§E2.18正規性

最終更新

位相空間の分離公理は、点や閉集合を開集合によってどこまで引き離すことができるかを、条件の強さの順に並べたものである。しかし開集合による分離は集合の言葉にとどまり、それだけでは空間の上の連続な実数値関数を与えない。正規性は、§E2.15 定義 1.7に従い、互いに交わらない二つの閉集合を、互いに交わらない開集合で分離することができるという条件であり、たとえば距離空間はこの条件を満たす。正規性は、位相空間の上に実数値連続関数を構成する議論や、閉部分空間の上の関数を空間全体へ延長する議論の前提として広く仮定される。一方で、正規性が部分空間や直積へどこまで伝わるかは、それ自体が一つの問いになる。本記事では、正規性の基本的な性質と、実数値連続関数による特徴づけ、および他の位相的構成との関係を扱う。

1 正規性と閉部分空間

命題 1.1.XXを正規空間とし、C⊆XC\subseteq XをXXの閉集合とする。CCに部分空間位相を入れた空間は正規である。

証明.A,B⊆CA,B\subseteq Cを、互いに交わらないCCの閉集合とする。§E2.12 命題 4.6により、XXの閉集合A′A'、B′B'でA=A′∩CA=A'\cap C、B=B′∩CB=B'\cap Cを満たすものが存在する。CCはXXの閉集合であるから、AAとBBはXXの二つの閉集合の共通部分としてXXの閉集合である。A∩B=∅A\cap B=\emptysetであるから、§E2.15 定義 1.7により、A⊆UA\subseteq U、B⊆VB\subseteq V、U∩V=∅U\cap V=\emptysetを満たすXXの開集合U,VU,Vが存在する。§E2.12 定義 4.1によりU∩CU\cap CとV∩CV\cap CはCCの開集合であり、A⊆U∩CA\subseteq U\cap C、B⊆V∩CB\subseteq V\cap C、(U∩C)∩(V∩C)=∅(U\cap C)\cap(V\cap C)=\emptysetが成り立つ。したがってCCは正規である。▨

例 1.2. 次の三つの類はいずれも正規である。

  1. 距離が定める位相を入れた距離空間は、§E2.15 定理 3.2 (2)により T4 空間である。
  2. コンパクトな Hausdorff 空間は T4 空間である。この事実は後続の「コンパクト空間」が証明するものであり、本記事の証明はこれを用いない。
  3. 一般順序位相空間は、§E2.17 定理 6.3により正規である。また§E2.17 命題 3.9と§E2.17 命題 8.2により、本記事の後半で用いる順序数区間と Sorgenfrey 直線はいずれもこの形である。

正規性は T1 性を含意しない。§E2.15 例 5.1 (2)により、二つ以上の元をもつ集合に密着位相を入れた空間は正規であるが T0 空間ですらない。

2 二進有理数と開集合族の構成

補題 2.1 (正規性の縮小補題). 位相空間XXについて、次の二条件は同値である。

  1. XXは正規である。
  2. 任意の閉集合FFとF⊆UF\subseteq Uを満たす開集合UUに対して、F⊆V⊆V‾⊆UF\subseteq V\subseteq\overline V\subseteq Uを満たす開集合VVが存在する。

証明.(1)⇒\Rightarrow(2)を示す。XXが正規であり、F⊆UF\subseteq Uとする。閉集合FFとX∖UX\setminus Uは互いに交わらないから、正規性によりF⊆VF\subseteq V、X∖U⊆WX\setminus U\subseteq Wを満たす互いに交わらない開集合V,WV,Wが存在する。§E2.11 命題 2.5によりV∩W=∅V\cap W=\emptysetからV‾⊆X∖W⊆U\overline V\subseteq X\setminus W\subseteq Uである。

(2)⇒\Rightarrow(1)を示す。互いに交わらない閉集合A,BA,Bを取る。A⊆X∖BA\subseteq X\setminus Bに(2)を適用すると、A⊆V⊆V‾⊆X∖BA\subseteq V\subseteq\overline V\subseteq X\setminus Bを満たす開集合VVが得られる。するとX∖V‾X\setminus\overline VはBBを含む開集合であり、VVと交わらない。したがってXXは正規である。▨

定義 2.2 (二進有理数). 二進有理数 (dyadic rational) を、ある非負整数nnと整数kkによりk/2nk/2^nと表される有理数と定める。[0,1][0,1]に属する二進有理数の集合をDDとし、n≥0n\ge0に対して

Dn={k2n|0≤k≤2n}D_n=\left\{\frac{k}{2^n}\mathrel{}\middle|\mathrel{}0\le k\le2^n\right\}

と書く。

補題 2.3. 二進有理数について次が成り立つ。

  1. n≥0n\ge0に対してDn⊆Dn+1D_n\subseteq D_{n+1}であり、 Dn+1∖Dn={2j+12n+1|0≤j<2n}D_{n+1}\setminus D_n=\left\{\frac{2j+1}{2^{n+1}}\mathrel{}\middle|\mathrel{}0\le j<2^n\right\} である。右辺の各元q=(2j+1)/2n+1q=(2j+1)/2^{n+1}についてrq=j/2nr_q=j/2^n、sq=(j+1)/2ns_q=(j+1)/2^nと置くと、rqr_qはqq未満のDnD_nの元のうち最大のものであり、sqs_qはqqより大きいDnD_nの元のうち最小のものである。とくにrqr_qとsqs_qはDnD_nで隣り合い、DnD_nの隣り合う二元の間にはDn+1D_{n+1}の元がただ一つだけ入る。
  2. 0≤a<b≤10\le a<b\le1を満たす実数a,ba,bに対して、a<q<ba<q<bを満たすq∈Dq\in Dが存在する。

証明は演習とする(問題 9.1)。

補題 2.4.XXを正規空間とし、A,B⊆XA,B\subseteq Xを互いに交わらない閉集合とする。このとき、DDで添字付けたXXの開集合の族(Uq)q∈D(U_q)_{q\in D}であって、

A⊆U0,U1=X∖B,A\subseteq U_0,\qquad U_1=X\setminus B,

および

q<q′⟹Uq‾⊆Uq′q<q'\quad\Longrightarrow\quad\overline{U_q}\subseteq U_{q'}

を同時に満たすものをとることができる。

証明.補題 2.1をA⊆X∖BA\subseteq X\setminus Bに適用し、A⊆U0⊆U0‾⊆X∖BA\subseteq U_0\subseteq\overline{U_0}\subseteq X\setminus Bを満たす開集合U0U_0を取る。U1=X∖BU_1=X\setminus Bと置く。

XXの開集合の全体をO\mathcal Oと書く。整数n≥0n\ge0と写像T ⁣:Dn→OT\colon D_n\to\mathcal Oの対(n,T)(n,T)であって、

T(0)=U0,T(1)=U1,r<s ⟹ T(r)‾⊆T(s)(r,s∈Dn)T(0)=U_0,\qquad T(1)=U_1,\qquad r<s\ \Longrightarrow\ \overline{T(r)}\subseteq T(s)\quad(r,s\in D_n)

を満たすものの集合をS\mathcal Sとする。S\mathcal Sの二つの元(n,T)(n,T)、(n′,T′)(n',T')に対して、n′=n+1n'=n+1でありT′T'のDnD_nへの制限がTTに一致するとき、かつそのときに限り(n,T)R(n′,T′)(n,T)\mathrel{R}(n',T')と定める。

D0={0,1}D_0=\{0,1\}であるから、T0(0)=U0T_0(0)=U_0、T0(1)=U1T_0(1)=U_1で写像T0 ⁣:D0→OT_0\colon D_0\to\mathcal Oを定めることができ、U0‾⊆X∖B=U1\overline{U_0}\subseteq X\setminus B=U_1であるから(0,T0)∈S(0,T_0)\in\mathcal Sである。とくにS\mathcal Sは空でない。

(n,T)∈S(n,T)\in\mathcal Sをとる。補題 2.3 (1)により、Dn+1∖DnD_{n+1}\setminus D_nの元qqに対してrq<q<sqr_q<q<s_qを満たすDnD_nの隣り合う二元rq,sqr_q,s_qが定まる。(n,T)∈S(n,T)\in\mathcal SによりT(rq)‾⊆T(sq)\overline{T(r_q)}\subseteq T(s_q)であるから、補題 2.1をT(rq)‾⊆T(sq)\overline{T(r_q)}\subseteq T(s_q)へ適用して

T(rq)‾⊆Vq⊆Vq‾⊆T(sq)\overline{T(r_q)}\subseteq V_q\subseteq\overline{V_q}\subseteq T(s_q)

を満たす開集合VqV_qを取る。写像T′ ⁣:Dn+1→OT'\colon D_{n+1}\to\mathcal Oを、DnD_n上ではTTと一致させ、q∈Dn+1∖Dnq\in D_{n+1}\setminus D_nではT′(q)=VqT'(q)=V_qとして定める。

(n+1,T′)∈S(n+1,T')\in\mathcal Sを示す。端点の条件はDnD_n上でT′=TT'=Tであることから従う。a<ba<bを満たすDn+1D_{n+1}の二元をとり、T′(a)‾⊆T′(b)\overline{T'(a)}\subseteq T'(b)を示す。以下、§E2.11 命題 2.5 (1)によりW⊆W‾W\subseteq\overline Wを用いる。

aaとbbがともにDnD_nに属する場合は、(n,T)∈S(n,T)\in\mathcal Sの条件そのものである。

a∈Dn+1∖Dna\in D_{n+1}\setminus D_nかつb∈Dnb\in D_nの場合、bbはaaより大きいDnD_nの元であるから、補題 2.3 (1)によるsas_aの最小性からsa≤bs_a\le bである。VaV_aの取り方からT′(a)‾=Va‾⊆T(sa)\overline{T'(a)}=\overline{V_a}\subseteq T(s_a)であり、sa=bs_a=bならばこれが結論、sa<bs_a<bならばT(sa)⊆T(sa)‾⊆T(b)T(s_a)\subseteq\overline{T(s_a)}\subseteq T(b)をつないで結論を得る。a∈Dna\in D_nかつb∈Dn+1∖Dnb\in D_{n+1}\setminus D_nの場合、aaはbb未満のDnD_nの元であるから、rbr_bの最大性によりa≤rba\le r_bである。VbV_bの取り方からT(rb)‾⊆Vb=T′(b)\overline{T(r_b)}\subseteq V_b=T'(b)であり、a=rba=r_bならばこれが結論、a<rba<r_bならばT(a)‾⊆T(rb)⊆T(rb)‾\overline{T(a)}\subseteq T(r_b)\subseteq\overline{T(r_b)}をつないで結論を得る。

aaとbbがともにDn+1∖DnD_{n+1}\setminus D_nに属する場合を考える。まずsa≤rbs_a\le r_bを示す。rb<sar_b<s_aと仮定する。ra<a<br_a<a<bでありra∈Dnr_a\in D_nであるから、rbr_bの最大性によりra≤rbr_a\le r_bである。一方rb∈Dnr_b\in D_nがrb<sar_b<s_aを満たし、rar_aとsas_aはDnD_nで隣り合うからrb≤rar_b\le r_aである。ゆえにra=rbr_a=r_bであり、sas_aとsbs_bはいずれもDnD_nにおけるrar_aの直後の元であるからsa=sbs_a=s_bである。するとDnD_nの隣り合う二元ra<sar_a<s_aの間にDn+1D_{n+1}の相異なる二元aaとbbが入り、補題 2.3 (1)の一意性に反する。したがってsa≤rbs_a\le r_bである。sa=rbs_a=r_bならば

