1 定義
定義 1.1 (コンパクト近傍をもつ点). 位相空間Xの点xが コンパクト近傍をもつ (locally compact at a point) とは、x∈U⊆Nを満たす開集合U⊆Xとコンパクト部分集合N⊆Xが存在することをいう。
定義 1.2 (局所コンパクト空間). 位相空間Xが 局所コンパクト空間 (locally compact space) であるとは、Xのすべての点が定義 1.1の意味でコンパクト近傍をもつことをいう。
定義 1.3 (局所コンパクトな点の全体). 位相空間Xに対して、コンパクト近傍をもつ点の全体をXの 局所コンパクトな点の全体 (locally compact locus) といい、
Xlc={x∈X∣x はコンパクト近傍をもつ}と書く。Xが局所コンパクトであることとXlc=Xであることは同値である。
命題 1.4.Xを位相空間とし、Xlcには部分空間位相を入れる。
- XlcはXの開集合である。
- Xの開集合Uが部分空間として局所コンパクトならばU⊆Xlcである。
証明.(1)を示す。x∈Xlcをとり、定義 1.1が与える開集合Uとコンパクト部分集合Nをx∈U⊆Nを満たすようにとる。y∈Uに対してもy∈U⊆Nであるから、Nはyのコンパクト近傍でありy∈Xlcである。ゆえにx∈U⊆Xlcであり、§E2.11 補題 2.6によりXlcは開集合である。
(2)を示す。Uを局所コンパクトな開集合とし、x∈Uをとる。部分空間Uの中でx∈W⊆Mを満たすUの開集合Wとコンパクト部分集合M⊆Uをとる。UはXの開集合であるから、§E2.12 命題 5.16 (1)によりWはXの開集合である。また§E2.19 補題 2.7によりMはXのコンパクト部分集合である。ゆえにxはXでコンパクト近傍をもち、x∈Xlcである。▨
定理 1.6.Xを Hausdorff 空間とし、x∈Xは定義 1.1の意味でコンパクト近傍をもつとする。xを含む開集合O⊆Xに対して、開集合V⊆Xで
x∈V⊆V⊆Oを満たし、Vがコンパクトであるものが存在する。
証明. 仮定によりxのコンパクトな近傍Nが存在する。§E2.11 定義 6.1により、x∈G⊆Nを満たす開集合G⊆Xをとる。GをG∩Oに替えることにより、G⊆Oとしてよい。
§E2.19 命題 6.4によりNはXの閉集合である。§E2.15 定理 2.1 (3)によりNはコンパクト Hausdorff 空間であり、§E2.19 定理 6.11により正規である。F=N∖GはNの閉集合である。また、Hausdorff 空間は T1 であるから(§E2.15 定理 1.11 (4))、§E2.15 命題 1.5により{x}はNの閉集合である。
正規性により、Nにおける互いに交わらない開集合A,Bで、x∈AかつF⊆Bを満たすものが存在する。A⊆N∖B⊆Gであり、N∖BはNの閉集合なので、clN(A)⊆N∖B⊆Gである。AはNで開いているからA=H∩Nを満たす開集合H⊆Xが存在し、A⊆G⊆NよりA=H∩Gである。したがってAはXでも開いている。
NはXで閉じておりA⊆Nなので、§E2.12 命題 4.7によりA=clN(A)である。よって
x∈A⊆A⊆G⊆Oである。さらにclN(A)はコンパクト空間Nの閉部分集合なので、§E2.19 命題 4.1によりコンパクトである。V=Aとおけばよい。▨
系 1.7.Xを Hausdorff 空間とする。このとき以下が成り立つ:
- Xlcは部分空間として局所コンパクトである。
- Xlcは、Xの局所コンパクトな開部分空間のうち包含について最大のものである。
