1 補間型求積公式
定義 1.1.a<bを実数とする。
- n∈N≥0とし、[a,b]の相異なる点x0,…,xnと実数v0,…,vnをとる。[a,b]上の実数値関数fにQ(f):=∑i=0nvif(xi)を対応させる写像Qを、節点x0,…,xn、重みv0,…,vnの 求積公式 (quadrature rule) といい、viをxiにおけるQの 重み (weight) という。
- 節点x0,…,xn、重みv0,…,vnの求積公式Qが、x0,…,xnの Lagrange 基底ℓ0,…,ℓnについてvi=∫abℓi(x)dx(0≤i≤n)を満たすとき、Qを 補間型求積公式 (interpolatory quadrature rule) という。n∈N≥1とし、xi=a+i(b−a)/n(0≤i≤n)を節点とする補間型求積公式を、[a,b]のn+1点の Newton–Cotes 公式 (Newton–Cotes formula) という。
- d∈N≥0とし、Qを[a,b]上の求積公式とする。Qが任意のq∈Pdに対してQ(q)=∫abq(x)dxを満たすとき、Qの代数的精度はd以上であるという。Qの代数的精度がd以上であり、d+1以上でないとき、Qの 代数的精度 (degree of exactness) はdであるという。
- c:=(a+b)/2と置く。[a,b]上の実数値関数fに対して
T[a,b](f):=2b−a(f(a)+f(b)),S[a,b](f):=6b−a(f(a)+4f(c)+f(b))
と置き、T[a,b]を[a,b]の 台形則 (trapezoidal rule)、S[a,b]を[a,b]の Simpson 則 (Simpson's rule) という。
- N∈N≥1とし、h:=(b−a)/N、xj:=a+jh(0≤j≤N)と置く。[a,b]上の実数値関数fに対して
Th(f):=j=0∑N−1T[xj,xj+1](f)=h(2f(x0)+j=1∑N−1f(xj)+2f(xN))
を 複合台形則 (composite trapezoidal rule) という。Nが偶数のとき、
Sh(f):=k=0∑N/2−1S[x2k,x2k+2](f)=3h(f(x0)+4k=1∑N/2f(x2k−1)+2k=1∑N/2−1f(x2k)+f(xN))
を 複合 Simpson 則 (composite Simpson's rule) という。
補題 1.2.a<bを実数とし、u:[a,b]→Rを連続関数とする。任意のx∈[a,b]に対してu(x)≥0であり、u(x0)>0を満たすx0∈[a,b]が存在するならば、∫abu(x)dx>0である。
証明. 定数関数1は(a,b)上の重み関数であり、連続関数uの広義積分∫abu(x)⋅1dxは Riemann 積分∫abu(x)dxに等しい。§E20.14 補題 1.3 (2)を重み関数1とh=uに適用して主張を得る。▨
命題 1.3.a<bを実数、n∈N≥0とし、Qを[a,b]の相異なる節点x0,…,xn、重みv0,…,vnの求積公式とする。ωn+1(x):=∏i=0n(x−xi)と置く。
- Qの代数的精度がn以上であることと、Qが補間型であることは同値である。Qが補間型ならば、[a,b]上の任意の実数値関数fについて、x0,…,xnにおけるfの補間多項式pはQ(f)=∫abp(x)dxを満たす。
- Q(ωn+12)=0かつ∫abωn+1(x)2dx>0である。特に、Qの代数的精度は2n+2以上でない。
- T[a,b]は[a,b]の2点の Newton–Cotes 公式である。∫ab(x−a)(x−b)dx=−(b−a)3/6であり、T[a,b]は多項式(x−a)(x−b)に値0を与える。T[a,b]の代数的精度は1である。
- c:=(a+b)/2と置く。S[a,b]は[a,b]の3点の Newton–Cotes 公式である。∫ab(x−a)(x−c)2(x−b)dx=−(b−a)5/120であり、S[a,b]は多項式(x−a)(x−c)2(x−b)に値0を与える。S[a,b]の代数的精度は3である。
証明.x0,…,xnの Lagrange 基底をℓ0,…,ℓnとする。§E20.12 定理 1.3により、Pnの元qはq=∑i=0nq(xi)ℓiを満たし、ℓi(xj)はj=iのとき1、j=iのとき0である。
(1)を示す。Qの代数的精度がn以上ならば、ℓi∈Pnであるから∫abℓi(x)dx=Q(ℓi)=∑jvjℓi(xj)=viであり、Qは補間型である。Qが補間型であるとし、fを[a,b]上の実数値関数、p=∑if(xi)ℓiをその補間多項式とすると、∫abp(x)dx=∑if(xi)vi=Q(f)である。q∈Pnは自身の補間多項式であるから、Q(q)=∫abq(x)dxであり、Qの代数的精度はn以上である。
(2)を示す。ωn+12は各節点で0になるからQ(ωn+12)=0である。ωn+12は[a,b]上で連続かつ非負であり、節点でない点で正であるから、補題 1.2により∫abωn+1(x)2dx>0である。ωn+12∈P2n+2であるから、Qの代数的精度は2n+2以上でない。
(3)を示す。節点a,bの Lagrange 基底は(b−x)/(b−a)と(x−a)/(b−a)であり、それぞれの[a,b]上の積分は(b−a)/2である。したがってT[a,b]は2点の Newton–Cotes 公式であり、(1)によりその代数的精度は1以上である。t:=x−aと置換して
∫ab(x−a)(x−b)dx=∫0b−at(t−(b−a))dt=3(b−a)3−2(b−a)3=−6(b−a)3を得る。(x−a)(x−b)はa,bで0になるのでT[a,b]はこれに値0を与え、(x−a)(x−b)∈P2であるから、T[a,b]の代数的精度は1である。
