§E12.17単位化と一点コンパクト化

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実数直線R\mathbb Rに無限遠点を一つ付け加えると円周S1S^1が得られ、R\mathbb RはS1S^1の稠密な開部分空間として埋め込まれる。しかしR\mathbb Rの上で無限遠において消える連続関数の環C0(R)C_0(\mathbb R)は単位元をもたず、定数関数11を単位元とするS1S^1上の連続関数の環C(S1)C(S^1)とは、そのままでは同じ代数的構造をもたない。

単位元をもたない C* 環へ単位元を代数的に添加する単位化という構成を行うと、C0(R)C_0(\mathbb R)の単位化はC(S1)C(S^1)と等長 *-同型になる。単位化は、単位元をもたない場合の主張を単位的な場合へ帰着させる手段として C* 環の理論で繰り返し用いられる。一般に非コンパクトな局所コンパクト Hausdorff 空間の一点コンパクト化についても同じ現象が起こり、空間の側で無限遠に一点を加える操作と、関数環の側で単位元を添加する操作とが対応する。この対応を単位化の構成とあわせて解説する。

1 単位化

定義 1.1. C* 環AAに対して、集合としてA+:=A⊕CA^+:=A\oplus\mathbb Cとし、演算を

(a,λ)(b,μ):=(ab+λb+μa, λμ),(a,λ)∗:=(a∗,λ‾)(a,b∈A, λ,μ∈C)(a,\lambda)(b,\mu):=(ab+\lambda b+\mu a,\ \lambda\mu), \qquad (a,\lambda)^*:=(a^*,\overline\lambda) \qquad(a,b\in A,\ \lambda,\mu\in\mathbb C)

で定める。AAを通常の演算のままa↦(a,0)a\mapsto(a,0)によってA+A^+の部分集合とみなす。(0,1)(0,1)を、以下では単に11と書く。AAが単位元をもたない場合、このA+A^+をAAの単位化 (unitization) という。

注意 1.2. C* 環AAがea=ae=aea=ae=a(a∈Aa\in A)を満たす元eeをもつとする。eeが単位元であることからe∗e=e∗e^*e=e^*であり、§E12.15 定義 1.2の C* 恒等式と§E12.15 補題 1.4により

∥e∥2=∥e∗e∥=∥e∗∥=∥e∥\|e\|^2=\|e^*e\|=\|e^*\|=\|e\|

であるから∥e∥∈{0,1}\|e\|\in\{0,1\}である。∥e∥=0\|e\|=0となるのはe=0e=0のときに限り、そのとき任意のa∈Aa\in Aについてa=ea=0a=ea=0であるからA={0}A=\{0\}である。逆にA={0}A=\{0\}では00がこの条件を満たす唯一の元であり、∥0∥=0≠1\|0\|=0\neq1であるから、零環は単位的ではない。

したがって C* 環は、単位的であるもの、零環{0}\{0\}、およびea=ae=aea=ae=aを満たす元を一つももたないものの三つに分かれる。本単元でAAが単位元をもたないと述べるときは第三の場合を指し、零環はここに含めない。

命題 1.3.AAを C* 環とする。定義 1.1の演算について、A+A^+は結合的な単位的複素多元環であり、1=(0,1)1=(0,1)がその単位元である。対合(a,λ)↦(a,λ)∗(a,\lambda)\mapsto(a,\lambda)^*は共役線形かつ対合的であり、((a,λ)(b,μ))∗=(b,μ)∗(a,λ)∗((a,\lambda)(b,\mu))^*=(b,\mu)^*(a,\lambda)^*を満たす。

証明. 和とスカラー倍はA⊕CA\oplus\mathbb Cの直和としての演算であり、分配律はAAの分配律から成分ごとに従う。結合律を確かめる。(a,λ),(b,μ),(c,ν)∈A+(a,\lambda),(b,\mu),(c,\nu)\in A^+に対して、両辺の第一成分を展開すると

((a,λ)(b,μ))(c,ν)=(ab+λb+μa,λμ)(c,ν)=(abc+λbc+μac+λμc+νab+νλb+νμa, λμν),((a,\lambda)(b,\mu))(c,\nu) =(ab+\lambda b+\mu a,\lambda\mu)(c,\nu) =(abc+\lambda bc+\mu ac+\lambda\mu c+\nu ab+\nu\lambda b+\nu\mu a,\ \lambda\mu\nu),(a,λ)((b,μ)(c,ν))=(a,λ)(bc+μc+νb,μν)=(abc+μac+νab+λbc+λμc+λνb+μνa, λμν)(a,\lambda)((b,\mu)(c,\nu)) =(a,\lambda)(bc+\mu c+\nu b,\mu\nu) =(abc+\mu ac+\nu ab+\lambda bc+\lambda\mu c+\lambda\nu b+\mu\nu a,\ \lambda\mu\nu)

であり、AAの加法の可換性から両辺の第一成分は一致する。第二成分はいずれもλμν\lambda\mu\nuである。よって結合律が成り立つ。

1=(0,1)1=(0,1)が単位元であることは

(a,λ)(0,1)=(a⋅0+λ⋅0+1⋅a, λ⋅1)=(a,λ),(0,1)(a,λ)=(0⋅a+1⋅a+λ⋅0, 1⋅λ)=(a,λ)(a,\lambda)(0,1)=(a\cdot0+\lambda\cdot0+1\cdot a,\ \lambda\cdot1)=(a,\lambda), \qquad (0,1)(a,\lambda)=(0\cdot a+1\cdot a+\lambda\cdot0,\ 1\cdot\lambda)=(a,\lambda)