証明.(1)を示す。x∈Xlcをとる。命題 1.4 (1)によりXlcはXの開集合であるから、定理 1.6をO=Xlcへ適用すると、x∈V⊆V⊆Xlcを満たす開集合VでVがコンパクトであるものが存在する。§E2.12 命題 5.16 (1)によりVは部分空間Xlcの開集合であり、§E2.19 補題 2.7によりVはXlcのコンパクト部分集合である。ゆえにxはXlcの中でコンパクト近傍をもち、Xlcは局所コンパクトである。
(2)は命題 1.4 (2)よりただちに従う。▨
系 1.8.Xを局所コンパクト Hausdorff 空間とすると、Xの任意の開部分空間は局所コンパクト Hausdorff である。特に、コンパクト Hausdorff 空間の任意の開部分空間は局所コンパクト Hausdorff である。
証明.U⊆Xを開部分空間とし、x∈Uをとる。Xは局所コンパクトであるからxは定義 1.1の意味でコンパクト近傍をもち、定理 1.6をO=Uへ適用すると、x∈V⊆V⊆Uを満たすXの開集合VでVがコンパクトであるものが存在する。§E2.12 命題 5.16 (1)によりVは部分空間Uの開集合であり、§E2.19 補題 2.7によりVはUのコンパクト部分集合である。ゆえにxはUの中でコンパクト近傍をもち、xは任意であったから定義 1.2によりUは局所コンパクトである。§E2.15 定理 2.1 (3)によりUは Hausdorff である。
Xがコンパクト Hausdorff 空間ならば、各x∈XについてX自身がxを含む開集合かつコンパクト部分集合であるから、定義 1.2によりXは局所コンパクトである。したがって後半は前半から従う。▨
補題 1.9.Xを位相空間、cXをXのコンパクト化とする。このとき
intcX(X)=cX∖clcX(cX∖X)=Xlcが成り立つ。
証明.§E2.22 定義 1.1によりcXはコンパクト Hausdorff 空間であり、XがcXから受ける部分空間位相はもとの位相であり、clcX(X)=cXである。したがって§E2.11 定義 2.7によりXはcXで稠密である。
x∈Xlcとする。定義 1.1により、x∈U⊆Nを満たすXの開集合Uとコンパクト部分集合N⊆Xが存在する。§E2.19 補題 2.7によりNはcXのコンパクト部分集合であり、§E2.19 命題 6.4によりcXの閉集合である。§E2.12 定義 4.1によりV∩X=Uを満たすcXの開集合Vが存在する。XはcXで稠密でありVはcXの開集合であるから、§E2.11 命題 2.10によりV⊆clcX(V∩X)=clcX(U)である。U⊆NでありNはcXの閉集合であるから、§E2.11 命題 2.5 (1)によりclcX(U)⊆Nである。ゆえに
x∈U⊆V⊆clcX(U)⊆N⊆Xであり、VはXに含まれるcXの開集合であるから、§E2.11 命題 2.5 (1)によりx∈V⊆intcX(X)である。xは任意であったからXlc⊆intcX(X)である。
次にx∈intcX(X)とする。§E2.11 命題 2.5 (1)によりintcX(X)はXに含まれるcXの開集合である。cXはコンパクト Hausdorff 空間であるから§E2.19 命題 6.10により正則であり、§E2.15 補題 2.6により、x∈WかつclcX(W)⊆intcX(X)を満たすcXの開集合Wが存在する。clcX(W)はcXの閉集合でありcXはコンパクトであるから、§E2.19 命題 4.1によりclcX(W)はコンパクトである。clcX(W)⊆Xであるから、§E2.19 補題 2.7によりclcX(W)はXのコンパクト部分集合である。またW⊆XであるからW∩X=Wであり、§E2.12 定義 4.1によりWはXの開集合である。x∈W⊆clcX(W)であるから、定義 1.1によりx∈Xlcである。xは任意であったからintcX(X)⊆Xlcである。▨
系 1.10.Xを T3½ 空間とすると、次は同値である:
- Xは局所コンパクト空間である。
- βX∖X⊂βXは閉である。
