§E6.27Euclid 整域・PID・UFD

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整数では、Euclid アルゴリズムによって最大公約数とその Bézout 表示を求めることができる。たとえば、方程式252x+198y=18252x+198y=18を満たすすべての整数対(x,y)(x,y)を記述する問題は、一つの Bézout 表示を得るだけでは終わらない。また、12=22⋅312=2^2\cdot3のような素因数分解は、因子の順序を入れ替える違いを除いて一意である。

一般の可換整域では、既約元が素元であるとは限らず、既約分解の存在自体も保証されず、存在する場合にも一意性は自動的には成り立たない。実際、Z[−5]\Z[\sqrt{-5}]ではノルムを用いると22が既約元であることを確かめることができるが、6=(1+−5)(1−−5)6=(1+\sqrt{-5})(1-\sqrt{-5})を割る22は二つの因子のどちらも割らないため、素元ではない。

単位元をもつ零でない可換整域のうち、Euclid 整域は余りを伴う除法を持ち、単項イデアル整域(PID)はすべてのイデアルが一つの元で生成され、一意分解整域(UFD)は既約分解の存在と一意性を持つ。これらは可換環論において最も基本的な整域のクラスであり、Euclid 整域、PID、UFD の順に包含される。

本記事では、整除、最大公約元および三つの整域の基本的な性質と代表的な例を解説する。

1 定義

定義 1.1.RRを整域とする。a,b∈Ra,b\in Rに対して、あるc∈Rc\in Rが存在して

b=acb=ac

となるとき、aaはbbを割る (divides) といい、a∣ba\mid bと書く。

a,b∈Ra,b\in Rに対して、ある単元u∈R×u\in R^\timesが存在してa=uba=ubとなるとき、aaとbbは同伴 (associates) であるという。

aaとbbが同伴ならば、a∣ba\mid bかつb∣ab\mid aである。逆に、整域において非零元a,ba,bが互いに割り合うならば、aaとbbは同伴である。実際、a=bca=bc、b=adb=adと書くとa=acda=acdであり、a≠0a\neq0を消去してcd=1cd=1を得る。したがってccとddは単元である。零元についても00と同伴な元は00だけである。

定義 1.2.RRを整域とする。p∈Rp\in Rが次の三条件を満たすとき、ppを既約元 (irreducible element) という。

  1. p≠0p\neq0である。
  2. ppは単元でない。
  3. p=abp=abとなるa,b∈Ra,b\in Rに対して、aaまたはbbは単元である。

p∈Rp\in Rが次の三条件を満たすとき、ppを素元 (prime element) という。

  1. p≠0p\neq0である。
  2. ppは単元でない。
  3. p∣abp\mid abとなるa,b∈Ra,b\in Rに対して、p∣ap\mid aまたはp∣bp\mid bである。

命題 1.3. 整域RRの素元は既約元である。

証明. 演習とする。▨

定義 1.4.RRを整域とする。a,b∈Ra,b\in Rに対して、d∈Rd\in Rが次の二条件を満たすとき、ddをaaとbbの最大公約元 (greatest common divisor) という。

  1. d∣ad\mid aかつd∣bd\mid bである。
  2. c∣ac\mid aかつc∣bc\mid bとなる任意のc∈Rc\in Rに対して、c∣dc\mid dである。

(a,b)=(0,0)(a,b)=(0,0)の場合には、最大公約元を00とする。

最後の規約は二条件からも強制される。実際、00は00と00の公約元であるため、最大公約元ddは0∣d0\mid dを満たす。したがってd=0d=0である。また、a≠0a\neq0のとき、aaと00の最大公約元はaaと同伴である。

命題 1.5.RRを整域とする。ddとeeがともにa,b∈Ra,b\in Rの最大公約元ならば、ddとeeは同伴である。

証明.ddはa,ba,bの公約元であり、eeは最大公約元であるからd∣ed\mid eである。同様にe∣de\mid dである。

a=b=0a=b=0ならば、定義の規約からd=e=0d=e=0である。(a,b)≠(0,0)(a,b)\neq(0,0)ならば、最大公約元ddとeeはいずれも非零である。実際、d=0d=0ならば0∣a0\mid aかつ0∣b0\mid bからa=b=0a=b=0となる。したがって非零元d,ed,eが互いに割り合うことから、ddとeeは同伴である。▨

定義 1.6. 整域RRに対して、写像

δ ⁣:R∖{0}⟶N≥0\delta\colon R\setminus\{0\}\longrightarrow\N

が存在し、任意のa,b∈Ra,b\in R、b≠0b\neq0に対して、あるq,r∈Rq,r\in Rが

a=bq+r,r=0またはδ(r)<δ(b)a=bq+r, \qquad r=0\quad\text{または}\quad\delta(r)<\delta(b)

を満たすとき、RRをEuclid 整域 (Euclidean domain) といい、δ\deltaをEuclid 関数 (Euclidean function) という。商qqと余りrrは一意である必要はない。

定義 1.7. 整域RRの任意のイデアルが一つの元で生成されるとき、RRを単項イデアル整域 (principal ideal domain) といい、PID と略記する。零イデアルも(0)(0)という単項イデアルに含める。

