1 積分形の Grönwall 不等式
定理 1.1 (Grönwall の不等式).a<b、A≥0とし、u:[a,b]→[0,∞)を連続関数、ℓ,r∈L1([a,b])を非負関数とする。すべてのt∈[a,b]で
u(t)≤A+∫at(ℓ(s)u(s)+r(s))dsが成り立つならば、
u(t)≤Aexp(∫atℓ(s)ds)+∫atexp(∫stℓ(τ)dτ)r(s)ds(a≤t≤b)である。
また、すべてのt∈[a,b]で
u(t)≤A+∫tb(ℓ(s)u(s)+r(s))dsが成り立つならば、
u(t)≤Aexp(∫tbℓ(s)ds)+∫tbexp(∫tsℓ(τ)dτ)r(s)ds(a≤t≤b)である。
証明.
v(t)=A+∫at(ℓ(s)u(s)+r(s))ds,H(t)=∫atℓ(s)dsとおく。uは有界であり、ℓu+rは可積分であるから、§E10.2 定理 2.4によりv,Hは絶対連続である。右向きの不等式を仮定すると、0≤u≤vであり、ほとんど至る所で
v′=ℓu+r≤ℓv+r,H′=ℓとなる。§E10.2 定理 3.1 (1)と§E10.2 定理 3.1 (2)によりe−Hvは絶対連続であり、ほとんど至る所で
(e−Hv)′=e−H(v′−ℓv)≤e−Hrが成り立つ。§E10.2 定理 2.4の全点積分表示から
e−H(t)v(t)≤A+∫ate−H(s)r(s)dsを得る。eH(t)を掛け、u(t)≤v(t)とH(t)−H(s)=∫stℓ(τ)dτを用いると、右向きの評価を得る。
左向きの不等式を仮定し、
w(t)=A+∫tb(ℓ(s)u(s)+r(s))dsとおく。wは絶対連続で、0≤u≤wである。ほとんど至る所で
w′=−ℓu−r≥−ℓw−r,(eHw)′=eH(w′+ℓw)≥−eHrとなる。tからbまで積分し、w(b)=Aを用いると
eH(t)w(t)≤eH(b)A+∫tbeH(s)r(s)dsである。e−H(t)を掛け、u(t)≤w(t)を用いて左向きの評価を得る。▨
系 1.2 (Grönwall の不等式).a<bとし、u,r:[a,b]→[0,∞)を連続関数、A,L≥0とする。任意のt∈[a,b]について
u(t)≤A+∫at(Lu(s)+r(s))dsが成り立つならば、
u(t)≤AeL(t−a)+∫ateL(t−s)r(s)ds(a≤t≤b)である。
証明.定理 1.1にℓ(t)=Lを代入する。連続関数rは有限閉区間上で可積分であり、∫stℓ(τ)dτ=L(t−s)であるから、結論を得る。▨
系 1.3.a<b、A,L≥0とし、u:[a,b]→[0,∞)が連続で、
u(t)≤A+L∫atu(s)dsを満たすならば、
u(t)≤AeL(t−a)である。とくにA=0ならば、uは[a,b]上で恒等的に零である。
証明.系 1.2でr=0と置けばよい。▨
指数因子は単なる証明上の上界ではない。L≥0、z(a)≥0に対して、方程式z′=Lzの解z(t)=z(a)eL(t−a)では等号が成り立つため、一般にこの増大率をより小さい形へ置き換えることはできない。
2 二つの絶対連続解の比較
定理 2.1.d∈N≥1とし、Rdにノルム∥⋅∥を固定する。a<b、J=[a,b]、t0∈J、S⊆J×Rdとし、f,g:S→Rdを写像とする。y,z:J→Rdは絶対連続で、そのグラフはSに含まれ、ほとんど至る所で
y′=f(t,y),z′=g(t,z)を満たすとする。非負関数ℓ,r∈L1(J)と Lebesgue 零集合N⊆Jが存在し、すべてのt∈J∖Nと、(t,u),(t,v)∈Sを満たすすべての状態対に対して