- あるコンパクト化cXが存在して、cX∖X⊂cXは閉である。
- 任意のコンパクト化cXに対しcX∖X⊂cXは閉である。
系 1.11.Xを局所コンパクト Hausdorff 空間、cXをXのコンパクト化とする。このとき剰余cX∖Xはコンパクトである。
定理 1.12.X、Yを位相空間、f:X→Yを固有写像とする。このとき、次が成り立つ:
- Yが局所コンパクトならばXは局所コンパクトである。
- さらにX,Yが T3½ 空間であり、fが完全写像であるとき、Xが局所コンパクトならばYは局所コンパクトである。
証明.(1)を示す。x∈Xをとる。Yは局所コンパクトであるから、定義 1.1によりf(x)∈V⊆Nを満たすYの開集合Vとコンパクト部分集合Nが存在する。fは連続であるからf−1(V)はXの開集合であり、fは固有であるから§E2.20 定義 1.1によりf−1(N)はXのコンパクト部分集合である。x∈f−1(V)⊆f−1(N)であるからxはコンパクト近傍をもち、xは任意であったから定義 1.2によりXは局所コンパクトである。
(2)は系 1.10とβf(βX∖X)=βY∖Yからただちに従う。▨
系 1.13.Xを局所コンパクトな位相空間とする。
- A⊆XがXの閉集合であり、Aに部分空間位相を入れるならば、Aは局所コンパクトである。
- Kがコンパクトな位相空間ならば、積空間X×Kは局所コンパクトである。
証明.(1)を示す。§E2.20 命題 1.2 (3)により包含写像ιA:A→Xは固有であるから、定理 1.12 (1)をιAへ適用するとAは局所コンパクトである。
(2)を示す。§E2.20 命題 4.5により射影prX:X×K→Xは固有であるから、定理 1.12 (1)をprXへ適用するとX×Kは局所コンパクトである。▨
例 1.14. 通常の位相を入れたRの部分空間QについてQlc=∅である。q∈QがQでコンパクト近傍Nをもつと仮定する。§E2.11 定義 6.1と§E2.12 定義 4.1により、(q−ε,q+ε)∩Q⊆Nを満たす実数ε>0が存在する。包含写像は§E2.12 定理 4.4により連続であるから、§E2.19 定理 4.2によりNはRのコンパクト部分集合であり、§E2.9 定理 4.3によりRの閉集合である。
§D1.4 補題 2.3により、q<r<q+εを満たす無理数rをとると、rの任意の近傍は(q−ε,q+ε)∩Qと交わる。ゆえに§E2.11 命題 7.2 (2)によりrはNのRにおける閉包に属し、Nが閉集合であることからr∈N⊆Qとなる。これはrが無理数であることに反する。
一方、q∈Qに対して、部分空間{q}では{q}自身が開集合であり、§E2.19 例 2.3によりコンパクトであるから、定義 1.2により部分空間{q}は局所コンパクトである。Qlc=∅であるから{q}⊆Qlcは成り立たない。したがって命題 1.4 (2)の結論は、開集合であるという仮定を外すと成り立たず、系 1.7が述べる最大性も、Xの局所コンパクトな開部分空間のうちでの最大性であって、Xの局所コンパクトな部分空間のうちでの最大性ではない。
2 一点コンパクト化
定義 2.1 (一点コンパクト化位相).Xを非コンパクトな局所コンパクト Hausdorff 空間とする。αX=X∪{X}とおく。認知上の便宜のため、∞:=Xと置く。αXの部分集合の族を
OαX={U⊆X∣U は X で開いている}∪{αX∖K∣K⊆X はコンパクトである}によって定める。OαXが定める位相を 一点コンパクト化位相 (one-point compactification topology) と呼ぶ。
命題 2.2.Xを非コンパクトな局所コンパクト Hausdorff 空間とする。αXを定義 2.1で定めた集合とし、αX∖Xの唯一の点を∞とする。このとき、次が成り立つ:
