§E10.2絶対連続関数

最終更新

微分方程式を積分方程式として記述すると、可積分関数ggから

F(t)=F(a)+∫atg(s) dsF(t)=F(a)+\int_a^t g(s)\,ds

の形で定まる関数が現れる。ggが連続であるとは限らない場合、FFがすべての点で微分可能であることは期待することができない。そこで、この積分表示をもつ関数を関数自身の正則性によって特徴づけ、導関数からFFを回収することができる条件を明らかにする必要がある。

たとえば、F(t)=∣t∣F(t)=|t|は原点で微分可能でないが、原点以外では導関数が−1-1または11であり、その導関数の積分によって区間上のすべての値を回収することができる。この例は、全点での微分可能性を要求せず、ほとんど至る所の導関数と全点での積分表示を結びつける関数のクラスを考える必要を示している。

絶対連続性は、ほとんど至る所の導関数と全点での積分表示の関係を正確に捉える基本的な正則性条件である。絶対連続関数は可積分な密度の不定積分として表され、逆に、可積分な密度の不定積分は絶対連続である。この特徴づけにより、積や連続微分可能な写像との合成に対する微分公式を、ほとんど至る所の微分へ拡張することができる。

本記事では、絶対連続性と可積分関数による積分表示の関係、および微分積分の基本公式を扱う。

1 定義と積分の絶対連続性

定義 1.1 (絶対連続関数).a<ba<bを実数、K∈{R,C}\mathbb K\in\{\R,\C\}、d∈N≥1d\in\NNとする。関数F:[a,b]→KdF:[a,b]\to\mathbb K^dが絶対連続 (absolutely continuous) であるとは、任意のε>0\ep>0に対して、あるδ>0\delta>0が存在し、a≤sj<tj≤ba\leq s_j<t_j\leq bを満たし、内部が互いに交わらない有限個の部分区間[sj,tj][s_j,t_j]が

∑j=1m(tj−sj)<δ\sum_{j=1}^m(t_j-s_j)<\delta

を満たすならば、

∑j=1m∥F(tj)−F(sj)∥<ε\sum_{j=1}^m\|F(t_j)-F(s_j)\|<\ep

が成り立つことをいう。ノルムは Euclid ノルムとする。絶対連続関数全体をAC([a,b];Kd)AC([a,b];\mathbb K^d)と書く。

I⊆RI\subseteq\Rを内部が空でない区間とする。関数F:I→KdF:I\to\mathbb K^dが局所絶対連続 (locally absolutely continuous) であるとは、任意の有限閉区間[a,b]⊆I[a,b]\subseteq Iへの制限が絶対連続であることをいう。その全体をACloc(I;Kd)AC_{\mathrm{loc}}(I;\mathbb K^d)と書く。端点を含む区間IIに対しても、Lloc1(I;Kd)L^1_{\mathrm{loc}}(I;\mathbb K^d)は任意の有限閉区間[a,b]⊆I[a,b]\subseteq I上でノルムが可積分な可測関数を、ほとんど至る所の一致で同一視して定める。

補題 1.2.a<ba<b、K∈{R,C}\mathbb K\in\{\R,\C\}、d∈N≥1d\in\NNとする。次が成り立つ。

  1. F∈AC([a,b];Kd)F\in AC([a,b];\mathbb K^d)は一様連続である。
  2. F,G∈AC([a,b];Kd)F,G\in AC([a,b];\mathbb K^d)、α,β∈K\alpha,\beta\in\mathbb Kならば、αF+βG\alpha F+\beta Gは絶対連続である。
  3. F:[a,b]→KdF:[a,b]\to\mathbb K^dが絶対連続であるための必要十分条件は、すべての実座標成分が絶対連続であることである。K=C\mathbb K=\Cの場合は各成分の実部と虚部を実座標成分とする。
  4. F:[a,b]→KdF:[a,b]\to\mathbb K^dが Lipschitz 連続ならば、FFは絶対連続である。

証明. 絶対連続性の条件を一つの区間[s,t][s,t]に適用すると、∣t−s∣<δ|t-s|<\deltaから∥F(t)−F(s)∥<ε\|F(t)-F(s)\|<\epが従う。従って(1)が成り立つ。

任意の有限区間族に対して

∑j∥α(F(tj)−F(sj))+β(G(tj)−G(sj))∥≤∣α∣∑j∥F(tj)−F(sj)∥+∣β∣∑j∥G(tj)−G(sj)∥\sum_j\|\alpha(F(t_j)-F(s_j))+\beta(G(t_j)-G(s_j))\| \leq |\alpha|\sum_j\|F(t_j)-F(s_j)\|+|\beta|\sum_j\|G(t_j)-G(s_j)\|

である。F,GF,Gのそれぞれにε/(2(1+∣α∣+∣β∣))\ep/(2(1+|\alpha|+|\beta|))を用いて得る二つのδ\deltaの小さい方を取ると、右辺はε\ep未満となる。(2)を得る。

実座標の数をNNとすると、任意のz∈Kdz\in\mathbb K^dについて、各実座標の絶対値は∥z∥\|z\|以下であり、∥z∥\|z\|は実座標の絶対値の和以下である。前者からFFの絶対連続性は各実座標成分の絶対連続性を含意する。逆に、各実座標成分の絶対連続性にε/N\ep/Nを適用し、得られた有限個のδ\deltaの最小値を取ると、後者の評価からFFは絶対連続である。(3)が従う。