から従う。

対合の共役線形性は成分ごとの共役線形性から従う。対合性は(a,λ)∗∗=(a∗∗,λ‾‾)=(a,λ)(a,\lambda)^{**}=(a^{**},\overline{\overline\lambda})=(a,\lambda)から従う。反乗法性は

((a,λ)(b,μ))∗=(ab+λb+μa,λμ)∗=((ab)∗+λ‾ b∗+μ‾ a∗, λ‾ μ‾)((a,\lambda)(b,\mu))^* =(ab+\lambda b+\mu a,\lambda\mu)^* =((ab)^*+\overline\lambda\,b^*+\overline\mu\,a^*,\ \overline\lambda\,\overline\mu)

であり、AAの対合の反乗法性(ab)∗=b∗a∗(ab)^*=b^*a^*(§E12.15 定義 1.1)を用いると、これは

=(b∗a∗+μ‾ a∗+λ‾ b∗, μ‾ λ‾)=(b∗,μ‾)(a∗,λ‾)=(b,μ)∗(a,λ)∗=(b^*a^*+\overline\mu\,a^*+\overline\lambda\,b^*,\ \overline\mu\,\overline\lambda) =(b^*,\overline\mu)(a^*,\overline\lambda) =(b,\mu)^*(a,\lambda)^*

に等しい。▨

命題 1.4.AAを C* 環とする。a↦(a,0)a\mapsto(a,0)によるAAの像はA+A^+の両側イデアルであり、写像π:A+→C\pi:A^+\to\mathbb C、π(a,λ):=λ\pi(a,\lambda):=\lambdaは全射な代数準同型であって、その核はちょうどこの像である。したがってA+/A≅CA^+/A\cong\mathbb Cである。

証明.(a,0)∈A×{0}(a,0)\in A\times\{0\}、(b,μ)∈A+(b,\mu)\in A^+とする。

(a,0)(b,μ)=(ab+μa, 0),(b,μ)(a,0)=(ba+μa, 0)(a,0)(b,\mu)=(ab+\mu a,\ 0), \qquad (b,\mu)(a,0)=(ba+\mu a,\ 0)

はいずれもA×{0}A\times\{0\}に属する。よってA×{0}A\times\{0\}は両側イデアルである。

π\piは明らかに全射な線形写像である。乗法性はπ((a,λ)(b,μ))=λμ=π(a,λ)π(b,μ)\pi((a,\lambda)(b,\mu))=\lambda\mu=\pi(a,\lambda)\pi(b,\mu)から従う。π(a,λ)=0\pi(a,\lambda)=0であることはλ=0\lambda=0であること、すなわち(a,λ)∈A×{0}(a,\lambda)\in A\times\{0\}であることと同値なので、π\piの核はA×{0}A\times\{0\}に等しい。π\piは代数として全射かつ核がA×{0}A\times\{0\}である準同型であるから、(a,λ)+A↦π(a,λ)=λ(a,\lambda)+A\mapsto\pi(a,\lambda)=\lambdaはA+/AA^+/AからC\mathbb Cへの代数としての同型を与える。▨

注意 1.5.AAが単位元をもたない C* 環であるとき、a∈Aa\in Aに対して

σA(a):=σA+(a)\sigma_A(a):=\sigma_{A^+}(a)

と定める。右辺は、単位元をもたない C* 環AAの単位化A+A^+(定義 1.1)に定理 2.2のノルムを入れたものにおけるaaのスペクトルである。AAが単位的であるときは、このA+A^+を作らず、AA自身におけるσA(a)\sigma_A(a)をそのまま用いる。

この規約のもとで0∈σA(a)0\in\sigma_A(a)が常に成り立つ。実際、−a∈A×{0}-a\in A\times\{0\}であり、A×{0}A\times\{0\}の元と任意の(c,ν)∈A+(c,\nu)\in A^+との積の第二成分は命題 1.4の計算により00であるから、−a-aと積をとって1=(0,1)1=(0,1)になる元は存在しない。したがって0⋅1−a=−a0\cdot1-a=-aはA+A^+で可逆でなく、0∈σA+(a)0\in\sigma_{A^+}(a)である。

2 C* ノルムの一意性

補題 2.1.AAを C* 環とし、e∈Ae\in Aが任意のb∈Ab\in Aに対してeb=beb=bを満たすとする。このときe=e∗e=e^*であり、eeはAAの単位元である。

証明.eb=beb=bでbbをb∗b^*に取り替えて両辺の対合をとると(eb∗)∗=(b∗)∗(eb^*)^*=(b^*)^*、すなわちbe∗=bbe^*=b(任意のb∈Ab\in A)を得る。とくにb=eb=eに対してee∗=eee^*=e、b=e∗b=e^*に対してee∗=e∗ee^*=e^*であるからe=e∗e=e^*である。したがってeeは左恒等元eb=beb=bと右恒等元be∗=be=bbe^*=be=bを同時に満たし、AAの単位元である。▨

定理 2.2.AAを単位元をもたない C* 環とする。A+A^+上に、AA上のノルムを延長しA+A^+を C* 環にするノルムが、ちょうど一つ存在する。

証明. 存在.x=(a,λ)∈A+x=(a,\lambda)\in A^+とb∈Ab\in Aに対してLx(b):=ab+λbL_x(b):=ab+\lambda bとおく。LxL_xはAA上の線形写像であり、∥Lx(b)∥≤(∥a∥+∣λ∣)∥b∥\|L_x(b)\|\le(\|a\|+|\lambda|)\|b\|なので有界である。x↦Lxx\mapsto L_xはA+A^+の加法とスカラー倍を保つ。x=(a,λ)x=(a,\lambda)、y=(b,μ)∈A+y=(b,\mu)\in A^+、c∈Ac\in Aに対して

