§E2.22コンパクト化

最終更新

コンパクトでない空間へ点を付け加え、もとの空間を稠密な部分空間として含むコンパクト空間を作る操作は、一通りではない。付け加える点の個数も、それらをもとの空間へどう貼り合わせるかもあらかじめ決まってはおらず、得られるコンパクト空間は付け加え方によって変わる。そのため、これらの空間の中から一つを取り出すには、空間そのものの外に基準を置く必要がある。その基準を与えるのが、もとの空間の上の連続写像がどこまで延長されるかという要求であり、この形の普遍性によって選び出されるコンパクト化が Stone–Čech のコンパクト化である。本記事では、コンパクト化を定義し、Stone–Čech のコンパクト化を構成してその普遍性を証明する。

1 定義

定義 1.1 (コンパクト化と一点コンパクト化). 位相空間XXの コンパクト化 (compactification) とは、コンパクト Hausdorff 空間KKと、像e(X)e(X)がKKで稠密である位相的埋め込みe ⁣:X→Ke\colon X\to Kの組(K,e)(K,e)のことである。さらにK∖e(X)K\setminus e(X)が一点だけからなるとき、(K,e)(K,e)をXXの 一点コンパクト化 (one-point compactification) という。

埋め込みを明示する必要がない場合には、XXとe(X)e(X)を同一視し、コンパクト化を空間KKだけで表す。

命題 1.2.XXをコンパクトな位相空間、cXcXをXXのコンパクト化とすると、cX=XcX=Xである。

証明.定義 1.1によりXXがcXcXから受ける部分空間位相はもとの位相に一致するから、XXはcXcXのコンパクト部分集合である。cXcXは Hausdorff であるから、§E2.19 命題 6.4によりXXはcXcXの閉集合であり、§E2.11 命題 2.5 (2)によりcl⁡cX(X)=X\tpcl[cX]{X}=Xである。定義 1.1によりcl⁡cX(X)=cX\tpcl[cX]{X}=cXであるからcX=XcX=Xである。▨

命題 1.3. コンパクト化をもつ位相空間は T3½ 空間である。

証明.XXを位相空間、YYをXXのコンパクト化とする。YYはコンパクトかつ Hausdorff であるから、§E2.19 系 6.12により T3½ 空間である。XXはYYの部分空間であるから、§E2.15 系 2.2によりXXは T3½ 空間である。▨

補題 1.4.YYを位相空間、A⊆YA\subseteq Yとし、F=cl⁡Y(A)F=\tpcl[Y]{A}とおく。AAとFFにはYYからの部分空間位相を入れる。

  1. AAはFFで稠密であり、AAがFFから受ける部分空間位相はYYから受けるものに一致する。
  2. YYがコンパクト Hausdorff 空間ならば、FFはAAのコンパクト化である。

証明.(1)を示す。§E2.12 命題 4.7 (1)によりcl⁡F(A)=cl⁡Y(A)∩F=F\tpcl[F]{A}=\tpcl[Y]{A}\cap F=Fであるから、AAはFFで稠密である。A⊆F⊆YA\subseteq F\subseteq Yであるから、§E2.12 系 4.5によりAAがFFから受ける部分空間位相はYYから受けるものに一致する。

(2)を示す。§E2.11 命題 2.5 (1)によりFFはYYの閉集合であるから、§E2.19 命題 4.1によりFFはコンパクトであり、§E2.15 定理 2.1 (3)により Hausdorff である。ゆえに(1)と定義 1.1によりFFはAAのコンパクト化である。▨

2 Stone–Čech のコンパクト化の構成

補題 2.1.ZZ、WWを位相空間、h1,h2 ⁣:Z→Wh_1,h_2\colon Z\to Wを連続写像とし、A⊆ZA\subseteq ZをZZで稠密な部分集合とする。WWが Hausdorff であり、すべてのa∈Aa\in Aに対してh1(a)=h2(a)h_1(a)=h_2(a)が成り立つならば、h1=h2h_1=h_2である。

証明.h1(z)≠h2(z)h_1(z)\neq h_2(z)を満たすz∈Zz\in Zが存在すると仮定する。WWは Hausdorff であるから、h1(z)∈V1h_1(z)\in V_1、h2(z)∈V2h_2(z)\in V_2、V1∩V2=∅V_1\cap V_2=\emptysetを満たすWWの開集合V1V_1、V2V_2が存在する。h1h_1とh2h_2は連続であるからU=h1−1(V1)∩h2−1(V2)U=h_1^{-1}(V_1)\cap h_2^{-1}(V_2)はZZの開集合であり、z∈Uz\in UであるからUUは空でない。AAはZZで稠密であるから、§E2.11 命題 2.9 (2)によりU∩A≠∅U\cap A\neq\emptysetである。a∈U∩Aa\in U\cap Aをとるとh1(a)∈V1h_1(a)\in V_1かつh2(a)∈V2h_2(a)\in V_2であり、仮定によりh1(a)=h2(a)h_1(a)=h_2(a)であるから、この点はV1∩V2V_1\cap V_2に属する。これはV1∩V2=∅V_1\cap V_2=\emptysetに反する。ゆえにすべてのz∈Zz\in Zに対してh1(z)=h2(z)h_1(z)=h_2(z)であり、h1=h2h_1=h_2である。▨

定理 2.2.XXを T3½ 空間、CCをXXから[0,1][0,1]への連続写像の全体とする。直積[0,1]C[0,1]^{C}には積位相を入れ、§E2.15 定理 4.3 (2)の写像

e ⁣:X→[0,1]C,e(x)=(u(x))u∈Ce\colon X\to[0,1]^{C},\qquad e(x)=(u(x))_{u\in C}

をとる。βX=e(X)‾\beta X=\overline{e(X)}とおき、βX\beta Xには[0,1]C[0,1]^{C}からの部分空間位相を入れる。このときβX\beta Xはコンパクト Hausdorff 空間であり、e(X)e(X)はβX\beta Xで稠密であり、終域をβX\beta Xへ制限した写像X→βXX\to\beta Xは位相的埋め込みである。

証明.[0,1][0,1]はR\mathbb Rの有界な閉集合であるから、§E2.9 定理 4.3によりコンパクトである。したがって§E2.19 定理 8.2により[0,1]C[0,1]^{C}はコンパクトである。§E2.11 命題 2.5 (1)によりβX=e(X)‾\beta X=\overline{e(X)}は[0,1]C[0,1]^{C}の閉集合であるから、§E2.19 命題 4.1によりβX\beta Xはコンパクトである。βX\beta Xは[0,1]C[0,1]^{C}の部分空間であり、§E2.12 補題 6.12により包含写像βX→[0,1]C\beta X\to[0,1]^{C}は位相的埋め込みであるから、§E2.15 定理 4.3によりβX\beta Xは T3½ 空間であり、§E2.15 定理 1.11 (2)と§E2.15 定理 1.11 (3)により Hausdorff である。

e(X)e(X)のβX\beta Xにおける閉包は、§E2.12 命題 4.7 (1)によりe(X)‾∩βX=βX\overline{e(X)}\cap\beta X=\beta Xである。ゆえに§E2.11 定義 2.7によりe(X)e(X)はβX\beta Xで稠密である。

§E2.15 定理 4.3 (2)によりe ⁣:X→[0,1]Ce\colon X\to[0,1]^{C}は位相的埋め込みであり、とくに単射であって、終域を像へ制限した写像X→e(X)X\to e(X)は同相写像である。ここでe(X)e(X)には[0,1]C[0,1]^{C}からの部分空間位相を入れており、§E2.12 系 4.5により、この位相はβX\beta Xから定まる部分空間位相と一致する。e(X)⊆βXe(X)\subseteq\beta Xであるから、§E2.12 定理 4.4 (3)により終域をβX\beta Xへ制限した写像X→βXX\to\beta Xは連続であり、その像はe(X)e(X)である。したがって§E2.12 定義 6.10により、この写像は位相的埋め込みである。▨

定義 2.3.XXを T3½ 空間とする。定理 2.2の空間βX=e(X)‾\beta X=\overline{e(X)}と、終域をβX\beta Xへ制限した位相的埋め込みe ⁣:X→βXe\colon X\to\beta Xの組を、XXの Stone–Čech のコンパクト化 (Stone–Čech compactification) という。CCをXXから[0,1][0,1]への連続写像の全体とするとき、点x∈X⊆βXx\in X\subseteq\beta Xは[0,1]C[0,1]^{C}の点(u(x))u∈C(u(x))_{u\in C}である。

系 2.4.XXを T3½ 空間とすると、βX\beta XはXXのコンパクト化である。とくに、位相空間ZZがコンパクト化をもつことは、ZZが T3½ 空間であるための必要十分条件である。

証明.定理 2.2によりβX\beta Xはコンパクト Hausdorff 空間であり、e ⁣:X→βXe\colon X\to\beta Xは稠密な像をもつ位相的埋め込みであるから、βX\beta XはXXのコンパクト化である。

位相空間ZZがコンパクト化をもつならば、命題 1.3によりZZは T3½ 空間である。逆にZZが T3½ 空間ならば、いま示したことによりβZ\beta ZはZZのコンパクト化である。▨

3 Stone–Čech のコンパクト化の函手性と普遍性

命題 3.1 (Stone–Čech のコンパクト化の函手性).XX、YYを T3½ 空間、f ⁣:X→Yf\colon X\to Yを連続写像とすると、すべてのx∈Xx\in Xに対してβf(x)=f(x)\beta f(x)=f(x)を満たす連続写像βf ⁣:βX→βY\beta f\colon\beta X\to\beta Yがただ一つ存在する。この対応について次が成り立つ。

  1. T3½ 空間XXに対してβ(id⁡X)=id⁡βX\beta(\id_X)=\id_{\beta X}である。
  2. T3½ 空間XX、YY、ZZと連続写像f ⁣:X→Yf\colon X\to Y、g ⁣:Y→Zg\colon Y\to Zに対してβ(g∘f)=βg∘βf\beta(g\circ f)=\beta g\circ\beta fである。

証明.CXC_X、CYC_YをそれぞれXX、YYから[0,1][0,1]への連続写像の全体とする。合成により写像

f∗ ⁣:CY→CX,f∗(u)=u∘ff^*\colon C_Y\to C_X,\qquad f^*(u)=u\circ f

が定まり、写像

Φf ⁣:[0,1]CX→[0,1]CY,Φf(t)=(tu∘f)u∈CY\Phi_f\colon[0,1]^{C_X}\to[0,1]^{C_Y},\qquad \Phi_f(t)=(t_{u\circ f})_{u\in C_Y}