T′(a)‾=Va‾⊆T(sa)=T(rb)⊆T(rb)‾⊆Vb=T′(b)\overline{T'(a)}=\overline{V_a}\subseteq T(s_a)=T(r_b)\subseteq\overline{T(r_b)}\subseteq V_b=T'(b)

であり、sa<rbs_a<r_bならばT(sa)⊆T(sa)‾⊆T(rb)T(s_a)\subseteq\overline{T(s_a)}\subseteq T(r_b)を間に挟むことにより同じ鎖が閉じる。

以上により(n+1,T′)∈S(n+1,T')\in\mathcal Sであり(n,T)R(n+1,T′)(n,T)\mathrel{R}(n+1,T')であるから、S\mathcal Sの任意の元はRRに関する後続をもつ。(0,T0)(0,T_0)を初期項として、すべてのk≥0k\ge0について(nk,Tk)R(nk+1,Tk+1)(n_k,T_k)\mathrel{R}(n_{k+1},T_{k+1})を満たすS\mathcal Sの列が得られる。RRの定義によりnk=kn_k=kであり、Tk+1T_{k+1}のDkD_kへの制限はTkT_kである。q∈Dq\in Dに対してq∈Dnq\in D_nとなるnnを選び、Uq=Tn(q)U_q=T_n(q)と定める。延長では既存の値を変えないので、この定義はnnに依存しない。U0U_0の取り方によりA⊆U0A\subseteq U_0でありU1=X∖BU_1=X\setminus Bである。q<q′q<q'に対して両者を含むDnD_nを取れば、(n,Tn)∈S(n,T_n)\in\mathcal SによりUq‾⊆Uq′\overline{U_q}\subseteq U_{q'}が得られる。▨

3 連続関数による分離

定理 3.1 (Urysohn の補題).XXを正規空間とし、A,B⊆XA,B\subseteq Xを任意の互いに交わらない閉集合とする。このとき、すべてのx∈Ax\in Aについてf(x)=0f(x)=0、すべてのx∈Bx\in Bについてf(x)=1f(x)=1を満たす連続写像f ⁣:X→[0,1]f\colon X\to[0,1]が存在する。

証明.補題 2.4が与える、A⊆U0A\subseteq U_0、U1=X∖BU_1=X\setminus Bおよびq<q′q<q'ならUq‾⊆Uq′\overline{U_q}\subseteq U_{q'}を満たす(Uq)q∈D(U_q)_{q\in D}を取る。x∈Xx\in Xに対して

Qx={q∈D∣x∈Uq}Q_x=\{q\in D\mid x\in U_q\}

と置き、Qx≠∅Q_x\ne\emptysetならf(x)=inf⁡Qxf(x)=\inf Q_x、Qx=∅Q_x=\emptysetならf(x)=1f(x)=1と定める。Qx≠∅Q_x\ne\emptysetのときはQx⊆[0,1]Q_x\subseteq[0,1]であるから、§D1.4 命題 1.4により下限が存在する。いずれの場合も0≤f(x)≤10\le f(x)\le1である。

x∈Ax\in Aならx∈U0x\in U_0であり、0∈Qx0\in Q_xであるからf(x)=0f(x)=0となる。x∈Bx\in Bならx∉Uqx\notin U_qがすべてのq∈Dq\in Dに対して成り立つ。実際、q<1q<1ならUq⊆Uq‾⊆U1=X∖BU_q\subseteq\overline{U_q}\subseteq U_1=X\setminus Bであり、q=1q=1でもU1=X∖BU_1=X\setminus Bである。ゆえにQx=∅Q_x=\emptysetであり、f(x)=1f(x)=1である。

a≤1a\le1に対して

f−1((−∞,a))=⋃q∈Dq<aUqf^{-1}(( -\infty,a))=\bigcup_{\substack{q\in D\\q<a}}U_q

が成り立つ。右辺に属するxxではq∈Qxq\in Q_xであるからf(x)≤q<af(x)\le q<aである。逆にf(x)<af(x)<aなら、a≤1a\le1とあわせてf(x)<1f(x)<1であり、ffの定義によりQx≠∅Q_x\ne\emptysetである。補題 2.3 (2)によりf(x)<q<af(x)<q<aを満たすq∈Dq\in Dを取ることができる。f(x)=inf⁡Qx<qf(x)=\inf Q_x<qであるから、下限の性質によりQxQ_xにqq未満の元があり、とくにx∈Uq′⊆Uqx\in U_{q'}\subseteq U_qとなるq′<qq'<qが存在する。

a≥0a\ge0に対して

f−1((a,∞))=⋃q∈Dq>a(X∖Uq‾)f^{-1}((a,\infty))=\bigcup_{\substack{q\in D\\q>a}}\left(X\setminus\overline{U_q}\right)

も成り立つ。右辺に属するxxでは、r<qr<qならUr⊆Ur‾⊆Uq⊆Uq‾U_r\subseteq\overline{U_r}\subseteq U_q\subseteq\overline{U_q}であるため、QxQ_xはqq未満の元を含まない。よってf(x)≥q>af(x)\ge q>aである。逆にf(x)>af(x)>aなら、補題 2.3 (2)によりa<q<q′<f(x)a<q<q'<f(x)を満たすq,q′∈Dq,q'\in Dを取ることができる。x∈Uq‾x\in\overline{U_q}ならx∈Uq′x\in U_{q'}となり、q′∈Qxq'\in Q_xからf(x)≤q′f(x)\le q'となって矛盾する。ゆえにx∉Uq‾x\notin\overline{U_q}である。

a>1a>1のときは、すべてのx∈Xx\in Xについてf(x)≤1<af(x)\le1<aであるからf−1((−∞,a))=Xf^{-1}((-\infty,a))=Xである。a<0a<0のときは、すべてのx∈Xx\in Xについてf(x)≥0>af(x)\ge0>aであるからf−1((a,∞))=Xf^{-1}((a,\infty))=Xである。

二つの等式の右辺はいずれも開集合である。第一の右辺は開集合の和集合であり、第二の右辺では各補集合が開集合であるから、§E2.11 定義 1.1により開集合である。同じ定義によりXX自身も開集合であるから、残りの二つの場合の逆像も開集合である。以上により§E2.13 例 2.7が与える半直線準開基のすべての元の逆像はXXの開集合であり、§E2.13 命題 2.5によりf ⁣:X→Rf\colon X\to\mathbb Rは連続である。値域は[0,1][0,1]に含まれるから、§E2.12 定理 4.4により終域を[0,1][0,1]に取り替えた写像も連続である。▨

命題 3.2. 任意の互いに交わらない閉集合A,BA,Bに対して、すべてのx∈Ax\in Aについてf(x)=0f(x)=0、すべてのx∈Bx\in Bについてf(x)=1f(x)=1を満たす連続写像f ⁣:X→[0,1]f\colon X\to[0,1]が存在する位相空間XXは正規である。

証明は演習とする(問題 9.8)。

系 3.3. 任意の T4 空間は T3½ 空間である。

証明. T4 空間XXの点xxと、x∉Fx\notin Fを満たす閉集合FFを取る。§E2.15 定義 1.8によりXXは T1 かつ正規であり、T3½ を示すには完全正則性を示せば足りる。§E2.15 命題 1.5により{x}\{x\}は閉集合であり、{x}\{x\}とFFは互いに交わらない。定理 3.1をA={x}A=\{x\}、B=FB=Fに適用すると、f(x)=0f(x)=0、およびすべてのy∈Fy\in Fについてf(y)=1f(y)=1を満たす連続写像f ⁣:X→[0,1]f\colon X\to[0,1]が得られる。これは完全正則性の条件である。▨

注意 3.4 (正則性だけでは足りない). T3 空間であっても T3½ 空間でない例が存在する。その構成は「諸例」が扱う。したがって、閉集合を点と開集合で分離することができるという正則性だけから、実数値連続関数による分離を結論してはならない。

系 3.5 (閉区間値の Urysohn の補題).c<c′c<c'とする。XXが正規空間であり、A,B⊆XA,B\subseteq Xが互いに交わらない閉集合ならば、すべてのx∈Ax\in Aについてg(x)=cg(x)=c、すべてのx∈Bx\in Bについてg(x)=c′g(x)=c'を満たす連続写像g ⁣:X→[c,c′]g\colon X\to[c,c']が存在する。

証明.定理 3.1によるf ⁣:X→[0,1]f\colon X\to[0,1]、包含写像ι ⁣:[0,1]→R\iota\colon[0,1]\to\mathbb R(§E2.12 定義 4.2)、およびh(t)=c+(c′−c)th(t)=c+(c'-c)tを取る。hhは§E2.4 命題 3.4により連続であり、ι\iotaは§E2.12 定理 4.4により連続であるから、§E2.12 命題 1.10によりh∘ι∘fh\circ\iota\circ fは連続である。0≤f(x)≤10\le f(x)\le1から値は[c,c′][c,c']に入り、§E2.12 定理 4.4により終域を[c,c′][c,c']に取り替えた写像ggも連続である。AAのすべての点でffが00を取り、BBのすべての点でffが11を取るため、ggはAAのすべての点でccを取り、BBのすべての点でc′c'を取る。▨

