§E20.41パラメータ付き多項式と量化子消去

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「多項式の実根分離」と「実代数的数と終結式」では、係数が有理数または実代数的数として定まった一変数多項式の族について、実根とその間の各区間で各多項式がとる符号を有限回の計算で求めた。係数が実数のパラメータttに依存すると、問いはttの値ごとの符号の計算から、ttについての条件の記述に変わる。たとえば(x2−t)2=0(x^2-t)^2=0かつx>0x>0を満たす実数xxが存在することはt>0t>0と同値であり、(x2−t)2=0(x^2-t)^2=0かつx≥0x\ge0を満たす実数xxが存在することはt≥0t\ge0と同値である。二つの条件はt=0t=0だけで異なり、そこでは(x2−t)2(x^2-t)^2が重根00をもち、その重根がxxの根と一致する。このように、ttについての条件は、有限個の点を境に変わり、その境の点そのものでの成否も別に定まる。

一般に、有理数を係数とする二変数多項式p1(t,x),…,pr(t,x)p_1(t,x),\ldots,p_r(t,x)の値が負・零・正のいずれであるかという条件を否定・連言・選言で組み合わせた条件Φ\Phiに対して、実数ttについての条件「Φ\Phiを満たす実数xxが存在する」と「すべての実数xxがΦ\Phiを満たす」を、xxを含まず有理数係数のttの多項式の符号だけで書かれた同値な条件に書き換えることを、量化子「存在する」「すべての」の消去という。書き換えの手がかりは、p1,…,prp_1,\ldots,p_rの係数から零でない有限個のttの多項式を計算することができ、それらの実根で区切られた各開区間の上では、xxを実数全体で動かしたときに現れるp1,…,prp_1,\ldots,p_rの符号の組の全体が変わらないことにある。境の点は一般に有理数ではなく、有理数係数の多項式の実根として表される実代数的数であるから、境の点での符号の計算と、境の点をttの多項式の符号で特定する記述には、実代数的数についての前記事の結果が用いられる。

本記事では、ttとxxをそれぞれ一つの実変数に限った場合に量化子消去の手続きを構成し、得られる条件の同値性と手続きの有限停止を証明する。

1 符号条件式

定義 1.1.r∈N≥0r\in\Nとし、q1,…,qr∈Q[t][x]q_1,\ldots,q_r\in\Q[t][x]とする。q=∑iuixi∈Q[t][x]q=\sum_iu_ix^i\in\Q[t][x](ui∈Q[t]u_i\in\Q[t])とa,b∈Ra,b\in\Rに対してq(a,b):=∑iui(a)biq(a,b):=\sum_iu_i(a)b^iと置く。

  1. 族(q1,…,qr)(q_1,\ldots,q_r)上の 符号条件式 (sign condition formula) を次の規則で帰納的に定める。⊤\topと、1≤j≤r1\le j\le rに対するqj<0q_j<0、qj=0q_j=0、qj>0q_j>0は符号条件式である。Φ\PhiとΦ′\Phi'が符号条件式ならば、¬Φ\neg\Phi、(Φ∧Φ′)(\Phi\wedge\Phi')、(Φ∨Φ′)(\Phi\vee\Phi')は符号条件式である。
  2. 符号条件式Φ\Phiに対して、{−1,0,1}r\{-1,0,1\}^rの部分集合[Φ][\Phi]を、[⊤]:={−1,0,1}r[\top]:=\{-1,0,1\}^r、[qj<0]:={σ∣σj=−1}[q_j<0]:=\{\sigma\mid\sigma_j=-1\}、[qj=0]:={σ∣σj=0}[q_j=0]:=\{\sigma\mid\sigma_j=0\}、[qj>0]:={σ∣σj=1}[q_j>0]:=\{\sigma\mid\sigma_j=1\}、[¬Φ]:={−1,0,1}r∖[Φ][\neg\Phi]:=\{-1,0,1\}^r\setminus[\Phi]、[(Φ∧Φ′)]:=[Φ]∩[Φ′][(\Phi\wedge\Phi')]:=[\Phi]\cap[\Phi']、[(Φ∨Φ′)]:=[Φ]∪[Φ′][(\Phi\vee\Phi')]:=[\Phi]\cup[\Phi']によって帰納的に定める。
  3. a,b∈Ra,b\in\Rに対してσ(a,b):=(sgn⁡q1(a,b),…,sgn⁡qr(a,b))\sigma(a,b):=\bigl(\operatorname{sgn}q_1(a,b),\ldots,\operatorname{sgn}q_r(a,b)\bigr)と置き、σ(a,b)∈[Φ]\sigma(a,b)\in[\Phi]であるときΦ(a,b)\Phi(a,b)が成り立つという。a∈Ra\in\Rに対してS(a):={σ(a,b)∣b∈R}S(a):=\{\sigma(a,b)\mid b\in\R\}と置く。
  4. ⊥:=¬⊤\bot:=\neg\topと置き、qj≤0q_j\le0、qj≥0q_j\ge0、qj≠0q_j\ne0をそれぞれ(qj<0∨qj=0)(q_j<0\vee q_j=0)、(qj>0∨qj=0)(q_j>0\vee q_j=0)、¬ qj=0\neg\,q_j=0の略記とする。連言と選言の括弧は省略して書き、有限個の符号条件式の選言を⋁\bigveeで書いて、空の選言を⊥\botとする。すべてのqjq_jがQ[t]\Q[t]に属するならばσ(a,b)\sigma(a,b)はbbによらないので、Φ(a,b)\Phi(a,b)をΦ(a)\Phi(a)と書く。

2 有理関数の特殊化

定義 2.1.Q[t]\Q[t]の分数体をQ(t)\Q(t)と書き、§E6.6 命題 3.2の単射u↦u/1u\mapsto u/1によってQ[t]⊂Q(t)\Q[t]\subset\Q(t)、Q[t][x]⊂Q(t)[x]\Q[t][x]\subset\Q(t)[x]とみなす。φ∈Q(t)\varphi\in\Q(t)とu,v∈Q[t]u,v\in\Q[t]、v≠0v\ne0がφ=u/v\varphi=u/vを満たすとき、組(u,v)(u,v)をφ\varphiの 分数表示 (fraction representation) といい、vvをその分母という。a∈Ra\in\Rに対して、v(a)≠0v(a)\ne0を満たす分数表示(u,v)(u,v)をもつφ∈Q(t)\varphi\in\Q(t)の全体をOa\mathcal O_aと書く。

補題 2.2.a∈Ra\in\Rとする。

  1. 任意の正の整数kkに対して、Q(t)\Q(t)においてk⋅1≠0k\cdot1\ne0である。Oa\mathcal O_aはQ[t]\Q[t]を含むQ(t)\Q(t)の部分環である。φ∈Oa\varphi\in\mathcal O_aに対して、v(a)≠0v(a)\ne0を満たす分数表示(u,v)(u,v)を取りev⁡a(φ):=u(a)/v(a)\ev_a(\varphi):=u(a)/v(a)と置くと、ev⁡a(φ)\ev_a(\varphi)は分数表示の取り方によらず、ev⁡a ⁣:Oa→R\ev_a\colon\mathcal O_a\to\Rは単位元を保つ環準同型であって、u∈Q[t]u\in\Q[t]に対してev⁡a(u)=u(a)\ev_a(u)=u(a)である。
  2. f=∑iφixi∈Oa[x]f=\sum_i\varphi_ix^i\in\mathcal O_a[x]に対してfa:=∑iev⁡a(φi)xi∈R[x]f_a:=\sum_i\ev_a(\varphi_i)x^i\in\R[x]と置く。f↦faf\mapsto f_aはOa[x]\mathcal O_a[x]からR[x]\R[x]への単位元を保つ環準同型である。§E20.40 定義 4.6の導関数についてf′∈Oa[x]f'\in\mathcal O_a[x]かつ(f′)a=(fa)′(f')_a=(f_a)'である。f∈Q[t][x]f\in\Q[t][x]ならば、任意のb∈Rb\in\Rに対してfa(b)=f(a,b)f_a(b)=f(a,b)である。
  3. I⊂RI\subset\Rを開区間とし、φ∈Q(t)\varphi\in\Q(t)が分母がII上で零にならない分数表示(u,v)(u,v)をもつとする。このとき任意のa∈Ia\in Iについてφ∈Oa\varphi\in\mathcal O_aであり、I→RI\to\R、a↦ev⁡a(φ)a\mapsto\ev_a(\varphi)はC1C^1級である。
  4. Q(t)\Q(t)の元を分数表示で与える。このとき、Q(t)\Q(t)の和・差・積と零でない元の逆元の分数表示、Q(t)\Q(t)の元が零であるかどうかの判定、Q(t)[x]\Q(t)[x]における除法の商と剰余、零でない二元のモニック最大公約元と正規化後の Bézout 等式の係数、導関数、および成分がQ(t)\Q(t)の元である正方行列の行列式の分数表示は、有理数の四則演算と比較の有限回で得られる。

証明.(1)を示す。k⋅1=k/1k\cdot1=k/1であり、Q[t]\Q[t]においてk≠0k\ne0であるから、§E6.6 命題 3.2の単射性によりk/1≠0k/1\ne0である。u∈Q[t]u\in\Q[t]は分数表示(u,1)(u,1)をもつので、Q[t]⊂Oa\Q[t]\subset\mathcal O_aである。φ,ψ∈Oa\varphi,\psi\in\mathcal O_aがv(a)≠0v(a)\ne0、v′(a)≠0v'(a)\ne0を満たす分数表示(u,v)(u,v)、(u′,v′)(u',v')をもつとする。§E6.6 定義 3.1により

−φ=−uv,φ+ψ=uv′+u′vvv′,φψ=uu′vv′-\varphi=\frac{-u}{v},\qquad\varphi+\psi=\frac{uv'+u'v}{vv'},\qquad\varphi\psi=\frac{uu'}{vv'}

であり、(vv′)(a)=v(a)v′(a)≠0(vv')(a)=v(a)v'(a)\ne0であるから、−φ-\varphi、φ+ψ\varphi+\psi、φψ\varphi\psiはOa\mathcal O_aに属する。したがってOa\mathcal O_aは部分環である。(u,v)(u,v)と(u′,v′)(u',v')が同じφ\varphiの分数表示であってv(a)v′(a)≠0v(a)v'(a)\ne0を満たすならば、§E6.6 定義 3.1によりuv′=u′vuv'=u'vであり、aaを代入するとu(a)v′(a)=u′(a)v(a)u(a)v'(a)=u'(a)v(a)であるから、u(a)/v(a)=u′(a)/v′(a)u(a)/v(a)=u'(a)/v'(a)である。上の三つの分数表示にaaを代入すると、ev⁡a\ev_aが負元、和、積を保つことを得る。分数表示(u,1)(u,1)からev⁡a(u)=u(a)\ev_a(u)=u(a)であり、特にev⁡a(1)=1\ev_a(1)=1である。

