり、補題 1.2 (1)によりOは弧状連結である。▨
2 Jordan の曲線定理
定義 2.1 (単純閉曲線). 単位円周S1={(u,v)∈R2∣u2+v2=1}と同相なR2の部分集合を 単純閉曲線 (simple closed curve) という。
補題 2.2.J⊆R2を単純閉曲線とする。
- Jはコンパクトであり、R2の閉集合である。
- Jの相異なる二点a,bに対して、aとbを結ぶ弧J1,J2⊆Jで、J=J1∪J2かつJ1∩J2={a,b}を満たすものが存在する。
- q∈Jと、qを含むR2の開集合Wに対して、弧A⊆Jで、J∖W⊆Aかつq∈/Aを満たすものが存在する。
証明. 同相写像h:S1→Jをとり、θ∈Rに対してγ(θ)=h(cosθ,sinθ)とおく。余弦関数と正弦関数は連続であるから、γ:R→R2は連続である。§D1.24 定理 4.5 (2)とhの全射性によりγ(R)=Jであり、§D1.24 定理 4.5 (3)とhの単射性により、θ,θ′∈Rについてγ(θ)=γ(θ′)であることはθ−θ′∈2πZであることと同値である。各α,θ∈Rに対してθ+2πk∈[α,α+2π)を満たす整数kが存在するので、任意のα∈Rについてγ([α,α+2π))=Jである。
主張 2.2.1. 実数α<βがβ−α<2πを満たすならば、γ([α,β])はγ(α)とγ(β)を結ぶ弧であり、γ(β)とγ(α)を結ぶ弧でもある。
証明.f(u)=γ(α+(β−α)u)で連続写像f:[0,1]→γ([α,β])を定めると、fは全射である。f(u)=f(u′)ならば(β−α)(u−u′)∈2πZであり、∣(β−α)(u−u′)∣≤β−α<2πであるからu=u′である。よってfは全単射である。§E2.48 補題 2.1 (1)により[0,1]はコンパクトであり、γ([α,β])は距離空間であるから§E2.15 定理 3.2 (1)により Hausdorff 空間である。§E2.19 定理 6.8によりfは同相写像であり、f(0)=γ(α)、f(1)=γ(β)である。u↦f(1−u)も[0,1]からγ([α,β])への同相写像であり、0をγ(β)へ、1をγ(α)へ写す。▨
(1)を示す。γ([0,2π))=JであるからJ=γ([0,2π])である。§E2.48 補題 2.1 (1)により[0,2π]はコンパクトであるから、§E2.19 定理 4.2によりJはコンパクトであり、§E2.15 定理 3.2 (1)と§E2.19 命題 6.4によりJはR2の閉集合である。
(2)を示す。a=γ(α)を満たすα∈Rをとる。γ([α,α+2π))=Jであるから、b=γ(β)を満たすβ∈[α,α+2π)があり、a=bからβ=αである。J1=γ([α,β])、J2=γ([β,α+2π])とおく。β−α<2πかつα+2π−β<2πであり、γ(α+2π)=aであるから、主張 2.2.1によりJ1とJ2はいずれもaとbを結ぶ弧である。J1∪J2=γ([α,α+2π])=Jである。y∈J1∩J2とし、y=γ(θ)=γ(θ′)を満たすθ∈[α,β]とθ′∈[β,α+2π]をとると、θ′−θ∈[0,2π]∩2πZ={0,2π}である。θ′−θ=0ならばθ=θ′=βであり、θ′−θ=2πならばθ=αである。よってy∈{a,b}であり、a,b∈J1∩J2とあわせてJ1∩J2={a,b}である。
(3)を示す。q=γ(α)を満たすα∈Rをとる。γ−1(W)はαを含むRの開集合であるから、実数0<η<πで、∣θ−α∣<ηならばγ(θ)∈Wとなるものが存在する。A=γ([α+η,α+2π−η])とおくと、0<2π−2η<2πであるから、主張 2.2.1によりAは弧である。y∈J∖Wとする。γ([α−η,α−η+2π))=Jかつγ(α−η)=γ(α−η+2π)であるから、y=γ(θ)を満たすθ∈(α−η,α+2π−η]がある。θ<α+ηならば∣θ−α∣<ηからy∈Wとなるので、θ≥α+ηであり、y∈Aである。q∈Aであるとすると、γ(θ)=γ(α)を満たすθ∈[α+η,α+2π−η]があり、θ−α∈[η,2π−η]∩2πZとなるが、この共通部分は空である。よってq∈/Aである。▨