4 反復近似による有界な場合の拡張

定理 4.1 (Tietze の拡張定理(有界閉区間に値をとる場合)).(X,O)(X,\mathcal O)を正規空間、C⊆XC\subseteq Xを閉集合とし、CCには部分空間位相を入れる。r>0r>0とし、f:C→[−r,r]f:C\to[-r,r]を連続写像とする。このとき、連続写像F:X→[−r,r]F:X\to[-r,r]で、すべてのz∈Cz\in CについてF(z)=f(z)F(z)=f(z)を満たすものが存在する。

証明.§E2.12 定理 4.4 (1)により、包含写像との合成を通じてffを連続写像C→RC\to\mathbb Rとみなす。

主張 4.1.1 (一段の近似).ρ>0\rho>0とし、g:C→Rg:C\to\mathbb Rを連続写像で、すべてのz∈Cz\in Cについて∣g(z)∣≤ρ|g(z)|\leq\rhoを満たすものとする。このとき、連続写像h:X→Rh:X\to\mathbb Rで次の二条件を満たすものが存在する。

  1. すべてのx∈Xx\in Xについて∣h(x)∣≤ρ/3|h(x)|\leq\rho/3。
  2. すべてのz∈Cz\in Cについて∣g(z)−h(z)∣≤2ρ/3|g(z)-h(z)|\leq2\rho/3。

証明.CCの部分集合

A={z∈C∣g(z)≤−ρ/3},B={z∈C∣g(z)≥ρ/3}A=\{z\in C\mid g(z)\leq-\rho/3\},\qquad B=\{z\in C\mid g(z)\geq\rho/3\}

をとる。AAとBBは§E2.12 命題 1.6によりCCの閉集合である。§E2.12 命題 4.6とCCがXXで閉じていることから、AAとBBはXXでも閉集合であり、互いに交わらない。系 3.5を[c,c′]=[−ρ/3,ρ/3][c,c']=[-\rho/3,\rho/3]へ適用し、AA上で−ρ/3-\rho/3、BB上でρ/3\rho/3をとる連続写像h0:X→[−ρ/3,ρ/3]h_0:X\to[-\rho/3,\rho/3]をとる。包含写像との合成をh:X→Rh:X\to\mathbb Rとすれば、§E2.12 定理 4.4 (1)と§E2.12 命題 1.10によりhhは連続である。これにより主張 4.1.1 (1)が成り立つ。

z∈Cz\in Cをとる。g(z)≤−ρ/3g(z)\leq-\rho/3ならばh(z)=−ρ/3h(z)=-\rho/3であり、−ρ≤g(z)≤−ρ/3-\rho\leq g(z)\leq-\rho/3から∣g(z)−h(z)∣≤2ρ/3|g(z)-h(z)|\leq2\rho/3を得る。g(z)≥ρ/3g(z)\geq\rho/3の場合も同様である。∣g(z)∣<ρ/3|g(z)|<\rho/3ならば、∣h(z)∣≤ρ/3|h(z)|\leq\rho/3により

∣g(z)−h(z)∣≤∣g(z)∣+∣h(z)∣<2ρ/3|g(z)-h(z)|\leq|g(z)|+|h(z)|<2\rho/3

である。したがって主張 4.1.1 (2)が成り立つ。▨

X=∅X=\emptysetならばC=∅C=\emptysetであり、空写像が結論を満たす。以下X≠∅X\neq\emptysetとする。

整数n≥0n\geq0と連続写像H ⁣:X→RH\colon X\to\mathbb Rの対(n,H)(n,H)であって、

∣H(x)∣≤r(1−(23)n)(x∈X),∣f(z)−H(z)∣≤r(23)n(z∈C)|H(x)|\leq r\left(1-\left(\frac23\right)^n\right)\quad(x\in X), \qquad |f(z)-H(z)|\leq r\left(\frac23\right)^n\quad(z\in C)

を満たすものの集合をSSとする。SSの二つの元(n,H)(n,H)、(n′,H′)(n',H')に対して、n′=n+1n'=n+1であり、すべてのx∈Xx\in Xについて∣H′(x)−H(x)∣≤r3(2/3)n|H'(x)-H(x)|\leq\frac r3(2/3)^nであるとき、かつそのときに限り(n,H)R(n′,H′)(n,H)\mathrel R(n',H')と定める。値00をとる定数写像H0H_0は連続であり、ffの値が[−r,r][-r,r]に入ることから(0,H0)∈S(0,H_0)\in Sである。とくにSSは空でない。

(n,H)∈S(n,H)\in Sをとる。HHのCCへの制限は、包含写像ιC ⁣:C→X\iota_C\colon C\to X(§E2.12 定理 4.4 (1))との合成として§E2.12 命題 1.10により連続であるから、残差g=f−H∣Cg=f-H|_Cは§E2.16 補題 1.2 (1)により連続であり、(n,H)∈S(n,H)\in Sにより∣g(z)∣≤r(2/3)n|g(z)|\leq r(2/3)^nである。主張 4.1.1をggとρ=r(2/3)n\rho=r(2/3)^nへ適用すると、連続写像h ⁣:X→Rh\colon X\to\mathbb Rで

∣h(x)∣≤r3(23)n,∣g(z)−h(z)∣≤r(23)n+1|h(x)|\leq\frac r3\left(\frac23\right)^n, \qquad |g(z)-h(z)|\leq r\left(\frac23\right)^{n+1}

を満たすものが得られる。H′=H+hH'=H+hとおくと、H′H'は§E2.16 補題 1.2 (1)により連続であり、

∣H′(x)∣≤∣H(x)∣+∣h(x)∣≤r(1−(23)n)+r3(23)n=r(1−(23)n+1)|H'(x)|\leq|H(x)|+|h(x)| \leq r\left(1-\left(\frac23\right)^n\right)+\frac r3\left(\frac23\right)^n =r\left(1-\left(\frac23\right)^{n+1}\right)

であり、z∈Cz\in Cについて∣f(z)−H′(z)∣=∣g(z)−h(z)∣≤r(2/3)n+1|f(z)-H'(z)|=|g(z)-h(z)|\leq r(2/3)^{n+1}である。したがって(n+1,H′)∈S(n+1,H')\in Sかつ(n,H)R(n+1,H′)(n,H)\mathrel R(n+1,H')であり、SSの任意の元はRRに関する後続をもつ。(0,H0)(0,H_0)を初期項として、すべてのn≥0n\geq0について(n,Hn)R(n+1,Hn+1)(n,H_n)\mathrel R(n+1,H_{n+1})を満たすSSの列をとる。

各HnH_nは連続であり∣Hn∣≤r|H_n|\leq rを満たすから、§E2.16 定義 2.1のCb(X)C_b(X)に属する。m>nm>nとx∈Xx\in Xに対して

∣Hm(x)−Hn(x)∣≤∑k=nm−1∣Hk+1(x)−Hk(x)∣≤∑k=nm−1r3(23)k≤r(23)n|H_m(x)-H_n(x)| \leq\sum_{k=n}^{m-1}|H_{k+1}(x)-H_k(x)| \leq\sum_{k=n}^{m-1}\frac r3\left(\frac23\right)^{k} \leq r\left(\frac23\right)^n

であるからd∞(Hm,Hn)≤r(2/3)nd_\infty(H_m,H_n)\leq r(2/3)^nである。∣2/3∣<1|2/3|<1であるから§B1.7 定理 2.1によりr(2/3)n→0r(2/3)^n\to0であり、(Hn)(H_n)は§E2.5 定義 1.1に従うCb(X)C_b(X)の Cauchy 列である。§E2.16 定理 2.6によりCb(X)C_b(X)は完備であるから、(Hn)(H_n)はあるF∈Cb(X)F\in C_b(X)へ収束する。とくにF ⁣:X→RF\colon X\to\mathbb Rは連続である。

x∈Xx\in Xを固定する。§E2.16 系 3.2 (2)により実数列(Hm(x))m≥0(H_m(x))_{m\geq0}はF(x)F(x)へ収束する。nnを固定すると、(Hm(x)−Hn(x))m>n(H_m(x)-H_n(x))_{m>n}はF(x)−Hn(x)F(x)-H_n(x)へ収束し、その項はすべて−r(2/3)n-r(2/3)^n以上r(2/3)nr(2/3)^n以下であるから、§E2.5 補題 5.4により

∣F(x)−Hn(x)∣≤r(23)n|F(x)-H_n(x)|\leq r\left(\frac23\right)^n

である。

z∈Cz\in Cに対して

∣f(z)−F(z)∣≤∣f(z)−Hn(z)∣+∣Hn(z)−F(z)∣≤2r(23)n|f(z)-F(z)|\leq|f(z)-H_n(z)|+|H_n(z)-F(z)|\leq2r\left(\frac23\right)^n

であり、右辺はn→∞n\to\inftyで00に収束するからF(z)=f(z)F(z)=f(z)である。また各x∈Xx\in Xについて

∣F(x)∣≤∣Hn(x)∣+∣F(x)−Hn(x)∣≤r(1−(23)n)+r(23)n=r|F(x)|\leq|H_n(x)|+|F(x)-H_n(x)| \leq r\left(1-\left(\frac23\right)^n\right)+r\left(\frac23\right)^n=r

であるからFFの値は[−r,r][-r,r]に入り、§E2.12 定理 4.4 (3)により、終域を[−r,r][-r,r]に制限したFFも連続である。▨

系 4.2 (Tietze の拡張定理(任意の有界閉区間に値をとる場合)).(X,O)(X,\mathcal O)を正規空間、C⊆XC\subseteq Xを閉集合とし、a<ba<bを実数とする。連続写像f:C→[a,b]f:C\to[a,b]に対して、連続写像F:X→[a,b]F:X\to[a,b]で、すべてのz∈Cz\in CについてF(z)=f(z)F(z)=f(z)を満たすものが存在する。

証明は演習とする(問題 9.9)。

5 実数値関数の拡張

定理 5.1 (Tietze の拡張定理(開区間に値をとる場合)).(X,O)(X,\mathcal O)を正規空間、C⊆XC\subseteq Xを閉集合とし、r>0r>0とする。連続写像f:C→(−r,r)f:C\to(-r,r)に対して、連続写像F:X→(−r,r)F:X\to(-r,r)で、すべてのz∈Cz\in CについてF(z)=f(z)F(z)=f(z)を満たすものが存在する。