Lxy(c)=(ab+λb+μa)c+λμc=a(bc+μc)+λ(bc+μc)=Lx(Ly(c))L_{xy}(c)=(ab+\lambda b+\mu a)c+\lambda\mu c =a(bc+\mu c)+\lambda(bc+\mu c) =L_x(L_y(c))

なのでLxy=LxLyL_{xy}=L_xL_yであり、L1L_1はAAの恒等作用素IIに等しい。

LLは単射である。Lx=0L_x=0、x=(a,λ)x=(a,\lambda)とする。b=a∗b=a^*を代入するとaa∗+λa∗=0aa^*+\lambda a^*=0である。

λ=0\lambda=0の場合、aa∗=0aa^*=0であり、§E12.15 補題 1.4と§E12.15 定義 1.2の C* 恒等式から∥a∥2=∥a∗∥2=∥(a∗)∗a∗∥=∥aa∗∥=0\|a\|^2=\|a^*\|^2=\|(a^*)^*a^*\|=\|aa^*\|=0なのでa=0a=0である。

λ≠0\lambda\neq0の場合、Lx=0L_x=0から任意のb∈Ab\in Aに対してab+λb=0ab+\lambda b=0であり、e:=−a/λe:=-a/\lambdaはeb=beb=bを満たす。補題 2.1によりeeはAAの単位元であり、これはAAが単位元をもたないという仮定に反する。したがってλ=0\lambda=0に帰着し、a=0a=0を得る。以上によりLLは単射である。

∥x∥:=∥Lx∥\|x\|:=\|L_x\|(右辺はB(A)B(A)の作用素ノルム)とおく。LLの線形性と単射性から∥⋅∥\|\cdot\|はA+A^+上のノルムである。Lxy=LxLyL_{xy}=L_xL_yと作用素ノルムの劣乗法性(§E12.2 命題 2.2)から∥xy∥≤∥x∥∥y∥\|xy\|\le\|x\|\|y\|である。零環{0}\{0\}は00を単位元にもつので、AAが単位元をもたないことからA≠{0}A\neq\{0\}であり、§E12.2 命題 1.2により∥1∥=∥L1∥=∥I∥=sup⁡∥b∥≤1∥b∥=1\|1\|=\|L_1\|=\|I\|=\sup_{\|b\|\le1}\|b\|=1である。したがってA+A^+は単位的である。

a∈Aa\in Aに対して∥La∥≤∥a∥\|L_a\|\le\|a\|は上の評価から従う。a≠0a\neq0のときb=a∗/∥a∥b=a^*/\|a\|とおくと∥b∥=1\|b\|=1であり

∥La(b)∥=∥aa∗∥∥a∥=∥a∥2∥a∥=∥a∥\|L_a(b)\|=\frac{\|aa^*\|}{\|a\|}=\frac{\|a\|^2}{\|a\|}=\|a\|

(§E12.15 定義 1.2、§E12.15 補題 1.4)なので∥La∥≥∥a∥\|L_a\|\ge\|a\|である。よって∥(a,0)∥=∥a∥\|(a,0)\|=\|a\|であり、∥⋅∥\|\cdot\|はAA上のノルムを延長する。

C* 恒等式を示す。x∈A+x\in A^+、b∈Ab\in A、∥b∥≤1\|b\|\le1とする。命題 1.4によりxb∈Axb\in Aであるから、§E12.15 定義 1.2の C* 恒等式により

∥xb∥2=∥(xb)∗(xb)∥=∥b∗(x∗x)b∥≤∥b∗∥ ∥(x∗x)b∥≤∥(x∗x)b∥≤∥Lx∗x∥.\|xb\|^2=\|(xb)^*(xb)\|=\|b^*(x^*x)b\| \le\|b^*\|\,\|(x^*x)b\|\le\|(x^*x)b\|\le\|L_{x^*x}\|.

bbについて上限をとると∥x∥2≤∥Lx∗x∥=∥x∗x∥\|x\|^2\le\|L_{x^*x}\|=\|x^*x\|を得る。

逆に、b∈Ab\in A、∥b∥≤1\|b\|\le1に対して∥(x∗x)b∥=∥x∗(xb)∥≤∥Lx∗∥ ∥xb∥≤∥Lx∗∥ ∥Lx∥ ∥b∥≤∥x∗∥ ∥x∥\|(x^*x)b\|=\|x^*(xb)\|\le\|L_{x^*}\|\,\|xb\|\le\|L_{x^*}\|\,\|L_x\|\,\|b\|\le\|x^*\|\,\|x\|であるから、∥x∗x∥≤∥x∗∥ ∥x∥\|x^*x\|\le\|x^*\|\,\|x\|である。x≠0x\neq0のとき、先の不等式∥x∥2≤∥x∗x∥\|x\|^2\le\|x^*x\|と合わせて∥x∥2≤∥x∗∥ ∥x∥\|x\|^2\le\|x^*\|\,\|x\|を得るので∥x∥≤∥x∗∥\|x\|\le\|x^*\|である。この不等式をx∗x^*に適用すると∥x∗∥≤∥x∗∗∥=∥x∥\|x^*\|\le\|x^{**}\|=\|x\|を得るので∥x∥=∥x∗∥\|x\|=\|x^*\|(x=0x=0のときも自明に成り立つ)。これを∥x∗x∥≤∥x∗∥ ∥x∥\|x^*x\|\le\|x^*\|\,\|x\|に代入すると∥x∗x∥≤∥x∥2\|x^*x\|\le\|x\|^2を得る。先の不等式と合わせて∥x∗x∥=∥x∥2\|x^*x\|=\|x\|^2である。