補題 2.3. 実数a1<b1とa2<b2についてR=[a1,b1]×[a2,b2]とおく。道h=(h1,h2):[0,1]→R2とv=(v1,v2):[0,1]→R2がともにRに値をとり、h1(0)=a1、h1(1)=b1、v2(0)=a2、v2(1)=b2を満たすならば、h(s)=v(t)を満たすs,t∈[0,1]が存在する。
証明.F:[0,1]2→R2をF(s,t)=(h1(s)−v1(t),v2(t)−h2(s))で定める。§E2.14 例 1.16と§E2.14 定理 1.6によりh1,h2,v1,v2は連続であり、同じ二つによりFは連続である。vはRに値をとるから、s=0ならばFの第 1 成分はa1−v1(t)≤0であり、s=1ならばb1−v1(t)≥0である。hはRに値をとるから、t=0ならばFの第 2 成分はa2−h2(s)≤0であり、t=1ならばb2−h2(s)≥0である。§E2.48 定理 3.1を直方体[0,1]2とFに適用すると、F(s,t)=0を満たす(s,t)∈[0,1]2が存在し、h(s)=v(t)である。▨
補題 2.4.J⊆R2を単純閉曲線とし、CをR2∖Jの連結成分とする。このとき∂C=Jである。
証明.補題 2.2 (1)によりJは閉集合であるから、補題 1.2 (1)と補題 1.2 (2)により、CはR2の開集合であり、∂C⊆Jである。q∈J∖∂Cが存在すると仮定する。§E2.11 命題 2.8 (3)により∂Cは閉集合であるから、W=R2∖∂Cはqを含む開集合である。補題 2.2 (3)により、弧A⊆JでJ∖W⊆Aかつq∈/Aを満たすものがある。∂C⊆Jであるから∂C=J∖W⊆Aである。
Y=R2∖Aとおく。定理 1.4と§E2.43 命題 4.2によりYは連結である。C∩J=∅かつA⊆JであるからC⊆Yであり、CはR2の開集合であるからYの開集合である。§E2.11 命題 2.8 (4)によりC=C∪∂Cであり、∂C⊆AであるからC∩Y=Cである。§E2.12 命題 4.6によりCはYの閉集合であり、Y∖CはYの開集合である。Cは空でなく、q∈/Aとq∈Jからq∈Y∖Cである。よって(C,Y∖C)はYの分離であり、Yが連結であることと両立しない。したがってJ⊆∂Cであり、∂C=Jである。▨
補題 2.5.a=(−1,0)、b=(1,0)、R=[−1,1]×[−2,2]とおく。単純閉曲線J⊆R2がJ⊆RとJ∩∂R={a,b}を満たすならば、R2∖Jの有界な連結成分はちょうど一つである。
証明.補題 2.2 (1)によりJは閉集合であり、J⊆Rであるから、補題 1.2 (3)により、R2∖Jの連結成分Oで、R2∖R⊆Oを満たし、O以外の連結成分がすべてRに含まれて有界であり、Oは有界でないものが存在する。補題 1.2 (1)によりR2∖Jの各連結成分は弧状連結である。§E2.48 補題 2.1 (3)により、∂Rはy1∈{−1,1}またはy2∈{−2,2}を満たすy∈Rの全体である。よって∂Rの点yでy2=0を満たすものはaとbだけであり、y2=0を満たす∂Rの点はJに属さない。また、Jの点yは−2<y2<2を満たす。
y,z∈R2に対して[y,z]={(1−t)y+tz∣0≤t≤1}と書く。t↦(1−t)y+tzは[y,z]の中のyからzへの道であり、§E2.48 補題 2.1 (1)と§E2.19 定理 4.2により[y,z]はコンパクトである。c=(0,2)、d=(0,−2)、L=[d,c]とおく。
補題 2.2 (2)により、aとbを結ぶ弧J1,J2でJ=J1∪J2かつJ1∩J2={a,b}を満たすものがある。i=1,2について、同相写像hi:[0,1]→Jiでhi(0)=aかつhi(1)=bを満たすものをとる。hiはRに値をとるaからbへの道であり、t↦(0,−2+4t)はRに値をとるdからcへの道であるから、補題 2.3によりJi∩L=∅である。補題 1.1 (1)によりJ1とJ2は閉集合である。
