概要
本単元は、読者が高等学校までに計算の規則として扱ってきた微分積分を、定義から証明することができるようにすることを目的とします。そのため本単元は、まず量化子が入れ子になった文を読み、否定し、その否定文から反例を作る手順を定めます。続いて、上に有界で空でない実数の集合が上限をもつことだけを認め、数列の収束、関数の極限と連続性、微分、リーマン積分、級数の収束を定義して、定義だけを根拠として定理を証明します。最後に関数列が一様に収束する場合を扱い、極限、微分、積分の順序を入れ替えてよい条件を定めます。
本単元で読者が習得するのは、個々の定理よりも、定義に忠実に議論を組み立てる手順です。をどのように取るか、量化子がどの順序で並んでいるか、どの仮定をどこで用いたかを追う書き方は、位相空間、測度と積分、関数解析など、後続する解析系の多くの単元が前提とします。本単元は、計算を中心とする数学から、定義と証明を中心とする数学への移行が完了する場にあたります。
この単元のねらい
本単元は、読者が次に掲げる能力を習得することを目標とします。
- 量化子が入れ子になった文を、任意に与えられる量と、その量に応じて構成する量とに分けて読み、その否定を作ることができます。
- 否定文が反例の満たすべき条件を与えることを用いて、定理の仮定を一つ外したときの反例を構成することができます。
- 上に有界で空でない実数の集合が上限をもつことだけを根拠として、数列の収束に関する定理を証明することができます。
- 与えられたに対して番号または正の数を具体的に構成し、その選び方で十分である理由を示すことができます。
- 単調収束定理、ボルツァーノ・ワイエルシュトラスの定理、有界閉区間の被覆性、コーシー列の収束が、いずれも実数の連続性から導かれることを説明することができます。
- 関数の極限と連続性を ε-δ によって定義し、連続であることと一様連続であることを、量化子の順序によって区別することができます。
- 中間値の定理、最大値・最小値の定理、平均値の定理、テイラーの定理を、仮定を明示して証明し、適用することができます。
- 上限和と下限和によって定積分を定義し、可積分となる条件と微積分学の基本定理を証明することができます。
- 広義積分と級数の収束を判定し、絶対収束と条件収束を区別することができます。
- 関数列が各点で収束することと一様に収束することを区別し、極限、微分、積分の順序を入れ替えてよい条件を述べることができます。
- べき級数の収束半径を係数から求め、項ごとの微分と積分が許される範囲を示すことができます。
前提知識
本単元は、「微積分」で扱う極限、微分、積分の計算、およびテイラー展開を用います。本単元が問うのは、その計算がなぜ正しいのかということです。計算そのものに慣れていない読者は、議論の対象を見失いやすいので、同単元の基礎の記事を先に読んでから本単元へ進みます。
また本単元は、「集合と論理」で扱う命題、条件、量化子を含む命題の否定、背理法、対偶による証明、数学的帰納法を、証明の記述にそのまま用います。ε-N と ε-δ による定義は、量化子が三つ以上入れ子になった条件文です。同単元の発展・応用の記事を先に読んでいると、定義を展開する手順を追いやすくなりますが、本単元は量化子の読み書きを冒頭の記事で改めて定めるので、これを前提としません。
「数列と極限」で数列の極限と無限級数を計算として扱った経験は、本単元が挙げる例の理解を助けます。ただし収束の定義は本単元で改めて与えるので、前提としません。「関数の性質」で指数関数と対数関数を有理数乗まで扱った経験は、実数乗への拡張が意味をもつことを確かめる場面で用います。
この単元を貫く4つの方針
本単元の各記事は、次の4点を共通の方針とします。
- 定義に戻って書き下します。 示すべき主張を、定義に現れる量化子と不等式のままに書き出します。書き出した時点で、何が任意に与えられ、何を自分で構成しなければならないかが定まります。
- 量化子の順序と依存関係を保ちます。 「任意のに対してあるが存在する」という文において、がに依存してよいかどうかは、量化子の順序が定めます。収束と一様収束の違い、連続と一様連続の違いは、いずれもこの順序の違いに帰着します。
