複素平面を Euclid 平面と同一視し、とに対応する二点から作図を始める。定規は既に得た二点を通る直線を引くために用い、コンパスは既に得た二点間の距離を半径とする円を引くために用いる。
定義 1. 複素数が作図可能 (constructible) であるとは、有限回の定規とコンパスの操作によって点を得ることができることをいう。作図可能な複素数全体をと書く。
最終更新
複素平面を Euclid 平面と同一視し、とに対応する二点から作図を始める。定規は既に得た二点を通る直線を引くために用い、コンパスは既に得た二点間の距離を半径とする円を引くために用いる。
定義 1. 複素数が作図可能 (constructible) であるとは、有限回の定規とコンパスの操作によって点を得ることができることをいう。作図可能な複素数全体をと書く。
既知の点の座標が属する実部分体をとする。二点を通る直線の方程式と、中心および半径を既知の点から定めた円の方程式は、の元を係数にもつ。二直線の交点は一次方程式によって定まり、直線と円の交点は一方の座標を消去すると二次方程式によって定まる。二円の交点については、二つの円の方程式の差が一次方程式になるため、同じ結論を得る。
補題 1.1.はの部分体であり、とを満たすについてである。さらに、はを含み、平方根について閉じるの部分体のうち最小である。
証明. 平行線と相似三角形によって、既知の有向線分を表す複素数の和、差、積および零でない数の逆数を作図することができる。実軸に垂直な直線と単位円の交点からも作図することができる。したがってはを含む部分体である。
とする。なら平方根はである。とし、
とおく。非負実数の平方根は、直径の両端がとである半円にを通る垂線を引き、相似三角形から長さを得る標準的な平均比例の作図によって得られる。したがっては作図可能である。のとき、のときとすれば、
であるからとなる。ゆえには平方根について閉じる。
逆に、定規とコンパスの一回の操作で新たに得る交点の座標は、先に述べた一次方程式または二次方程式の解である。二次方程式の解の公式により、新しい座標は既知の座標から四則演算と平方根だけで得られる。したがってを含み平方根について閉じる任意の部分体は、すべての作図可能数を含む。▨
証明の出発点は、作図の各段で新しい交点の実座標が一次方程式または二次方程式を満たすという座標計算である。中間目標として、有限回の作図から得た座標を次数またはの体拡大の塔へ収める。逆向きの本質的な一手は、二次方程式の解を平方根で表示し、補題 1.1を各段へ適用することである。
証明.が作図可能であるとする。作図の各段で得た座標を順に添加する。直線同士の交点では体は変わらず、直線と円または二円の交点では、前段の体上の二次方程式の根を一つ添加すれば二つの座標を含む体が得られる。このようにしての実座標を含む実部分体まで、各段の次数がまたはである塔を得る。最後にを添加する。この段の次数もまたはであり、である。
逆に(2)を仮定する。の段は何も添加しない。の段を取り、とする。の最小多項式をと書けば、標数はなので
の一方の符号を選んだ元であり、である。補題 1.1により、の全元が作図可能ならの全元も作図可能である。から帰納するとを得る。▨
系 2.2.が上代数的な作図可能数なら、
はの冪である。
証明.定理 2.1の塔を取る。塔の公式§E8.1 定理 2.1によりはの冪である。またへ塔の公式を適用すると、はを割る。したがって前者もの冪である。▨
次数がの冪であることだけから作図可能性は従わない。十分性を得るためには、元を含む具体的な二次拡大の塔を構成する必要がある。次の記事では、円分体の Galois 群からその塔を構成する。
系 3.1. 次の二つの作図は定規とコンパスでは実行することができない。
証明. 単位立方体を二倍にする立方体の辺の長さをとするとである。多項式は素数に関する Eisenstein の判定法§E6.28 命題 8.1により上既約である。したがってであり、系 2.2に反する。
一般の角を三等分する作図法が存在すると仮定する。その作図法を度の角へ適用すれば、度の角とを作図することができる。三倍角の公式から
である。多項式の有理根の候補はだけであり、いずれも根ではない。三次多項式が可約なら一次因子をもつため、この多項式は上既約である。したがってとなり、再び系 2.2に反する。度という一つの入力に対して失敗するため、任意の角に適用する一般作図法は存在しない。▨
角によっては三等分することができる。例えば度の三等分は正三角形の作図から得られる。上の結論は、すべての角に適用する同一の有限作図手順が存在しないという主張である。
問題 4.1 (作図可能性の確認).
本記事では、作図可能な複素数を二次拡大の塔の元として特徴づけ、立方体倍積と一般角三等分の不可能性を証明した。次の記事では、この特徴づけを円分体へ適用し、作図可能な正多角形を完全に分類する。