完備性を示す。AAは Banach 空間であるから§E12.2 定理 2.1によりB(A)B(A)は Banach 空間であり、a↦Laa\mapsto L_aはAAからの等長写像であるから、AAの完備性により像L(A)={La:a∈A}L(A)=\{L_a:a\in A\}はB(A)B(A)の完備な線形部分空間であり、§E12.1 命題 1.4 (2)によりB(A)B(A)で閉じている。I∈L(A)I\in L(A)と仮定すると、あるa∈Aa\in AがLa=IL_a=Iを満たし、任意のb∈Ab\in Aに対してab=bab=bとなる。補題 2.1によりaaはAAの単位元になり、矛盾する。よってI∉L(A)I\notin L(A)である。

L(A+)=L(A)+CIL(A^+)=L(A)+\mathbb CIがB(A)B(A)で閉じていることを示す。Tn=Lan+cnI→TT_n=L_{a_n}+c_nI\to T(an∈Aa_n\in A、cn∈Cc_n\in\mathbb C、B(A)B(A)の作用素ノルムで収束)とする。(cn)(c_n)が有界であることを示す。有界でなければ、部分列を取って∣cn∣→∞|c_n|\to\inftyとしてよい。(Tn)(T_n)は収束するので有界であり、Tn/cn→0T_n/c_n\to0である。Tn/cn=Lan/cn+IT_n/c_n=L_{a_n/c_n}+IであるからLan/cn→−IL_{a_n/c_n}\to-Iとなり、L(A)L(A)が閉であることから−I∈L(A)-I\in L(A)、したがってI∈L(A)I\in L(A)となって矛盾する。よって(cn)(c_n)は有界であり、有界な複素数列は収束する部分列をもつので、ある部分列がcnk→c∈Cc_{n_k}\to c\in\mathbb Cを満たす。このときLank=Tnk−cnkI→T−cIL_{a_{n_k}}=T_{n_k}-c_{n_k}I\to T-cIであり、L(A)L(A)が閉であることからT−cI=LaT-cI=L_aを満たすa∈Aa\in Aが存在する。したがってT=La+cI∈L(A+)T=L_a+cI\in L(A^+)である。

以上によりL(A+)L(A^+)はB(A)B(A)の閉部分空間であり、§E12.2 定理 2.1によるB(A)B(A)の完備性と§E12.1 命題 1.4 (1)からL(A+)L(A^+)も完備である。L:A+→L(A+)L:A^+\to L(A^+)は全単射であり、∥x∥\|x\|の定義から等長であるから、(A+,∥⋅∥)(A^+,\|\cdot\|)は完備である。以上により∥⋅∥\|\cdot\|はAA上のノルムを延長するA+A^+上の C* ノルムである。

一意性.A+A^+は命題 1.3により単位元をもつ複素 *-多元環であるから、§E12.15 系 3.2によりA+A^+を C* 環にするノルムは高々一つである。上で構成した∥⋅∥\|\cdot\|はこの条件を満たし、AA上のノルムを延長する。▨

補題 2.3.AAを単位元をもたない C* 環とし、A+A^+に定理 2.2のノルムを入れる。このときa↦(a,0)a\mapsto(a,0)はAAからA+A^+への等長な *-準同型(§E12.15 定義 1.5)であり、その像A×{0}A\times\{0\}はA+A^+の閉部分空間である。

証明.a,b∈Aa,b\in Aとλ∈C\lambda\in\mathbb Cに対して、定義 1.1の演算により

(a,0)+λ(b,0)=(a+λb, 0),(a,0)(b,0)=(ab, 0),(a,0)∗=(a∗, 0)(a,0)+\lambda(b,0)=(a+\lambda b,\ 0), \qquad (a,0)(b,0)=(ab,\ 0), \qquad (a,0)^*=(a^*,\ 0)

であるから、a↦(a,0)a\mapsto(a,0)は線形かつ乗法的であり、対合を保つ。定理 2.2のノルムはAA上のノルムを延長するから∥(a,0)∥=∥a∥\|(a,0)\|=\|a\|であり、この写像は等長である。AAは完備であるから、この等長な像A×{0}A\times\{0\}はA+A^+の完備な線形部分空間であり、§E12.1 命題 1.4 (2)によりA+A^+で閉じている。▨

3 一点コンパクト化との対応

補題 3.1.XXを非コンパクトな局所コンパクト Hausdorff 空間とし、αX\alpha Xをその一点コンパクト化とする。f∈C0(X)f\in C_0(X)に対してf+:αX→Cf^+:\alpha X\to\mathbb Cをf+∣X:=ff^+|_X:=f、f+(∞):=0f^+(\infty):=0で定める。このときf+∈C(αX)f^+\in C(\alpha X)であり、∥f+∥∞=∥f∥∞\|f^+\|_\infty=\|f\|_\infty(一様ノルム)である。F∈C(αX)F\in C(\alpha X)かつF(∞)=0F(\infty)=0ならば、F=f+F=f^+を満たすf∈C0(X)f\in C_0(X)がただ一つ存在する。写像f↦f+f\mapsto f^+は線形、乗法的であり、対合を保つ。

証明.XXは§E2.24 命題 2.2 (1)によりαX\alpha Xの開部分空間であり、その部分空間位相はもとの位相に一致するから、f+f^+はXXの各点で連続である。

∞\inftyにおける連続性を示す。ε>0\varepsilon>0とする。§E12.16 定義 1.1によりK:={x∈X:∣f(x)∣≥ε}K:=\{x\in X:|f(x)|\ge\varepsilon\}はXXのコンパクト部分集合である。§E2.24 定義 2.1によりU:=αX∖KU:=\alpha X\setminus Kは∞\inftyを含むαX\alpha Xの開集合であり、x∈U∩Xx\in U\cap Xならばx∉Kx\notin Kすなわち∣f+(x)∣<ε|f^+(x)|<\varepsilonである。f+(∞)=0f^+(\infty)=0なのでx∈Ux\in Uならば∣f+(x)−f+(∞)∣<ε|f^+(x)-f^+(\infty)|<\varepsilonである。したがってf+f^+は∞\inftyで連続であり、f+∈C(αX)f^+\in C(\alpha X)である。