L≥0L\geq0がFFの Lipschitz 定数ならば、増分のノルムの和はL∑j(tj−sj)L\sum_j(t_j-s_j)以下である。δ=ε/(1+L)\delta=\ep/(1+L)とすれば(4)を得る。▨

補題 1.3.a<ba<b、K∈{R,C}\mathbb K\in\{\R,\C\}、d∈N≥1d\in\NN、g∈L1([a,b];Kd)g\in L^1([a,b];\mathbb K^d)とする。次が成り立つ。

  1. 任意のε>0\ep>0に対して、あるδ>0\delta>0が存在し、任意の Lebesgue 可測集合E⊆[a,b]E\subseteq[a,b]について、λ1(E)<δ\lambda_1(E)<\deltaならば∫E∥g(t)∥ dt<ε\int_E\|g(t)\|\,dt<\epとなる。
  2. 任意の Lebesgue 可測集合E⊆[a,b]E\subseteq[a,b]について、∥∫Eg(t) dt∥≤∫E∥g(t)∥ dt\|\int_Eg(t)\,dt\|\leq\int_E\|g(t)\|\,dtである。
  3. c∈Kdc\in\mathbb K^dとすると、F(t)=c+∫atg(s) dsF(t)=c+\int_a^tg(s)\,dsは[a,b][a,b]上で絶対連続である。

証明. 有限値の代表元ggを取り、q(t)=∥g(t)∥q(t)=\|g(t)\|とおく。関数列q1{q>n}q\mathbf1_{\{q>n\}}は零へ点ごとに収束し、可積分関数qqに支配される。§E9.7 定理 3.2により、M∈N≥1M\in\NNを十分大きく取ると

∫{q>M}q(t) dt<ε2\int_{\{q>M\}}q(t)\,dt<\frac\ep2

となる。δ=ε/(2M)\delta=\ep/(2M)とすれば、λ1(E)<δ\lambda_1(E)<\deltaに対して

∫Eq≤Mλ1(E)+∫{q>M}q<ε\int_Eq\leq M\lambda_1(E)+\int_{\{q>M\}}q<\ep

であり、(1)を得る。

z=∫Eg(t) dtz=\int_Eg(t)\,dtとおく。z=0z=0ならば(2)は成り立つ。z≠0z\ne0ならば、u=z/∥z∥u=z/\|z\|とし、積分の線形性§E9.6 定理 3.2を使うと

∥z∥=Re⁡∑k=1duk‾zk=∫ERe⁡∑k=1duk‾gk(t) dt≤∫E∥g(t)∥ dt\|z\|=\operatorname{Re}\sum_{k=1}^d\overline{u_k}z_k =\int_E\operatorname{Re}\sum_{k=1}^d\overline{u_k}g_k(t)\,dt \leq\int_E\|g(t)\|\,dt

となる。最後の不等式は Cauchy–Schwarz の不等式と∥u∥=1\|u\|=1による。実数値の場合も共役をそのまま除いて同じ等式を得る。

内部が互いに交わらない[sj,tj]⊆[a,b][s_j,t_j]\subseteq[a,b]に対して、積分の加法性と(2)から

∑j∥F(tj)−F(sj)∥≤∑j∫sjtj∥g(t)∥ dt=∫⋃j[sj,tj]∥g(t)∥ dt\sum_j\|F(t_j)-F(s_j)\| \leq\sum_j\int_{s_j}^{t_j}\|g(t)\|\,dt =\int_{\bigcup_j[s_j,t_j]}\|g(t)\|\,dt

である。共有する端点は零集合なので最後の等式を妨げない。和集合の測度は区間の長さの和に等しいため、(1)を適用して(3)を得る。▨

2 変動と積分表示

定義 2.1 (全変動).a<ba<bとし、F:[a,b]→RF:[a,b]\to\Rを関数とする。a≤s<t≤ba\leq s<t\leq bに対して、[s,t][s,t]上のFFの全変動 (total variation) を

Var⁡(F;[s,t])=sup⁡s=x0<x1<⋯<xn=t∑k=1n∣F(xk)−F(xk−1)∣\operatorname{Var}(F;[s,t]) =\sup_{s=x_0<x_1<\cdots<x_n=t} \sum_{k=1}^n|F(x_k)-F(x_{k-1})|

によって定める。上限はすべての有限分割について取る。Var⁡(F;[s,s])=0\operatorname{Var}(F;[s,s])=0とする。Var⁡(F;[a,b])<∞\operatorname{Var}(F;[a,b])<\inftyであるとき、FFは有界変動 (of bounded variation) であるという。

補題 2.2.a<ba<b、F∈AC([a,b];R)F\in AC([a,b];\R)とする。関数

V(t)=Var⁡(F;[a,t])(a≤t≤b)V(t)=\operatorname{Var}(F;[a,t])\qquad(a\leq t\leq b)

は有限値で絶対連続であり、任意のa≤s≤t≤ba\leq s\leq t\leq bに対して

V(t)−V(s)=Var⁡(F;[s,t])≥∣F(t)−F(s)∣V(t)-V(s)=\operatorname{Var}(F;[s,t])\geq|F(t)-F(s)|

を満たす。さらに、

P(t)=V(t)+F(t)−F(a)2,Q(t)=V(t)−F(t)+F(a)2P(t)=\frac{V(t)+F(t)-F(a)}2,\qquad Q(t)=\frac{V(t)-F(t)+F(a)}2