- 定義 2.1で定めた族OαXはαXの位相を定める。以下、この位相によりαXを位相空間とみなす。
- 包含写像j:X↪αXは開埋め込みであり、その像は稠密である。以下、この開埋め込みによりX⊂αXとみなす。
- αXはコンパクト Hausdorff 空間であり、X⊂αXは稠密である。特に、αXはXのコンパクト化である。
- Xは T3½ 空間である。
証明.(1)を示す。∅はXの開集合としてOαXに属する。また、空集合はコンパクトであるから、αX=αX∖∅もOαXに属する。
{Uλ}λ∈Λ⊆OαXとする。∞∈/⋃λUλならば、各UλはXの開集合なので、⋃λUλもXの開集合である。∞∈⋃λUλならば、∞∈Uλ0を満たすλ0をとり、K0=αX∖Uλ0とおく。K0はXのコンパクト部分集合である。∞∈/UλならばUλ∩X=UλはXで開いている。∞∈UλならばUλ∩Xはコンパクト部分集合の補集合であり、§E2.19 命題 6.4によりXで開いている。したがって(⋃λUλ)∩XはXで開いている。集合
K=αX∖λ⋃Uλ=K0∖((λ⋃Uλ)∩X)はK0の閉部分集合なので、§E2.19 命題 4.1によりコンパクトである。よって⋃λUλ=αX∖KはOαXに属する。
U,V∈OαXとする。∞∈/U∪VならばU∩VはXの開集合である。∞が一方だけに属するとき、例えばU⊆XかつV=αX∖Kと書けば、U∩V=U∩(X∖K)はXの開集合である。∞∈U∩Vならば、U=αX∖K、V=αX∖Lを満たすコンパクト部分集合K,L⊆Xが存在する。§E2.19 補題 2.8によりK∪Lはコンパクトであり、
U∩V=αX∖(K∪L)はOαXに属する。以上により§E2.11 定義 1.1の位相公理が成り立つ。
(2)を示す。Xは第一の形の開集合であり、Xの任意の開集合もαXで開いている。一方、W∈OαXに対して、∞∈/WならばW∩X=WはXで開いている。∞∈WならばW∩X=X∖Kと書くことができ、KはXで閉じているので、この集合もXで開いている。したがってαXからXに入る部分空間位相はもとの位相に一致し、包含写像jは開埋め込みである。jの像が稠密であることは∞∈αXの任意の近傍がXと交わることからただちに従う。
(3)を示す。UをαXの開被覆とする。∞∈U∞を満たすU∞∈Uをとる。定義 2.1により、K=αX∖U∞はXのコンパクト部分集合である。族{U∩X∣U∈U}はKのXにおける開被覆なので、§E2.19 定義 2.1によりKを覆う有限個の要素U1∩X,…,Um∩Xが存在する。U∞,U1,…,UmはαXを覆う。よってαXはコンパクトである。
x,y∈Xかつx=yならば、Xの Hausdorff 性により、xとyを含む互いに交わらないXの開集合が存在する。これらはαXでも開いている。
x∈Xとする。局所コンパクト性により、xのコンパクトな近傍Nをとり、x∈V⊆Nを満たすXの開集合Vをとる。VはαXで開いており、αX∖Nも第二の形の開集合である。両者は互いに交わらず、それぞれxと∞を含む。したがってαXは Hausdorff である。
(4)は(3)と§E2.18 定理 3.1よりただちに従う。▨
定理 2.3 (局所コンパクト Hausdorff 版の Urysohn の補題).Xを局所コンパクト Hausdorff 空間とし、K⊆Xをコンパクト部分集合、U⊆XをK⊆Uを満たす開部分集合とする。このとき、すべてのx∈Kについてf(x)=1、すべてのx∈X∖Uについてf(x)=0を満たす連続写像f:X→[0,1]が存在する。
例 2.5. 端点を除去した Tychonoff の板(ω+1)×(ω1+1)∖{(ω,ω1)}は系 1.8より局所コンパクト Hausdorff 空間であるが、正規空間でない。
