§E4.15Gamma 関数

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正の数ssに対して

∫0∞xs−1e−x dx\int_0^\infty x^{s-1}e^{-x}\,dx

を考える。被積分関数はx=0x=0の近くでは冪xs−1x^{s-1}によって振る舞い、無限遠では指数関数e−xe^{-x}によって減衰する。従って、この広義積分の収束は二つの端点で別々に調べる必要がある。さらにssを動かすと零点側の特異性の強さも変わるため、各ssについて積分が収束することだけでは、積分値がssに関して連続に変化することは保証されない。

この積分が定める Gamma 関数では、パラメータを正の半直線のコンパクト区間へ制限すると、二つの端点に共通の収束評価を与えることができる。本記事では、その評価から局所一様収束と連続性を導き、引数を一つずらす関数方程式を証明する。また、Gauss 積分との対応から二分の一における値を求める。

1 定義と収束

定義 1.1.s>0s>0に対して

Γ(s)=∫0∞xs−1e−x dx\Gamma(s)=\int_0^\infty x^{s-1}e^{-x}\,dx

と定め、この関数をGamma 関数 (Gamma function) という。右辺は、二つの端点を分けた広義積分

lim⁡ε↓0∫ε1xs−1e−x dx+lim⁡R↑∞∫1Rxs−1e−x dx\lim_{\varepsilon\downarrow0}\int_\varepsilon^1x^{s-1}e^{-x}\,dx +\lim_{R\uparrow\infty}\int_1^Rx^{s-1}e^{-x}\,dx

を表す。

命題 1.2. すべてのs>0s>0について Gamma 積分は収束する。

証明.0<ε<10<\varepsilon<1とする。0<x≤10<x\le1では

0≤xs−1e−x≤xs−10\le x^{s-1}e^{-x}\le x^{s-1}

であるから、

0≤∫ε1xs−1e−x dx≤∫ε1xs−1 dx=1−εss≤1s0\le\int_\varepsilon^1x^{s-1}e^{-x}\,dx \le\int_\varepsilon^1x^{s-1}\,dx =\frac{1-\varepsilon^s}{s} \le\frac1s

となる。左辺はε↓0\varepsilon\downarrow0のとき単調非減少であり、上に有界であるため有限の極限をもつ。従って零点側の積分は収束する。

x≥1x\ge1では、整数N≥max⁡{0,s−1}N\ge\max\{0,s-1\}を選ぶ。このときxs−1≤xNx^{s-1}\le x^Nである。関数xNe−x/2x^Ne^{-x/2}は[1,∞)[1,\infty)上で有界なので、あるC>0C>0が存在して

xs−1e−x≤xNe−x≤Ce−x/2.x^{s-1}e^{-x}\le x^Ne^{-x}\le Ce^{-x/2}.

実際、N=0N=0の場合は明らかであり、N≥1N\ge1の場合には

ddx(xNe−x/2)=xN−1e−x/2(N−x2)\frac{d}{dx}\left(x^Ne^{-x/2}\right) =x^{N-1}e^{-x/2}\left(N-\frac{x}{2}\right)

であるから、xNe−x/2x^Ne^{-x/2}はx=2Nx=2Nを越えると減少する。右辺Ce−x/2Ce^{-x/2}の広義積分は収束するため、§D1.20 定理 3.1により無限遠側の積分も収束する。▨

2 局所一様収束と連続性

定理 2.1. Gamma 積分はs∈(0,∞)s\in(0,\infty)の各コンパクト部分集合上で局所一様に収束する。従ってΓ:(0,∞)→(0,∞)\Gamma:(0,\infty)\to(0,\infty)は連続である。

証明. 零点側を変数変換によって半無限積分へ移し、二つの端点に共通の優関数を与えて局所一様収束を示した後、パラメータ積分の連続性定理を適用する。

任意のコンパクト部分集合はある閉区間K=[α,β]⊂(0,∞)K=[\alpha,\beta]\subset(0,\infty)に含まれるため、このKK上の一様収束と連続性を示せば十分である。零点側ではx=1/ux=1/uと置くと

∫01xs−1e−x dx=∫1∞u−s−1e−1/u du\int_0^1x^{s-1}e^{-x}\,dx =\int_1^\infty u^{-s-1}e^{-1/u}\,du

である。u≥1u\ge1、s∈Ks\in Kに対して

0≤u−s−1e−1/u≤u−α−10\le u^{-s-1}e^{-1/u}\le u^{-\alpha-1}

であり、∫1∞u−α−1 du=1/α\int_1^\infty u^{-\alpha-1}\,du=1/\alphaである。従って§D1.26 定理 1.3により、零点側を変数変換した広義積分はKK上一様に収束する。

x≥1x\ge1では整数N≥max⁡{0,β−1}N\ge\max\{0,\beta-1\}を選ぶと、あるCN>0C_N>0に対して

0≤xs−1e−x≤xNe−x≤CNe−x/20\le x^{s-1}e^{-x}\le x^Ne^{-x}\le C_Ne^{-x/2}

をs∈Ks\in Kについて一様に得る。最後の評価は前命題の導関数による評価と同じである。∫1∞CNe−x/2 dx<∞\int_1^\infty C_Ne^{-x/2}\,dx<\inftyであるから、同じ一様収束判定により無限遠側の広義積分もKK上一様に収束する。従って Gamma 積分はKK上局所一様に収束する。

連続性を示すため、§D1.26 定理 1.4を、

g0(u,s)=u−s−1e−1/u,g∞(x,s)=xs−1e−xg_0(u,s)=u^{-s-1}e^{-1/u},\qquad g_\infty(x,s)=x^{s-1}e^{-x}