(4)を示す。h:=(b−a)/2とし、t:=(x−c)/hと置換する。節点a,c,bの Lagrange 基底はt(t−1)/2、1−t2、t(t+1)/2であり、∫abdx=h∫−11dtから、それぞれの積分はh/3=(b−a)/6、4h/3=4(b−a)/6、h/3=(b−a)/6である。したがってS[a,b]は3点の Newton–Cotes 公式であり、その代数的精度は2以上である。∫ab(x−c)3dx=h4∫−11t3dt=0であり、S[a,b]((x−c)3)=6b−a((−h)3+0+h3)=0である。P3の元はP2の元と(x−c)3の定数倍の和であるから、S[a,b]の代数的精度は3以上である。(x−a)(x−c)2(x−b)=h4(t4−t2)であるから
∫ab(x−a)(x−c)2(x−b)dx=h5(52−32)=−154h5=−120(b−a)5である。この多項式はa,c,bで0になるのでS[a,b]はこれに値0を与え、この多項式はP4に属するから、S[a,b]の代数的精度は3である。▨
2 台形則と Simpson 則の誤差
補題 2.1.a<b、c<dを実数とし、wを(a,b)上の重み関数とする。K:[a,b]→Rは連続であり、すべてのx∈[a,b]でK(x)≥0であるか、すべてのx∈[a,b]でK(x)≤0であるとする。G:[c,d]→Rを連続関数とする。
- 連続関数E:[a,b]→Rと、各x∈[a,b]に対する点ηx∈[c,d]が、すべてのx∈[a,b]でE(x)=G(ηx)K(x)を満たすならば、
∫abE(x)w(x)dx=G(ξ)∫abK(x)w(x)dx
を満たすξ∈[c,d]が存在する。対応x↦ηxには条件を課さない。
- (1)の仮定に加えて、すべてのx∈[a,b]でηx∈(c,d)ならば、(1)のξを(c,d)にとることができる。
- [c,d]=[a,b]ならば、∫abK(x)G(x)w(x)dx=G(ξ)∫abK(x)w(x)dxを満たすξ∈[a,b]が存在する。
w≡1とすると、各積分は[a,b]上の Riemann 積分であり、上の三つの主張は Riemann 積分についての主張として成り立つ。
証明.[a,b]上の連続関数gについて、広義積分∫abg(x)w(x)dxは§E20.14 補題 1.3 (1)により定まり、w≡1のときは Riemann 積分∫abg(x)dxに等しい。g≥0ならば、gが恒等的に0のとき∫abgwdx=0であり、そうでないとき§E20.14 補題 1.3 (2)により∫abgwdx>0である。
(1)と(2)を示す。K,Eを−K,−Eに置き換えても仮定と結論は変わらないから、K≥0と仮定する。§D1.13 定理 2.1によりG(y−)=m:=min[c,d]G、G(y+)=M:=max[c,d]Gを満たすy±∈[c,d]が存在する。すべてのxでmK(x)≤G(ηx)K(x)=E(x)≤MK(x)である。Kが恒等的に0ならばEも恒等的に0であり、任意のξ∈(c,d)で等式が成り立つ。Kが恒等的に0でないとき、IK:=∫abKwdx>0であり、連続な非負関数E−mKとMK−Eの積分は0以上であるから、μ:=∫abEwdx/IKはm≤μ≤Mを満たす。m<μ<Mならば、§D1.12 系 1.2をy−とy+を端点とする閉区間上のGに適用してG(ξ)=μを満たすξを得る。G(ξ)=m,Mからξ=y±であり、ξはy−とy+の間の開区間に属するから、ξ∈(c,d)である。μ=mならば、∫ab(E−mK)wdx=0であるからE−mKは恒等的に0である。K(x0)>0を満たすx0をとるとG(ηx0)K(x0)=mK(x0)であり、ξ:=ηx0はG(ξ)=m=μを満たす。μ=Mならば、MK−Eに同じ議論を適用して、ξ:=ηx0はG(ξ)=M=μを満たす。後の二つの場合のξはηx0であるから、(2)の仮定の下で(c,d)に属する。
(3)は、(1)をηx:=x、E:=KGとして適用したものである。▨
補題 2.2.a<bを実数、N∈N≥1とし、g:[a,b]→Rを連続関数、η1,…,ηN∈(a,b)とする。このときg(ξ)=N1∑j=1Ng(ηj)を満たすξ∈(a,b)が存在する。
証明.g(ηp)=minjg(ηj)、g(ηq)=maxjg(ηj)を満たすp,qをとる。平均μ:=N1∑jg(ηj)はg(ηp)≤μ≤g(ηq)を満たす。ηp=ηqならばμ=g(ηp)であり、ξ:=ηpとする。ηp=ηqならば、§D1.12 系 1.2をηpとηqを端点とする閉区間上のgに適用してg(ξ)=μを満たすξを得る。この閉区間は(a,b)に含まれる。▨
定理 2.3.a<bを実数とし、f:[a,b]→RをC2級の関数とする。
- ∫abf(x)dx−T[a,b](f)=−12(b−a)3f′′(ξ)を満たすξ∈(a,b)が存在する。
- N∈N≥1、h:=(b−a)/Nならば、∫abf(x)dx−Th(f)=−12(b−a)h2f′′(ξ)を満たすξ∈(a,b)が存在する。
証明.(1)を示す。pをa,bにおけるfの補間多項式とする。命題 1.3 (3)と命題 1.3 (1)によりT[a,b](f)=∫abp(x)dxである。§E20.12 定理 2.2 (1)をn=1として適用すると、各x∈[a,b]に対してf(x)−p(x)=2f′′(ηx)(x−a)(x−b)を満たすηx∈(a,b)が存在する。E:=f−pは連続であり、K(x):=(x−a)(x−b)/2は[a,b]上で0以下である。補題 2.1 (2)をw≡1、[c,d]=[a,b]、G=f′′として適用し、命題 1.3 (3)の積分の値を用いると、
∫abf(x)dx−T[a,b](f)=∫abE(x)dx=f′′(ξ)∫ab2(x−a)(x−b)dx=−12(b−a)3f′′(ξ)を満たすξ∈(a,b)を得る。