整域RRが次の二条件を満たすとき、RRを一意分解整域 (unique factorization domain) といい、UFD と略記する。

  1. 任意の非零非単元a∈Ra\in Rは、ある単元u∈R×u\in R^\times、整数n≥1n\geq1および既約元p1,…,pnp_1,\ldots,p_nを用いて a=up1⋯pna=up_1\cdots p_n と書くことができる。
  2. 非零非単元a∈Ra\in Rに二つの表示 a=up1⋯pn=vq1⋯qma=up_1\cdots p_n=vq_1\cdots q_m があり、n,m≥1n,m\geq1、u,vu,vが単元、pi,qjp_i,q_jが既約元ならば、n=mn=mであり、ある置換σ\sigmaに対して各pip_iはqσ(i)q_{\sigma(i)}と同伴である。

零元と単元は、UFD における既約分解の存在条件と一意性条件の対象から除く。

2 Euclid 整域と PID

定理 2.1. 任意の Euclid 整域は単項イデアル整域である。

証明. 演習とする。▨

命題 2.2.RRを PID とし、a,b∈Ra,b\in Rとする。イデアル(a,b)(a,b)の生成元をddとすると、ddはa,ba,bの最大公約元であり、あるx,y∈Rx,y\in Rが存在して

d=xa+ybd=xa+yb

となる。特に、a,ba,bの最大公約元が単元であることと(a,b)=R(a,b)=Rであることは同値である。

証明.RRは PID であるため、あるd∈Rd\in Rによって(a,b)=(d)(a,b)=(d)と書くことができる。a,b∈(d)a,b\in(d)であるからd∣ad\mid aかつd∣bd\mid bである。c∣ac\mid aかつc∣bc\mid bとすると、ccはa,ba,bの任意の線形結合を割る。d∈(a,b)d\in(a,b)であるためc∣dc\mid dとなり、ddは最大公約元である。

d∈(a,b)d\in(a,b)であることから、あるx,y∈Rx,y\in Rが存在してd=xa+ybd=xa+ybとなる。a=b=0a=b=0の場合には(a,b)=(0)(a,b)=(0)であり、d=0d=0と選べばd=0a+0bd=0a+0bである。

ddが単元ならば(d)=R(d)=Rであるから(a,b)=R(a,b)=Rである。逆に(a,b)=R(a,b)=Rならば(d)=R(d)=Rであり、1∈(d)1\in(d)であるためddは単元である。▨

定理 2.3 (Euclid アルゴリズムと Bézout 等式).RRを Euclid 関数δ\deltaをもつ Euclid 整域とする。任意のa,b∈Ra,b\in Rに対して、Euclid アルゴリズムは有限回で停止する。(a,b)≠(0,0)(a,b)\neq(0,0)のとき、最後に得られる非零元ddはa,ba,bの最大公約元になる。ここで、b=0b=0の場合には初期値aaをddとする。さらに、あるx,y∈Rx,y\in Rが存在して

d=xa+ybd=xa+yb

となる。(a,b)=(0,0)(a,b)=(0,0)の場合にはd=0d=0、x=y=0x=y=0とする。

証明. 最初にa=b=0a=b=0とする。この場合には最大公約元の規約からd=0d=0であり、

0=0a+0b0=0a+0b

である。

次に(a,b)≠(0,0)(a,b)\neq(0,0)とする。b=0b=0ならばd:=ad:=aと置く。a≠0a\neq0であり、aaはaaと00の最大公約元である。また、a=1a+0ba=1a+0bである。

以下ではb≠0b\neq0とする。r−1:=ar_{-1}:=a、r0:=br_0:=bと置く。ri≠0r_i\neq0である限り Euclid 整域の除法を適用し、

ri−1=qi+1ri+ri+1,ri+1=0またはδ(ri+1)<δ(ri)r_{i-1}=q_{i+1}r_i+r_{i+1}, \qquad r_{i+1}=0\quad\text{または}\quad \delta(r_{i+1})<\delta(r_i)

となるqi+1,ri+1∈Rq_{i+1},r_{i+1}\in Rを選ぶ。非零余りが続く間、

δ(r0)>δ(r1)>δ(r2)>⋯\delta(r_0)>\delta(r_1)>\delta(r_2)>\cdots

は非負整数の真の減少列である。そのような列は無限に続かないため、あるn≥0n\geq0においてrn≠0r_n\neq0かつrn+1=0r_{n+1}=0となる。

等式

ri+1=ri−1−qi+1rir_{i+1}=r_{i-1}-q_{i+1}r_i

からri+1∈(ri−1,ri)r_{i+1}\in(r_{i-1},r_i)であるため、

(ri,ri+1)⊆(ri−1,ri)(r_i,r_{i+1})\subseteq(r_{i-1},r_i)

となる。逆に

ri−1=qi+1ri+ri+1r_{i-1}=q_{i+1}r_i+r_{i+1}

からri−1∈(ri,ri+1)r_{i-1}\in(r_i,r_{i+1})であるため、逆包含も成り立つ。よって

(ri−1,ri)=(ri,ri+1)(r_{i-1},r_i)=(r_i,r_{i+1})

