§E9.9Riemann 積分と Lebesgue 積分

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Riemann 積分は定義域の区間を細分して関数値を上下から評価し、Lebesgue 積分は値を測ることができる集合を通して関数を評価する。有界閉区間上の連続関数では両積分の値が一致するが、たとえば[0,1][0,1]上で有理数に11、無理数に00を割り当てる Dirichlet 関数は、Lebesgue 可積分である一方、Riemann 可積分ではない。

この相違は、単に不連続点が存在するかどうかだけでは説明することができない。不連続点がどれほど大きな集合をなすかを Lebesgue 測度で評価すると、有界関数が Riemann 可積分であるための必要十分条件が得られる。この判定条件は、Riemann 積分と Lebesgue 積分の共通範囲を明確にする最も基本的な結果の一つである。

有界閉区間上で Riemann 可積分な関数は Lebesgue 可積分であり、二つの積分値は一致する。一方、無限区間における広義 Riemann 積分では正負の寄与の相殺が起こるため、収束だけから Lebesgue 可積分性は従わない。

本記事では、不連続点集合による可積分性の判定を通して、Riemann 積分と Lebesgue 積分の関係を解説する。

1 点における振動と不連続点集合

以下ではI=[a,b]I=[a,b]とおく。区間の端点でも片側からの連続性を同じ定義で扱うため、点の近傍をIIとの共通部分として取る。

定義 1.1.a<ba<bとし、有界関数f:I→Rf:I\to\mathbb{R}をとる。空でない集合E⊆IE\subseteq Iにおけるffの区間振動 (interval oscillation) を

osc⁡(f;E)=sup⁡y∈Ef(y)−inf⁡y∈Ef(y)\operatorname{osc}(f;E) =\sup_{y\in E}f(y)-\inf_{y\in E}f(y)

によって定める。点x∈Ix\in Iにおけるffの振動 (pointwise oscillation) を

ωf(x)=inf⁡r>0osc⁡(f;I∩(x−r,x+r))\omega_f(x) =\inf_{r>0} \operatorname{osc}\bigl(f;I\cap(x-r,x+r)\bigr)

によって定める。

ε>0\varepsilon>0に対して

Dε(f)={x∈I∣ωf(x)≥ε}D_\varepsilon(f) =\{x\in I\mid \omega_f(x)\geq\varepsilon\}

と書き、ffの不連続点全体をD(f)D(f)と書く。

点における振動が00であることは、その点における連続性と同値である。この同値性により、不連続点集合を閉集合の可算和として表すことができる。

補題 1.2.a<ba<bとし、有界関数f:I→Rf:I\to\mathbb{R}をとる。このとき、次の性質が成り立つ。

  1. x∈Ix\in Iに対して、ffがxxでIIに相対的に連続であることとωf(x)=0\omega_f(x)=0であることは同値である。
  2. 任意のε>0\varepsilon>0に対して、Dε(f)D_\varepsilon(f)はIIの閉集合である。とくに、Dε(f)D_\varepsilon(f)はコンパクトである。
  3. 不連続点集合は D(f)=⋃m=1∞D1/m(f)D(f)=\bigcup_{m=1}^{\infty}D_{1/m}(f) と表される。したがって、D(f)D(f)は Borel 集合である。

証明.(1)を示す。ffがxxで連続であると仮定する。任意のη>0\eta>0に対して、あるr>0r>0が存在し、y∈Iy\in Iかつ∣y−x∣<r|y-x|<rならば

∣f(y)−f(x)∣<η2|f(y)-f(x)|<\frac{\eta}{2}

が成り立つ。この近傍内の任意の二点y,zy,zに対して∣f(y)−f(z)∣<η|f(y)-f(z)|<\etaであるから、

osc⁡(f;I∩(x−r,x+r))≤η.\operatorname{osc}\bigl(f;I\cap(x-r,x+r)\bigr)\leq\eta.