を得る。各u∈CYu\in C_Yに対してΦf\Phi_fの第uu成分は積の射影pr⁡u∘f\pr_{u\circ f}であるから、§E2.14 定理 1.6によりΦf\Phi_fは連続である。

eXe_X、eYe_YをそれぞれXX、YYの評価写像による立方体への埋め込みとする。任意のx∈Xx\in Xに対して

Φf(eX(x))=(u(f(x)))u∈CY=eY(f(x))\Phi_f(e_X(x))=(u(f(x)))_{u\in C_Y}=e_Y(f(x))

であるから、Φf∘eX=eY∘f\Phi_f\circ e_X=e_Y\circ fである。Φf\Phi_fは連続であるから、§E2.12 命題 1.7 (2)により

Φf(βX)⊆Φf(eX(X))‾=eY(f(X))‾⊆βY\Phi_f(\beta X) \subseteq\tpcl{\Phi_f(e_X(X))} =\tpcl{e_Y(f(X))} \subseteq\beta Y

となる。したがって、Φf\Phi_fの制限として連続写像βf ⁣:βX→βY\beta f\colon\beta X\to\beta Yが定まり、埋め込みによる同一視のもとでβf(x)=f(x)\beta f(x)=f(x)が成り立つ。XXはβX\beta Xで稠密でありβY\beta Yは Hausdorff であるから、補題 2.1により延長は一意である。

(1)を示す。id⁡βX\id_{\beta X}はid⁡X\id_Xの連続な延長であるから、一意性によりβ(id⁡X)=id⁡βX\beta(\id_X)=\id_{\beta X}である。

(2)を示す。βg∘βf\beta g\circ\beta fはXXの上でg∘fg\circ fと一致する連続写像であるから、一意性によりβ(g∘f)=βg∘βf\beta(g\circ f)=\beta g\circ\beta fである。▨

定理 3.2 (Stone–Čech のコンパクト化の普遍性).XXを T3½ 空間、KKをコンパクト Hausdorff 空間、f ⁣:X→Kf\colon X\to Kを連続写像とする。このとき、すべてのx∈Xx\in Xに対してf~(x)=f(x)\tilde f(x)=f(x)を満たす連続写像f~ ⁣:βX→K\tilde f\colon\beta X\to Kがただ一つ存在する。また、このとき、f~\tilde{f}は固有閉写像である。

証明.KKはコンパクト Hausdorff 空間であるから、§E2.19 系 6.12により T3½ 空間である。系 2.4と命題 1.2によりβK=K\beta K=Kである。したがって命題 3.1のβf ⁣:βX→βK=K\beta f\colon\beta X\to\beta K=Kが求める一意な延長である。f~\tilde{f}が固有閉写像であることは§E2.20 命題 1.2 (4)より従う。▨

系 3.3 (Stone–Čech のコンパクト化の特徴付け).XXを T3½ 空間、cXcXをXXのコンパクト化とし、任意のコンパクト Hausdorff 空間KKと任意の連続写像f ⁣:X→Kf\colon X\to Kに対して、すべてのx∈Xx\in Xでffと一致する連続写像cX→KcX\to Kがただ一つ存在すると仮定する。このとき、すべてのx∈Xx\in Xに対してh(x)=xh(x)=xを満たす同相写像h ⁣:βX→cXh\colon\beta X\to cXがただ一つ存在する。

証明.π ⁣:βX→cX\pi\colon\beta X\to cXを系 3.5の写像とする。βX\beta Xはコンパクト Hausdorff 空間であり、包含写像X→βXX\to\beta Xは§E2.12 定理 4.4 (1)により連続であるから、仮定により、すべてのx∈Xx\in Xに対してσ(x)=x\sigma(x)=xを満たす連続写像σ ⁣:cX→βX\sigma\colon cX\to\beta Xが存在する。σ∘π ⁣:βX→βX\sigma\circ\pi\colon\beta X\to\beta Xは§E2.12 命題 1.10により連続であり、すべてのx∈Xx\in Xに対してσ(π(x))=x=id⁡βX(x)\sigma(\pi(x))=x=\operatorname{id}_{\beta X}(x)を満たす。XXはβX\beta Xで稠密でありβX\beta Xは Hausdorff であるから、補題 2.1によりσ∘π=id⁡βX\sigma\circ\pi=\operatorname{id}_{\beta X}であり、とくにπ\piは単射である。系 3.5によりπ\piは全射であるから、π\piは連続な全単射である。βX\beta XはコンパクトでありcXcXは Hausdorff であるから、§E2.19 定理 6.8によりπ\piは同相写像である。h=πh=\piとおけばよい。

h1,h2 ⁣:βX→cXh_1,h_2\colon\beta X\to cXがともにすべてのx∈Xx\in Xに対してhi(x)=xh_i(x)=xを満たす連続写像であるとする。XXはβX\beta Xで稠密でありcXcXは Hausdorff であるから、補題 2.1によりh1=h2h_1=h_2である。▨

系 3.4.XXを空でない T3½ 空間とするとき、X⊂βXX\subset \beta Xによる制限が引き起こす写像C(βX)=Cb(βX)→Cb(X)C(\beta X) = C_b(\beta X) \to C_b(X)は一様距離に関して等距離同型である。

証明. 等距離写像であることは§E2.16 命題 3.1よりただちに従う。全射性がわかれば良いが、それは Stone–Čech のコンパクト化の普遍性よりただちに従う。▨

系 3.5.XXを T3½ 空間、(cX,ec)(cX,e_c)をXXのコンパクト化とし、eβ ⁣:X→βXe_\beta\colon X\to\beta Xを Stone–Čech のコンパクト化の埋め込みとする。このとき、πc∘eβ=ec\pi_c\circ e_\beta=e_cを満たす連続写像πc ⁣:βX→cX\pi_c\colon\beta X\to cXがただ一つ存在する。πc\pi_cは完全写像かつ商写像であり、cXcXはβX\beta Xのある同値関係による商空間と同相である。

証明.ec ⁣:X→cXe_c\colon X\to cXに定理 3.2を適用すると、πc∘eβ=ec\pi_c\circ e_\beta=e_cを満たす連続写像πc ⁣:βX→cX\pi_c\colon\beta X\to cXがただ一つ得られる。πc(βX)\pi_c(\beta X)は稠密集合ec(X)e_c(X)を含むから、§E2.19 系 6.5によりπc\pi_cは全射である。§E2.20 命題 1.2 (4)によりπc\pi_cは完全写像であり、§E2.12 命題 8.3により商写像である。したがってcXcXはβX\beta Xのファイバーが定める同値関係による商空間と同相である。▨

系 3.6.XXを T3½ 空間、X⊂Y⊂βXX\subset Y\subset \beta Xを部分空間とすると、自然にβX\beta XとβY\beta Yは同相である。

証明. 包含写像X⊂YX\subset Yが引き起こす連続写像βX→βY\beta X\to \beta Yと包含写像Y⊂βXY\subset \beta Xが引き起こす連続写像βY→ββX=βX\beta Y\to \beta \beta X = \beta Xが定理 3.2の一意性により互いに逆を与える同相写像である。▨

4 離散空間の Stone–Čech コンパクト化

有限離散空間XXはコンパクト Hausdorff 空間であるから、命題 1.2によりβX=X\beta X=Xであり、剰余は空である。

補題 4.1.XXを無限離散空間、κ=∣X∣\kappa=|X|とし、C(X,[0,1])C(X,[0,1])をXXから[0,1][0,1]への連続写像の全体とする。次が成り立つ。

  1. ∣[0,1]∣=c|[0,1]|=\mathfrak cである。
  2. ∣C(X,[0,1])∣=2κ|C(X,[0,1])|=2^\kappaである。とくに∣C(N≥0,[0,1])∣=c|C(\N,[0,1])|=\mathfrak cである。

証明.(1)を示す。§E1.22 定義 1.1と§E1.22 定義 5.1により∣2ω∣=2ℵ0=c|2^\omega|=2^{\aleph_0}=\mathfrak cである。§E2.17 命題 5.5のφ\varphiは2ω2^\omegaから[0,1][0,1]の部分集合への全単射であるから、c≤∣[0,1]∣\mathfrak c\leq|[0,1]|である。一方、包含写像[0,1]→R[0,1]\to\Rと§E1.22 定理 5.3により∣[0,1]∣≤∣R∣=c|[0,1]|\leq|\R|=\mathfrak cである。したがって§E1.11 定理 4.2により∣[0,1]∣=c|[0,1]|=\mathfrak cである。

(2)を示す。離散空間からの写像はすべて連続であるから、集合としてC(X,[0,1])=[0,1]XC(X,[0,1])=[0,1]^Xである。(1)、§E1.22 命題 1.6および§E1.22 系 3.3により

∣C(X,[0,1])∣=cκ=(2ℵ0)κ=2ℵ0⋅κ=2κ|C(X,[0,1])|=\mathfrak c^\kappa=(2^{\aleph_0})^\kappa =2^{\aleph_0\cdot\kappa}=2^\kappa

である。X=N≥0X=\Nの場合はκ=ℵ0\kappa=\aleph_0であるから、この値はc\mathfrak cである。▨

定理 4.2.XXを無限離散空間、κ=∣X∣\kappa=|X|とする。このとき

∣βX∣=∣βX∖X∣=22κ|\beta X|=|\beta X\setminus X|=2^{2^\kappa}

である。

証明. 離散空間XXは T3½ 空間であるから、定理 2.2によりβX\beta Xは存在する。C=C(X,[0,1])C=C(X,[0,1])とおく。補題 4.1 (2)により∣C∣=2κ|C|=2^\kappaであり、評価写像による構成はβX\beta Xを[0,1]C[0,1]^Cの部分空間として与える。したがって補題 4.1 (1)、§E1.22 命題 1.6および§E1.22 系 3.3により

