§E18.19胞体複体と基本性質

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胞体複体は、閉球を低い次元から順に接着して得る空間である。有限個の胞体だけを接着する場合と異なり、無限個の胞体をもつ場合には、接着の情報だけでは全体の位相が決まらない。閉包有限性と弱位相は、無限個の胞体をもつ空間の位相を制御する二つの独立した条件である。

1 CW 複体と弱位相

定義 1.1.X−1=∅X^{-1}=\varnothingとする。X0X^0を離散空間とし、各正の整数nnについて、添字集合InI_nと接着写像

aα:Sn−1⟶Xn−1(α∈In)a_\alpha:S^{n-1}\longrightarrow X^{n-1}\qquad(\alpha\in I_n)

を用いて

Xn=(Xn−1⊔∐α∈InDαn)/(x∼aα(x) (x∈Sαn−1))X^n=\left(X^{n-1}\sqcup\coprod_{\alpha\in I_n}D_\alpha^n\right) \big/\bigl(x\sim a_\alpha(x)\ (x\in S_\alpha^{n-1})\bigr)

と構成する。商写像を各閉球へ制限した写像

χα:Dαn⟶Xn⟶X\chi_\alpha:D_\alpha^n\longrightarrow X^n\longrightarrow X

を特性写像 (characteristic map) といい、χα(D˚αn)\chi_\alpha(\mathring D_\alpha^n)を開胞体 (open cell)eαne_\alpha^nという。X=⋃n≥0XnX=\bigcup_{n\geq0}X^nが次の二条件を満たすとき、XXを CW 複体 (CW complex) という。

  1. 閉包有限性 (closure-finiteness):各開胞体eαne_\alpha^nの閉包は、有限個の開胞体としか交わらない。
  2. 弱位相 (weak topology):部分集合F⊂XF\subset Xが閉集合であることと、すべての特性写像χα\chi_\alphaについてχα−1(F)\chi_\alpha^{-1}(F)がDαnD_\alpha^nの閉集合であることが同値である。

XnX^nをnn骨格 (skeleton) という。開胞体の合併A⊂XA\subset Xが各胞体とともにその特性写像の像をすべて含むとき、AAを部分複体 (subcomplex) という。AAが部分複体である対(X,A)(X,A)を CW 対 (CW pair) という。

弱位相は、全体の閉集合をすべての有限次元の閉球上で判定する条件である。閉包有限性は、一つの胞体の閉包に現れる胞体数を制限する条件であり、弱位相からは従わない。

命題 1.2. CW 複体XXの各一点は閉集合である。また、任意の部分複体A⊂XA\subset Xは閉集合である。

証明. 最初に一点{x}\{x\}の閉性を示す。xxがkk次元の開胞体に属するとする。特性写像χα:Dαn→X\chi_\alpha:D_\alpha^n\to Xごとにχα−1({x})\chi_\alpha^{-1}(\{x\})が閉であることを、nnに関する帰納法で示す。n<kn<kなら逆像は空である。n=kn=kなら、xxがeαke_\alpha^kに属する場合の逆像は開球内の一点であり、それ以外は空である。n>kn>kの場合、開球の内部はnn次元胞体へ同相に写るので、逆像は境界球面に含まれる。接着写像の値域はXn−1X^{n-1}であり、帰納法の仮定によって{x}\{x\}はXn−1X^{n-1}で閉であるから、境界球面上の逆像は閉である。境界球面は閉球内で閉なので、χα−1({x})\chi_\alpha^{-1}(\{x\})は閉球内でも閉である。弱位相から{x}\{x\}はXXで閉である。

次に、部分複体AAの閉性を骨格について帰納的に示す。A∩X0A\cap X^0は離散空間X0X^0の部分集合なので閉である。nn次胞体eαne_\alpha^nがAAに含まれる場合、部分複体の定義からχα−1(A)=Dαn\chi_\alpha^{-1}(A)=D_\alpha^nである。eαne_\alpha^nがAAに含まれない場合、逆像は境界球面に含まれ、

χα−1(A)=aα−1(A∩Xn−1)\chi_\alpha^{-1}(A)=a_\alpha^{-1}(A\cap X^{n-1})