証明. 包含写像との合成によってffを[−r,r][-r,r]に値をとる連続写像とみなし、定理 4.1が与える拡張をG:X→[−r,r]G:X\to[-r,r]とする。

包含写像との合成を通じてGGを実数値連続写像とみなし、Z=G−1({−r,r})Z=G^{-1}(\{-r,r\})とおく。{−r,r}\{-r,r\}はR\mathbb Rの閉集合であるから、§E2.12 命題 1.6によりZZはXXの閉集合である。f(C)⊆(−r,r)f(C)\subseteq(-r,r)であるからZ∩C=∅Z\cap C=\emptysetである。定理 3.1をZZとCCへ適用し、ZZ上で00、CC上で11をとる連続写像k:X→[0,1]k:X\to[0,1]をとる。包含写像との合成を通じてkkを実数値連続写像とみなすと、F=kGF=kGは§E2.16 補題 1.2 (1)により連続であり、CC上でffに一致する。

x∈Xx\in Xをとる。∣G(x)∣<r|G(x)|<rならば∣F(x)∣≤∣G(x)∣<r|F(x)|\leq|G(x)|<rである。∣G(x)∣=r|G(x)|=rならばx∈Zx\in Zであり、k(x)=0k(x)=0からF(x)=0F(x)=0である。したがってF(X)⊆(−r,r)F(X)\subseteq(-r,r)であり、§E2.12 定理 4.4 (3)により、終域を(−r,r)(-r,r)に制限したFFも連続である。▨

実数直線は開区間(−1,1)(-1,1)と同相であり、§E2.12 補題 6.4が同相写像φ(t)=t/(1+∣t∣)\varphi(t)=t/(1+|t|)とその逆写像ψ(s)=s/(1−∣s∣)\psi(s)=s/(1-|s|)を明示的に与える。これを用いると、開区間版から実数値の場合が従う。

定理 5.2 (Tietze の拡張定理).(X,O)(X,\mathcal O)を正規空間、C⊆XC\subseteq Xを閉集合とし、CCには部分空間位相を入れる。連続写像f:C→Rf:C\to\mathbb Rに対して、連続写像F:X→RF:X\to\mathbb Rで、すべてのz∈Cz\in CについてF(z)=f(z)F(z)=f(z)を満たすものが存在する。

証明.§E2.12 補題 6.4が与える同相写像φ:R→(−1,1)\varphi:\mathbb R\to(-1,1)をとる。§E2.12 命題 1.10によりg=φ∘f:C→(−1,1)g=\varphi\circ f:C\to(-1,1)は連続である。定理 5.1をr=1r=1として適用し、ggの連続な拡張G:X→(−1,1)G:X\to(-1,1)をとる。ψ=φ−1\psi=\varphi^{-1}とおけば、§E2.12 命題 1.10によりF=ψ∘G:X→RF=\psi\circ G:X\to\mathbb Rは連続であり、z∈Cz\in Cについて

F(z)=ψ(G(z))=ψ(g(z))=ψ(φ(f(z)))=f(z)F(z)=\psi(G(z))=\psi(g(z))=\psi(\varphi(f(z)))=f(z)

である。▨

6 半連続関数の間への連続関数の挿入

定理 6.1 (Katětov–Tong の挿入定理).XXを位相空間とする。次の二条件は同値である。

  1. XXは正規である。
  2. 上半連続関数u ⁣:X→Ru\colon X\to\Rと下半連続関数v ⁣:X→Rv\colon X\to\Rがすべてのx∈Xx\in Xについてu(x)≤v(x)u(x)\leq v(x)を満たすならば、連続関数f ⁣:X→Rf\colon X\to\Rで u(x)≤f(x)≤v(x)(x∈X)u(x)\leq f(x)\leq v(x)\qquad(x\in X) を満たすものが存在する。

証明.(1)を仮定する。

主張 6.1.1.r>0r>0、ε>0\varepsilon>0とし、上半連続関数a ⁣:X→Ra\colon X\to\Rと下半連続関数b ⁣:X→Rb\colon X\to\Rが−r≤a≤b≤r-r\leq a\leq b\leq rを満たすとする。このとき、連続関数h ⁣:X→[−r,r]h\colon X\to[-r,r]でa−ε≤h≤b+εa-\varepsilon\leq h\leq b+\varepsilonを満たすものが存在する。

証明.2r/m<ε2r/m<\varepsilonとなる正の整数mmをとり、δ=2r/m\delta=2r/m、tk=−r+kδt_k=-r+k\delta(0≤k≤m0\leq k\leq m)とおく。各0≤k<m0\leq k<mについて

Ak={x∈X:b(x)≤tk},Bk={x∈X:a(x)≥tk+1}A_k=\{x\in X:b(x)\leq t_k\},\qquad B_k=\{x\in X:a(x)\geq t_{k+1}\}

は§E2.12 命題 2.2により閉集合である。a≤ba\leq bとtk<tk+1t_k<t_{k+1}によりAk∩Bk=∅A_k\cap B_k=\emptysetなので、定理 3.1によりAkA_k上で00、BkB_k上で11をとる連続関数wk ⁣:X→[0,1]w_k\colon X\to[0,1]をとる。

h=−r+δ∑k=0m−1wkh=-r+\delta\sum_{k=0}^{m-1}w_k

は連続であり、−r≤h≤r-r\leq h\leq rである。x∈Xx\in Xをとる。tk+1≤a(x)t_{k+1}\leq a(x)となる添字ではwk(x)=1w_k(x)=1であり、b(x)≤tkb(x)\leq t_kとなる添字ではwk(x)=0w_k(x)=0である。等間隔の分点を数えると

a(x)−δ≤−r+δ∣{k:0≤k<m, tk+1≤a(x)}∣≤h(x),h(x)≤−r+δ∣{k:0≤k<m, tk<b(x)}∣≤b(x)+δ\begin{aligned} a(x)-\delta &\leq-r+\delta\lvert\{k:0\leq k<m,\ t_{k+1}\leq a(x)\}\rvert \leq h(x),\\ h(x) &\leq-r+\delta\lvert\{k:0\leq k<m,\ t_k<b(x)\}\rvert \leq b(x)+\delta \end{aligned}

を得る。δ<ε\delta<\varepsilonなので主張が従う。▨

X=∅X=\emptysetならば空写像が(2)を満たす。X≠∅X\ne\emptysetとし、上半連続関数u ⁣:X→Ru\colon X\to\Rと下半連続関数v ⁣:X→Rv\colon X\to\Rをu≤vu\leq vを満たすようにとる。まず、あるr>0r>0に対して−r≤u≤v≤r-r\leq u\leq v\leq rである場合を扱う。εn=r2−n\varepsilon_n=r2^{-n}、f0=0f_0=0とおく。u−εn≤fn≤v+εnu-\varepsilon_n\leq f_n\leq v+\varepsilon_nを満たす有界連続関数fnf_nが得られたとき、

an=max⁡{u−fn,−εn},bn=min⁡{v−fn,εn}a_n=\max\{u-f_n,-\varepsilon_n\},\qquad b_n=\min\{v-f_n,\varepsilon_n\}

とおく。ana_nは上半連続であり、bnb_nは下半連続である。実際、各t∈Rt\in\Rについて

{u−fn<t}=⋃q∈Q({u<q}∩{fn>q−t}),{v−fn>t}=⋃q∈Q({v>q}∩{fn<q−t})\begin{aligned} \{u-f_n<t\} &=\bigcup_{q\in\Q}\bigl(\{u<q\}\cap\{f_n>q-t\}\bigr),\\ \{v-f_n>t\} &=\bigcup_{q\in\Q}\bigl(\{v>q\}\cap\{f_n<q-t\}\bigr) \end{aligned}

であり、右辺は開集合である。また、{an<t}\{a_n<t\}はt>−εnt> -\varepsilon_nなら{u−fn<t}\{u-f_n<t\}、t≤−εnt\leq-\varepsilon_nなら空集合である。{bn>t}\{b_n>t\}もt<εnt<\varepsilon_nなら{v−fn>t}\{v-f_n>t\}、t≥εnt\geq\varepsilon_nなら空集合である。

u−fn≤v−fnu-f_n\leq v-f_n、u−fn≤εnu-f_n\leq\varepsilon_n、−εn≤v−fn-\varepsilon_n\leq v-f_nにより

−εn≤an≤bn≤εn-\varepsilon_n\leq a_n\leq b_n\leq\varepsilon_n

である。主張 6.1.1をr=εnr=\varepsilon_n、ε=εn+1\varepsilon=\varepsilon_{n+1}として適用し、連続関数hn ⁣:X→[−εn,εn]h_n\colon X\to[-\varepsilon_n,\varepsilon_n]で

an−εn+1≤hn≤bn+εn+1a_n-\varepsilon_{n+1}\leq h_n\leq b_n+\varepsilon_{n+1}

を満たすものをとる。fn+1=fn+hnf_{n+1}=f_n+h_nとすれば、u−εn+1≤fn+1≤v+εn+1u-\varepsilon_{n+1}\leq f_{n+1}\leq v+\varepsilon_{n+1}である。初期関数f0f_0も所要の不等式を満たすので、以上の構成を繰り返して(fn)n≥0(f_n)_{n\geq0}を得る。

各fnf_nは∣fn∣≤r+εn≤2r|f_n|\leq r+\varepsilon_n\leq2rを満たす。m>nm>nについて

∥fm−fn∥∞≤∑k=nm−1∥hk∥∞≤∑k=nm−1r2−k≤2r2−n\|f_m-f_n\|_\infty \leq\sum_{k=n}^{m-1}\|h_k\|_\infty \leq\sum_{k=n}^{m-1}r2^{-k} \leq2r2^{-n}

であるから、(fn)(f_n)は有界連続関数の空間の Cauchy 列である。§E2.16 定理 2.6により、一様極限f∈Cb(X)f\in C_b(X)が存在する。各点でu−εn≤fn≤v+εnu-\varepsilon_n\leq f_n\leq v+\varepsilon_nの極限をとるとu≤f≤vu\leq f\leq vを得る。