∥g(t,u)−g(t,v)∥≤ℓ(t)∥u−v∥,∥g(t,y(t))−f(t,y(t))∥≤r(t)が成り立つと仮定する。δ=∥z(t0)−y(t0)∥とおくと、t0≤t≤bで
∥z(t)−y(t)∥≤δexp(∫t0tℓ(s)ds)+∫t0texp(∫stℓ(τ)dτ)r(s)ds,a≤t≤t0で
∥z(t)−y(t)∥≤δexp(∫tt0ℓ(s)ds)+∫tt0exp(∫tsℓ(τ)dτ)r(s)dsとなる。特に
t∈Jmax∥z(t)−y(t)∥≤exp(∫abℓ(s)ds)(δ+∫abr(s)ds)である。
証明.§E10.2 定理 2.4により、二つの解の差は全点で
z(t)−y(t)=z(t0)−y(t0)+∫t0t(g(s,z(s))−f(s,y(s)))dsと表される。両合成は可積分な導関数とほとんど至る所で一致するから可積分である。共通零集合Nの外で
∥g(s,z(s))−f(s,y(s))∥≤∥g(s,z(s))−g(s,y(s))∥+∥g(s,y(s))−f(s,y(s))∥≤ℓ(s)∥z(s)−y(s)∥+r(s)である。u(t)=∥z(t)−y(t)∥は非負連続であり、§E10.4 補題 3.1により
u(t)≤δ+∫t0t(ℓu+r)(s)ds(t≥t0),u(t)≤δ+∫tt0(ℓu+r)(s)ds(t≤t0)を満たす。定理 1.1を[t0,b]と[a,t0]のうち長さが正の区間へ適用して、二つの評価を得る。t=t0の評価はu(t0)=δによる。ℓ,r≥0なので、各部分区間の積分を[a,b]の積分で抑えれば最後の評価が従う。▨
3 閉管内の共通存在区間
定理 3.1.d∈N≥1とし、Rdにノルム∥⋅∥を固定する。Ω⊆R×Rdを開集合とし、f,g:Ω→Rdはそれぞれ Carathéodory 条件と時間について可積分な Lipschitz 係数の条件を局所的に満たすとする。a<b、J=[a,b]とし、y:J→Rdをy′=f(t,y)の絶対連続解とする。ρ>0に対して
K={(t,u)∈J×Rd:∥u−y(t)∥≤ρ}⊆Ωと仮定する。
非負関数ℓ,r∈L1(J)と Lebesgue 零集合N⊆Jが存在し、すべてのt∈J∖Nと、(t,u),(t,v)∈Kを満たすすべての状態対に対して
∥g(t,u)−g(t,v)∥≤ℓ(t)∥u−v∥,∥g(t,y(t))−f(t,y(t))∥≤r(t)が成り立つとする。η∈Rdに対して
δ=∥η−y(a)∥,Q=exp(∫abℓ(s)ds)(δ+∫abr(s)ds)<ρならば、初期値問題
z′=g(t,z),z(a)=ηはJ全体に絶対連続解をもち、
t∈Jmax∥z(t)−y(t)∥≤Q<ρとなる。この解は同じ初期値をもつJ上の絶対連続解の中で一意である。
証明.δ≤Q<ρより(a,η)∈K⊆Ωである。§E10.5 定理 2.1により、z(a)=ηを満たす最大絶対連続解z:(α,β)→Rdを取る。α<a<βである。また、Kは連続写像
J×{v:∥v∥≤ρ}⟶R×Rd,(t,v)⟼(t,y(t)+v)によるコンパクト集合の像なのでコンパクトである。
a<c≤b、c<βを満たすcを取り、u(t)=∥z(t)−y(t)∥とおく。[a,c]にu(t)≥ρとなる点が存在すると仮定する。uの連続性により、集合{t∈[a,c]:u(t)≥ρ}は最小元τをもち、u(a)=δ<ρからa<τ、u(τ)=ρである。a≤t≤τでは二つの解のグラフはKに含まれる。定理 2.1を[a,τ]とS=K∩([a,τ]×Rd)に適用すると
u(τ)≤exp(∫aτℓ(s)ds)(δ+∫aτr(s)ds)≤Q<ρとなり、u(τ)=ρと両立しない。従って[a,c]全体でu<ρである。両グラフがKに含まれるので、同じ比較定理を[a,c]全体へ適用してu(t)≤Qを得る。