(2)を示す。Oa[x]\mathcal O_a[x]の二元の和と積の各係数は、二元の係数の和と積の有限和であり、ev⁡a\ev_aは和と積を保つので、f↦faf\mapsto f_aは和と積を保ち、1a=11_a=1である。f′f'のxi−1x^{i-1}の係数iφii\varphi_iはOa\mathcal O_aに属し、ev⁡a(iφi)=i ev⁡a(φi)\ev_a(i\varphi_i)=i\,\ev_a(\varphi_i)であるから、(f′)a=(fa)′(f')_a=(f_a)'である。f=∑iuixi∈Q[t][x]f=\sum_iu_ix^i\in\Q[t][x]ならばfa=∑iui(a)xif_a=\sum_iu_i(a)x^iであり、fa(b)=f(a,b)f_a(b)=f(a,b)である。

(3)を示す。a∈Ia\in Iならばv(a)≠0v(a)\ne0であるから、φ∈Oa\varphi\in\mathcal O_aかつev⁡a(φ)=u(a)/v(a)\ev_a(\varphi)=u(a)/v(a)である。多項式関数u,vu,vはC1C^1級であり、vvはII上で零にならないので、商u/vu/vはII上でC1C^1級である。

(4)を示す。Q[t]\Q[t]の元の和・差・積は係数の有理数の四則演算の有限回で得られ、Q[t]\Q[t]の元が零であるかどうかは係数を00と比較して判定される。前段の式により、Q(t)\Q(t)の負元、和、積の分数表示はQ[t]\Q[t]の演算で得られる。§E6.6 定義 3.1によりu/v=0/1u/v=0/1であることはu=0u=0と同値であり、u≠0u\ne0ならば、§E6.6 命題 3.2により(v,u)(v,u)はu/vu/vの逆元の分数表示である。したがってQ(t)[x]\Q(t)[x]の零でない元の次数と最高次係数は、係数を上から零と比較して得られる。§E6.28 定理 2.1の存在の証明による商と剰余の計算は、被除式が零ならば最高次項の消去を行わずに停止する。被除式が零でなく、その次数をnn、零でない除式の次数をmmとすると、この計算は最高次項の消去を高々max⁡{0,n−m+1}\max\{0,n-m+1\}回行う。n<mn<mならば消去は一度も行われない。n≥mn\ge mならば、消去は次数がmm以上nn以下の零でない多項式に対してだけ行われ、各回の消去で得られる多項式は零であるか、消去前の多項式より次数が真に小さいので、消去の回数はn−m+1n-m+1以下である。各回の消去はQ(t)\Q(t)の四則演算と零の判定からなる。§E6.28 命題 3.1の Euclid アルゴリズムは剰余の次数が真に減る有限回の除法であり、Bézout 等式の係数は各除法の商から得られ、正規化は最高次係数の逆元を掛ける操作である。導関数の係数は係数の整数倍である。§E20.40 定義 4.1の行列式は、有限個の置換にわたる成分の積の和である。▨

3 平方自由部分と射影族

補題 3.1.FFを、任意の正の整数kkに対してk⋅1≠0k\cdot1\ne0を満たす体とし、F[x]F[x]の元の導関数を§E20.40 定義 4.6で定める。f,g∈F[x]f,g\in F[x]、α,β∈F\alpha,\beta\in Fとする。

  1. (αf+βg)′=αf′+βg′(\alpha f+\beta g)'=\alpha f'+\beta g'である。
  2. (fg)′=f′g+fg′(fg)'=f'g+fg'であり、正の整数eeに対して(fe)′=efe−1f′(f^e)'=ef^{e-1}f'である。

証明.(1)は、各iiにおける係数の等式i(αai+βbi)=α iai+β ibii(\alpha a_i+\beta b_i)=\alpha\,ia_i+\beta\,ib_iから従う。(1)により(fg)′(fg)'とf′g+fg′f'g+fg'はいずれもffとggのそれぞれについてFF-線形であるから、二つが等しいことはf=xif=x^i、g=xjg=x^j(i,j∈N≥0i,j\in\N)の場合に帰着する。x0x^0の導関数は00であり、k≥1k\ge1についてxkx^kの導関数はkxk−1kx^{k-1}である。したがって、i+j≥1i+j\ge1ならば両辺はともに(i+j)xi+j−1(i+j)x^{i+j-1}に等しく、i=j=0i=j=0ならば両辺はともに00である。(fe)′=efe−1f′(f^e)'=ef^{e-1}f'はe=1e=1で成り立ち、eeで成り立つならば(fe+1)′=(fe)′f+fef′=(e+1)fef′(f^{e+1})'=(f^e)'f+f^ef'=(e+1)f^ef'である。▨

補題 3.2.FFを、任意の正の整数kkに対してk⋅1≠0k\cdot1\ne0を満たす体とし、F[x]F[x]のモニック既約多項式の全体をP\mathcal P、π∈P\pi\in\mathcal Pに対する指数を§E20.39 補題 3.3のvπv_\piとする。f∈F[x]f\in F[x]の次数をn≥1n\ge1とし、ffとf′f'のモニック最大公約元をDDとする。

  1. D=∏π∈Pπmax⁡{vπ(f)−1, 0}D=\prod_{\pi\in\mathcal P}\pi^{\max\{v_\pi(f)-1,\,0\}}である。ffのDDによる除法の剰余は零であり、その商をf/Df/Dとしてh:=lc⁡(f/D)−1(f/D)h:=\operatorname{lc}(f/D)^{-1}(f/D)と置くと、h=∏π∈P, vπ(f)≥1πh=\prod_{\pi\in\mathcal P,\ v_\pi(f)\ge1}\piである。特にhhはモニックで次数が11以上であり、h∣fh\mid fである。
  2. f∣hnf\mid h^nである。
  3. hhとh′h'のモニック最大公約元は11である。

証明.

主張 3.2.1.π∈P\pi\in\mathcal Pと零でないg∈F[x]g\in F[x]がe:=vπ(g)≥1e:=v_\pi(g)\ge1を満たすならば、g′≠0g'\ne0かつvπ(g′)=e−1v_\pi(g')=e-1である。

証明.§E20.39 補題 3.3 (3)によりπe∣g\pi^e\mid gであるからg=πekg=\pi^ekと書くことができ、§E20.39 補題 3.3 (2)によりvπ(k)=0v_\pi(k)=0である。補題 3.1 (2)により

g′=eπe−1π′k+πek′=πe−1(eπ′k+πk′)g'=e\pi^{e-1}\pi'k+\pi^ek'=\pi^{e-1}\bigl(e\pi'k+\pi k'\bigr)

である。π\piは既約であるから次数が11以上であり、§E20.40 定義 4.6によりπ′≠0\pi'\ne0かつdeg⁡π′=deg⁡π−1\deg\pi'=\deg\pi-1である。π∣π′\pi\mid\pi'ならば§E6.28 命題 1.2によりdeg⁡π≤deg⁡π′\deg\pi\le\deg\pi'となるので、π∤π′\pi\nmid\pi'であり、§E20.39 補題 3.3 (3)によりvπ(π′)=0v_\pi(\pi')=0である。e⋅1e\cdot1はFFの零でない定数であるから、§E20.39 補題 3.3 (2)によりvπ(eπ′k)=0v_\pi(e\pi'k)=0である。π∣eπ′k+πk′\pi\mid e\pi'k+\pi k'ならばπ∣eπ′k\pi\mid e\pi'kとなり、§E20.39 補題 3.3 (3)によりvπ(eπ′k)≥1v_\pi(e\pi'k)\ge1となるので、vπ(eπ′k)=0v_\pi(e\pi'k)=0と両立しない。したがってπ∤eπ′k+πk′\pi\nmid e\pi'k+\pi k'であり、零はπ\piで割り切れるからeπ′k+πk′≠0e\pi'k+\pi k'\ne0かつvπ(eπ′k+πk′)=0v_\pi(e\pi'k+\pi k')=0である。§E20.39 補題 3.3 (2)によりg′≠0g'\ne0かつvπ(g′)=e−1v_\pi(g')=e-1である。▨

(1)を示す。eπ:=vπ(f)e_\pi:=v_\pi(f)と置く。§E20.40 定義 4.6によりf′≠0f'\ne0である。主張 3.2.1により、eπ≥1e_\pi\ge1ならばmin⁡{eπ,vπ(f′)}=eπ−1\min\{e_\pi,v_\pi(f')\}=e_\pi-1であり、eπ=0e_\pi=0ならばこの最小値は00であるから、§E20.39 補題 3.3 (4)によりD=∏ππmax⁡{eπ−1,0}D=\prod_\pi\pi^{\max\{e_\pi-1,0\}}である。§E20.39 補題 3.3 (1)により

f=lc⁡(f)∏ππeπ=D⋅lc⁡(f)∏eπ≥1πf=\operatorname{lc}(f)\prod_\pi\pi^{e_\pi}=D\cdot\operatorname{lc}(f)\prod_{e_\pi\ge1}\pi

であるから、§E6.28 定理 2.1の一意性により剰余は零であり、f/D=lc⁡(f)∏eπ≥1πf/D=\operatorname{lc}(f)\prod_{e_\pi\ge1}\piである。モニック多項式の積はモニックであるから、§E6.28 命題 1.2によりlc⁡(f/D)=lc⁡(f)\operatorname{lc}(f/D)=\operatorname{lc}(f)であり、h=∏eπ≥1πh=\prod_{e_\pi\ge1}\piである。ffは定数でないので、§E20.39 補題 3.3 (1)によりeπ≥1e_\pi\ge1を満たすπ\piが存在し、hhの次数は11以上である。vπ(h)v_\pi(h)はeπ≥1e_\pi\ge1ならば11、そうでなければ00であるから、§E20.39 補題 3.3 (3)によりh∣fh\mid fである。