一般のu,v ⁣:X→Ru,v\colon X\to\Rに対して、§E2.12 補題 6.4の同相写像φ(t)=t/(1+∣t∣)\varphi(t)=t/(1+|t|)をとる。この式からφ\varphiは狭義単調増加である。φ∘u\varphi\circ uは上半連続、φ∘v\varphi\circ vは下半連続であり、φ∘u≤φ∘v\varphi\circ u\leq\varphi\circ vである。半連続性は、−1<t<1-1<t<1について

{φ∘u<t}={u<φ−1(t)},{φ∘v>t}={v>φ−1(t)}\{\varphi\circ u<t\}=\{u<\varphi^{-1}(t)\},\qquad \{\varphi\circ v>t\}=\{v>\varphi^{-1}(t)\}

であり、残りの水準では逆像が空集合またはXXとなることから従う。有界な場合の結論をr=1r=1として適用すると、φ∘u≤g≤φ∘v\varphi\circ u\leq g\leq\varphi\circ vを満たす連続関数ggが存在する。両端の値は(−1,1)(-1,1)に属するのでggも(−1,1)(-1,1)に値をもち、f=φ−1∘gf=\varphi^{-1}\circ gは所要の連続関数である。

(2)を仮定する。A,B⊆XA,B\subseteq Xを互いに交わらない閉集合とし、u=1Bu=1_B、v=1X∖Av=1_{X\setminus A}とおく。§E2.12 命題 2.8によりuuは上半連続、vvは下半連続であり、A∩B=∅A\cap B=\emptysetによりu≤vu\leq vである。挿入した連続関数はAA上で00、BB上で11をとり、[0,1][0,1]に値をもつ。命題 3.2によりXXは正規である。▨

注意 6.2.定理 4.1は定理 6.1からも従う。r>0r>0とし、正規空間XXの閉部分空間CC上の連続関数h ⁣:C→[−r,r]h\colon C\to[-r,r]をとる。CC上ではu=v=hu=v=h、X∖CX\setminus C上ではu=−ru=-r、v=rv=rと定める。t>−rt>-rについて{u≥t}={x∈C:h(x)≥t}\{u\geq t\}=\{x\in C:h(x)\geq t\}はXXの閉集合であり、t≤−rt\leq-rでは{u≥t}=X\{u\geq t\}=Xである。したがってuuは上半連続である。同じく、t<rt<rでは{v≤t}={x∈C:h(x)≤t}\{v\leq t\}=\{x\in C:h(x)\leq t\}が閉集合であり、t≥rt\geq rでは{v≤t}=X\{v\leq t\}=Xなのでvvは下半連続である。u≤vu\leq vの間に挿入した連続関数はCC上でhhに等しく、[−r,r][-r,r]に値をもつ。

7 角を除いた Tychonoff の板

定義 7.1 (Tychonoff の板).§E2.17 注意 4.1のとおり、順序数ω1+1\omega_1+1とω+1\omega+1には§E2.17 順序位相を入れる。直積T=(ω1+1)×(ω+1)T=(\omega_1+1)\times(\omega+1)に積位相を入れた空間を Tychonoff の板 (Tychonoff plank) という。TTから角の一点(ω1,ω)(\omega_1,\omega)を除いた部分空間

P=T∖{(ω1,ω)}P=T\setminus\{(\omega_1,\omega)\}

を 角を除いた Tychonoff の板 (deleted Tychonoff plank) という。

命題 7.2.TTとPPはいずれも T3½ 空間である。

証明.§E2.17 系 6.5によりω1+1\omega_1+1とω+1\omega+1は T4 空間であるから、系 3.3により T3½ 空間である。

§E2.14 命題 1.10による同一視のもとでT=(ω1+1)×(ω+1)T=(\omega_1+1)\times(\omega+1)は二つの T3½ 空間の直積であるから、§E2.15 系 2.9によりTTは T3½ 空間である。PPはTTの部分空間であるから、§E2.15 系 2.2によりPPも T3½ 空間である。▨

定理 7.3.PPは正規でない。

証明.

A={ω1}×[0,ω),B=[0,ω1)×{ω}A=\{\omega_1\}\times[0,\omega),\qquad B=[0,\omega_1)\times\{\omega\}

と置く。いずれもPPの部分集合である。

主張 7.3.1.AAとBBはPPの閉集合であり、A∩B=∅A\cap B=\emptysetである。

証明.AAの点の第一成分はω1\omega_1であり、BBの点の第一成分はω1\omega_1未満であるから、A∩B=∅A\cap B=\emptysetである。

§E2.17 系 6.5によりω1+1\omega_1+1とω+1\omega+1は T1 空間であるから、§E2.15 命題 1.5により{ω1}\{\omega_1\}はω1+1\omega_1+1の閉集合であり、{ω}\{\omega\}はω+1\omega+1の閉集合である。§E2.12 命題 3.3 (1)により射影pr⁡1,pr⁡2\operatorname{pr}_1,\operatorname{pr}_2は連続であるから、§E2.12 命題 1.6により

pr⁡1−1({ω1})={ω1}×(ω+1),pr⁡2−1({ω})=(ω1+1)×{ω}\operatorname{pr}_1^{-1}(\{\omega_1\})=\{\omega_1\}\times(\omega+1), \qquad \operatorname{pr}_2^{-1}(\{\omega\})=(\omega_1+1)\times\{\omega\}

はいずれもTTの閉集合である。

PPに属さないTTの点は(ω1,ω)(\omega_1,\omega)だけである。{ω1}×(ω+1)\{\omega_1\}\times(\omega+1)からこの点を除くと{ω1}×[0,ω)=A\{\omega_1\}\times[0,\omega)=Aが残り、(ω1+1)×{ω}(\omega_1+1)\times\{\omega\}からこの点を除くと[0,ω1)×{ω}=B[0,\omega_1)\times\{\omega\}=Bが残る。すなわち

A=({ω1}×(ω+1))∩P,B=((ω1+1)×{ω})∩PA=\bigl(\{\omega_1\}\times(\omega+1)\bigr)\cap P, \qquad B=\bigl((\omega_1+1)\times\{\omega\}\bigr)\cap P

であるから、§E2.12 命題 4.6によりAAとBBはPPの閉集合である。▨

PPが正規であると仮定する。主張 7.3.1によりAAとBBは互いに交わらないPPの閉集合であるから、§E2.15 定義 1.7により、A⊆UA\subseteq U、B⊆VB\subseteq V、U∩V=∅U\cap V=\emptysetを満たすPPの開集合U,VU,Vが存在する。§E2.12 定義 4.1により、U=U~∩PU=\widetilde U\cap P、V=V~∩PV=\widetilde V\cap Pを満たすTTの開集合U~,V~\widetilde U,\widetilde Vが存在する。

n<ωn<\omegaを固定する。(ω1,n)∈A⊆U~(\omega_1,n)\in A\subseteq\widetilde Uであるから、§E2.14 補題 1.11と§E2.13 命題 1.2により(ω1,n)∈W1×W2⊆U~(\omega_1,n)\in W_1\times W_2\subseteq\widetilde Uを満たす開集合W1⊆ω1+1W_1\subseteq\omega_1+1、W2⊆ω+1W_2\subseteq\omega+1が存在する。§E2.17 命題 4.3によりω1+1\omega_1+1の点ω1\omega_1の近傍基は(γ,ω1](\gamma,\omega_1](γ<ω1\gamma<\omega_1)からなるから、(γn,ω1]⊆W1(\gamma_n,\omega_1]\subseteq W_1を満たすγn<ω1\gamma_n<\omega_1が存在する。n∈W2n\in W_2であるから

(γn,ω1]×{n}⊆W1×W2⊆U~(\gamma_n,\omega_1]\times\{n\}\subseteq W_1\times W_2\subseteq\widetilde U

である。各n<ωn<\omegaについてこのようなγn\gamma_nを一つずつ選び、列(γn)n<ω(\gamma_n)_{n<\omega}を得る。

{γn∣n<ω}\{\gamma_n\mid n<\omega\}はω1\omega_1の可算部分集合であるから、§E2.17 補題 4.2により、すべてのn<ωn<\omegaについてγn≤β\gamma_n\leq\betaを満たす順序数β<ω1\beta<\omega_1が存在する。§E1.21 定理 5.1によりω1\omega_1は極限順序数であるから、α=β+1\alpha=\beta+1はω1\omega_1未満である。すべてのn<ωn<\omegaについてγn≤β<α≤ω1\gamma_n\leq\beta<\alpha\leq\omega_1であるから(α,n)∈(γn,ω1]×{n}⊆U~(\alpha,n)\in(\gamma_n,\omega_1]\times\{n\}\subseteq\widetilde Uであり、α<ω1\alpha<\omega_1から(α,n)∈P(\alpha,n)\in Pであるので(α,n)∈U(\alpha,n)\in Uである。

α<ω1\alpha<\omega_1であるから(α,ω)∈B⊆V~(\alpha,\omega)\in B\subseteq\widetilde Vである。ふたたび§E2.13 命題 1.2により、(α,ω)∈W1′×W2′⊆V~(\alpha,\omega)\in W_1'\times W_2'\subseteq\widetilde Vを満たす開集合W1′⊆ω1+1W_1'\subseteq\omega_1+1、W2′⊆ω+1W_2'\subseteq\omega+1が存在する。§E2.17 命題 4.3によりω+1\omega+1の点ω\omegaの近傍基は(m,ω](m,\omega](m<ωm<\omega)からなるから、(m,ω]⊆W2′(m,\omega]\subseteq W_2'を満たすm<ωm<\omegaが存在する。n=m+1n=m+1と置くとn<ωn<\omegaかつm<nm<nであるからn∈W2′n\in W_2'であり、α∈W1′\alpha\in W_1'とあわせて(α,n)∈W1′×W2′⊆V~(\alpha,n)\in W_1'\times W_2'\subseteq\widetilde Vである。(α,n)∈P(\alpha,n)\in Pであるから(α,n)∈V(\alpha,n)\in Vである。

したがって(α,n)∈U∩V(\alpha,n)\in U\cap Vである。一方でU∩V=∅U\cap V=\emptysetであった。この二つは両立しないから、PPは正規でない。▨

注意 7.4.命題 7.2によりPPは T3½ 空間であり、定理 7.3によりPPは正規でない。§E2.15 定義 1.8により T4 空間は正規であるから、PPは T4 空間でない。したがってPPは、§E2.15 注意 5.5が後続へ委ねた例のうち「T3½ 空間であって T4 空間でないもの」を与える。PPは板の全体TTの部分空間である。TTが T4 空間であることと、そこから従う正規性と T4 性の非遺伝性、および§E2.15 注意 2.4が後続へ委ねた「正規でない部分空間をもつ T4 空間」の例は、後続の「コンパクト空間」が扱う。

