§E6.40Ext と加群の拡大

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同じ二つの加群M,NM,Nを端点にもつ短完全列0→N→E→M→00\to N\to E\to M\to0であっても、中央の加群と両端の写像は一意には定まらない。たとえば整数m≥2m\ge2に対する0→Z→×mZ→Z/mZ→00\to\Z\xrightarrow{\times m}\Z\to\Z/m\Z\to0は分裂せず、同じ端点をもつ直和の短完全列とは異なる拡大を与える。拡大を分類するには、端点の加群を固定し、単射と全射も含めて短完全列を比較する。

単位元をもつ結合環RR上の任意の左加群M,NM,Nに対し、短完全列の同値類に Baer 和を入れた群はExt⁡R1(M,N)\operatorname{Ext}_R^1(M,N)と自然に同型である。さらに、nn個の中間項をもつ完全列を用いる Yoneda 拡大によって、すべての正次数のExt⁡Rn(M,N)\operatorname{Ext}_R^n(M,N)を表すことができる。射影分解から得られたコホモロジー類は拡大の同値類に対応し、Ext の積は完全列の接合に対応する。

本記事では、Ext のコホモロジー類を加群の拡大として解釈し、その加法と積を扱う。

1 短完全列と端点の変更

定義 1.1 (加群の拡大).RRを単位元をもつ結合環、M,NM,Nを左RR-加群とする。左RR-加群の短完全列

E:0⟶N→iE→pM⟶0\mathcal E:\quad 0\longrightarrow N\xrightarrow{i}E\xrightarrow{p}M\longrightarrow0

をMMのNNによる拡大 (extension) という。二つの拡大E,E′\mathcal E,\mathcal E'に対し、同型u ⁣:E→E′u\colon E\to E'が存在して

ui=i′,p′u=pui=i',\qquad p'u=p

となるとき、両拡大は同値であるという。両端の加群だけでなく、その加群からの単射とその加群への全射も拡大のデータに含まれる。

命題 1.2.RRを単位元をもつ結合環とし、左RR-加群の拡大E:0→N→iE→pM→0\mathcal E:0\to N\xrightarrow{i}E\xrightarrow{p}M\to0と左RR-線形写像f ⁣:M′→Mf\colon M'\to M、g ⁣:N→N′g\colon N\to N'を与える。

  1. 部分加群 Ef={(e,m′)∈E⊕M′∣p(e)=f(m′)}E_f=\{(e,m')\in E\oplus M'\mid p(e)=f(m')\} は、if(n)=(i(n),0)i_f(n)=(i(n),0)、pf(e,m′)=m′p_f(e,m')=m'によって拡大 f∗E:0⟶N→ifEf→pfM′⟶0f^*\mathcal E:\quad0\longrightarrow N\xrightarrow{i_f}E_f\xrightarrow{p_f}M'\longrightarrow0 を与える。射影r ⁣:Ef→Er\colon E_f\to Eとpfp_fはpr=fpfpr=fp_fを満たす。任意の左RR-加群XXと射a ⁣:X→Ea\colon X\to E、b ⁣:X→M′b\colon X\to M'がpa=fbpa=fbを満たすとき、ru=aru=a、pfu=bp_fu=bを満たす射u ⁣:X→Efu\colon X\to E_fが一意に存在する。この拡大をE\mathcal Eのffによる引戻しという。
  2. 商加群 Eg=(N′⊕E)/{(g(n),−i(n))∣n∈N}E^g=(N'\oplus E)/\{(g(n),-i(n))\mid n\in N\} は、ig(n′)=[n′,0]i^g(n')=[n',0]、pg[n′,e]=p(e)p^g[n',e]=p(e)によって拡大 g∗E:0⟶N′→igEg→pgM⟶0g_*\mathcal E:\quad0\longrightarrow N'\xrightarrow{i^g}E^g\xrightarrow{p^g}M\longrightarrow0 を与える。射s ⁣:E→Egs\colon E\to E^g、s(e)=[0,e]s(e)=[0,e]はsi=iggsi=i^ggを満たす。任意の左RR-加群XXと射a ⁣:N′→Xa\colon N'\to X、b ⁣:E→Xb\colon E\to Xがag=biag=biを満たすとき、uig=aui^g=a、us=bus=bを満たす射u ⁣:Eg→Xu\colon E^g\to Xが一意に存在する。この拡大をE\mathcal Eのggによる押出しという。

証明.EfE_fは射E⊕M′→ME\oplus M'\to M、(e,m′)↦p(e)−f(m′)(e,m')\mapsto p(e)-f(m')の核である。pfp_fの核は{(i(n),0)∣n∈N}\{(i(n),0)\mid n\in N\}であり、ifi_fは単射である。任意のm′∈M′m'\in M'に対してp(e)=f(m′)p(e)=f(m')となるe∈Ee\in Eを取ると(e,m′)∈Ef(e,m')\in E_fであるから、pfp_fは全射である。普遍性の射はu(x)=(a(x),b(x))u(x)=(a(x),b(x))であり、二つの射影との合成を指定すれば一意に定まる。