- 評価に用いる不等式を構成します。 極限についての証明は、を上から押さえる不等式を作る作業です。不等式は等式より粗くてよく、与えられたより小さくすることができれば足ります。どこまで粗くしてよいかを見極めることが、この作業の中心です。
- 仮定をどこで用いるのかを示します。 各定理について、仮定を一つ外すと結論が成り立たなくなる例を挙げます。区間が閉じているかどうか、有界であるかどうか、連続であるか一様連続であるか、各点で収束するか一様に収束するかの違いが結論を変える場面を、反例によって確かめます。
学習の順序と各記事の内容
読者は、必修の記事を並んでいる順に読みます。本単元が前の記事で証明した事柄を、後の記事の証明でそのまま用いるためです。展望の記事は必修ではなく、読者は関心に応じて選んで読むことができます。展望のどの記事も、必修の証明には用いません。
必修
必修の記事は、定義の文を読み書きする手順から始まり、実数の連続性と数列の収束、関数の極限と連続性と微分、積分と級数と関数列の順に進みます。各記事が扱う内容と、前の記事との関係は、次のとおりです。
まず、定義の文そのものの読み書きを扱います。高等学校までの数学ではほとんど要求されなかった作業であり、ここで定める手順は、以降のすべての証明で繰り返し用います。
- ε-δ 型の文の読み方、否定、反例の構成 — 本単元がこの後で与えるすべての定義は、量化子が入れ子になった文です。この形の文を、任意に与えられる量と、その量に応じて構成する量とに分けて読む手順を、最初に定めます。あわせて、全称と存在を入れ替えて最も内側の不等式を否定するという手順によって否定文を作り、その否定文が反例の満たすべき条件をそのまま与えることを確かめます。「集合と論理」で扱う量化子の否定を、解析の定義文に対して用いる記事です。
- 一意存在の証明 — 本単元は、上限、数列の極限、逆関数について、「ただ一つ存在する」という形の主張を繰り返し扱います。存在することの証明と、条件を満たす対象が二つあれば一致するという証明とが別の作業であることを、ここで確定します。以後の記事では、この二つの作業のどちらを行っているのかをそのつど明示します。
- well-defined 性の確認 — 定義の途中で何かを選んで対象を定めた場合、選び方を変えても同じ対象が得られることを確かめなければ、その定義は対象を定めません。有理数乗の値が指数の分数表示によらないことを例にとります。同じ確認は、実数乗を有理数の列の極限として定めるところで再び必要になり、そこでは後の記事で与える数列の収束の定義を用います。
続いて、実数の連続性を認めるところから始め、数列の収束についての定理を導きます。以降の議論は、すべてこの段階の結果に依ります。
- 実数の連続性 — 本単元は、上に有界で空でない実数の集合が上限をもつことだけを、証明せずに認めます。以後の定理は、この一つの性質から導きます。上限と最大値が一致しない例を挙げ、下に有界な集合については下限が同じ役割を果たすことを示します。あわせて、有理数の全体では上限の存在が成り立たないことを確かめ、実数と有理数の違いがどこにあるのかを定めます。
- ε-N による数列の収束 — 「近づく」という言い方を、任意に与えられたに対して番号を構成するという形の定義へ置き換えます。「数列と極限」で計算として扱った極限が、ここで定義をもちます。定義の否定は最初の記事で定めた手順によって作り、正の無限大へ発散する場合と、有界のまま収束しない場合とを区別します。
- 極限の性質の証明 — 和、差、積、商の極限に関する法則を、収束の定義だけを用いて証明します。高等学校で計算の規則として用いた等式が、ここでは定理になります。誤差の範囲を二つに分けて各項を評価する手順は、以降の証明で繰り返し用います。
- 単調収束定理 — 実数の連続性を実際に用いる最初の定理です。上に有界な単調増加数列が、その項の全体がなす集合の上限へ収束することを証明します。証明が上限の存在だけを用いることを示し、上に有界であるという仮定を外すと結論が成り立たなくなることを例で確かめます。
- ボルツァーノ・ワイエルシュトラスの定理 — 単調収束定理を、単調とは限らない数列へ広げます。有界な数列から収束する部分列を取り出す手続きを、区間を半分ずつ狭める方法と、単調な部分列を取り出す方法の二通りで与えます。あわせてここで定める上極限と下極限は、後の級数の収束判定と収束半径の決定で用います。