β≤bと仮定する。任意のt∈[a,β)に対してt<c<βとなるcを取ると、直前の評価から(t,z(t))∈Kである。βは有限で、K⊆Ωはコンパクトであるから、§E10.5 定理 4.1によりzはβを越えて延長することができる。最大性に反するのでβ>bである。c=bとして得られる評価が結論の不等式である。
同じ初期値をもつ別のJ上の絶対連続解zを取る。zに対しても、c=bとして最初の離脱時刻を取る議論を適用すると、そのグラフはKに含まれる。定理 2.1をS=K上の二つの右辺g,gと二解z,zに適用する。初期値の差と右辺の差はともに零なので、z=z∣Jである。▨
系 3.2.d∈N≥1とし、Rdにノルムを固定する。Ω⊆R×Rdを開集合とし、f:Ω→Rdと各n∈N≥1に対するfn:Ω→Rdは、それぞれ Carathéodory 条件と時間について可積分な Lipschitz 係数の条件を局所的に満たすとする。a<b、J=[a,b]、ρ>0とし、y:J→Rdをfに対する絶対連続解とする。その閉管
K={(t,u):t∈J, ∥u−y(t)∥≤ρ}はΩに含まれるとする。
非負関数ℓ∈L1(J)、各n∈N≥1に対する非負関数rn∈L1(J)、Lebesgue 零集合N⊆Jが存在し、すべてのn∈N≥1、t∈J∖Nと、(t,u),(t,v)∈Kを満たすすべての状態対に対して
∥fn(t,u)−fn(t,v)∥≤ℓ(t)∥u−v∥,∥fn(t,y(t))−f(t,y(t))∥≤rn(t)が成り立つと仮定する。初期値列ηn∈Rdが
δn=∥ηn−y(a)∥,δn+∫abrn(s)ds⟶0を満たすならば、十分大きいすべてのnに対して
yn′=fn(t,yn),yn(a)=ηnの絶対連続解ynがJ全体に一意に存在し、
t∈Jmax∥yn(t)−y(t)∥≤exp(∫abℓ(s)ds)(δn+∫abrn(s)ds)⟶0となる。
証明.
Qn=exp(∫abℓ(s)ds)(δn+∫abrn(s)ds)とおく。指数因子はnに依存しない有限な定数なので、Qn→0である。従って、あるn0∈N≥1が存在し、n≥n0ならばQn<ρとなる。各n≥n0に定理 3.1をg=fn、r=rn、η=ηnとして適用すると、共通区間J上の一意な解とQnによる評価を得る。▨
4 連続な右辺と一様誤差の場合
系 4.1.d∈N≥1とし、Rdにノルム∥⋅∥を固定する。a<b、J=[a,b]、D⊆Rdとし、
f,g:J×D→Rdを連続とする。ある共通の定数L≥0に対して
∥f(t,u)−f(t,v)∥∥g(t,u)−g(t,v)∥≤L∥u−v∥,≤L∥u−v∥が、t∈Jとu,v∈Dについて成り立つと仮定する。また、
ε=(t,u)∈J×Dsup∥f(t,u)−g(t,u)∥<∞とする。
y,z:J→Dがそれぞれ
y′=f(t,y),z′=g(t,z)を満たすならば、t∈Jに対して
∥y(t)−z(t)∥≤eL(t−a)∥y(a)−z(a)∥+ε∫ateL(t−s)dsである。すなわち、L>0ならば
∥y(t)−z(t)∥≤eL(t−a)∥y(a)−z(a)∥+Lε(eL(t−a)−1),L=0ならば
∥y(t)−z(t)∥≤∥y(a)−z(a)∥+ε(t−a)である。
証明. 二つの解の導関数は連続であるから、両解はJ上で絶対連続である。定理 2.1にS=J×D、t0=a、ℓ=L、r=εを代入すると、最初の評価を得る。L>0ならば
∫ateL(t−s)ds=LeL(t−a)−1,L=0ならば積分はt−aである。従って残りの二式も成り立つ。▨