EgE^gの分母は射N→N′⊕EN\to N'\oplus E、n↦(g(n),−i(n))n\mapsto(g(n),-i(n))の像なので部分加群である。pi=0pi=0によりpgp^gは代表によらず定まり、ppの全射性から全射である。[n′,0]=0[n',0]=0ならば(n′,0)=(g(n),−i(n))(n',0)=(g(n),-i(n))となるnnがあり、iiの単射性からn=0n=0、従ってn′=0n'=0である。またpg[n′,e]=0p^g[n',e]=0ならばe=i(n)e=i(n)と書くことができ、

[n′,e]=[n′+g(n),0][n',e]=[n'+g(n),0]

である。よってker⁡pg=im⁡ig\ker p^g=\im i^gとなる。普遍性の射は

u[n′,e]=a(n′)+b(e)u[n',e]=a(n')+b(e)

である。ag=biag=biにより分母の元を零へ写すため定義され、[n′,e]=ig(n′)+s(e)[n',e]=i^g(n')+s(e)により一意である。▨

2 全次数の拡大と射影分解

定義 2.1 (Yoneda 拡大).RRを単位元をもつ結合環、M,NM,Nを左RR-加群、n≥1n\ge1を整数とする。左RR-加群の完全列

E:0⟶N→iEn−1⟶⋯⟶E0→pM⟶0\mathcal E:\quad 0\longrightarrow N\xrightarrow{i}E_{n-1}\longrightarrow\cdots \longrightarrow E_0\xrightarrow{p}M\longrightarrow0

をMMのNNによる nn拡大、または次数nnのYoneda 拡大 (Yoneda extension) という。同じ端点をもつ二つのnn拡大の間の射とは、両端ではid⁡N,id⁡M\id_N,\id_Mであり、中間の各項では左RR-線形写像である可換図式をいう。この射の存在が生成する同値関係をnn拡大の同値と呼び、同値類を[E][\mathcal E]、同値類全体をYExt⁡Rn(M,N)\operatorname{YExt}_R^n(M,N)と書く。すなわち、有限個の拡大を結ぶ、向きがどちらでもよい射の列が存在するときに同値とする。

射f ⁣:M′→Mf\colon M'\to Mによる引戻しは右端の短完全列0→ker⁡p→E0→M→00\to\ker p\to E_0\to M\to0を引き戻して得る。n≥2n\ge2のときは、その左にある項を保ち、E1→EfE_1\to E_fをx↦(d(x),0)x\mapsto(d(x),0)とする。射g ⁣:N→N′g\colon N\to N'による押出しは左端の短完全列0→N→En−1→En−1/i(N)→00\to N\to E_{n-1}\to E_{n-1}/i(N)\to0を押し出して得る。n≥2n\ge2のときは、商から次の項への単射を合成して列を続ける。n=1n=1の場合は命題 1.2の拡大そのものである。

補題 2.2.RRを単位元をもつ結合環、M,NM,Nを左RR-加群、n≥1n\ge1を整数とする。nn拡大の引戻しと押出しは完全列であり、拡大の射を拡大の射へ写す。したがって同値類上の写像f∗,g∗f^*,g_*を与える。n=1n=1では、拡大の射は中間項の同型を与え、Yoneda 拡大の同値は短完全列の同値に一致する。

証明. 引戻しの右端三項と押出しの左端三項は命題 1.2によって完全である。それぞれ元の核と元の余核を保つので、残りの項との接続でも完全性が成り立つ。拡大の射の成分をuj ⁣:Ej→Ej′u_j\colon E_j\to E'_jとすると、引戻しの変更項では(e,m′)↦(u0(e),m′)(e,m')\mapsto(u_0(e),m')、押出しの変更項では[n′,e]↦[n′,un−1(e)][n',e]\mapsto[n',u_{n-1}(e)]を用いる。可換性により前者は引戻しに値を取り、後者は分母を分母へ写す。これらを変更されない項のuju_jと合わせると拡大の射となる。

n=1n=1とし、u ⁣:E→E′u\colon E\to E'を拡大の射とする。u(e)=0u(e)=0ならばp(e)=p′u(e)=0p(e)=p'u(e)=0であるからe=i(n)e=i(n)と書くことができる。0=ui(n)=i′(n)0=ui(n)=i'(n)よりn=0n=0、従ってe=0e=0である。任意のe′∈E′e'\in E'に対してp(e)=p′(e′)p(e)=p'(e')となるe∈Ee\in Eを取ると、e′−u(e)=i′(n)e'-u(e)=i'(n)と書くことができる。よってe′=u(e+i(n))e'=u(e+i(n))であり、uuは全射でもある。uuの逆射も両端の射と可換であるため、有限個の射で結ばれた短完全列は同値である。▨

補題 2.3.RRを単位元をもつ結合環、M,NM,Nを左RR-加群、n≥1n\ge1を整数とし、P∙→εMP_\bullet\xrightarrow{\varepsilon}Mを射影分解とする。