η>0\eta>0は任意であるため、ωf(x)=0\omega_f(x)=0である。

反対に、ωf(x)=0\omega_f(x)=0と仮定する。任意のη>0\eta>0に対して、振動の下限の定義から、あるr>0r>0が存在して

osc⁡(f;I∩(x−r,x+r))<η\operatorname{osc}\bigl(f;I\cap(x-r,x+r)\bigr)<\eta

を満たす。y∈Iy\in Iかつ∣y−x∣<r|y-x|<rならば、xxとyyは同じ集合I∩(x−r,x+r)I\cap(x-r,x+r)に属するため、

∣f(y)−f(x)∣≤osc⁡(f;I∩(x−r,x+r))<η.|f(y)-f(x)| \leq\operatorname{osc}\bigl(f;I\cap(x-r,x+r)\bigr) <\eta.

したがって、ffはxxで連続である。

(2)を示す。x∈I∖Dε(f)x\in I\setminus D_\varepsilon(f)とすると、ωf(x)<ε\omega_f(x)<\varepsilonである。したがって、あるr>0r>0が存在して

osc⁡(f;I∩(x−r,x+r))<ε\operatorname{osc}\bigl(f;I\cap(x-r,x+r)\bigr)<\varepsilon

を満たす。y∈Iy\in Iかつ∣y−x∣<r/2|y-x|<r/2とする。

s=r2−∣y−x∣>0s=\frac{r}{2}-|y-x|>0

とおけば

I∩(y−s,y+s)⊆I∩(x−r,x+r)I\cap(y-s,y+s)\subseteq I\cap(x-r,x+r)

である。ゆえに、

ωf(y)≤osc⁡(f;I∩(y−s,y+s))<ε.\omega_f(y) \leq\operatorname{osc}\bigl(f;I\cap(y-s,y+s)\bigr) <\varepsilon.

したがって、I∖Dε(f)I\setminus D_\varepsilon(f)はIIの相対位相で開いており、Dε(f)D_\varepsilon(f)はIIの閉集合である。IIはコンパクトであるため、Dε(f)D_\varepsilon(f)もコンパクトである。

(3)を示す。(1)から、

D(f)={x∈I∣ωf(x)>0}D(f)=\{x\in I\mid\omega_f(x)>0\}

である。正の実数ωf(x)\omega_f(x)に対して1/m≤ωf(x)1/m\leq\omega_f(x)を満たす正の整数mmが存在する。したがって、

{x∈I∣ωf(x)>0}=⋃m=1∞{x∈I∣ωf(x)≥1/m}.\{x\in I\mid\omega_f(x)>0\} =\bigcup_{m=1}^{\infty}\{x\in I\mid\omega_f(x)\geq1/m\}.

各集合D1/m(f)D_{1/m}(f)は閉集合であるから、D(f)D(f)は Borel 集合である。▨

区間の端点と分割点を後の被覆評価から落とさないため、一次元 Lebesgue 測度の基本的な値を確認する。

補題 1.3. 従属選択公理を仮定する。実数u<vu<vに対して

λ([u,v])=v−u\lambda([u,v])=v-u

である。また、実数の有限集合は Lebesgue 外測度00をもつ。

証明.§E9.4 定理 3.4によりλ((u,v])=v−u\lambda((u,v])=v-uである。任意のδ>0\delta>0に対して一点集合{u}\{u\}は半開区間(u−δ,u](u-\delta,u]に含まれるため、§E9.4 定義 3.1から

0≤λ∗({u})≤δ0\leq\lambda^*(\{u\})\leq\delta

である。δ>0\delta>0は任意であるから、λ({u})=0\lambda(\{u\})=0である。したがって、互いに交わらない和

[u,v]={u}⊔(u,v][u,v]=\{u\}\mathbin{\sqcup}(u,v]

からλ([u,v])=v−u\lambda([u,v])=v-uを得る。有限集合の外測度が00であることは、一点集合に対する結果と外測度の有限劣加法性から従う。▨

2 Lebesgue の Riemann 可積分判定条件

分割

P:a=x0<x1<⋯<xn=bP:\quad a=x_0<x_1<\cdots<x_n=b

に対してJi=[xi−1,xi]J_i=[x_{i-1},x_i]とおく。各小区間の振動を

αi=osc⁡(f;Ji)\alpha_i=\operatorname{osc}(f;J_i)