L∩Jは空でない有界な閉集合であるから、§E2.9 定理 4.3によりコンパクトであり、§E2.19 定理 4.4により、第 2 成分がL∩Jの上で最大となる点mがある。mの第 1 成分は0であるからm∈/{a,b}=J1∩J2であり、mはJ1とJ2のちょうど一方に属する。mを含む方をJc、他方をJdとし、対応するhiをそれぞれhc、hdと書く。L∩Jcも空でないコンパクト集合であるから、第 2 成分がL∩Jcの上で最小となる点lがある。l∈/{a,b}であるからl∈/Jdであり、l2≤m2である。c∈∂Rかつc2=0であるからc∈/Jであり、m2<2である。mとlの選び方から、次が成り立つ。
- m2<t≤2ならば(0,t)∈/Jである。
- −2≤t<l2ならば(0,t)∈/Jcである。
m=hc(sm)、l=hc(sl)とする。m,l∈/{a,b}であるからsm,sl∈(0,1)である。smとslを両端とする閉区間をIcとし、Γc=hc(Ic)とおく。u↦hc((1−u)sm+usl)はΓcの中のmからlへの道である。hcは単射でありIc⊆(0,1)であるから、a,b∈/Γcであり、Jc∩Jd={a,b}からΓc∩Jd=∅である。
主張 2.5.1.[l,d]∩Jd=∅である。
証明.[l,d]∩Jd=∅と仮定し、P=[c,m]∪Γc∪[l,d]とおく。cとm、mとl、lとdは、それぞれ[c,m]、Γc、[l,d]の中の道で結ばれるので、§E2.43 命題 6.5によりdとcはPの中の道で結ばれる。P⊆Rである。
(1)により[c,m]∩J⊆{m}であり、m∈/Jdである。Γc∩Jd=∅であり、仮定により[l,d]∩Jd=∅である。よってP∩Jd=∅である。一方、補題 2.3をhdとPの中のdからcへの道に適用すると、Jd∩P=∅である。これらは両立しないので、[l,d]∩Jd=∅である。▨
[l,d]∩Jdは空でない有界な閉集合であるから、§E2.9 定理 4.3と§E2.19 定理 4.4により、第 2 成分がその上で最大となる点kと最小となる点jがある。k,j∈/{a,b}であるからk,j∈/Jcであり、l∈/Jdからj2≤k2<l2である。kとjの選び方から、次が成り立つ。
- k2<t≤l2ならば(0,t)∈/Jdである。
- −2≤t<j2ならば(0,t)∈/Jdである。
k=hd(sk)、j=hd(sj)とし、skとsjを両端とする閉区間をIdとしてΓd=hd(Id)とおく。Γcと同様に、Γdの中にkからjへの道があり、a,b∈/Γdである。x=(0,(k2+l2)/2)とおく。(2)と(1)によりx∈/Jc∪Jd=Jである。xを含むR2∖Jの連結成分をUとする。
証明.Uが有界でないと仮定する。O以外の連結成分は有界であるからU=Oであり、(3,0)∈R2∖R⊆Uである。Uは弧状連結であるから、Uの中のxから(3,0)への道αがある。
R∘=R∖∂Rとおくと、§E2.48 補題 2.1 (3)によりR∘=(−1,1)×(−2,2)であり、Rは閉集合であるから§E2.11 命題 2.8 (1)によりR∘=int(R)である。とくにR∘は開集合であり、T={t∈[0,1]∣α(t)∈/R∘}は[0,1]の閉集合である。1∈TであるからTの下限τはTに属する。−2<k2<x2<l2≤m2<2であるからx∈R∘であり、τ>0である。
0≤t<τならばα(t)∈R∘⊆Rであり、α−1(R)は閉集合であるからα(τ)∈Rである。n=α(τ)とおくと、n∈R∖R∘=∂Rである。
n∈Uであるからn∈/Jであり、とくにn∈/{a,b}であるからn2=0である。u↦α(τu)はα([0,τ])の中のxからnへの道であり、α([0,τ])⊆U∩Rである。
n2<0とする。n1∈{−1,1}ならばE=[n,(n1,−2)]∪[(n1,−2),d]とおき、そうでなければn2=−2であるからE=[n,d]とおく。Eの点は∂Rに属して第 2 成分が負であるからE∩J=∅であり、nとdはEの中の道で結ばれる。