Kn=im⁡(dn ⁣:Pn→Pn−1),jn ⁣:Kn↪Pn−1,qn ⁣:Pn↠KnK_n=\im(d_n\colon P_n\to P_{n-1}),\qquad j_n\colon K_n\hookrightarrow P_{n-1},\qquad q_n\colon P_n\twoheadrightarrow K_n

とおき、dn=jnqnd_n=j_nq_nと書く。このとき

Hom⁡R(Kn,N){bjn∣b∈Hom⁡R(Pn−1,N)}→ ∼ Ext⁡Rn(M,N),[a]⟼[aqn]\frac{\Hom_R(K_n,N)}{\{b j_n\mid b\in\Hom_R(P_{n-1},N)\}} \xrightarrow{\ \sim\ }\operatorname{Ext}_R^n(M,N), \qquad [a]\longmapsto[a q_n]

はアーベル群の同型である。KnK_nは分解P∙P_\bulletに関する第nnシジジーΩnM\Omega^n Mとも呼ばれる。

証明.φ ⁣:Pn→N\varphi\colon P_n\to Nがコサイクルである条件はφdn+1=0\varphi d_{n+1}=0である。分解の完全性によりim⁡dn+1=ker⁡qn\im d_{n+1}=\ker q_nであるから、この条件はφ=aqn\varphi=a q_nを満たす一意なa ⁣:Kn→Na\colon K_n\to Nが存在することと同値である。さらにコバウンダリーはbdn=bjnqnb d_n=b j_nq_nの形である。したがって、コサイクルの加法群とHom⁡R(Kn,N)\Hom_R(K_n,N)の同型はコバウンダリーの部分群を制限写像の像へ写す。商を取れば主張の同型を得る。▨

補題 2.4.RRを単位元をもつ結合環、M,NM,Nを左RR-加群、n≥1n\ge1を整数とし、MMの射影分解P∙P_\bulletとnn拡大

E:0→N→iEn−1→⋯→E0→M→0\mathcal E:\quad0\to N\xrightarrow{i}E_{n-1}\to\cdots\to E_0\to M\to0

を与える。Kn,jn,qnK_n,j_n,q_nを補題 2.3のように定める。分解の切断からE\mathcal Eへの可換図式であって、右端がid⁡M\id_M、左端がある射a ⁣:Kn→Na\colon K_n\to Nであるものが存在する。すなわち、射uj ⁣:Pj→Eju_j\colon P_j\to E_j(0≤j<n)(0\le j<n)が添加射と中間の微分に可換であり、ia=un−1jnia=u_{n-1}j_nを満たす。aaの制限商における類[a][a]は比較写像の選択によらず、E\mathcal Eの同値類だけで定まる。

証明. 非負次数の複体T∙T_\bulletを

Tj=Ej (0≤j<n),Tn=N,Tj=0 (j>n)T_j=E_j\ (0\le j<n),\qquad T_n=N,\qquad T_j=0\ (j>n)

によって定め、dnT=id_n^T=i、それ以外の微分と添加射は拡大の射とする。拡大の完全性によりT∙→MT_\bullet\to Mは分解である。特に次数nnでの完全性はiiの単射性による。§E6.38 定理 2.2を射影分解P∙P_\bulletから分解T∙T_\bulletへ適用し、id⁡M\id_Mを持ち上げる射uuを取る。

鎖写像の条件からundn+1=dn+1Tun+1=0u_n d_{n+1}=d_{n+1}^T u_{n+1}=0である。したがって一意なa ⁣:Kn→Na\colon K_n\to Nが存在してun=aqnu_n=a q_nとなる。さらに

iaqn=dnTun=un−1dn=un−1jnqni a q_n=d_n^T u_n=u_{n-1}d_n=u_{n-1}j_nq_n

であり、qnq_nの全射性からia=un−1jnia=u_{n-1}j_nを得る。

別の比較写像vvと対応する射a′a'を取る。§E6.38 定理 2.2 (2)により、u,vu,vの差を表す鎖ホモトピーhj ⁣:Pj→Tj+1h_j\colon P_j\to T_{j+1}が存在する。Tn+1=0T_{n+1}=0なので次数nnの式は

(a−a′)qn=un−vn=hn−1dn=hn−1jnqn(a-a')q_n=u_n-v_n=h_{n-1}d_n=h_{n-1}j_nq_n

となる。qnq_nは全射であるからa−a′=hn−1jna-a'=h_{n-1}j_nであり、両者は制限商で同じ類を定める。

拡大の射w ⁣:E→E′w\colon\mathcal E\to\mathcal E'が与えられたとき、wwは分解T∙→T∙′T_\bullet\to T'_\bulletの射を定め、その次数nnの成分はid⁡N\id_Nである。wuwuをE′\mathcal E'への比較として取れば、回収する左端の射は同じaaである。各射で類が保たれるため、射の向きを問わない有限列でも類は保たれる。▨

命題 2.5.RRを単位元をもつ結合環、M,NM,Nを左RR-加群、n≥1n\ge1を整数とし、MMの射影分解P∙P_\bulletを取る。Kn,jn,qnK_n,j_n,q_nを補題 2.3のように定める。射a ⁣:Kn→Na\colon K_n\to Nにより完全列