系 2.6. 位相空間Xの一点コンパクト化Yがあり、Y∖X={ω}であるとする。このときXは非コンパクトな局所コンパクト Hausdorff 空間である。
定理 2.7.Xを非コンパクトな局所コンパクト Hausdorff 空間とし、YをXの一点コンパクト化とする。Y∖X={ω}と書く。このとき、各x∈Xに対してh(x)=xを満たす同相写像h:αX→Yがただ一つ存在する。
証明.h(x)=x(x∈X)、h(∞)=ωと定める。Y=X∪{ω}であるからhは全単射である。また、X上で恒等写像に一致する全単射は、残る点∞を残る点ωへ写すので一意である。
O⊆Yを開集合とする。ω∈/OならばO⊆Xであり、YからXに入る部分空間位相によってOはXの開集合である。したがってh−1(O)=Oは定義 2.1で定めた第一の形の開集合である。
ω∈Oならば、K=Y∖Oはコンパクト空間Yの閉部分集合なのでコンパクトであり、K⊆Xである。KにXから入る部分空間位相とYから入る部分空間位相は一致するので、KはXのコンパクト部分集合でもある。よって
h−1(O)=αX∖Kは第二の形の開集合である。したがってhは連続である。命題 2.2 (3)によりαXはコンパクトであり、Yは Hausdorff である。§E2.19 定理 6.8をhに適用すると、hは同相写像である。▨
命題 2.9.X、Zを非コンパクトな局所コンパクト Hausdorff 空間とし、f:X→Zを連続写像とする。写像
f:αX⟶αZ,f(x)=f(x) (x∈X),f(∞)=∞が連続であることと、Zの任意のコンパクト部分集合Kに対してf−1(K)がXのコンパクト部分集合であることとは同値である。
証明は演習とする(問題 6.2)。
3 コンパクト化の最小元と完備束
命題 3.1.Xを非コンパクトな局所コンパクト Hausdorff 空間とする。このとき、Xのコンパクト化の同相類のなす順序集合において[αX]は最小元である。より具体的には、Xの任意のコンパクト化cXに対して、すべてのx∈Xを固定する完全写像p:cX→αXがただ一つ存在する。
証明.cXをXのコンパクト化とする。命題 2.2 (3)によりαXもXのコンパクト化であり、命題 2.2 (4)によりXは T3½ 空間である。さらに補題 1.9によりintcX(X)=Xであり、XはcXの開集合である。写像p:cX→αXを
p(x)=x(x∈X),p(y)=∞(y∈cX∖X)によって定める。
O⊆αXを開集合とする。∞∈/OならばOはXの開集合であり、XはcXの開集合であるから、p−1(O)=OはcXの開集合である。∞∈Oならば、定義 2.1によりK=αX∖OはXのコンパクト部分集合であり、cXのコンパクト部分集合でもある。cXは Hausdorff であるから§E2.19 命題 6.4によりKはcXの閉集合である。したがって
p−1(O)=cX∖KはcXの開集合である。ゆえにpは連続であり、cX≥αXである。cXは任意であったから[αX]は最小元である。比較写像の一意性と完全性は§E2.22 命題 6.2より従う。▨
系 3.2.Xを局所コンパクト Hausdorff 空間とし、Xのコンパクト化の同相類のなす順序集合をC(X)と書く。このときC(X)は完備束である。任意のA⊆C(X)に対して
⋀A=⋁{[dX]∈C(X)すべての [cX]∈A について [cX]≥[dX]}が成り立つ。Xが非コンパクトならば
⋁∅=[αX],⋀∅=[βX]であり、Xがコンパクトならば
C(X)={[X]},⋁∅=⋀∅=[X]である。
証明.Xがコンパクトであるとする。§E2.22 命題 1.2によりXの任意のコンパクト化はXに等しいから、C(X)={[X]}である。したがってC(X)は完備束であり、表示した下限の式と空集合の上限および下限の式が成り立つ。