- 有界閉区間の被覆性 — ここまで数列の側から述べてきた有界閉区間の性質を、区間を覆う開区間の族の側から述べ直します。どのように覆っても有限個で覆うことができることを証明し、区間が閉じていない場合と有界でない場合には成り立たない例を挙げます。無限個の開区間から有限個を選び出すこの手続きは、後の一様連続性の証明でそのまま用います。一般の空間についてのコンパクト性は「位相空間論 I」が扱います。
- コーシー列と実数の完備性 — 極限の値を先に求めずに収束を判定する方法を与えます。実数の数列についてコーシー列であることと収束することが同値であることを証明し、この証明もまた実数の連続性から始まることを示します。有理数の数列では同じ同値が成り立たない例を挙げ、実数の全体が何を満たしているのかをもう一度確かめます。
次に、対象を数列から関数へ移し、連続であることと微分可能であることから何が導かれるのかを扱います。区間が有界で閉じているという仮定をどこで用いるのかが、この段階の中心です。
- ε-δ による関数の極限と連続性 — 定義の形は ε-N と同じで、番号の代わりに正の数を構成します。片側からの極限も同じ形式で定めます。数列を用いた特徴づけと同値であることを証明するので、数列について証明した事柄を関数へ移すことができます。あわせて、値を定め直せば連続になる点と、左右の極限が異なるために定め直しても連続にならない点とを区別します。
- 中間値の定理 — 有界閉区間で連続な関数についての最初の定理です。両端での値のあいだにあるすべての値をとることを、区間を半分ずつ狭める方法と上限を用いる方法の二通りで証明し、どちらも実数の連続性に帰着することを確かめます。あわせて、方程式に解が存在することを示す議論へ適用します。
- 最大値・最小値の定理 — 中間値の定理と同じ仮定から、関数が有界であることと、最大値と最小値をとる点が区間の中に存在することを導きます。証明にはボルツァーノ・ワイエルシュトラスの定理を用います。区間が閉じていない場合と有界でない場合には結論が成り立たないことを、それぞれ反例で確かめます。
- 微分の定義と平均値の定理 — 微分係数を極限として定義します。関数の極限の定義がすでにあるので、微分可能であれば連続であることは定義から導かれ、連続であっても微分可能とは限らないことは例によって示します。ロルの定理から平均値の定理を導き、その証明で最大値・最小値の定理を用います。あわせて、導関数の符号から増減を定め、閉区間での連続性と開区間での微分可能性のどちらを外しても結論が成り立たなくなることを確かめます。
- 一様連続性 — 連続であることの定義においてが点ごとに変わってよいことを、量化子の順序として取り出します。有界閉区間で連続な関数が一様連続であることの証明では、被覆性の記事で用意した、開区間の族から有限個を選ぶ手続きを用います。開区間では成り立たない例も扱います。この定理は、後の可積分条件で連続な関数が可積分であることを示すときに用います。
- テイラーの定理と剰余項の評価 — 平均値の定理を、二階以上の導関数を用いる形へ広げます。「微積分」で近似の式として扱ったテイラー展開に、ここで誤差の評価が加わります。ラグランジュの形の剰余項によって誤差を評価し、項の数を増やしても剰余項が 0 へ収束しない関数を挙げて、もとの関数がテイラー級数と一致するとは限らないことを示します。
最後に、面積を上限和と下限和によって定義し直し、積分、級数、関数列へ進みます。極限と積分、および極限と微分の順序をいつ入れ替えてよいのかが、この段階の中心です。
- リーマン積分の定義 — 区間の分割、上限和と下限和、上積分と下積分によってリーマン積分を定義します。上積分と下積分をそれぞれ下限と上限として定めるので、ここでも実数の連続性を用います。分割を細かくすると上限和は増加せず下限和は減少しないことを示し、どの分割についても下積分が上積分を超えないことを証明します。
- 可積分条件 — 上積分と下積分が一致することを可積分であることの定義とし、有界閉区間で連続な関数と単調な関数がこの条件を満たすことを証明します。連続な場合の証明には一様連続性を用います。あわせて、有理数の点と無理数の点で値が異なる関数について、どの分割でも両者が一致しない理由を確かめます。