(2)を示す。§E6.28 命題 1.2によりn=∑πeπdeg⁡πn=\sum_\pi e_\pi\deg\piであるから、任意のπ\piでeπ≤ne_\pi\le nである。§E20.39 補題 3.3 (2)によりvπ(hn)=n vπ(h)v_\pi(h^n)=n\,v_\pi(h)であり、eπ≥1e_\pi\ge1ならばvπ(f)=eπ≤n=vπ(hn)v_\pi(f)=e_\pi\le n=v_\pi(h^n)、eπ=0e_\pi=0ならばvπ(f)=0≤vπ(hn)v_\pi(f)=0\le v_\pi(h^n)である。§E20.39 補題 3.3 (3)によりf∣hnf\mid h^nである。

(3)を示す。hhの次数は11以上であるから、§E20.40 定義 4.6によりh′≠0h'\ne0である。vπ(h)=1v_\pi(h)=1ならば主張 3.2.1によりvπ(h′)=0v_\pi(h')=0であるから、任意のπ\piでmin⁡{vπ(h),vπ(h′)}=0\min\{v_\pi(h),v_\pi(h')\}=0である。§E20.39 補題 3.3 (4)により、hhとh′h'のモニック最大公約元は11である。▨

定義 3.3.r∈N≥0r\in\Nとし、p1,…,pr∈Q[t][x]p_1,\ldots,p_r\in\Q[t][x]とする。Q(t)[x]\Q(t)[x]の元としての次数と最高次係数を用い、J0:={j∣pj=0}J_0:=\{j\mid p_j=0\}、Jt:={j∣pj≠0, deg⁡pj=0}J_t:=\{j\mid p_j\ne0,\ \deg p_j=0\}、J+:={j∣pj≠0, deg⁡pj≥1}J_+:=\{j\mid p_j\ne0,\ \deg p_j\ge1\}と置く。j∈J+j\in J_+ならばlc⁡(pj)∈Q[t]\operatorname{lc}(p_j)\in\Q[t]である。Q[t]\Q[t]の有限部分集合Δ\Deltaに対して、Z(Δ):={a∈R∣ある δ∈Δ について δ(a)=0}Z(\Delta):=\{a\in\R\mid\text{ある }\delta\in\Delta\text{ について }\delta(a)=0\}と置く。

  1. J+≠∅J_+\ne\emptysetとする。Q(t)[x]\Q(t)[x]においてP:=∏j∈J+pjP:=\prod_{j\in J_+}p_j、n:=deg⁡Pn:=\deg Pと置き、PPとP′P'のモニック最大公約元をDDとし、補題 3.2 (1)のhhをf=Pf=Pについて取ったものをHH、d:=deg⁡Hd:=\deg Hとする。PPのHHによる除法の商をAA、HnH^nのPPによる除法の商をBBとする。各j∈J+j\in J_+について、HHとpjp_jのモニック最大公約元をGjG_j、HHのGjG_jによる除法の商をBjB_j、pjp_jのGjG_jによる除法の商をCjC_jとし、UjH+Vjpj=GjU_jH+V_jp_j=G_jを満たすUj,Vj∈Q(t)[x]U_j,V_j\in\Q(t)[x]を一組取る。HH、AA、BBと各GjG_j、BjB_j、CjC_j、UjU_j、VjV_jの係数の分数表示を一つずつ取り、Res⁡(H,H′)\operatorname{Res}(H,H')の分数表示(uR,vR)(u_R,v_R)を一つ取る。補題 3.2 (1)によりd≥1d\ge1であるから、Res⁡(H,H′)\operatorname{Res}(H,H')は定まる。
  2. J+≠∅J_+\ne\emptysetならば、{lc⁡(pj)∣j∈J+}\{\operatorname{lc}(p_j)\mid j\in J_+\}、{pj∣j∈Jt}\{p_j\mid j\in J_t\}、(1)で取った係数の分数表示の分母の全体、および{uR,vR}\{u_R,v_R\}の和集合をΔ\Deltaと置く。J+=∅J_+=\emptysetならばΔ:={pj∣j∈Jt}\Delta:=\{p_j\mid j\in J_t\}と置く。Δ\Deltaを(p1,…,pr)(p_1,\ldots,p_r)の 射影族 (projection family) という。

命題 3.4.定義 3.3の記号の下でJ+≠∅J_+\ne\emptysetとする。

  1. HHはモニックでd≥1d\ge1であり、Q(t)[x]\Q(t)[x]においてP=HAP=HAとHn=PBH^n=PBが成り立ち、各j∈J+j\in J_+についてH=GjBjH=G_jB_j、pj=GjCjp_j=G_jC_j、UjH+Vjpj=GjU_jH+V_jp_j=G_jが成り立つ。
  2. Res⁡(H,H′)≠0\operatorname{Res}(H,H')\ne0であり、Δ\DeltaはQ[t]\Q[t]の零でない元からなる有限集合である。
  3. Uj,VjU_j,V_jを§E6.28 命題 3.1の正規化後の Bézout 等式の係数として取るとき、PP、DD、HH、AA、BB、GjG_j、BjB_j、CjC_j、UjU_j、VjV_j、Res⁡(H,H′)\operatorname{Res}(H,H')の分数表示とΔ\Deltaは、有理数の四則演算と比較の有限回で得られる。

証明.(1)を示す。補題 2.2 (1)により、Q(t)\Q(t)は任意の正の整数kkに対してk⋅1≠0k\cdot1\ne0を満たす。J+J_+の各pjp_jの次数は11以上であるから、§E6.28 命題 1.2によりn≥1n\ge1である。補題 3.2をF=Q(t)F=\Q(t)、f=Pf=Pに適用すると、HHはモニックでd≥1d\ge1であり、H∣PH\mid PかつP∣HnP\mid H^nである。GjG_jはHHとpjp_jの公約元である。§E6.28 定理 2.1の一意性により、割り切る多項式による除法の剰余は零であるから、P=HAP=HA、Hn=PBH^n=PB、H=GjBjH=G_jB_j、pj=GjCjp_j=G_jC_jである。UjH+Vjpj=GjU_jH+V_jp_j=G_jはUj,VjU_j,V_jの取り方による。

(2)を示す。§E20.40 定義 4.6によりH′≠0H'\ne0かつdeg⁡H′=d−1\deg H'=d-1であるから、deg⁡H+deg⁡H′=2d−1≥1\deg H+\deg H'=2d-1\ge1である。補題 3.2 (3)によりHHとH′H'のモニック最大公約元は11であるから、§E20.40 定理 4.5をF=Q(t)F=\Q(t)で適用してRes⁡(H,H′)≠0\operatorname{Res}(H,H')\ne0を得る。したがってuR≠0u_R\ne0である。lc⁡(pj)\operatorname{lc}(p_j)(j∈J+j\in J_+)、pjp_j(j∈Jtj\in J_t)、分数表示の分母およびvRv_Rは零でない。Δ\Deltaは有限個の有限集合の和集合である。

(3)を示す。PPはpjp_jの積であり、P′P'、H′H'は導関数である。DDとGjG_jは Euclid アルゴリズムで得られ、Uj,VjU_j,V_jは正規化後の Bézout 等式の係数である。HHはPPのDDによる除法の商に最高次係数の逆元を掛けて得られ、AA、BB、BjB_j、CjC_jは除法の商である。Res⁡(H,H′)\operatorname{Res}(H,H')はHHとH′H'の係数を成分とする Sylvester 行列の行列式である。いずれも補題 2.2 (4)により有理数の四則演算と比較の有限回で得られ、Δ\Deltaはそれらの分母と分子およびpjp_jの最高次係数を集めて得られる。▨

命題 3.5.定義 3.3の記号の下でa∈R∖Z(Δ)a\in\R\setminus Z(\Delta)とする。j∈Jtj\in J_tならばpj(a)≠0p_j(a)\ne0である。J+≠∅J_+\ne\emptysetならば、HH、AA、BBと各GjG_j、BjB_j、CjC_j、UjU_j、VjV_jはOa[x]\mathcal O_a[x]に属し、補題 2.2 (2)のfaf_aをGj,a:=(Gj)aG_{j,a}:=(G_j)_aなどと書くと、次が成り立つ。

  1. R[x]\R[x]においてPa=HaAaP_a=H_aA_a、Han=PaBaH_a^n=P_aB_aが成り立ち、各j∈J+j\in J_+についてHa=Gj,aBj,aH_a=G_{j,a}B_{j,a}、(pj)a=Gj,aCj,a(p_j)_a=G_{j,a}C_{j,a}、Uj,aHa+Vj,a(pj)a=Gj,aU_{j,a}H_a+V_{j,a}(p_j)_a=G_{j,a}が成り立つ。j∈J+j\in J_+ならばdeg⁡(pj)a=deg⁡pj\deg(p_j)_a=\deg p_jである。
  2. HaH_aはモニックで次数がddであり、Ha(θ)=0H_a(\theta)=0を満たす任意のθ∈R\theta\in\Rに対してHa′(θ)≠0H_a'(\theta)\ne0である。
  3. {θ∈R∣Ha(θ)=0}=⋃j∈J+{θ∈R∣pj(a,θ)=0}\{\theta\in\R\mid H_a(\theta)=0\}=\bigcup_{j\in J_+}\{\theta\in\R\mid p_j(a,\theta)=0\}である。
  4. j∈J+j\in J_+とHa(θ)=0H_a(\theta)=0を満たすθ∈R\theta\in\Rに対して、Gj,a(θ)G_{j,a}(\theta)とBj,a(θ)B_{j,a}(\theta)のちょうど一方が零であり、pj(a,θ)=0p_j(a,\theta)=0であることはGj,a(θ)=0G_{j,a}(\theta)=0であることと同値である。

証明.j∈Jtj\in J_tならばpj∈Δp_j\in\Deltaであるから、pj(a)≠0p_j(a)\ne0である。J+≠∅J_+\ne\emptysetとする。HH、AA、BBと各GjG_j、BjB_j、CjC_j、UjU_j、VjV_jの係数は、分母がΔ\Deltaに属する分数表示をもち、その分母はaaで零にならないので、Oa\mathcal O_aに属する。補題 2.2 (1)によりQ[t][x]⊂Oa[x]\Q[t][x]\subset\mathcal O_a[x]である。