∥f+∥∞=sup⁡αX∣f+∣=max⁡(sup⁡X∣f∣, ∣f+(∞)∣)=sup⁡X∣f∣=∥f∥∞\|f^+\|_\infty=\sup_{\alpha X}|f^+|=\max\left(\sup_X|f|,\ |f^+(\infty)|\right)=\sup_X|f|=\|f\|_\inftyである。

F∈C(αX)F\in C(\alpha X)、F(∞)=0F(\infty)=0とする。f:=F∣Xf:=F|_Xは連続でありf+=Ff^+=Fである。f∈C0(X)f\in C_0(X)を示す。ε>0\varepsilon>0とする。{y∈αX:∣F(y)∣≥ε}\{y\in\alpha X:|F(y)|\ge\varepsilon\}はFFによる閉集合{μ∈C:∣μ∣≥ε}\{\mu\in\mathbb C:|\mu|\ge\varepsilon\}の逆像なのでαX\alpha Xの閉集合である。§E2.24 命題 2.2 (3)によりαX\alpha Xはコンパクトであるから、§E2.19 命題 4.1によりこの集合はコンパクトである。F(∞)=0<εF(\infty)=0<\varepsilonなのでこの集合は∞\inftyを含まず、XXに含まれる。XXの部分空間位相はαX\alpha Xのそれと一致するので、この集合はXXのコンパクト部分集合でもある。これは{x∈X:∣f(x)∣≥ε}\{x\in X:|f(x)|\ge\varepsilon\}に等しいのでf∈C0(X)f\in C_0(X)である。f↦f+f\mapsto f^+が単射であることから一意性が従う。

f,g∈C0(X)f,g\in C_0(X)、c∈Cc\in\mathbb Cに対して、(f+cg)+=f++cg+(f+cg)^+=f^++cg^+は両辺をXXと∞\inftyで比較すれば分かる。乗法については、x∈Xx\in Xで(fg)+(x)=f(x)g(x)=f+(x)g+(x)(fg)^+(x)=f(x)g(x)=f^+(x)g^+(x)、∞\inftyで(fg)+(∞)=0=f+(∞)g+(∞)(fg)^+(\infty)=0=f^+(\infty)g^+(\infty)であるから(fg)+=f+g+(fg)^+=f^+g^+である。対合については、x∈Xx\in Xで(f‾)+(x)=f(x)‾=f+(x)‾(\overline f)^+(x)=\overline{f(x)}=\overline{f^+(x)}、∞\inftyで(f‾)+(∞)=0=f+(∞)‾(\overline f)^+(\infty)=0=\overline{f^+(\infty)}であるから(f‾)+=f+‾(\overline f)^+=\overline{f^+}である。▨

定理 3.2.XXを非コンパクトな局所コンパクト Hausdorff 空間とし、αX\alpha Xをその一点コンパクト化とする。写像

Φ:C0(X)+⟶C(αX),Φ(f,λ):=f++λ⋅1\Phi:C_0(X)^+\longrightarrow C(\alpha X), \qquad \Phi(f,\lambda):=f^++\lambda\cdot\mathbf1

(1\mathbf1はαX\alpha X上の定数関数11)は等長な *-同型である。

証明.§E12.16 定義 1.1、§E12.16 定理 1.6、§E12.16 定理 2.1によりC0(X)C_0(X)は可換 C* 環であり、§E12.16 命題 4.1とXXの非コンパクト性により単位元をもたないので、定義 1.1によりその単位化C0(X)+C_0(X)^+が定まる。αX\alpha Xは§E2.24 命題 2.2 (3)によりコンパクト Hausdorff 空間であり、§E2.24 例 5.1 (1)によりコンパクト空間は局所コンパクトである。∞∈αX\infty\in\alpha XであるからαX≠∅\alpha X\neq\emptysetであり、§E12.16 命題 4.1 (1)によりC(αX)=C0(αX)C(\alpha X)=C_0(\alpha X)は単位的可換 C* 環である。

Φ\Phiが線形であることはf↦f+f\mapsto f^+の線形性(補題 3.1)から従う。乗法性は、(f,λ),(g,μ)∈C0(X)+(f,\lambda),(g,\mu)\in C_0(X)^+に対して

Φ((f,λ)(g,μ))=Φ(fg+λg+μf,λμ)=(fg)++λg++μf++λμ1=f+g++λg++μf++λμ1=(f++λ1)(g++μ1)=Φ(f,λ)Φ(g,μ)\Phi((f,\lambda)(g,\mu)) =\Phi(fg+\lambda g+\mu f,\lambda\mu) =(fg)^++\lambda g^++\mu f^++\lambda\mu\mathbf1 =f^+g^++\lambda g^++\mu f^++\lambda\mu\mathbf1 =(f^++\lambda\mathbf1)(g^++\mu\mathbf1) =\Phi(f,\lambda)\Phi(g,\mu)

から従う(補題 3.1の乗法性(fg)+=f+g+(fg)^+=f^+g^+を用いた)。対合を保つことは、C0(X)C_0(X)の対合が複素共役であることから(f,λ)∗=(f‾,λ‾)(f,\lambda)^*=(\overline f,\overline\lambda)であり、

Φ((f,λ)∗)=(f‾)++λ‾1=f+‾+λ‾1=f++λ1‾=Φ(f,λ)∗\Phi((f,\lambda)^*)=(\overline f)^++\overline\lambda\mathbf1=\overline{f^+}+\overline\lambda\mathbf1=\overline{f^++\lambda\mathbf1}=\Phi(f,\lambda)^*