0→Kn→jnPn−1→⋯→P0→M→00\to K_n\xrightarrow{j_n}P_{n-1}\to\cdots\to P_0\to M\to0

の左端を押し出したnn拡大をE(a)\mathcal E(a)とする。この対応は全単射

Hom⁡R(Kn,N){bjn∣b∈Hom⁡R(Pn−1,N)}→ ∼ YExt⁡Rn(M,N),[a]⟼[E(a)]\frac{\Hom_R(K_n,N)}{\{b j_n\mid b\in\Hom_R(P_{n-1},N)\}} \xrightarrow{\ \sim\ }\operatorname{YExt}_R^n(M,N), \qquad[a]\longmapsto[\mathcal E(a)]

を与える。逆写像は補題 2.4の比較によって得られる。

証明. 押出しの左から二番目の項を

E(a)=(N⊕Pn−1)/{(a(x),−jn(x))∣x∈Kn}E(a)=(N\oplus P_{n-1})/\{(a(x),-j_n(x))\mid x\in K_n\}

とする。命題 1.2 (2)と補題 2.2により、E(a)\mathcal E(a)はnn拡大である。a′=a+bjna'=a+b j_nのとき、

E(a)⟶E(a′),[z,p]⟼[z−b(p),p]E(a)\longrightarrow E(a'),\qquad[z,p]\longmapsto[z-b(p),p]

は定義される。実際、分母の元(a(x),−jn(x))(a(x),-j_n(x))は(a′(x),−jn(x))(a'(x),-j_n(x))へ写る。bbを−b-bに置き換えた写像が逆射であり、残りの項では恒等写像を用いることで拡大の同型を与える。よって制限商から同値類への写像が定まる。

E(a)\mathcal E(a)への比較として、次数n−1n-1でp↦[0,p]p\mapsto[0,p]、それより低い次数で恒等写像、次数nnでaqna q_nを取る。関係式[0,jn(x)]=[a(x),0][0,j_n(x)]=[a(x),0]により、これは比較写像である。回収される左端の射はaaそのものなので、比較による写像と押出しによる写像の合成は制限商の恒等写像である。

逆に任意の拡大E\mathcal Eに対し、補題 2.4のuj,au_j,aを取る。押出しの普遍性によって

E(a)⟶En−1,[z,p]⟼i(z)+un−1(p)E(a)\longrightarrow E_{n-1},\qquad[z,p]\longmapsto i(z)+u_{n-1}(p)

が定まる。この写像、低次数のuju_j、両端の恒等写像はE(a)→E\mathcal E(a)\to\mathcal Eの射をなす。したがって[E(a)]=[E][\mathcal E(a)]=[\mathcal E]であり、もう一方の合成も恒等写像である。▨

3 Baer 和と自然な同型

定義 3.1 (Baer 和).RRを単位元をもつ結合環、M,NM,Nを左RR-加群、n≥1n\ge1を整数とし、E,F\mathcal E,\mathcal FをMMのNNによるnn拡大とする。項ごとの直和E⊕F\mathcal E\oplus\mathcal FはM⊕MM\oplus MのN⊕NN\oplus Nによるnn拡大である。対角射ΔM ⁣:M→M⊕M\Delta_M\colon M\to M\oplus M、m↦(m,m)m\mapsto(m,m)と加法射∇N ⁣:N⊕N→N\nabla_N\colon N\oplus N\to N、(x,y)↦x+y(x,y)\mapsto x+yを用いて

[E]+[F]=[(∇N)∗ΔM∗(E⊕F)][\mathcal E]+[\mathcal F] =\bigl[(\nabla_N)_*\Delta_M^*(\mathcal E\oplus\mathcal F)\bigr]

と定め、この演算をBaer 和 (Baer sum) という。直和・引戻し・押出しはいずれも拡大の射を保つので、同値類の代表には依存しない。

定理 3.2.RRを単位元をもつ結合環、M,NM,Nを任意の左RR-加群、n≥1n\ge1を整数とする。Baer 和によりYExt⁡Rn(M,N)\operatorname{YExt}_R^n(M,N)はアーベル群となり、両変数について自然な群同型

ΦM,Nn ⁣:Ext⁡Rn(M,N)→ ∼ YExt⁡Rn(M,N)\Phi_{M,N}^n\colon\operatorname{Ext}_R^n(M,N) \xrightarrow{\ \sim\ }\operatorname{YExt}_R^n(M,N)

が存在する。この同型は、任意の射影分解を使い、コサイクルaqn ⁣:Pn→Na q_n\colon P_n\to Nの類を切断分解の押出しE(a)\mathcal E(a)の類へ送ることで与えられる。

射f ⁣:M′→Mf\colon M'\to M、g ⁣:N→N′g\colon N\to N'に対して

ΦM′,Nnf∗=f∗ΦM,Nn,ΦM,N′ng∗=g∗ΦM,Nn\Phi_{M',N}^n f^*=f^*\Phi_{M,N}^n, \qquad \Phi_{M,N'}^n g_*=g_*\Phi_{M,N}^n

