1 二つの収束
二つの定義の違いは、∃Nと∀xの順序だけです。各点収束ではxが先に与えられるので、Nはxに依存してよく、点ごとに別のNを取ることができます。一様収束ではNを先に一つ決めるので、そのNは区間のすべての点で通用しなければなりません。連続であることと一様連続であることの違い(§D1.15 定義 1.1)がδの依存先の違いであったのと、同じ形です。
一様収束すれば各点収束することは、定義から直ちに従います。逆が成り立たないことを、次の例で確かめます。
判定に使いやすい形へ言い換えておきます。
証明. 必要性を示す。{fn}が一様収束するとし、ε>0を与える。定義のεを2εとして番号Nを取ると、n≥Nを満たすすべてのnとすべてのx∈Iに対して∣fn(x)−f(x)∣<2εが成り立つ。したがって集合{∣fn(x)−f(x)∣:x∈I}は2εを上界としてもち、空でないので上限公理によりMnが存在してMn≤2ε<εとなる。εは任意であるから、条件 (a)はε=1に対するNをN0とすれば満たされ、条件 (b)も成り立つ。
十分性を示す。条件 (a)と条件 (b)を仮定し、ε>0を与える。Mn→0より、ある番号N≥N0について、n≥NならばMn<εとなる。上限の定義から、すべてのx∈Iに対して∣fn(x)−f(x)∣≤Mn<εである。これは一様収束の定義そのものである。▨
例 1.3 (各点収束するが一様収束しない関数列).I=[0,1]とし、fn(x)=xnとおく。
各点収束すること.0≤x<1のときxn→0であり、x=1のときfn(1)=1は定数列である。したがって{fn}は
f(x)={01(0≤x<1)(x=1)へ各点収束する。
一様収束しないこと.x=1では∣fn(1)−f(1)∣=0であり、0≤x<1では∣fn(x)−f(x)∣=xnである。x→1−0とするとxnは1にいくらでも近づくから、Mn=supx∈[0,1]∣fn(x)−f(x)∣=1である。Mnは0へ収束しないので、命題 1.2により一様収束しない。
各fnは[0,1]で連続であるが、極限の関数fはx=1で連続ではない。
2 一様収束は連続性を保つ
各点収束では連続性が保たれないことを、例 1.3が示しました。一様収束を仮定すると結論が変わります。
証明.a∈Iを固定し、ε>0を与える。
一様収束の定義により、ある番号Nが存在して、n≥Nを満たすすべてのnとすべてのx∈Iに対して∣fn(x)−f(x)∣<3εが成り立つ。以下、n=Nを固定して用いる。
fNはaで連続であるから(§D1.11 定義 1.2)、あるδ>0が存在して、x∈Iかつ∣x−a∣<δならば∣fN(x)−fN(a)∣<3εとなる。
このとき、x∈Iかつ∣x−a∣<δを満たすxに対して
∣f(x)−f(a)∣≤∣f(x)−fN(x)∣+∣fN(x)−fN(a)∣+∣fN(a)−f(a)∣<3ε+3ε+3ε=εが成り立つ。εは任意であるから、fはaで連続である。a∈Iは任意であるから、fはI上連続である。▨
3 一様収束のもとで極限と積分を入れ替えることができる
証明.命題 1.2により、ある番号から先のnについてMn=supx∈[a,b]∣fn(x)−f(x)∣が定まり、Mn→0となる。以下ではこの範囲のnだけを考える。
fnは可積分であるから有界である。∣f(x)∣≤∣fn(x)∣+Mnよりfも有界である。
ε>0を与え、η=4(b−a)εとおく。Mn→0より、MN≤ηとなる番号Nを取る。分割P:a=x0<x1<⋯<xm=bを任意に取り、小区間[xi−1,xi]におけるfとfNの上限をそれぞれMi(f)、Mi(fN)、下限をmi(f)、mi(fN)と書く。この小区間の各点tでf(t)≤fN(t)+η≤Mi(fN)+ηであるから、Mi(f)≤Mi(fN)+ηである。同様にmi(f)≥mi(fN)−ηである。したがって
U(f,P)−L(f,P)≤(U(fN,P)−L(fN,P))+2η(b−a)=(U(fN,P)−L(fN,P))+2ε.fNは可積分であるから、§D1.17 定理 2.4によりU(fN,P)−L(fN,P)<2εとなる分割Pが存在する。そのPに対してU(f,P)−L(f,P)<εとなるので、ふたたび§D1.17 定理 2.4によりfは可積分である。
§D1.17 定理 3.2によりfn−fはリーマン可積分であり、
∫abfn(x)dx−∫abf(x)dx=∫ab(fn(x)−f(x))dxが成り立つ。すべてのx∈[a,b]に対して∣fn(x)−f(x)∣≤Mnであるから、§D1.17 命題 3.9により
∫abfn(x)dx−∫abf(x)dx≤Mn(b−a)である。Mn→0であるから、右辺は0へ収束する。▨
この定理が仮定しているのは一様収束です。仮定を各点収束まで弱めると結論は成り立たなくなり、lim∫fnと∫limfnが異なる例が現れます。その例は展望の「リーマン積分の限界」で扱います。
4 一様収束は微分を保たない
積分とは異なり、微分は一様収束によって保たれません。
例 4.1 (一様収束しても導関数の列が収束しない).fn(x)=nsin(nx)とおく。すべてのx∈Rで∣fn(x)∣≤n1であるから、{fn}はR上で定数関数0へ一様収束する(命題 1.2)。
一方fn′(x)=ncos(nx)であるから、x=0ではfn′(0)=nとなり、この数列は収束しない。極限の関数f=0の導関数はf′(0)=0であるから、fn′(0)→f′(0)は成り立たない。
