1 指数型増大と収束半平面
定義 1.1.a∈Rとする。関数f:[0,∞)→Cが指数aの指数型増大 (exponential ordera) をもつとは、定数M,T≥0が存在して
∣f(t)∣≤Meat(t≥T)(1)を満たすことをいう。ある実数aについてこの条件が成り立つとき、単に指数型増大 (exponential order) をもつという。
局所的に区分連続な関数は各コンパクト区間上で有界である。したがって、式 (1) の定数を大きくすれば、
∣f(t)∣≤Ceat(t≥0)(2)
という全半直線上の評価へ置き換えることができる。
局所区分連続関数fに対し、式 (3) が絶対収束する場合には二つの定義が一致する。実際、従属選択公理の下で§E9.9 系 5.2を各有限区間の被積分関数の実部と虚部、および絶対値へ適用すると、それぞれの Riemann 積分と Lebesgue 積分が一致する。§E9.7 定理 1.1により絶対値の積分を有限区間の増大列に沿って取ると半直線上でも可積分であり、§E9.7 定理 3.2によって複素積分の切断極限が Lebesgue 積分に一致する。式 (3) には条件収束する場合も含まれるが、以下の微分公式と畳み込み公式は絶対可積分な範囲で用いる。
定理 1.4.fが局所的に区分連続で、指数aの指数型増大をもつならば、式 (3) は
Res>a(4)で絶対収束する。さらに、任意のσ0>aに対してRes≥σ0では
∫T∞∣e−stf(t)∣dt≤σ0−aMe−(σ0−a)T(5)と一様に評価することができる。
証明.σ=Res>aとする。t≥Tでは
∣e−stf(t)∣=e−σt∣f(t)∣≤Me−(σ−a)t.右辺は[T,∞)上で可積分であり、その積分は
σ−aMe−(σ−a)Tである。[0,T]上ではfが区分連続であるから絶対可積分である。したがって式 (3) は絶対収束する。σ≥σ0とすれば同じ評価をσ0で上から押さえることができ、式 (5) を得る。
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ここで用いた半直線上の広義積分と絶対収束による極限操作は「広義積分」の結果に基づく。
この定理が与える半平面は十分条件である。実際の収束領域がより広い場合はあるが、微分公式や畳み込み公式を同時に用いるときは、関係するすべての関数について共通に絶対収束する半平面を選ぶ。
2 微分の Laplace 変換
補題 2.1.g∈ACloc([0,∞);C)とし、g,g′∈L1([0,∞);C)とする。このとき
t→∞limg(t)=0である。
証明.§E10.2 系 2.5により、すべてのt≥0で
g(t)=g(0)+∫0tg′(u)duである。g′の絶対可積分性から右辺は有限な極限ℓをもち、∣g(t)−ℓ∣≤∫t∞∣g′(u)∣duである。ℓ=0ならば、十分大きいすべてのtで∣g(t)∣≥∣ℓ∣/2となり、gの絶対可積分性に反する。従ってℓ=0である。▨
定理 2.2.σ0∈R、f∈ACloc([0,∞);C)とし、
∫0∞e−σ0t(∣f(t)∣+∣f′(t)∣)dt<∞とする。このとき、Res≥σ0で
L{f′}(s)=sL{f}(s)−f(0)が成り立つ。導関数の値はほとんど至る所で定まるものを用い、f(0)は絶対連続な関数f自身の値とする。
証明.Res≥σ0を固定し、g(t)=e−stf(t)とおく。§E10.2 定理 3.1 (2)によりgは局所絶対連続であり、
g′(t)=e−st(f′(t)−sf(t))ほとんど至る所である。仮定からg,g′∈L1なので、補題 2.1によりe−sRf(R)→0となる。有限区間における§E10.2 定理 3.3は
∫0Re−stf′(t)dt=e−sRf(R)−f(0)+s∫0Re−stf(t)dt(7)を与える。両積分は絶対収束するので、R→∞として結論を得る。▨
系 2.3.σ0∈Rとし、f∈ACloc([0,∞);C)の導関数が局所絶対連続な代表vをもつとする。ほとんど至る所の等式f′=vに対応する二階導関数f′′=v′について
∫0∞e−σ0t(∣f(t)∣+∣v(t)∣+∣v′(t)∣)dt<∞を仮定する。このときf∈C1([0,∞);C)であり、f′=vが全点で成立する。Res≥σ0では