である。帰納法の仮定と接着写像の連続性から、この逆像は閉である。すべての特性写像について逆像が閉なので、弱位相からAAは閉集合である。▨

CW 複体が Hausdorff 空間であることを後で示すと、特性写像Dαn→eαn‾D_\alpha^n\to\overline{e_\alpha^n}はコンパクト空間から Hausdorff 空間への連続全射になるので商写像である。したがって弱位相は、

F⊂X が閉⟺F∩eαn‾ がすべての胞体について閉F\subset X\text{ が閉} \quad\Longleftrightarrow\quad F\cap\overline{e_\alpha^n}\text{ がすべての胞体について閉}

と言い換えることができる。承認済みの守備範囲にある「各胞体の閉包との交わりで閉性を判定する」とは、この同値を指す。

2 コンパクト部分集合は有限部分複体に入る

補題 2.1. 部分集合S⊂XS\subset Xが各開胞体と有限個の点でしか交わらないなら、SSは閉集合である。さらに、各開胞体との交わりが高々一点なら、SSは離散部分空間である。

証明. 閉包有限性により、各胞体eαne_\alpha^nの閉包は有限個の開胞体としか交わらない。したがってS∩eαn‾S\cap\overline{e_\alpha^n}は有限集合である。命題 1.2の証明で示したとおり CW 複体の一点は閉であるから、

χα−1(S)=χα−1(S∩eαn‾)\chi_\alpha^{-1}(S) =\chi_\alpha^{-1}(S\cap\overline{e_\alpha^n})

は有限個の閉集合の合併であり、DαnD_\alpha^nで閉である。弱位相からSSは閉である。

SSが各胞体と高々一点で交わる場合、任意のs∈Ss\in Sに対してS∖{s}S\setminus\{s\}も同じ条件を満たすので閉である。開集合X∖(S∖{s})X\setminus(S\setminus\{s\})はssを含み、SSとはssだけで交わる。したがってSSは離散部分空間である。▨

定理 2.2. CW 複体XXのコンパクト部分集合KKは有限個の開胞体としか交わらない。したがってKKを含む有限部分複体が存在する。

証明.KKが無限個の開胞体と交わると仮定する。互いに異なる開胞体e1,e2,…e_1,e_2,\ldotsと点xi∈K∩eix_i\in K\cap e_iを選び、S={xi∣i≥1}S=\{x_i\mid i\geq1\}と置く。補題 2.1によりSSはXXの閉離散部分空間である。各iiについて

Ui=X∖(S∖{xi})U_i=X\setminus(S\setminus\{x_i\})

と置くと、UiU_iは開であり、Ui∩S={xi}U_i\cap S=\{x_i\}である。K∖SK\setminus SとK∩UiK\cap U_iの族

{K∖S}∪{K∩Ui∣i≥1}\{K\setminus S\}\cup\{K\cap U_i\mid i\geq1\}

はKKの開被覆であるが、有限部分族はSSのうち有限個の点しか覆わない。これはKKのコンパクト性に反する。ゆえにKKは有限個の開胞体としか交わらない。

KKと交わる胞体を有限個取る。各胞体の閉包と交わる胞体は閉包有限性によって有限個であり、接着先の胞体は次元が真に低い。したがって、閉包に現れる胞体を次元について有限回追加すると有限部分複体が得られ、その部分複体はKKを含む。▨

局所有限性は、各点が有限個の胞体としか交わらない近傍をもつという別の条件である。可算個の円周を一点で楔和した CW 複体では、楔点のどの近傍もすべての一胞体と交わるので局所有限性は成り立たない。一方、定理 2.2はこの空間にも成り立つ。したがって閉包有限性、弱位相、局所有限性およびコンパクト集合の有限胞体性を同一視してはならない。

3 CW 複体の正規性

正規性の証明では、閉球上の連続関数を閉球全体へ延長する次の補題を用いる。補題の証明を閉球の距離だけから構成するので、正規性を循環して仮定しない。

補題 3.1.F⊂DnF\subset D^nを閉集合とし、g:F→[0,1]g:F\to[0,1]を連続写像とする。このとき、ggを延長する連続写像G:Dn→[0,1]G:D^n\to[0,1]が存在する。

