§A5.21射影・複比の実戦

最終更新

射影幾何を競技問題へ使うときは、長さや角度を直接追うのではなく、射影変換で保たれる複比・調和性へ翻訳します。複比の定義と一般的な不変性は 複比とその射影不変性 で確認できます。

1 調和四点

同一直線上の4点A,B,C,DA,B,C,Dに対して、複比を

(A,B;C,D)=(c−a)(d−b)(c−b)(d−a)(A,B;C,D)=\frac{(c-a)(d-b)}{(c-b)(d-a)}

で定めます(有限座標a,b,c,da,b,c,dを使い、分母はc≠bc\ne bかつd≠ad\ne aとします)。この値が−1-1のとき、C,DC,DはA,BA,Bに関して調和共役です。点の順序を変えると値も変わるため、記号の順序を省略しません。

2 実戦の流れ

  1. 問題の4点・2本の割線を見つける。
  2. 有向比を複比へまとめる。
  3. 射影変換で計算しやすい配置へ送る。
  4. 不変な複比の等式だけを元の配置へ戻す。

「図が同じに見える」と言うだけでは不十分です。どの量が不変かを式で書き、座標変換後の数値を元の長さと取り違えないようにします。

3 例:調和共役の座標計算

A=0,B=1,C=2A=0,B=1,C=2に対してD=dD=dが調和共役なら

(2−0)(d−1)(2−1)(d−0)=−1.\frac{(2-0)(d-1)}{(2-1)(d-0)}=-1.

したがって2(d−1)=−d2(d-1)=-d、d=2/3d=2/3です。この計算は、任意の配置でも複比が同じであることを使うための基準になります。

3.1 実戦問題と解答

直線上の相異なる点A,B,C,DA,B,C,Dが(A,B;C,D)=−1(A,B;C,D)=-1を満たすとします。射影変換でA=0,B=1,C=2A=0,B=1,C=2としても複比は変わらないので、上の計算から、元の配置でもDDはA,BA,Bに関するCCの調和共役です。戻すのは座標値2/32/3ではなく、複比の等式である点に注意します。

4 演習

  1. A=0,B=1,C=tA=0,B=1,C=tに対する調和共役点DDの座標を求めよ。
  2. 4点の順序を2つ入れ替えたとき、複比がどの値へ変わるか確認せよ。
  3. ある幾何条件を有向比で記述し、複比不変性で簡単な配置へ送る方法を設計せよ。

前提記事