∣βX∣≤∣[0,1]C∣=c2κ=22κ|\beta X|\leq|[0,1]^C|=\mathfrak c^{2^\kappa}=2^{2^\kappa}

である。

二点離散空間2={0,1}2=\{0,1\}の直積K=2P(κ)K=2^{\mathcal P(\kappa)}をとる。§E2.19 定理 8.2と§E2.15 定理 2.8 (3)により、KKはコンパクト Hausdorff 空間である。§E2.14 定理 5.2により、KKは濃度がκ\kappa以下である稠密部分集合DDをもつ。KKは空でないのでDDも空でない。全射X→DX\to Dをとり、包含D⊆KD\subseteq Kと合成してg ⁣:X→Kg\colon X\to Kとおく。XXは離散空間であるからggは連続であり、定理 3.2により連続写像g~ ⁣:βX→K\widetilde g\colon\beta X\to Kへ延長される。g~(βX)\widetilde g(\beta X)は稠密集合DDを含むので稠密であり、§E2.19 系 6.5によりg~\widetilde gは全射である。したがって

22κ=∣K∣≤∣βX∣2^{2^\kappa}=|K|\leq|\beta X|

となり、上からの評価と合わせて∣βX∣=22κ|\beta X|=2^{2^\kappa}を得る。

λ=∣βX∖X∣\lambda=|\beta X\setminus X|とおく。分割βX=X⊔(βX∖X)\beta X=X\sqcup(\beta X\setminus X)により22κ=κ+λ2^{2^\kappa}=\kappa+\lambdaである。λ≤κ\lambda\leq\kappaと仮定すると、§E1.22 定理 3.2によりκ+λ≤κ+κ=κ\kappa+\lambda\leq\kappa+\kappa=\kappaとなり、§E1.22 系 4.1によるκ<22κ\kappa<2^{2^\kappa}に反する。したがってκ<λ\kappa<\lambdaであり、§E1.22 系 3.3により22κ=κ+λ=λ2^{2^\kappa}=\kappa+\lambda=\lambdaである。▨

系 4.3.N≥0\Nに離散位相を入れる。このときN≥0\Nは Stone–Čech コンパクト化βN≥0\beta\Nをもち、

∣βN≥0∣=∣βN≥0∖N≥0∣=2c=22ℵ0>c|\beta\N|=|\beta\N\setminus\N|=2^{\mathfrak c}=2^{2^{\aleph_0}}>\mathfrak c

である。

証明.定理 4.2をX=N≥0X=\Nに適用する。∣N≥0∣=ℵ0|\N|=\aleph_0とc=2ℵ0\mathfrak c=2^{\aleph_0}により等式を得る。最後の不等式は§E1.22 系 4.1による。▨

命題 4.4.XXを離散空間とする。次が成り立つ。

  1. 任意のA⊆XA\subseteq Xについて、cl⁡βX(A)\tpcl[\beta X]{A}は開かつ閉であり、cl⁡βX(A)∩X=A\tpcl[\beta X]{A}\cap X=AおよびβX=cl⁡βX(A)⊔cl⁡βX(X∖A)\beta X=\tpcl[\beta X]{A}\sqcup\tpcl[\beta X]{X\setminus A}が成り立つ。とくに、各x∈Xx\in Xの一点集合はβX\beta Xで開かつ閉であり、βX∖X\beta X\setminus Xは閉集合である。
  2. 集合族{cl⁡βX(A)∣A⊆X}\{\tpcl[\beta X]{A}\mid A\subseteq X\}はβX\beta Xの開基である。
  3. 無限部分集合B⊆XB\subseteq Xに対してcl⁡βX(B)∩(βX∖X)≠∅\tpcl[\beta X]{B}\cap(\beta X\setminus X)\ne\emptysetである。さらに、この交わりに属する任意の点qqの任意の近傍は、BBと無限個の点で交わる。

証明.(1)を示す。A⊆XA\subseteq Xをとる。二点離散空間2={0,1}2=\{0,1\}はコンパクト Hausdorff 空間であるから、定理 3.2により特性関数1A ⁣:X→21_A\colon X\to2は連続写像χ ⁣:βX→2\chi\colon\beta X\to2へ延長される。F=χ−1({1})F=\chi^{-1}(\{1\})は開かつ閉であり、F∩X=AF\cap X=Aである。FFが閉集合であることからcl⁡βX(A)⊆F\tpcl[\beta X]{A}\subseteq Fである。他方、p∈Fp\in Fの任意の開近傍UUについて、U∩FU\cap Fは空でない開集合であるから、XXの稠密性によりU∩F∩X=U∩A≠∅U\cap F\cap X=U\cap A\ne\emptysetである。したがってF⊆cl⁡βX(A)F\subseteq\tpcl[\beta X]{A}であり、F=cl⁡βX(A)F=\tpcl[\beta X]{A}である。同じ議論を1−χ1-\chiに適用するとχ−1({0})=cl⁡βX(X∖A)\chi^{-1}(\{0\})=\tpcl[\beta X]{X\setminus A}となり、分割の等式を得る。一点集合は Hausdorff 空間βX\beta Xで閉であるから、cl⁡βX({x})={x}\tpcl[\beta X]{\{x\}}=\{x\}であり、いま示したことにより開でもある。ゆえにXXはβX\beta Xの開集合であり、剰余は閉集合である。

(2)を示す。UUをβX\beta Xの開集合、p∈Up\in Uとする。§E2.19 系 6.12による完全正則性から、h(p)=1h(p)=1、h∣βX∖U=0h|_{\beta X\setminus U}=0を満たす連続写像h ⁣:βX→[0,1]h\colon\beta X\to[0,1]が存在する。A={x∈X∣h(x)>1/2}A=\{x\in X\mid h(x)>1/2\}とおく。ppの任意の開近傍VVについて、V∩h−1((1/2,1])V\cap h^{-1}((1/2,1])はppを含む開集合であるから、XXの稠密性によりV∩A≠∅V\cap A\ne\emptysetである。したがってp∈cl⁡βX(A)p\in\tpcl[\beta X]{A}である。閉集合h−1([1/2,1])h^{-1}([1/2,1])はAAを含むので、

p∈cl⁡βX(A)⊆h−1([1/2,1])⊆Up\in\tpcl[\beta X]{A}\subseteq h^{-1}([1/2,1])\subseteq U

である。(1)によりこの閉包は開集合であるから、開基の条件を満たす。

(3)を示す。B⊆XB\subseteq Xを無限部分集合とし、cl⁡βX(B)⊆X\tpcl[\beta X]{B}\subseteq Xと仮定する。(1)のトレースの等式によりcl⁡βX(B)=B\tpcl[\beta X]{B}=Bである。したがってBBはコンパクト空間の閉部分集合としてコンパクトであるが、BBは無限離散空間であるから§E2.19 例 2.9 (3)に反する。ゆえに閉包は剰余と交わる。

q∈cl⁡βX(B)∖Xq\in\tpcl[\beta X]{B}\setminus Xとし、qqの近傍WWがBBと有限集合HHでしか交わらないと仮定する。H⊆XH\subseteq Xであるからq∉Hq\notin Hであり、Hausdorff 空間βX\beta Xの有限部分集合HHは閉集合である。したがってW∖HW\setminus Hはqqの近傍であるが、BBと交わらない。これはq∈cl⁡βX(B)q\in\tpcl[\beta X]{B}に反する。ゆえにqqの任意の近傍はBBと無限個の点で交わる。▨

5 固有な閉写像の特徴づけ

補題 5.1.XX、YYを位相空間、f ⁣:X→Yf\colon X\to Yを連続な閉写像とし、各y∈Yy\in Yに対してf−1({y})f^{-1}(\{y\})はXXのコンパクト部分集合であるとする。αX\alpha XをXXのコンパクト化、γY\gamma YをYYのコンパクト化とし、f~ ⁣:αX→γY\tilde f\colon\alpha X\to\gamma Yをすべてのx∈Xx\in Xに対してf~(x)=f(x)\tilde f(x)=f(x)を満たす連続写像とする。このときf~−1(Y)=X\tilde f^{-1}(Y)=Xである。

証明.x∈Xx\in Xに対してf~(x)=f(x)∈Y\tilde f(x)=f(x)\in YであるからX⊆f~−1(Y)X\subseteq\tilde f^{-1}(Y)である。

p∈f~−1(Y)p\in\tilde f^{-1}(Y)かつp∉Xp\notin Xを満たす点ppが存在すると仮定し、y=f~(p)∈Yy=\tilde f(p)\in Y、F=f−1({y})F=f^{-1}(\{y\})とおく。FFはXXのコンパクト部分集合であるから、§E2.19 補題 2.7によりFFはαX\alpha Xのコンパクト部分集合でもある。αX\alpha Xは Hausdorff であるから、§E2.19 命題 6.4によりFFはαX\alpha Xの閉集合であり、F⊆XF\subseteq Xかつp∉Xp\notin Xであるからp∉Fp\notin Fである。αX\alpha Xはコンパクトかつ Hausdorff であるから§E2.19 命題 6.10により正則であり、p∈Gp\in G、F⊆HF\subseteq H、G∩H=∅G\cap H=\emptysetを満たすαX\alpha Xの開集合GG、HHが存在する。

V=H∩XV=H\cap Xとおくと、§E2.12 定義 4.1によりVVはXXの開集合であり、F⊆XF\subseteq XとF⊆HF\subseteq HからF⊆VF\subseteq Vである。ffは閉写像であるから、§E2.12 定理 5.10 (3)により、y∈Ny\in Nかつf−1(N)⊆Vf^{-1}(N)\subseteq Vを満たすYYの開集合NNが存在する。§E2.12 定義 4.1によりO∩Y=NO\cap Y=Nを満たすγY\gamma Yの開集合OOが存在する。

U=f~−1(O)∩GU=\tilde f^{-1}(O)\cap Gとおく。f~\tilde fは連続であるからUUはαX\alpha Xの開集合であり、f~(p)=y∈N⊆O\tilde f(p)=y\in N\subseteq Oかつp∈Gp\in Gであるからp∈Up\in UであってUUは空でない。XXはαX\alpha Xで稠密であるから、§E2.11 命題 2.9 (2)によりx∈U∩Xx\in U\cap Xが存在する。f(x)=f~(x)∈Of(x)=\tilde f(x)\in Oかつf(x)∈Yf(x)\in Yであるからf(x)∈O∩Y=Nf(x)\in O\cap Y=Nであり、x∈f−1(N)⊆V⊆Hx\in f^{-1}(N)\subseteq V\subseteq Hである。一方x∈U⊆Gx\in U\subseteq Gであるから、xxはG∩HG\cap Hに属する。これはG∩H=∅G\cap H=\emptysetに反する。