P=[c,m]∪Γc∪[l,x]∪α([0,τ])∪Eとおくと、cとm、mとl、lとx、xとn、nとdがそれぞれPの部分の中の道で結ばれるので、§E2.43 命題 6.5によりdとcはPの中の道で結ばれ、P⊆Rである。
(1)により[c,m]∩J⊆{m}であってm∈/Jdであり、Γc∩Jd=∅であり、(1)により[l,x]∩Jd=∅であり、α([0,τ])⊆UとEはJと交わらない。よってP∩Jd=∅であるが、補題 2.3をhdとPの中のdからcへの道に適用するとJd∩P=∅であり、両立しない。
n2>0とする。n1∈{−1,1}ならばE′=[n,(n1,2)]∪[(n1,2),c]とおき、そうでなければn2=2であるからE′=[n,c]とおく。E′の点は∂Rに属して第 2 成分が正であるからE′∩J=∅であり、nとcはE′の中の道で結ばれる。
P′=[x,d]∪α([0,τ])∪E′とおくと、§E2.43 命題 6.5によりdとcはP′の中の道で結ばれ、P′⊆Rである。
x2<l2であるから(2)により[x,d]∩Jc=∅であり、α([0,τ])⊆UとE′はJと交わらない。よってP′∩Jc=∅であるが、補題 2.3をhcとP′の中のdからcへの道に適用するとJc∩P′=∅であり、両立しない。
いずれの場合も両立しない二つの結論が得られるので、Uは有界である。▨
主張 2.5.3.R2∖Jの有界な連結成分はUに等しい。
証明.VをR2∖Jの有界な連結成分とし、V=Uと仮定する。Oは有界でないからV=Oであり、V⊆Rである。β=[c,m]∪Γc∪[l,k]∪Γd∪[j,d]とおく。dとj、jとk、kとl、lとm、mとcは、それぞれ[j,d]、Γd、[l,k]、Γc、[c,m]の中の道で結ばれるので、§E2.43 命題 6.5によりdとcはβの中の道で結ばれ、β⊆Rである。
D+={(0,t)∣m2<t≤3}、D−={(0,t)∣−3≤t<j2}、D0={(0,t)∣k2<t<l2}とおく。Rの外の点はJに属さないので、(1)によりD+∩J=∅であり、j2<l2であるから(2)と(2)によりD−∩J=∅であり、(2)と(1)によりD0∩J=∅である。三つの集合はいずれも、その二点y,zについてt↦(1−t)y+tzがその集合の中の道であるから弧状連結であり、§E2.43 命題 4.2により連結である。
(0,3)と(0,−3)はR2∖R⊆Oに属し、x∈D0であるから、§E2.43 定理 6.2 (1)によりD+∪D−⊆OかつD0⊆Uである。
[c,m]⊆D+∪{m}、[l,k]⊆D0∪{l,k}、[j,d]⊆D−∪{j}であり、m,l,k,jとΓc、ΓdはJに含まれる。VはJ、O、Uのいずれとも交わらないので、β∩V=∅である。
βの三つの線分の点の第 1 成分は0であり、a,b∈/Γc∪Γdであるから、a,b∈/βである。三つの線分と、コンパクトな閉区間の像であるΓc、Γdはコンパクトであり、§E2.15 定理 3.2 (1)と§E2.19 命題 6.4により閉集合であるから、βは閉集合である。§E2.15 補題 3.1によりε=min{d2(a,β),d2(b,β)}>0であり、§E2.10 定義 5.1によりy∈βならばd2(a,y)≥εかつd2(b,y)≥εであるから、B(a,ε)∩β=B(b,ε)∩β=∅である。
補題 2.4により∂V=Jであるから、§E2.11 命題 2.8 (4)によりa,b∈Vである。§E2.2 補題 1.2によりB(a,ε)とB(b,ε)は開集合であるから、§E2.11 命題 7.2 (2)によりu∈V∩B(a,ε)とw∈V∩B(b,ε)がある。Vは弧状連結であるから、uとwはVの中の道で結ばれる。
0≤t≤1についてd2(a,(1−t)a+tu)=td2(a,u)<εであるから[a,u]⊆B(a,ε)であり、同様に[w,b]⊆B(b,ε)である。a,u,w,b∈Rであり、(1−t)y+tzの各成分はyとzの対応する成分の間にあるから、[a,u]と[w,b]はRに含まれる。