が成り立つ。拡大類の零元はE(0)\mathcal E(0)の類であり、−[E]=(−id⁡N)∗[E]-[\mathcal E]=(-\id_N)_*[\mathcal E]である。

証明.補題 2.3と命題 2.5の全単射を合成し、射影分解を一つ固定したΦM,Nn\Phi_{M,N}^nを得る。

E\mathcal Eへの比較u ⁣:P∙→T∙u\colon P_\bullet\to T_\bulletの次数nnの写像をα ⁣:Pn→N\alpha\colon P_n\to Nとする。押出しg∗Eg_*\mathcal Eには、uuと押出しへの射を合成した比較があり、その次数nnの成分はgαg\alphaである。したがって押出しは Ext の後合成g∗g_*に対応する。

M′M'の射影分解をP∙′P'_\bulletとし、ffを持ち上げる比較写像F ⁣:P∙′→P∙F\colon P'_\bullet\to P_\bulletを取る。f∗Ef^*\mathcal Eへの比較は、次数00で

x⟼(u0F0(x),εP′(x))x\longmapsto\bigl(u_0F_0(x),\varepsilon_{P'}(x)\bigr)

とし、それより高い中間項でujFju_jF_jを用いて得られる。次数nnではαFn\alpha F_nである。よって引戻しは Ext の前合成f∗f^*に対応する。f=id⁡Mf=\id_Mとして異なる射影分解を取ると、§E6.39 定理 1.4の比較同型の下でΦ\Phiが一致することも従う。ここまでで分解によらない全単射と両変数の自然性が示された。

二つの拡大の比較から回収する射をa,b ⁣:Kn→Na,b\colon K_n\to Nとする。射影分解P∙⊕P∙P_\bullet\oplus P_\bulletから直和拡大への比較は、左端でa⊕b ⁣:Kn⊕Kn→N⊕Na\oplus b\colon K_n\oplus K_n\to N\oplus Nを与える。ΔM\Delta_Mは各次数の対角射によって持ち上がるため、引戻しから回収する射はx↦(a(x),b(x))x\mapsto(a(x),b(x))である。さらに∇N\nabla_Nによる押出しから回収する射はa+ba+bとなる。したがって Baer 和は制限商の加法に対応する。

制限商はアーベル群であり、全単射が加法を保つので、Baer 和は結合則と交換則を満たす。制限商の零元はa=0a=0により、[a][a]の逆元は[−a][-a]により表される。前段の自然性でg=−id⁡Ng=-\id_Nとすれば、主張した逆元の公式を得る。引戻しと押出しの合成則および両者の可換性も、Ext の二変数関手性と全単射から従う。▨

系 3.3.RRを単位元をもつ結合環、M,NM,Nを任意の左RR-加群とする。第一 Ext はMMのNNによる短完全列の同値類の Baer 群と自然に同型である。この同型において零類に対応するのは、ちょうど分裂する短完全列である。

短完全列E:0→N→E→pM→0\mathcal E:0\to N\to E\xrightarrow{p}M\to0とF:0→N→F→qM→0\mathcal F:0\to N\to F\xrightarrow{q}M\to0の Baer 和の中間項は

{(e,f)∈E⊕F∣p(e)=q(f)}{(i(n),−j(n))∣n∈N}\frac{\{(e,f)\in E\oplus F\mid p(e)=q(f)\}} {\{(i(n),-j(n))\mid n\in N\}}

とすることができる。ここでi,ji,jはそれぞれの短完全列の単射である。核端の射はn↦[(i(n),0)]n\mapsto[(i(n),0)]、商端の射は[(e,f)]↦p(e)[(e,f)]\mapsto p(e)である。

証明.補題 2.2により次数11の二つの同値は一致するので、定理 3.2をn=1n=1に適用する。零写像K1→NK_1\to Nによる押出しの中間項は

(N⊕P0)/(0⊕K1)≅N⊕M(N\oplus P_0)/(0\oplus K_1)\cong N\oplus M

であり、単射と全射は標準包含と標準射影である。§E6.9 命題 3.2により、短完全列がこの拡大と同値であることは、分裂することと同値である。

Baer 和の引戻しの中間項をB={(e,f)∣p(e)=q(f)}B=\{(e,f)\mid p(e)=q(f)\}と書く。N⊕N→BN\oplus N\to Bは(x,y)↦(i(x),j(y))(x,y)\mapsto(i(x),j(y))である。続く押出しは

N⊕B{(x+y,−i(x),−j(y))∣x,y∈N}\frac{N\oplus B}{\{(x+y,-i(x),-j(y))\mid x,y\in N\}}

であり、各類は[0,e,f][0,e,f]の形で表すことができる。実際、[n,e,f]=[0,e+i(n),f][n,e,f]=[0,e+i(n),f]である。射B→(∇N)∗BB\to(\nabla_N)_*B、(e,f)↦[0,e,f](e,f)\mapsto[0,e,f]の核は、x+y=0x+y=0を満たす分母の元から得られる{(i(x),−j(x))∣x∈N}\{(i(x),-j(x))\mid x\in N\}である。したがって主張の商表示を得る。単射と全射の公式もこの同一視に従う。▨