(1)を示す。命題 3.4 (1)の等式に補題 2.2 (2)の環準同型を施すと、表示した等式を得る。j∈J+j\in J_+について、(pj)a(p_j)_aのxdeg⁡pjx^{\deg p_j}の係数はlc⁡(pj)(a)\operatorname{lc}(p_j)(a)であり、lc⁡(pj)∈Δ\operatorname{lc}(p_j)\in\Deltaから零でなく、より高い次数の係数は零であるから、deg⁡(pj)a=deg⁡pj\deg(p_j)_a=\deg p_jである。

(2)を示す。ev⁡a(1)=1\ev_a(1)=1であるから、HaH_aはモニックで次数がddである。uR,vR∈Δu_R,v_R\in\DeltaであるからuR(a)≠0u_R(a)\ne0かつvR(a)≠0v_R(a)\ne0であり、Res⁡(H,H′)∈Oa\operatorname{Res}(H,H')\in\mathcal O_aかつev⁡a(Res⁡(H,H′))=uR(a)/vR(a)≠0\ev_a(\operatorname{Res}(H,H'))=u_R(a)/v_R(a)\ne0である。Res⁡(H,H′)=det⁡Sd,d−1(H,H′)\operatorname{Res}(H,H')=\det S_{d,d-1}(H,H')の成分はHHとH′H'の係数であってOa\mathcal O_aに属し、Oa\mathcal O_aはQ(t)\Q(t)の部分環であるから、この行列式はOa\mathcal O_aの元として計算しても同じ元である。§E20.40 命題 4.9 (2)をA=OaA=\mathcal O_a、F=RF=\R、ψ=ev⁡a\psi=\ev_a、f=Hf=H、g=H′g=H'、m=dm=d、n=d−1n=d-1に適用する。ev⁡a(1)=1≠0\ev_a(1)=1\ne0とev⁡a(d⋅1)=d≠0\ev_a(d\cdot1)=d\ne0から、ev⁡a(Res⁡(H,H′))=Res⁡(Ha,(H′)a)\ev_a(\operatorname{Res}(H,H'))=\operatorname{Res}(H_a,(H')_a)であり、補題 2.2 (2)により(H′)a=Ha′(H')_a=H_a'である。したがってRes⁡(Ha,Ha′)≠0\operatorname{Res}(H_a,H_a')\ne0である。Ha(θ)=Ha′(θ)=0H_a(\theta)=H_a'(\theta)=0を満たすθ∈R\theta\in\Rが存在すれば、§E20.40 定理 4.5をF=L=RF=L=\Rで適用してRes⁡(Ha,Ha′)=0\operatorname{Res}(H_a,H_a')=0となり、Res⁡(Ha,Ha′)≠0\operatorname{Res}(H_a,H_a')\ne0と両立しない。

(3)を示す。補題 2.2 (2)によりPa=∏j∈J+(pj)aP_a=\prod_{j\in J_+}(p_j)_aであり、(pj)a(θ)=pj(a,θ)(p_j)_a(\theta)=p_j(a,\theta)である。Ha(θ)=0H_a(\theta)=0ならば、Pa=HaAaP_a=H_aA_aからPa(θ)=0P_a(\theta)=0であり、R\Rは整域であるから、あるj∈J+j\in J_+でpj(a,θ)=0p_j(a,\theta)=0である。逆にあるj∈J+j\in J_+でpj(a,θ)=0p_j(a,\theta)=0ならばPa(θ)=0P_a(\theta)=0であり、Han=PaBaH_a^n=P_aB_aからHa(θ)n=0H_a(\theta)^n=0、すなわちHa(θ)=0H_a(\theta)=0である。

(4)を示す。Ha(θ)=0H_a(\theta)=0とする。Gj,a(θ)Bj,a(θ)=Ha(θ)=0G_{j,a}(\theta)B_{j,a}(\theta)=H_a(\theta)=0であるから、二つの値の少なくとも一方は零である。補題 3.1 (2)をF=RF=\Rで用いるとHa′=Gj,a′Bj,a+Gj,aBj,a′H_a'=G_{j,a}'B_{j,a}+G_{j,a}B_{j,a}'であるから、二つの値がともに零ならばHa′(θ)=0H_a'(\theta)=0となり、(2)と両立しない。したがってちょうど一方が零である。Gj,a(θ)=0G_{j,a}(\theta)=0ならばpj(a,θ)=Gj,a(θ)Cj,a(θ)=0p_j(a,\theta)=G_{j,a}(\theta)C_{j,a}(\theta)=0である。pj(a,θ)=0p_j(a,\theta)=0ならばGj,a(θ)=Uj,a(θ)Ha(θ)+Vj,a(θ)pj(a,θ)=0G_{j,a}(\theta)=U_{j,a}(\theta)H_a(\theta)+V_{j,a}(\theta)p_j(a,\theta)=0である。▨

4 根の枝と符号の不変性

補題 4.1.I⊂RI\subset\Rを開区間、d≥1d\ge1とし、φ0,…,φd−1 ⁣:I→R\varphi_0,\ldots,\varphi_{d-1}\colon I\to\RをC1C^1級関数として、(t,x)∈I×R(t,x)\in I\times\Rに対してF(t,x):=xd+∑i=0d−1φi(t)xiF(t,x):=x^d+\sum_{i=0}^{d-1}\varphi_i(t)x^iと置く。任意のa∈Ia\in IとF(a,θ)=0F(a,\theta)=0を満たす任意のθ∈R\theta\in\Rに対して∂F∂x(a,θ)≠0\frac{\partial F}{\partial x}(a,\theta)\ne0であるとする。このとき、N∈N≥0N\in\NとC1C^1級関数θ1,…,θN ⁣:I→R\theta_1,\ldots,\theta_N\colon I\to\Rが存在して、任意のa∈Ia\in Iに対してθ1(a)<⋯<θN(a)\theta_1(a)<\cdots<\theta_N(a)かつ{x∈R∣F(a,x)=0}={θ1(a),…,θN(a)}\{x\in\R\mid F(a,x)=0\}=\{\theta_1(a),\ldots,\theta_N(a)\}である。

証明.

主張 4.1.1. 任意のa0∈Ia_0\in Iに対して、δ>0\delta>0とm∈N≥0m\in\NとC1C^1級関数g1,…,gm ⁣:(a0−δ,a0+δ)→Rg_1,\ldots,g_m\colon(a_0-\delta,a_0+\delta)\to\Rが存在して、(a0−δ,a0+δ)⊂I(a_0-\delta,a_0+\delta)\subset Iであり、∣t−a0∣<δ|t-a_0|<\deltaを満たす任意のttについてg1(t)<⋯<gm(t)g_1(t)<\cdots<g_m(t)かつ{x∈R∣F(t,x)=0}={g1(t),…,gm(t)}\{x\in\R\mid F(t,x)=0\}=\{g_1(t),\ldots,g_m(t)\}である。

証明.FFはxxの単項式とφi\varphi_iの積の和であるから、開集合I×RI\times\R上でC1C^1級である。F(a0,⋅)F(a_0,\cdot)は次数ddのモニック多項式であるから、§E20.39 命題 2.1 (1)によりその実根は有限個であり、それらをξ1<⋯<ξm\xi_1<\cdots<\xi_m(m∈N≥0m\in\N)とする。各kkについて仮定により∂F∂x(a0,ξk)≠0\frac{\partial F}{\partial x}(a_0,\xi_k)\ne0であるから、§E4.8 系 3.1を(a0,ξk)(a_0,\xi_k)に適用し、a0a_0の開近傍AkA_k、ξk\xi_kの開近傍BkB_kとC1C^1級関数gk ⁣:Ak→Bkg_k\colon A_k\to B_kで、(t,x)∈Ak×Bk(t,x)\in A_k\times B_kについてF(t,x)=0F(t,x)=0とx=gk(t)x=g_k(t)が同値になるものを取る。F(a0,ξk)=0F(a_0,\xi_k)=0であるからgk(a0)=ξkg_k(a_0)=\xi_kである。各kkで(ξk−ε,ξk+ε)⊂Bk(\xi_k-\varepsilon,\xi_k+\varepsilon)\subset B_kを満たし、1≤k<m1\le k<mで2ε<ξk+1−ξk2\varepsilon<\xi_{k+1}-\xi_kを満たすε>0\varepsilon>0を取り、Ok:=(ξk−ε,ξk+ε)O_k:=(\xi_k-\varepsilon,\xi_k+\varepsilon)と置く。k<k′k<k'ならば、OkO_kの任意の元はOk′O_{k'}の任意の元より小さい。R:=2+max⁡0≤i<d∣φi(a0)∣R:=2+\max_{0\le i<d}|\varphi_i(a_0)|と置く。gkg_kとφi\varphi_iのa0a_0での連続性により、δ0>0\delta_0>0を、(a0−δ0,a0+δ0)(a_0-\delta_0,a_0+\delta_0)がIIとA1,…,AmA_1,\ldots,A_mに含まれ、∣t−a0∣<δ0|t-a_0|<\delta_0ならば各kkでgk(t)∈Okg_k(t)\in O_k、各iiで∣φi(t)∣<∣φi(a0)∣+1|\varphi_i(t)|<|\varphi_i(a_0)|+1となるように取る。∣t−a0∣<δ0|t-a_0|<\delta_0とすると、x∈Okx\in O_kについてF(t,x)=0F(t,x)=0とx=gk(t)x=g_k(t)は同値である。最高次係数が11のF(t,⋅)F(t,\cdot)について§E20.39 命題 2.1 (2)のMMを取ると1+M<R1+M<Rであるから、∣x∣≥R|x|\ge Rを満たす実数xxについてF(t,x)≠0F(t,x)\ne0であり、F(t,⋅)F(t,\cdot)の実根は[−R,R][-R,R]に属する。

∣t−a0∣<δ|t-a_0|<\deltaを満たす任意のttについてF(t,⋅)F(t,\cdot)の実根がすべてO1∪⋯∪OmO_1\cup\cdots\cup O_mに属するようなδ∈(0,δ0]\delta\in(0,\delta_0]が存在しないと仮定する。各正の整数ν\nuに対して、∣tν−a0∣<min⁡{δ0,1/ν}|t_\nu-a_0|<\min\{\delta_0,1/\nu\}、F(tν,xν)=0F(t_\nu,x_\nu)=0、xν∉O1∪⋯∪Omx_\nu\notin O_1\cup\cdots\cup O_mを満たすtν,xν∈Rt_\nu,x_\nu\in\Rを取る。前段によりxν∈[−R,R]x_\nu\in[-R,R]である。§E2.9 定理 4.3により[−R,R][-R,R]はコンパクトであり、§E2.9 定理 3.1により点列コンパクトであるから、ある部分列(xνl)l(x_{\nu_l})_lがあるx∗∈[−R,R]x_*\in[-R,R]に収束する。tνl→a0t_{\nu_l}\to a_0でありFFは連続であるから、F(a0,x∗)=lim⁡lF(tνl,xνl)=0F(a_0,x_*)=\lim_lF(t_{\nu_l},x_{\nu_l})=0である。したがってm≥1m\ge1であり、あるkkでx∗=ξkx_*=\xi_kである。OkO_kはξk\xi_kを含む開区間であるから、十分大きいllについてxνl∈Okx_{\nu_l}\in O_kである。一方、xνx_\nuの選び方によりxνl∉Okx_{\nu_l}\notin O_kである。この二つは両立しないので、求めるδ∈(0,δ0]\delta\in(0,\delta_0]が存在する。