Xが非コンパクトであるとする。§E2.22 注意 6.6と§E2.22 命題 6.3によりC(X)は半順序集合である。命題 3.1により[αX]はその最小元であり、§E2.22 系 6.7により[βX]はその最大元である。A⊆C(X)とする。A=∅ならば、§E1.8 命題 2.6 (2)により⋁A=[αX]である。A=∅ならば、§E2.22 定理 6.8により⋁Aが存在する。したがってC(X)のすべての部分集合に上限が存在し、§E1.9 命題 3.3によりC(X)は完備束であり、任意のA⊆C(X)に対して表示した下限の式が成り立つ。さらに§E1.8 命題 2.6 (2)により⋀∅=[βX]である。▨
4 局所コンパクト距離空間上の距離の修正
命題 4.1.Zを Hausdorff 空間とし、X⊆ZをZで稠密な部分集合とする。XにZからの部分空間位相を入れたときXが局所コンパクトならば、XはZの開集合である。
証明.x∈Xをとる。定義 1.2により、x∈U⊆Nを満たすXの開集合Uとコンパクト部分集合N⊆Xが存在する。§E2.12 定義 4.1により、U=V∩Xを満たすZの開集合Vが存在する。
N⊆X⊆Zであるから、§E2.19 補題 2.7によりNはZのコンパクト部分集合である。Zは Hausdorff であるから、§E2.19 命題 6.4によりNはZの閉集合である。
XはZで稠密でありVはZの開集合であるから、§E2.11 命題 2.10によりV⊆clZ(V∩X)である。V∩X=UであるからV⊆clZ(U)である。
U⊆NでありNはZの閉集合であるから、§E2.11 命題 2.5 (1)によりclZ(U)⊆Nである。したがって
x∈V⊆clZ(U)⊆N⊆Xであり、VはZの開集合である。xはXの任意の点であったから、§E2.11 補題 2.6によりXはZの開集合である。▨
命題 4.2.Zを Hausdorff 空間とし、X⊆Zに部分空間位相を入れる。Xが局所コンパクトならば、X=W∩clZ(X)を満たすZの開集合Wが存在する。
証明は演習とする(問題 6.3)。
定理 4.3.(X,d)を距離空間とし、Xにはdが生じる位相を入れる。Xが局所コンパクトならば、(X,d)は完備距離化可能である。
証明.§E2.6 定理 2.6により(X,d)の完備化(X,d,ι)をとる。§E2.6 定義 1.4により(X,d)は完備距離空間、ι:X→Xは等長写像であり、Y=ι(X)はXで稠密である。Yにはdの制限距離dYを入れる。§E2.6 命題 1.2によりιは単射であるから、終域をYへ制限した写像は(X,d)から(Y,dY)への等長全単射である。以下ではこの写像もιと書く。ιの逆写像も等長写像であるから、§E2.6 命題 1.2によりιとι−1はともに連続であり、§E2.12 定義 6.1によりιは同相写像である。§E2.12 命題 4.8により、dYが生じるYの位相はXからの部分空間位相に一致する。
y∈Yをとり、x=ι−1(y)とおく。Xの局所コンパクト性と定義 1.2により、x∈U⊆Nを満たすXの開集合Uとコンパクト部分集合N⊆Xが存在する。ιは同相写像であるから、§E2.12 命題 6.3によりι(U)はYの開集合であり、§E2.19 定理 4.2によりι(N)はYのコンパクト部分集合である。y∈ι(U)⊆ι(N)であるから、定義 1.2の条件はYの各点で満たされる。したがってYはXの部分空間として局所コンパクトである。
(X,d)は距離空間であるから、§E2.15 定理 3.2によりXは Hausdorff である。YはXで稠密であり部分空間として局所コンパクトであるから、命題 4.1によりYはXの開集合である。§E2.10 系 5.4を完備距離空間(X,d)とその開部分集合Yへ適用すると(Y,dY)は完備距離化可能であり、§E2.10 定義 1.8により、dYと同値であって(Y,e′)を完備にするYの上の距離e′が存在する。