である。等式(ri−1,ri)=(ri,ri+1)(r_{i-1},r_i)=(r_i,r_{i+1})を最後の段階まで繰り返すと、

(a,b)=(r−1,r0)=(r0,r1)=⋯=(rn,rn+1)=(rn)(a,b)=(r_{-1},r_0)=(r_0,r_1)=\cdots =(r_n,r_{n+1})=(r_n)

を得る。

d:=rnd:=r_nと置く。定理 2.1によりRRは PID であり、(a,b)=(d)(a,b)=(d)と命題 2.2から、ddはa,ba,bの最大公約元である。また、d=xa+ybd=xa+ybを満たすx,y∈Rx,y\in Rが存在する。

係数x,yx,yは、最後の非零余りrnr_nから順に

ri+1=ri−1−qi+1rir_{i+1}=r_{i-1}-q_{i+1}r_i

を代入し、r−1=ar_{-1}=aとr0=br_0=bの線形結合へ戻すことによって求めることができる。商と余りの選択が一意でない場合でも、得られる最後の非零余りは常にa,ba,bの最大公約元であるから、異なる選択による結果は互いに同伴である。▨

補題 2.4.RRを PID とし、a,b,c∈Ra,b,c\in Rとする。a,ba,bの最大公約元が単元であり、a∣bca\mid bcならば、a∣ca\mid cである。

証明. 演習とする。▨

補題 2.5 (Euclid の補題).RRを PID とし、p∈Rp\in Rを既約元とする。p∣abp\mid abとなるa,b∈Ra,b\in Rに対して、p∣ap\mid aまたはp∣bp\mid bである。したがって、PID の既約元は素元である。

証明.ddをp,ap,aの最大公約元とする。d∣pd\mid pであるからp=dep=deとなるe∈Re\in Rが存在する。ppは既約元であるため、ddまたはeeは単元である。

eeが単元ならばd=e−1pd=e^{-1}pであり、ddはppと同伴である。さらにd∣ad\mid aであるからp∣ap\mid aである。

ddが単元ならば、p,ap,aの最大公約元は単元である。仮定p∣abp\mid abと補題 2.4をp,a,bp,a,bへ適用するとp∣bp\mid bを得る。

いずれの場合にもp∣ap\mid aまたはp∣bp\mid bである。ppは既約元であるから非零非単元でもあり、素元の定義を満たす。▨

命題 1.3と補題 2.5により、PID では素元と既約元が一致する。

3 PID における既約分解

命題 3.1.RRを PID とする。イデアルの任意の昇鎖

I1⊆I2⊆I3⊆⋯I_1\subseteq I_2\subseteq I_3\subseteq\cdots

は停止する。すなわち、あるN≥1N\geq1が存在して、すべてのn≥Nn\geq Nに対してIn=INI_n=I_Nとなる。

証明. 左RR加群RR{}_RRの部分加群はRRのイデアルである。RRは PID なので、各部分加群は一元生成であり、特に有限生成である。§E6.20 命題 1.2によりRR{}_RRは昇鎖条件を満たす。したがって、RRのイデアルの任意の昇鎖は停止する。▨

命題 3.2.RRを PID とする。任意の非零非単元a∈Ra\in Rは、ある整数n≥1n\geq1と既約元p1,…,pn∈Rp_1,\ldots,p_n\in Rを用いて

a=p1⋯pna=p_1\cdots p_n

と書くことができる。したがって、先頭の単元として11を取ることにより、UFD の存在条件も満たされる。

証明. 既約元の有限積に書くことができない非零非単元a0∈Ra_0\in Rが存在すると仮定する。そのような元aia_iは既約でないので、非単元b,c∈Rb,c\in Rを用いてai=bca_i=bcと書くことができる。ai≠0a_i\neq0なのでb,cb,cも非零である。b,cb,cがともに既約元の有限積に書くことができれば、両方の分解を連結してaia_iの既約分解を得る。したがって、少なくとも一方は既約元の有限積に書くことができない。その因子をai+1a_{i+1}、もう一方をeie_iと選ぶ。

この選択を反復すると、既約分解をもたない非零非単元aia_iと非零非単元eie_iが

ai=ai+1eia_i=a_{i+1}e_i

を満たす。この等式から(ai)⊆(ai+1)(a_i)\subseteq(a_{i+1})である。この包含が等号であると仮定すると、ai+1=aita_{i+1}=a_i tとなるt∈Rt\in Rが存在する。したがって

ai+1=ait=ai+1eita_{i+1}=a_i t=a_{i+1}e_i t

となる。ai+1≠0a_{i+1}\neq0を整域で消去すると1=eit1=e_i tを得るため、eie_iは単元になる。eie_iが単元になる結論は、eie_iの選び方に反する。よって

(a0)⊊(a1)⊊(a2)⊊⋯(a_0)\subsetneq(a_1)\subsetneq(a_2)\subsetneq\cdots

は主イデアルの真の昇鎖である。

この昇鎖は命題 3.1に反する。したがって、既約元の有限積に書くことができない非零非単元は存在しない。各非零非単元は少なくとも一個の既約元を含む有限積に書くことができる。▨