P=[a,u]∪V∪[w,b]とおくと、§E2.43 命題 6.5によりaとbはPの中の道で結ばれ、P⊆RかつP∩β=∅である。一方、補題 2.3をPの中のaからbへの道とβの中のdからcへの道に適用するとP∩β=∅であり、両立しない。したがってV=Uである。▨
主張 2.5.2によりUはR2∖Jの有界な連結成分であり、主張 2.5.3により有界な連結成分はUだけである。▨
補題 2.6. 相異なるa,b∈R2をとり、D=d2(a,b)とおく。同相写像φ:R2→R2で、任意のy,z∈R2についてd2(φ(y),φ(z))=(2/D)d2(y,z)を満たし、φ(a)=(−1,0)かつφ(b)=(1,0)を満たすものが存在する。
定理 2.7 (Jordan の曲線定理).J⊆R2を単純閉曲線とする。R2∖Jはちょうど二つの連結成分をもち、その一方は有界であり、他方は有界でない。二つの連結成分の境界はいずれもJに等しい。
証明. 同相写像h:S1→Jをとる。h(1,0)=h(−1,0)であるから、Jは相異なる二点を含む。補題 2.2 (1)と§E2.19 系 5.4によりJ×Jはコンパクトであり、(y,z)↦d2(y,z)はJ×J上の連続関数であるから、§E2.19 定理 4.4により、d2(y,z)を最大にする(a,b)∈J×Jがある。D=d2(a,b)とおくとD>0である。補題 2.6の同相写像φをとり、J′=φ(J)、a′=(−1,0)、b′=(1,0)、R=[−1,1]×[−2,2]とおく。φ∘h:S1→J′は同相写像であるから、J′は単純閉曲線である。
y′∈J′とし、y′=φ(y)を満たすy∈Jをとる。d2(y′,a′)=(2/D)d2(y,a)≤2かつd2(y′,b′)≤2であるから、
(y1′+1)2+(y2′)2≤4,(y1′−1)2+(y2′)2≤4である。第一式からy1′≤1であり、等号はy2′=0のとき、すなわちy′=b′のときに限る。第二式からy1′≥−1であり、等号はy′=a′のときに限る。二式の和から(y1′)2+(y2′)2≤3であり、∣y2′∣<2である。よってJ′⊆Rであり、§E2.48 補題 2.1 (3)によりJ′∩∂R={a′,b′}である。補題 2.5によりR2∖J′の有界な連結成分はちょうど一つであり、補題 2.2 (1)と補題 1.2 (3)によりR2∖J′の有界でない連結成分はちょうど一つである。したがってR2∖J′はちょうど二つの連結成分をもち、その一方は有界であり、他方は有界でない。
φの制限はR2∖JからR2∖J′への同相写像である。§E2.43 命題 6.7により、C↦φ(C)は両補集合の連結成分の間の全単射を与える。φとその逆写像は、それぞれ距離を2/D倍、D/2倍にするので、Cが有界であることとφ(C)が有界であることは同値である。したがってR2∖Jはちょうど二つの連結成分をもち、その一方は有界であり、他方は有界でない。補題 2.4により、二つの連結成分の境界はいずれもJに等しい。▨
例 2.8 (一点で接する二円周).a−=(−1,0)、a+=(1,0)とし、
S−={z∈R2∣d2(z,a−)=1},S+={z∈R2∣d2(z,a+)=1},J=S−∪S+とおく。Jは両端の値が等しい閉区間上の連続写像の像であるが、単純閉曲線ではない。R2∖Jは、二つの開円板
D−={z∈R2∣d2(z,a−)<1},D+={z∈R2∣d2(z,a+)<1}と、外部
E={z∈R2∣d2(z,a−)>1, d2(z,a+)>1}の三つの連結成分をもつ。
証明. 二円周の方程式からS−∩S+={q}、q=(0,0)である。§E2.12 例 8.13の連続全射σ:[0,1]→S1、σ(t)=(cos(2πt),sin(2πt))をとる。0≤t≤1/2ではa−+σ(2t)、1/2≤t≤1ではa+−σ(2t−1)と定めると、二つの式はt=1/2でqに一致する。§E2.12 系 4.11により得られる写像γ:[0,1]→R2は連続であり、γ([0,1])=J、γ(0)=γ(1)=qである。
S−∖{q}の点の第1成分は負であり、S+∖{q}の点の第1成分は正である。したがってJ∖{q}は相対開集合J∩{(x,y)∣x<0}とJ∩{(x,y)∣x>0}に分離される。§E2.44 例 2.9 (1)により円周の任意の一点を除いた空間は連結であるから、Jは円周と同相ではない。
