§E5.22Bernoulli 数と Euler–Maclaurin の和公式

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有限和を積分で近似すると、端点だけでは説明できない差が残る。Bernoulli 多項式を周期化した関数は、この差を各単位区間で測り、繰り返しの部分積分によって有限項の補正と剰余積分へ分解する。

本記事は Bernoulli 数を母関数の Taylor 係数として定める。この局所的な係数は、余接関数の極と正方形境界上の評価を介して偶数冪の逆数和と結び付き、さらに Bernoulli 多項式と Euler–Maclaurin の和公式を支える。母関数、留数計算、有限和の補正という三つの姿を同じ係数列によって統一することが本記事の主題である。

1 Bernoulli 数と偶数冪の逆数和

Bernoulli 数を母関数によって定め、偶数乗の逆数の総和との関係と、後続で用いる積分の値を求める。

定義 1.1.g(w)=∑k≥0wk(k+1)!g(w)=\sum_{k\ge0}\dfrac{w^{k}}{(k+1)!}とおくと、ggは整関数であり、指数関数の級数(§E5.3 定義 1.3)によりew−1=w g(w)e^{w}-1=w\,g(w)が成り立つ。g(0)=1g(0)=1であり、w≠0w\ne0についてg(w)=0g(w)=0となるのはew=1e^{w}=1となるとき、すなわちw=2πikw=2\pi ik(kkは00でない整数)のときに限る(§E5.3 命題 1.7)。したがって

wew−1:=1g(w)\frac{w}{e^{w}-1}:=\frac{1}{g(w)}

は円板∣w∣<2π|w|<2\piの上で正則である。その原点を中心とする Taylor 展開(§E5.7 定理 2.1)の係数によって Bernoulli 数BnB_{n} (Bernoulli numberBnB_{n}) を

wew−1=∑n≥0Bnn! wn(∣w∣<2π)\frac{w}{e^{w}-1}=\sum_{n\ge0}\frac{B_{n}}{n!}\,w^{n}\qquad(|w|<2\pi)

と定める。

補題 1.2.B1=−12B_{1}=-\tfrac12であり、33以上の奇数nnについてBn=0B_{n}=0である。さらに正の整数mmについて

∑n≥11n2m=(−1)m−1(2π)2mB2m2 (2m)!\sum_{n\ge1}\frac{1}{n^{2m}}=\frac{(-1)^{m-1}(2\pi)^{2m}B_{2m}}{2\,(2m)!}

が成り立つ。とくに(−1)m−1B2m>0(-1)^{m-1}B_{2m}>0であり、(−1)m−1B2m=∣B2m∣(-1)^{m-1}B_{2m}=|B_{2m}|である。

証明.E(w)=wew−1+w2E(w)=\dfrac{w}{e^{w}-1}+\dfrac w2とおく。wewew−1=w+wew−1\dfrac{we^{w}}{e^{w}-1}=w+\dfrac{w}{e^{w}-1}であるから

E(−w)=−we−w−1−w2=wewew−1−w2=w+wew−1−w2=E(w)E(-w)=\frac{-w}{e^{-w}-1}-\frac w2=\frac{we^{w}}{e^{w}-1}-\frac w2 =w+\frac{w}{e^{w}-1}-\frac w2=E(w)

であり、EEは偶関数である。Taylor 係数の一意性(§E5.7 系 2.2)によりEEの奇数次の係数は00である。11次の係数はB1+12B_{1}+\tfrac12であるからB1=−12B_{1}=-\tfrac12であり、33以上の奇数nnについてはBn=0B_{n}=0である。

∣w∣<1|w|<1のとき∣2πiw∣<2π|2\pi iw|<2\piであるから、u=2πiwu=2\pi iwをEEの展開へ代入することができる。§E5.20 補題 2.1 (2)によるC(w)=πcot⁡(πw)C(w)=\pi\cot(\pi w)の指数表示と合わせると、

E(2πiw)=πiw(2e2πiw−1+1)=πiw⋅e2πiw+1e2πiw−1=πwcot⁡(πw)E(2\pi iw)=\pi iw\left(\frac{2}{e^{2\pi iw}-1}+1\right)=\pi iw\cdot\frac{e^{2\pi iw}+1}{e^{2\pi iw}-1} =\pi w\cot(\pi w)