ゆえにf~−1(Y)⊆X\tilde f^{-1}(Y)\subseteq Xであり、f~−1(Y)=X\tilde f^{-1}(Y)=Xである。▨

定理 5.2.XX、YYを T3½ 空間とし、f ⁣:X→Yf\colon X\to Yを連続写像とする。次の三条件は同値である。

  1. ffは固有閉写像である。
  2. 命題 3.1の写像βf ⁣:βX→βY\beta f\colon\beta X\to\beta Yについて(βf)−1(Y)=X(\beta f)^{-1}(Y)=Xが成り立つ。特にこのとき、(βf)−1(βY∖Y)=βX∖X(\beta f)^{-1}(\beta Y\setminus Y) = \beta X \setminus Xが成り立つ。
  3. XXの任意のコンパクト化αX\alpha X、YYの任意のコンパクト化γY\gamma Y、およびすべてのx∈Xx\in Xに対してf~(x)=f(x)\tilde f(x)=f(x)を満たす任意の連続写像f~ ⁣:αX→γY\tilde f\colon\alpha X\to\gamma Yについて、f~−1(Y)=X\tilde f^{-1}(Y)=Xが成り立つ。特にこのとき、(f~)−1(γY∖Y)=αX∖X(\tilde f)^{-1}(\gamma Y\setminus Y) = \alpha X \setminus Xが成り立つ。

さらに、ffが全射であるならば、これらの三条件はffが完全写像であることとも同値である。

証明.(2)⇒\Rightarrow(1)は§E2.20 命題 1.5よりただちに従う。

(1)⇒\Rightarrow(3)を示す。ffは連続であり、(1)により閉写像である。各y∈Yy\in Yに対して{y}\{y\}は有限であるから§E2.19 例 2.3によりYYのコンパクト部分集合であり、ffが固有であることからf−1({y})f^{-1}(\{y\})はXXのコンパクト部分集合である。αX\alpha X、γY\gamma Y、f~\tilde fを(3)のとおりにとると、補題 5.1によりf~−1(Y)=X\tilde f^{-1}(Y)=Xである。

(3)⇒\Rightarrow(2)を示す。系 2.4によりβX\beta XはXXのコンパクト化、βY\beta YはYYのコンパクト化であり、命題 3.1によりβf\beta fはすべてのx∈Xx\in Xに対してβf(x)=f(x)\beta f(x)=f(x)を満たす連続写像である。この三つ組へ(3)を適用すると(βf)−1(Y)=X(\beta f)^{-1}(Y)=Xを得る。

ffが全射であるとする。§E2.20 定義 2.1により、ffが完全写像であることは、ffが全射であり、閉写像であり、かつ固有であることと同値である。ffは全射であるから、この条件は(1)と同値であり、したがって三条件のいずれとも同値である。▨

系 5.3.XXを T3½ 空間、cXcXをXXのコンパクト化とし、π ⁣:βX→cX\pi\colon\beta X\to cXを系 3.5の完全写像とする。このとき次が成り立つ。

  1. π−1(cX∖X)=βX∖X\pi^{-1}(cX\setminus X)=\beta X\setminus Xである。
  2. π(βX∖X)=cX∖X\pi(\beta X\setminus X)=cX\setminus Xである。

証明.(1)はid⁡X ⁣:X→X\id_X\colon X\to Xが完全写像であることと定理 5.2から明らかであり、(2)は(1)、§E1.1 命題 4.10 (3)とπ\piが完全写像である (特に全射である) ことから明らかである。▨

系 5.4.YYを T3½ 空間、FFをYYの閉集合とし、FFには部分空間位相を入れる。αF\alpha FをFFのコンパクト化、γY\gamma YをYYのコンパクト化とし、ι~ ⁣:αF→γY\tilde\iota\colon\alpha F\to\gamma Yをすべてのx∈Fx\in Fに対してι~(x)=x\tilde\iota(x)=xを満たす連続写像とする。このときι~−1(Y)=F\tilde\iota^{-1}(Y)=Fである。

証明.FFはYYの部分空間であるから、§E2.15 系 2.2によりFFは T3½ 空間である。包含写像ι ⁣:F→Y\iota\colon F\to Yは§E2.12 定理 4.4 (1)により連続であり、FFはYYの閉集合であるから、§E2.20 命題 1.2 (3)によりι\iotaは固有であり、かつ閉写像である。ゆえにι\iotaは定理 5.2 (1)を満たすから、定理 5.2をι\iotaへ適用すると定理 5.2 (3)が成り立つ。すべてのx∈Fx\in Fに対してι~(x)=x=ι(x)\tilde\iota(x)=x=\iota(x)であるから、αF\alpha F、γY\gamma Y、ι~\tilde\iotaの組へこの条件を適用してι~−1(Y)=F\tilde\iota^{-1}(Y)=Fを得る。▨

系 5.5.f ⁣:X→Yf\colon X\to Yを T3½ 空間の間の固有閉写像とし、cXcXをXXのコンパクト化とする。このとき、j(x):=(x,f(x))j(x):=(x, f(x))により定まる写像j ⁣:X→cX×Yj\colon X\to cX\times Yは位相的閉埋め込みである。

証明.jjはグラフ写像X→X×YX\to X\times Yと位相的埋め込みX×Y⊂cX×YX\times Y\subset cX\times Yの合成であるから位相的埋め込みである。自然な写像βX→cX\beta X\to cXは固有閉写像であるから、§E2.20 定理 5.3より、βX×Y→cX×Y\beta X\times Y \to cX\times Yは閉写像である。よって、jjの像が閉であることを示すためには、cX=βXcX = \beta Xであると仮定しても一般性を失わない。このとき、jjの像はβf\beta fのグラフΓβf⊂βX×βY\Gamma_{\beta f}\subset \beta X\times \beta YのβX×Y\beta X\times Yへの制限であるため、これは閉である。

可換図式 X βX×Y Y βX βX×βY βY. j 図 5.5.1

▨

系 5.6.XXを T3½ 空間、cXcXをXXのコンパクト化とし、π ⁣:βX→cX\pi\colon\beta X\to cXを系 3.5の写像とする。このときπ−1(X)=X\pi^{-1}(X)=Xである。さらに、π\piが相異なる二点pp、qqを同じ点へ写すならば、ppとqqはともにβX∖X\beta X\setminus Xに属する。

証明.id⁡X ⁣:X→X\operatorname{id}_X\colon X\to Xは連続な閉写像であり、各x∈Xx\in Xに対してid⁡X−1({x})={x}\operatorname{id}_X^{-1}(\{x\})=\{x\}は§E2.19 例 2.3によりXXのコンパクト部分集合である。系 2.4によりβX\beta XはXXのコンパクト化であり、cXcXは仮定によりXXのコンパクト化である。π\piはすべてのx∈Xx\in Xに対してπ(x)=x\pi(x)=xを満たす連続写像であるから、補題 5.1をf=id⁡Xf=\operatorname{id}_X、αX=βX\alpha X=\beta X、γY=cX\gamma Y=cXへ適用するとπ−1(X)=X\pi^{-1}(X)=Xを得る。

p,q∈βXp,q\in\beta Xがp≠qp\neq qかつπ(p)=π(q)\pi(p)=\pi(q)を満たすとする。π(p)∈X\pi(p)\in Xであるとすると、p,q∈π−1(X)=Xp,q\in\pi^{-1}(X)=Xであり、すべてのx∈Xx\in Xに対してπ(x)=x\pi(x)=xであることからp=π(p)=π(q)=qp=\pi(p)=\pi(q)=qとなってp≠qp\neq qに反する。ゆえにπ(p)∉X\pi(p)\notin Xであり、ppとqqはともにπ−1(X)=X\pi^{-1}(X)=Xに属さないからp,q∈βX∖Xp,q\in\beta X\setminus Xである。▨

6 コンパクト化の同相類の順序

定義 6.1 (コンパクト化の射影、順序と同値).XXを T3½ 空間、(bX,eb)(bX,e_b)、(cX,ec)(cX,e_c)をXXのコンパクト化とする。系 3.5の写像πc ⁣:βX→cX\pi_c\colon\beta X\to cXを、cXcXの 射影 (projection) という。cc以外の文字で表したコンパクト化についても、その文字を添字として射影を表す(bXbXの射影はπb\pi_bである)。

射影πc\pi_cの核関係を

Rc={(u,v)∈βX×βX∣πc(u)=πc(v)}R_c=\{(u,v)\in\beta X\times\beta X\mid\pi_c(u)=\pi_c(v)\}

と書く。他のコンパクト化の核関係も、同じ添字で表す。

p∘eb=ecp\circ e_b=e_cを満たす連続写像p ⁣:bX→cXp\colon bX\to cXが存在するとき、bX≥cXbX\geq cXと書く。bX≥cXbX\geq cXかつcX≥bXcX\geq bXであるとき、(bX,eb)(bX,e_b)と(cX,ec)(cX,e_c)は 同値 (equivalent compactifications) であるという。埋め込みの像をXXと同一視した表記では、比較写像の条件はp∣X=id⁡Xp|_X=\id_Xである。

命題 6.2.XXを T3½ 空間、c1Xc_1X、c2Xc_2XをXXのコンパクト化とし、c1X≥c2Xc_1X\geq c_2Xとする。このとき、XXのすべての点を固定する連続写像p ⁣:c1X→c2Xp\colon c_1X\to c_2Xはただ一つ存在し、完全写像である。

証明.XXはc1Xc_1Xで稠密でありc2Xc_2Xは Hausdorff であるから、補題 2.1によりppは一意である。X⊆p(c1X)X\subseteq p(c_1X)であるからp(c1X)p(c_1X)はc2Xc_2Xで稠密であり、§E2.19 系 6.5によりppは全射である。したがって§E2.20 命題 1.2 (4)によりppは完全写像である。▨

命題 6.3.XXを T3½ 空間、c1Xc_1X、c2Xc_2XをXXのコンパクト化とする。c1Xc_1Xとc2Xc_2Xが同値であることは、XXのすべての点を固定する同相写像c1X→c2Xc_1X\to c_2Xが存在するための必要十分条件である。また、関係≥\geqは、この同値関係による同値類の上に半順序を定める。

証明. 必要性を示す。XXのすべての点を固定する同相写像h ⁣:c1X→c2Xh\colon c_1X\to c_2Xが存在すると、h−1h^{-1}もXXのすべての点を固定するから、c1X≥c2Xc_1X\geq c_2Xかつc2X≥c1Xc_2X\geq c_1Xである。