8 正規性は直積で保たれない

定義 8.1 (閉離散集合).(X,O)(X,\mathcal O)を位相空間とし、E⊆XE\subseteq Xとする。EEがXXの閉集合であり、かつ各x∈Ex\in Eに対してW∩E={x}W\cap E=\{x\}を満たすXXの開集合WWが存在するとき、EEをXXの 閉離散集合 (closed discrete set) という。

補題 8.2 (Jones の補題).XXを正規空間、D⊆XD\subseteq Xを稠密な部分集合、E⊆XE\subseteq Xを閉離散な部分集合とする。このとき、基数の冪について

2∣E∣≤2∣D∣2^{|E|}\leq2^{|D|}

が成り立つ。

証明.A⊆EA\subseteq Eをとる。X∖AX\setminus Aが開集合であることを示す。x∈X∖Ax\in X\setminus Aとする。x∉Ex\notin Eならば、EEがXXの閉集合であるからX∖EX\setminus Eはxxを含む開集合であり、A⊆EA\subseteq EよりAAと交わらない。x∈E∖Ax\in E\setminus Aならば、定義 8.1によりW∩E={x}W\cap E=\{x\}を満たす開集合WWが存在し、A⊆EA\subseteq Eかつx∉Ax\notin AであるからW∩A⊆{x}∩A=∅W\cap A\subseteq\{x\}\cap A=\emptysetである。いずれの場合もxxはX∖AX\setminus Aに含まれる開集合をもつから、§E2.11 補題 2.6によりX∖AX\setminus Aは開集合である。したがってAAはXXの閉集合であり、同じ議論によりE∖AE\setminus AもXXの閉集合である。

AAとE∖AE\setminus Aは互いに交わらないXXの閉集合であるから、§E2.15 定義 1.7により、A⊆UAA\subseteq U_A、E∖A⊆VAE\setminus A\subseteq V_A、UA∩VA=∅U_A\cap V_A=\emptysetを満たす開集合の対(UA,VA)(U_A,V_A)が存在する。各A⊆EA\subseteq Eに対して対(UA,VA)(U_A,V_A)を一つずつ選び、写像

Φ ⁣:P(E)→P(D),Φ(A)=UA∩D\Phi\colon\mathcal P(E)\to\mathcal P(D),\qquad \Phi(A)=U_A\cap D

を定める。

Φ\Phiが単射であることを示す。A,B⊆EA,B\subseteq EをA≠BA\neq Bを満たす二つの部分集合とする。AAとBBの役割を入れ替えてよいので、p∈A∖Bp\in A\setminus Bを満たすppが存在するとしてよい。p∈A⊆UAp\in A\subseteq U_Aであり、p∈E∖B⊆VBp\in E\setminus B\subseteq V_Bであるから、UA∩VBU_A\cap V_Bはppを含む空でない開集合である。DDはXXで稠密であるから、§E2.11 命題 2.9 (2)によりd∈UA∩VB∩Dd\in U_A\cap V_B\cap Dを満たす点ddが存在する。ここでΦ(A)=Φ(B)\Phi(A)=\Phi(B)と仮定すると、d∈UA∩D=UB∩Dd\in U_A\cap D=U_B\cap Dからd∈UBd\in U_Bであり、d∈VBd\in V_BとあわせてUB∩VB≠∅U_B\cap V_B\neq\emptysetとなる。これはUB∩VB=∅U_B\cap V_B=\emptysetに反する。したがってΦ(A)≠Φ(B)\Phi(A)\neq\Phi(B)である。

Φ\Phiは単射であるから、§E1.18 定義 1.1により∣P(E)∣≤∣P(D)∣|\mathcal P(E)|\leq|\mathcal P(D)|である。§E1.22 命題 1.5により∣P(E)∣=2∣E∣|\mathcal P(E)|=2^{|E|}、∣P(D)∣=2∣D∣|\mathcal P(D)|=2^{|D|}であるから、2∣E∣≤2∣D∣2^{|E|}\leq2^{|D|}が成り立つ。▨

定義 8.3 (Sorgenfrey 平面). Sorgenfrey 直線をRℓ\mathbb R_\ellと書く。§E2.17 命題 8.2により、半開区間[a,b)[a,b)(a<ba<bは実数)の全体はRℓ\mathbb R_\ellの開基である。直積Rℓ×Rℓ\mathbb R_\ell\times\mathbb R_\ellに積位相を入れた空間を Sorgenfrey 平面 (Sorgenfrey plane) という。

定理 8.4. Sorgenfrey 平面は正規でない。とくに、正規空間の二つの直積は正規であるとは限らない。

証明.X=Rℓ×RℓX=\mathbb R_\ell\times\mathbb R_\ellと置く。

§E2.17 系 8.4によりQ\mathbb QはRℓ\mathbb R_\ellで稠密であるから、§E2.14 補題 1.12によりD=Q×QD=\mathbb Q\times\mathbb QはXXで稠密である。

E={(x,−x)∣x∈R}E=\{(x,-x)\mid x\in\mathbb R\}がXXの閉離散集合であることを示す。(u,v)∈X∖E(u,v)\in X\setminus Eをとるとu+v≠0u+v\neq0である。ε=∣u+v∣/2>0\varepsilon=|u+v|/2>0と置く。§E2.17 命題 8.2により[u,u+ε)[u,u+\varepsilon)と[v,v+ε)[v,v+\varepsilon)はRℓ\mathbb R_\ellの開集合であるから、§E2.14 補題 1.11によりR=[u,u+ε)×[v,v+ε)R=[u,u+\varepsilon)\times[v,v+\varepsilon)はXXの開集合である。(s,t)∈R(s,t)\in Rならばu≤s<u+εu\leq s<u+\varepsilonかつv≤t<v+εv\leq t<v+\varepsilonであるから

u+v≤s+t<u+v+2εu+v\leq s+t<u+v+2\varepsilon

である。u+v>0u+v>0ならばs+t≥u+v>0s+t\geq u+v>0であり、u+v<0u+v<0ならばu+v+2ε=u+v+∣u+v∣=0u+v+2\varepsilon=u+v+|u+v|=0からs+t<0s+t<0である。いずれの場合もs+t≠0s+t\neq0であるからR∩E=∅R\cap E=\emptysetである。よってX∖EX\setminus Eの各点はX∖EX\setminus Eに含まれる開集合をもち、§E2.11 補題 2.6によりX∖EX\setminus Eは開集合であるから、EEはXXの閉集合である。x∈Rx\in\mathbb Rに対してW=[x,x+1)×[−x,−x+1)W=[x,x+1)\times[-x,-x+1)と置く。RRと同じ理由によりWWはXXの開集合である。(y,−y)∈W(y,-y)\in Wならばy≥xy\geq xかつ−y≥−x-y\geq-xすなわちy≤xy\leq xであるからy=xy=xである。したがってW∩E={(x,−x)}W\cap E=\{(x,-x)\}であり、定義 8.1によりEEは閉離散である。

x↦(x,−x)x\mapsto(x,-x)はR\mathbb RからEEへの全単射であるから、§E1.18 定義 1.1により∣E∣=∣R∣|E|=|\mathbb R|であり、§E1.22 定理 5.3により∣E∣=c|E|=\mathfrak cである。§E1.18 定理 4.1によりQ\mathbb Qは可算であるから、§E1.18 定理 5.2によりD=Q×QD=\mathbb Q\times\mathbb Qも可算であり、§E1.22 定義 5.1により2∣D∣=2ℵ0=c2^{|D|}=2^{\aleph_0}=\mathfrak cである。

XXが正規であると仮定する。補題 8.2をDDとEEへ適用すると

2c=2∣E∣≤2∣D∣=c2^{\mathfrak c}=2^{|E|}\leq2^{|D|}=\mathfrak c

を得る。一方、§E1.22 系 4.1によりc<2c\mathfrak c<2^{\mathfrak c}であり、§E1.18 定義 1.1で定める狭義比較により、これは2c≰c2^{\mathfrak c}\nleq\mathfrak cを含む。2c≤c2^{\mathfrak c}\leq\mathfrak cと2c≰c2^{\mathfrak c}\nleq\mathfrak cは両立しない。したがってXXは正規でない。

§E2.17 系 8.3によりRℓ\mathbb R_\ellは正規であるから、XXは正規空間の二つの直積であって正規でないものである。▨

注意 8.5 (歴史的な経緯). 本記事に名の付いた結果は、20 世紀前半から中頃に得られたものである。拡張定理は Tietze が 1915 年に距離空間について証明したものであり、Urysohn が 1925 年に補題とともに正規空間へ一般化した。すなわち拡張定理のほうが補題より先にある。Tychonoff は 1930 年に完全正則空間を導入し、その際に、正規性が部分空間へ遺伝しないことを示す例として板を与えた。Jones の補題は 1937 年のものであり、正規性と稠密集合の濃度から閉離散集合の濃度を抑えるこの評価は、正規空間の距離化可能性をめぐる問題のために作られた。Sorgenfrey は 1947 年に半開区間による位相を導入し、その平面が正規でないことを示した。

9 演習

問題 9.1 (二進有理数の段と稠密性).補題 2.3の証明を完成させよ。

解答.