定理 3.3.RRを、すべての既約元が素元である整域とする。単元u,v∈R×u,v\in R^\timesと既約元p1,…,pn,q1,…,qm∈Rp_1,\ldots,p_n,q_1,\ldots,q_m\in Rに対して

up1⋯pn=vq1⋯qmup_1\cdots p_n=vq_1\cdots q_m

とする。ここでn,m≥0n,m\geq0とし、因子がない積は11とする。このときn=mn=mであり、ある置換σ\sigmaに対して、各pip_iはqσ(i)q_{\sigma(i)}と同伴である。pi=εiqσ(i)p_i=\varepsilon_iq_{\sigma(i)}、εi∈R×\varepsilon_i\in R^\timesと書くと、uε1⋯εn=vu\varepsilon_1\cdots\varepsilon_n=vである。

証明.n=0n=0のとき、等式は

u=vq1⋯qmu=vq_1\cdots q_m

である。m≥1m\geq1ならばq1∣uq_1\mid uとなる。しかし単元の約元は単元である。実際、u=q1cu=q_1cならばq1(cu−1)=1q_1(cu^{-1})=1である。q1q_1が単元になる結論は、既約元q1q_1が非単元であることに反する。したがってm=0m=0であり、主張は成り立つ。

n≥1n\geq1とし、n−1n-1個以下の因子に対する主張を仮定する。m=0m=0ならば等式からp1∣vp_1\mid vとなり、先ほどと同様に既約元p1p_1が単元であるという矛盾を得る。よってm≥1m\geq1である。

p1p_1は既約元であるため、仮定により素元である。表示された等式から

p1∣vq1⋯qmp_1\mid vq_1\cdots q_m

である。vvは単元であるからp1∤vp_1\nmid vである。素元の条件を積へ繰り返し適用すると、あるjjに対してp1∣qjp_1\mid q_jとなる。因子の順序を入れ替え、j=1j=1としてよい。

q1=p1cq_1=p_1cとなるc∈Rc\in Rを取る。q1q_1は既約元でありp1p_1は非単元であるため、ccは単元である。したがってp1p_1とq1q_1は同伴である。元の等式を

up1p2⋯pn=vp1cq2⋯qmup_1p_2\cdots p_n=vp_1c q_2\cdots q_m

と書き、非零元p1p_1を消去すると

up2⋯pn=(vc)q2⋯qmup_2\cdots p_n=(vc)q_2\cdots q_m

を得る。vcvcは単元である。帰納法の仮定によりn−1=m−1n-1=m-1であり、残りの因子も置換と同伴を除いて対応する。先に対応させたp1,q1p_1,q_1を加えるとn=mn=mであり、すべての因子が対応する。

同伴単元についての等式の証明は演習とする。▨

命題 3.4. 任意の単項イデアル整域は一意分解整域である。

証明.RRを PID とする。命題 3.2により、任意の非零非単元は既約元の有限積に書くことができる。補題 2.5により、RRのすべての既約元は素元である。したがって定理 3.3により、二つの既約分解は因子の順序と同伴を除いて一致する。既約分解の存在と一意性が定義 1.7の二条件を満たすため、RRは UFD である。▨

以上の結果をまとめると、包含関係

Euclid 整域⟹PID⟹UFD\text{Euclid 整域}\Longrightarrow\text{PID}\Longrightarrow\text{UFD}

が得られる。第一の矢印は除法における最小の Euclid 値から、第二の矢印は主イデアルの昇鎖停止と Euclid の補題から従う。

4 例

例 4.1 (整数環の Euclid 関数と最大公約元).Z\Zの単元は11と−1-1である。実際、uv=1uv=1となる整数u,vu,vに絶対値を取ると∣u∣∣v∣=1|u||v|=1であるため、∣u∣=1|u|=1となる。逆に11と−1-1はそれぞれ自分自身を逆元にもつ。

非零整数nnに対して

δ(n):=∣n∣\delta(n):=|n|

と定める。a,b∈Za,b\in\Z、b≠0b\neq0とする。正整数∣b∣|b|による整数の除法から、あるQ,r∈ZQ,r\in\Zが存在して

a=Q∣b∣+r,0≤r<∣b∣a=Q|b|+r, \qquad 0\leq r<|b|

となる。b>0b>0ならばq:=Qq:=Q、b<0b<0ならばq:=−Qq:=-Qと置くと、いずれの場合にも

a=bq+ra=bq+r

である。r=0r=0であるか、r>0r>0かつ

δ(r)=r<∣b∣=δ(b)\delta(r)=r<|b|=\delta(b)

である。したがってδ\deltaは Euclid 関数であり、Z\Zは Euclid 整域である。よってZ\Zは PID かつ UFD でもある。

252252と198198に Euclid アルゴリズムを適用すると、

252=1⋅198+54,198=3⋅54+36,54=1⋅36+18,36=2⋅18\begin{aligned} 252&=1\cdot198+54,\\ 198&=3\cdot54+36,\\ 54&=1\cdot36+18,\\ 36&=2\cdot18 \end{aligned}