∣t−a0∣<δ|t-a_0|<\deltaとする。各gk(t)g_k(t)はOkO_kに属するF(t,⋅)F(t,\cdot)の実根である。F(t,⋅)F(t,\cdot)の実根xxはあるOkO_kに属するので、x=gk(t)x=g_k(t)である。O1,…,OmO_1,\ldots,O_mの順序によりg1(t)<⋯<gm(t)g_1(t)<\cdots<g_m(t)である。▨

a∈Ia\in Iに対してF(a,⋅)F(a,\cdot)の実根の個数をN(a)N(a)と書く。主張 4.1.1により、NNは各点のある近傍で一定であるから、II上で連続である。a<a′a<a'を満たすa,a′∈Ia,a'\in IでN(a)≠N(a′)N(a)\ne N(a')となるものが存在すると仮定する。y:=min⁡{N(a),N(a′)}+1/2y:=\min\{N(a),N(a')\}+1/2はN(a)N(a)とN(a′)N(a')の間にあるから、§D1.12 系 1.2によりN(c)=yN(c)=yを満たすc∈[a,a′]c\in[a,a']が存在する。N(c)N(c)は整数であり、yyは整数でないので、この等式は成り立たない。したがってNNはII上で一定であり、その値をNNと書く。1≤k≤N1\le k\le Nとa∈Ia\in Iに対して、F(a,⋅)F(a,\cdot)の実根のうち小さい方からkk番目のものをθk(a)\theta_k(a)とする。a0∈Ia_0\in Iに対して主張 4.1.1のδ\delta、mm、gkg_kを取るとm=Nm=Nであり、∣t−a0∣<δ|t-a_0|<\deltaならばθk(t)=gk(t)\theta_k(t)=g_k(t)であるから、θk\theta_kはa0a_0のある近傍でC1C^1級である。したがってθk\theta_kはII上でC1C^1級であり、θ1(a)<⋯<θN(a)\theta_1(a)<\cdots<\theta_N(a)と根の集合の等式はθk\theta_kの定め方による。▨

定理 4.2.r∈N≥0r\in\N、p1,…,pr∈Q[t][x]p_1,\ldots,p_r\in\Q[t][x]とし、Δ\Deltaを(p1,…,pr)(p_1,\ldots,p_r)の射影族、I⊂RI\subset\RをI∩Z(Δ)=∅I\cap Z(\Delta)=\emptysetを満たす開区間とする。S(a)S(a)は族(p1,…,pr)(p_1,\ldots,p_r)について定義 1.1 (3)で定める。

  1. N∈N≥0N\in\NとC1C^1級関数θ1,…,θN ⁣:I→R\theta_1,\ldots,\theta_N\colon I\to\Rが存在して、任意のa∈Ia\in Iに対してθ1(a)<⋯<θN(a)\theta_1(a)<\cdots<\theta_N(a)かつ⋃j∈J+{b∈R∣pj(a,b)=0}={θ1(a),…,θN(a)}\bigcup_{j\in J_+}\{b\in\R\mid p_j(a,b)=0\}=\{\theta_1(a),\ldots,\theta_N(a)\}である。J+=∅J_+=\emptysetならばN=0N=0である。
  2. 各jjと1≤k≤N1\le k\le Nについて、sgn⁡pj(a,θk(a))\operatorname{sgn}p_j(a,\theta_k(a))はa∈Ia\in Iによらない。
  3. a∈Ia\in Iに対してθ0(a):=−∞\theta_0(a):=-\infty、θN+1(a):=+∞\theta_{N+1}(a):=+\inftyと置く。各jjと0≤k≤N0\le k\le Nについて、a∈Ia\in Iとθk(a)<b<θk+1(a)\theta_k(a)<b<\theta_{k+1}(a)を満たす組(a,b)(a,b)の全体の上でsgn⁡pj(a,b)\operatorname{sgn}p_j(a,b)は一定である。
  4. 任意のa,a′∈Ia,a'\in Iに対してS(a)=S(a′)S(a)=S(a')である。

証明.j∈J0j\in J_0ならば、任意の(a,b)(a,b)でpj(a,b)=0p_j(a,b)=0である。j∈Jtj\in J_tならば、pj(a,b)=pj(a)p_j(a,b)=p_j(a)はbbによらず、命題 3.5によりa↦pj(a)a\mapsto p_j(a)はII上で零にならない連続関数であるから、§E20.39 補題 1.4によりsgn⁡pj(a,b)\operatorname{sgn}p_j(a,b)は(a,b)∈I×R(a,b)\in I\times\Rによらない。

(1)を示す。J+=∅J_+=\emptysetならば左辺の和集合は空であり、N=0N=0として主張が成り立つ。J+≠∅J_+\ne\emptysetとし、H=xd+∑i<dφixiH=x^d+\sum_{i<d}\varphi_ix^iと書く。各φi\varphi_iは分母がΔ\Deltaに属する分数表示をもち、その分母はII上で零にならないので、補題 2.2 (3)によりa↦ev⁡a(φi)a\mapsto\ev_a(\varphi_i)はII上でC1C^1級である。(t,x)∈I×R(t,x)\in I\times\Rに対してF(t,x):=Ht(x)=xd+∑i<dev⁡t(φi)xiF(t,x):=H_t(x)=x^d+\sum_{i<d}\ev_t(\varphi_i)x^iと置くと、∂F∂x(a,θ)=Ha′(θ)\frac{\partial F}{\partial x}(a,\theta)=H_a'(\theta)であるから、命題 3.5 (2)により補題 4.1の仮定が満たされる。補題 4.1のNNとθk\theta_kについて{θ1(a),…,θN(a)}\{\theta_1(a),\ldots,\theta_N(a)\}はHaH_aの実根の全体であり、命題 3.5 (3)により主張が成り立つ。

(2)を示す。j∈J0∪Jtj\in J_0\cup J_tの場合は前段で示した。j∈J+j\in J_+、1≤k≤N1\le k\le Nとし、a∈Ia\in Iに対してf(a):=Gj,a(θk(a))f(a):=G_{j,a}(\theta_k(a))、g(a):=Bj,a(θk(a))g(a):=B_{j,a}(\theta_k(a))と置く。GjG_jとBjB_jの係数は分母がΔ\Deltaに属する分数表示をもつので、補題 2.2 (3)とθk\theta_kの連続性により、ffとggはII上で連続である。命題 3.5 (4)により各aaでf(a)f(a)とg(a)g(a)のちょうど一方が零であるから、λ(a):=f(a)2/(f(a)2+g(a)2)\lambda(a):=f(a)^2/\bigl(f(a)^2+g(a)^2\bigr)はII上の連続関数であり、f(a)=0f(a)=0ならばλ(a)=0\lambda(a)=0、f(a)≠0f(a)\ne0ならばλ(a)=1\lambda(a)=1である。λ(a)≠λ(a′)\lambda(a)\ne\lambda(a')を満たすa<a′a<a'がIIに存在すると仮定すると、§D1.12 系 1.2によりλ(c)=1/2\lambda(c)=1/2を満たすc∈[a,a′]c\in[a,a']が存在し、λ(c)∈{0,1}\lambda(c)\in\{0,1\}と両立しない。したがってλ\lambdaはII上で一定である。λ\lambdaが恒等的に00ならば、命題 3.5 (4)により任意のa∈Ia\in Iでpj(a,θk(a))=0p_j(a,\theta_k(a))=0である。λ\lambdaが恒等的に11ならば、任意のa∈Ia\in Iでf(a)≠0f(a)\ne0であり、命題 3.5 (4)によりpj(a,θk(a))≠0p_j(a,\theta_k(a))\ne0である。a↦pj(a,θk(a))a\mapsto p_j(a,\theta_k(a))は連続であるから、§E20.39 補題 1.4によりその符号はII上で一定である。

(3)を示す。j∈J0∪Jtj\in J_0\cup J_tの場合は前段で示した。j∈J+j\in J_+、0≤k≤N0\le k\le Nとする。a∈Ia\in Iに対して、N=0N=0ならばs(a):=0s(a):=0、k=0<Nk=0<Nならばs(a):=θ1(a)−1s(a):=\theta_1(a)-1、k=N≥1k=N\ge1ならばs(a):=θN(a)+1s(a):=\theta_N(a)+1、1≤k<N1\le k<Nならばs(a):=(θk(a)+θk+1(a))/2s(a):=(\theta_k(a)+\theta_{k+1}(a))/2と置く。ssはII上で連続であり、θk(a)<s(a)<θk+1(a)\theta_k(a)<s(a)<\theta_{k+1}(a)である。(1)により、各a∈Ia\in Iについて関数pj(a,⋅)p_j(a,\cdot)は区間(θk(a),θk+1(a))(\theta_k(a),\theta_{k+1}(a))上で零にならないので、§E20.39 補題 1.4により、この区間に属する任意のbbについてpj(a,b)pj(a,s(a))>0p_j(a,b)p_j(a,s(a))>0である。a↦pj(a,s(a))a\mapsto p_j(a,s(a))はII上で零にならない連続関数であるから、§E20.39 補題 1.4によりその符号は一定である。したがってsgn⁡pj(a,b)=sgn⁡pj(a,s(a))\operatorname{sgn}p_j(a,b)=\operatorname{sgn}p_j(a,s(a))は組(a,b)(a,b)によらない。