から従う。Φ(0,1)=0++1=1\Phi(0,1)=0^++\mathbf1=\mathbf1であり、1\mathbf1はC(αX)C(\alpha X)の単位元である。

単射性を示す。Φ(f,λ)=0\Phi(f,\lambda)=0とする。∞\inftyで評価するとf+(∞)+λ=λ=0f^+(\infty)+\lambda=\lambda=0であり、XXの各点で評価するとf(x)=0f(x)=0なのでf=0f=0である。

全射性を示す。F∈C(αX)F\in C(\alpha X)とし、λ:=F(∞)\lambda:=F(\infty)、G:=F−λ1G:=F-\lambda\mathbf1とおくとG(∞)=0G(\infty)=0である。補題 3.1によりG=f+G=f^+を満たすf∈C0(X)f\in C_0(X)が一意に存在し、Φ(f,λ)=f++λ1=G+λ1=F\Phi(f,\lambda)=f^++\lambda\mathbf1=G+\lambda\mathbf1=Fである。

以上によりΦ\Phiは全単射な単位的 *-代数の準同型である。∥(f,λ)∥′:=∥Φ(f,λ)∥∞\|(f,\lambda)\|':=\|\Phi(f,\lambda)\|_\inftyとおく。Φ\Phiが全単射な *-代数の準同型であり∥⋅∥∞\|\cdot\|_\inftyがC(αX)C(\alpha X)の C* ノルムであることから、劣乗法性・完備性・C* 恒等式はΦ\Phiを通じてそのまま∥⋅∥′\|\cdot\|'へ移り、∥⋅∥′\|\cdot\|'はC0(X)+C_0(X)^+上の C* ノルムである。λ=0\lambda=0のとき∥(f,0)∥′=∥f+∥∞=∥f∥∞\|(f,0)\|'=\|f^+\|_\infty=\|f\|_\infty(補題 3.1)であるから、∥⋅∥′\|\cdot\|'はC0(X)C_0(X)上のノルムを延長する。定理 2.2の一意性により∥⋅∥′\|\cdot\|'はC0(X)+C_0(X)^+上の定理 2.2のノルム∥⋅∥\|\cdot\|に等しい。したがって、任意の(f,λ)∈C0(X)+(f,\lambda)\in C_0(X)^+に対して

∥Φ(f,λ)∥∞=∥(f,λ)∥′=∥(f,λ)∥\|\Phi(f,\lambda)\|_\infty=\|(f,\lambda)\|'=\|(f,\lambda)\|

であり、Φ\Phiは等長である。▨

例 3.3 (R\mathbb Rの一点コンパクト化).X=RX=\mathbb Rに通常の位相を入れ、S1={(x,y)∈R2:x2+y2=1}S^1=\{(x,y)\in\mathbb R^2:x^2+y^2=1\}とする。写像

σ:R⟶S1∖{(0,1)},σ(t):=(2t1+t2, t2−1t2+1)\sigma:\mathbb R\longrightarrow S^1\setminus\{(0,1)\}, \qquad \sigma(t):=\left(\frac{2t}{1+t^2},\ \frac{t^2-1}{t^2+1}\right)

は同相写像である。実際、x2+y2=1x^2+y^2=1であることは[2t]2+[t2−1]2=(t2+1)2[2t]^2+[t^2-1]^2=(t^2+1)^2を確かめれば分かり、(x,y)∈S1∖{(0,1)}(x,y)\in S^1\setminus\{(0,1)\}(y≠1y\neq1)に対してt=x/(1−y)t=x/(1-y)とおくとσ(t)=(x,y)\sigma(t)=(x,y)となることが直接計算で確かめられる。σ\sigmaとその逆写像(x,y)↦x/(1−y)(x,y)\mapsto x/(1-y)はいずれも分母が零にならない有理式であるから連続であり、σ\sigmaは同相写像である。

§E2.15 定理 3.2と§E2.15 命題 1.5により{1}\{1\}はR\mathbb Rの閉集合であるから、S1S^1は連続写像(x,y)↦x2+y2(x,y)\mapsto x^2+y^2による{1}\{1\}の逆像として§E2.12 命題 1.6 (2)によりR2\mathbb R^2の閉集合であり、x2+y2=1x^2+y^2=1から有界であるので、§E2.9 定理 4.3によりコンパクトである。S1S^1にR2\mathbb R^2の Euclid 距離を制限すると§E2.1 命題 2.2により距離空間になり、§E2.12 命題 4.8によりその距離が生じる位相は部分空間位相に一致するから、§E2.15 定理 3.2によりS1S^1は Hausdorff かつ T1 である。§E2.15 命題 1.5により{(0,1)}\{(0,1)\}はS1S^1の閉集合であり、S1∖{(0,1)}S^1\setminus\{(0,1)\}はS1S^1の開部分空間である。t→∞t\to\inftyのときσ(t)→(0,1)\sigma(t)\to(0,1)であるから(0,1)(0,1)はS1∖{(0,1)}S^1\setminus\{(0,1)\}の閉包に属し、S1∖{(0,1)}S^1\setminus\{(0,1)\}はS1S^1で稠密である。よってS1S^1はσ(R)\sigma(\mathbb R)の一点コンパクト化である。R\mathbb Rは§E2.24 例 5.1 (3)により局所コンパクト Hausdorff であり、有界でないから§E2.9 定理 4.3によりコンパクトでない。σ\sigmaは同相写像であるからσ(R)\sigma(\mathbb R)も非コンパクトな局所コンパクト Hausdorff 空間であり、§E2.24 定理 2.7によりα(σ(R))≅S1\alpha(\sigma(\mathbb R))\cong S^1である。σ\sigmaと∞↦∞\infty\mapsto\inftyが定める全単射αR→α(σ(R))\alpha\mathbb R\to\alpha(\sigma(\mathbb R))は§E2.24 定義 2.1の開集合の族を互いに移し合うから同相写像であり、これとα(σ(R))≅S1\alpha(\sigma(\mathbb R))\cong S^1を与える同相写像との合成として同相写像h:αR→S1h:\alpha\mathbb R\to S^1を得る。