十分性を示す。c1Xc_1Xとc2Xc_2Xが同値であるとし、XXのすべての点を固定する連続写像p ⁣:c1X→c2Xp\colon c_1X\to c_2X、q ⁣:c2X→c1Xq\colon c_2X\to c_1Xをとる。q∘pq\circ pとp∘qp\circ qはXXの上で恒等写像と一致するから、補題 2.1によりq∘p=id⁡c1Xq\circ p=\operatorname{id}_{c_1X}かつp∘q=id⁡c2Xp\circ q=\operatorname{id}_{c_2X}である。したがってppは逆写像qqをもつ同相写像である。

恒等写像と連続写像の合成により、≥\geqは反射的かつ推移的である。同値なコンパクト化への取り替えはXXを固定する同相写像との合成に対応するから、≥\geqは同値類の代表元によらない。同値類の上の反対称性は同値の定義から従う。▨

XXのすべての点を固定する同相写像によるcXcXの同値類を、XXのコンパクト化の同相類と呼び、[cX][cX]と書く。

命題 6.4.XXを T3½ 空間、bX,cXbX,cXをXXのコンパクト化とする。次の四条件は同値である。

  1. bX≥cXbX\geq cXである。すなわち、XXのすべての点を固定する連続写像p ⁣:bX→cXp\colon bX\to cXが存在する。
  2. Rb⊆RcR_b\subseteq R_cである。
  3. 任意のu,v∈βXu,v\in\beta Xについて、πb(u)=πb(v)\pi_b(u)=\pi_b(v)ならばπc(u)=πc(v)\pi_c(u)=\pi_c(v)である。
  4. 任意のXXの閉集合F,HF,Hについて、cl⁡cX(F)∩cl⁡cX(H)=∅\tpcl[cX]{F}\cap\tpcl[cX]{H}=\emptysetならばcl⁡bX(F)∩cl⁡bX(H)=∅\tpcl[bX]{F}\cap\tpcl[bX]{H}=\emptysetである。

これらの条件が成り立つとき、比較写像ppはπc=p∘πb\pi_c=p\circ\pi_bを満たす。

証明.(2)⇔\Leftrightarrow(3)は核関係の定義による。

(1)⇒\Rightarrow(3)を示す。XXのすべての点を固定する連続写像p ⁣:bX→cXp\colon bX\to cXをとる。p∘πbp\circ\pi_bとπc\pi_cは稠密なXX上で一致するから、補題 2.1によりπc=p∘πb\pi_c=p\circ\pi_bである。したがってπb(u)=πb(v)\pi_b(u)=\pi_b(v)ならばπc(u)=πc(v)\pi_c(u)=\pi_c(v)である。

(3)⇒\Rightarrow(1)を示す。πb\pi_bは系 3.5により商写像であり、πc\pi_cはπb\pi_bの各ファイバー上で一定である。§E2.12 定理 8.10により、πc=p∘πb\pi_c=p\circ\pi_bを満たす連続写像p ⁣:bX→cXp\colon bX\to cXが存在する。x∈Xx\in Xについてp(x)=p(πb(x))=πc(x)=xp(x)=p(\pi_b(x))=\pi_c(x)=xであるから、bX≥cXbX\geq cXである。

(1)⇒\Rightarrow(4)を示す。比較写像p ⁣:bX→cXp\colon bX\to cXはXXを固定するから、§E2.12 命題 1.7 (2)によりp(cl⁡bX(F))⊆cl⁡cX(F)p(\tpcl[bX]{F})\subseteq\tpcl[cX]{F}、p(cl⁡bX(H))⊆cl⁡cX(H)p(\tpcl[bX]{H})\subseteq\tpcl[cX]{H}である。したがって、bXbXにおける二つの閉包の共通の点は、cXcXにおける二つの閉包の共通の点へ写される。

(4)⇒\Rightarrow(3)を示す。πb(u)=πb(v)\pi_b(u)=\pi_b(v)かつπc(u)≠πc(v)\pi_c(u)\neq\pi_c(v)を満たすu,v∈βXu,v\in\beta Xが存在すると仮定する。cXcXはコンパクト Hausdorff 空間であるから、§E2.19 定理 6.11により、πc(u),πc(v)\pi_c(u),\pi_c(v)の開近傍U,VU,Vでcl⁡cX(U)∩cl⁡cX(V)=∅\tpcl[cX]{U}\cap\tpcl[cX]{V}=\emptysetを満たすものをとることができる。F=X∩cl⁡cX(U)F=X\cap\tpcl[cX]{U}、H=X∩cl⁡cX(V)H=X\cap\tpcl[cX]{V}とおくと、F,HF,HはXXの閉集合であり、cl⁡cX(F)∩cl⁡cX(H)=∅\tpcl[cX]{F}\cap\tpcl[cX]{H}=\emptysetである。

uuの任意の開近傍W⊆βXW\subseteq\beta Xに対して、W∩πc−1(U)W\cap\pi_c^{-1}(U)は空でない開集合である。XXはβX\beta Xで稠密であるから、この開集合はXXと交わり、その交点はFFに属する。したがってu∈cl⁡βX(F)u\in\tpcl[\beta X]{F}である。同様にv∈cl⁡βX(H)v\in\tpcl[\beta X]{H}である。πb\pi_bの連続性により、πb(u)=πb(v)\pi_b(u)=\pi_b(v)はcl⁡bX(F)∩cl⁡bX(H)\tpcl[bX]{F}\cap\tpcl[bX]{H}に属し、仮定に反する。ゆえに核の含意が成り立つ。▨

系 6.5.XXを T3½ 空間、bX,cXbX,cXをXXのコンパクト化とする。このとき、[bX]=[cX][bX]=[cX]であることとRb=RcR_b=R_cであることは同値である。

証明. 同値なコンパクト化とは、bX≥cXbX\geq cXとcX≥bXcX\geq bXがともに成り立つものである。命題 6.4を両向きに適用すると、これらの条件はRb⊆RcR_b\subseteq R_cとRc⊆RbR_c\subseteq R_bがともに成り立つことと同値である。▨

注意 6.6.XXを T3½ 空間とする。任意のコンパクト化cXcXは、系 3.5の商写像πc ⁣:βX→cX\pi_c\colon\beta X\to cXにより、核関係RcR_cによる商空間と同相である。この同相はx∈Xx\in Xを含む同値類をxxへ写すから、RcR_cはXXのコンパクト化としての同相類を一意に定める。したがって、XXのコンパクト化の同相類の全体は、βX×βX\beta X\times\beta Xの冪集合の部分集合として扱うことができ、集合である。

系 6.7.XXを T3½ 空間とする。XXのコンパクト化の同相類のなす順序集合の最大元は[βX][\beta X]である。

証明.系 3.5により、XXの任意のコンパクト化cXcXに対してβX≥cX\beta X\geq cXである。▨

定理 6.8.XXを T3½ 空間、AAを空でない集合、(cαX)α∈A(c_\alpha X)_{\alpha\in A}をXXのコンパクト化の族とする。対角写像

e ⁣:X⟶P=∏α∈AcαX,e(x)=(x)α∈Ae\colon X\longrightarrow P=\prod_{\alpha\in A}c_\alpha X,\qquad e(x)=(x)_{\alpha\in A}

の像の閉包cX=cl⁡P(e(X))cX=\tpcl[P]{e(X)}と、終域をcXcXへ制限した写像eeの組(cX,e)(cX,e)はXXのコンパクト化であり、その同相類は族([cαX])α∈A([c_\alpha X])_{\alpha\in A}の上限である。

証明.α0∈A\alpha_0\in Aをとる。包含写像X→cα0XX\to c_{\alpha_0}Xは単射であり、XXの閉集合FFについて§E2.12 命題 4.7 (1)によりcl⁡cα0X(F)∩X=F\tpcl[c_{\alpha_0}X]{F}\cap X=Fである。したがって、包含写像の族は点を分離し、かつ点と閉集合を分離するから、§E2.14 系 6.7によりeeは位相的埋め込みである。§E2.19 定理 8.2と§E2.15 定理 2.8 (3)によりPPはコンパクト Hausdorff 空間であり、§E2.19 命題 4.1によりcXcXもコンパクトである。e(X)e(X)はcXcXで稠密であるから、(cX,e)(cX,e)はXXのコンパクト化である。

各α∈A\alpha\in Aに対して、射影の制限pr⁡α∣cX ⁣:cX→cαX\pr_\alpha|_{cX}\colon cX\to c_\alpha XはXXのすべての点を固定する連続写像であるから、cX≥cαXcX\geq c_\alpha Xである。

c′Xc'Xを、すべてのα∈A\alpha\in Aに対してc′X≥cαXc'X\geq c_\alpha Xを満たすXXのコンパクト化とし、pα ⁣:c′X→cαXp_\alpha\colon c'X\to c_\alpha XをXXのすべての点を固定する連続写像とする。§E2.14 定理 1.6により、対角写像p=(pα)α∈A ⁣:c′X→Pp=(p_\alpha)_{\alpha\in A}\colon c'X\to Pは連続であり、p∣X=ep|_X=eである。§E2.12 命題 1.7 (2)により

p(c′X)=p(cl⁡c′X(X))⊆cl⁡P(p(X))=cl⁡P(e(X))=cXp(c'X)=p\bigl(\tpcl[c'X]{X}\bigr)\subseteq\tpcl[P]{p(X)}=\tpcl[P]{e(X)}=cX

である。したがって、ppの終域をcXcXへ制限すると、XXのすべての点を固定する連続写像c′X→cXc'X\to cXが得られ、c′X≥cXc'X\geq cXである。▨

命題 6.9.XXを T3½ 空間、(cX,ec)(cX,e_c)をXXのコンパクト化とし、EEをcXcX上の同値関係であってcX×cXcX\times cXの閉集合であるものとする。各x∈Xx\in Xについて[ec(x)]E={ec(x)}[e_c(x)]_E=\{e_c(x)\}と仮定し、標準全射をq ⁣:cX→Q=cX/Eq\colon cX\to Q=cX/Eとする。このとき(Q,q∘ec)(Q,q\circ e_c)はXXのコンパクト化であり、qqはcX≥QcX\geq Qの比較写像である。また、

πQ=q∘πc,πQ−1({q(z)})=πc−1([z]E)(z∈cX)\pi_Q=q\circ\pi_c, \qquad \pi_Q^{-1}(\{q(z)\})=\pi_c^{-1}([z]_E)\quad(z\in cX)