例 3.4.m≥1m\ge1を整数、NNをアーベル群とする。自由分解0→Z→×mZ→Z/mZ→00\to\Z\xrightarrow{\times m}\Z\to\Z/m\Z\to0に対して、第11シジジーはmZ⊆Zm\Z\subseteq\Zである。z∈Nz\in Nに射az ⁣:mZ→Na_z\colon m\Z\to N、az(mr)=rza_z(mr)=rzを対応させると、その押出しは

Ez=(N⊕Z)/⟨(z,−m)⟩,0⟶N⟶Ez⟶Z/mZ⟶0E_z=(N\oplus\Z)/\langle(z,-m)\rangle, \qquad 0\longrightarrow N\longrightarrow E_z\longrightarrow\Z/m\Z\longrightarrow0

となる。両端の射はn↦[n,0]n\mapsto[n,0]と[n,r]↦r+mZ[n,r]\mapsto r+m\Zである。

制限写像Hom⁡Z(Z,N)→Hom⁡Z(mZ,N)\Hom_{\Z}(\Z,N)\to\Hom_{\Z}(m\Z,N)は、各射を11とmmで評価する同一視の下でNNのmm倍写像となる。したがって

[Ez]=[Ez′] ⟺ z−z′∈mN,[Ez]+[Ez′]=[Ez+z′][E_z]=[E_{z'}]\ \Longleftrightarrow\ z-z'\in mN, \qquad [E_z]+[E_{z'}]=[E_{z+z'}]

であり、EzE_zの短完全列はz∈mNz\in mNのとき、かつそのときに限り分裂する。特にN=ZN=\Z、z=1z=1では[n,r]↦mn+r[n,r]\mapsto mn+rとs↦[0,s]s\mapsto[0,s]が互いに逆な同型を与え、拡大は

0⟶Z→×mZ⟶Z/mZ⟶00\longrightarrow\Z\xrightarrow{\times m}\Z\longrightarrow\Z/m\Z\longrightarrow0

となる。m≥2m\ge2では1∉mZ1\notin m\Zなので分裂しない。

4 射影分解上の積と拡大の接合

命題 4.1.RRを単位元をもつ結合環、M,N,LM,N,Lを左RR-加群、p,q≥1p,q\ge1を整数とする。M,NM,Nの射影分解をそれぞれP∙,Q∙P_\bullet,Q_\bulletとし、コサイクル

α ⁣:Pp→N,β ⁣:Qq→L\alpha\colon P_p\to N,\qquad\beta\colon Q_q\to L

を取る。射Aj ⁣:Pp+j→QjA_j\colon P_{p+j}\to Q_j(j≥0)(j\ge0)であって

εQA0=α,djQAj=Aj−1dp+jP(j≥1)\varepsilon_Q A_0=\alpha,\qquad d_j^Q A_j=A_{j-1}d_{p+j}^P\quad(j\ge1)

を満たすものが存在する。式

[β] [α]=[βAq]∈Ext⁡Rp+q(M,L)[\beta]\,[\alpha]=[\beta A_q]\in\operatorname{Ext}_R^{p+q}(M,L)

は代表・持上げ・射影分解の選択によらない双加法的な積

Ext⁡Rq(N,L)×Ext⁡Rp(M,N)⟶Ext⁡Rp+q(M,L)\operatorname{Ext}_R^q(N,L)\times\operatorname{Ext}_R^p(M,N) \longrightarrow\operatorname{Ext}_R^{p+q}(M,L)

を定める。この積は結合的である。

証明.Kp=im⁡dpPK_p=\im d_p^Pとし、α=aqp\alpha=a q_pと因子化する。列

⋯⟶Pp+2⟶Pp+1⟶Pp→qpKp⟶0\cdots\longrightarrow P_{p+2}\longrightarrow P_{p+1} \longrightarrow P_p\xrightarrow{q_p}K_p\longrightarrow0

はKpK_pの射影分解である。§E6.38 定理 2.2によってa ⁣:Kp→Na\colon K_p\to NをQ∙Q_\bulletへの分解の射へ持ち上げると、所要のAjA_jを得る。

(βAq)dp+q+1P=βdq+1QAq+1=0(\beta A_q)d_{p+q+1}^P=\beta d_{q+1}^Q A_{q+1}=0

であるからβAq\beta A_qはコサイクルである。

同じα\alphaの二つの持上げA,A′A,A'は、同じaaを持ち上げるKpK_pの射影分解からの射である。比較定理の一意性から、Hj ⁣:Pp+j→Qj+1H_j\colon P_{p+j}\to Q_{j+1}が存在して