そこで、関数列そのものではなく導関数の列が一様収束することを仮定します。
定理 4.2 (項ごとの微分).a<bとする。各nについてfn:[a,b]→Rは[a,b]上連続かつ(a,b)上微分可能であり、(a,b)上の導関数が[a,b]上の連続関数へ延長されるとする。その延長もfn′と書く。さらに次の二つを仮定する。
- 導関数の列{fn′}が[a,b]上で関数gへ一様収束する。
- ある点x0∈[a,b]について、数列{fn(x0)}が収束する。
このとき{fn}は[a,b]上のある関数fへ一様収束し、fは(a,b)で微分可能であり、f′(x)=g(x)がすべてのx∈(a,b)で成り立つ。さらに、fのaにおける右微分係数とbにおける左微分係数は、それぞれg(a)とg(b)に等しい。
証明.α=limn→∞fn(x0)とおく。
各fn′は連続であるから、定理 2.1によりgは[a,b]上連続である。また各fn′は連続であるから可積分である(§D1.17 定理 2.5)。fnはfn′の原始関数であるから、§D1.19 定理 2.1と§D1.17 定義 3.7により、xとx0の大小にかかわらず、すべてのx∈[a,b]について
fn(x)=fn(x0)+∫x0xfn′(t)dtが成り立つ。そこで
f(x)=α+∫x0xg(t)dt(x∈[a,b])とおく。gは連続であるからこの積分は定まる。
Mn=supt∈[a,b]∣fn′(t)−g(t)∣とおくと、条件 (a)と命題 1.2によりMn→0である。§D1.17 定義 3.7と§D1.17 系 3.3により、xとx0の大小にかかわらず
∫x0xfn′(t)dt−∫x0xg(t)dt=∫x0x(fn′(t)−g(t))dtが成り立つ。また、すべてのt∈[a,b]に対して∣fn′(t)−g(t)∣≤Mnであるから、§D1.17 命題 3.9により
∫x0x(fn′(t)−g(t))dt≤(b−a)Mnが成り立つ。fn(x)−f(x)はこの積分とfn(x0)−αの和に等しいので、
∣fn(x)−f(x)∣≤∣fn(x0)−α∣+(b−a)Mnである。右辺はxに依らず0へ収束するから、{fn}はfへ一様収束する。
§D1.17 命題 3.8により、すべてのx∈[a,b]について
∫x0xg(t)dt=∫axg(t)dt−∫ax0g(t)dtが成り立つ。gは[a,b]で連続であるから、§D1.19 定理 1.1をx↦∫axg(t)dtに適用すると、この関数は(a,b)で微分可能で導関数がgに等しく、aでの右微分係数がg(a)に、bでの左微分係数がg(b)に等しい。したがって、この関数に定数α−∫ax0g(t)dtを加えたfも同じ微分係数をもつ。▨
導関数の連続性を仮定しない形については、本記事は述べません。次の記事で扱うべき級数では、部分和が多項式なので導関数はつねに連続であり、この定理をそのまま適用することができます。
5 各項を上から押さえる数列による判定
関数項級数∑n=1∞un(x)の一様収束を、部分和の列sN(x)=∑n=1Nun(x)の一様収束として扱います。極限の関数を先に求めずに判定するために、数列のコーシー列に対応する条件を用意します。
証明.(1)⇒(2)を示す。fへ一様収束するとし、ε>0を与える。2εに対する番号Nを取ると、m,n≥Nとすべてのx∈Iについて∣fn(x)−fm(x)∣≤∣fn(x)−f(x)∣+∣f(x)−fm(x)∣<εが成り立つ。
(2)⇒(1)を示す。条件を仮定する。各x∈Iを固定すると、数列{fn(x)}はコーシー列であるから、実数の完備性(§D1.10 定理 1.1)により収束する。その極限をf(x)とおく。
ε>0を与え、2εに対する番号Nを取る。n≥Nとx∈Iを固定すると、m≥Nを満たすすべてのmについて∣fn(x)−fm(x)∣<2εである。m→∞とすると、極限は不等式の向きを保つので∣fn(x)−f(x)∣≤2ε<εとなる。Nはxに依らずに取ったので、これは一様収束の定義を満たす。▨
定理 5.2 (各項を上から押さえる数列による判定).un:I→R(n=1,2,…)とし、非負の数列{Mn}が
∣un(x)∣≤Mn(すべての n と、すべての x∈I)を満たすとする。級数∑n=1∞Mnが収束するならば、部分和の列sN(x)=∑n=1Nun(x)はI上で一様収束する。
証明.ε>0を与える。∑Mnは収束するので、その部分和TN=∑n=1NMnはコーシー列である(§D1.10 定理 1.1)。したがって、ある番号N1が存在して、N,M≥N1ならば∣TM−TN∣<εとなる。
任意のN,M≥N1とx∈Iをとる。N=Mならば∣sM(x)−sN(x)∣=0<εである。N<Mならば
∣sM(x)−sN(x)∣=n=N+1∑Mun(x)≤n=N+1∑M∣un(x)∣≤n=N+1∑MMn<εが成り立つ。M<Nならば、N<Mの場合の評価でNとMを入れ替え、絶対値の対称性を用いると∣sM(x)−sN(x)∣=∣sN(x)−sM(x)∣<εとなる。よって{sN}は補題 5.1の条件を満たし、I上で一様収束する。▨
例 5.3 (判定法の適用). 級数n=1∑∞n2sin(nx)はR全体で一様収束する。すべてのxについてn2sin(nx)≤n21であり、∑n21は収束するからである(§D1.21 例 4.2)。
各部分和は連続関数であるから、定理 2.1により、この級数の和はR上の連続関数である。