系 4.2.d∈N≥1とし、Rdにノルム∥⋅∥を固定する。I⊆Rを開区間、D⊆Rdを開集合とし、a<b、J=[a,b]⊆Iとする。f,g:I×D→Rdは連続であり、状態変数について局所 Lipschitz 連続であるとする。y:J→Dをy′=f(t,y)の解とし、あるr>0に対して
K={(t,u)∈J×Rd:∥u−y(t)∥≤r}がI×Dに含まれるコンパクト集合であると仮定する。定数L,ε≥0が存在し、任意のt∈Jとu,v∈Dに対して
∥f(t,u)−f(t,v)∥∥g(t,u)−g(t,v)∥∥f(t,u)−g(t,u)∥≤L∥u−v∥,≤L∥u−v∥,≤εが成り立つとする。η∈Rdに対して
δ=∥η−y(a)∥,Q=eL(b−a)(δ+(b−a)ε)<rならば、初期値問題
z′=g(t,z),z(a)=ηはJ上に解z:J→Dをもち、
t∈Jmax∥z(t)−y(t)∥≤Q<rが成り立つ。
証明.§E10.5 補題 5.1によりf,gは局所的な Carathéodory 条件と可積分 Lipschitz 係数の条件を満たす。定理 3.1にΩ=I×D、ρ=r、ℓ(t)=L、誤差関数として定数εを代入する。このとき
exp(∫abℓ(s)ds)(δ+∫abεds)=eL(b−a)(δ+(b−a)ε)=Q<rであるから、J上の絶対連続解と評価を得る。gは連続であるため、得られた解は§E10.5 補題 5.1により古典解である。▨
系 4.3.d∈N≥1とし、Rdにノルム∥⋅∥を固定する。a<b、J=[a,b]、D⊆Rd、L≥0とする。写像f:J×D→Rdが状態変数について Lipschitz 定数Lをもち、y,z:J→Dが同じ方程式
u′=f(t,u)の古典解ならば、
∥y(t)−z(t)∥≤eL(t−a)∥y(a)−z(a)∥(t∈J)である。
証明.定理 2.1にS=J×D、g=f、t0=a、ℓ=L、r=0を代入する。古典解は絶対連続であるから、同定理の評価が成り立つ。▨
証明. 各nに対して定理 2.1にg=fn、z=yn、S=J×D、t0=a、ℓ=L、r=εnを代入すると、
t∈Jmax∥yn(t)−y(t)∥≤eL(b−a)(δn+(b−a)εn)を得る。右辺は零へ収束する。Lによる除算を含まないため、L=0の場合もこの評価に含まれる。▨
ここで仮定した共通区間上の存在は、初期値や右辺の収束だけからは従わない。既知解の閉管が開定義域に含まれ、右辺が局所存在条件を満たす場合には、系 3.2が十分大きい添字に対する共通区間上の存在を与える。
5 計算例
例 5.1 (線形方程式における評価の鋭さ).T>0、λ≥0、η,y0,z0∈Rとし、
y′=λy,z′=λz+ηを[0,T]上で考える。二つの初期値をy(0)=y0、z(0)=z0とする。右辺の状態変数に関する共通 Lipschitz 定数はL=λであり、同じ状態における右辺の差は∣η∣である。系 4.1は、λ>0のとき
∣y(t)−z(t)∣≤eλt∣y0−z0∣+λ∣η∣(eλt−1)を与える。
λ>0のとき、実際の解は
y(t)=eλty0,z(t)=eλtz0+λη(eλt−1)である。y0−z0と−ηの符号が同じ場合には三角不等式で損失がなく、上の評価で等号が成り立つ。したがって、指数因子と右辺摂動の積分項はいずれも一般に必要である。
λ=0のときはy(t)=y0、z(t)=z0+ηtであり、
∣y(t)−z(t)∣≤∣y0−z0∣+∣η∣tとなる。
例 5.2.n∈N≥1に対して、R上の関数を
rn(t)=n1(0,1/n2)(t)とおく。f(t,u)=0、fn(t,u)=rn(t)はR×R上で局所的な Carathéodory 条件を満たし、状態についての Lipschitz 係数はℓ=0である。J=[0,1]、基準解y=0、ρ=1、初期値ηn=0とすると、閉管は[0,1]×[−1,1]であり、