証明. 最初に、FF上の有界連続実数値関数hhと正の実数ε\varepsilonに対して、DnD^n上の連続関数HHで

∣H∣≤∥h∥∞,∣H(x)−h(x)∣<ε(x∈F)\lvert H\rvert\leq\lVert h\rVert_\infty, \qquad \lvert H(x)-h(x)\rvert<\varepsilon\quad(x\in F)

を満たすものを作る。FFはコンパクトなので、FFを覆う有限個の開集合V1,…,VrV_1,\ldots,V_rと点ai∈F∩Via_i\in F\cap V_iを、Vi∩FV_i\cap F上でhhの振幅がε\varepsilon未満になるように取る。V0=Dn∖FV_0=D^n\setminus Fとし、

ψi(x)=d(x,Dn∖Vi)\psi_i(x)=d\bigl(x,D^n\setminus V_i\bigr)

と置く。V0,V1,…,VrV_0,V_1,\ldots,V_rはDnD^nを覆うので∑iψi(x)>0\sum_i\psi_i(x)>0である。c0=0c_0=0、ci=h(ai)c_i=h(a_i)として

H(x)=∑i=0rψi(x)ci∑i=0rψi(x)H(x)=\frac{\sum_{i=0}^r\psi_i(x)c_i}{\sum_{i=0}^r\psi_i(x)}

と定める。x∈Fx\in Fではψ0(x)=0\psi_0(x)=0であり、ψi(x)>0\psi_i(x)>0ならx∈Vix\in V_iなので∣h(ai)−h(x)∣<ε\lvert h(a_i)-h(x)\rvert<\varepsilonである。したがって所要の評価が成り立つ。

h0=gh_0=gとする。上の構成をε=∥h0∥∞/2\varepsilon=\lVert h_0\rVert_\infty/2で適用してH0H_0を作り、h1=h0−H0∣Fh_1=h_0-H_0|_Fと置く。同じ操作を繰り返すと、

∥hj+1∥∞≤12∥hj∥∞,∥Hj∥∞≤∥hj∥∞\lVert h_{j+1}\rVert_\infty\leq\frac12\lVert h_j\rVert_\infty, \qquad \lVert H_j\rVert_\infty\leq\lVert h_j\rVert_\infty

となる。級数∑j≥0Hj\sum_{j\geq0}H_jは一様収束するので連続関数G~:Dn→R\widetilde G:D^n\to\mathbb Rを定め、FF上ではggに一致する。最後にt↦min⁡{1,max⁡{0,t}}t\mapsto\min\{1,\max\{0,t\}\}を合成すれば、値域が[0,1][0,1]である延長GGを得る。▨

定理 3.2. 任意の CW 複体は Hausdorff な正規空間である。

証明.A,B⊂XA,B\subset Xを互いに交わらない閉集合とする。AA上で00、BB上で11となる連続写像f:X→[0,1]f:X\to[0,1]を骨格ごとに構成する。離散空間X0X^0上では、A∩X0A\cap X^0で00、B∩X0B\cap X^0で11、残りの点で1/21/2と定める。

ffがXn−1X^{n-1}上で構成されているとする。各nn次特性写像χα:Dαn→Xn\chi_\alpha:D_\alpha^n\to X^nに対して、閉集合

Fα=Sαn−1∪χα−1(A∪B)F_\alpha=S_\alpha^{n-1}\cup\chi_\alpha^{-1}(A\cup B)

上の関数を、境界球面ではf∘aαf\circ a_\alpha、χα−1(A)\chi_\alpha^{-1}(A)では00、χα−1(B)\chi_\alpha^{-1}(B)では11と定める。重なりでは帰納法の仮定によって値が一致するので、閉集合上の貼り合わせ補題から連続である。補題 3.1により、この関数をDαnD_\alpha^n全体へ延長する。すべての胞体上の延長は境界でffと一致するため、接着空間の商位相によってXnX^n上の連続関数へ貼り合わさる。