(2)を示す。xj:=a+jhと置く。(1)を各[xj,xj+1]上のfに適用して、∫xjxj+1f(x)dx−T[xj,xj+1](f)=−12h3f′′(ξj)を満たすξj∈(xj,xj+1)⊆(a,b)をとる。§D1.17 定理 3.6とThの定義によりjについて和をとり、Nh=b−aを用いると
∫abf(x)dx−Th(f)=−12Nh3⋅N1j=0∑N−1f′′(ξj)=−12(b−a)h2⋅N1j=0∑N−1f′′(ξj)である。補題 2.2をg=f′′に適用して主張を得る。▨
定理 2.4.a<bを実数とし、f:[a,b]→RをC4級の関数とする。
- h:=(b−a)/2と置くと、∫abf(x)dx−S[a,b](f)=−90h5f(4)(ξ)を満たすξ∈(a,b)が存在する。
- Nが正の偶数であり、h:=(b−a)/Nならば、∫abf(x)dx−Sh(f)=−180(b−a)h4f(4)(ξ)を満たすξ∈(a,b)が存在する。
証明.(1)を示す。c:=(a+b)/2、Ω3(x):=(x−a)(x−c)(x−b)、Ω(x):=(x−a)(x−c)2(x−b)と置く。pをa,c,bにおけるfの補間多項式とし、
p3:=p+h2p′(c)−f′(c)Ω3と置く。Ω3′(c)=(c−a)(c−b)=−h2であるから、p3∈P3はa,c,bでfと同じ値をとり、p3′(c)=f′(c)を満たす。S[a,b](f)=S[a,b](p3)であり、命題 1.3 (4)によりS[a,b](p3)=∫abp3(x)dxである。
x∈[a,b]とする。x∈{a,c,b}ならばf(x)−p3(x)=0=Ω(x)である。x∈/{a,c,b}ならば、κ:=(f(x)−p3(x))/Ω(x)、g(t):=f(t)−p3(t)−κΩ(t)(t∈[a,b])と置く。gはC4級であり、Ωは因子(t−c)2をもつからΩ(c)=Ω′(c)=0であって、g(a)=g(b)=g(c)=g′(c)=0、g(x)=0である。相異なる四点a,c,b,xに重複度1,2,1,1を与えると、重複度は1以上4以下でその和は5であり、四点の最小点はa、最大点はbである。§E20.12 補題 2.1をm=4として適用して、g(4)(ηx)=0を満たすηx∈(a,b)を得る。p3(4)=0、Ω(4)=24であるからκ=f(4)(ηx)/24である。したがって、各x∈[a,b]に対して
f(x)−p3(x)=24f(4)(ηx)Ω(x)を満たすηx∈(a,b)が存在する。
f−p3は連続であり、Ωは[a,b]上で0以下である。補題 2.1 (2)を、w≡1、K=Ω、[a,b]上の関数G=f(4)/24として適用し、命題 1.3 (4)の積分の値と(b−a)5=32h5を用いると、
∫abf(x)dx−S[a,b](f)=∫ab(f(x)−p3(x))dx=24f(4)(ξ)⋅(−120(b−a)5)=−90h5f(4)(ξ)を満たすξ∈(a,b)を得る。
(2)を示す。xj:=a+jhと置く。0≤k≤N/2−1について、(1)を長さ2hの区間[x2k,x2k+2]上のfに適用して、∫x2kx2k+2f(x)dx−S[x2k,x2k+2](f)=−90h5f(4)(ξk)を満たすξk∈(x2k,x2k+2)⊆(a,b)をとる。§D1.17 定理 3.6とShの定義によりkについて和をとり、(N/2)⋅h=(b−a)/2を用いると
∫abf(x)dx−Sh(f)=−180(b−a)h4⋅N2k=0∑N/2−1f(4)(ξk)である。補題 2.2をg=f(4)とN/2個の点ξkに適用して主張を得る。▨
例 2.5.f(x):=ex、[a,b]=[0,1]、N=4、h=1/4とする。Th(f)とSh(f)は、ともに同じ5個の値f(0),f(1/4),f(1/2),f(3/4),f(1)から計算される。50桁の十進演算で計算すると、∫01exdx=e−1=1.718281828459…に対して
Th(f)=1.727221904557…,Sh(f)=1.718318841921…であり、誤差は∫01f−Th(f)=−8.940076098…×10−3、∫01f−Sh(f)=−3.701346270…×10−5である。f′′=f(4)=exは(0,1)上で1とeの間の値をとるから、定理 2.3 (2)により∫01f−Th(f)=−eξT/192、定理 2.4 (2)により∫01f−Sh(f)=−eξS/46080を満たすξT,ξS∈(0,1)が存在し、
−192e<∫01f−Th(f)<−1921,−46080e<∫01f−Sh(f)<−460801である。数値で書くと、第一の区間は(−1.4158×10−2,−5.2083×10−3)、第二の区間は(−5.8990×10−5,−2.1701×10−5)であり、計算した誤差はそれぞれの区間に属する。二つの誤差の比は240eξT−ξSに等しく、240=15/h2は二つの誤差公式の係数(b−a)h2/12と(b−a)h4/180の比である。計算した誤差の比は241.53…である。
例 2.6.f(x):=∣x−1/2∣(x∈[0,1])は1/2で微分可能でなく、定理 2.4の仮定を満たさない。Nを4で割った余りが2である正の整数とし、h:=1/N、xj:=jhと置く。N/2は奇数であるから1/2=xN/2は添字が奇数の格子点であり、Shを定める区間のうち[1/2−h,1/2+h]の中点である。その他の区間[x2k,x2k+2]ではfは一次式であるから、命題 1.3 (4)により Simpson 則は積分に等しい値を与える。区間[1/2−h,1/2+h]では∫1/2−h1/2+hf(x)dx=h2、S[1/2−h,1/2+h](f)=62h(h+0+h)=32h2である。したがって