e′はdYと同値であるから、§E2.10 定義 1.1によりe′が定めるYの開集合の全体はdYが定めるものと一致し、e′はYの位相を定める。ιとι−1はともに連続な全単射であるから、§E2.12 定義 6.1によりι−1:Y→Xも同相写像である。§E2.12 命題 6.7を同相写像ι−1とYの位相を定める距離e′に適用する。(ι−1)−1=ιであるから、x,x′∈Xに対してe(x,x′)=e′(ι(x),ι(x′))によって定まるeはXの上の距離であり、eが定める位相はXの位相に一致する。Xの位相はdが定めるものであるから、§E2.10 定義 1.1によりeはdと同値である。
(xn)を(X,e)の Cauchy 列とすると、eの定め方により(ι(xn))は(Y,e′)の Cauchy 列である。(Y,e′)は完備であるから、(ι(xn))はYのある点yへ収束する。e(xn,ι−1(y))=e′(ι(xn),y)であり右辺は0に収束するから、(xn)は(X,e)においてι−1(y)へ収束する。したがって(X,e)は完備であり、§E2.10 定義 1.8により(X,d)は完備距離化可能である。▨
5 例
例 5.1. 次の空間は局所コンパクトである。
- コンパクト空間では、空間全体が各点のコンパクトな近傍である。
- 離散空間では、各一点集合がコンパクトな開近傍である。したがって離散空間は局所コンパクト Hausdorff である(§E2.19 例 2.9、§E2.15 例 5.1)。
- Euclid 空間Rnは局所コンパクト Hausdorff である。Euclid 距離から生じる位相は Hausdorff である(§E2.15 定理 3.2)。各x∈Rnとr>0に対して閉球B(x,r)はxの近傍であり、§E2.2 補題 2.5により閉集合であり、有界であるから、§E2.9 定理 4.3によりコンパクトである。
定理 5.2.§E2.17 注意 4.1で定める順序数空間ω+1、ω1、ω1+1は、いずれも局所コンパクトである。
証明.ω+1とω1+1は§E2.19 定理 7.2によりコンパクトであるから、空間全体が各点のコンパクトな近傍であり、定義 1.2により局所コンパクトである。
x∈ω1とする。[0,x]はω1の始切片であるから凸であり、§E2.17 補題 3.14により、ω1から[0,x]に入る部分空間位相は[0,x]の順序位相に一致する。したがって§E2.19 補題 7.1により[0,x]はω1のコンパクト部分集合である。順序数ω1は無限基数であるから、§E1.22 補題 3.1によりx+1<ω1であり、[0,x]=[0,x+1)はω1の開集合である。よって[0,x]はxのコンパクトな近傍であり、定義 1.2の条件はω1の各点で満たされる。▨
例 5.3.Z≥0に離散位相を入れる。例 5.1により、この空間は局所コンパクト Hausdorff である。また、無限離散空間はコンパクトでない(§E2.19 例 2.9)。したがって命題 2.2 (3)により一点コンパクト化αZ≥0が存在する。
離散空間のコンパクト部分集合は有限集合である。実際、無限部分集合をその一点集合の族で覆うと有限部分被覆をもたない。したがって∞の開近傍は
{∞}∪(Z≥0∖F)(Fは有限集合)の形である。任意の有限集合Fに対して、十分大きいnはFに属さない。したがって点列0,1,2,…はαZ≥0で∞へ収束する。
定理 5.4.§E2.17 注意 4.1で定める順序数空間について、ω1+1はω1の一点コンパクト化であり、添加点は順序数ω1である。