である。したがって∣w∣<1|w|<1で

πwcot⁡(πw)=∑j≥0B2j(2j)!(2πiw)2j=∑j≥0(−1)jB2j(2π)2j(2j)! w2j\pi w\cot(\pi w)=\sum_{j\ge0}\frac{B_{2j}}{(2j)!}(2\pi iw)^{2j} =\sum_{j\ge0}\frac{(-1)^{j}B_{2j}(2\pi)^{2j}}{(2j)!}\,w^{2j}

である。

C(w)=πcot⁡(πw)C(w)=\pi\cot(\pi w)とおく。§E5.20 補題 2.1 (1)によりCCはC∖Z\mathbb C\setminus\mathbb Zの上で正則である。正の整数mmを固定しFm(w)=C(w)/w2mF_{m}(w)=C(w)/w^{2m}とおく。nnを00でない整数とする。§E5.20 補題 2.1 (3)のHnH_nを用いると、D(n,1)D(n,1)の上でHnH_nは正則、Hn(n)=1H_n(n)=1であり、0<∣w−n∣<10<|w-n|<1では

Fm(w)=Hn(w)/w2mw−nF_m(w)=\frac{H_n(w)/w^{2m}}{w-n}

である。n≠0n\ne0であるからHn(w)/w2mH_n(w)/w^{2m}はnnの近傍で正則であり、そのnnにおける値はn−2mn^{-2m}である。したがって§E5.12 命題 1.2によりRes⁡(Fm,n)=n−2m\operatorname{Res}(F_m,n)=n^{-2m}である。

w=0w=0を考える。h(w)=E(2πiw)h(w)=E(2\pi iw)とおくと、EEは∣u∣<2π|u|<2\piの上で正則であるからhhは∣w∣<1|w|<1の上で正則であり、上で示した等式により0<∣w∣<10<|w|<1でh(w)=πwcot⁡(πw)h(w)=\pi w\cot(\pi w)である。またwew−1=1/g(w)\frac{w}{e^{w}-1}=1/g(w)のw=0w=0における値は1/g(0)=11/g(0)=1であるからB0=1B_{0}=1であり、h(0)=E(0)=B0=1≠0h(0)=E(0)=B_{0}=1\ne0である。0<∣w∣<10<|w|<1でFm(w)=h(w)/w2m+1F_{m}(w)=h(w)/w^{2m+1}であるから、§E5.11 命題 3.4により00はFmF_{m}の位数2m+12m+1の極であり、その Laurent 係数はk≥0k\ge0についてck−(2m+1)=h(k)(0)/k!c_{k-(2m+1)}=h^{(k)}(0)/k!である。k=2mk=2mとおき、hhの上のべき級数展開の係数が Taylor 係数に一致すること(§E5.7 系 2.2)を用いると

Res⁡(Fm,0)=c−1=h(2m)(0)(2m)!=(−1)mB2m(2π)2m(2m)!\operatorname{Res}(F_{m},0)=c_{-1}=\frac{h^{(2m)}(0)}{(2m)!}=\frac{(-1)^{m}B_{2m}(2\pi)^{2m}}{(2m)!}

である。

NNを正の整数とし、QNQ_{N}を頂点±(N+12)±i(N+12)\pm(N+\tfrac12)\pm i(N+\tfrac12)をもつ閉正方形、∂QN\partial Q_{N}をその正の向きの境界とする。U=CU=\mathbb C、A=ZA=\mathbb ZとするとAAはC\mathbb Cの中に集積点をもたず、FmF_{m}はC∖Z\mathbb C\setminus\mathbb Zの上で正則であり、∂QN\partial Q_{N}はC\mathbb Cの内部で零ホモローグである。§E5.5 命題 5.6によりn(∂QN,n)n(\partial Q_{N},n)は∣n∣≤N|n|\le Nで11、∣n∣>N|n|>Nで00であるから、§E5.12 定理 2.2により