- 微積分学の基本定理 — 本単元は微分と積分をそれぞれ独立に定義したので、両者が互いに逆の操作であることは、ここで証明すべき定理になります。変数を上端とする定積分を微分するともとの関数に一致することを証明し、定積分が原始関数の差に等しいことを導きます。「微積分」で計算の規則として用いた等式は、この記事で定義から正当化されます。
- 広義積分 — 積分区間が非有界である場合と、被積分関数が区間の端で非有界である場合の積分を、極限として定義します。定義がリーマン積分と数列の極限の両方に依るので、その二つを定めた後に扱います。値の分かっている積分との比較によって収束と発散を判定し、絶対値の積分が収束すればもとの積分も収束することを示します。
- 級数の収束判定 — 部分和の数列の極限として級数の和を定義し、比較、比、累乗根、積分との比較、および交代級数についての判定法を証明します。「受験微積分」で和を積分によって挟んだ不等式は、ここでは級数の収束を判定する方法として述べ直します。あわせて絶対収束と条件収束を区別し、条件収束する級数では項の順序を適当に入れ替えて和を任意の実数にすることができることを示します。
- 関数列の一様収束 — 関数列が各点で収束することと一様に収束することを、量化子の位置によって区別します。この区別は、連続であることと一様連続であることの区別と同じ形をしています。証明する定理は三つです。連続関数の列が一様に収束すれば極限の関数も連続であること、有界閉区間の上では極限と積分の順序を入れ替えてよいこと、および導関数の列が一様に収束すれば項ごとに微分してよいことです。各項を上から押さえる数列の級数による判定法も扱います。1変数の関数について極限、微分、積分の順序を入れ替えてよい条件は、本単元がこの記事で定めます。
- べき級数と収束半径 — 級数の収束判定と一様収束の両方を用います。べき級数が収束する範囲を、係数から定まる収束半径によって定めます。収束半径が定める開区間に含まれる有界閉区間で一様に収束することを示すと、この開区間で項ごとに微分および積分することができることが、前の記事の定理から従います。複素数の範囲での展開は「複素解析」が扱います。
- 初等関数の厳密な定義 — 指数関数と正弦・余弦を実数上で収束するべき級数として定義し、項別微分と級数の積から微分公式と加法定理を証明します。対数関数と逆三角関数を適切な区間上の逆関数として定め、実数乗の連続な延長と既習の計算規則を正当化します。また、べき級数で定めた指数関数が「指数関数と対数関数」で実数乗として定めた指数関数と一致することを示します。正の数について、がのときに近づく値の存在と、その値がになるの存在および一意性を証明します。
展望
展望の記事は、必修で認めた出発点を有理数からさかのぼるもの、必修で証明した定理を用いて具体的な値と大きさを求めるもの、および必修で定義したリーマン積分では扱うことのできない例を挙げるものに分かれます。いずれも必修の証明には用いないので、読者は必修を読み終えた後に、関心に応じて選んで読むことができます。
- 実数の構成 — 必修では出発点として認めた実数の連続性が、有理数の全体からどのように得られるのかを述べます。デデキントの切断による構成と、有理数のコーシー列による構成の二つを挙げ、どちらでも順序と四則演算が定まり、上限の存在が定理になることを示します。必修のどの証明も、この二つの構成のいずれにも依存しません。
- パラメータを用いた広義積分の計算 — 必修の広義積分と一様収束を用いて、被積分関数にパラメータを含む積分の値を求めます。広義積分がパラメータについて一様に収束するための判定法を示し、その条件のもとで微分と積分、および二つの積分の順序を入れ替えてよいことを証明します。ガウス積分と、をで割った関数の広義積分を例にとります。
- スターリングの公式 — 階乗の対数を和と積分の比較によって評価し、がの定数倍に近づくことを示します。その定数がであることは、ウォリスの公式によって決めます。「受験微積分」の「和と積分の比較」が委ねた階乗の精密な近似を、本単元はこの記事で扱い、証明を本単元の中で完結させます。ガンマ関数による導出と、より細かい漸近展開は「複素解析」が扱います。