補題 2.3 (1)を示す。k/2n=2k/2n+1k/2^n=2k/2^{n+1}であるからDn⊆Dn+1D_n\subseteq D_{n+1}である。Dn+1D_{n+1}の元でDnD_nに属さないものは、分子が奇数であるものに限る。0≤k≤2n+10\le k\le2^{n+1}の奇数は一意に2j+12j+1と書け、範囲は0≤j<2n0\le j<2^nとなる。q=(2j+1)/2n+1q=(2j+1)/2^{n+1}と置く。分母を2n+12^{n+1}に揃えるとDnD_nの元の分子は偶数であり、2j+12j+1を挟む最も近い偶数は2j2jと2j+22j+2であるから、rq=j/2n=2j/2n+1r_q=j/2^n=2j/2^{n+1}はqq未満のDnD_nの元のうち最大、sq=(j+1)/2n=(2j+2)/2n+1s_q=(j+1)/2^n=(2j+2)/2^{n+1}はqqより大きいDnD_nの元のうち最小であり、両者はDnD_nで隣り合う。逆にDnD_nの隣り合う二元はこの形のj/2n<(j+1)/2nj/2^n<(j+1)/2^nに限り、その間にあるDn+1D_{n+1}の元は分子が2j2jと2j+22j+2の間にある奇数に対応するものだけであるから、qqただ一つである。

補題 2.3 (2)を示す。2n≥n2^n\ge nがすべての正の整数nnについて帰納法で成り立つから、§D1.4 命題 2.1によりn>1/(b−a)n>1/(b-a)を満たす正の整数nnを取れば2−n≤1/n<b−a2^{-n}\le1/n<b-aである。§E2.5 補題 6.1によりm−1≤2na<mm-1\le2^na<mを満たす整数mmを取ると、2na<m≤2na+1<2nb2^na<m\le2^na+1<2^nbである。したがってq=m/2nq=m/2^nはa<q<ba<q<bを満たす。0≤a<b≤10\le a<b\le1であるから0<q<10<q<1であり、q∈Dq\in Dである。▨

問題 9.2 (Urysohn 関数の零点集合).定理 3.1のffについて、f−1({0})=Af^{-1}(\{0\})=Aが一般には成り立たないことを、例によって示せ。

解答.

X=RX=\mathbb R、A={0}A=\{0\}、B={1}B=\{1\}とし、f(x)=min⁡{1,max⁡{0,x}}f(x)=\min\{1,\max\{0,x\}\}と置く。通常の距離をもつR\mathbb Rは§E2.15 定理 3.2 (2)により T4 空間である。f(0)=0f(0)=0、f(1)=1f(1)=1であり、∣f(x)−f(y)∣≤∣x−y∣|f(x)-f(y)|\le|x-y|であるから、§E2.4 命題 3.4によりffは連続である。一方、f−1({0})=(−∞,0]f^{-1}(\{0\})=(-\infty,0]であってAAと一致しない。したがって、Urysohn の補題はA⊆f−1({0})A\subseteq f^{-1}(\{0\})を与えるが、等号までは主張しない。等号が成り立つためには、AAが可算個の開集合の共通部分であることが必要である。実際、[0,1/n)[0,1/n)は[0,1][0,1]の開集合であるからf−1([0,1/n))f^{-1}([0,1/n))はXXの開集合であり、f−1({0})=⋂n≥1f−1([0,1/n))f^{-1}(\{0\})=\bigcap_{n\geq1}f^{-1}([0,1/n))である。逆に、すべての閉集合が可算個の開集合の共通部分として書ける正規空間では、閉集合ごとに等号を達成するffをとることができる。この類の空間は後続の単元が扱う。▨

問題 9.3 (Tietze の一段近似の評価).XXを正規空間、C⊆XC\subseteq Xを閉集合とし、ρ>0\rho>0と、すべてのz∈Cz\in Cについて∣g(z)∣≤ρ|g(z)|\leq\rhoを満たす連続写像g ⁣:C→Rg\colon C\to\mathbb Rをとる。定理 4.1の証明は、しきい値と補正関数の値をρ/3\rho/3にとって、∣h∣≤ρ/3|h|\leq\rho/3と∣g−h∣≤2ρ/3|g-h|\leq2\rho/3を満たす連続写像h ⁣:X→Rh\colon X\to\mathbb Rを作っている。しきい値をt∈(0,ρ]t\in(0,\rho]に取り替えて同じ構成を行い、残差の上界を三つの場合に分けて求めよ。その上界を最小にするttがρ/3\rho/3であることを示せ。

解答.

しきい値をt∈(0,ρ]t\in(0,\rho]とし、同じ構成をttに対して行う。A={z∈C∣g(z)≤−t}A=\{z\in C\mid g(z)\leq-t\}とB={z∈C∣g(z)≥t}B=\{z\in C\mid g(z)\geq t\}は、ggの連続性と§E2.12 命題 1.6によりCCの閉集合であり、§E2.12 命題 4.6とCCがXXで閉じていることからXXの閉集合でもある。この二つは互いに交わらない。系 3.5を[−t,t][-t,t]へ適用すると、AA上で−t-t、BB上でttをとる連続写像h:X→[−t,t]h:X\to[-t,t]が得られる。補正の大きさは∣h(x)∣≤t|h(x)|\leq tである。

残差を三つの場合に分けて評価する。g(z)≤−tg(z)\leq-tの場合、h(z)=−th(z)=-tであり、−ρ≤g(z)≤−t-\rho\leq g(z)\leq-tから−(ρ−t)≤g(z)−h(z)≤0-(\rho-t)\leq g(z)-h(z)\leq0、すなわち∣g(z)−h(z)∣≤ρ−t|g(z)-h(z)|\leq\rho-tである。g(z)≥tg(z)\geq tの場合、h(z)=th(z)=tであり、t≤g(z)≤ρt\leq g(z)\leq\rhoから0≤g(z)−h(z)≤ρ−t0\leq g(z)-h(z)\leq\rho-t、すなわち∣g(z)−h(z)∣≤ρ−t|g(z)-h(z)|\leq\rho-tである。∣g(z)∣<t|g(z)|<tの場合、∣h(z)∣≤t|h(z)|\leq tとあわせて∣g(z)−h(z)∣≤∣g(z)∣+∣h(z)∣<2t|g(z)-h(z)|\leq|g(z)|+|h(z)|<2tである。したがって残差の上界はmax⁡{ρ−t,2t}\max\{\rho-t,2t\}である。

t↦ρ−tt\mapsto\rho-tは狭義単調減少、t↦2tt\mapsto2tは狭義単調増加であるから、max⁡{ρ−t,2t}\max\{\rho-t,2t\}は二つの値が一致するttで最小になる。ρ−t=2t\rho-t=2tからt=ρ/3t=\rho/3であり、このとき上界は2ρ/32\rho/3である。t<ρ/3t<\rho/3ならばρ−t>2ρ/3\rho-t>2\rho/3、t>ρ/3t>\rho/3ならば2t>2ρ/32t>2\rho/3であるから、ρ/3\rho/3以外のしきい値はより大きい上界しか与えない。これがしきい値と補正関数の値をρ/3\rho/3に選ぶ理由であり、t=ρ/3t=\rho/3とした結果が定理 4.1の証明の一段の近似である。▨

問題 9.4 (閉集合であるという仮定の必要性).定理 5.2はCCがXXの閉集合であることを仮定する。この仮定を落とすことができないことを、次の形で示せ。正規空間XX、XXの閉集合ではない部分集合C⊆XC\subseteq X、および連続写像f:C→[−1,1]f:C\to[-1,1]であって、すべてのz∈Cz\in CについてF(z)=f(z)F(z)=f(z)を満たす連続写像F:X→RF:X\to\mathbb Rが存在しないものを一組挙げ、CCが閉集合でないこと、ffが連続であること、およびFFが存在しないことを証明せよ。CCには部分空間位相を入れる。

解答.

通常の距離をもつX=RX=\mathbb Rをとる。XXは§E2.15 定理 3.2 (2)により正規空間である。C=R∖{0}C=\mathbb R\setminus\{0\}とおく。

CCはXXの閉集合ではない。実際、X∖C={0}X\setminus C=\{0\}である。00を含む開集合UUに対して、§E2.2 定義 1.1により(−δ,δ)=B(0,δ)⊆U(-\delta,\delta)=B(0,\delta)\subseteq Uを満たすδ>0\delta>0が存在するので、UUは00以外の点を含みU≠{0}U\neq\{0\}である。したがって{0}\{0\}は開集合ではない。

f:C→[−1,1]f:C\to[-1,1]をf(x)=x/∣x∣f(x)=x/|x|で定める。x∈Cx\in Cとε>0\varepsilon>0をとる。x>0x>0ならばW=(0,∞)W=(0,\infty)、x<0x<0ならばW=(−∞,0)W=(-\infty,0)とおく。WWはXXの開集合であってW⊆CW\subseteq Cであるから、W=W∩CW=W\cap CはCCの開集合であり、x∈Wx\in Wである。y∈Wy\in Wについてf(y)=f(x)f(y)=f(x)であるから∣f(y)−f(x)∣=0<ε|f(y)-f(x)|=0<\varepsilonである。よって§E2.12 補題 1.9によりffは実数値写像として連続であり、§E2.12 定理 4.4 (3)により終域を[−1,1][-1,1]に制限しても連続である。

連続写像F:X→RF:X\to\mathbb RがCC上でffに一致すると仮定する。§E2.12 補題 1.9をFF、点00、ε=1\varepsilon=1へ適用すると、00の開近傍W0W_0であって、y∈W0y\in W_0について∣F(y)−F(0)∣<1|F(y)-F(0)|<1を満たすものが存在する。§E2.2 定義 1.1により(−δ,δ)⊆W0(-\delta,\delta)\subseteq W_0を満たすδ>0\delta>0をとる。δ/2\delta/2と−δ/2-\delta/2はともにW0∩CW_0\cap Cに属し、F(δ/2)=f(δ/2)=1F(\delta/2)=f(\delta/2)=1、F(−δ/2)=f(−δ/2)=−1F(-\delta/2)=f(-\delta/2)=-1である。したがって

2=∣F(δ/2)−F(−δ/2)∣≤∣F(δ/2)−F(0)∣+∣F(0)−F(−δ/2)∣<22=\left|F(\delta/2)-F(-\delta/2)\right| \leq\left|F(\delta/2)-F(0)\right|+\left|F(0)-F(-\delta/2)\right| <2

となり、矛盾である。よってそのようなFFは存在しない。

XXが正規空間でありffが連続であるから、この例が満たさない定理 5.2の仮定はCCが閉集合であることだけである。ffの値は[−1,1][-1,1]に収まり、[−1,1][-1,1]に値をとる連続な拡張があれば包含写像との合成によって実数値の連続な拡張が得られるので、同じ例は系 4.2についても閉集合という仮定を落とすことができないことを示す。閉性が働くのは定理 4.1の証明の一段の近似であり、そこではCCの閉集合AAとBBが§E2.12 命題 4.6とCCの閉性によりXXの閉集合になることによって、系 3.5をXXにおいて適用することができる。▨

問題 9.5 (開区間値への修正段階).定理 4.1の結論を満たす拡張がCCの外で端点±r\pm rをとる例を挙げよ。さらに、端点の値を±(r−ε)\pm(r-\varepsilon)で切り落とす素朴な方法が拡張であることを壊すのに対して、定理 5.1の証明が用いるkkを掛ける操作がこれを壊さない理由を述べよ。

解答.