と書けば、Darboux 上和と下和の差は各小区間の振動を長さで重み付けした和になる。

補題 2.1.a<ba<bとし、有界関数f:I→Rf:I\to\mathbb{R}とIIの分割PPをとる。このとき、

U(f,P)−L(f,P)=∑i=1nαi(xi−xi−1)U(f,P)-L(f,P) =\sum_{i=1}^{n}\alpha_i(x_i-x_{i-1})

が成り立つ。

証明.Mi=sup⁡JifM_i=\sup_{J_i}fおよびmi=inf⁡Jifm_i=\inf_{J_i}fとおくと、αi=Mi−mi\alpha_i=M_i-m_iである。Darboux 上和と下和の定義から、

U(f,P)−L(f,P)=∑i=1n(Mi−mi)(xi−xi−1)=∑i=1nαi(xi−xi−1)\begin{aligned} U(f,P)-L(f,P) &=\sum_{i=1}^{n}(M_i-m_i)(x_i-x_{i-1})\\ &=\sum_{i=1}^{n}\alpha_i(x_i-x_{i-1}) \end{aligned}

を得る。▨

定理 2.2 (Lebesgue の Riemann 可積分判定条件). 従属選択公理を仮定する。a<ba<bとし、有界関数f:[a,b]→Rf:[a,b]\to\mathbb{R}をとる。このとき、次の二条件は同値である。

  1. ffは[a,b][a,b]上で Riemann 可積分である。
  2. 不連続点集合D(f)D(f)は Lebesgue 測度00をもつ。

証明.(1)⇒\Rightarrow(2)を示す。第一の条件を仮定する。ε>0\varepsilon>0を固定し、Dε(f)D_\varepsilon(f)の Lebesgue 外測度が00であることを示す。任意のη>0\eta>0に対して、§D1.17 定理 2.4により、ある分割

P:a=x0<x1<⋯<xn=bP:\quad a=x_0<x_1<\cdots<x_n=b

が存在して

U(f,P)−L(f,P)<εηU(f,P)-L(f,P)<\varepsilon\eta

を満たす。Ji=[xi−1,xi]J_i=[x_{i-1},x_i]とし、

B={i∈{1,…,n}∣(xi−1,xi)∩Dε(f)≠∅}B=\{i\in\{1,\dots,n\}\mid (x_{i-1},x_i)\cap D_\varepsilon(f)\neq\emptyset\}

とおく。

i∈Bi\in Bならば、あるx∈(xi−1,xi)∩Dε(f)x\in(x_{i-1},x_i)\cap D_\varepsilon(f)が存在する。十分小さいr>0r>0に対して

I∩(x−r,x+r)⊆JiI\cap(x-r,x+r)\subseteq J_i

であるため、

αi=osc⁡(f;Ji)≥ωf(x)≥ε.\alpha_i=\operatorname{osc}(f;J_i)\geq\omega_f(x)\geq\varepsilon.

したがって、補題 2.1から

ε∑i∈B(xi−xi−1)≤U(f,P)−L(f,P)<εη\varepsilon\sum_{i\in B}(x_i-x_{i-1}) \leq U(f,P)-L(f,P) <\varepsilon\eta

を得る。ゆえに、

∑i∈B(xi−xi−1)<η.\sum_{i\in B}(x_i-x_{i-1})<\eta.

Dε(f)D_\varepsilon(f)のうち、分割点でない点は、あるi∈Bi\in Bに対するJiJ_iに属する。したがって、

Dε(f)⊆{x0,…,xn}∪⋃i∈BJi.D_\varepsilon(f) \subseteq \{x_0,\dots,x_n\}\cup\bigcup_{i\in B}J_i.

補題 1.3と外測度の有限劣加法性から、

λ∗(Dε(f))≤∑i∈B(xi−xi−1)<η.\lambda^*(D_\varepsilon(f)) \leq\sum_{i\in B}(x_i-x_{i-1}) <\eta.