は単調非減少な絶対連続関数であり、P(a)=Q(a)=0P(a)=Q(a)=0、F(t)=F(a)+P(t)−Q(t)F(t)=F(a)+P(t)-Q(t)が成り立つ。

証明.FFの絶対連続性にε=1\ep=1を用いて得るδ>0\delta>0を取り、[a,b][a,b]を長さがすべてδ\delta未満のmm個の閉区間に分割する。任意の有限分割へこのmm個の区間の端点を加えると、三角不等式により増分の絶対値の和は減少しない。加えた分割の各小区間を、固定したmm個の区間ごとに集める。各集合の区間の長さの和はδ\delta未満なので、対応する増分の絶対値の和は11未満である。従って任意の有限分割の和はmm以下であり、Var⁡(F;[a,b])≤m<∞\operatorname{Var}(F;[a,b])\leq m<\inftyとなる。

a≤u<v<w≤ba\leq u<v<w\leq bとする。[u,w][u,w]の任意の分割へvvを加えると、増分の和は[u,v][u,v]上の全変動と[v,w][v,w]上の全変動の和以下である。上限を取ると

Var⁡(F;[u,w])≤Var⁡(F;[u,v])+Var⁡(F;[v,w])\operatorname{Var}(F;[u,w])\leq \operatorname{Var}(F;[u,v])+\operatorname{Var}(F;[v,w])

を得る。逆に、任意のη>0\eta>0に対して、二つの区間の全変動をそれぞれ誤差η/2\eta/2未満で近似する有限分割を取り、併合する。併合した分割の増分の和は、二つの全変動の和からη\etaを引いた値より大きい。η↓0\eta\downarrow0とすれば反対向きの不等式を得る。端点が一致する場合は全変動零の規約から同じ加法性が成り立つ。u=au=aとすれば、主張のV(t)−V(s)V(t)-V(s)の等式を得る。分割{s,t}\{s,t\}によって増分の絶対値の評価も従う。

ε>0\ep>0に対して、FFの絶対連続性にε/2\ep/2を用いて得るδ>0\delta>0を取る。内部が互いに交わらない[sj,tj][s_j,t_j]の長さの和がδ\delta未満であるとする。各[sj,tj][s_j,t_j]を任意に有限分割し、全小区間を合わせると、内部は互いに交わらず、長さの総和は変わらない。従って全増分の絶対値の和はε/2\ep/2未満である。各有限分割について上限を取ると

∑j∣V(tj)−V(sj)∣=∑jVar⁡(F;[sj,tj])≤ε2<ε\sum_j|V(t_j)-V(s_j)| =\sum_j\operatorname{Var}(F;[s_j,t_j]) \leq\frac\ep2<\ep

を得る。ここでVVは単調非減少であり、区間数は有限なので、各区間の分割の上限を別々に取ることができる。従ってVVは絶対連続である。

補題 1.2 (2)によりP,QP,Qは絶対連続である。s≤ts\leq tに対するV(t)−V(s)≥∣F(t)−F(s)∣V(t)-V(s)\geq|F(t)-F(s)|から、P(t)−P(s)≥0P(t)-P(s)\geq0とQ(t)−Q(s)≥0Q(t)-Q(s)\geq0を得る。定義式からP(a)=Q(a)=0P(a)=Q(a)=0およびF(t)=F(a)+P(t)−Q(t)F(t)=F(a)+P(t)-Q(t)が成り立つ。▨

補題 2.3.a<ba<bとし、H∈AC([a,b];R)H\in AC([a,b];\R)を単調非減少な関数とする。HHを(−∞,a](-\infty,a]上ではH(a)H(a)、[b,∞)[b,\infty)上ではH(b)H(b)として実直線へ延長し、延長をH~\widetilde Hと書く。H~\widetilde Hの Lebesgue–Stieltjes 測度ν\nuは有限であり、Lebesgue 測度に関して絶対連続である。また、非負可積分関数h:[a,b]→Rh:[a,b]\to\Rが存在して、任意のt∈[a,b]t\in[a,b]に対して

H(t)=H(a)+∫ath(s) dsH(t)=H(a)+\int_a^th(s)\,ds

が成り立つ。

証明.補題 1.2 (1)によりHHは連続であるから、H~\widetilde Hは実直線上で連続かつ単調非減少である。§E9.3 定理 7.1により、任意のs<ts<tに対して

ν((s,t])=H~(t)−H~(s)\nu((s,t])=\widetilde H(t)-\widetilde H(s)

を満たす Borel 測度ν\nuが存在する。十分大きいn∈N≥1n\in\NNに対して[−n,n][-n,n]は[a,b][a,b]を含むので、測度の下からの連続性から

ν(R)=lim⁡n→∞ν((−n,n])=H(b)−H(a)<∞\nu(\R)=\lim_{n\to\infty}\nu((-n,n])=H(b)-H(a)<\infty

である。任意のx∈Rx\in\Rについて、測度の上からの連続性とH~\widetilde Hの連続性から

ν({x})=lim⁡n→∞ν((x−1/n,x])=lim⁡n→∞(H~(x)−H~(x−1/n))=0\nu(\{x\})=\lim_{n\to\infty}\nu((x-1/n,x]) =\lim_{n\to\infty}\bigl(\widetilde H(x)-\widetilde H(x-1/n)\bigr)=0

を得る。従って、s<ts<tならばν((s,t))=H~(t)−H~(s)\nu((s,t))=\widetilde H(t)-\widetilde H(s)である。