定理 3.2によりC0(R)+C_0(\mathbb R)^+はC(αR)C(\alpha\mathbb R)へ等長 *-同型である。写像F↦F∘hF\mapsto F\circ hは、hhが同相写像であることからC(S1)C(S^1)からC(αR)C(\alpha\mathbb R)への全単射であり、各点ごとの和・スカラー倍・積・複素共役を保ち、hhが全単射であることから∥F∘h∥∞=∥F∥∞\|F\circ h\|_\infty=\|F\|_\inftyを満たすので、等長な *-同型である。この逆写像と合成すると、C0(R)+C_0(\mathbb R)^+はC(S1)C(S^1)へ等長 *-同型である。

4 縮退の場合

命題 4.1. 次が成り立つ。

  1. AAが単位元eeをもつ C* 環であるとき、A+A^+上の C* ノルムは§E12.15 系 3.2により存在すれば一意であり、実際に存在する。このノルムについてψ(a,λ):=(a+λe,λ)\psi(a,\lambda):=(a+\lambda e,\lambda)はA+A^+から C* 環の直和A⊕CA\oplus\mathbb C(座標ごとの演算と対合、ノルム∥(a,λ)∥max⁡:=max⁡(∥a∥,∣λ∣)\|(a,\lambda)\|_{\max}:=\max(\|a\|,|\lambda|))への等長な *-同型である。
  2. XXがコンパクト Hausdorff 空間であるとき、§E2.24 定義 2.1と同じ式で定まるαX\alpha X上の族はやはり位相を定めるが、XXはαX\alpha Xで稠密でなく、αX\alpha XはXXの一点コンパクト化ではない。

証明.(1)を示す。ea=a=aeea=a=ae(a∈Aa\in A)の両辺の対合をとるとa∗e∗=a∗=e∗a∗a^*e^*=a^*=e^*a^*となるのでe∗e^*もAAの単位元であり、単位元の一意性からe=e∗e=e^*である。

ψ:A+→A×C\psi:A^+\to A\times\mathbb C、ψ(a,λ):=(a+λe,λ)\psi(a,\lambda):=(a+\lambda e,\lambda)は線形写像であり、ψ(a,λ)=(0,0)\psi(a,\lambda)=(0,0)ならばλ=0\lambda=0、a=a+λe=0a=a+\lambda e=0なので単射である。任意の(b,μ)∈A×C(b,\mu)\in A\times\mathbb Cに対してψ(b−μe,μ)=(b,μ)\psi(b-\mu e,\mu)=(b,\mu)なので全射である。

乗法性を示す。座標ごとの演算を入れたA×CA\times\mathbb Cにおいて、eeが単位元であることから(a+λe)(b+μe)=ab+μa+λb+λμe(a+\lambda e)(b+\mu e)=ab+\mu a+\lambda b+\lambda\mu eであり

ψ(a,λ)ψ(b,μ)=((a+λe)(b+μe), λμ)=(ab+μa+λb+λμe, λμ).\psi(a,\lambda)\psi(b,\mu)=((a+\lambda e)(b+\mu e),\ \lambda\mu)=(ab+\mu a+\lambda b+\lambda\mu e,\ \lambda\mu).

一方

ψ((a,λ)(b,μ))=ψ(ab+λb+μa,λμ)=(ab+λb+μa+λμe, λμ)\psi((a,\lambda)(b,\mu))=\psi(ab+\lambda b+\mu a,\lambda\mu)=(ab+\lambda b+\mu a+\lambda\mu e,\ \lambda\mu)

であり、両者は一致する。対合を保つことは、e=e∗e=e^*により

ψ((a,λ)∗)=ψ(a∗,λ‾)=(a∗+λ‾e,λ‾)=(a∗+λ‾e∗,λ‾)=((a+λe)∗,λ‾)=ψ(a,λ)∗\psi((a,\lambda)^*)=\psi(a^*,\overline\lambda)=(a^*+\overline\lambda e,\overline\lambda) =(a^*+\overline\lambda e^*,\overline\lambda) =((a+\lambda e)^*,\overline\lambda) =\psi(a,\lambda)^*

から従う。ψ(0,1)=(e,1)\psi(0,1)=(e,1)はA×CA\times\mathbb Cの単位元(e,1)(e,1)に等しい。

∥(a,λ)∥max⁡\|(a,\lambda)\|_{\max}がA×CA\times\mathbb C上の C* ノルムであることを確かめる。劣乗法性は

∥(a,λ)(b,μ)∥max⁡=max⁡(∥ab∥,∣λμ∣)≤max⁡(∥a∥∥b∥,∣λ∣∣μ∣)≤∥(a,λ)∥max⁡∥(b,μ)∥max⁡\|(a,\lambda)(b,\mu)\|_{\max}=\max(\|ab\|,|\lambda\mu|)\le\max(\|a\|\|b\|,|\lambda||\mu|)\le\|(a,\lambda)\|_{\max}\|(b,\mu)\|_{\max}