が成り立つ。

証明.§E2.19 補題 6.18により、QQはコンパクト Hausdorff 空間であり、qqは閉写像である。一元同値類の仮定からq−1(q(ec(X)))=ec(X)q^{-1}(q(e_c(X)))=e_c(X)であり、qqの制限g ⁣:ec(X)→q(ec(X))g\colon e_c(X)\to q(e_c(X))は連続な全単射である。この逆像の等式と§E2.12 補題 5.6 (3)によりggは閉写像であり、§E2.12 命題 6.3により同相写像である。したがってq∘ecq\circ e_cは位相的埋め込みである。

ec(X)e_c(X)はcXcXで稠密であり、§E2.12 命題 1.7 (2)により

Q=q(cl⁡cX(ec(X)))⊆cl⁡Q(q(ec(X)))Q=q\bigl(\tpcl[cX]{e_c(X)}\bigr)\subseteq\tpcl[Q]{q(e_c(X))}

であるから、q(ec(X))q(e_c(X))はQQで稠密である。ゆえに(Q,q∘ec)(Q,q\circ e_c)はXXのコンパクト化であり、qqはその埋め込みとece_cを可換にする比較写像である。

q∘πcq\circ\pi_cはece_cとqqの合成を延長する連続写像βX→Q\beta X\to Qであるから、系 3.5の一意性によりπQ=q∘πc\pi_Q=q\circ\pi_cである。各z∈cXz\in cXについてq−1({q(z)})=[z]Eq^{-1}(\{q(z)\})=[z]_Eであるから、

πQ−1({q(z)})=πc−1(q−1({q(z)}))=πc−1([z]E)\pi_Q^{-1}(\{q(z)\})=\pi_c^{-1}\bigl(q^{-1}(\{q(z)\})\bigr)=\pi_c^{-1}([z]_E)

が成り立つ。▨

注意 6.10. コンパクト化の順序は、そのコンパクト化へ連続に延長することができる有界実数値連続関数の代数の包含によっても記述することができる。「コンパクト化と連続関数環」では、評価埋め込みと Stone–Weierstrass の定理によってこの対応を示し、上限と、関数代数の共通部分が点と閉集合を分離する場合の下限を扱う。

一般には、二つのコンパクト化にも下限が存在しない場合がある。Tzung の論文によれば、有理数空間のコンパクト化の順序集合は束ではない。定理 6.8により二元上限は常に存在するので、この順序集合には下限をもたない二元の組がある。

7 例

命題 7.1.α\alphaをω\omegaまたはω1\omega_1とし、§E2.17 注意 4.1で定める順序数空間α+1\alpha+1の部分集合α\alphaに部分空間位相を入れる。このときα+1\alpha+1はα\alphaのコンパクト化であり、(α+1)∖α(\alpha+1)\setminus\alphaは点α\alphaだけからなる。

証明.§E2.19 定理 7.2によりα+1\alpha+1はコンパクトであり、§E2.17 系 4.4により Hausdorff である。UUをα+1\alpha+1の空でない開集合とし、p∈Up\in Uをとる。ppが点α\alphaと異なるならばp∈α∩Up\in\alpha\cap Uである。ppが点α\alphaであるならば、§E2.17 命題 4.3によりγ<α\gamma<\alphaを満たす順序数γ\gammaが存在して(γ,α]⊆U(\gamma,\alpha]\subseteq Uとなる。α\alphaは無限基数であるから§E1.22 補題 3.1によりγ+1<α\gamma+1<\alphaであり、γ<γ+1\gamma<\gamma+1であるからγ+1∈α∩U\gamma+1\in\alpha\cap Uである。いずれの場合にもUUはα\alphaと交わるから、§E2.11 命題 2.9 (2)によりα\alphaはα+1\alpha+1で稠密である。α\alphaにはα+1\alpha+1からの部分空間位相を入れているから、定義 1.1によりα+1\alpha+1はα\alphaのコンパクト化である。α+1=[0,α]\alpha+1=[0,\alpha]かつα=[0,α)\alpha=[0,\alpha)であるから、(α+1)∖α(\alpha+1)\setminus\alphaは点α\alphaだけからなる。▨

例 7.2.

  1. コンパクト Hausdorff 空間XXは T3½ 空間であり、βX=X\beta X=Xである。
  2. §E2.17 注意 4.1で定める順序数空間ω1+1\omega_1+1はω1\omega_1のコンパクト化である。

証明.(1)を示す。XXはコンパクトかつ Hausdorff であるから、§E2.19 系 6.12により T3½ 空間である。したがって系 2.4によりβX\beta XはXXのコンパクト化であり、命題 1.2によりβX=X\beta X=Xである。

(2)を示す。§E2.17 注意 4.1により、ω1\omega_1がω1+1\omega_1+1から受ける部分空間位相はω1\omega_1の順序位相に一致する。命題 7.1をα=ω1\alpha=\omega_1へ適用すると、ω1+1\omega_1+1は順序数空間ω1\omega_1のコンパクト化である。▨

補題 7.3.§E2.17 注意 4.1で定める順序数空間ω1\omega_1からR\Rへの連続写像f ⁣:ω1→Rf\colon\omega_1\to\Rに対して、あるα<ω1\alpha<\omega_1が存在して、α≤β<ω1\alpha\le\beta<\omega_1を満たすすべてのβ\betaについてf(β)=f(α)f(\beta)=f(\alpha)が成り立つ。

証明.

主張 7.3.1. 各n∈N≥1n\in\NNに対して、あるαn<ω1\alpha_n<\omega_1が存在して、αn≤β<ω1\alpha_n\le\beta<\omega_1を満たすすべてのβ\betaについて∣f(β)−f(αn)∣<1/n\lvert f(\beta)-f(\alpha_n)\rvert<1/nが成り立つ。

証明.n∈N≥1n\in\NNをとり、主張の条件を満たすαn\alpha_nが存在しないと仮定する。このとき、各α<ω1\alpha<\omega_1に対して、α≤β<ω1\alpha\le\beta<\omega_1かつ∣f(β)−f(α)∣≥1/n\lvert f(\beta)-f(\alpha)\rvert\ge1/nを満たすβ\betaが存在し、1/n>01/n>0であるからβ≠α\beta\ne\alpha、すなわちα<β\alpha<\betaである。x1=0x_1=0とおき、xmx_mを定めた後、xm<xm+1<ω1x_m<x_{m+1}<\omega_1かつ∣f(xm+1)−f(xm)∣≥1/n\lvert f(x_{m+1})-f(x_m)\rvert\ge1/nを満たすxm+1x_{m+1}をとる。こうして得られるω1\omega_1の点列(xm)m∈N≥1(x_m)_{m\in\NN}は狭義単調増加である。

T={xm∣m∈N≥1}T=\{x_m\mid m\in\NN\}とおく。TTは高々可算な集合N≥1\NNの像であるから§E1.18 補題 3.5により高々可算であり、§E2.17 補題 4.2によりT⊆[0,δ]T\subseteq[0,\delta]を満たすδ<ω1\delta<\omega_1が存在する。λ=⋃T\lambda=\bigcup Tとおく。§E1.16 補題 4.4によりλ\lambdaは順序数であってTTの最小上界であり、δ\deltaはTTの上界であるからλ≤δ<ω1\lambda\le\delta<\omega_1である。ゆえにλ∈ω1\lambda\in\omega_1である。

各m∈N≥1m\in\NNについてxm<xm+1≤λx_m<x_{m+1}\le\lambdaであるから、λ\lambdaはどのxmx_mとも異なり、とくにλ>x1=0\lambda>x_1=0である。λ=η+1\lambda=\eta+1を満たす順序数η\etaが存在すると仮定する。η<λ\eta<\lambdaであるから、§E1.16 補題 4.4 (3)によりη<xm\eta<x_mを満たすm∈N≥1m\in\NNが存在し、§E1.16 命題 4.2 (2)によりη+1≤xm\eta+1\le x_mである。xm≤λ=η+1x_m\le\lambda=\eta+1とあわせてxm=λx_m=\lambdaとなり、λ\lambdaがどのxmx_mとも異なることに反する。ゆえにλ\lambdaは00でも後続順序数でもなく、§E1.16 定義 4.1により極限順序数である。

V=B(f(λ),1/(2n))=(f(λ)−1/(2n), f(λ)+1/(2n))V=B(f(\lambda),1/(2n))=\bigl(f(\lambda)-1/(2n),\,f(\lambda)+1/(2n)\bigr)とおく。§E2.2 補題 1.2によりVVはR\Rの開集合であるから、§E2.12 定義 1.1によりf−1(V)f^{-1}(V)はλ\lambdaを含むω1\omega_1の開集合である。§E2.17 命題 4.3により、非零の極限順序数λ\lambdaのω1\omega_1における近傍基は(η,λ](\eta,\lambda](η<λ\eta<\lambda)の全体であるから、(η,λ]⊆f−1(V)(\eta,\lambda]\subseteq f^{-1}(V)を満たすη<λ\eta<\lambdaが存在する。§E1.16 補題 4.4 (3)によりη<xm\eta<x_mを満たすm∈N≥1m\in\NNが存在し、η<xm<xm+1≤λ\eta<x_m<x_{m+1}\le\lambdaであるから、xmx_mとxm+1x_{m+1}はともに(η,λ](\eta,\lambda]に属し、f(xm)f(x_m)とf(xm+1)f(x_{m+1})はともにVVに属する。ゆえに

∣f(xm+1)−f(xm)∣≤∣f(xm+1)−f(λ)∣+∣f(λ)−f(xm)∣<12n+12n=1n\lvert f(x_{m+1})-f(x_m)\rvert\le\lvert f(x_{m+1})-f(\lambda)\rvert+\lvert f(\lambda)-f(x_m)\rvert<\frac{1}{2n}+\frac{1}{2n}=\frac{1}{n}

であり、∣f(xm+1)−f(xm)∣≥1/n\lvert f(x_{m+1})-f(x_m)\rvert\ge1/nと両立しない。したがって主張の条件を満たすαn\alpha_nが存在する。▨