∫∂QNFm(w) dw=2πi[(−1)mB2m(2π)2m(2m)!+2∑n=1N1n2m]\int_{\partial Q_{N}}F_{m}(w)\,dw =2\pi i\left[\frac{(-1)^{m}B_{2m}(2\pi)^{2m}}{(2m)!}+2\sum_{n=1}^{N}\frac{1}{n^{2m}}\right]

である。

§E5.20 補題 2.2により、c0=eπ+1eπ−1c_{0}=\frac{e^{\pi}+1}{e^{\pi}-1}とおくと∂QN\partial Q_Nの上で∣C(w)∣≤πc0|C(w)|\le\pi c_0である。また∣w∣≥N+12|w|\ge N+\tfrac12であり、∂QN\partial Q_{N}の長さは8(N+12)8\bigl(N+\tfrac12\bigr)であるから、 ML 不等式(§E5.4 命題 3.2)により

∣∫∂QNFm∣≤πc0⋅8(N+12)(N+12)2m\left|\int_{\partial Q_{N}}F_{m}\right|\le\pi c_{0}\cdot\frac{8\bigl(N+\tfrac12\bigr)}{\bigl(N+\tfrac12\bigr)^{2m}}

である。2m≥22m\ge2であるから右辺はN→∞N\to\inftyで00へ収束する。ゆえに

(−1)mB2m(2π)2m(2m)!+2∑n≥11n2m=0\frac{(-1)^{m}B_{2m}(2\pi)^{2m}}{(2m)!}+2\sum_{n\ge1}\frac{1}{n^{2m}}=0

であり、主張の等式を得る。左辺の和は正であるから(−1)m−1B2m>0(-1)^{m-1}B_{2m}>0である。▨

2 Bernoulli 多項式と周期 Bernoulli 関数

Bernoulli 数の母関数へ指数関数を掛けると、和公式で用いる多項式族が得られる。

定義 2.1.x∈Rx\in\mathbb Rについて、wwの原点における Taylor 展開

wexwew−1=∑n≥0Bn(x)n! wn(∣w∣<2π)\frac{we^{xw}}{e^{w}-1}=\sum_{n\ge0}\frac{B_{n}(x)}{n!}\,w^{n}\qquad(|w|<2\pi)

によって Bernoulli 多項式Bn(x)B_{n}(x) (Bernoulli polynomialBn(x)B_{n}(x)) を定める。Bn=Bn(0)B_{n}=B_{n}(0)である。

t∈Rt\in\mathbb Rに対して{t}=t−⌊t⌋∈[0,1)\{t\}=t-\lfloor t\rfloor\in[0,1)とおき、

B~n(t)=Bn({t})\widetilde B_{n}(t)=B_{n}(\{t\})

によって 周期 Bernoulli 関数B~n\widetilde B_{n} (periodic Bernoulli functionB~n\widetilde B_{n}) を定める。

補題 2.2. 非負整数nnについて

Bn(x)=∑j=0n(nj)Bjxn−jB_{n}(x)=\sum_{j=0}^{n}\binom{n}{j}B_{j}x^{n-j}

が成り立つ。正の整数nnについて

Bn′(x)=nBn−1(x),Bn(1)−Bn(0)={1,n=1,0,n≠1B_{n}'(x)=nB_{n-1}(x),\qquad B_{n}(1)-B_{n}(0)= \begin{cases} 1,&n=1,\\ 0,&n\ne1 \end{cases}

である。したがってn≥2n\ge2のときB~n\widetilde B_{n}は連続な周期11の関数であり、整数を含まない各開区間の上でB~n′=nB~n−1\widetilde B_{n}'=n\widetilde B_{n-1}を満たす。

さらに

Cn=∑j=0n(nj)∣Bj∣C_{n}=\sum_{j=0}^{n}\binom{n}{j}|B_{j}|

とおくと、すべての実数ttについて∣B~n(t)∣≤Cn|\widetilde B_{n}(t)|\le C_{n}である。

証明.定義 1.1の母関数と指数関数の積を、絶対収束する級数の Cauchy 積(§D1.21 定理 5.3)で展開すると

wexwew−1=(∑j≥0Bjj!wj)(∑ℓ≥0xℓℓ!wℓ)=∑n≥0(∑j=0nBjxn−jj!(n−j)!)wn\frac{we^{xw}}{e^{w}-1} =\left(\sum_{j\ge0}\frac{B_{j}}{j!}w^{j}\right) \left(\sum_{\ell\ge0}\frac{x^{\ell}}{\ell!}w^{\ell}\right) =\sum_{n\ge0}\left(\sum_{j=0}^{n}\frac{B_{j}x^{n-j}}{j!(n-j)!}\right)w^{n}