η>0\eta>0は任意であるため、λ∗(Dε(f))=0\lambda^*(D_\varepsilon(f))=0である。補題 1.2から

D(f)=⋃m=1∞D1/m(f)D(f)=\bigcup_{m=1}^{\infty}D_{1/m}(f)

である。Lebesgue 外測度の可算劣加法性によりλ(D(f))=0\lambda(D(f))=0を得る。

(2)⇒\Rightarrow(1)を示す。第二の条件を仮定する。任意のη>0\eta>0に対してU(f,P)−L(f,P)<ηU(f,P)-L(f,P)<\etaを満たす分割PPを構成する。∣f(x)∣≤M|f(x)|\leq Mがすべてのx∈Ix\in Iについて成り立つようにM≥0M\geq0をとる。M=0M=0ならばf=0f=0であり、任意の分割について Darboux 上和と下和がともに00になる。以下ではM>0M>0と仮定し、

γ=η2(b−a)\gamma=\frac{\eta}{2(b-a)}

とおく。

補題 1.2によりDγ(f)⊆D(f)D_\gamma(f)\subseteq D(f)であるからλ(Dγ(f))=0\lambda(D_\gamma(f))=0である。§E9.4 定理 6.2により、Dγ(f)⊆GD_\gamma(f)\subseteq Gを満たす実数直線上の開集合GGで

λ(G)<η4M\lambda(G)<\frac{\eta}{4M}

となるものが存在する。

次のIIの相対開集合族をとる。

U={G∩I}∪{V⊆I∣V≠∅, V は I の相対開集合であり、osc⁡(f;V)<γ}.\mathcal{U} =\{G\cap I\} \cup \{V\subseteq I\mid V\neq\emptyset,\ V\text{ は }I\text{ の相対開集合であり、} \operatorname{osc}(f;V)<\gamma\}.

x∈I∖Gx\in I\setminus Gならばx∉Dγ(f)x\notin D_\gamma(f)である。したがって、あるr>0r>0に対してV=I∩(x−r,x+r)V=I\cap(x-r,x+r)はx∈Vx\in Vとosc⁡(f;V)<γ\operatorname{osc}(f;V)<\gammaを満たす。G∩I∈UG\cap I\in\mathcal{U}であり、前段によりI∖GI\setminus Gの各点もU\mathcal{U}のいずれかの元に属するため、U\mathcal{U}はIIの開被覆である。

従属選択公理は§E1.20 定理 4.6により可算選択公理を含む。また、§E2.9 定理 3.1により、コンパクト距離空間IIは点列コンパクトである。したがって、可算選択公理を仮定する§E2.9 補題 2.3をIIに適用することができ、開被覆U\mathcal{U}は正の Lebesgue 数δ\deltaをもつ。幅がすべてδ\delta未満である分割

P:a=t0<t1<⋯<tN=bP:\quad a=t_0<t_1<\cdots<t_N=b

をとり、Ji=[ti−1,ti]J_i=[t_{i-1},t_i]とおく。各JiJ_iは直径がδ\delta未満であるため、開被覆U\mathcal{U}の少なくとも一つの集合に含まれる。

B={i∈{1,…,N}∣Ji⊆G}B=\{i\in\{1,\dots,N\}\mid J_i\subseteq G\}

とおく。i∉Bi\notin BならばJiJ_iはGGに含まれないため、JiJ_iを含むU\mathcal{U}の元はG∩IG\cap Iではない。したがって、

osc⁡(f;Ji)<γ(i∉B).\operatorname{osc}(f;J_i)<\gamma \qquad(i\notin B).

一方、∣f∣≤M|f|\leq Mから

osc⁡(f;Ji)≤2M(i∈B)\operatorname{osc}(f;J_i)\leq2M \qquad(i\in B)

である。

半開区間(ti−1,ti](t_{i-1},t_i]はiiについて互いに交わらず、i∈Bi\in Bならば(ti−1,ti]⊆G(t_{i-1},t_i]\subseteq Gである。補題 1.3と測度の可算加法性および単調性から、

∑i∈B(ti−ti−1)=λ(⋃i∈B(ti−1,ti])≤λ(G).\sum_{i\in B}(t_i-t_{i-1}) =\lambda\left(\bigcup_{i\in B}(t_{i-1},t_i]\right) \leq\lambda(G).