各n∈N≥1n\in\NNに対して主張 7.3.1のαn\alpha_nをとる。集合{αn∣n∈N≥1}\{\alpha_n\mid n\in\NN\}は高々可算な集合N≥1\NNの像であるから§E1.18 補題 3.5により高々可算であり、§E2.17 補題 4.2により、すべてのn∈N≥1n\in\NNについてαn≤α\alpha_n\le\alphaを満たすα<ω1\alpha<\omega_1が存在する。α≤β<ω1\alpha\le\beta<\omega_1を満たすβ\betaをとる。各n∈N≥1n\in\NNについてαn≤α≤β\alpha_n\le\alpha\le\betaであるから、主張 7.3.1により∣f(β)−f(αn)∣<1/n\lvert f(\beta)-f(\alpha_n)\rvert<1/nかつ∣f(α)−f(αn)∣<1/n\lvert f(\alpha)-f(\alpha_n)\rvert<1/nであり、

∣f(β)−f(α)∣≤∣f(β)−f(αn)∣+∣f(αn)−f(α)∣<2n\lvert f(\beta)-f(\alpha)\rvert\le\lvert f(\beta)-f(\alpha_n)\rvert+\lvert f(\alpha_n)-f(\alpha)\rvert<\frac{2}{n}

である。f(β)≠f(α)f(\beta)\ne f(\alpha)であると仮定すると、§D1.4 命題 2.1により2/∣f(β)−f(α)∣<n2/\lvert f(\beta)-f(\alpha)\rvert<nを満たすn∈N≥1n\in\NNが存在し、このnnについて2/n<∣f(β)−f(α)∣2/n<\lvert f(\beta)-f(\alpha)\rvertとなって上の不等式と両立しない。ゆえにf(β)=f(α)f(\beta)=f(\alpha)である。▨

命題 7.4.§E2.17 注意 4.1で定める順序数空間ω1\omega_1について、すべてのα<ω1\alpha<\omega_1に対してh(α)=αh(\alpha)=\alphaを満たす同相写像h ⁣:βω1→ω1+1h\colon\beta\omega_1\to\omega_1+1がただ一つ存在する。

証明.§E2.17 系 6.5によりω1\omega_1は T4 かつ T1 空間であるから、§E2.18 系 3.3により T3½ 空間であり、定理 2.2により Stone–Čech のコンパクト化βω1\beta\omega_1をもつ。例 7.2 (2)によりω1+1\omega_1+1はω1\omega_1のコンパクト化であるから、系 3.5により、すべてのα<ω1\alpha<\omega_1に対してπ(α)=α\pi(\alpha)=\alphaを満たす連続な全射π ⁣:βω1→ω1+1\pi\colon\beta\omega_1\to\omega_1+1が存在する。系 5.6により、π\piが相異なる二点を同じ点へ写すならば、その二点はともにβω1∖ω1\beta\omega_1\setminus\omega_1に属する。したがって、βω1∖ω1\beta\omega_1\setminus\omega_1が相異なる二点を含まなければ、π\piは単射である。

p,q∈βω1∖ω1p,q\in\beta\omega_1\setminus\omega_1がp≠qp\ne qを満たすと仮定する。定理 2.2によりβω1\beta\omega_1はコンパクト Hausdorff 空間であるから、§E2.19 系 6.12により T3½ 空間であり、§E2.15 定義 1.8により完全正則かつ T1 である。§E2.15 命題 1.5により{q}\{q\}はβω1\beta\omega_1の閉集合であり、p∉{q}p\notin\{q\}であるから、§E2.15 定義 1.7 (2)によりu(p)=0u(p)=0かつu(q)=1u(q)=1を満たす連続写像u ⁣:βω1→[0,1]u\colon\beta\omega_1\to[0,1]が存在する。系 2.4と定義 1.1により、ω1\omega_1がβω1\beta\omega_1から受ける部分空間位相はω1\omega_1の順序位相に一致する。包含写像ι ⁣:[0,1]→R\iota\colon[0,1]\to\Rとj ⁣:ω1→βω1j\colon\omega_1\to\beta\omega_1は§E2.12 定理 4.4 (1)により連続であるから、g=ι∘u ⁣:βω1→Rg=\iota\circ u\colon\beta\omega_1\to\Rとf=g∘j ⁣:ω1→Rf=g\circ j\colon\omega_1\to\Rは§E2.12 命題 1.10により連続である。補題 7.3により、あるα<ω1\alpha<\omega_1が存在して、A=[α,ω1)A=[\alpha,\omega_1)のすべての点ξ\xiについてf(ξ)=f(α)f(\xi)=f(\alpha)が成り立つ。c=f(α)c=f(\alpha)とおく。

[0,α][0,\alpha]はω1\omega_1の凸部分集合であるから、§E2.17 補題 3.14により[0,α][0,\alpha]がω1\omega_1から受ける部分空間位相は[0,α][0,\alpha]の順序位相に一致し、§E2.19 補題 7.1により[0,α][0,\alpha]はω1\omega_1のコンパクト部分集合である。§E2.19 補題 2.7により[0,α][0,\alpha]はβω1\beta\omega_1のコンパクト部分集合であり、βω1\beta\omega_1は Hausdorff であるから、§E2.19 命題 6.4により[0,α][0,\alpha]はβω1\beta\omega_1の閉集合である。WWをβω1\beta\omega_1におけるppの近傍とすると、§E2.11 定義 6.1によりp∈O⊆Wp\in O\subseteq Wを満たすβω1\beta\omega_1の開集合OOが存在する。p∉ω1p\notin\omega_1であるからp∉[0,α]p\notin[0,\alpha]であり、O∖[0,α]O\setminus[0,\alpha]はppを含むβω1\beta\omega_1の空でない開集合である。定理 2.2によりω1\omega_1はβω1\beta\omega_1で稠密であるから、§E2.11 命題 2.9 (2)によりx∈(O∖[0,α])∩ω1x\in(O\setminus[0,\alpha])\cap\omega_1が存在する。x∈ω1x\in\omega_1かつx∉[0,α]x\notin[0,\alpha]であるからα<x<ω1\alpha<x<\omega_1、すなわちx∈Ax\in Aであり、x∈W∩Ax\in W\cap Aである。ゆえに§E2.11 命題 7.2 (2)によりp∈cl⁡βω1(A)p\in\tpcl[\beta\omega_1]{A}である。ppをqqに替えた同じ議論によりq∈cl⁡βω1(A)q\in\tpcl[\beta\omega_1]{A}である。

§E2.15 定理 3.2 (1)と§E2.15 定理 1.11 (4)によりR\Rは T1 空間であるから、§E2.15 命題 1.5により{c}\{c\}はR\Rの閉集合であり、§E2.12 命題 1.6によりg−1({c})g^{-1}(\{c\})はβω1\beta\omega_1の閉集合である。ξ∈A\xi\in Aに対してg(ξ)=f(ξ)=cg(\xi)=f(\xi)=cであるからA⊆g−1({c})A\subseteq g^{-1}(\{c\})であり、§E2.11 命題 2.5 (1)によりcl⁡βω1(A)⊆g−1({c})\tpcl[\beta\omega_1]{A}\subseteq g^{-1}(\{c\})である。ゆえにu(p)=g(p)=c=g(q)=u(q)u(p)=g(p)=c=g(q)=u(q)となり、u(p)=0u(p)=0かつu(q)=1u(q)=1と両立しない。したがってβω1∖ω1\beta\omega_1\setminus\omega_1は相異なる二点を含まず、π\piは単射である。

π\piは連続な全単射であり、βω1\beta\omega_1はコンパクトであって、§E2.17 系 4.4によりω1+1\omega_1+1は Hausdorff であるから、§E2.19 定理 6.8によりπ\piは同相写像である。h=πh=\piとおけばよい。h1,h2 ⁣:βω1→ω1+1h_1,h_2\colon\beta\omega_1\to\omega_1+1がともにすべてのα<ω1\alpha<\omega_1に対してhi(α)=αh_i(\alpha)=\alphaを満たす連続写像であるとすると、ω1\omega_1はβω1\beta\omega_1で稠密でありω1+1\omega_1+1は Hausdorff であるから、補題 2.1によりh1=h2h_1=h_2である。▨

例 7.5. 順序数空間ω1\omega_1のコンパクト化の同相類は一つだけであり、ω1+1\omega_1+1によって代表される。

証明.命題 7.4により、βω1\beta\omega_1はω1\omega_1のすべての点を固定する同相写像によってω1+1\omega_1+1と同相であるから、βω1∖ω1\beta\omega_1\setminus\omega_1は一点だけからなる。cω1c\omega_1を任意のコンパクト化とし、系 3.5の全射π ⁣:βω1→cω1\pi\colon\beta\omega_1\to c\omega_1をとる。系 5.6によれば、π\piが同一視する相異なる二点はともに剰余に属するから、剰余が一点であることによりπ\piは単射である。§E2.19 定理 6.8によりπ\piは同相写像であり、ω1\omega_1のすべての点を固定する。したがって[cω1]=[ω1+1][c\omega_1]=[\omega_1+1]である。▨

例 7.6.R\Rに二点−∞-\infty、∞\inftyを加えた全順序集合K=[−∞,∞]K=[-\infty,\infty]に順序位相を入れる。KKはR\Rのコンパクト化であり、βR≥K\beta\R\geq Kである。さらに、βR×K\beta\R\times Kにおける{(x,x)∣x∈R}\{(x,x)\mid x\in\R\}の閉包は、X=RX=\Rとした系 3.5の写像π ⁣:βR→K\pi\colon\beta\R\to Kのグラフであり、第一射影によりβR\beta\Rと同相である。したがって、[βR][\beta\R]と[K][K]の上限は[βR][\beta\R]である。

証明.§E2.17 定理 1.8によりKKは Hausdorff である。R\RはKKの凸部分集合であるから、§E2.17 補題 3.14と§E2.17 例 2.3により、KKからR\Rに入る部分空間位相は通常の位相に一致する。両端点の任意の近傍は実数を含むから、R\RはKKで稠密である。

U\mathcal UをKKの開被覆とする。§E2.17 命題 1.7により、U−,U+∈UU_-,U_+\in\mathcal Uと実数a<ba<bであって、[−∞,a)⊆U−[-\infty,a)\subseteq U_-、(b,∞]⊆U+(b,\infty]\subseteq U_+を満たすものをとることができる。§E2.9 定理 4.3により[a,b][a,b]はコンパクトであるから、U\mathcal Uの有限個の元で覆われる。それらにU−U_-とU+U_+を加えるとKKを覆う。ゆえにKKはコンパクトであり、R\Rのコンパクト化である。命題 1.3によりR\Rは T3½ 空間であり、系 3.5の写像π ⁣:βR→K\pi\colon\beta\R\to Kが存在するからβR≥K\beta\R\geq Kである。