(4)を示す。a∈Ia\in Iとする。任意のb∈Rb\in\Rは、ある1≤k≤N1\le k\le Nでb=θk(a)b=\theta_k(a)を満たすか、ある0≤k≤N0\le k\le Nでθk(a)<b<θk+1(a)\theta_k(a)<b<\theta_{k+1}(a)を満たし、後者の各区間は空でない。したがってS(a)S(a)は、1≤k≤N1\le k\le Nに対するσ(a,θk(a))\sigma(a,\theta_k(a))と、0≤k≤N0\le k\le Nに対する区間(θk(a),θk+1(a))(\theta_k(a),\theta_{k+1}(a))上でのσ(a,b)\sigma(a,b)の値とからなる。(2)と(3)によりこれらの値はaaによらないので、S(a)S(a)はa∈Ia\in Iによらない。▨

例 4.3.r=1r=1、p1:=x3−3x+tp_1:=x^3-3x+tとする。J+={1}J_+=\{1\}、P=p1P=p_1、n=3n=3、P′=3x2−3P'=3x^2-3であり、

S3,2(P,P′)=(1030001030−30−303t−30−300t00−3)S_{3,2}(P,P')=\begin{pmatrix}1&0&3&0&0\\0&1&0&3&0\\-3&0&-3&0&3\\t&-3&0&-3&0\\0&t&0&0&-3\end{pmatrix}

である。第33列から第11列の33倍を引き、第44列から第22列の33倍を引くと、§E20.40 補題 4.2 (3)により行列式は変わらず、第11行と第22行は(1,0,0,0,0)(1,0,0,0,0)と(0,1,0,0,0)(0,1,0,0,0)になり、第33行から第55行の第33列から第55列の成分は(6,0,3)(6,0,3)、(−3t,6,0)(-3t,6,0)、(0,−3t,−3)(0,-3t,-3)になる。§E20.40 定義 4.1の和でσ(1)=1\sigma(1)=1かつσ(2)=2\sigma(2)=2を満たす項だけが残るので、

Res⁡(P,P′)=det⁡(603−3t600−3t−3)=27t2−108\operatorname{Res}(P,P')=\det\begin{pmatrix}6&0&3\\-3t&6&0\\0&-3t&-3\end{pmatrix}=27t^2-108

である。これはQ(t)\Q(t)の零でない元であるから、§E20.40 定理 4.5によりD=1D=1であり、H=PH=P、d=3d=3、A=1A=1、B=P2B=P^2、G1=HG_1=H、B1=C1=1B_1=C_1=1である。U1:=0U_1:=0、V1:=1V_1:=1と取り、すべての係数を分母11の分数表示で、(uR,vR):=(27t2−108,1)(u_R,v_R):=(27t^2-108,1)と取ると、Δ={1, 27t2−108}\Delta=\{1,\ 27t^2-108\}、Z(Δ)={−2,2}Z(\Delta)=\{-2,2\}である。

定理 4.2 (1)により、(−∞,−2)(-\infty,-2)、(−2,2)(-2,2)、(2,∞)(2,\infty)のそれぞれの上でp1(a,⋅)p_1(a,\cdot)の実根の個数NNは一定である。p1(0,x)=x(x2−3)p_1(0,x)=x(x^2-3)の実根は0,±30,\pm\sqrt3であるから、(−2,2)(-2,2)上でN=3N=3である。p1(3,x)=(x−1)2(x+2)+1p_1(3,x)=(x-1)^2(x+2)+1であるから、p1(3,b)=0p_1(3,b)=0を満たす実数bbは(b−1)2(b+2)=−1(b-1)^2(b+2)=-1を満たし、b<−2b<-2である。b<b′≤−2b<b'\le-2ならばb2, bb′, b′2≥4b^2,\ bb',\ b'^2\ge4からp1(3,b′)−p1(3,b)=(b′−b)(b′2+b′b+b2−3)>0p_1(3,b')-p_1(3,b)=(b'-b)(b'^2+b'b+b^2-3)>0であり、p1(3,−3)=−15<0<1=p1(3,−2)p_1(3,-3)=-15<0<1=p_1(3,-2)であるから、§D1.12 定理 1.1によりp1(3,⋅)p_1(3,\cdot)の実根はちょうど一つである。p1(−t,−x)=−p1(t,x)p_1(-t,-x)=-p_1(t,x)であるからp1(−3,⋅)p_1(-3,\cdot)の実根もちょうど一つであり、(−∞,−2)(-\infty,-2)と(2,∞)(2,\infty)上でN=1N=1である。t=±2t=\pm2ではp1(2,x)=(x−1)2(x+2)p_1(2,x)=(x-1)^2(x+2)、p1(−2,x)=(x+1)2(x−2)p_1(-2,x)=(x+1)^2(x-2)は相異なる実根を二つもち、その一方は重根であって、補題 4.1の仮定は成り立たない。

5 量化子の消去

命題 5.1.r∈N≥0r\in\N、p1,…,pr∈Q[t][x]p_1,\ldots,p_r\in\Q[t][x]とし、S(a)S(a)を族(p1,…,pr)(p_1,\ldots,p_r)について定義 1.1 (3)で定める。実数aaは有理数として、または§E20.40 定義 1.1 (2)の表示によって与えられているとし、K:=Q(a)K:=\Q(a)と置く。pj=∑iujixip_j=\sum_iu_{ji}x^i(uji∈Q[t]u_{ji}\in\Q[t])と書き、gj:=∑iuji(a)xi∈K[x]g_j:=\sum_iu_{ji}(a)x^i\in K[x]と置く。

  1. 各uji(a)u_{ji}(a)は、aaが有理数ならば有理数の四則演算の有限回で得られ、aaが表示で与えられているならばその表示が§E20.40 定理 5.3の有限回の適用で得られる。任意のb∈Rb\in\Rに対してgj(b)=pj(a,b)g_j(b)=p_j(a,b)である。
  2. r=0r=0ならばS(a)={()}S(a)=\{()\}である。r≥1r\ge1とし、g1,…,grg_1,\ldots,g_rに§E20.40 定理 7.3を適用して得る区画のうち一点集合でないものの標本点の全体をEE、一点集合である区画の点の全体をE′E'とすると、 S(a)={(sgn⁡g1(s),…,sgn⁡gr(s))∣s∈E∪E′}S(a)=\bigl\{(\operatorname{sgn}g_1(s),\ldots,\operatorname{sgn}g_r(s))\bigm| s\in E\cup E'\bigr\} であり、右辺は§E20.40 定理 7.3の計算の有限回で得られる。

証明.(1)を示す。aaが有理数ならば、uji(a)u_{ji}(a)は有理数の四則演算で得られる。aaが表示で与えられているとする。有理数ccについてx−cx-cは平方自由であり、(c−1,c+1)(c-1,c+1)はその分離区間であるから、(x−c,c−1,c+1)(x-c,c-1,c+1)はccの表示である。uji=∑l=0Lcltlu_{ji}=\sum_{l=0}^Lc_lt^lに対して、cLc_Lから始めてaaを掛けて次の係数clc_{l}を加える操作をLL回行うとuji(a)u_{ji}(a)が得られ、各操作は§E20.40 定理 5.3の積と和である。gj(b)=∑iuji(a)bi=pj(a,b)g_j(b)=\sum_iu_{ji}(a)b^i=p_j(a,b)は定義 1.1の値の定め方による。

(2)を示す。r=0r=0ならば{−1,0,1}0\{-1,0,1\}^0は空列()()だけからなるので、S(a)={()}S(a)=\{()\}である。r≥1r\ge1とする。KKは、aaが有理数ならばs=0s=0、そうでなければs=1s=1、γ1=a\gamma_1=aとした§E20.40 命題 6.1の体であり、(1)によりgjg_jの係数は有理数または表示として与えられる。b∈Rb\in\Rとすると、§E20.40 定理 7.3 (1)によりbbはただ一つの区画に属する。その区画が一点集合ならばb∈E′b\in E'である。そうでなければ、その区画の標本点をssとすると、§E20.40 定理 7.3 (2)により各jjでsgn⁡gj(b)=sgn⁡gj(s)\operatorname{sgn}g_j(b)=\operatorname{sgn}g_j(s)である。(1)によりσ(a,b)=(sgn⁡gj(b))j\sigma(a,b)=(\operatorname{sgn}g_j(b))_jであるから、σ(a,b)\sigma(a,b)は右辺に属する。逆にE∪E′E\cup E'の各元ssは実数であり、(sgn⁡gj(s))j=σ(a,s)∈S(a)(\operatorname{sgn}g_j(s))_j=\sigma(a,s)\in S(a)である。右辺が有限回の計算で得られることは、§E20.40 定理 7.3の最後の主張による。▨

命題 5.2.Δ\DeltaをQ[t]\Q[t]の零でない元からなる有限集合とする。Δ\Deltaが次数11以上の元をもつならば、Δ\Deltaの元を並べた族に変数をttとして§E20.40 定理 7.3をK=QK=\Qで適用し、次数11以上の元の積から同定理で得る平方自由な多項式をW∈Q[t]W\in\Q[t]、その根の個数をmmとし、有理数cℓ<dℓc_\ell<d_\ell(1≤ℓ≤m1\le\ell\le m)を同定理の条件を満たすように取り(§E20.40 定理 6.4 (4)の出力を並べ替えたものはこれを満たす)、(cℓ,dℓ)(c_\ell,d_\ell)に属するWWの実根をαℓ\alpha_\ellとする。Δ\Deltaが次数11以上の元をもたないならば(Δ=∅\Delta=\emptysetの場合を含む)、WWを定めず、m:=0m:=0とする。m=0m=0ならば、R\Rを唯一の区画とし、その標本点をτR:=0\tau_\R:=0、χR:=⊤\chi_\R:=\topとし、Ξ\Xiを空の族とする。m≥1m\ge1ならば、I0:=(−∞,α1)I_0:=(-\infty,\alpha_1)、Iℓ:=(αℓ,αℓ+1)I_\ell:=(\alpha_\ell,\alpha_{\ell+1})(1≤ℓ<m1\le\ell<m)、Im:=(αm,∞)I_m:=(\alpha_m,\infty)と一点集合{αℓ}\{\alpha_\ell\}(1≤ℓ≤m1\le\ell\le m)を区画とし、標本点をτI0:=c1\tau_{I_0}:=c_1、τIℓ:=dℓ\tau_{I_\ell}:=d_\ell(1≤ℓ≤m1\le\ell\le m)、τ{αℓ}:=αℓ\tau_{\{\alpha_\ell\}}:=\alpha_\ellとする。Ξ\Xiをt−cℓt-c_\ell、t−dℓt-d_\ell、W(cℓ)WW(c_\ell)W(1≤ℓ≤m1\le\ell\le m)とWWからなるQ[t]\Q[t]の有限族とし、Ξ\Xi上の符号条件式