二中心の距離は2である。三角不等式により、D−の点はa+からの距離が1より大きく、D+の点はa−からの距離が1より大きい。よって
R2∖J=D−∪D+∪Eは互いに素な三つの非空開集合の和である。二つの開円板は凸集合であるから弧状連結である。
z=(x,y)∈Eとし、r=d2(z,q)とおく。二中心からの距離の二乗を展開すると、z∈Eはr2>2∣x∣と同値であり、とくにr>0である。ez=3z/rとおく。
r≤3のとき、線分[z,ez]の点はtz、1≤t≤3/rと書くことができ、
d2(tz,q)2=t2r2>2t2∣x∣≥2t∣x∣であるからEに属する。r≥3のとき、[z,ez]の各点wはd2(w,q)≥3を満たし、d2(w,a−)≥2かつd2(w,a+)≥2であるから、やはりEに属する。
半径3の円周C={w∈R2∣d2(w,q)=3}はEに含まれ、σと相似変換の合成による閉区間の連続像であるから弧状連結である。z,z′∈Eに対して、線分[z,ez]、Cの中のezからez′への道、線分[ez′,z′]をつなぐと、Eの中のzからz′への道を得る。したがってEも弧状連結である。
D−、D+、Eは補集合の開かつ閉な連結部分集合である。これらのうち異なる二つと交わる部分集合は連結ではないので、三つはそれぞれ補集合の連結成分である。▨
3 演習
解答.
u=b−a=(u1,u2)、e=21(a+b)とおくと、u12+u22=D2である。φ,ψ:R2→R2を
φ(y)=D22(u1(y1−e1)+u2(y2−e2), −u2(y1−e1)+u1(y2−e2)),ψ(w)=e+21(u1w1−u2w2, u2w1+u1w2)で定める。各成分は座標の一次式であるから、φとψは連続である。
y,z∈R2についてw=y−zとおくと、φ(y)−φ(z)=(2/D2)(u1w1+u2w2,−u2w1+u1w2)であり、
(u1w1+u2w2)2+(−u2w1+u1w2)2=(u12+u22)(w12+w22)=D2(w12+w22)であるから、d2(φ(y),φ(z))=(2/D2)⋅Dd2(y,z)=(2/D)d2(y,z)である。とくにφは単射である。
w∈R2についてy=ψ(w)とおくと、y−e=21(u1w1−u2w2,u2w1+u1w2)であり、
u1(y1−e1)+u2(y2−e2)=21D2w1,−u2(y1−e1)+u1(y2−e2)=21D2w2であるからφ(ψ(w))=wである。よってφは全射であり、全単射である。φ(ψ(w))=wの両辺にφ−1を施すとψ=φ−1であるから、φ−1は連続であり、φは同相写像である。
a−e=−21uであるから、φ(a)の第 1 成分は(2/D2)⋅(−21)(u12+u22)=−1、第 2 成分は(2/D2)⋅(−21)(−u2u1+u1u2)=0であり、φ(a)=(−1,0)である。b−e=21uであるから、同じ計算によりφ(b)=(1,0)である。▨
問題 3.2. 単純閉曲線J⊆R2はR2のレトラクトでないことを示せ。
解答.
JがR2のレトラクトであると仮定する。補題 2.2 (1)によりJは閉集合であるから、補題 1.3によりR2∖Jの連結成分はすべて有界でない。一方、定理 2.7によりR2∖Jは有界な連結成分をもつ。これらは両立しないので、JはR2のレトラクトでない。▨
問題 3.3.J⊆R2を単純閉曲線とし、q∈Jとする。(R2∖J)∪{q}は連結であることを示せ。
解答.
定理 2.7により、R2∖Jはちょうど二つの連結成分U、Oをもち、∂U=∂O=Jである。CをUとOのいずれかとする。Cは連結であり、q∈∂C⊆Cであるから、
C⊆C∪{q}⊆Cが成り立つ。§E2.43 命題 1.5によりC∪{q}は連結である。
U∪{q}とO∪{q}はいずれも連結であり、共通点qをもつから、§E2.43 命題 1.7によりその和U∪O∪{q}=(R2∖J)∪{q}は連結である。▨