写像g ⁣:βR→βR×Kg\colon\beta\R\to\beta\R\times Kをg(z)=(z,π(z))g(z)=(z,\pi(z))によって定める。§E2.14 定理 1.6によりggは連続であり、その像Γ\Gammaは、§E2.19 系 6.5によりβR×K\beta\R\times Kの閉集合である。g(R)={(x,x)∣x∈R}g(\R)=\{(x,x)\mid x\in\R\}であり、§E2.12 命題 1.7 (2)により

Γ=g(cl⁡βR(R))⊆cl⁡βR×K(g(R))⊆Γ\Gamma=g\bigl(\tpcl[\beta\R]{\R}\bigr)\subseteq\tpcl[\beta\R\times K]{g(\R)}\subseteq\Gamma

であるから、Γ=cl⁡βR×K(g(R))\Gamma=\tpcl[\beta\R\times K]{g(\R)}である。ggの終域をΓ\Gammaへ制限した写像は、第一射影pr⁡1∣Γ\pr_1|_\Gammaを逆写像にもつ同相写像であり、x∈Rx\in\Rを(x,x)(x,x)へ写す。定理 6.8により、[βR][\beta\R]と[K][K]の上限は[Γ]=[βR][\Gamma]=[\beta\R]である。▨

例 7.7.§E2.17 注意 4.1で定める順序数空間ω+1\omega+1の部分集合ω\omegaに部分空間位相を入れる。このときω\omegaは離散空間であり、ω+1\omega+1はω\omegaのコンパクト化であって、(ω+1)∖ω(\omega+1)\setminus\omegaは点ω\omegaだけからなる。さらに、すべてのx∈ωx\in\omegaに対してj(x)=xj(x)=xを満たす連続写像j ⁣:ω+1→βωj\colon\omega+1\to\beta\omegaは存在しない。

証明.ω=[0,ω)\omega=[0,\omega)はω+1=[0,ω]\omega+1=[0,\omega]の初期区間であり、とくに凸であるから、§E2.17 補題 3.14により、ω\omegaがω+1\omega+1から受ける部分空間位相はω\omegaの順序位相に一致する。ω\omegaの元は自然数であり、その順序はN≥0\mathbb N_{\geq 0}の通常の順序であるから、§E2.17 例 2.2によりこの位相は離散位相である。ゆえにω\omegaは離散空間である。

命題 7.1をα=ω\alpha=\omegaへ適用すると、ω+1\omega+1はω\omegaのコンパクト化であり、(ω+1)∖ω(\omega+1)\setminus\omegaは点ω\omegaだけからなる。

ω\omegaは離散空間であるから、§E2.15 例 5.1 (1)により T3½ 空間であり、定理 2.2により Stone–Čech のコンパクト化βω\beta\omegaをもつ。二点集合D={0,1}D=\{0,1\}に離散位相を入れる。ω\omegaの元は自然数であるから、各k∈N≥0k\in\mathbb N_{\geq 0}に対してu(2k)=0u(2k)=0、u(2k+1)=1u(2k+1)=1とする写像u ⁣:ω→Du\colon\omega\to Dを定めることができる。ω\omegaは離散空間であるからuuは連続であり、§E2.15 例 5.1 (1)と§E2.19 例 2.3によりDDはコンパクト Hausdorff 空間である。したがって定理 3.2により、uuは連続写像uˉ ⁣:βω→D\bar u\colon\beta\omega\to Dへ延長される。

すべてのx∈ωx\in\omegaに対してj(x)=xj(x)=xを満たす連続写像j ⁣:ω+1→βωj\colon\omega+1\to\beta\omegaが存在すると仮定し、h=uˉ∘jh=\bar u\circ jとおく。§E2.12 命題 1.10によりhhはuuを延長する連続写像ω+1→D\omega+1\to Dである。ε=h(ω)\varepsilon=h(\omega)とおく。DDは離散空間であるから、V=h−1({ε})V=h^{-1}(\{\varepsilon\})は点ω\omegaを含むω+1\omega+1の開集合であり、§E2.17 命題 4.3により(n,ω]⊆V(n,\omega]\subseteq Vを満たすn∈N≥0n\in\mathbb N_{\geq 0}が存在する。n+1n+1とn+2n+2はともに(n,ω]∩ω(n,\omega]\cap\omegaに属するから、hhがuuを延長することとあわせてu(n+1)=h(n+1)=ε=h(n+2)=u(n+2)u(n+1)=h(n+1)=\varepsilon=h(n+2)=u(n+2)である。一方、n+1n+1とn+2n+2の一方は偶数、他方は奇数であるから、uuの定め方によりu(n+1)≠u(n+2)u(n+1)\neq u(n+2)である。u(n+1)=u(n+2)u(n+1)=u(n+2)とu(n+1)≠u(n+2)u(n+1)\neq u(n+2)は両立しないから、jjは存在しない。▨

注意 7.8.定理 5.2 (3)はXXとYYのコンパクト化の組すべてを走る全称の条件であり、すべてのx∈Xx\in Xに対してf~(x)=f(x)\tilde f(x)=f(x)を満たす連続写像f~ ⁣:αX→γY\tilde f\colon\alpha X\to\gamma Yが存在しない組については、課される等式が一つもないから無条件に成り立つ。例 7.7は、X=Y=ωX=Y=\omega、f=id⁡ωf=\operatorname{id}_{\omega}、αX=ω+1\alpha X=\omega+1、γY=βω\gamma Y=\beta\omegaとしたときに延長写像が存在しないコンパクト化の組を与える。

それでも定理 5.2 (3)が空虚な条件でないのは、系 2.4と命題 3.1がβX\beta X、βY\beta Y、βf\beta fという組をつねに供給するからである。証明のうち定理 5.2 (3)⇒\Rightarrow(2)を示す段落は、この一組へ条件を適用している。

αX\alpha XとγY\gamma Yを固定すると、定理 5.2 (3)のf~\tilde fは存在すれば一つに限る。条件を満たす連続写像が二つあるとすると、XXはαX\alpha Xで稠密でありγY\gamma Yは Hausdorff であるから、補題 2.1により二つは一致する。

注意 7.9.例 7.7の離散空間ω\omegaはN≥0\mathbb N_{\geq 0}に離散位相を入れた空間であり、その Stone–Čech のコンパクト化βω\beta\omegaはβN≥0\beta\mathbb N_{\geq 0}とも書かれる。剰余βω∖ω\beta\omega\setminus\omegaのより詳しい部分空間としての性質と、その点の一般的な分類は、後続の単元が扱う。

8 演習

問題 8.1.XXを T3½ 空間、cXcXをXXのコンパクト化、KKを Hausdorff 空間とし、g1,g2 ⁣:cX→Kg_1,g_2\colon cX\to Kをすべてのx∈Xx\in Xに対してg1(x)=g2(x)g_1(x)=g_2(x)を満たす連続写像とする。g1=g2g_1=g_2であることを証明せよ。また、位相空間ZZ、Hausdorff 空間WW、部分集合A⊆ZA\subseteq Z、および連続写像h1,h2 ⁣:Z→Wh_1,h_2\colon Z\to Wであって、すべてのa∈Aa\in Aに対してh1(a)=h2(a)h_1(a)=h_2(a)が成り立ち、なおh1≠h2h_1\neq h_2であるものの例を挙げ、それが条件を満たすことを証明せよ。

解答.

定義 1.1によりcl⁡cX(X)=cX\tpcl[cX]{X}=cXであるから、§E2.11 定義 2.7によりXXはcXcXで稠密である。KKは Hausdorff であるから、補題 2.1によりg1=g2g_1=g_2である。

Z=W={0,1}Z=W=\{0,1\}に離散位相を入れ、A={0}A=\{0\}とする。h1=id⁡Zh_1=\operatorname{id}_Zとし、h2h_2を値00をとる定値写像とする。§E2.12 例 1.11により、離散位相を定義域にもつ写像はすべて連続であるから、h1h_1とh2h_2は連続である。§E2.15 例 5.1 (1)によりWWは T3½ 空間であり、§E2.15 定理 1.11 (2)と§E2.15 定理 1.11 (3)により Hausdorff である。h1(0)=0=h2(0)h_1(0)=0=h_2(0)であるから両者はAAのすべての点で一致するが、h1(1)=1≠0=h2(1)h_1(1)=1\neq 0=h_2(1)であるからh1≠h2h_1\neq h_2である。このAAはZZで稠密でない。実際、{1}\{1\}はZZの空でない開集合であってAAと交わらないから、§E2.11 命題 2.9 (2)によりAAはZZで稠密でない。▨

問題 8.2.XXを T3½ 空間とし、XXの任意のコンパクト化cXcXについてcX=XcX=Xが成り立つとする。このときXXがコンパクトであることを証明せよ。これは命題 1.2の逆にあたる。

解答.

XXは T3½ 空間であるから、系 2.4によりβX\beta XはXXのコンパクト化である。仮定をcX=βXcX=\beta Xへ適用するとβX=X\beta X=Xであり、定理 2.2によりβX\beta XはコンパクトであるからXXはコンパクトである。▨

参考文献

  1. Ryszard Engelking, General Topology, revised and completed ed., Sigma Series in Pure Mathematics 6, Heldermann Verlag, Berlin, 1989.立方体への埋め込みの像の閉包による Stone–Čech のコンパクト化の構成、その普遍性、コンパクト化の間の射影、完全写像とコンパクト化の間の延長の関係、および逆像の条件による特徴づけを参考にした。
  2. Stephen Willard, General Topology, Dover Publications, 2004, originally published 1970.コンパクト化の一般論と、最大のコンパクト化としての Stone–Čech のコンパクト化の位置づけを参考にした。
  3. Leonard Gillman and Meyer Jerison, Rings of Continuous Functions, Graduate Texts in Mathematics 43, Springer, New York, 1976.Stone–Čech のコンパクト化の普遍性と、連続写像の対応が恒等写像と合成を保つことを参考にした。
  4. Fu-Chien Tzung, Sufficient conditions for the set of Hausdorff compactifications to be a lattice, Pacific Journal of Mathematics 77 (1978), no. 2, 565–573.有理数空間のコンパクト化の順序集合が束でないことを参考にした。

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