ゆえに、補題 2.1から

U(f,P)−L(f,P)=∑i∉Bosc⁡(f;Ji)(ti−ti−1)+∑i∈Bosc⁡(f;Ji)(ti−ti−1)<γ(b−a)+2Mλ(G)<η2+η2=η.\begin{aligned} U(f,P)-L(f,P) &=\sum_{i\notin B}\operatorname{osc}(f;J_i)(t_i-t_{i-1}) +\sum_{i\in B}\operatorname{osc}(f;J_i)(t_i-t_{i-1})\\ &<\gamma(b-a)+2M\lambda(G)\\ &<\frac{\eta}{2}+\frac{\eta}{2} =\eta. \end{aligned}

§D1.17 定理 2.4により、ffは Riemann 可積分である。▨

3 Dirichlet 関数による比較

例 3.1 (Dirichlet 関数の Lebesgue 積分). 従属選択公理を仮定する。関数D:[0,1]→RD:[0,1]\to\Rを

D=1Q∩[0,1]D=\mathbf{1}_{\Q\cap[0,1]}

によって定める。この関数は Riemann 可積分ではないが、完備 Lebesgue 測度に関して可測かつ可積分であり、

∫[0,1]D dλ=0\int_{[0,1]}D\,d\lambda=0

である。

証明. Riemann 非可積分性は§D1.18 例 3.1で Darboux 上和と下和を用いて証明されている。

§E1.18 定理 4.1 (2)によりQ∩[0,1]\Q\cap[0,1]は高々可算である。一点集合は Borel 集合であり、その Lebesgue 測度は補題 1.3により00である。したがってQ∩[0,1]\Q\cap[0,1]は一点集合の可算和として Borel 集合であり、測度の可算劣加法性§E9.2 命題 2.1により

λ(Q∩[0,1])=0\lambda(\Q\cap[0,1])=0

である。したがってQ∩[0,1]\Q\cap[0,1]は Lebesgue 可測な零集合であり、§E9.6 例 4.3からDDは非負可測関数で、その積分は00である。とくに∫[0,1]∣D∣ dλ=0<∞\int_{[0,1]}|D|\,d\lambda=0<\inftyであるから、DDは Lebesgue 可積分である。▨

4 Riemann 可積分関数の Lebesgue 可測性

判定条件からD(f)D(f)が零集合であることを得ても、ffの零集合上の値が Borel 可測であるとは限らない。完備 Lebesgue 測度は、Borel 零集合の任意の部分集合を可測集合として含むため、この問題を処理することができる。

命題 4.1. 従属選択公理を仮定する。a<ba<bとし、有界関数f:[a,b]→Rf:[a,b]\to\mathbb{R}が Riemann 可積分であると仮定する。このとき、ffは完備 Lebesgue 測度に関して可測であり、Lebesgue 可積分である。

証明.定理 2.2により、D=D(f)D=D(f)は Borel 零集合である。C=I∖DC=I\setminus Dとおく。補題 1.2により、ffはCCの各点でIIに相対的に連続である。したがって、制限写像

f∣C:C⟶Rf|_C:C\longrightarrow\mathbb{R}

は連続である。

O⊆RO\subseteq\mathbb{R}を任意の開集合とする。(f∣C)−1(O)(f|_C)^{-1}(O)はCCの相対位相で開いているため、あるIIの相対開集合UUが存在して

(f∣C)−1(O)=C∩U(f|_C)^{-1}(O)=C\cap U

を満たす。集合C∩UC\cap UはIIの Borel 集合である。一方、

D∩f−1(O)⊆DD\cap f^{-1}(O)\subseteq D

である。§E9.4 定理 4.2により、Borel 零集合DDの任意の部分集合は Lebesgue 可測である。とくに、D∩f−1(O)D\cap f^{-1}(O)は、その集合が Borel 集合であるかどうかにかかわらず Lebesgue 可測である。したがって、

f−1(O)=(C∩U)∪(D∩f−1(O))f^{-1}(O) =(C\cap U)\cup(D\cap f^{-1}(O))

は Lebesgue 可測である。実数直線の Borel 集合族は開集合から生成されるため、ffは可測である。

∣f∣≤M|f|\leq Mを満たす有限なM≥0M\geq0をとる。∣f∣|f|と定数関数MMは非負可測関数であり、§E9.6 命題 2.2から

∫I∣f∣ dλ≤∫IM dλ=Mλ(I)=M(b−a)<∞.\int_I|f|\,d\lambda \leq\int_I M\,d\lambda =M\lambda(I) =M(b-a)<\infty.