Aq−Aq′=dq+1QHq+Hq−1dp+qPA_q-A'_q=d_{q+1}^QH_q+H_{q-1}d_{p+q}^P

となる。従って

βAq−βAq′=(βHq−1)dp+qP\beta A_q-\beta A'_q=(\beta H_{q-1})d_{p+q}^P

はコバウンダリーである。β\betaをβ+cdqQ\beta+c d_q^Qに変えると、積の代表の差は

cdqQAq=(cAq−1)dp+qPc d_q^QA_q=(cA_{q-1})d_{p+q}^P

であり、やはりコバウンダリーである。

α\alphaをα+bdpP\alpha+b d_p^Pに変える場合、Pp−1P_{p-1}の射影性によりεQB=b\varepsilon_Q B=bを満たすB ⁣:Pp−1→Q0B\colon P_{p-1}\to Q_0を取る。bdpPb d_p^Pの持上げとして

D0=BdpP,Dj=0(j≥1)D_0=B d_p^P,\qquad D_j=0\quad(j\ge1)

を取ることができる。次数11の条件はD0dp+1P=0D_0d_{p+1}^P=0であり、それより高い次数の条件も成り立つ。α+bdpP\alpha+b d_p^PにA+DA+Dを用いると、q≥1q\ge1によりβ(Aq+Dq)=βAq\beta(A_q+D_q)=\beta A_qである。したがってα\alphaの代表にも依存しない。持上げの和はコサイクルの和を持ち上げるので[α][\alpha]について加法的であり、β\betaについての加法性は合成の加法性による。

分解P∙P_\bulletをP~∙\widetilde P_\bulletに変え、id⁡M\id_Mを持ち上げるF ⁣:P~∙→P∙F\colon\widetilde P_\bullet\to P_\bulletを取る。αFp\alpha F_pの持上げにはAjFp+jA_jF_{p+j}を取ることができ、積の代表はβAqFp+q\beta A_qF_{p+q}となる。これは元の積の比較同型による像である。次にQ∙Q_\bulletをQ~∙\widetilde Q_\bulletに変え、比較U ⁣:Q∙→Q~∙U\colon Q_\bullet\to\widetilde Q_\bulletを取る。Q~\widetilde Q上のコサイクルβ~\widetilde\betaと対応するQQ上の代表をβ=β~Uq\beta=\widetilde\beta U_qとし、持上げにUjAjU_jA_jを取れば

β~UqAq=βAq\widetilde\beta U_qA_q=\beta A_q

である。既に示した代表と持上げの独立性、および§E6.39 定理 1.4により、分解の選択によらない積が得られる。

さらに左RR-加群VVと整数r≥1r\ge1を取り、LLの射影分解をS∙S_\bullet、コサイクルをγ ⁣:Sr→V\gamma\colon S_r\to Vとする。β\betaの持上げをBj ⁣:Qq+j→SjB_j\colon Q_{q+j}\to S_jとすると、

Cj=BjAq+j ⁣:Pp+q+j→SjC_j=B_jA_{q+j}\colon P_{p+q+j}\to S_j

はβAq\beta A_qの持上げである。実際、εSC0=βAq\varepsilon_SC_0=\beta A_qであり、j≥1j\ge1では

djSCj=Bj−1dq+jQAq+j=Bj−1Aq+j−1dp+q+jP=Cj−1dp+q+jPd_j^SC_j=B_{j-1}d_{q+j}^QA_{q+j} =B_{j-1}A_{q+j-1}d_{p+q+j}^P=C_{j-1}d_{p+q+j}^P

である。従って([γ][β])[α]([\gamma][\beta])[\alpha]と[γ]([β][α])[\gamma]([\beta][\alpha])は、ともにγBrAq+r\gamma B_rA_{q+r}の類となる。▨

定義 4.2 (拡大の接合).RRを単位元をもつ結合環、M,N,LM,N,Lを左RR-加群、p,q≥1p,q\ge1を整数とし、拡大

E:0→N→iEp−1→⋯→E0→M→0,\mathcal E:\quad0\to N\xrightarrow{i}E_{p-1}\to\cdots\to E_0\to M\to0,F:0→L→Fq−1→⋯→F0→vN→0\mathcal F:\quad0\to L\to F_{q-1}\to\cdots\to F_0\xrightarrow{v}N\to0

を与える。完全列

F∘E:0→L→Fq−1→⋯→F0→ivEp−1→⋯→E0→M→0\mathcal F\circ\mathcal E:\quad 0\to L\to F_{q-1}\to\cdots\to F_0 \xrightarrow{iv}E_{p-1}\to\cdots\to E_0\to M\to0

を両拡大の接合という。接合箇所での完全性はiiの単射性とvvの全射性からker⁡(iv)=ker⁡v\ker(iv)=\ker v、im⁡(iv)=im⁡i\im(iv)=\im iとなることによる。拡大の射を片方に施し、他方には恒等写像を施すと接合の射が得られるので、接合は同値類上の演算

[F] [E]=[F∘E][\mathcal F]\,[\mathcal E]=[\mathcal F\circ\mathcal E]

を定める。この演算を Yoneda 積という。

定理 4.3.RRを単位元をもつ結合環、M,N,LM,N,Lを任意の左RR-加群、p,q≥1p,q\ge1を整数とする。定理 3.2の自然な群同型は、射影分解上の積と Yoneda 積を保つ。すなわち、ξ∈Ext⁡Rp(M,N)\xi\in\operatorname{Ext}_R^p(M,N)、η∈Ext⁡Rq(N,L)\eta\in\operatorname{Ext}_R^q(N,L)に対して