∫01f(x)dx−Sh(f)=3h2である。定数Cがすべての正の偶数Nについて∫01f−Sh(f)≤Ch4を満たすならば、N≡2(mod4)についてC≥N2/3となり、そのようなCは存在しない。同じNについて1/2は格子点であり、各[xj,xj+1]でfは一次式であるから、命題 1.3 (3)によりTh(f)=∫01f(x)dx=1/4である。Nが4の倍数ならば、1/2=xN/2は区間[x2k,x2k+2]の端点であり、Sh(f)=∫01f(x)dxである。
3 Gauss 求積
定義 3.1.a<bを実数、wを(a,b)上の重み関数、n∈N≥1とし、πnをwに関するn次の直交多項式とする。§E20.14 定理 3.1により、πn=∏i=1n(x−zi)を満たす実数a<z1<⋯<zn<bがただ一つ存在する。1≤i≤nに対してLi(x):=∏j=i(x−zj)/(zi−zj)(n=1のときL1:=1)、λi:=∫abLi(x)w(x)dx(§E20.14 補題 1.3 (1)により有限)と置く。節点z1,…,zn、重みλ1,…,λnの求積公式
Gnw(f):=i=1∑nλif(zi)を、wに関するn点の Gauss 求積公式 (Gaussian quadrature rule) という。
定理 3.2.a<bを実数、wを(a,b)上の重み関数、μ0:=∫abw(x)dx、n∈N≥1とし、πn、zi、Li、λi、Gnwを定義 3.1のとおりとする。
- 任意のq∈P2n−1に対してGnw(q)=∫abq(x)w(x)dxである。またGnw(πn2)=0<∫abπn(x)2w(x)dxである。特にw≡1のとき、Gnwの代数的精度は2n−1である。
- 1≤i≤nに対してλi=∫abLi(x)2w(x)dx>0であり、∑i=1nλi=μ0である。
- f:[a,b]→RがC2n級ならば、
∫abf(x)w(x)dx−Gnw(f)=(2n)!f(2n)(ξ)∫abπn(x)2w(x)dx
を満たすξ∈(a,b)が存在する。
- f∈C([a,b])とし、∥⋅∥∞を[a,b]上の最大値ノルム、E2n−1(f)をfのP2n−1による最良一様近似誤差とする。任意のp∈P2n−1に対して
∫abf(x)w(x)dx−Gnw(f)≤2μ0∥f−p∥∞
であり、左辺は2μ0E2n−1(f)以下である。各n∈N≥1に対するGnwについて、左辺はn→∞のとき0に収束する。
証明.§E20.12 定理 1.3を相異なるn点z1,…,znに適用すると、r∈Pn−1はr=∑ir(zi)Liを満たし、Li(zj)はj=iのとき1、j=iのとき0である。
(1)を示す。q∈P2n−1をモニック多項式πnで割り、q=sπn+r、s,r∈Pn−1と書く。πn(zi)=0であるからGnw(q)=∑iλir(zi)=∫ab∑ir(zi)Li(x)w(x)dx=∫abr(x)w(x)dxである。直交多項式の定義により∫absπnwdx=⟨πn,s⟩w=0であるから、∫abqwdx=∫abrwdx=Gnw(q)である。πn2は各ziで0になるからGnw(πn2)=0である。πn2は[a,b]上で連続かつ非負であり、z1,…,zn以外の点で正であるから、§E20.14 補題 1.3 (2)により∫abπn2wdx>0である。w≡1のとき∫abqwdxは Riemann 積分∫abqであり、πn2∈P2nであるから、Gnwの代数的精度は2n−1である。
(2)を示す。Li2∈P2n−2⊆P2n−1であるから、(1)により∫abLi2wdx=Gnw(Li2)=∑jλjLi(zj)2=λiである。Li2は連続かつ非負であり、Li(zi)2=1>0であるから、§E20.14 補題 1.3 (2)によりλi>0である。定数関数1∈P2n−1に(1)を適用して∑iλi=Gnw(1)=μ0を得る。
(3)を示す。Hをz1,…,znにおけるfの Hermite 補間多項式とする(§E20.12 定理 7.2)。H(zi)=f(zi)であるからGnw(H)=Gnw(f)であり、H∈P2n−1であるから(1)によりGnw(H)=∫abHwdxである。したがって∫abfwdx−Gnw(f)=∫ab(f−H)wdxである。§E20.12 定理 7.3により、各x∈[a,b]に対してf(x)−H(x)=(2n)!f(2n)(ηx)πn(x)2を満たすηx∈(a,b)が存在する。f−Hは連続であり、πn2は非負である。補題 2.1 (2)を[c,d]=[a,b]、K=πn2、G=f(2n)/(2n)!、E=f−Hとして適用して主張を得る。
(4)を示す。p∈P2n−1とする。(1)により∫abpwdx=Gnw(p)であるから、
∫abfwdx−Gnw(f)=∫ab(f−p)wdx−i=1∑nλi(f(zi)−p(zi))である。§E20.14 補題 1.3 (1)により第一項の絶対値はμ0∥f−p∥∞以下である。第二項の絶対値は∑i∣λi∣∥f−p∥∞以下であり、(2)によりすべてのλiは正であるから、∑i∣λi∣=∑iλi=μ0である。したがって左辺の絶対値は2μ0∥f−p∥∞以下であり、p∈P2n−1について下限をとると2μ0E2n−1(f)以下である。§E20.15 命題 3.1 (1)によりm→∞のときEm(f)→0であり、2n−1→∞であるからE2n−1(f)→0である。▨
4 Gauss–Legendre 公式
系 4.1.n∈N≥1とし、Pnをn次の Legendre 多項式、cnをPnのxnの係数とする。Pnの実数の零点は相異なるn個の点x1<⋯<xnであり、すべて(−1,1)に属し、Pn=cn∏i=1n(x−xi)である。
証明.(−1,1)上の重み関数1に関するn次の直交多項式をπnとする。§E20.14 命題 4.1によりcn=(2n)!/(2n(n!)2)=0かつPn=cnπnである。§E20.14 定理 3.1によりπn=∏i=1n(x−xi)を満たす実数−1<x1<⋯<xn<1が存在する。したがってPn=cn∏i(x−xi)であり、cn=0であるからPnの実数の零点はx1,…,xnである。▨