§E9.6 定義 3.1により、ffは Lebesgue 可積分である。▨

5 二つの積分値の一致

命題 5.1. 従属選択公理を仮定する。a<ba<bとし、有界関数f:[a,b]→Rf:[a,b]\to\mathbb{R}が Riemann 可積分であると仮定する。IRI_Rをffの Riemann 積分値とする。このとき、

∫If dλ=IR\int_I f\,d\lambda=I_R

が成り立つ。

証明.命題 4.1により、ffは Lebesgue 可積分である。任意のε>0\varepsilon>0に対して、§D1.17 定理 2.4によりU(f,P)−L(f,P)<εU(f,P)-L(f,P)<\varepsilonを満たす分割

a=t0<t1<⋯<tn=ba=t_0<t_1<\cdots<t_n=b

をとる。

Ji=[ti−1,ti],mi=inf⁡Jif,Mi=sup⁡JifJ_i=[t_{i-1},t_i], \qquad m_i=\inf_{J_i}f, \qquad M_i=\sup_{J_i}f

とおく。互いに交わらない Borel 集合

E1=[t0,t1],Ei=(ti−1,ti](2≤i≤n)E_1=[t_0,t_1], \qquad E_i=(t_{i-1},t_i] \quad(2\leq i\leq n)

はIIを分割する。可積分な実数値単関数

ℓ=∑i=1nmi1Ei,u=∑i=1nMi1Ei\ell=\sum_{i=1}^n m_i\mathbf{1}_{E_i}, \qquad u=\sum_{i=1}^n M_i\mathbf{1}_{E_i}

を定めると、ℓ≤f≤u\ell\leq f\leq uである。各EiE_iの測度はti−ti−1t_i-t_{i-1}であるから、単関数の積分と正負部分による積分の定義から

∫Iℓ dλ=L(f,P),∫Iu dλ=U(f,P)\int_I\ell\,d\lambda=L(f,P), \qquad \int_Iu\,d\lambda=U(f,P)

を得る。§E9.6 命題 3.3により、

L(f,P)≤∫If dλ≤U(f,P).L(f,P)\leq\int_I f\,d\lambda\leq U(f,P).

Riemann 積分値もL(f,P)≤IR≤U(f,P)L(f,P)\leq I_R\leq U(f,P)を満たすため、

∣∫If dλ−IR∣≤U(f,P)−L(f,P)<ε.\left|\int_I f\,d\lambda-I_R\right| \leq U(f,P)-L(f,P)<\varepsilon.

ε>0\varepsilon>0は任意であるから、∫If dλ=IR\int_I f\,d\lambda=I_Rである。▨

前二命題をまとめると、既存の比較定理を完全な形で得る。

系 5.2. 従属選択公理を仮定する。a<ba<bとし、有界関数f:[a,b]→Rf:[a,b]\to\mathbb{R}が Riemann 可積分であると仮定する。このとき、ffは完備 Lebesgue 測度に関して可測かつ可積分であり、

∫[a,b]f dλ=∫abf(x) dx\int_{[a,b]} f\,d\lambda =\int_a^b f(x)\,dx

が成り立つ。

証明. Lebesgue 可測性と可積分性は命題 4.1から従う。積分値の一致は命題 5.1から従う。▨

6 条件収束する広義 Riemann 積分との違い

有限閉区間上では系 5.2が二つの積分を結び付ける。一方、半直線上の Lebesgue 可積分性は、有限区間上の積分値が極限をもつことだけではなく、絶対値の積分が有限であることを要求する。

命題 6.1. 従属選択公理を仮定する。関数

h(x)={sin⁡xx,x>0,1,x=0(x∈[0,∞))h(x)= \begin{cases} \dfrac{\sin x}{x},&x>0,\\ 1,&x=0 \end{cases} \qquad(x\in[0,\infty))

をとる。このとき、

∫0∞h(x) dx\int_0^\infty h(x)\,dx

は広義 Riemann 積分として収束する。一方、

∫[0,∞)∣h∣ dλ=∞.\int_{[0,\infty)}|h|\,d\lambda=\infty.