ΦM,Lp+q(ηξ)=ΦN,Lq(η) ΦM,Np(ξ)\Phi_{M,L}^{p+q}(\eta\xi) =\Phi_{N,L}^q(\eta)\,\Phi_{M,N}^p(\xi)

が成り立つ。特に Yoneda 積は Baer 和について双加法的であり、結合的である。

証明.ξ,η\xi,\etaに対応する拡大をE,F\mathcal E,\mathcal Fとする。射影分解P∙→MP_\bullet\to M、Q∙→NQ_\bullet\to Nからそれぞれの拡大への比較を取り、成分を

uj ⁣:Pj→Ej (0≤j<p),α ⁣:Pp→N,u_j\colon P_j\to E_j\ (0\le j<p),\qquad \alpha\colon P_p\to N,vj ⁣:Qj→Fj (0≤j<q),β ⁣:Qq→Lv_j\colon Q_j\to F_j\ (0\le j<q),\qquad \beta\colon Q_q\to L

と書く。分類の逆写像の構成により[α]=ξ[\alpha]=\xi、[β]=η[\beta]=\etaである。α\alphaの持上げAj ⁣:Pp+j→QjA_j\colon P_{p+j}\to Q_jを命題 4.1のように取る。

P∙P_\bulletから接合拡大に付随する分解への写像wwを、

wj=uj(0≤j<p),wp+j=vjAj(0≤j<q),wp+q=βAqw_j=u_j\quad(0\le j<p),\qquad w_{p+j}=v_jA_j\quad(0\le j<q),\qquad w_{p+q}=\beta A_q

によって定め、これより高い次数では零とする。E\mathcal Eの単射をi ⁣:N→Ep−1i\colon N\to E_{p-1}、F\mathcal Fの全射をv ⁣:F0→Nv\colon F_0\to Nとすると、接合点では

(iv)wp=ivv0A0=iεQA0=iα=up−1dpP=wp−1dpP(iv)w_p=ivv_0A_0=i\varepsilon_QA_0=i\alpha =u_{p-1}d_p^P=w_{p-1}d_p^P

が成り立つ。1≤j<q1\le j<qでは

djFvjAj=vj−1djQAj=vj−1Aj−1dp+jPd_j^Fv_jA_j=v_{j-1}d_j^QA_j =v_{j-1}A_{j-1}d_{p+j}^P

である。F\mathcal Fの単射をk ⁣:L→Fq−1k\colon L\to F_{q-1}とすれば、左端でも

kβAq=vq−1dqQAq=vq−1Aq−1dp+qPk\beta A_q=v_{q-1}d_q^QA_q =v_{q-1}A_{q-1}d_{p+q}^P

となる。さらにβAqdp+q+1P=0\beta A_qd_{p+q+1}^P=0である。従ってwwはid⁡M\id_Mを持ち上げる分解の射である。

接合拡大から回収されるコサイクルはwp+q=βAqw_{p+q}=\beta A_qであり、その類はηξ\eta\xiである。分類の全単射により主張の等式を得る。命題 4.1の双加法性と結合性を群同型で移せば、Yoneda 積についても両性質が従う。▨

例 4.4.kkを体、R=k[t]/(t2)R=k[t]/(t^2)とし、ttの剰余類をϵ\epsilonと書く。k=R/(ϵ)k=R/(\epsilon)を左RR-加群とする。短完全列

E:0⟶k→a↦aϵR→πk⟶0\mathcal E:\quad0\longrightarrow k\xrightarrow{a\mapsto a\epsilon}R \xrightarrow{\pi}k\longrightarrow0

の類をu∈YExt⁡R1(k,k)u\in\operatorname{YExt}_R^1(k,k)とする。§E6.39 例 5.1の自由分解は各非負次数にRRを置き、微分をϵ\epsilon倍、添加射をπ\piとしたものである。E\mathcal Eへの比較で次数00の写像をid⁡R\id_Rとすれば、次数11のコサイクルはπ ⁣:R→k\pi\colon R\to kとなる。

π\piの持上げはAj=id⁡R ⁣:P1+j→PjA_j=\id_R\colon P_{1+j}\to P_jとすることができる。微分はすべてϵ\epsilon倍なので持上げの等式が成り立ち、積を一回取るごとにコサイクルπ\piが次の次数に得られる。§E6.39 例 5.1により Hom 余鎖複体の微分は零であるから、任意のn≥1n\ge1に対してun≠0u^n\ne0である。接合による代表は

0⟶k⟶R→×ϵ⋯→×ϵR⟶k⟶00\longrightarrow k\longrightarrow R\xrightarrow{\times\epsilon}\cdots \xrightarrow{\times\epsilon}R\longrightarrow k\longrightarrow0

であり、中間のRRはnn個ある。したがって、次数11の一つの拡大を反復して接合することで、すべての正次数に非零の拡大類が得られる。

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