が定める二つの半無限積分へ適用する。各s∈Ks\in Kについてg0(⋅,s)g_0(\mathord\cdot,s)とg∞(⋅,s)g_\infty(\mathord\cdot,s)は[1,∞)[1,\infty)上連続であり、両積分のKK上一様収束は直前に示した。また、任意のA>1A>1についてg0,g∞g_0,g_\inftyはコンパクト集合[1,A]×K[1,A]\times K上で連続である。§E2.9 定理 5.1により同集合上で一様連続であるから、パラメータについての連続性は積分変数について一様である。従って連続性定理の三仮定が二つの積分でそれぞれ満たされ、両積分はKK上連続である。その和であるΓ\GammaもKK上連続である。

さらに、xs−1e−x>0x^{s-1}e^{-x}>0であり、たとえば[1,2][1,2]上の積分が正であるからΓ(s)>0\Gamma(s)>0である。KKは任意であるため、結論を得る。▨

3 関数方程式

命題 3.1.s>0s>0に対して

Γ(s+1)=sΓ(s)\Gamma(s+1)=s\Gamma(s)

が成り立つ。特に整数n≥0n\ge0についてΓ(n+1)=n!\Gamma(n+1)=n!である。

証明.0<ε<R0<\varepsilon<Rで部分積分を行うと

∫εRxse−x dx=[−xse−x]εR+s∫εRxs−1e−x dx.\int_\varepsilon^Rx^se^{-x}\,dx =\bigl[-x^se^{-x}\bigr]_\varepsilon^R +s\int_\varepsilon^Rx^{s-1}e^{-x}\,dx.

Rse−R→0R^se^{-R}\to0は、前節と同じ導関数による評価をssより大きい整数冪へ適用すると従う。εse−ε→0\varepsilon^se^{-\varepsilon}\to0はs>0s>0から従う。ε↓0\varepsilon\downarrow0、R↑∞R\uparrow\inftyとすると関数方程式を得る。Γ(1)=∫0∞e−x dx=1\Gamma(1)=\int_0^\infty e^{-x}\,dx=1なので、帰納法によりΓ(n+1)=n!\Gamma(n+1)=n!である。▨

4 二分の一における値

命題 4.1.

Γ(12)=π\Gamma\left(\frac12\right)=\sqrt\pi

である。

証明.0<ε<R0<\varepsilon<Rでx=u2x=u^2と置換すると

∫εRx−1/2e−x dx=2∫εRe−u2 du.\int_\varepsilon^R x^{-1/2}e^{-x}\,dx =2\int_{\sqrt\varepsilon}^{\sqrt R}e^{-u^2}\,du.

両端の極限をとると

Γ(12)=2∫0∞e−u2 du.\Gamma\left(\frac12\right) =2\int_0^\infty e^{-u^2}\,du.

変数変換公式の適用例§E4.14 例 3.2では、有界な正方形と円板の増大列により

∫−∞∞e−u2 du=π\int_{-\infty}^{\infty}e^{-u^2}\,du=\sqrt\pi

を証明している。被積分関数は偶関数なので半直線上の積分はπ/2\sqrt\pi/2であり、主張が従う。▨

例 4.2 (半整数における値). 関数方程式を繰り返すと

Γ(52)=32Γ(32)=32⋅12Γ(12)=3π4\Gamma\left(\frac52\right) =\frac32\Gamma\left(\frac32\right) =\frac32\cdot\frac12\Gamma\left(\frac12\right) =\frac{3\sqrt\pi}{4}

を得る。各等式では引数が正なので、命題 3.1の仮定を満たす。

5 演習

問題 5.1 (正の半直線全体では一様収束しないこと).0<ε<10<\varepsilon<1とする。零点側の切り捨て誤差

Eε(s)=∫0εxs−1e−x dxE_\varepsilon(s)=\int_0^\varepsilon x^{s-1}e^{-x}\,dx

がs∈(0,∞)s\in(0,\infty)について一様には零へ収束しないことを証明せよ。この事実と、定理 2.1でパラメータをコンパクト区間へ制限したこととの関係を説明せよ。

解答.

0<x<ε0<x<\varepsilonではe−x≥e−εe^{-x}\ge e^{-\varepsilon}であるから、任意のs>0s>0について

Eε(s)≥e−ε∫0εxs−1 dx=e−εεss.E_\varepsilon(s) \ge e^{-\varepsilon}\int_0^\varepsilon x^{s-1}\,dx =e^{-\varepsilon}\frac{\varepsilon^s}{s}.

s↓0s\downarrow0のとき右辺は正の無限大へ発散する。従って、固定した各0<ε<10<\varepsilon<1についてsup⁡s>0Eε(s)=∞\sup_{s>0}E_\varepsilon(s)=\inftyであり、ε↓0\varepsilon\downarrow0としても全パラメータに共通な切り捨て評価は得られない。

一方、s∈[α,β]⊂(0,∞)s\in[\alpha,\beta]\subset(0,\infty)ならばs≥α>0s\ge\alpha>0である。この下限によって零点側をxα−1x^{\alpha-1}で一様に抑えることができるため、局所一様収束は成立する。したがって、コンパクト区間への制限はs=0s=0に近づくと増大する零点側の特異性を除く役割を持つ。▨

参考文献

  1. Emil Artin, The Gamma Function, translated by Michael Butler, Dover Publications, 2015, originally published 1964.Gamma 積分の収束、関数方程式、二分の一における値を参考にした。
  2. Tom M. Apostol, Mathematical Analysis, 2nd ed., Addison-Wesley, 1974.パラメータを含む広義積分の局所一様収束を参考にした。

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