定義 4.2.n∈N≥1とし、x1<⋯<xnをn次の Legendre 多項式Pnの零点(系 4.1)とする。1≤i≤nに対してLi(x):=∏j=i(x−xj)/(xi−xj)(n=1のときL1:=1)、wi:=∫−11Li(x)dxと置く。
- [−1,1]上の実数値関数fに対してGn(f):=∑i=1nwif(xi)と置き、Gnをn点の Gauss–Legendre 公式 (Gauss–Legendre quadrature rule) という。
- a<bを実数とし、ϕ(t):=2a+b+2b−atと置く。[a,b]上の実数値関数fに対してGn[a,b](f):=2b−a∑i=1nwif(ϕ(xi))と置き、Gn[a,b]を[a,b]のn点の Gauss–Legendre 公式という。
系 4.3.n∈N≥1とし、xi、wi、Gn、ϕ、Gn[a,b]を定義 4.2のとおりとし、πn(x):=∏i=1n(x−xi)と置く。
- Gnは(−1,1)上の重み関数1に関するn点の Gauss 求積公式である。したがって、Gnの代数的精度は2n−1であり、すべてのiでwi>0、∑i=1nwi=2である。f:[−1,1]→RがC2n級ならば、∫−11f(x)dx−Gn(f)=(2n)!f(2n)(ξ)∫−11πn(x)2dxを満たすξ∈(−1,1)が存在する。
- a<bを実数とする。Gn[a,b]の代数的精度は2n−1である。f:[a,b]→RがC2n級ならば、
∫abf(x)dx−Gn[a,b](f)=(2b−a)2n+1(2n)!f(2n)(ξ)∫−11πn(x)2dx
を満たすξ∈(a,b)が存在する。
証明.(1)を示す。定数関数1は(−1,1)上の重み関数であり、μ0=2である。§E20.14 命題 4.1と系 4.1により、重み関数1に関するn次の直交多項式はPn/cn=πnであるから、Gnはその Gauss 求積公式であり、残りの主張は定理 3.2 (1)、定理 3.2 (2)、定理 3.2 (3)を重み関数1に適用したものである。
(2)を示す。[a,b]上の連続関数fについて、置換積分x=ϕ(t)により∫abf(x)dx=2b−a∫−11f(ϕ(t))dtであり、定義によりGn[a,b](f)=2b−aGn(f∘ϕ)であるから、
∫abf(x)dx−Gn[a,b](f)=2b−a(∫−11f(ϕ(t))dt−Gn(f∘ϕ))である。q∈P2n−1ならばq∘ϕ∈P2n−1であるから、(1)により右辺は0である。q(x):=πn(ϕ−1(x))2と置くとq∈P2n、q∘ϕ=πn2であり、定理 3.2 (1)により右辺の括弧は∫−11πn(t)2dt>0である。したがってGn[a,b]の代数的精度は2n−1である。fがC2n級ならばg:=f∘ϕは[−1,1]上でC2n級であり、g(2n)(t)=(2b−a)2nf(2n)(ϕ(t))である。(1)をgに適用して得るτ∈(−1,1)についてξ:=ϕ(τ)∈(a,b)と置き、上の等式に代入して主張を得る。▨
例 4.4.n=2とする。P2=(3x2−1)/2の零点はx1=−1/3、x2=1/3であり、L1(x)=23(31−x)、L2(x)=23(x+31)からw1=w2=1である。したがってG2(f)=f(−1/3)+f(1/3)である。k=0,1,2,3に対してG2(xk)は2,0,2/3,0であり、∫−11xkdxに等しい。G2(x4)=2/9、∫−11x4dx=2/5であり、その差は8/45である。π2=x2−1/3について∫−11π22dx=2/5−4/9+2/9=8/45であり、f=x4ではf(4)=24であるから、系 4.3 (1)の誤差の式の右辺はξによらず4!24⋅458=458である。[0,1]上のf(x)=exについて、G2[0,1](f)=21(e1/2−1/(23)+e1/2+1/(23))を50桁の十進演算で計算すると1.717896378007…であり、誤差は∫01f−G2[0,1](f)=3.854504515…×10−4である。系 4.3 (2)により誤差は(21)524eξ⋅458=4320eξ(ξ∈(0,1))に等しく、1/4320=2.3148…×10−4とe/4320=6.2923…×10−4の間にある。同じfについて、2個の値を用いるT[0,1](f)の誤差は−1.408590857…×10−1、3個の値を用いるS[0,1](f)の誤差は−5.793234175…×10−4である。
例 4.5.n=4とする。§E10.15 定理 4.1により、P0=1、P1=xから(k+1)Pk+1=(2k+1)xPk−kPk−1でP2,P3,P4が定まり、P4=(35x4−30x2+3)/8である。漸化式を微分した(k+1)Pk+1′=(2k+1)(Pk+xPk′)−kPk−1′により、点xにおけるP4(x)とP4′(x)は、多項式を展開せずにxから計算される。P4は偶関数であり、P4(0)=3/8=0であるから、系 4.1の零点はx1=−x4、x2=−x3、0<x3<x4<1を満たす。有理数の演算により