となる。最後の非零余りは1818である。逆代入によって

18=54−36=54−(198−3⋅54)=4⋅54−198=4(252−198)−198=4⋅252−5⋅198\begin{aligned} 18&=54-36\\ &=54-(198-3\cdot54)\\ &=4\cdot54-198\\ &=4(252-198)-198\\ &=4\cdot252-5\cdot198 \end{aligned}

を得る。したがって1818は両方を割り、両方を割る任意の整数は表示された線形結合1818も割るため、1818は252,198252,198の最大公約元である。−18-18も同伴な最大公約元である。

補題 4.2. 整数について次が成り立つ。

  1. 非負整数a,ba,bがgcd⁡(a,b)=1\gcd(a,b)=1を満たすならば、ua+vb=1ua+vb=1を満たす整数u,vu,vが存在する。
  2. 正の整数n>1n>1は素数の積に分解し、その素因数分解は素数の順序を除いて一意である。
  3. t≥1t\geq1とし、正整数n1,…,ntn_1,\ldots,n_tは二つずつ互いに素であるとする。すべてのnin_iが整数xxを割るならば、積n1⋯ntn_1\cdots n_tもxxを割る。

証明.例 4.1と定理 2.1によりZ\Zは PID であり、命題 3.4により UFD である。

(1)を示す。gcd⁡(a,b)=1\gcd(a,b)=1なので、a,ba,bの最大公約元は11と同伴である。命題 2.2の Bézout 等式を単元倍して、ua+vb=1ua+vb=1となる整数u,vu,vを得る。この結論はa,ba,bが非負整数で一方が零の場合にも成り立つ。実際、a=0a=0ならばb=1b=1なので(u,v)=(0,1)(u,v)=(0,1)を取り、b=0b=0ならばa=1a=1なので(u,v)=(1,0)(u,v)=(1,0)を取ればよい。

(2)を示す。整数環の単元は1,−11,-1である。非零非単元r∈Zr\in\Zが非単元の積ababに分解することと、∣r∣|r|が11より大きい二つの正整数∣a∣,∣b∣|a|,|b|の積に分解することは同値である。したがって、rrが既約元であることと∣r∣|r|が素数であることは同値である。Z\Zの一意分解性により、n>1n>1を既約元の積に分解し、各因子を正の同伴元に取り替えると

n=εp1⋯ps,ε∈{1,−1},pi>0n=\varepsilon p_1\cdots p_s,\qquad \varepsilon\in\{1,-1\},\qquad p_i>0

となる。各pip_iは素数であり、n>0n>0なのでε=1\varepsilon=1である。同伴な正の素数は等しいから、既約分解の一意性により素数の順序以外の曖昧さはない。また、補題 2.5により、素数ppと整数a,ba,bに対してp∣abp\mid abならばp∣ap\mid aまたはp∣bp\mid bである。

(3)を示す。t=1t=1の場合は仮定そのものである。t≥2t\geq2とし、t−1t-1個の場合を仮定する。M=n1⋯nt−1M=n_1\cdots n_{t-1}と置くと、帰納法の仮定からx=Myx=Myとなる整数yyが存在する。ntn_tとMMの公約数が11より大きければ、(2)により、その公約数を割る素数ppが存在する。Euclid の補題を積MMに適用すると、p∣nip\mid n_iを満たすi<ti<tが存在する。p∣ntp\mid n_tでもあるので、ni,ntn_i,n_tが互いに素であることに反する。したがってgcd⁡(nt,M)=1\gcd(n_t,M)=1である。nt∣Myn_t\mid Myと補題 2.4からnt∣yn_t\mid yを得る。よってMnt∣xMn_t\mid xである。▨

例 4.3 (体は Euclid 整域である).FFを体とする。体は零環でなく、非零元の積が非零であるため整域である。非零元x∈Fx\in Fに対して

δ(x):=0\delta(x):=0

と定める。a,b∈Fa,b\in F、b≠0b\neq0に対して

q:=ab−1,r:=0q:=ab^{-1}, \qquad r:=0

と置けばa=bq+ra=bq+rである。余りが零であるため、Euclid 関数の不等式を確認する必要はない。よってFFは Euclid 整域である。

定理 2.1によりFFは PID である。実際、非零イデアルI⊆FI\subseteq Fには非零元aaが存在する。a−1a=1∈Ia^{-1}a=1\in IであるためI=F=(1)I=F=(1)である。零イデアルは(0)(0)である。

さらに、FFには非零非単元が存在しない。したがって UFD の既約分解の存在条件は空虚に成り立ち、一意性条件を適用する表示も存在しない。よってFFは UFD である。

例 4.4 (Z[−5]\Z[\sqrt{-5}]における既約元と素元). 複素数体の部分環

A=Z[−5]={a+b−5∣a,b∈Z}A=\Z[\sqrt{-5}]=\{a+b\sqrt{-5}\mid a,b\in\Z\}

は整域である。AAの元α=a+b−5\alpha=a+b\sqrt{-5}に対して

N(α):=αα‾=a2+5b2N(\alpha):=\alpha\overline\alpha=a^2+5b^2

と置く。複素共役は積を保つので、α,β∈A\alpha,\beta\in Aに対して

N(αβ)=αβα‾β‾=N(α)N(β)N(\alpha\beta)=\alpha\beta\overline\alpha\overline\beta =N(\alpha)N(\beta)