ε>0\ep>0に対して、HHの絶対連続性に対応するδ>0\delta>0を取る。写像r(x)=min⁡{b,max⁡{a,x}}r(x)=\min\{b,\max\{a,x\}\}によってH~=H∘r\widetilde H=H\circ rと書くことができる。内部が互いに交わらない有限区間族[sj,tj]⊂R[s_j,t_j]\subset\Rの長さの和がδ\delta未満ならば、[r(sj),r(tj)][r(s_j),r(t_j)]から一点区間を除いた族も内部が互いに交わらず、長さの和は増えない。従って

∑j(H~(tj)−H~(sj))<ε\sum_j\bigl(\widetilde H(t_j)-\widetilde H(s_j)\bigr)<\ep

となる。

N⊆RN\subseteq\Rを Lebesgue 測度零の Borel 集合とする。§E9.4 定理 6.2により、N⊆ON\subseteq O、λ1(O)<δ\lambda_1(O)<\deltaを満たす開集合OOが存在する。OOは互いに素な開区間の高々可算な和である。実際、各点を含むOO内の開区間をすべて合わせて得る最大開区間は、交わるならば一致し、各最大開区間は有理数を含む。異なる最大開区間に異なる有理数を対応させると、区間の族は高々可算となる。λ1(O)<∞\lambda_1(O)<\inftyなので、この分解に現れる区間はすべて有界である。分解をO=⋃j(αj,βj)O=\bigcup_j(\alpha_j,\beta_j)と書くと、任意の有限部分族に対して

∑jν((αj,βj))=∑j(H~(βj)−H~(αj))<ε\sum_j\nu((\alpha_j,\beta_j)) =\sum_j\bigl(\widetilde H(\beta_j)-\widetilde H(\alpha_j)\bigr)<\ep

となる。可算加法性からν(N)≤ν(O)≤ε\nu(N)\leq\nu(O)\leq\epを得る。ε>0\ep>0は任意なのでν(N)=0\nu(N)=0である。従ってν\nuは Borel 集合上の Lebesgue 測度に関して絶対連続である。

[a,b][a,b]上の Borel 集合族に制限したν\nuと Lebesgue 測度は、ともに有限正測度である。§E9.15 定理 2.3により、非負可測関数hhが存在し、任意の Borel 集合E⊆[a,b]E\subseteq[a,b]に対してν(E)=∫Eh(s) ds\nu(E)=\int_Eh(s)\,dsとなる。∫abh(s) ds=ν([a,b])<∞\int_a^bh(s)\,ds=\nu([a,b])<\inftyなのでhhはほとんど至る所で有限である。無限値を取る零集合上でhhを零に替えれば、§E9.6 定理 4.2により等式を保ったまま非負有限値の可積分関数を得る。a<t≤ba<t\leq bに対してE=(a,t]E=(a,t]とすると

H(t)−H(a)=ν((a,t])=∫ath(s) dsH(t)-H(a)=\nu((a,t])=\int_a^th(s)\,ds

である。t=at=aでは両辺が零なので、積分表示は[a,b][a,b]のすべての点で成り立つ。▨

定理 2.4 (絶対連続関数の基本定理).a<ba<b、K∈{R,C}\mathbb K\in\{\R,\C\}、d∈N≥1d\in\NNとし、F:[a,b]→KdF:[a,b]\to\mathbb K^dを関数とする。次の条件は同値である。

  1. FFは絶対連続である。
  2. あるg∈L1([a,b];Kd)g\in L^1([a,b];\mathbb K^d)が存在し、すべてのt∈[a,b]t\in[a,b]に対してF(t)=F(a)+∫atg(s) dsF(t)=F(a)+\int_a^tg(s)\,dsが成り立つ。
  3. FFは連続であり、(a,b)(a,b)上でほとんど至る所微分可能である。その導関数は可積分であり、すべてのt∈[a,b]t\in[a,b]に対してF(t)=F(a)+∫atF′(s) dsF(t)=F(a)+\int_a^tF'(s)\,dsが成り立つ。導関数が定まらない零集合上では値を零とする。

これらの条件が成り立つとき、積分表示の密度ggはほとんど至る所でF′F'に一致する。従って、密度はほとんど至る所の一致を除いて一意である。

証明.(1)⇒\Rightarrow(2)を示す。実数値の絶対連続関数FFに補題 2.2を適用し、F−F(a)=P−QF-F(a)=P-Qと書く。補題 2.3により、非負可積分関数p,qp,qが存在して

P(t)=∫atp(s) ds,Q(t)=∫atq(s) dsP(t)=\int_a^tp(s)\,ds,\qquad Q(t)=\int_a^tq(s)\,ds

がすべてのttで成り立つ。g=p−qg=p-qは可積分であり、積分の線形性からF(t)=F(a)+∫atg(s) dsF(t)=F(a)+\int_a^tg(s)\,dsを得る。一般のF:[a,b]→KdF:[a,b]\to\mathbb K^dについては、補題 1.2 (3)により各実座標成分が絶対連続である。各実座標成分に得られた密度を合わせてggとすると、∥g∥\|g\|は有限個の実成分の絶対値の和以下なので可積分であり、全点のベクトル値積分表示が成り立つ。