P4(0.33)=1600000002961447>0,P4(0.35)=−2560004793<0,P4(0.86)=−1000000053393<0,P4(0.87)=1600000006888327>0であるから、§D1.12 定理 1.1によりx3∈(0.33,0.35)、x4∈(0.86,0.87)である。x3に対してJ:=[0.32,0.36]、初期値0.35をとる。J上でP4′(x)=x(140x2−60)/8<0であり、x(60−140x2)はJ上で増加するから∣P4′∣≥∣P4′(0.32)∣=1.82656、また∣P4′′(x)∣=(60−420x2)/8≤∣P4′′(0.32)∣=2.124である。K:=2.124/(2⋅1.82656)<0.59と置く。x∈Jならば∣x−x3∣<0.03であり、§E20.4 補題 4.2により∣NP4(x)−x3∣≤K∣x−x3∣2<0.018∣x−x3∣<0.00054であるから、NP4(x)∈Jである。x4に対してJ:=[0.85,0.88]、初期値0.87をとると、同様にJ上で∣P4′∣≥P4′(0.85)=4.3721875、∣P4′′∣≤P4′′(0.88)=33.156であり、K:=33.156/(2⋅4.3721875)<3.8、∣x−x4∣<0.02から∣NP4(x)−x4∣<0.076∣x−x4∣<0.00152であって、NP4(x)∈Jである。いずれの場合も、帰納法により Newton 法の反復列(yk)はすべてJに属し、∣yk+1−xi∣≤K∣yk−xi∣2を満たす。P4(x)=0はx2の二次方程式35x4−30x2+3=0であるから、x3=(15−230)/35=0.339981043584856…、x4=(15+230)/35=0.861136311594052…である。50桁の十進演算で計算した反復の誤差yk−xiは次のとおりである。
| k |
0 |
1 |
2 |
3 |
4 |
| x3(y0=0.35) |
1.002×10−2 |
3.188×10−5 |
3.904×10−10 |
5.858×10−20 |
1.319×10−39 |
| x4(y0=0.87) |
8.864×10−3 |
2.512×10−4 |
2.100×10−7 |
1.470×10−13 |
7.199×10−26 |
x5−i=−xiからLi(−x)=L5−i(x)であり、w1=w4、w2=w3である。系 4.3 (1)によりG4は1とx2を厳密に積分するから、2w3+2w4=2、2w3x32+2w4x42=2/3であり、
w3=x42−x32x42−1/3=3618+30=0.652145154862546…,w4=3618−30=0.347854845137453…である。
5 Romberg 積分
命題 5.1.a<bを実数、m∈N≥1とし、f:[a,b]→RをC2m級の関数とする。Bjを Bernoulli 数(§E5.22 定義 1.1)とし、1≤r≤mに対して
c2r:=(2r)!B2r(f(2r−1)(b)−f(2r−1)(a)),Dm:=(2m)!1(∣B2m∣+j=0∑2m(j2m)∣Bj∣)∫ab∣f(2m)(x)∣dxと置く。任意のN∈N≥1に対して、h:=(b−a)/Nとすると
Th(f)−∫abf(x)dx−r=1∑m−1c2rh2r≤Dmh2mが成り立つ。
証明.g(s):=f(a+hs)(s∈[0,N])と置く。gはC2m級であり、0≤k≤2mに対してg(k)(s)=hkf(k)(a+hs)である。§E5.22 定理 3.1を整数0<Nとgに適用し、C2m:=∑j=02m(j2m)∣Bj∣と置くと、
j=0∑Ng(j)=∫0Ng(s)ds+2g(0)+g(N)+r=1∑m(2r)!B2r(g(2r−1)(N)−g(2r−1)(0))+R,∣R∣≤(2m)!C2m∫0N∣g(2m)(s)∣dsを満たす実数Rが存在する。置換積分x=a+hsにより∫0Ng(s)ds=h−1∫abf(x)dx、∫0N∣g(2m)(s)∣ds=h2m−1∫ab∣f(2m)(x)∣dxであり、g(2r−1)(N)−g(2r−1)(0)=h2r−1(f(2r−1)(b)−f(2r−1)(a))である。Th(f)=h(∑j=0Ng(j)−(g(0)+g(N))/2)であるから、上の等式にhを掛けて
Th(f)−∫abf(x)dx−r=1∑m−1c2rh2r=c2mh2m+hR,∣hR∣≤(2m)!C2mh2m∫ab∣f(2m)(x)∣dxを得る。§D1.19 定理 2.1によりf(2m−1)(b)−f(2m−1)(a)=∫abf(2m)(x)dxであるから、§D1.17 定理 3.5により∣c2m∣≤(2m)!∣B2m∣∫ab∣f(2m)(x)∣dxである。二つの評価を加えて主張を得る。▨
定義 5.2.a<bを実数、f:[a,b]→R、N0∈N≥1とする。k∈N≥0に対してhk:=(b−a)/(2kN0)と置く。Thk(f)は[a,b]を2kN0等分した複合台形則であり、hk+1=hk/2であるから、kを1増やすと分割数は2倍になる。Rk,0:=Thk(f)(k∈N≥0)とし、1≤j≤kに対して
Rk,j:=Rk,j−1+4j−1Rk,j−1−Rk−1,j−1と置く。(Rk,j)k∈N≥0,0≤j≤kをfの Romberg の表 (Romberg table) といい、Rk,j(k≥j)をその第j列という。Romberg の表によって∫abf(x)dxを近似することを Romberg 積分 (Romberg integration) という。
定理 5.3.a<bを実数、m∈N≥1、N0∈N≥1とし、f:[a,b]→RをC2m級の関数、hkとRk,jを定義 5.2のとおりとする。整数0≤j≤m−1に対して、kによらない定数Kj≥0が存在して、k≥jを満たす任意の整数kについて
Rk,j−∫abf(x)dx≤Kjhk2j+2が成り立つ。
証明.L:=∫abf(x)dx、h∗:=(b−a)/N0と置き、c2rとDmを命題 5.1のとおりとする。関数A:(0,h∗]→Rを、h=(b−a)/N(N∈N≥1、N≥N0)のときA(h):=Th(f)、それ以外のhについてA(h):=L+∑r=1m−1c2rh2rで定める。命題 5.1により、任意の0<h≤h∗についてA(h)−L−∑r=1m−1c2rh2r≤Dmh2mである。すなわちAは極限L、係数c2,c4,…,c2m−2、定数Dmの、指数2,4,…,2mの誤差の漸近展開をもつ。