である。非零元のノルムは正整数である。αβ=1\alpha\beta=1ならばN(α)N(β)=1N(\alpha)N(\beta)=1なのでN(α)=1N(\alpha)=1である。方程式a2+5b2=1a^2+5b^2=1の整数解は(a,b)=(±1,0)(a,b)=(\pm1,0)だけであり、1,−11,-1は単元である。したがってA×={1,−1}A^\times=\{1,-1\}である。

ノルムが22または33となる元は存在しない。実際、b≠0b\neq0ならばa2+5b2≥5a^2+5b^2\geq5であり、b=0b=0ならばノルムは整数の平方である。2=αβ2=\alpha\betaが非単元どうしの分解ならば、N(α),N(β)>1N(\alpha),N(\beta)>1かつN(α)N(β)=4N(\alpha)N(\beta)=4である。したがって両方のノルムは22となり、ノルム22の元が存在しないことに反する。よって22は既約元である。

一方、

6=2⋅3=(1+−5)(1−−5)6=2\cdot3=(1+\sqrt{-5})(1-\sqrt{-5})

である。22はこの積を割るが、1+−51+\sqrt{-5}も1−−51-\sqrt{-5}も割らない。実際、1±−5=2(a+b−5)1\pm\sqrt{-5}=2(a+b\sqrt{-5})ならば、実部を比較して1=2a1=2aを得るが、整数aaはこの等式を満たさない。したがって22は素元でない。

さらに、33と1±−51\pm\sqrt{-5}も既約元である。N(3)=9N(3)=9の非単元二因子分解にはノルム33の元が必要であり、N(1±−5)=6N(1\pm\sqrt{-5})=6の非単元二因子分解にはノルム22と33の元が必要である。いずれも存在しない。同伴な元のノルムは等しいが、N(2)=4N(2)=4、N(3)=9N(3)=9とN(1±−5)=6N(1\pm\sqrt{-5})=6は異なる。よって66の二つの既約分解は、因子の順序と同伴を除いても一致しない。したがってAAは UFD でなく、命題 3.4により PID でもない。

5 演習

問題 5.1 (Euclid 整域・PID・UFD の確認). 次の各問に答えよ。

  1. 整域RRにおける整除、同伴、既約元、素元および最大公約元を定義せよ。零元と単元が既約元・素元から除かれること、(0,0)(0,0)の最大公約元、および UFD の存在条件から零元・単元が除かれることを明記せよ。また、Z\Zの Euclid 関数δ(n)=∣n∣\delta(n)=|n|に対し、3=2⋅1+1=2⋅2−13=2\cdot1+1=2\cdot2-1の二つの除法が条件を満たすことを確かめ、商と余りの一意性が必要か答えよ。
  2. 定理 2.1の証明を完成させよ。さらに、Euclid アルゴリズムが有限回で停止する理由と、各段階で(ri−1,ri)=(ri,ri+1)(r_{i-1},r_i)=(r_i,r_{i+1})となる理由を証明せよ。最後の非零余りが最大公約元であり、Bézout 等式を満たすことを導け。PID 性の証明では、非零イデアルから Euclid 値が最小の元を選べ。
  3. 252252と198198に Euclid アルゴリズムを適用し、最大公約元を求めよ。さらに、その最大公約元を252252と198198の整数係数線形結合として表し、252x+198y=18252x+198y=18を満たすすべての整数対(x,y)(x,y)を求めよ。
  4. 命題 1.3と補題 2.4の証明を完成させよ。さらに、PID で既約元が素元であることを導け。
  5. PID のイデアルの昇鎖の合併がイデアルであることを証明し、その昇鎖が停止することを示せ。既約分解をもたない非零非単元があると仮定して主イデアルの真の昇鎖を構成し、既約分解の存在を証明せよ。
  6. 定理 3.3の同伴単元についての等式の証明を完成させよ。さらに、すべての既約元が素元である整域で、二つの既約分解が順序と同伴を除いて一致することを証明せよ。因子が零個の場合を扱い、対応する同伴単元を先頭の単元へ吸収した後の等式も示せ。既約分解の存在、既約元の素元性および一意性から PID が UFD であることを導け。
  7. 例 4.4の環AAについて、N(α)=4,6,9N(\alpha)=4,6,9を満たす元α\alphaをそれぞれすべて求めよ。得られた元の既約性と同伴関係を調べ、22が既約だが素でないことと、66の二つの既約分解が一致しないことを確かめよ。また、Euclid アルゴリズムの停止を保証する性質を述べ、整域の元の因数分解と加群の直和分解を区別せよ。
解答 (演習の解答).
  1. a∣ba\mid bとはb=acb=acとなるc∈Rc\in Rが存在することであり、a,ba,bが同伴であるとはa=uba=ubとなる単元uuが存在することである。既約元ppは非零非単元で、p=abp=abならばa,ba,bの一方が単元となる元である。素元ppは非零非単元で、p∣abp\mid abならばp∣ap\mid aまたはp∣bp\mid bとなる元である。ddがa,ba,bの最大公約元であるとは、ddが両方を割り、両方を割る任意の元がddを割ることである。(0,0)(0,0)の最大公約元は00とする。零元と単元は既約元・素元に含めず、UFD の存在条件も非零非単元だけを対象にする。Euclid 整域では、a=bq+ra=bq+rとr=0r=0またはδ(r)<δ(b)\delta(r)<\delta(b)を満たせばよく、q,rq,rの一意性は要求しない。整数の二つの除法では、商と余りはそれぞれ(q,r)=(1,1),(2,−1)(q,r)=(1,1),(2,-1)であり、いずれも∣r∣=1<2|r|=1<2を満たす。