(2)⇒\Rightarrow(3)を示す。ggを[a,b][a,b]の外で零に延長すると、実直線上の可積分関数となる。§E10.1 定理 4.1 (3)により、FFは(a,b)(a,b)のほとんど至る所で微分可能であり、F′=gF'=gである。また、補題 1.3 (3)と補題 1.2 (1)によりFFは連続である。導関数を例外零集合上で零とした関数はggとほとんど至る所で一致し、Lebesgue 測度の完備性により可測である。§E9.6 定理 4.2により、F′F'は可積分であり、ggの積分表示をF′F'の積分表示へ替えることができる。

(3)⇒\Rightarrow(1)は、可積分関数F′F'に補題 1.3 (3)を適用すれば従う。

任意の積分表示の密度ggに対して、既に用いた§E10.1 定理 4.1 (3)がg=F′g=F'をほとんど至る所で与える。従って二つの密度はほとんど至る所で一致する。▨

系 2.5.I⊆RI\subseteq\Rを内部が空でない区間、t0∈It_0\in I、K∈{R,C}\mathbb K\in\{\R,\C\}、d∈N≥1d\in\NNとする。関数F:I→KdF:I\to\mathbb K^dが局所絶対連続であるための必要十分条件は、あるg∈Lloc1(I;Kd)g\in L^1_{\mathrm{loc}}(I;\mathbb K^d)が存在して

F(t)=F(t0)+∫t0tg(s) ds(t∈I)F(t)=F(t_0)+\int_{t_0}^tg(s)\,ds\qquad(t\in I)

が成り立つことである。t<t0t<t_0では積分を−∫tt0g(s) ds-\int_t^{t_0}g(s)\,dsとする。このときF′=gF'=gがIIの内部のほとんど至る所で成り立つ。特に、F∈ACloc(I;Kd)F\in AC_{\mathrm{loc}}(I;\mathbb K^d)がF′=0F'=0をほとんど至る所で満たすならば、FFは定数である。

証明.FFを局所絶対連続とする。IIの内部を、内部が全体を覆う可算個の有限閉区間によって覆い、各区間へ定理 2.4を適用する。例えば、端点が有理数でIIの内部に含まれる閉区間全体を取ればよい。各区間の例外零集合の和も零集合であり、その外ではF′F'が定まる。g=F′g=F'とし、微分が定まらない点およびIIに含まれる端点ではg=0g=0とおく。

任意の[a,b]⊆I[a,b]\subseteq Iに主定理を適用して得る可積分密度は、(a,b)(a,b)のほとんど至る所でggに一致する。従ってggは各有限閉区間で可測かつ可積分であり、可算個の区間と高々二つの端点によってIIを覆うと、II上でも可測である。t0,tt_0,tを端点とする区間の全点積分表示から、主張の式を得る。

逆に主張の積分表示を仮定し、任意の[a,b]⊆I[a,b]\subseteq Iを取る。積分の加法性から、t∈[a,b]t\in[a,b]に対してF(t)=F(a)+∫atg(s) dsF(t)=F(a)+\int_a^tg(s)\,dsとなる。補題 1.3 (3)によりF∣[a,b]F|_{[a,b]}は絶対連続である。微分の等式は定理 2.4から従い、g=0g=0の場合には積分表示からF(t)=F(t0)F(t)=F(t_0)を得る。▨

命題 2.6.a0<a1<⋯<ama_0<a_1<\cdots<a_mを実数、K∈{R,C}\mathbb K\in\{\R,\C\}、d∈N≥1d\in\NNとする。各j∈{1,…,m}j\in\{1,\ldots,m\}に対してFj∈AC([aj−1,aj];Kd)F_j\in AC([a_{j-1},a_j];\mathbb K^d)とし、j<mj<mならばFj(aj)=Fj+1(aj)F_j(a_j)=F_{j+1}(a_j)とする。各区間上でF=FjF=F_jと定めた関数F:[a0,am]→KdF:[a_0,a_m]\to\mathbb K^dは絶対連続である。

証明. 証明は演習とする(問題 4.3)。▨

3 積・合成と部分積分

定理 3.1.I⊆RI\subseteq\Rを内部が空でない区間、d,e,q∈N≥1d,e,q\in\NNとする。次が成り立つ。

  1. U⊆RdU\subseteq\R^dを開集合、Φ:U→Rq\Phi:U\to\R^qをC1C^1写像とし、F∈ACloc(I;Rd)F\in AC_{\mathrm{loc}}(I;\R^d)がF(I)⊆UF(I)\subseteq Uを満たすとする。このときΦ∘F∈ACloc(I;Rq)\Phi\circ F\in AC_{\mathrm{loc}}(I;\R^q)であり、ほとんど至る所で (Φ∘F)′(t)=DΦ(F(t))F′(t)(\Phi\circ F)'(t)=D\Phi(F(t))F'(t) が成り立つ。複素座標をもつ場合も、実部と虚部によって実座標空間と同一視し、Φ\Phiに実変数のC1C^1性を仮定すれば同じ結論が成り立つ。
  2. K∈{R,C}\mathbb K\in\{\R,\C\}とし、B:Kd×Ke→KqB:\mathbb K^d\times\mathbb K^e\to\mathbb K^qを双線形写像とする。F∈ACloc(I;Kd)F\in AC_{\mathrm{loc}}(I;\mathbb K^d)、G∈ACloc(I;Ke)G\in AC_{\mathrm{loc}}(I;\mathbb K^e)ならばB(F,G)B(F,G)は局所絶対連続であり、ほとんど至る所で ddtB(F(t),G(t))=B(F′(t),G(t))+B(F(t),G′(t))\frac{d}{dt}B(F(t),G(t))=B(F'(t),G(t))+B(F(t),G'(t)) が成り立つ。特に、実数値・複素数値の関数の積およびサイズの合う行列の積について積の微分公式が成り立つ。