t∈Jsuprn(t)=n,∫01rn(t)dt=n1となる。従って系 3.2は、外力が一様には零へ収束しなくても、解がJ上で零へ一様収束することを与える。
実際、
yn(t)=∫0trn(s)ds=nmin{t,1/n2}(0≤t≤1)は絶対連続で、ほとんど至る所でyn′=rn、yn(0)=0を満たす。従って
0≤t≤1max∣yn(t)∣=n1であり、積分誤差による上界はこの例で等号となる。
6 演習
問題 6.1 (固定した区間と増大する時刻). 各n∈N≥1に対して、初期値問題
yn′=yn,yn(0)=n1の解をyn(t)=et/nとし、同じ方程式の零解をy(t)=0とする。任意の固定したT>0に対して、ynが[0,T]上でyへ一様収束することを示せ。一方、tn=lognにおける差を計算し、[0,∞)上での一様収束は成り立たないことを示せ。
解答.
yn′(t)=et/n=yn(t)、yn(0)=1/nであるから、ynは指定された初期値問題の解である。零関数もy′=yの解である。etは増加するので、任意の固定したT>0について
0≤t≤Tmax∣yn(t)−y(t)∣=neT⟶0である。これは系 4.4においてJ=[0,T]、D=R、fn(t,u)=f(t,u)=u、L=1、δn=1/n、εn=0とした評価にも一致する。
n≥1よりtn=logn≥0であり、
∣yn(tn)−y(tn)∣=nelogn=1である。したがって、どのnに対しても[0,∞)上のすべての時刻で差を1/2未満にすることはできず、この区間上での一様収束は成り立たない。tn→∞であるから、固定された[0,T]上での一様収束とは両立する。▨
問題 6.2 (Grönwall の証明と摂動評価).a<bとし、連続関数u:[a,b]→[0,∞)が
u(t)≤A+∫at(Lu(s)+r(s))dsを満たすとする。ここでA,L≥0であり、r:[a,b]→[0,∞)は連続である。補助関数
v(t)=A+∫at(Lu(s)+r(s))dsと積分因子を用いて、積分形の Grönwall の不等式を再証明せよ。
次に、d∈N≥1とし、Rdに一つのノルムを固定する。連続な右辺に対するy′=f(t,y)とz′=g(t,z)の解が共通区間J=[a,b]上で共通集合Dに値を取り、fとgがD上で共通の Lipschitz 定数Lをもつとする。さらに
(t,u)∈J×Dsup∥f(t,u)−g(t,u)∥≤εとする。二つの解の差を評価し、L=0の場合も明記せよ。
解答.
仮定から0≤u(t)≤v(t)であり、
v′(t)=Lu(t)+r(t)≤Lv(t)+r(t)である。したがって、
dtd(e−L(t−a)v(t))≤e−L(t−a)r(t)となる。aからtまで積分してv(a)=Aを用いると、
u(t)≤v(t)≤AeL(t−a)+∫ateL(t−s)r(s)dsを得る。
二つの積分方程式を差し引き、積分内の差を
f(s,y(s))−g(s,z(s))=f(s,y(s))−f(s,z(s))+f(s,z(s))−g(s,z(s))と分ける。Grönwall の不等式をu(t)=∥y(t)−z(t)∥、A=∥y(a)−z(a)∥、r(t)=εに適用すると、
∥y(t)−z(t)∥≤eL(t−a)∥y(a)−z(a)∥+ε∫ateL(t−s)dsを得る。L>0ならば右辺の第二項はε(eL(t−a)−1)/Lであり、L=0ならば評価は
∥y(t)−z(t)∥≤∥y(a)−z(a)∥+ε(t−a)となる。共通区間、共通集合、共通ノルム、および共通の Lipschitz 定数を用いることが、この比較には必要である。▨