  2. RRを Euclid 整域とする。非零余りが続く限りδ(ri+1)<δ(ri)\delta(r_{i+1})<\delta(r_i)であり、非負整数の真の減少列は無限に続かないため、アルゴリズムは停止する。等式ri+1=ri−1−qi+1rir_{i+1}=r_{i-1}-q_{i+1}r_iは(ri,ri+1)⊆(ri−1,ri)(r_i,r_{i+1})\subseteq(r_{i-1},r_i)を与え、等式ri−1=qi+1ri+ri+1r_{i-1}=q_{i+1}r_i+r_{i+1}は逆包含を与える。したがって最後の非零余りをddとすれば(a,b)=(d)(a,b)=(d)である。よってddはa,ba,bを割り、任意の公約元はddを割る。またd∈(a,b)d\in(a,b)からd=xa+ybd=xa+ybを得る。Euclid 整域のイデアルIIについて、I=0I=0なら(0)(0)である。I≠0I\neq0ならIIの非零元のうちδ\deltaが最小の元ddを選ぶ。a∈Ia\in Iをa=dq+ra=dq+rと割るとr=a−dq∈Ir=a-dq\in Iであり、r≠0r\neq0はddの最小性に反する。よってr=0r=0なので、任意のa∈Ia\in Iは(d)(d)に属する。逆にd∈Id\in Iから(d)⊆I(d)\subseteq Iであり、I=(d)I=(d)となる。したがってRRは PID である。

  3. 除法列は

    252=198+54,198=3⋅54+36,54=36+18,36=2⋅18252=198+54, \quad 198=3\cdot54+36, \quad 54=36+18, \quad 36=2\cdot18

    である。最後の非零余りは1818である。逆代入により

    18=54−36=4⋅54−198=4⋅252−5⋅19818=54-36=4\cdot54-198 =4\cdot252-5\cdot198

    となる。したがって最大公約元として1818を選ぶことができる。

    252x+198y=18252x+198y=18を1818で割ると14x+11y=114x+11y=1である。特解(4,−5)(4,-5)との差を取れば

    14(x−4)=−11(y+5)14(x-4)=-11(y+5)

    となる。1414と1111は互いに素なので、補題 2.4により11∣x−411\mid x-4である。x−4=11tx-4=11t、t∈Zt\in\Zと書いて代入するとy+5=−14ty+5=-14tを得る。逆に任意のt∈Zt\in\Zに対して、この整数対は元の等式を満たす。したがって解はちょうど

    (x,y)=(4+11t,−5−14t),t∈Z(x,y)=(4+11t,-5-14t),\qquad t\in\Z

    である。

  4. 素元ppをp=abp=abと書くと、p∣ap\mid aまたはp∣bp\mid bである。a=pca=pcならp=pcbp=pcbから非零元ppを消去して1=cb1=cbを得るためbbは単元である。b=pcb=pcならばp=apcp=apcから1=ac1=acを得るためaaは単元である。よってppは既約である。PID でa,ba,bの最大公約元が単元なら、Bézout 等式を単元の逆元倍して1=xa+yb1=xa+ybと書くことができる。a∣bca\mid bcならc=xac+ybcc=xac+ybcの右辺をaaが割るためa∣ca\mid cである。既約元ppと元aaの最大公約元ddはppを割る。既約性からddが単元であるか、ddがppと同伴である。後者ならp∣ap\mid aであり、前者ならp∣abp\mid abと互いに素な元に対する補題からp∣bp\mid bである。よってppは素元である。