すべての骨格について帰納構成した関数は、各特性写像との合成が連続である。弱位相から全体の写像f:X→[0,1]f:X\to[0,1]は連続である。開集合

f−1([0,1/3)),f−1((2/3,1])f^{-1}\bigl([0,1/3)\bigr), \qquad f^{-1}\bigl((2/3,1]\bigr)

はそれぞれAAとBBを含み、互いに交わらない。よってXXは正規である。

命題 1.2の証明から一点集合は閉である。相異なる二点をAAとBBに取った上の構成は、二点を互いに交わらない開集合で分離する。したがってXXは Hausdorff でもある。▨

4 CW 対のホモトピー拡張性質

定義 4.1. 対(X,A)(X,A)がホモトピー拡張性質 (homotopy extension property) をもつとは、任意の位相空間YY、連続写像f:X→Yf:X\to Yおよび連続写像h:A×[0,1]→Yh:A\times[0,1]\to Yでh(a,0)=f(a)h(a,0)=f(a)を満たすものに対して、F∣X×{0}=fF|_{X\times\{0\}}=fかつF∣A×[0,1]=hF|_{A\times[0,1]}=hを満たす連続写像

F:X×[0,1]⟶YF:X\times[0,1]\longrightarrow Y

が存在することをいう。

補題 4.2.XXを CW 複体、KKをコンパクト Hausdorff 空間とする。写像F:X×K→YF:X\times K\to Yが連続であることと、すべての特性写像χα:Dαn→X\chi_\alpha:D_\alpha^n\to Xについて

F∘(χα×id⁡K):Dαn×K⟶YF\circ(\chi_\alpha\times\operatorname{id}_K):D_\alpha^n\times K\longrightarrow Y

が連続であることは同値である。また、開部分集合U⊂XU\subset X上の写像U×K→YU\times K\to Yについても、χα−1(U)×K\chi_\alpha^{-1}(U)\times K上の制限を用いた同じ判定が成り立つ。

証明. CW 複体XXはコンパクト生成である。実際、部分集合C⊂XC\subset Xと任意のコンパクト部分集合L⊂XL\subset XについてC∩LC\cap Lが閉であるとする。各胞体閉包e‾αn\overline e_\alpha^nはコンパクトなのでC∩e‾αnC\cap\overline e_\alpha^nは閉であり、弱位相からCCは閉である。

コンパクト生成 Hausdorff 空間ZZとコンパクト Hausdorff 空間KKの積もコンパクト生成である。これを確かめるため、C⊂Z×KC\subset Z\times Kがすべてのコンパクト部分集合との交わりで閉であるとする。(z,k)∉C(z,k)\notin Cを取る。切片C∩({z}×K)C\cap(\{z\}\times K)は閉なので、kkの閉近傍VVを、この切片と交わらないように取る。集合

BV:={x∈Z∣({x}×V)∩C≠∅}B_V:=\{x\in Z\mid (\{x\}\times V)\cap C\neq\varnothing\}

は閉である。実際、コンパクト部分集合L⊂ZL\subset Zに対してC∩(L×V)C\cap(L\times V)はコンパクトであり、その第一射影BV∩LB_V\cap Lもコンパクト、したがってLLの閉集合である。ZZのコンパクト生成性からBVB_Vは閉である。z∉BVz\notin B_Vなので、(Z∖BV)×V˚(Z\setminus B_V)\times\mathring Vは(z,k)(z,k)を含みCCと交わらない。ゆえにCCは閉であり、Z×KZ\times Kはコンパクト生成である。

仮定した胞体円柱上の連続性から、FFは任意の有限部分複体L⊂XL\subset XとKKの積上で連続である。これは、各特性写像がコンパクト空間から Hausdorff な胞体閉包への商写像であることと、有限閉被覆に対する貼り合わせ補題から従う。X×KX\times Kの任意のコンパクト部分集合の第一射影は定理 2.2によって有限部分複体LLに含まれる。したがって、YYの任意の閉集合の逆像はすべてのコンパクト部分集合との交わりで閉であり、前段のコンパクト生成性から閉である。よってFFは連続である。逆向きは合成の連続性から直ちに従う。