- リーマン積分の限界 — 各点で収束するのに積分と極限を入れ替えることができない関数列と、可積分な関数の列の極限として現れる可積分でない関数の例を挙げます。必修の「関数列の一様収束」では、一様に収束することを仮定して順序の交換を許しました。この記事では、仮定を各点での収束まで弱めたときに何が起こるのかを示します。測度を用いて積分を定義し直すとこの二つの例がどのように扱われるのかを述べ、その理論そのものは「測度と積分」が扱います。
学習到達点の確認方法
本単元は、計算の正確さではなく、読者が証明を自分で構成することができるかどうかを確かめます。記事ごとに確かめる内容は、次のとおりです。
- 読者が、示すべき主張を定義に従って書き下すことができるかを確かめます。何が任意に与えられ、何を自分で構成しなければならないかを分けて述べることができるかも、あわせて確かめます。
- 読者が、評価に用いる不等式を自分で構成することができるかを確かめます。に対するやを具体的に与え、その選び方で十分である理由を示すことができるかも、あわせて確かめます。
- 読者が、定理の仮定を一つ外したときの反例を構成することができるかを確かめます。仮定は、区間が閉じている、区間が有界である、関数が連続である、関数列が一様に収束する、の四つです。証明のどこでどの仮定を用いたのかを読者が特定することができるかも、あわせて確かめます。
本単元は、演習に、証明を再現する問題、方針から証明を補う問題、反例を構成する問題を用います。証明を伴う解答については、仮定、量化子の順序、評価の各段階、および仮定を用いた箇所を評価の対象とします。数値例やグラフによる観察は、予想を立てる手段としては評価しますが、証明とは区別して扱います。
前後の単元との関係
- 微積分 — 同単元は、極限、微分、積分の計算を扱います。本単元は、その計算が成り立つ理由を定義から示します。同単元が計算の規則として用いる微積分学の基本定理は、本単元が証明します。また、同単元の不動点反復で扱う反復列の収束は、本単元の数列の収束の定義によって述べ直されます。
- 集合と論理 — 同単元は、量化子を含む命題とその否定、背理法と対偶による証明、数学的帰納法を扱います。本単元は、それらを ε-δ 型の文の読み書きと反例の構成に用います。
- 数列と極限 — 同単元は、数列と無限級数の極限を計算として扱い、はさみうちによる評価を導入します。本単元は、同単元の「近づく」という表現を ε-N による定義へ置き換えます。
- 受験微積分 — 同単元は、単調な関数について和を積分で挟む不等式を作り、階乗の対数と調和級数の大きさを評価します。本単元は、その比較を級数の収束を判定する方法として述べ直し、同単元が委ねた階乗の精密な近似を展望の「スターリングの公式」で扱います。
- 実解析 II — 同単元は、本単元が1変数について確立する議論を多変数へ広げ、偏微分、全微分、重積分、および陰関数定理を扱います。
- 位相空間論 I — 同単元は、本単元の収束と連続性を、距離空間および位相空間に対して定義し直します。本単元が有界閉区間について証明する被覆性は、同単元でコンパクト性として一般の空間に対して定義され、中間値の定理は連結性の帰結として整理されます。
- 測度と積分 — 同単元は、リーマン積分では扱うことのできない関数と、各点で収束するだけの関数列についての極限と積分の交換を、ルベーグ積分によって扱います。
- 複素解析 — 同単元は、本単元の微分と積分を複素数値関数へ広げ、べき級数による展開を複素数の範囲で扱います。正則性という強い条件のもとでは、実数値関数とは異なる結論が得られます。
- 関数解析入門 — 同単元は、本単元の完備性と一様収束を距離空間および線形空間の性質として扱い、バナッハ空間とヒルベルト空間の理論へ進みます。
大学課程における位置づけ
本単元は、日本の大学の理工系学部において「微分積分学」「解析学I」などの名称で開講される科目のうち、計算の技法ではなく理論的な基礎づけを扱う部分に対応します。英語圏では Real Analysis または Advanced Calculus と呼ばれる科目に対応します。多くの大学は、高等学校の微分積分に相当する Calculus と、本単元に対応する Real Analysis とを別の科目として置きます。