したがって、この広義 Riemann 積分は条件収束し、hhは[0,∞)[0,\infty)上で Lebesgue 可積分でない。

証明.§B1.12 定理 2.1により

lim⁡x→0sin⁡xx=1\lim_{x\to0}\frac{\sin x}{x}=1

であるから、hhは[0,1][0,1]上で連続である。したがって、§D1.17 定理 2.5と系 5.2により

∫01h(x) dx=∫[0,1]h dλ∈R\int_0^1 h(x)\,dx =\int_{[0,1]}h\,d\lambda \in\mathbb{R}

である。また、

∫1∞sin⁡xx dx\int_1^\infty\frac{\sin x}{x}\,dx

が広義 Riemann 積分として収束することは§D1.20 例 4.1で証明されている。R>1R>1に対して

∫0Rh(x) dx=∫01h(x) dx+∫1Rsin⁡xx dx\int_0^R h(x)\,dx =\int_0^1h(x)\,dx+\int_1^R\frac{\sin x}{x}\,dx

であるため、R→∞R\to\inftyとすると

∫0∞h(x) dx=∫01h(x) dx+∫1∞sin⁡xx dx\int_0^\infty h(x)\,dx =\int_0^1h(x)\,dx+\int_1^\infty\frac{\sin x}{x}\,dx

が収束する。

X=[0,∞)X=[0,\infty)とし、各正の整数nnに対してgn=∣h∣1[0,n]g_n=|h|\mathbf{1}_{[0,n]}とおく。関数gng_nはXX上の非負可測関数であり、gn↑∣h∣g_n\uparrow|h|が各点で成り立つ。§E9.7 定理 1.1と、連続関数∣h∣|h|に対する系 5.2により、

∫X∣h∣ dλ=lim⁡n→∞∫Xgn dλ=lim⁡n→∞∫0n∣h(x)∣ dx.\int_X|h|\,d\lambda =\lim_{n\to\infty}\int_Xg_n\,d\lambda =\lim_{n\to\infty}\int_0^n|h(x)|\,dx.

∫01∣h(x)∣ dx\int_0^1|h(x)|\,dxは有限であり、§D1.20 例 4.1により∫1∞∣sin⁡x∣/x dx=∞\int_1^\infty |\sin x|/x\,dx=\inftyである。したがって、∫X∣h∣ dλ=∞\int_X|h|\,d\lambda=\inftyであり、hhは Lebesgue 可積分でない。広義 Riemann 積分は収束する一方、絶対値の広義積分は発散するため、∫0∞h(x) dx\int_0^\infty h(x)\,dxは条件収束する。▨

同じ式によってhhを実数直線全体へ連続に延長しても、[1,∞)[1,\infty)上の絶対値の積分は変わらない。したがって、この連続延長も実数直線上で Lebesgue 可積分でない。

7 演習

問題 7.1.