χ=ℓ:=(t−cℓ>0)∧(t−dℓ<0)∧(W=0),χ<ℓ:=(t−cℓ≤0)∨((t−cℓ>0)∧(t−dℓ<0)∧(W(cℓ)W>0)),χ>ℓ:=¬χ=ℓ∧¬χ<ℓ\begin{aligned} \chi_{=\ell}&:=(t-c_\ell>0)\wedge(t-d_\ell<0)\wedge(W=0),\\ \chi_{<\ell}&:=(t-c_\ell\le0)\vee\bigl((t-c_\ell>0)\wedge(t-d_\ell<0)\wedge(W(c_\ell)W>0)\bigr),\\ \chi_{>\ell}&:=\neg\chi_{=\ell}\wedge\neg\chi_{<\ell} \end{aligned}

を定め、χI0:=χ<1\chi_{I_0}:=\chi_{<1}、χ{αℓ}:=χ=ℓ\chi_{\{\alpha_\ell\}}:=\chi_{=\ell}、χIℓ:=χ>ℓ∧χ<ℓ+1\chi_{I_\ell}:=\chi_{>\ell}\wedge\chi_{<\ell+1}(1≤ℓ<m1\le\ell<m)、χIm:=χ>m\chi_{I_m}:=\chi_{>m}と置く。

  1. 区画はR\Rの分割をなし、各区画はその標本点を含む。一点集合でない区画はZ(Δ)Z(\Delta)と交わらない開区間である。m≥1m\ge1ならば、各ℓ\ellについて(W,cℓ,dℓ)(W,c_\ell,d_\ell)の変数をxxに替えた三つ組はαℓ\alpha_\ellの表示である。
  2. 任意の区画CCとa∈Ra\in\Rに対して、χC(a)\chi_C(a)が成り立つことはa∈Ca\in Cと同値である。

Δ\Deltaが次数11以上の元をもつかどうかは係数の比較で判定され、mm、Ξ\Xi、各χC\chi_Cと、定める場合のWW、cℓc_\ell、dℓd_\ellは、有理数の四則演算と比較の有限回で得られる。

証明.Δ\Deltaの元は零でないので、零でない定数であるΔ\Deltaの元は実根をもたない。Δ\Deltaが次数11以上の元をもたないならば、Z(Δ)=∅Z(\Delta)=\emptysetであり、m=0m=0である。Δ\Deltaが次数11以上の元をもつならば、§E20.40 定理 7.3のJ0J_0は空であり、§E20.40 定理 7.3 (1)により次数が11以上のΔ\Deltaの元の実根の全体は{α1,…,αm}\{\alpha_1,\ldots,\alpha_m\}である。したがって、いずれの場合もZ(Δ)={α1,…,αm}Z(\Delta)=\{\alpha_1,\ldots,\alpha_m\}である。

(1)を示す。m=0m=0ならば、区画はR\Rだけであり、標本点00を含み、Z(Δ)=∅Z(\Delta)=\emptysetである。m≥1m\ge1ならば、§E20.40 定理 7.3 (1)により区画はR\Rの分割をなして各標本点はその区画に属し、一点集合でない区画はどのαℓ\alpha_\ellも含まない開区間であるからZ(Δ)Z(\Delta)と交わらない。§E20.40 定理 7.3 (3)により(W,cℓ,dℓ)(W,c_\ell,d_\ell)はαℓ\alpha_\ellのQ\Q上の表示であるから、WWは平方自由であり、(cℓ,dℓ)(c_\ell,d_\ell)はWWの分離区間である。したがって変数をxxに替えた三つ組はαℓ\alpha_\ellの表示である。

(2)を示す。m=0m=0ならば、[⊤][\top]は{−1,0,1}0\{-1,0,1\}^0全体であるから、任意のaaでχR(a)\chi_\R(a)が成り立つ。m≥1m\ge1とし、1≤ℓ≤m1\le\ell\le mとする。§E20.40 命題 7.5をWWと分離区間(cℓ,dℓ)(c_\ell,d_\ell)に適用すると、任意の実数aaについて、a=αℓa=\alpha_\ellであることはcℓ<a<dℓc_\ell<a<d_\ellかつW(a)=0W(a)=0であることと同値であり、a<αℓa<\alpha_\ellであることは、a≤cℓa\le c_\ellであるか、cℓ<a<dℓc_\ell<a<d_\ellかつW(a)W(cℓ)>0W(a)W(c_\ell)>0であることと同値である。定義 1.1 (2)により、これらの右辺はそれぞれχ=ℓ(a)\chi_{=\ell}(a)とχ<ℓ(a)\chi_{<\ell}(a)と同値であり、χ>ℓ(a)\chi_{>\ell}(a)はa=αℓa=\alpha_\ellでもa<αℓa<\alpha_\ellでもないこと、すなわちa>αℓa>\alpha_\ellと同値である。I0I_0、{αℓ}\{\alpha_\ell\}、IℓI_\ell(1≤ℓ<m1\le\ell<m)、ImI_mはそれぞれa<α1a<\alpha_1、a=αℓa=\alpha_\ell、αℓ<a<αℓ+1\alpha_\ell<a<\alpha_{\ell+1}、a>αma>\alpha_mを満たす実数aaの全体であるから、主張が成り立つ。

最後の主張は、§E20.40 定理 7.3の最後の主張と、W(cℓ)W(c_\ell)が有理数の四則演算で得られることによる。▨

定理 5.3.r∈N≥0r\in\N、p1,…,pr∈Q[t][x]p_1,\ldots,p_r\in\Q[t][x]とし、Φ\Phiを族(p1,…,pr)(p_1,\ldots,p_r)上の符号条件式とする。次の手続きを考える。

  1. J0J_0、JtJ_t、J+J_+を求め、(p1,…,pr)(p_1,\ldots,p_r)の射影族Δ\Deltaを、J+≠∅J_+\ne\emptysetならば命題 3.4 (3)の計算で求める。
  2. Δ\Deltaに命題 5.2を適用し、区画、標本点τC\tau_C、族Ξ\Xiと符号条件式χC\chi_Cを求める。
  3. 各区画CCについて、τC\tau_Cに命題 5.1を適用してS(τC)S(\tau_C)を求める。
  4. [Φ][\Phi]を定義 1.1 (2)の規則で求め、S(τC)∩[Φ]≠∅S(\tau_C)\cap[\Phi]\ne\emptysetを満たす区画CCの全体をT∃\mathcal T_\exists、S(τC)⊂[Φ]S(\tau_C)\subset[\Phi]を満たす区画CCの全体をT∀\mathcal T_\forallとする。
  5. Ψ∃:=⋁C∈T∃χC\Psi_\exists:=\bigvee_{C\in\mathcal T_\exists}\chi_C、Ψ∀:=⋁C∈T∀χC\Psi_\forall:=\bigvee_{C\in\mathcal T_\forall}\chi_Cと置く。

この手続きは有理数の四則演算と比較の有限回で停止する。Ψ∃\Psi_\existsとΨ∀\Psi_\forallはQ[t]\Q[t]の元からなる有限族Ξ\Xi上の符号条件式であり、任意のa∈Ra\in\Rに対して

(∃b∈R  Φ(a,b))  ⟺  Ψ∃(a),(∀b∈R  Φ(a,b))  ⟺  Ψ∀(a)\bigl(\exists b\in\R\ \ \Phi(a,b)\bigr)\iff\Psi_\exists(a),\qquad\bigl(\forall b\in\R\ \ \Phi(a,b)\bigr)\iff\Psi_\forall(a)

が成り立つ。

証明.J0J_0、JtJ_t、J+J_+はpjp_jの係数を00と比較して得られ、Δ\Deltaは、J+≠∅J_+\ne\emptysetならば命題 3.4 (3)により、J+=∅J_+=\emptysetならばJtJ_tのpjp_jを集めて得られる。命題 3.4 (2)によりΔ\DeltaはQ[t]\Q[t]の零でない元からなる有限集合であり、命題 5.2により区画、標本点、Ξ\Xi、χC\chi_Cは有限回の計算で得られ、区画は有限個である。命題 5.2 (1)により一点集合の区画の標本点は表示で与えられるので、命題 5.1 (2)により各S(τC)S(\tau_C)は有限回の計算で得られる。[Φ][\Phi]は有限集合{−1,0,1}r\{-1,0,1\}^rの部分集合としてΦ\Phiの構成に沿って補集合・共通部分・和集合を有限回取って得られ、T∃\mathcal T_\existsとT∀\mathcal T_\forallは有限集合の比較で得られる。したがって手続きは有限回で停止する。各χC\chi_CはΞ\Xi上の符号条件式であるから、Ψ∃\Psi_\existsとΨ∀\Psi_\forallもΞ\Xi上の符号条件式である。

a∈Ra\in\Rとする。命題 5.2 (1)により、aaを含む区画CCがただ一つ存在する。CCが一点集合ならばa=τCa=\tau_Cである。CCが一点集合でなければ、CCはZ(Δ)Z(\Delta)と交わらずτC\tau_Cを含む開区間であるから、定理 4.2 (4)によりS(a)=S(τC)S(a)=S(\tau_C)である。いずれの場合もS(a)=S(τC)S(a)=S(\tau_C)である。定義 1.1 (3)により、Φ(a,b)\Phi(a,b)を満たすb∈Rb\in\Rが存在することはS(a)∩[Φ]≠∅S(a)\cap[\Phi]\ne\emptysetと同値であり、任意のb∈Rb\in\RでΦ(a,b)\Phi(a,b)が成り立つことはS(a)⊂[Φ]S(a)\subset[\Phi]と同値である。したがって、左辺の∃\existsの式はC∈T∃C\in\mathcal T_\existsと同値であり、∀\forallの式はC∈T∀C\in\mathcal T_\forallと同値である。

T\mathcal TをT∃\mathcal T_\existsとT∀\mathcal T_\forallのいずれかとし、Ψ:=⋁C′∈TχC′\Psi:=\bigvee_{C'\in\mathcal T}\chi_{C'}とする。定義 1.1 (2)により、Ψ(a)\Psi(a)が成り立つことはχC′(a)\chi_{C'}(a)を満たすC′∈TC'\in\mathcal Tが存在することと同値である。命題 5.2 (2)によりχC′(a)\chi_{C'}(a)はa∈C′a\in C'と同値であり、区画は互いに交わらないので、Ψ(a)\Psi(a)が成り立つことはC∈TC\in\mathcal Tと同値である。前段と合わせて、二つの同値が成り立つ。▨