から従う。完備性はAAとC\mathbb Cがそれぞれ完備であることから従う。C* 恒等式は

∥(a,λ)∗(a,λ)∥max⁡=∥(a∗a, ∣λ∣2)∥max⁡=max⁡(∥a∗a∥,∣λ∣2)=max⁡(∥a∥2,∣λ∣2)=∥(a,λ)∥max⁡2\|(a,\lambda)^*(a,\lambda)\|_{\max}=\|(a^*a,\ |\lambda|^2)\|_{\max}=\max(\|a^*a\|,|\lambda|^2)=\max(\|a\|^2,|\lambda|^2)=\|(a,\lambda)\|_{\max}^2

から従う。

ψ\psiを通じてA+A^+へ引き戻したノルム∥(a,λ)∥′:=∥ψ(a,λ)∥max⁡\|(a,\lambda)\|':=\|\psi(a,\lambda)\|_{\max}は、ψ\psiが全単射な *-代数の同型であることからA+A^+上の C* ノルムである。A+A^+は命題 1.3により単位元をもつ複素 *-多元環であるから、§E12.15 系 3.2によりA+A^+上の C* ノルムは存在すれば一意であり、ψ\psiは等長である。

(2)を示す。§E2.24 注意 2.4により、§E2.24 定義 2.1と同じ式はαX\alpha Xの位相を定めるが、XX自身がコンパクトなので、K=XK=Xとすれば{∞}=αX∖X\{\infty\}=\alpha X\setminus Xが開集合になる。したがってXXはαX\alpha Xで稠密でなく、αX\alpha XはXXの一点コンパクト化にはならない。▨

5 演習

問題 5.1 (劣乗法的だが C* 恒等式を満たさないノルム).A=c0A=c_0(§E12.16 定義 1.1、X=Z≥0X=\mathbb Z_{\ge0}に離散位相を入れた場合のC0(X)C_0(X))とする。∥(a,λ)∥1:=∥a∥∞+∣λ∣\|(a,\lambda)\|_1:=\|a\|_\infty+|\lambda|((a,λ)∈A+(a,\lambda)\in A^+)が劣乗法的なノルムであることを確認し、a=(−2,0,0,… )∈Aa=(-2,0,0,\dots)\in A、x=(a,1)x=(a,1)に対して∥x∗x∥1≠∥x∥12\|x^*x\|_1\neq\|x\|_1^2であることを計算し、∥⋅∥1\|\cdot\|_1が C* ノルムでないことを示せ。

解答.

劣乗法性は、(b,μ)∈A+(b,\mu)\in A^+に対して

∥(a,λ)(b,μ)∥1=∥ab+λb+μa∥∞+∣λμ∣≤∥a∥∞∥b∥∞+∣λ∣∥b∥∞+∣μ∣∥a∥∞+∣λ∣∣μ∣=(∥a∥∞+∣λ∣)(∥b∥∞+∣μ∣)\|(a,\lambda)(b,\mu)\|_1=\|ab+\lambda b+\mu a\|_\infty+|\lambda\mu| \le\|a\|_\infty\|b\|_\infty+|\lambda|\|b\|_\infty+|\mu|\|a\|_\infty+|\lambda||\mu| =(\|a\|_\infty+|\lambda|)(\|b\|_\infty+|\mu|)

から従う。

a=(−2,0,0,… )a=(-2,0,0,\dots)は実数列なので自己共役であり∥a∥∞=2\|a\|_\infty=2である。a2=(4,0,0,… )a^2=(4,0,0,\dots)、a2+2a=(4−4,0,0,… )=0a^2+2a=(4-4,0,0,\dots)=0である。x=(a,1)x=(a,1)とおくとx∗=(a∗,1)=(a,1)=xx^*=(a^*,1)=(a,1)=xであり

x∗x=x2=(a,1)(a,1)=(a2+2a, 1)=(0,1).x^*x=x^2=(a,1)(a,1)=(a^2+2a,\ 1)=(0,1).

したがって∥x∗x∥1=∥0∥∞+1=1\|x^*x\|_1=\|0\|_\infty+1=1である。一方∥x∥1=∥a∥∞+1=3\|x\|_1=\|a\|_\infty+1=3なので∥x∥12=9\|x\|_1^2=9である。1≠91\neq9なので∥x∗x∥1≠∥x∥12\|x^*x\|_1\neq\|x\|_1^2であり、∥⋅∥1\|\cdot\|_1は C* 恒等式を満たさない。▨

問題 5.2 (c0c_0の単位化).X=Z≥0X=\mathbb Z_{\ge0}に離散位相を入れる。定理 3.2を用いて、c0+c_0^+(c0=C0(X)c_0=C_0(X)の単位化)が、極限をもつ複素数列全体のなす環に等長 *-同型であることを示せ。

解答.

§E2.24 例 5.3により、αZ≥0=Z≥0∪{∞}\alpha\mathbb Z_{\ge0}=\mathbb Z_{\ge0}\cup\{\infty\}は0,1,2,…0,1,2,\dotsが∞\inftyへ収束する位相をもつ。F∈C(αZ≥0)F\in C(\alpha\mathbb Z_{\ge0})はαZ≥0\alpha\mathbb Z_{\ge0}上の連続関数であり、これは数列(F(n))n≥0(F(n))_{n\ge0}がn→∞n\to\inftyでF(∞)F(\infty)へ収束するという条件と同値である。したがってC(αZ≥0)C(\alpha\mathbb Z_{\ge0})は極限をもつ複素数列全体のなす環と同一視される。定理 3.2によりc0+≅C(αZ≥0)c_0^+\cong C(\alpha\mathbb Z_{\ge0})は等長 *-同型である。▨

参考文献

  1. Gerard J. Murphy, C*-Algebras and Operator Theory, Academic Press, 1990.単位化の構成と左正則表現によるノルムの存在の標準的な扱いを参考にした。
  2. James R. Munkres, Topology, 2nd ed., Prentice Hall, 2000.一点コンパクト化の一意性を用いた具体例を参考にした。

前提記事

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