L{f′′}(s)=s2L{f}(s)−sf(0)−f′(0)である。端点0の微分は右微分とする。
証明.§E10.2 系 2.5の表示f(t)=f(0)+∫0tv(u)duとvの連続性から、fはC1級でf′=vが全点で成り立つ。定理 2.2をvとfへ適用すると、
L{f′′}(s)=sL{v}(s)−v(0)=s(sL{f}(s)−f(0))−f′(0)を得る。▨
定理 2.4.f∈ACloc([0,∞);C)とし、fとそのほとんど至る所の導関数f′が、それぞれ指数a,b∈Rの指数型増大をもつとする。導関数の指数評価は零集合を除いて成り立てばよい。このとき
Res>max{a,b}において
L{f′}(s)=sL{f}(s)−f(0+)(6)が成り立つ。f(0+)=f(0)は絶対連続代表の右極限である。
証明.σ=Res>max{a,b}とする。§E10.2 定理 2.4によりf,f′は各有限区間で可積分である。尾部では、それぞれの指数評価からe−σt∣f(t)∣とe−σt∣f′(t)∣が可積分となる。従って定理 2.2を重みσで適用することができる。fは0で右連続なのでf(0)=f(0+)である。▨
積分は零集合上の値に依存しないが、初期値には絶対連続代表の値を用いる。例えば、f(0)だけを書き換えた関数は同じ変換をもつものの、通常は0で連続でなくなる。その場合の初期値項は、書き換えた値ではなく元の代表の右極限である。
系 2.5.f∈ACloc([0,∞);C)の導関数が局所絶対連続な代表をもち、f,f′,f′′がそれぞれ指数a,b,c∈Rの指数型増大をもつとする。導関数の評価はほとんど至る所で成り立てばよい。Res>max{a,b,c}では
L{f′′}(s)=s2L{f}(s)−sf(0+)−f′(0+)(8)である。初期値はfとf′の連続代表から取る。
証明. 有限区間での可積分性と尾部の指数評価により、f,f′,f′′はσ=Res>max{a,b,c}の重みについて可積分である。系 2.3を適用し、連続代表の値を右極限で書けば式 (8) を得る。▨
例 2.6.f(t)=te−tとおく。t>0では
f′(t)=e−t(2t1−t)であり、この導関数は原点近くで非有界であるが局所可積分である。0<ε<tで微積分の基本定理を適用してからε↓0とすると、f(t)=∫0tf′(u)duとなる。従って§E10.2 系 2.5によりfは局所絶対連続である。任意のσ0>−1に対して、原点近くのt−1/2は可積分であり、尾部ではe−(σ0+1)t(t+t−1/2)が可積分である。よって定理 2.2により、Res≥σ0でL{f′}(s)=sL{f}(s)が成り立つ。
3 基本的な変換対
次の変換対は、定義積分と部分積分から直接得られる。
命題 3.1.nを非負整数、a,ω∈Rとする。表示した半平面で
f(t)1eattncos(ωt)sin(ωt)L{f}(s)s1(Res>0)s−a1(Res>a)sn+1n!(Res>0)s2+ω2s(Res>0)s2+ω2ω(Res>0)(9)が成り立つ。
証明.1とeatの積分は指数関数の原始関数から得られる。tnについては
In(s)=∫0∞e−sttndtと置き、Res>0で部分積分すると
In(s)=snIn−1(s),I0(s)=s1である。帰納法によりIn=n!/sn+1を得る。
三角関数については
cos(ωt)=2eiωt+e−iωt,sin(ωt)=2ieiωt−e−iωtである。Res>0では指数関数の変換対から
L{cos(ωt)}(s)L{sin(ωt)}(s)=21(s−iω1+s+iω1)=s2+ω2s,=2i1(s−iω1−s+iω1)=s2+ω2ω.以上により表のすべての変換対を得る。
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4 時間移動
定義 4.1.c≥0に対して
Hc(t)={0,1,0≤t<c,t≥cと定める。これを単位階段関数 (unit step function) という。本記事ではHcを通常の区分一定関数として扱い、その導関数を超関数として考えない。
命題 4.2.c≥0とし、h:[0,∞)→Cが局所的に区分連続で指数型増大をもち、Laplace 変換をH(s)とする。Hc(t)h(t−c)はt<cで零と定める。このとき、共通の収束半平面で