開集合UUの場合、特性写像の直和が与える商写像をUUの逆像へ制限した写像も商写像である。商写像とコンパクト Hausdorff 空間KKの恒等写像との積は商写像なので、χα−1(U)×K\chi_\alpha^{-1}(U)\times K上の連続写像が境界で一致すればU×KU\times K上の連続写像へ降下する。これで開部分集合についての判定も従う。▨

閉球の一つの胞体を接着するときに必要な変形を明示する。点(0,2)∈Rn×R(0,2)\in\mathbb R^n\times\mathbb Rから円柱Dn×[0,1]D^n\times[0,1]を見て、各点を同じ半直線上の底面または側面へ送る。r=∥x∥r=\lVert x\rVertとし、r=0r=0のときr−1=+∞r^{-1}=+\inftyと解釈して

λ(x,t)=min⁡{r−1,22−t},\lambda(x,t)=\min\left\{r^{-1},\frac{2}{2-t}\right\}, ρn(x,t)=(λ(x,t)x, 2+λ(x,t)(t−2))\rho_n(x,t)=\bigl(\lambda(x,t)x,\ 2+\lambda(x,t)(t-2)\bigr)

と置く。この写像は連続であり、

ρn:Dn×[0,1]⟶Dn×{0}∪Sn−1×[0,1]\rho_n:D^n\times[0,1]\longrightarrow D^n\times\{0\}\cup S^{n-1}\times[0,1]

を与え、右辺の各点を固定する。

定理 4.3. 任意の CW 対(X,A)(X,A)はホモトピー拡張性質をもつ。特に、各骨格の対(Xn,Xn−1)(X^n,X^{n-1})はホモトピー拡張性質をもつ。

証明.XXをAAから相対胞体を順に接着して構成する。A×[0,1]A\times[0,1]では恒等写像を用いる。低次元の相対骨格上でレトラクションRRが構成されているとする。相対nn胞体の特性写像χα:Dαn→X\chi_\alpha:D_\alpha^n\to Xと接着写像aα:Sαn−1→Xn−1a_\alpha:S_\alpha^{n-1}\to X^{n-1}に対して、

Dαn×{0}∪Sαn−1×[0,1]D_\alpha^n\times\{0\}\cup S_\alpha^{n-1}\times[0,1]

上の写像を

(x,0)⟼(χα(x),0),(θ,t)⟼R(aα(θ),t)(x,0)\longmapsto(\chi_\alpha(x),0), \qquad (\theta,t)\longmapsto R(a_\alpha(\theta),t)

で定める。交わりSαn−1×{0}S_\alpha^{n-1}\times\{0\}では両者が(aα(θ),0)(a_\alpha(\theta),0)に等しい。この写像と上で構成したρn\rho_nを合成すると、Dαn×[0,1]D_\alpha^n\times[0,1]上の連続な延長を得る。ρn\rho_nが底面と側面を固定するため、この延長は既に定めた部分と一致する。

相対骨格についてこの操作を帰納的に行うと、連続なレトラクション

R:X×[0,1]⟶X×{0}∪A×[0,1]R:X\times[0,1]\longrightarrow X\times\{0\}\cup A\times[0,1]

が得られる。各特性円柱上の制限は上の構成によって連続であるから、補題 4.2によりRRは積位相を入れたX×[0,1]X\times[0,1]上で連続である。

X×{0}∪A×[0,1]X\times\{0\}\cup A\times[0,1]上の写像GGを

G(x,0)=f(x),G(a,t)=h(a,t)G(x,0)=f(x),\qquad G(a,t)=h(a,t)

と定める。仮定h(a,0)=f(a)h(a,0)=f(a)によりGGは貼り合わさる。F=G∘RF=G\circ Rと置けば、FFは要求された延長である。▨

胞体の半径方向の変形を次元ごとに時間を分けて行うと、CW 対に必要な一つの開近傍と強変形収縮を構成することができる。

命題 4.4. CW 対(X,A)(X,A)において、AAは閉であり、AAのある開近傍はAAへ強変形収縮する。したがって(X,A)(X,A)は§E18.15 定義 2.1の意味で良い対である。