である。Taylor 係数の一意性(§E5.7 系 2.2)により第一の等式を得る。とくにBn(x)B_n(x)は多項式である。

第一の等式を項ごとに微分し、(nj)(n−j)=n(n−1j)\binom nj(n-j)=n\binom{n-1}jを用いると

Bn′(x)=n∑j=0n−1(n−1j)Bjxn−1−j=nBn−1(x)B_n'(x) =n\sum_{j=0}^{n-1}\binom{n-1}{j}B_jx^{n-1-j} =nB_{n-1}(x)

である。また

wewew−1−wew−1=w\frac{we^{w}}{e^{w}-1}-\frac{w}{e^{w}-1}=w

であるから、係数を比較すると端点の差に関する等式を得る。

n≥2n\ge2ではBn(1)=Bn(0)B_n(1)=B_n(0)であるから、各区間[k,k+1)[k,k+1)に置いたBn(t−k)B_n(t-k)の両端の値が一致する。したがってB~n\widetilde B_nは連続であり、定義から周期11をもつ。整数を含まない各開区間では多項式と同じ微分関係が成り立つ。

最後に0≤{t}<10\le\{t\}<1と第一の等式から

∣B~n(t)∣≤∑j=0n(nj)∣Bj∣ {t}n−j≤∑j=0n(nj)∣Bj∣=Cn|\widetilde B_n(t)| \le\sum_{j=0}^{n}\binom{n}{j}|B_j|\,\{t\}^{n-j} \le\sum_{j=0}^{n}\binom{n}{j}|B_j|=C_n

を得る。▨

とくにB1(x)=x−12B_{1}(x)=x-\tfrac12であるから、整数でないttについてB~1(t)={t}−12\widetilde B_{1}(t)=\{t\}-\tfrac12である。B~1\widetilde B_{1}は整数で跳躍するため、最初の部分積分だけは各単位区間で行う。二回目以降は連続なB~n\widetilde B_nを用いることができる。

3 Euler–Maclaurin の和公式

定理 3.1 (Euler–Maclaurin の和公式).a<ba<bを整数、mmを正の整数とし、f:[a,b]→Cf:[a,b]\to\mathbb Cは2m2m回連続微分可能であるとする。このとき

∑j=abf(j)=∫abf(x) dx+f(a)+f(b)2+∑r=1mB2r(2r)!(f(2r−1)(b)−f(2r−1)(a))+Rm(f;a,b),\begin{aligned} \sum_{j=a}^{b}f(j) ={}&\int_{a}^{b}f(x)\,dx+\frac{f(a)+f(b)}{2}\\ &+\sum_{r=1}^{m}\frac{B_{2r}}{(2r)!} \left(f^{(2r-1)}(b)-f^{(2r-1)}(a)\right)+R_m(f;a,b), \end{aligned}

ただし

Rm(f;a,b)=−1(2m)!∫abB~2m(x)f(2m)(x) dxR_m(f;a,b) =-\frac{1}{(2m)!}\int_{a}^{b}\widetilde B_{2m}(x)f^{(2m)}(x)\,dx

である。とくに

∣Rm(f;a,b)∣≤C2m(2m)!∫ab∣f(2m)(x)∣ dx|R_m(f;a,b)| \le\frac{C_{2m}}{(2m)!}\int_{a}^{b}|f^{(2m)}(x)|\,dx

が成り立つ。

証明. 整数jjがa≤j<ba\le j<bを満たすとする。区間[j,j+1][j,j+1]の内部ではB~1(x)=x−j−12\widetilde B_1(x)=x-j-\tfrac12であるから、実部と虚部へ通常の部分積分を適用すると