I=[a,b]I=[a,b]が有限閉区間である場合、各結論は[a,b][a,b]上の絶対連続性を与える。

証明.(1)を示す。[a,b]⊆I[a,b]\subseteq Iを固定する。FFは連続なので、K=F([a,b])K=F([a,b])はUUのコンパクト部分集合である。各点x∈Kx\in Kの周りにB(x,2rx)‾⊆U\tpcl{B(x,2r_x)}\subseteq Uを満たす球を取り、B(x,rx)B(x,r_x)からKKの有限部分被覆を選ぶ。選んだ半径の最小値より小さいρ>0\rho>0を取ると、KKの閉ρ\rho近傍はUUに含まれる。この閉近傍は有界かつ閉であるからコンパクトである。従って、あるM≥0M\geq0が存在し、この閉近傍上で∥DΦ∥≤M\|D\Phi\|\leq Mとなる。

x,y∈Kx,y\in Kが∥x−y∥<ρ\|x-y\|<\rhoを満たすならば、線分[x,y][x,y]はこの近傍に含まれる。§E4.3 定理 2.1により

∥Φ(y)−Φ(x)∥≤M∥y−x∥\|\Phi(y)-\Phi(x)\|\leq M\|y-x\|

である。ε>0\ep>0に対し、FFの絶対連続性にmin⁡{ρ,ε/(1+M)}\min\{\rho,\ep/(1+M)\}を適用してδ>0\delta>0を取る。長さの総和がδ\delta未満の区間族について、各∥F(tj)−F(sj)∥<ρ\|F(t_j)-F(s_j)\|<\rhoであり、

∑j∥Φ(F(tj))−Φ(F(sj))∥≤M∑j∥F(tj)−F(sj)∥<ε\sum_j\|\Phi(F(t_j))-\Phi(F(s_j))\| \leq M\sum_j\|F(t_j)-F(s_j)\|<\ep

を得る。従ってΦ∘F\Phi\circ Fは[a,b][a,b]上で絶対連続である。FFはほとんど至る所で微分可能なので、その各点で§E4.3 定理 1.1を適用すれば微分公式を得る。任意の有限閉区間でこの結論が成り立ち、内部を可算個の区間で覆うとII上の結論を得る。

(2)を示す。有限次元の双線形写像BBは座標表示が有限個の積の和なので、あるC≥0C\geq0が存在して∥B(x,y)∥≤C∥x∥∥y∥\|B(x,y)\|\leq C\|x\|\|y\|がすべてのx,yx,yで成り立つ。恒等式

B(x+h,y+k)−B(x,y)=B(h,y)+B(x,k)+B(h,k)B(x+h,y+k)-B(x,y)=B(h,y)+B(x,k)+B(h,k)

の最後の項はC∥h∥∥k∥C\|h\|\|k\|以下であり、(h,k)(h,k)のノルムについて二次の項である。従ってBBはC1C^1写像であり、DB(x,y)(h,k)=B(h,y)+B(x,k)DB(x,y)(h,k)=B(h,y)+B(x,k)である。補題 1.2 (3)により(F,G)(F,G)は局所絶対連続なので、(1)をBBと(F,G)(F,G)に適用して結論を得る。▨

系 3.2.I⊆RI\subseteq\Rを内部が空でない区間、K∈{R,C}\mathbb K\in\{\R,\C\}とする。次が成り立つ。

  1. f∈ACloc(I;K)f\in AC_{\mathrm{loc}}(I;\mathbb K)がすべてのt∈It\in Iでf(t)≠0f(t)\ne0を満たすならば、1/f1/fは局所絶対連続であり、(1/f)′=−f′/f2(1/f)'=-f'/f^2がほとんど至る所で成り立つ。
  2. A:I→Kn×nA:I\to\mathbb K^{n\times n}の各成分が局所絶対連続であり、すべてのt∈It\in IでA(t)A(t)が可逆であるとする。このときA−1A^{-1}の各成分も局所絶対連続であり、 (A−1)′=−A−1A′A−1(A^{-1})'=-A^{-1}A'A^{-1} がほとんど至る所で成り立つ。
  3. A:I→Kn×nA:I\to\mathbb K^{n\times n}の各成分が局所絶対連続ならば、det⁡A\det Aも局所絶対連続である。AjA_jをAAの第jj列とすると、ほとんど至る所で (det⁡A)′=∑j=1ndet⁡(A1,…,Aj−1,Aj′,Aj+1,…,An)(\det A)'=\sum_{j=1}^n\det(A_1,\ldots,A_{j-1},A_j',A_{j+1},\ldots,A_n) が成り立つ。さらに全点で可逆ならば、(det⁡A)′=(det⁡A)tr⁡(A−1A′)(\det A)'=(\det A)\operatorname{tr}(A^{-1}A')がほとんど至る所で成り立つ。

行列のサイズnnは正の整数とし、有限閉区間の場合には各結論の局所絶対連続性は絶対連続性を意味する。

証明. 逆数写像z↦1/zz\mapsto1/zはK∖{0}\mathbb K\setminus\{0\}上で実変数のC1C^1写像である。逆行列の各成分は、余因子の多項式を行列式で割った関数なので、可逆行列の開集合上でC1C^1である。行列式も成分の多項式でありC1C^1である。従って定理 3.1 (1)から、逆数・逆行列・行列式の局所絶対連続性を得る。

f(1/f)=1f(1/f)=1とAA−1=id⁡AA^{-1}=\idに定理 3.1 (2)を適用すると、ほとんど至る所で

f′1f+f(1f)′=0,A′A−1+A(A−1)′=0f'\frac1f+f\left(\frac1f\right)'=0,\qquad A'A^{-1}+A(A^{-1})'=0