  5. PIDRRの昇鎖I1⊆I2⊆⋯I_1\subseteq I_2\subseteq\cdotsに対し、I=⋃n≥1InI=\bigcup_{n\geq1}I_nと置く。0∈I1⊆I0\in I_1\subseteq Iである。x∈Iix\in I_i、y∈Ijy\in I_jならば、k=max⁡{i,j}k=\max\{i,j\}に対してx,y∈Ikx,y\in I_kなのでx−y∈Ik⊆Ix-y\in I_k\subseteq Iである。r∈Rr\in Rとx∈Iix\in I_iに対してrx∈Ii⊆Irx\in I_i\subseteq Iでもある。よってIIはイデアルである。PID ではI=(a)I=(a)と書くことができ、a∈INa\in I_NとなるNNが存在するためI=(a)⊆IN⊆II=(a)\subseteq I_N\subseteq Iであり、任意のn≥Nn\geq Nに対してIN⊆In⊆I=INI_N\subseteq I_n\subseteq I=I_Nとなり、鎖はINI_Nで停止する。既約分解をもたない非零非単元a0a_0が存在すると仮定する。既約元の有限積として表されない非零非単元aia_iは既約でないため、二つの非零非単元の積に分解される。両因子が既約元の有限積として表されるならばaia_iもそのように表されるため、少なくとも一方は表されない。その一方をai+1a_{i+1}、他方をeie_iと置けば、ai=ai+1eia_i=a_{i+1}e_iである。すると(ai)⊊(ai+1)(a_i)\subsetneq(a_{i+1})である。等号ならai+1=ait=ai+1eita_{i+1}=a_it=a_{i+1}e_itからeie_iが単元となるためである。この真の昇鎖は停止条件に反するので、すべての非零非単元は既約分解をもつ。

  6. 等式up1⋯pn=vq1⋯qmup_1\cdots p_n=vq_1\cdots q_mで、n=0n=0なら左辺は単元である。m>0m>0なら既約元q1q_1が単元を割って単元となる矛盾が生じるためm=0m=0である。n,m>0n,m>0なら、素元p1p_1は右辺のあるqjq_jを割る。qjq_jの既約性から両者は同伴であり、順序を入れ替えて共通因子を消去する。因子数に関する帰納法によってn=mn=mかつ全因子が対応する。pi=εiqσ(i)p_i=\varepsilon_iq_{\sigma(i)}、εi∈R×\varepsilon_i\in R^\timesと書き、元の等式へ代入すると

    u(ε1⋯εn)qσ(1)⋯qσ(n)=vq1⋯qnu(\varepsilon_1\cdots\varepsilon_n)q_{\sigma(1)}\cdots q_{\sigma(n)} =vq_1\cdots q_n

    となる。置換は積を変えないので、非零積q1⋯qnq_1\cdots q_nを消去してuε1⋯εn=vu\varepsilon_1\cdots\varepsilon_n=vを得る。n=0n=0ならば両方の積は11であり、この等式はu=vu=vである。PID では既約分解が存在し、Euclid の補題により既約元が素元であるため、この一意性を適用して UFD の二条件を得る。

  7. α=a+b−5\alpha=a+b\sqrt{-5}と置く。N(α)=4N(\alpha)=4ならば5b2≤45b^2\leq4なのでb=0b=0、a=±2a=\pm2であり、解は±2\pm2である。N(α)=6N(\alpha)=6ならばb=0,±1b=0,\pm1である。b=0b=0ではa2=6a^2=6に解がなく、b=±1b=\pm1ではa=±1a=\pm1である。したがって解は±(1+−5),±(1−−5)\pm(1+\sqrt{-5}),\pm(1-\sqrt{-5})である。N(α)=9N(\alpha)=9でもb=0,±1b=0,\pm1であり、b=0b=0ならばa=±3a=\pm3、b=±1b=\pm1ならばa=±2a=\pm2である。解は±3,±(2+−5),±(2−−5)\pm3,\pm(2+\sqrt{-5}),\pm(2-\sqrt{-5})となる。ノルム2,32,3の元は存在しないので、列挙したすべての元は既約である。単元は±1\pm1だけなので、同伴関係は符号の違いだけである。異なるノルムの元は同伴でなく、同じノルムについても、列挙した組の間では符号を変えても一致しない。22は6=(1+−5)(1−−5)6=(1+\sqrt{-5})(1-\sqrt{-5})を割るが、実係数が奇数である両因子を割らない。よって22は素元でなく、2⋅32\cdot3と(1+−5)(1−−5)(1+\sqrt{-5})(1-\sqrt{-5})は異なる既約分解である。

    Euclid アルゴリズムの停止を保証するのは、非零余りの Euclid 値が非負整数の真の減少列になることである。尺度は一般の Euclid 関数である。体上の一変数多項式環における次数を尺度とする除法、既約判定、Eisenstein の判定法および既約多項式による商体は、後続の多項式環の範囲で扱う。主イデアルの元の分解と、PID 上加群の直和分解とは別の問題である。Smith 標準形と PID 上有限生成加群の構造定理は後続の加群構造論で扱う。

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参考文献

  1. David S. Dummit and Richard M. Foote, Abstract Algebra, 3rd ed., Wiley, 2004.Euclid 整域、単項イデアル整域および一意分解整域の包含関係と、既約分解の証明を参考にした。
  2. Serge Lang, Algebra, revised 3 ed., Graduate Texts in Mathematics, Springer, New York, 2002.整除、素元、既約元、最大公約元および Bézout 等式の定式化を参考にした。
  3. Thomas W. Hungerford, Algebra, Graduate Texts in Mathematics, Springer, New York, 1974.単項イデアル整域における昇鎖停止と因数分解の存在および一意性の証明を参考にした。

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