∫jj+1B~1(x)f′(x) dx=f(j+1)+f(j)2−∫jj+1f(x) dx\int_j^{j+1}\widetilde B_1(x)f'(x)\,dx =\frac{f(j+1)+f(j)}{2}-\int_j^{j+1}f(x)\,dx

である。j=a,…,b−1j=a,\ldots,b-1について加えると

∑j=abf(j)=∫abf(x) dx+f(a)+f(b)2+∫abB~1(x)f′(x) dx(1)\sum_{j=a}^{b}f(j) =\int_a^b f(x)\,dx+\frac{f(a)+f(b)}2 +\int_a^b\widetilde B_1(x)f'(x)\,dx \tag{1}

を得る。

補題 2.2によりB~2\widetilde B_2は連続であり、各単位区間の内部でB~2′=2B~1\widetilde B_2'=2\widetilde B_1を満たす。したがって各単位区間で部分積分して加えると、中間の整数における境界項は連続性によって相殺し、

∫abB~1f′=B22!(f′(b)−f′(a))−12!∫abB~2f′′(2)\int_a^b\widetilde B_1 f' =\frac{B_2}{2!}\bigl(f'(b)-f'(a)\bigr) -\frac1{2!}\int_a^b\widetilde B_2 f'' \tag{2}

である。

一般に、1≤r<m1\le r<mとする。B2r+1=0B_{2r+1}=0(補題 1.2)であるからB~2r+1\widetilde B_{2r+1}は両端で00となり、

−1(2r)!∫abB~2rf(2r)=1(2r+1)!∫abB~2r+1f(2r+1)-\frac1{(2r)!}\int_a^b\widetilde B_{2r}f^{(2r)} =\frac1{(2r+1)!}\int_a^b\widetilde B_{2r+1}f^{(2r+1)}

である。次にB~2r+2\widetilde B_{2r+2}を用いて部分積分すると

1(2r+1)!∫abB~2r+1f(2r+1)=B2r+2(2r+2)!(f(2r+1)(b)−f(2r+1)(a))−1(2r+2)!∫abB~2r+2f(2r+2)\frac1{(2r+1)!}\int_a^b\widetilde B_{2r+1}f^{(2r+1)} =\frac{B_{2r+2}}{(2r+2)!} \bigl(f^{(2r+1)}(b)-f^{(2r+1)}(a)\bigr) -\frac1{(2r+2)!}\int_a^b\widetilde B_{2r+2}f^{(2r+2)}

となる。式 (2) からこの操作をm−1m-1回繰り返し、式 (1) へ代入すると主張の等式を得る。

剰余項の評価は補題 2.2の∣B~2m∣≤C2m|\widetilde B_{2m}|\le C_{2m}と積分の三角不等式から従う。▨

注意 3.2 (剰余項を残す意味).定理 3.1は無限級数についての主張ではない。正の整数mmを一つ固定した有限の等式であり、打切り後の差を積分RmR_mが正確に表している。mmを増やすときに右辺の有限和が収束するとは限らない。漸近展開へ適用するときは、mmを固定して剰余積分を別に評価する必要がある。

補題 3.3. 非負整数kkについて

∫0∞t2k+1e2πt−1 dt=∣B2k+2∣4k+4\int_{0}^{\infty}\frac{t^{2k+1}}{e^{2\pi t}-1}\,dt=\frac{|B_{2k+2}|}{4k+4}

が成り立つ。

証明.λ>0\lambda>0とs>0s>0について、§E4.15 定義 1.1の積分でt=u/λt=u/\lambdaと置換すると∫0∞ts−1e−λtdt=Γ(s)/λs\int_{0}^{\infty}t^{s-1}e^{-\lambda t}dt=\Gamma(s)/\lambda^{s}である。s=2k+2s=2k+2とすると∫0∞t2k+1e−2πmtdt=(2k+1)!(2πm)2k+2\int_{0}^{\infty}t^{2k+1}e^{-2\pi mt}dt=\dfrac{(2k+1)!}{(2\pi m)^{2k+2}}である。

t>0t>0と正の整数MMについて、等比数列の有限和により

∑m=1Me−2πmt=1−e−2πMte2πt−1\sum_{m=1}^{M}e^{-2\pi mt}=\frac{1-e^{-2\pi Mt}}{e^{2\pi t}-1}