証明.AAの閉性は命題 1.2で示した。AAの開近傍UUを骨格について構成する。U0=A∩X0U^0=A\cap X^0と置く。Un−1⊂Xn−1U^{n-1}\subset X^{n-1}が構成されているとする。UnU^nはA∩XnA\cap X^nとUn−1U^{n-1}を含み、さらに各相対nn胞体eαn⊂X∖Ae_\alpha^n\subset X\setminus Aについて

χα(rθ),12<r<1,aα(θ)∈Un−1\chi_\alpha(r\theta), \qquad \frac12<r<1, \qquad a_\alpha(\theta)\in U^{n-1}

となる点をすべて含むものとする。特性円板におけるUnU^nの逆像は、AAの胞体では円板全体であり、相対胞体ではaα−1(Un−1)a_\alpha^{-1}(U^{n-1})の半径方向の開カラーである。したがってUnU^nはXnX^nで開である。U=⋃n≥0UnU=\bigcup_{n\geq0}U^nと置くと、各特性円板における逆像が開なので弱位相からUUはXXの開集合であり、A⊂UA\subset Uである。

各相対nn胞体のカラー上で

χα(rθ)⟼χα(((1−s)r+s)θ)(0≤s≤1)\chi_\alpha(r\theta)\longmapsto \chi_\alpha\bigl(((1-s)r+s)\theta\bigr) \qquad(0\leq s\leq1)

と動かし、A∩XnA\cap X^nとUn−1U^{n-1}を固定する。この式はs=1s=1でカラーを接着先Un−1U^{n-1}へ送り、r=1r=1では最初から接着先を固定するので、特性円板の境界で貼り合わさる。これによりUnU^nの相対nn胞体部分をUn−1U^{n-1}へ押し出す変形を得る。

無限次元の場合にも一つのホモトピーを得るため、相対nn胞体を押し出す変形を時間区間

[2−n,2−(n−1)][2^{-n},2^{-(n-1)}]

で行う。時刻00では恒等写像とし、次元の大きい胞体から順に押し出す。mm次元胞体に属する点は[0,2−m][0,2^{-m}]では動かず、その後は高々mm回の変形でAAに入る。したがって各特性円板上では有限個のホモトピーの連結となり、時刻00と時刻11を含めて連続である。補題 4.2の開部分集合版をU×[0,1]U\times[0,1]に適用すると、全体のホモトピーも連続である。このホモトピーはAAを各時刻で固定し、時刻11でUU全体をAAへ送るので、AAはUUの強変形レトラクトである。よって(X,A)(X,A)は良い対である。▨

命題 4.5.A,BA,Bを CW 複体XXの部分複体とする。命題 4.4の証明と同じ半径幅で近傍を構成すれば、A,B,A∩BA,B,A\cap Bの開近傍U(A),U(B),U(A∩B)U(A),U(B),U(A\cap B)を

U(A)∩U(B)=U(A∩B)U(A)\cap U(B)=U(A\cap B)

となるように選ぶことができる。各U(C)U(C)はCCへ強変形収縮する。有限個の部分複体についても、同じ構成を反復してすべての有限交叉と両立させることができる。

証明. 零骨格では

(A∩X0)∩(B∩X0)=(A∩B)∩X0(A\cap X^0)\cap(B\cap X^0)=(A\cap B)\cap X^0

である。n−1n-1骨格まで等式が成り立つと仮定する。nn胞体がAAとBBの両方に属すれば、三つの近傍はその特性円板全体を含む。AAにだけ属すれば、U(A)U(A)は円板全体を含み、U(B)U(B)との交わりはBBのための境界カラーであり、これはA∩BA\cap Bのための境界カラーと一致する。どちらにも属さない場合、二つの境界カラーの交わりは

aα−1(Un−1(A))∩aα−1(Un−1(B))=aα−1(Un−1(A∩B))a_\alpha^{-1}(U^{n-1}(A)) \cap a_\alpha^{-1}(U^{n-1}(B)) =a_\alpha^{-1}(U^{n-1}(A\cap B))

を方向集合とする同じ半径幅のカラーである。したがって各特性円板上で等式が成り立ち、帰納法によって全体でも成り立つ。強変形収縮は命題 4.4で構成したものを用いる。二つの場合を帰納的に適用すれば有限個の場合を得る。▨