L{Hc(t)h(t−c)}(s)=e−csH(s).(10)
証明. 定義と変数変換u=t−cにより
∫0∞e−stHc(t)h(t−c)dt=∫c∞e−sth(t−c)dt=e−cs∫0∞e−suh(u)du.絶対収束する半平面で変数変換が正当化され、式 (10) を得る。
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5 畳み込み公式
定義 5.1. 局所的に区分連続な関数f,g:[0,∞)→Cに対して
(f∗g)(t)=∫0tf(u)g(t−u)du(11)と定める。これを半直線上の畳み込み (convolution on the half-line) という。
定理 5.2 (Laplace 変換の畳み込み公式). 従属選択公理を仮定する。σ0∈Rとし、f,g∈Lloc1([0,∞);C)が
∫0∞e−σ0t∣f(t)∣dt<∞,∫0∞e−σ0t∣g(t)∣dt<∞を満たすとする。このとき
h(t)=∫0tf(u)g(t−u)duはほとんど至る所で絶対収束する。絶対収束しない点でh(t)=0と定めると、hは局所可積分であり、そのほとんど至る所の一致による同値類はf,gの代表によらない。hをf∗gと書く。このとき
∫0∞e−σ0t∣h(t)∣dt≤(∫0∞e−σ0u∣f(u)∣du)(∫0∞e−σ0v∣g(v)∣dv)であり、Res≥σ0で
L{f∗g}(s)=L{f}(s)L{g}(s)が成り立つ。
証明.f,gの有限値 Lebesgue 可測代表を取り、負の半直線上では零に延長する。各実成分の正負部分に§E9.5 定理 5.3を適用する。各近似単関数を構成する有限個の可測集合は、§E9.4 定理 4.2 (2)により Borel 集合へ零集合を除いて置き換えることができる。可算個の例外を含む Borel 零集合Nを取る。置き換えた単関数列はNの外で元の列と一致するので、そこでの極限とN上の値零によって有限値 Borel 関数が得られる。実部と虚部を合わせると、f,gとそれぞれほとんど至る所で一致する有限値 Borel 関数f,gを得る。
[0,∞)2上で
K(t,u)=1{u≤t}f(u)g(t−u)とおく。半直線の積位相は有理数を端点とする区間の積からなる可算基をもつので、各開集合は可算個の Borel 長方形の和である。従って積空間の Borel シグマ加法族は二つの Borel シグマ加法族の積に一致する。座標写像と差(t,u)↦t−uは連続であるから、Kはこの積シグマ加法族に関して可測である。半直線上の Borel Lebesgue 測度はシグマ有限であり、§E9.11 定理 2.3を適用することができる。任意のσ≥σ0に対して
∫0∞e−σt∫0t∣f(u)g(t−u)∣dudt=∫0∞∣f(u)∣∫u∞e−σt∣g(t−u)∣dtdu=(∫0∞e−σu∣f(u)∣du)(∫0∞e−σv∣g(v)∣dv)<∞.(13)第二の等号ではt=u+vと置いた。この一変数の置換は§E9.4 定理 5.1と§E9.6 定理 5.3による。従ってK(t,⋅)はほとんどすべてのtで可積分であり、その積分を例外点で零とした関数をhとおく。絶対可積分な関数e−σ0tK(t,u)に§E9.11 定理 3.2を適用するとe−σ0th(t)は可測となり、従ってhも可測である。式 (13) のσ=σ0の場合から、主張した重み付き評価とhの局所可積分性を得る。
元の代表との差を含む Borel 零集合をNf,Ngとする。各有限三角領域0≤u≤t≤R上で、Tonelli の定理と平行移動不変性により
∫0R∫0t(1Nf(u)+1Ng(t−u))dudt=0である。従って、ほとんどすべてのt∈[0,R]について、元の被積分関数とK(t,⋅)は零集合の外で一致する。Lebesgue 測度の完備性から元の被積分関数も可測であり、同じ積分をもつ。R∈N≥1について例外零集合をまとめると、元のhはほとんど至る所でhと一致する。別の代表を用いた場合も同じ議論が成り立つので、hの同値類は代表によらない。
Res=σ≥σ0を固定する。有限三角領域DR={(t,u):0≤u≤t≤R}に§E9.11 定理 3.2を適用し、先ほどの平行移動を行うと