であるから

∫0∞t2k+1e2πt−1 dt−∑m=1M(2k+1)!(2πm)2k+2=∫0∞t2k+1e−2πMte2πt−1 dt\int_{0}^{\infty}\frac{t^{2k+1}}{e^{2\pi t}-1}\,dt-\sum_{m=1}^{M}\frac{(2k+1)!}{(2\pi m)^{2k+2}} =\int_{0}^{\infty}\frac{t^{2k+1}e^{-2\pi Mt}}{e^{2\pi t}-1}\,dt

である。§E5.21 補題 1.3 (1)によりe2πt−1≥2πte^{2\pi t}-1\ge2\pi tであるから右辺は12π∫0∞t2ke−2πMtdt=(2k)!2π(2πM)2k+1\frac{1}{2\pi}\int_{0}^{\infty}t^{2k}e^{-2\pi Mt}dt=\frac{(2k)!}{2\pi(2\pi M)^{2k+1}}以下であり、M→∞M\to\inftyで00へ収束する。ゆえに

∫0∞t2k+1e2πt−1 dt=(2k+1)!(2π)2k+2∑n≥11n2k+2\int_{0}^{\infty}\frac{t^{2k+1}}{e^{2\pi t}-1}\,dt =\frac{(2k+1)!}{(2\pi)^{2k+2}}\sum_{n\ge1}\frac{1}{n^{2k+2}}

である。補題 1.2をm=k+1m=k+1として用いると、右辺は

(2k+1)!(2π)2k+2⋅(−1)k(2π)2k+2B2k+22 (2k+2)!=(−1)kB2k+22(2k+2)=∣B2k+2∣4k+4\frac{(2k+1)!}{(2\pi)^{2k+2}}\cdot\frac{(-1)^{k}(2\pi)^{2k+2}B_{2k+2}}{2\,(2k+2)!} =\frac{(-1)^{k}B_{2k+2}}{2(2k+2)}=\frac{|B_{2k+2}|}{4k+4}

である。最後の等号では(−1)kB2k+2=∣B2k+2∣(-1)^{k}B_{2k+2}=|B_{2k+2}|(同じ補題)を用いた。▨

4 演習

問題 4.1.

  • 定義 1.1は母関数を∣w∣<2π|w|<2\piの上でだけ定めている。この半径がどこから来るのかを、ew−1e^{w}-1の零点の位置に照らして述べる。
  • 補題 1.2の証明が§E5.20 補題 2.2のどの評価を用いて境界積分を00へ収束させたかを、正方形の周長と∣w∣−2m|w|^{-2m}の次数を含めて説明する。
  • 補題 3.3の証明では、項ごとの積分を無条件には行わず、部分和との差を明示的に評価した。この評価がないと何が保証されないかを述べる。
  • 補題 2.2でn≥2n\ge2という条件を付けた理由を、B1(1)−B1(0)B_1(1)-B_1(0)の値と周期化した関数の整数点における左右の極限を用いて説明する。
  • 定理 3.1の一回目の部分積分を単位区間ごとに行う理由と、二回目以降の境界項が中間の整数で相殺する理由を、それぞれ述べる。
  • 注意 3.2に従い、有限項の恒等式と無限級数の収束に関する主張の違いを説明する。

参考文献

  1. E. T. Whittaker and G. N. Watson, A Course of Modern Analysis, 5th ed., Cambridge University Press, 2021.Bernoulli 数、Bernoulli 多項式、および Euler–Maclaurin の和公式を参考にした。
  2. Konrad Knopp, Theory and Application of Infinite Series, translated by R. C. H. Young, 2 (English) ed., Dover Publications, 1990, originally published 1951.Bernoulli 数、偶数乗の逆数の総和、および Euler–Maclaurin の和公式を参考にした。
  3. National Institute of Standards and Technology, NIST Digital Library of Mathematical Functions.Bernoulli 多項式と周期 Bernoulli 関数の定義(§24.2)と、積分形の剰余項をもつ Euler–Maclaurin の和公式((2.10.1))を参考にした。

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