5 標準的な胞体分解

例 5.1 (基本的な胞体分解). 次の胞体分解を以後の計算で用いる。

  1. SnS^nは一つの零胞体と一つのnn胞体をもち、nn胞体の境界全体を零胞体へ送って接着する。
  2. RPm\mathbb{RP}^mは各次元0,1,…,m0,1,\ldots,mに一つの胞体をもつ。RPn=Dn/(x∼−x on Sn−1)\mathbb{RP}^n=D^n/(x\sim-x\text{ on }S^{n-1})とみると、DnD^nの内部がnn胞体であり、境界の接着写像は対蹠点の商Sn−1→RPn−1S^{n-1}\to\mathbb{RP}^{n-1}である。
  3. CPm\mathbb{CP}^mは各偶数次元0,2,…,2m0,2,\ldots,2mに一つの胞体をもつ。CPm−1⊂CPm\mathbb{CP}^{m-1}\subset\mathbb{CP}^mを最後の斉次座標が零である部分とする。z∈D2m⊂Cmz\in D^{2m}\subset\mathbb C^mに対する z⟼[z1:⋯:zm:1−∥z∥2]z\longmapsto[z_1:\cdots:z_m:\sqrt{1-\lVert z\rVert^2}] は特性写像を与え、境界S2m−1S^{2m-1}をCPm−1\mathbb{CP}^{m-1}へ送る。
  4. グラフは各頂点を零胞体、各開辺を一胞体とする CW 複体である。ループの場合には一胞体の両端を同じ零胞体へ接着する。
  5. 向きづけ可能な種数ggの閉曲面は、一つの零胞体、2g2g個の一胞体a1,b1,…,ag,bga_1,b_1,\ldots,a_g,b_gおよび一つの二胞体をもち、二胞体を境界語 [a1,b1]⋯[ag,bg][a_1,b_1]\cdots[a_g,b_g] で接着する。向きづけ不可能な種数hhの閉曲面は、一つの零胞体、hh個の一胞体a1,…,aha_1,\ldots,a_hおよび一つの二胞体をもち、境界語a12⋯ah2a_1^2\cdots a_h^2で接着する。

同じ空間に異なる胞体分解が入る。例えばS1S^1は一つの零胞体と一つの一胞体によっても、rr個の頂点とrr個の辺によっても CW 複体になる。胞体の個数は空間だけから決まる不変量ではない。

6 演習

問題 6.1.

  1. 可算個の円周の一点楔和が閉包有限性と弱位相を満たす一方で局所有限でないことを示せ。また、その部分空間が各円周から一点ずつ含むならコンパクトでないことを証明せよ。
  2. S1S^1の一頂点・一辺分解に対し、対(S1,∗)(S^1,*)のホモトピー拡張性質を、円板の代わりに区間D1=[−1,1]D^1=[-1,1]を用いて記述せよ。
解答 (解答).

第一問では、各一胞体の閉包はその一胞体と楔点だけに交わるので閉包有限性が成り立つ。位相を特性写像による弱位相として定めれば CW 複体の条件を満たす。楔点の任意の近傍は各円周で楔点の近傍を含むため、すべての一胞体と交わり、局所有限性は成り立たない。各円周から選んだ点の集合は補題 2.1によって閉離散であり、無限閉離散部分集合を含む部分空間は定理 2.2の開被覆と同じ構成によってコンパクトでない。

第二問では、D1×[0,1]D^1\times[0,1]を底辺D1×{0}D^1\times\{0\}と二本の側辺S0×[0,1]S^0\times[0,1]の合併へレトラクトする。底辺上では最初の写像を用い、二本の側辺上では基点に与えられたホモトピーを用いる。両端と底辺の交点で二つの写像は一致するため、商で両端を同じ基点へ接着した後にS1×[0,1]S^1\times[0,1]上の延長が得られる。▨

参考文献

  1. Allen Hatcher, Algebraic Topology, Cambridge University Press, 2002.CW 複体の弱位相、コンパクト部分集合、正規性および CW 対の基本性質を参考にした。

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