となる。それぞれffとAAの逆を用いて整理すると、(1)と(2)の公式を得る。

行列式の列に関する多重線形性を用いると、Aj(t+h)=Aj(t)+hAj′(t)+o(h)A_j(t+h)=A_j(t)+hA_j'(t)+o(h)の代入で、一次の項は一つの列だけをAj′(t)A_j'(t)に替えた行列式の和となる。二つ以上の列の増分を含む項はo(h)o(h)である。従って(3)の最初の公式が成り立つ。A(t)A(t)が可逆である点では、C=A(t)−1A′(t)C=A(t)^{-1}A'(t)とおくとAj′(t)=∑kAk(t)CkjA_j'(t)=\sum_kA_k(t)C_{kj}である。第jj列をAj′(t)A_j'(t)に替えた行列式は、他の列と重複する項が消えるので(det⁡A(t))Cjj(\det A(t))C_{jj}に等しい。jjについて足すと、トレースを用いた公式を得る。▨

定理 3.3.a<ba<b、K∈{R,C}\mathbb K\in\{\R,\C\}、d,e,q∈N≥1d,e,q\in\NNとし、B:Kd×Ke→KqB:\mathbb K^d\times\mathbb K^e\to\mathbb K^qを双線形写像とする。F∈AC([a,b];Kd)F\in AC([a,b];\mathbb K^d)、G∈AC([a,b];Ke)G\in AC([a,b];\mathbb K^e)ならば、

∫abB(F′(t),G(t)) dt=B(F(b),G(b))−B(F(a),G(a))−∫abB(F(t),G′(t)) dt\int_a^b B(F'(t),G(t))\,dt =B(F(b),G(b))-B(F(a),G(a)) -\int_a^b B(F(t),G'(t))\,dt

が成り立つ。特に、f,g∈AC([a,b];C)f,g\in AC([a,b];\C)について

∫abf′(t)g(t)‾ dt=f(b)g(b)‾−f(a)g(a)‾−∫abf(t)g′(t)‾ dt\int_a^bf'(t)\overline{g(t)}\,dt =f(b)\overline{g(b)}-f(a)\overline{g(a)} -\int_a^bf(t)\overline{g'(t)}\,dt

が成り立つ。

証明.F,GF,Gは有限閉区間上で連続なので有界であり、F′,G′F',G'は可積分である。有限次元の双線形写像の評価∥B(x,y)∥≤C∥x∥∥y∥\|B(x,y)\|\leq C\|x\|\|y\|により、二つの被積分関数は可積分である。定理 3.1 (2)によりB(F,G)B(F,G)は絶対連続であり、その導関数はほとんど至る所でB(F′,G)+B(F,G′)B(F',G)+B(F,G')に一致する。定理 2.4の全点積分表示を両端点に適用して整理すると、最初の等式を得る。複素共役は実線形写像なので、定理 3.1 (1)によりg‾\overline gは絶対連続であり、(g‾)′=g′‾(\overline g)'=\overline{g'}である。B(z,w)=zwB(z,w)=zwと関数f,g‾f,\overline gに最初の等式を適用して、複素共役を含む等式を得る。▨

4 例と演習

例 4.1.F(t)=∣t∣F(t)=|t|を[−1,1][-1,1]上で考える。不等式∣∣t∣−∣s∣∣≤∣t−s∣\bigl||t|-|s|\bigr|\leq|t-s|と補題 1.2 (4)によりFFは絶対連続である。00における左微分係数は−1-1、右微分係数は11なので、FFは00で微分可能でない。任意のc∈Rc\in\Rに対して

gc(t)={−1,t<0,c,t=0,1,t>0g_c(t)= \begin{cases} -1,&t<0,\\ c,&t=0,\\ 1,&t>0 \end{cases}

とおくと、すべてのt∈[−1,1]t\in[-1,1]に対して

F(t)=1+∫−1tgc(s) dsF(t)=1+\int_{-1}^tg_c(s)\,ds

が成り立つ。実際、t≤0t\leq0ならば右辺は1−(t+1)=−t1-(t+1)=-t、t≥0t\geq0ならば1−1+t=t1-1+t=tである。一点の値ccは積分を変えない。一方、FFの値をt=0t=0だけ11に替えた関数F^\widehat Fは不連続である。従ってF^\widehat Fは絶対連続でなく、上の全点積分表示もt=0t=0で成立しない。密度の零集合上の変更と、絶対連続関数自身の値の変更は異なる。

例 4.2.[0,1][0,1]上の関数

F(t)={t4sin⁡2(1/t2),t>0,0,t=0,Φ(s)=sF(t)= \begin{cases} t^4\sin^2(1/t^2),&t>0,\\ 0,&t=0, \end{cases} \qquad \Phi(s)=\sqrt{s}

は、ともに絶対連続であり、F([0,1])⊆[0,1]F([0,1])\subseteq[0,1]を満たす。しかしΦ∘F\Phi\circ Fは絶対連続でない。

証明. 証明は演習とする(問題 4.4)。▨

問題 4.3.命題 2.6の証明を、各区間の積分表示を用いて完成させよ。

解答.

