1 定義と収束
定義 1.1.s>0に対して
Γ(s)=∫0∞xs−1e−xdxと定め、この関数をGamma 関数 (Gamma function) という。右辺は、二つの端点を分けた広義積分
ε↓0lim∫ε1xs−1e−xdx+R↑∞lim∫1Rxs−1e−xdxを表す。
命題 1.2. すべてのs>0について Gamma 積分は収束する。
証明.0<ε<1とする。0<x≤1では
0≤xs−1e−x≤xs−1であるから、
0≤∫ε1xs−1e−xdx≤∫ε1xs−1dx=s1−εs≤s1となる。左辺はε↓0のとき単調非減少であり、上に有界であるため有限の極限をもつ。従って零点側の積分は収束する。
x≥1では、整数N≥max{0,s−1}を選ぶ。このときxs−1≤xNである。関数xNe−x/2は[1,∞)上で有界なので、あるC>0が存在して
xs−1e−x≤xNe−x≤Ce−x/2.実際、N=0の場合は明らかであり、N≥1の場合には
dxd(xNe−x/2)=xN−1e−x/2(N−2x)であるから、xNe−x/2はx=2Nを越えると減少する。右辺Ce−x/2の広義積分は収束するため、§D1.20 定理 3.1により無限遠側の積分も収束する。▨
2 局所一様収束と連続性
証明. 零点側を変数変換によって半無限積分へ移し、二つの端点に共通の優関数を与えて局所一様収束を示した後、パラメータ積分の連続性定理を適用する。
任意のコンパクト部分集合はある閉区間K=[α,β]⊂(0,∞)に含まれるため、このK上の一様収束と連続性を示せば十分である。零点側ではx=1/uと置くと
∫01xs−1e−xdx=∫1∞u−s−1e−1/uduである。u≥1、s∈Kに対して
0≤u−s−1e−1/u≤u−α−1であり、∫1∞u−α−1du=1/αである。従って§D1.26 定理 1.3により、零点側を変数変換した広義積分はK上一様に収束する。
x≥1では整数N≥max{0,β−1}を選ぶと、あるCN>0に対して
0≤xs−1e−x≤xNe−x≤CNe−x/2をs∈Kについて一様に得る。最後の評価は前命題の導関数による評価と同じである。∫1∞CNe−x/2dx<∞であるから、同じ一様収束判定により無限遠側の広義積分もK上一様に収束する。従って Gamma 積分はK上局所一様に収束する。
連続性を示すため、§D1.26 定理 1.4を、
g0(u,s)=u−s−1e−1/u,g∞(x,s)=xs−1e−xが定める二つの半無限積分へ適用する。各s∈Kについてg0(⋅,s)とg∞(⋅,s)は[1,∞)上連続であり、両積分のK上一様収束は直前に示した。また、任意のA>1についてg0,g∞はコンパクト集合[1,A]×K上で連続である。§E2.9 定理 5.1により同集合上で一様連続であるから、パラメータについての連続性は積分変数について一様である。従って連続性定理の三仮定が二つの積分でそれぞれ満たされ、両積分はK上連続である。その和であるΓもK上連続である。
さらに、xs−1e−x>0であり、たとえば[1,2]上の積分が正であるからΓ(s)>0である。Kは任意であるため、結論を得る。▨
3 関数方程式
命題 3.1.s>0に対して
Γ(s+1)=sΓ(s)が成り立つ。特に整数n≥0についてΓ(n+1)=n!である。
証明.0<ε<Rで部分積分を行うと
∫εRxse−xdx=[−xse−x]εR+s∫εRxs−1e−xdx.Rse−R→0は、前節と同じ導関数による評価をsより大きい整数冪へ適用すると従う。εse−ε→0はs>0から従う。ε↓0、R↑∞とすると関数方程式を得る。Γ(1)=∫0∞e−xdx=1なので、帰納法によりΓ(n+1)=n!である。▨
4 二分の一における値
命題 4.1.
Γ(21)=πである。
証明.0<ε<Rでx=u2と置換すると
∫εRx−1/2e−xdx=2∫εRe−u2du.両端の極限をとると
Γ(21)=2∫0∞e−u2du.変数変換公式の適用例§E4.14 例 3.2では、有界な正方形と円板の増大列により
∫−∞∞e−u2du=πを証明している。被積分関数は偶関数なので半直線上の積分はπ/2であり、主張が従う。▨
例 4.2 (半整数における値). 関数方程式を繰り返すと
Γ(25)=23Γ(23)=23⋅21Γ(21)=43πを得る。各等式では引数が正なので、命題 3.1の仮定を満たす。
5 演習
解答.
0<x<εではe−x≥e−εであるから、任意のs>0について
Eε(s)≥e−ε∫0εxs−1dx=e−εsεs.s↓0のとき右辺は正の無限大へ発散する。従って、固定した各0<ε<1についてsups>0Eε(s)=∞であり、ε↓0としても全パラメータに共通な切り捨て評価は得られない。
一方、s∈[α,β]⊂(0,∞)ならばs≥α>0である。この下限によって零点側をxα−1で一様に抑えることができるため、局所一様収束は成立する。したがって、コンパクト区間への制限はs=0に近づくと増大する零点側の特異性を除く役割を持つ。▨