∫0Re−sth(t)dt=∫0Rf(u)∫uRe−stg(t−u)dtdu=∬[0,∞)21{u+v≤R}e−s(u+v)f(u)g(v)dudv.(14)式 (13) により、右辺の被積分関数の絶対値は、第一象限上で可積分なe−σ(u+v)∣f(u)g(v)∣以下である。R→∞とすると1{u+v≤R}↑1なので、§E9.7 定理 3.2により右辺は
∬[0,∞)2e−s(u+v)f(u)g(v)dudv=(∫0∞e−suf(u)du)(∫0∞e−svg(v)dv)へ収束する。最後の等号も絶対可積分性の下での Fubini の定理による。左辺はhの重み付き可積分性からL{h}(s)へ収束し、結論を得る。▨
局所可積分なf,gだけを仮定しても、各R>0でf1[0,R]とg1[0,R]に重みσ0=0の定理を適用することにより、畳み込みはほとんど至る所で定まり、局所可積分となる。
定理 5.3 (Laplace 変換の畳み込み公式).f,g:[0,∞)→Cが局所的に区分連続で、それぞれ指数a,b∈Rの指数型増大をもつとする。F=L{f}、G=L{g}とする。このとき、式 (11) の畳み込みは全点で定まり、連続である。
Res>max{a,b}においてf∗gの Laplace 変換は絶対収束し、
L{f∗g}(s)=F(s)G(s)(12)が成り立つ。
証明. 各有限区間ではf,gは有界かつ区分連続なので、式 (11) の積分はすべてのt≥0で存在する。tn→tとし、t,tn∈[0,R]とする。gを負の半直線上で零に延長すると、[0,R]上の関数
1{u≤tn}f(u)g(tn−u)は、u=tおよびt−uがgの不連続点となる有限個のuを除いて、1{u≤t}f(u)g(t−u)へ収束する。被積分関数はf,gの局所有界性から共通の可積分な定数関数で支配される。従って§E9.7 定理 3.2により(f∗g)(tn)→(f∗g)(t)となる。
σ=Res>max{a,b}とすると、定理 1.4によりf,gは重みσについて可積分である。定理 5.2を適用すれば絶対収束と式 (12) を得る。f∗gは連続であるから、その Lebesgue 積分は絶対収束する広義積分による変換に一致する。▨
6 区分的外力をもつ初期値問題
Laplace 変換を用いて代数式を得ても、一般の反転定理を仮定しない限り、その代数式だけから元の関数が一意に決まるとは本記事では主張しない。以下では、基本的な変換対と時間移動から解の候補を構成し、元の微分方程式へ直接代入する。
命題 6.1.ω∈R∖{0}、f∈Lloc1([0,∞);C)とする。このとき、全点で定まる積分
y(t)=∫0tωsin(ω(t−u))f(u)duは、初期値問題
y′′+ω2y=fほとんど至る所,y(0)=y′(0)=0の一意なC1級かつy′∈AClocの解である。fが連続ならばy∈C2であり、方程式は全点で成立する。さらに、あるσ0∈Rについて∫0∞e−σ0t∣f(t)∣dt<∞ならば、任意のσ≥σ0かつσ>0に対してy,y′,y′′は重みσについて可積分であり、Res≥σで
Y(s)=s2+ω2F(s),Y=L{y},F=L{f}が成り立つ。
証明. 斉次方程式の解y1(t)=cos(ωt)、y2(t)=sin(ωt)/ωを取る。Wronskian は恒等的に1であるから、§E10.7 命題 5.4により基本解系である。§E10.9 系 4.1を初期値零で適用すると、一意な解は
y(t)=−cos(ωt)∫0tωsin(ωu)f(u)du+ωsin(ωt)∫0tcos(ωu)f(u)duとなる。正弦の加法公式から主張の積分表示を得る。核は各有限区間で有界なので、この積分はすべてのtで絶対収束する。解の正則性、一意性、および連続外力の場合のC2性も同じ定数変化公式から従う。
二つの積分は絶対連続であるから、§E10.2 定理 3.1 (2)で微分すると端点の項が相殺され、
y′(t)=∫0tcos(ω(t−u))f(u)duをほとんど至る所で得る。右辺は加法公式によって連続関数と不定積分の積の和に表されるので連続であり、y′との一致は全点へ広がる。