定理 4.1が与えるのは終域を[−r,r][-r,r]とする拡張であり、その値が端点±r\pm rをとらないことは主張に含まれない。実際、通常の距離をもつX=RX=\mathbb Rは§E2.15 定理 3.2 (2)により正規空間であり、C=(−∞,0]C=(-\infty,0]は補集合(0,∞)(0,\infty)が開集合であるから閉集合である。r=1r=1とし、f:C→(−1,1)f:C\to(-1,1)を定数00とする。G0(x)=min⁡{1,max⁡{0,x}}G_0(x)=\min\{1,\max\{0,x\}\}は∣G0(x)−G0(y)∣≤∣x−y∣|G_0(x)-G_0(y)|\leq|x-y|を満たすので§E2.4 命題 3.4により連続であり、§E2.12 定理 4.4 (3)により[−1,1][-1,1]に値をとる写像としても連続で、CC上でffに一致する。しかしG0(1)=1G_0(1)=1である。すなわち、有界閉区間版の結論を満たす拡張がCCの外で端点をとることがある。

以下、定理 5.1の証明と同じく、連続写像f:C→(−r,r)f:C\to(-r,r)に対して定理 4.1が与える拡張をG:X→[−r,r]G:X\to[-r,r]とする。切り落としの操作をTε(s)=min⁡{r−ε,max⁡{−(r−ε),s}}T_\varepsilon(s)=\min\{r-\varepsilon,\max\{-(r-\varepsilon),s\}\}(0<ε<r0<\varepsilon<r)とすると、Tε∘GT_\varepsilon\circ Gの値は[−(r−ε),r−ε]⊆(−r,r)[-(r-\varepsilon),r-\varepsilon]\subseteq(-r,r)に入るが、∣f(z)∣>r−ε|f(z)|>r-\varepsilonを満たすz∈Cz\in Cが存在すればTε(G(z))≠f(z)T_\varepsilon(G(z))\neq f(z)であり、Tε∘GT_\varepsilon\circ Gはffの拡張でなくなる。そのようなffは実在する。別の例としてX=C=RX=C=\mathbb R(R\mathbb Rは自身の閉集合である)、r=1r=1をとり、ffを§E2.12 補題 6.4のφ(t)=t/(1+∣t∣)\varphi(t)=t/(1+|t|)とする。0<ε<10<\varepsilon<1に対してt=1/εt=1/\varepsilonとおくとφ(t)=1/(1+ε)\varphi(t)=1/(1+\varepsilon)であり、(1−ε)(1+ε)=1−ε2<1(1-\varepsilon)(1+\varepsilon)=1-\varepsilon^2<1からφ(t)>1−ε\varphi(t)>1-\varepsilonである。したがって、どのε\varepsilonを選んでも切り落としは拡張性を保たない。

kkを掛ける操作が拡張性を保つのは、値を変える場所がCCと交わらないからである。包含写像との合成を通じてGGを実数値連続写像とみなすと(§E2.12 定理 4.4 (1))、{−r,r}\{-r,r\}はR\mathbb Rの閉集合であるから、§E2.12 命題 1.6によりZ=G−1({−r,r})Z=G^{-1}(\{-r,r\})はXXの閉集合である。z∈Cz\in CについてG(z)=f(z)∈(−r,r)G(z)=f(z)\in(-r,r)であるからZ∩C=∅Z\cap C=\emptysetであり、定理 3.1がZZ上で00、CC上で11をとる連続写像k:X→[0,1]k:X\to[0,1]を与える。CC上でk=1k=1であることがkGkGをffの拡張に保ち、ZZ上でk=0k=0であることが端点の値を消す。kGkGの値が(−r,r)(-r,r)に収まることの確認は定理 5.1の証明が行う。切り落としが値の大きさだけを見てCCの上の値まで動かすのに対して、kkを掛ける操作は端点をとる点の全体ZZを閉集合として取り出し、CCから分離したうえでCC上の値を保ってZZ上の値を00にする。▨

問題 9.6 (角の一点を除くことの必要性). 板の全体TTにおいてA′={ω1}×[0,ω]A'=\{\omega_1\}\times[0,\omega]とB′=[0,ω1]×{ω}B'=[0,\omega_1]\times\{\omega\}と置く。A′A'とB′B'がTTの閉集合であることを示し、定理 7.3の証明をPPからTTへ移したときに失われる仮定がどれであるかを述べよ。

解答.

§E2.17 系 6.5によりω1+1\omega_1+1とω+1\omega+1は T1 空間であるから、§E2.15 命題 1.5により[0,ω1)=(ω1+1)∖{ω1}[0,\omega_1)=(\omega_1+1)\setminus\{\omega_1\}はω1+1\omega_1+1の開集合であり、[0,ω)=(ω+1)∖{ω}[0,\omega)=(\omega+1)\setminus\{\omega\}はω+1\omega+1の開集合である。§E2.12 命題 3.3 (1)により射影pr⁡1,pr⁡2\operatorname{pr}_1,\operatorname{pr}_2は連続であるから、T∖A′=pr⁡1−1([0,ω1))T\setminus A'=\operatorname{pr}_1^{-1}([0,\omega_1))とT∖B′=pr⁡2−1([0,ω))T\setminus B'=\operatorname{pr}_2^{-1}([0,\omega))はいずれもTTの開集合であり、A′A'とB′B'はTTの閉集合である。

定理 7.3の証明が導くのは、AAを含む開集合とBBを含む開集合が交わることである。この論法はPPをTT、AAをA′A'、BBをB′B'に置き換えてもそのまま通り、A′⊆U~A'\subseteq\widetilde UとB′⊆V~B'\subseteq\widetilde Vを満たすTTの開集合U~,V~\widetilde U,\widetilde Vに対してU~∩V~≠∅\widetilde U\cap\widetilde V\neq\emptysetを与える。失われるのは二つの閉集合が互いに交わらないという仮定である。実際(ω1,ω)∈A′∩B′(\omega_1,\omega)\in A'\cap B'であるから、正規性はA′A'とB′B'の対について何も要求せず、この結論はTTが正規であるかどうかについて何も述べない。角の一点を除くとAAとBBは互いに交わらないPPの閉集合になり、同じ論法が正規性の否定になる。▨

問題 9.7 (Sorgenfrey 直線の閉離散集合の濃度). Sorgenfrey 直線Rℓ\mathbb R_\ellには、濃度がc\mathfrak cである閉離散集合が存在しないことを、補題 8.2から示せ。

解答.

§E2.17 系 8.3によりRℓ\mathbb R_\ellは正規であり、§E2.17 系 8.4によりQ\mathbb QはRℓ\mathbb R_\ellで稠密である。

E⊆RℓE\subseteq\mathbb R_\ellを閉離散集合とし、∣E∣=c|E|=\mathfrak cであると仮定する。§E1.18 定理 4.1によりQ\mathbb Qは可算であるから、§E1.22 定義 5.1により2∣Q∣=2ℵ0=c2^{|\mathbb Q|}=2^{\aleph_0}=\mathfrak cである。補題 8.2をD=QD=\mathbb QとEEへ適用すると2c≤c2^{\mathfrak c}\leq\mathfrak cを得る。一方§E1.22 系 4.1によりc<2c\mathfrak c<2^{\mathfrak c}であり、§E1.18 定義 1.1で定める狭義比較により2c≰c2^{\mathfrak c}\nleq\mathfrak cであるから、この二つは両立しない。ゆえに濃度c\mathfrak cの閉離散集合は存在しない。定理 8.4の証明の反対角線はRℓ×Rℓ\mathbb R_\ell\times\mathbb R_\ellの濃度c\mathfrak cの閉離散集合であったから、閉離散集合の濃度を押し上げているのは直積をとる操作である。▨

問題 9.8.命題 3.2の証明を完成させよ。

解答.

互いに交わらない閉集合A,BA,Bを取る。仮定のffに対して

V=f−1([0,1/3)),W=f−1((2/3,1])V=f^{-1}([0,1/3)),\qquad W=f^{-1}((2/3,1])

と置く。§E2.12 定義 4.1により[0,1/3)[0,1/3)と(2/3,1](2/3,1]は[0,1][0,1]の互いに交わらない開集合である。したがってV,WV,Wは開集合であり、A⊆VA\subseteq V、B⊆WB\subseteq Wを満たす。§E1.1 命題 4.4によりV∩W=∅V\cap W=\emptysetであるから、XXは正規である。▨

問題 9.9.系 4.2の証明を完成させよ。

解答.

c=(a+b)/2c=(a+b)/2、r=(b−a)/2r=(b-a)/2とおく。§E2.12 定理 4.4 (1)により、包含写像との合成を通じてffを連続写像C→RC\to\mathbb Rとみなす。このとき実数値写像f0=f−cf_0=f-cは§E2.16 補題 1.2 (1)により連続であり、その値は[−r,r][-r,r]に入る。§E2.12 定理 4.4 (3)によりf0:C→[−r,r]f_0:C\to[-r,r]も連続である。定理 4.1が与える拡張をF0:X→[−r,r]F_0:X\to[-r,r]とする。包含写像との合成を通じてF0F_0を実数値連続写像とみなせば、F=F0+cF=F_0+cは連続であり、CC上でffに一致する。さらにF(X)⊆[c−r,c+r]=[a,b]F(X)\subseteq[c-r,c+r]=[a,b]であるから、§E2.12 定理 4.4 (3)により、終域を[a,b][a,b]に制限したFFも連続である。▨

参考文献

  1. 松坂和夫『集合・位相入門』新装版, 岩波書店, 2018.
  2. James R. Munkres, Topology, 2nd ed., Prentice Hall, 2000.
  3. Stephen Willard, General Topology, Dover Publications, 2004, originally published 1970.
  4. Ryszard Engelking, General Topology, revised and completed ed., Sigma Series in Pure Mathematics 6, Heldermann Verlag, Berlin, 1989.
  5. Chris Good and Ian Stares, New proofs of classical insertion theorems, Commentationes Mathematicae Universitatis Carolinae 41 (2000), no. 1, 139–142.Katětov–Tong の挿入定理の定式化と正規性による特徴づけを参考にした。

前提記事