証明.§E2.17 注意 4.1により、ω1+1からω1に入る部分空間位相はω1の順序位相に一致する。§E2.19 定理 7.2、§E2.17 系 4.4、定理 5.2により、ω1+1はコンパクト Hausdorff、ω1は局所コンパクト Hausdorff かつ非コンパクトであり、(ω1+1)∖ω1={ω1}である。§E2.22 例 7.2 (2)によりω1+1はω1のコンパクト化であるから、§E2.22 定義 1.1によりω1はω1+1で稠密である。
C⊆ω1をコンパクトとする。包含写像の制限は§E2.12 定理 4.4により連続なので、§E2.19 定理 4.2と§E2.19 命題 6.4からCはω1+1で閉じる。さらにω1∈/Cであるから、(ω1+1)∖Cは添加点ω1の開近傍である。逆にUを点ω1の近傍とする。§E2.11 定義 6.1により、ω1∈O⊆Uを満たすω1+1の開集合Oが存在する。(ω1+1)∖Oはコンパクト空間ω1+1の閉部分集合なので§E2.19 命題 4.1によりコンパクトであり、ω1∈/(ω1+1)∖Oから(ω1+1)∖O⊆ω1である。したがってO=(ω1+1)∖((ω1+1)∖O)はUに含まれる、ω1のコンパクト部分集合の補集合の形をした開近傍である。この形の開近傍は点ω1の近傍基をなし、一点コンパクト化位相を与える。▨
6 演習
問題 6.1.Yをコンパクト Hausdorff 空間、p∈Yを孤立点でない点とし、X=Y∖{p}に部分空間位相を入れる。YがXの一点コンパクト化であることを証明せよ。さらに、系 2.6を用いて、Xが非コンパクトな局所コンパクト Hausdorff 空間であることを導け。
解答.
§E2.15 定理 1.11 (4)と§E2.15 命題 1.5により{p}はYの閉集合であり、XはYの開部分空間である。pは孤立点でないので、pを含む任意の開集合はXと交わる。§E2.11 命題 7.2によりp∈clY(X)であり、X⊆clY(X)と合わせてclY(X)=Yを得る。
Yはコンパクト Hausdorff であり、Y∖X={p}であるから、§E2.22 定義 1.1によりYはXの一点コンパクト化である。系 2.6により、Xは非コンパクトな局所コンパクト Hausdorff 空間である。▨
解答.
Zの任意のコンパクト部分集合Kに対してf−1(K)がコンパクトであると仮定する。O⊆αZを開集合とする。∞∈/Oならば、OはZの開集合であり、f−1(O)=f−1(O)はXの開集合である。したがって、この逆像は定義 2.1で定めた第一の形である。∞∈Oならば、K=αZ∖OはZのコンパクト部分集合である。仮定によりf−1(K)はXのコンパクト部分集合であり、
f−1(O)=αX∖f−1(K)は第二の形である。よってfは連続である。
逆にfが連続であるとし、K⊆Zをコンパクトとする。O=αZ∖KはαZの開集合であり、∞∈Oである。連続性により
f−1(O)=αX∖f−1(K)はαXの開集合であり、∞を含む。定義 2.1で定めた第二の形から、f−1(K)はXのコンパクト部分集合である。▨
解答.
C=clZ(X)とおき、CにはZからの部分空間位相を入れる。§E2.15 定理 2.1 (3)によりCは Hausdorff である。
X⊆C⊆Zであるから、§E2.12 系 4.5により、XがCから受ける部分空間位相はXがZから受ける部分空間位相に一致する。したがってXはCの部分空間として局所コンパクトである。また§E2.12 命題 4.7によりclC(X)=clZ(X)∩C=Cであるから、XはCで稠密である。
命題 4.1を Hausdorff 空間Cとその稠密な部分集合Xへ適用すると、XはCの開集合である。§E2.12 定義 4.1により、X=W∩Cを満たすZの開集合Wが存在する。▨
解答.
系 1.10によりXはcXの開集合であるから、cX∖XはcXの閉集合である。§E2.22 定義 1.1によりcXはコンパクトであるから、§E2.19 命題 4.1によりcX∖Xはコンパクトである。▨