σ≥σ0かつσ>0とする。二つの核sin(ωt)/ωとcos(ωt)は重みσについて可積分である。定理 5.2の評価によりy,y′も同じ重みについて可積分であり、y′′=f−ω2yからy′′も可積分となる。基本変換対と畳み込み公式によりY=F/(s2+ω2)を得る。同時に、系 2.3を方程式へ適用すると(s2+ω2)Y=Fとなる。Res≥σ>0では分母は零でない。▨
例 6.2 (時刻 π から加わる一定外力). 初期値問題
y′′+y=Hπ(t),y(0+)=0,y′(0+)=0(15)を考える。解はC1級で、[0,π)と(π,∞)のそれぞれでC2級である区分的古典解として求める。
Hπは任意の正の指数重みについて可積分である。命題 6.1により一意解yが存在し、y,y′,y′′も任意の正の指数重みについて可積分である。Y(s)=L{y}(s)と置き、二階微分公式と式 (10) をRes>0で適用すると
(s2+1)Y(s)=se−πs.したがって
Y(s)=e−πss(s2+1)1=e−πs(s1−s2+1s).(16)基本的な変換対と時間移動の公式は、候補
y(t)=Hπ(t)(1−cos(t−π))(17)を与える。
この候補を直接検算する。0≤t<πではy=0であり、y′′+y=0=Hπである。t>πでは
y′=sin(t−π),y′′=cos(t−π),したがって
y′′+y=cos(t−π)+1−cos(t−π)=1=Hπ(t).t=πでは左右からy→0、y′→0であるためy,y′は連続である。二階導関数はこの一点で存在しないが、y′は各有限区間上で絶対連続であり、方程式はほとんどいたるところ、また各連続区間上で古典的に成り立つ。初期条件も満たす。命題 6.1の一意性により、式 (17) が求める区分的古典解である。
7 演習
問題 7.1 (問1:適用条件と収束半平面).f(t)=te2tとする。次の問いに答えよ。
- fが指数2の指数型増大をもたない一方、任意のδ>0に対して指数2+δの指数型増大をもつことを示せ。
- 定義積分からL{f}の絶対収束半平面と値を求めよ。
- 定理 2.4の仮定を確認し、その公式を直接計算と照合せよ。
解答.
te2t≤Me2tが十分大きいすべてのtで成り立つためにはt≤Mが必要になるため、指数2の評価は成立しない。一方、te−δtは[0,∞)上で有界であるから、あるMδが存在して
te2t≤Mδe(2+δ)tとなる。
Res>2では、基本的な変換対の計算をs−2へ適用して
L{te2t}(s)=∫0∞te−(s−2)tdt=(s−2)21.Res≤2では絶対値の被積分関数te−(Res−2)tの積分が発散するため、絶対収束半平面はRes>2である。
fは各有限区間上で絶対連続であり、
f′(t)=e2t+2te2tも任意の指数2+δの指数型増大をもつ。またf(0+)=0である。任意のsでRes>2ならば0<δ<Res−2を選ぶことができるため、定理 2.4を適用することができる。実際、
L{f′}(s)=s−21+(s−2)22=(s−2)2s=sL{f}(s)−f(0+)となる。▨
問題 7.2 (問2:区分的外力の構成と直接検算).c>0、ω∈R∖{0}とする。初期値問題
y′′+ω2y=Hc(t),y(0+)=y′(0+)=0について、基本的な変換対と時間移動から解候補を構成せよ。公式を適用する半平面を示し、候補がC1級の区分的古典解であることを元の方程式への代入によって確認せよ。
解答.
Hcと求める解候補は有界であり、導関数も区分ごとに有界になる。したがって、必要な Laplace 積分と微分公式はRes>0で適用することができる。変換後の式は
(s2+ω2)Y(s)=se−csであり、
Y(s)=s(s2+ω2)e−cs=ω2e−cs(s1−s2+ω2s).基本的な変換対と時間移動は
y(t)=ω2Hc(t)(1−cos(ω(t−c)))を候補として与える。0≤t<cではy=y′=0である。t>cでは
y′(t)=ωsin(ω(t−c)),y′′(t)=cos(ω(t−c)),であるから
y′′+ω2y=cos(ω(t−c))+1−cos(ω(t−c))=1.t=cではyとy′の左右の極限がともに0で一致する。したがってyはC1級で、二つの開区間ではC2級であり、方程式を各開区間上およびほとんどいたるところで満たす。初期条件も満たすため、この候補は求める区分的古典解である。▨