定理 2.4によって、各jjについて可積分な密度gjg_jを取り、

Fj(t)=Fj(aj−1)+∫aj−1tgj(s) ds(aj−1≤t≤aj)F_j(t)=F_j(a_{j-1})+\int_{a_{j-1}}^tg_j(s)\,ds \qquad(a_{j-1}\leq t\leq a_j)

と書く。開区間(aj−1,aj)(a_{j-1},a_j)上でg=gjg=g_jとし、分点上でg=0g=0とすると、区間数が有限なのでggは[a0,am][a_0,a_m]上で可積分である。端点での一致条件を用いて積分表示を順に足すと、t∈[aj−1,aj]t\in[a_{j-1},a_j]に対して

F(t)=F1(a0)+∑k<j∫ak−1akgk(s) ds+∫aj−1tgj(s) ds=F1(a0)+∫a0tg(s) dsF(t)=F_1(a_0)+\sum_{k<j}\int_{a_{k-1}}^{a_k}g_k(s)\,ds +\int_{a_{j-1}}^tg_j(s)\,ds =F_1(a_0)+\int_{a_0}^tg(s)\,ds

となる。補題 1.3 (3)によりFFは絶対連続である。▨

問題 4.4.例 4.2を証明せよ。合成の全変動を調べる際には、n∈N≥1n\in\NNに対して

xn=(nπ)−1/2,yn=((n+1/2)π)−1/2x_n=(n\pi)^{-1/2},\qquad y_n=((n+1/2)\pi)^{-1/2}

を用いよ。

解答.

t>0t>0において

F′(t)=4t3sin⁡2(1/t2)−4tsin⁡(1/t2)cos⁡(1/t2)F'(t)=4t^3\sin^2(1/t^2)-4t\sin(1/t^2)\cos(1/t^2)

である。∣F(h)/h∣≤h3→0|F(h)/h|\leq h^3\to0なのでF′(0)=0F'(0)=0であり、表示したF′(t)F'(t)もt↓0t\downarrow0で零に収束する。従ってFFは[0,1][0,1]上でC1C^1であり、導関数が有界なので平均値の定理により Lipschitz 連続である。補題 1.2 (4)からFFは絶対連続である。また0≤F(t)≤t4≤10\leq F(t)\leq t^4\leq1である。

h(s)=1/(2s)h(s)=1/(2\sqrt{s})(s>0s>0)、h(0)=0h(0)=0とおく。任意のu∈(0,1]u\in(0,1]に対して

∫0uh(s) ds=lim⁡η↓0∫ηuds2s=lim⁡η↓0(u−η)=u\int_0^u h(s)\,ds =\lim_{\eta\downarrow0}\int_\eta^u\frac{ds}{2\sqrt{s}} =\lim_{\eta\downarrow0}(\sqrt{u}-\sqrt{\eta})=\sqrt{u}

である。最初の極限は非負関数に対する§E9.7 定理 1.1による。特にhhは[0,1][0,1]上で可積分であり、補題 1.3 (3)からΦ\Phiは絶対連続である。

G=Φ∘FG=\Phi\circ Fとおくと、G(t)=t2∣sin⁡(1/t2)∣G(t)=t^2|\sin(1/t^2)|である。xn+1<yn<xnx_{n+1}<y_n<x_nであり、

G(xn)=0,G(yn)=1(n+1/2)πG(x_n)=0,\qquad G(y_n)=\frac1{(n+1/2)\pi}

となる。1≤n≤N1\leq n\leq Nの各xn+1,yn,xnx_{n+1},y_n,x_nを含む[0,1][0,1]の有限分割を取ると、その増分の絶対値の和は

2∑n=1N1(n+1/2)π2\sum_{n=1}^N\frac1{(n+1/2)\pi}

以上である。この和はN→∞N\to\inftyで発散するのでGGの全変動は無限である。補題 2.2により、GGは絶対連続でない。外側のΦ\Phiはs=0s=0で微分可能でなく、定理 3.1 (1)の仮定を満たさない。▨

問題 4.5.F(t)=log⁡tF(t)=\log tをI=(0,1]I=(0,1]上で考える。F∈ACloc(I;R)F\in AC_{\mathrm{loc}}(I;\R)を示し、FFと(0,1](0,1]上で一致する絶対連続関数を[0,1][0,1]上へ定めることはできないことを示せ。

解答.

任意の[a,b]⊆(0,1][a,b]\subseteq(0,1]において、F′=1/tF'=1/tは1/a1/a以下である。平均値の定理からF∣[a,b]F|_{[a,b]}は Lipschitz 連続であり、補題 1.2 (4)により絶対連続である。従ってFFは局所絶対連続である。

絶対連続な延長F~:[0,1]→R\widetilde F:[0,1]\to\Rが存在すると仮定する。n∈N≥1n\in\NNに対し、区間[1/(2n),1/n][1/(2n),1/n]の長さは1/(2n)1/(2n)であり零へ収束するが、

∣F~(1/n)−F~(1/(2n))∣=log⁡2\left|\widetilde F(1/n)-\widetilde F(1/(2n))\right|=\log2

である。絶対連続性の条件をε=(log⁡2)/2\ep=(\log2)/2と一つの区間に適用すると、十分大きいnnにおいて左辺はε\ep未満でなければならない。log⁡2>ε\log2>\epであるから、そのような延長は存在しない。▨

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