  1. 補題 1.2の証明を用いずに、点列によってDε(f)D_\varepsilon(f)が閉集合であることを証明せよ。区間の端点では相対位相を用いることを明示せよ。
  2. 定理 2.2の必要条件の証明で、分割点を被覆へ加えなければならない理由を説明せよ。さらに、Darboux 和の差からDε(f)D_\varepsilon(f)の外測度が00になる評価を再構成せよ。
  3. 定理 2.2の十分条件の証明で、零集合Dγ(f)D_\gamma(f)、開集合GG、振動がγ\gamma未満である相対開集合、および Lebesgue 数が担う役割を説明し、U(f,P)−L(f,P)<ηU(f,P)-L(f,P)<\etaを導け。この証明にDγ(f)D_\gamma(f)のコンパクト性が必要かどうかも答えよ。
  4. 命題 4.1の証明で、完備 Lebesgue 測度が必要になる集合を特定せよ。 Borel 集合族の閉性だけでは、その集合の可測性を証明することができない理由を説明せよ。
解答.
  1. xn∈Dε(f)x_n\in D_\varepsilon(f)かつxn→x∈Ix_n\to x\in Iとする。任意のr>0r>0に対して、あるnnは∣xn−x∣<r/2|x_n-x|<r/2を満たす。相対開集合 I∩(xn−r/2,xn+r/2)⊆I∩(x−r,x+r)I\cap(x_n-r/2,x_n+r/2) \subseteq I\cap(x-r,x+r) を得る。ωf(xn)≥ε\omega_f(x_n)\geq\varepsilonであるから、左辺における振動はε\varepsilon以上である。したがって右辺における振動もε\varepsilon以上である。これはすべてのr>0r>0について成り立つため、ωf(x)≥ε\omega_f(x)\geq\varepsilon、すなわちx∈Dε(f)x\in D_\varepsilon(f)である。ここではすべての近傍をIIとの共通部分として取り、端点における収束もIIの相対位相で扱っている。したがって、Dε(f)D_\varepsilon(f)は収束列の極限を含み、IIの閉集合である。
  2. 分割点xix_iにおける振動がε\varepsilon以上であっても、左右の開小区間の一方だけにおける振動がε\varepsilon以上になるとは限らない。したがって、内部でDε(f)D_\varepsilon(f)と交わる小区間だけでは分割点を覆い切れない。主証明の集合BBに対して ε∑i∈B(xi−xi−1)≤U(f,P)−L(f,P)<εη\varepsilon\sum_{i\in B}(x_i-x_{i-1}) \leq U(f,P)-L(f,P)<\varepsilon\eta であるから、BBに属する小区間の全長はη\eta未満である。これらの小区間に有限集合{x0,…,xn}\{x_0,\ldots,x_n\}を加えるとDε(f)D_\varepsilon(f)を覆う。有限集合の外測度は00であるため、λ∗(Dε(f))<η\lambda^*(D_\varepsilon(f))<\etaを得る。η>0\eta>0は任意であるから外測度は00である。
  3. Dγ(f)D_\gamma(f)が零集合であることにより、これを含み、測度がη/(4M)\eta/(4M)未満である開集合GGを取ることができる。I∖GI\setminus Gの各点は、振動がγ\gamma未満である相対開近傍に属する。そこでG∩IG\cap Iと、振動がγ\gamma未満であるすべての相対開集合を合わせるとIIの開被覆になる。Lebesgue 数より細かい分割を取れば、各小区間はGGに含まれるか、振動がγ\gamma未満である被覆要素に含まれる。前者の小区間の全長はλ(G)\lambda(G)以下であり、後者の全長はb−ab-a以下であるから、 U(f,P)−L(f,P)<2Mλ(G)+γ(b−a)<η2+η2=η.U(f,P)-L(f,P) <2M\lambda(G)+\gamma(b-a) <\frac{\eta}{2}+\frac{\eta}{2} =\eta. この開被覆を直接用いる証明では、Dγ(f)D_\gamma(f)のコンパクト性を使わない。
  4. 完備性を適用する集合はD(f)∩f−1(O)D(f)\cap f^{-1}(O)である。ここでO⊆RO\subseteq\Rは任意の開集合である。定理 2.2と補題 1.2はD(f)D(f)が Borel 零集合であることを与えるが、ffのD(f)D(f)上の値を制限しない。したがってf−1(O)f^{-1}(O)の Borel 可測性も、D(f)∩f−1(O)D(f)\cap f^{-1}(O)の Borel 可測性も、この時点では得られていない。Borel 集合族の閉性は、すでに Borel 集合である集合どうしの演算にしか適用することができない。完備化の性質により、D(f)∩f−1(O)⊆D(f)D(f)\cap f^{-1}(O)\subseteq D(f)から同集合の Lebesgue 可測性を得る。

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参考文献

  1. Gerald B. Folland, Real Analysis, 2nd ed., Wiley, 1999.
  2. H. L. Royden and P. M. Fitzpatrick, Real Analysis, 4th ed., Pearson, Boston, 2010.

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