m=1ならばj=0であり、Rk,0=A(hk)から∣Rk,0−L∣≤D1hk2である。m≥2とする。§E20.19 定理 4.4を、係数の個数m−1、指数pr:=2r(1≤r≤m)、比t:=2としてAに適用する。ここで§E20.19 定理 4.4の係数crはc2rである。A0:=A、Aj:=T2,2jAj−1(1≤j≤m−1)である。
主張 5.3.1.0≤j≤m−1とk≥jを満たす整数j,kについてRk,j=Aj(hk−j)である。
証明.hk=(b−a)/(2kN0)かつ2kN0≥N0であるから、Rk,0=Thk(f)=A(hk)である。1≤j≤m−1とし、k′≥j−1を満たすすべての整数k′についてRk′,j−1=Aj−1(hk′−(j−1))であるとする。k≥jならば、§E20.19 定義 4.1の第二の表示とhk−j/2=hk−(j−1)により
Aj(hk−j)=Aj−1(hk−(j−1))+4j−1Aj−1(hk−(j−1))−Aj−1(h(k−1)−(j−1))=Rk,j−1+4j−1Rk,j−1−Rk−1,j−1=Rk,jである。▨
§E20.19 定理 4.4により、Ajは極限L、係数cj+1(j),…,cm−1(j)、定数Cjの、指数2j+2,…,2mの誤差の漸近展開をもつ。したがって0<h≤h∗について
∣Aj(h)−L∣≤r=j+1∑m−1∣cr(j)∣h2r+Cjh2m≤Kj′h2j+2,Kj′:=r=j+1∑m−1∣cr(j)∣h∗2r−2j−2+Cjh∗2m−2j−2である。hk−j=2jhk≤h∗であるから、主張 5.3.1により∣Rk,j−L∣=∣Aj(hk−j)−L∣≤Kj′(2jhk)2j+2であり、Kj:=4j(j+1)Kj′と置いて主張を得る。▨
例 5.4.f(x):=ex、[a,b]=[0,1]、N0=1とする。hk=2−kであり、50桁の十進演算で計算した∫01f−Rk,jは次のとおりである。
| k |
j=0 |
j=1 |
j=2 |
j=3 |
j=4 |
| 0 |
−1.4086×10−1 |
|
|
|
|
| 1 |
−3.5649×10−2 |
−5.7932×10−4 |
|
|
|
| 2 |
−8.9401×10−3 |
−3.7013×10−5 |
−8.5947×10−7 |
|
|
| 3 |
−2.2368×10−3 |
−2.3262×10−6 |
−1.3759×10−8 |
−3.3549×10−10 |
|
| 4 |
−5.5930×10−4 |
−1.4559×10−7 |
−2.1631×10−10 |
−1.3434×10−12 |
−3.3087×10−14 |
fは任意のm∈N≥1についてC2m級であるから、定理 5.3により第j列の誤差はhk2j+2=4−k(j+1)の定数倍以下である。第j列でkを1増やしたときの誤差の比(∫01f−Rk−1,j)/(∫01f−Rk,j)は、j=0で3.951,3.988,3.997,3.999、j=1で15.65,15.91,15.98、j=2で62.46,63.61、j=3で249.7であり、4j+1に近い。k≥1とし、h:=hk−1と置く。4Th/2(f)−Th(f)の各関数値の係数を比べると3Sh/2(f)に等しいから、Rk,1=(4Thk(f)−Thk−1(f))/3=Shk(f)である。
6 Chebyshev 補間による求積
定義 6.1.n∈N≥0とし、c0,…,cnを[−1,1]のn+1個の Chebyshev 節点とする。節点c0,…,cnの[−1,1]上の補間型求積公式をFnと書き、n+1点の Fejér の第一公式 (Fejér's first rule) という。
命題 6.2.n∈N≥0とし、Inを[−1,1]のn+1個の Chebyshev 節点における補間作用素、∥⋅∥∞を[−1,1]上の最大値ノルム、Fnをn+1点の Fejér の第一公式とする。
- k∈N≥0に対して、∫−11Tk(x)dxはkが奇数のとき0、kが偶数のとき2/(1−k2)である。
- f∈C([−1,1])とし、bk:=ak(Inf)を多項式Infのk次の Chebyshev 係数とする。このとき
Fn(f)=∫−11Inf(x)dx=b0+1≤l≤n/2∑1−4l22b2l
である。
- f∈C([−1,1])とし、bkを(2)のとおりとし、θj:=(2j+1)π/(2n+2)(0≤j≤n)と置く。0≤k≤nに対して
bk=n+12j=0∑nf(cosθj)coskθj
である。
- Fnの代数的精度はn以上である。
- f∈C([−1,1])ならば∫−11f(x)dx−Fn(f)≤2∥f−Inf∥∞である。
- ρ>1とし、U⊆Cを Bernstein 楕円Eρを含む開集合、fをU上の正則関数でf([−1,1])⊆Rを満たすもの、M:=maxw∈∂Eρ∣f(w)∣とする。fの[−1,1]への制限について
∫−11f(x)dx−Fn(f)≤ρ−18Mρ−n
である。
証明.(1)を示す。置換積分x=cosθ(θ∈[0,π])と§E20.11 補題 3.2 (2)により
∫−11Tk(x)dx=∫0πcoskθsinθdθ=21∫0π(sin(1+k)θ+sin(1−k)θ)dθである。整数lについて∫0πsinlθdθは、l=0のとき0、l=0のとき(1−(−1)l)/lである。kが奇数ならば1±kは偶数であり、積分は0である。kが偶数ならば1±kは奇数であり、積分は1+k1+1−k1=1−k22である。
(2)を示す。Infは節点c0,…,cnにおけるfの補間多項式であるから、命題 1.3 (1)によりFn(f)=∫−11Inf(x)dxである。Inf∈Pnであるから、§E20.15 命題 1.2 (1)によりInf=b0/2+∑k=1nbkTkである。(1)によりkについて積分して等式を得る。