例 5.4.r=2r=2、p1:=tx−1p_1:=tx-1、p2:=txp_2:=txとする。J+={1,2}J_+=\{1,2\}であり、Q(t)[x]\Q(t)[x]においてp1=t(x−1/t)p_1=t(x-1/t)、p2=txp_2=txである。x−1/tx-1/tとxxは相異なるモニックな一次式であるから既約であり、P=t2x(x−1/t)P=t^2x(x-1/t)、n=2n=2である。補題 3.2 (1)によりD=1D=1、H=x(x−1/t)=x2−x/tH=x(x-1/t)=x^2-x/t、d=2d=2であり、A=t2A=t^2、B=H/t2=x2/t2−x/t3B=H/t^2=x^2/t^2-x/t^3である。§E20.39 補題 3.3 (4)によりG1=x−1/tG_1=x-1/t、G2=xG_2=xであり、B1=xB_1=x、C1=tC_1=t、B2=x−1/tB_2=x-1/t、C2=tC_2=tである。U1=U2:=0U_1=U_2:=0、V1=V2:=1/tV_1=V_2:=1/tと取るとUjH+Vjpj=GjU_jH+V_jp_j=G_jが成り立つ。§E20.40 例 4.8 (3)によりRes⁡(H,H′)=4⋅0−(1/t)2=−1/t2\operatorname{Res}(H,H')=4\cdot0-(1/t)^2=-1/t^2である。係数を既約な分数で表し、(uR,vR):=(−1,t2)(u_R,v_R):=(-1,t^2)と取ると、Δ={−1, 1, t, t2, t3}\Delta=\{-1,\ 1,\ t,\ t^2,\ t^3\}、Z(Δ)={0}Z(\Delta)=\{0\}である。命題 5.2ではW=tW=t、m=1m=1、(c1,d1)=(−1,1)(c_1,d_1)=(-1,1)、α1=0\alpha_1=0と取ることができ、区画は(−∞,0)(-\infty,0)、{0}\{0\}、(0,∞)(0,\infty)、標本点は−1-1、00、11である。

HHの係数−1/t-1/tの任意の分数表示(u,v)(u,v)はut=−vut=-vを満たすのでv(0)=0v(0)=0であり、HHはO0[x]\mathcal O_0[x]に属さない。t=0t=0ではp1(0,x)=−1p_1(0,x)=-1は次数が下がって零でない定数になり、p2(0,x)=0p_2(0,x)=0は零多項式になる。命題 5.1 (2)により

S(−1)={(1,1),(0,1),(−1,1),(−1,0),(−1,−1)},S(1)={(−1,−1),(−1,0),(−1,1),(0,1),(1,1)},S(0)={(−1,0)}\begin{aligned} S(-1)&=\{(1,1),(0,1),(-1,1),(-1,0),(-1,-1)\},\\ S(1)&=\{(-1,-1),(-1,0),(-1,1),(0,1),(1,1)\},\\ S(0)&=\{(-1,0)\} \end{aligned}

である。Φ1:=(p1=0)\Phi_1:=(p_1=0)についてT∃={(−∞,0),(0,∞)}\mathcal T_\exists=\{(-\infty,0),(0,\infty)\}であるから、∃b Φ1(a,b)\exists b\ \Phi_1(a,b)はΨ∃=χ<1∨χ>1\Psi_\exists=\chi_{<1}\vee\chi_{>1}と同値であり、a≠0a\ne0と同値である。Φ2:=(p2=0)\Phi_2:=(p_2=0)についてT∀={{0}}\mathcal T_\forall=\{\{0\}\}であるから、∀b Φ2(a,b)\forall b\ \Phi_2(a,b)はΨ∀=χ=1=(t+1>0)∧(t−1<0)∧(t=0)\Psi_\forall=\chi_{=1}=(t+1>0)\wedge(t-1<0)\wedge(t=0)と同値である。Δ\Deltaからpjp_jの最高次係数と分母を除いた{−1}\{-1\}は零点をもたないので、それによる区画はR\Rだけになり、その標本点00でS(0)∩[Φ1]=∅S(0)\cap[\Phi_1]=\emptysetであるから、この区画から作る式は⊥\botになる。一方、a=1a=1、b=1b=1はΦ1(a,b)\Phi_1(a,b)を満たす。

例 5.5.r=2r=2、p1:=(x2−t)2p_1:=(x^2-t)^2、p2:=xp_2:=xとし、Φ1:=(p1=0)∧(p2>0)\Phi_1:=(p_1=0)\wedge(p_2>0)、Φ2:=(p1=0)∧(p2≥0)\Phi_2:=(p_1=0)\wedge(p_2\ge0)とする。u,v∈Q[t]u,v\in\Q[t]、v≠0v\ne0が(u/v)2=t(u/v)^2=tを満たすならばu2=tv2u^2=tv^2かつu≠0u\ne0であり、§E6.28 命題 1.2により2deg⁡u=1+2deg⁡v2\deg u=1+2\deg vとなって偶奇が合わない。したがってx2−tx^2-tはQ(t)\Q(t)に根をもたず、§E6.28 定理 4.3によりQ(t)[x]\Q(t)[x]で既約である。π1:=x2−t\pi_1:=x^2-tとπ2:=x\pi_2:=xは相異なるモニック既約多項式であり、P=π12π2P=\pi_1^2\pi_2、n=5n=5である。補題 3.2 (1)によりD=x2−tD=x^2-t、H=π1π2=x3−txH=\pi_1\pi_2=x^3-tx、d=3d=3であり、A=x2−tA=x^2-t、B=(x2−t)3x4B=(x^2-t)^3x^4である。D≠1D\ne1であるから§E20.40 定理 4.5によりRes⁡(P,P′)=0\operatorname{Res}(P,P')=0であり、PPの終結式はΔ\Deltaに零でない元を与えない。§E20.39 補題 3.3 (4)によりG1=x2−tG_1=x^2-t、B1=xB_1=x、C1=x2−tC_1=x^2-t、G2=xG_2=x、B2=x2−tB_2=x^2-t、C2=1C_2=1である。U1:=x/tU_1:=x/t、V1:=−1/tV_1:=-1/t、U2:=0U_2:=0、V2:=1V_2:=1と取ると、

U1H+V1p1=(x2−t)(x2−(x2−t))t=x2−t=G1U_1H+V_1p_1=\frac{(x^2-t)\bigl(x^2-(x^2-t)\bigr)}t=x^2-t=G_1

であり、U2H+V2p2=G2U_2H+V_2p_2=G_2である。H′=3x2−tH'=3x^2-tであり、S3,2(H,H′)S_{3,2}(H,H')の第11列から第55列はxHxH、HH、x2H′x^2H'、xH′xH'、H′H'の係数ベクトル(1,0,−t,0,0)(1,0,-t,0,0)、(0,1,0,−t,0)(0,1,0,-t,0)、(3,0,−t,0,0)(3,0,-t,0,0)、(0,3,0,−t,0)(0,3,0,-t,0)、(0,0,3,0,−t)(0,0,3,0,-t)である。第33列から第11列の33倍を、第44列から第22列の33倍を引くと、例 4.3と同じく第11行と第22行は(1,0,0,0,0)(1,0,0,0,0)と(0,1,0,0,0)(0,1,0,0,0)になり、第33行から第55行の第33列から第55列の成分は(2t,0,3)(2t,0,3)、(0,2t,0)(0,2t,0)、(0,0,−t)(0,0,-t)になる。この33次の行列は上三角行列であるから、§E20.40 補題 4.2 (4)によりRes⁡(H,H′)=2t⋅2t⋅(−t)=−4t3\operatorname{Res}(H,H')=2t\cdot2t\cdot(-t)=-4t^3である。U1,V1U_1,V_1の零でない係数の分数表示の分母をtt、その他の係数の分数表示の分母を11とし、(uR,vR):=(−4t3,1)(u_R,v_R):=(-4t^3,1)と取ると、Δ={1, t, −4t3}\Delta=\{1,\ t,\ -4t^3\}、Z(Δ)={0}Z(\Delta)=\{0\}である。命題 5.2ではW=tW=t、m=1m=1、(c1,d1)=(−1,1)(c_1,d_1)=(-1,1)、α1=0\alpha_1=0と取ることができ、区画は(−∞,0)(-\infty,0)、{0}\{0\}、(0,∞)(0,\infty)、標本点は−1-1、00、11である。

p1(−1,x)=(x2+1)2p_1(-1,x)=(x^2+1)^2は正であり、p1(1,x)=(x2−1)2p_1(1,x)=(x^2-1)^2の実根は±1\pm1、p1(0,x)=x4p_1(0,x)=x^4の実根は重根00であって、00はp2(0,x)=xp_2(0,x)=xの根でもある。命題 5.1 (2)により

S(−1)={(1,−1),(1,0),(1,1)},S(1)={(1,−1),(0,−1),(1,0),(1,1),(0,1)},S(0)={(1,−1),(0,0),(1,1)}\begin{aligned} S(-1)&=\{(1,-1),(1,0),(1,1)\},\\ S(1)&=\{(1,-1),(0,-1),(1,0),(1,1),(0,1)\},\\ S(0)&=\{(1,-1),(0,0),(1,1)\} \end{aligned}

である。[Φ1]={(0,1)}[\Phi_1]=\{(0,1)\}、[Φ2]={(0,0),(0,1)}[\Phi_2]=\{(0,0),(0,1)\}である。したがってΦ1\Phi_1についてはT∃={(0,∞)}\mathcal T_\exists=\{(0,\infty)\}、Ψ∃=χ>1\Psi_\exists=\chi_{>1}であり、∃b Φ1(a,b)\exists b\ \Phi_1(a,b)はa>0a>0と同値である。Φ2\Phi_2についてはT∃={{0},(0,∞)}\mathcal T_\exists=\{\{0\},(0,\infty)\}、Ψ∃=χ=1∨χ>1\Psi_\exists=\chi_{=1}\vee\chi_{>1}であり、∃b Φ2(a,b)\exists b\ \Phi_2(a,b)はa≥0a\ge0と同値である。二つのT∃\mathcal T_\existsは一点集合でない区画では一致し、点区画{0}\{0\}だけで異なる。

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