(3)を示す。N:=n+1、φ:=π/(2N)と置くとθj=(2j+1)φである。整数mについて、m=0ならば∑j=0ncosmθj=Nである。0<∣m∣<2Nとする。加法定理により2sin(mφ)cos((2j+1)mφ)=sin(2(j+1)mφ)−sin(2jmφ)であるから、j=0,…,nについて和をとると
2sin(mφ)j=0∑ncosmθj=sin(2Nmφ)−sin0=sinmπ=0である。0<∣mφ∣<πであるからsin(mφ)=0であり、∑j=0ncosmθj=0である。整数0≤k,l≤nをとる。実数θについてcoskθcoslθ=21(cos(k+l)θ+cos(k−l)θ)であり、0≤k+l≤2n<2N、∣k−l∣≤n<2Nである。k+l=0はk=l=0と同値であり、k−l=0はk=lと同値であるから、上の和の値により
j=0∑ncoskθjcoslθj=⎩⎨⎧NN/20(k=l=0)(k=l≥1)(k=l)である。§E20.15 命題 1.2 (1)によりInf=b0/2+∑k=1nbkTkである。Chebyshev 節点はcj=cosθjであり、Inf(cj)=f(cj)であるから、§E20.11 補題 3.2 (2)により0≤j≤nについてf(cosθj)=b0/2+∑k=1nbkcoskθjである。0≤l≤nとし、両辺にcoslθjを掛けてjについて和をとり、直交関係を用いると、l=0ならば∑jf(cosθj)=Nb0/2、l≥1ならば∑jf(cosθj)coslθj=Nbl/2である。いずれの場合もbl=N2∑j=0nf(cosθj)coslθjである。
(4)は命題 1.3 (1)による。
(5)を示す。(2)により∫−11f(x)dx−Fn(f)=∫−11(f(x)−Inf(x))dxであり、§D1.17 定理 3.5と§D1.17 命題 3.4により右辺の絶対値は2∥f−Inf∥∞以下である。
(6)は、(5)と§E20.15 定理 6.6 (2)から従う。▨
例 6.3.α>0に対してfα(z):=1/(1+α2z2)と置く。fαはUα:=C∖{i/α,−i/α}上で正則であり、fα([−1,1])⊆R、∫−11fα(x)dx=(2/α)arctanαである。ρ>1について±i/α∈Eρであることはβρ=(ρ−ρ−1)/2≥1/αと同値であり、βρはρについて狭義単調増加であるから、Eρ⊆Uαであることはρ<ρα:=(1+1+α2)/αと同値である。したがって命題 6.2 (6)は1<ρ<ραを満たすρについて適用される。ρ5=(1+26)/5=1.21980…、ρ1=1+2=2.41421…である。α=5、nが奇数のとき、§E20.15 例 6.7により∑k>n∣ak(f5)∣=262⋅1−ρ5−2ρ5−(n+1)であり、§E20.15 定理 6.6 (1)と命題 6.2 (5)により∫−11f5−Fn(f5)はこの値の4倍以下である。Fn(fα)を50桁の十進演算で計算した誤差の絶対値と、この上界は次のとおりである。
| n |
α=5の誤差 |
α=5の上界 |
α=1の誤差 |
| 11 |
1.049×10−2 |
4.409×10−1 |
3.453×10−7 |
| 21 |
2.046×10−4 |
6.046×10−2 |
1.561×10−11 |
| 41 |
9.160×10−8 |
1.137×10−3 |
9.494×10−20 |
同じnで、α=1の誤差はα=5の誤差の10−4倍未満である。
7 演習
問題 7.1.a<bを実数とする。[a,b]上の Riemann 可積分な関数uであって、すべてのx∈[a,b]でu(x)≥0、あるx0∈[a,b]でu(x0)>0を満たし、∫abu(x)dx=0であるものを構成せよ。構成したuが Riemann 可積分であることと積分の値を示すこと。
解答.
x0∈[a,b]をとり、u(x0):=1、x=x0のときu(x):=0と置く。uは有界であり、非負で、u(x0)>0である。n∈N≥1に対して、[a,b]をn等分する分割Pnをとる。各小区間は長さ(b−a)/n>0をもち、x0と異なる点を含むから、uの各小区間での下限は0であって、L(u,Pn)=0である。uの小区間での上限は、その小区間がx0を含むとき1、含まないとき0である。x0を含む小区間は高々二つであるから、U(u,Pn)≤2(b−a)/nである。ε>0に対して2(b−a)/n<εを満たすnをとるとU(u,Pn)−L(u,Pn)<εであり、§D1.17 定理 2.4によりuは Riemann 可積分である。§D1.17 命題 2.3により、任意のnについて0=L(u,Pn)≤∫abu(x)dx≤U(u,Pn)≤2(b−a)/nであるから、∫abu(x)dx=0である。uはx0で連続でなく、補題 1.2の連続性の仮定を満たさない。▨
問題 7.2.a<bを実数、wを(a,b)上の重み関数、μ0:=∫abw(x)dx、n∈N≥1とし、zi、λi、Gnwを定義 3.1のとおりとする。δ≥0とする。[a,b]上の実数値関数f,f~がすべての1≤i≤nで∣f~(zi)−f(zi)∣≤δを満たすならば、∣Gnw(f~)−Gnw(f)∣≤μ0δであることを示せ。また、[a,b]上の任意の実数値関数fに対して、すべての1≤i≤nで∣f~(zi)−f(zi)∣≤δを満たし、∣Gnw(f~)−Gnw(f)∣=μ0δを満たす[a,b]上の実数値関数f~が存在することを示せ。
解答.
Gnwの定義によりGnw(f~)−Gnw(f)=∑i=1nλi(f~(zi)−f(zi))である。定理 3.2 (2)により、すべてのiでλi>0であり、∑i=1nλi=μ0である。したがって
Gnw(f~)−Gnw(f)≤i=1∑nλif~(zi)−f(zi)≤δi=1∑nλi=μ0δである。fを[a,b]上の実数値関数とし、f~(x):=f(x)+δ(x∈[a,b])と置く。すべてのiで∣f~(zi)−f(zi)∣=δであり、Gnw(f~)−Gnw(f)=δ∑i=1nλi=μ0δである。▨