§E7.8同型定理

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群準同型は、核に属する元をすべて単位元へ移す。第一同型定理は、この情報を「核による商群と像が同型である」という形で正確に述べる。第二・第三同型定理と対応定理は、部分群と商群の関係を同じ構成原理から導く。

§E7.3 定義 2.1と§E7.7 定理 1.3を区別して用いることが重要である。核が正規部分群であることを確認した後に限り、核による商群を形成することができる。

1 第一同型定理

証明では、準同型の核をNNとおき、正規性によって商群G/NG/Nを構成する。次に、剰余類gNgNをφ(g)\varphi(g)へ送る写像の代表元独立性と準同型性を確認する。像を終域とすることから全射性を得て、誘導写像の核が単位剰余類だけであることを示す。最後に、核による単射判定を用いて群同型へ帰着させる。

定理 1.1 (第一同型定理). 群準同型φ ⁣:G→H\varphi\colon G\to Hに対して、写像

φ‾ ⁣:G/ker⁡φ⟶im⁡φ,gker⁡φ⟼φ(g)(1)\overline\varphi\colon G/\ker\varphi\longrightarrow\operatorname{im}\varphi, \qquad g\ker\varphi\longmapsto\varphi(g) \tag{1}

は群同型である。したがって

G/ker⁡φ≅im⁡φG/\ker\varphi\cong\operatorname{im}\varphi

が成り立つ。

証明.N=ker⁡φN=\ker\varphiとおく。§E7.7 定理 1.3によりN⊴GN\trianglelefteq Gであるから、商群G/NG/Nを形成することができる。また、§E7.3 命題 2.2によりim⁡φ≤H\operatorname{im}\varphi\leq Hである。

初めに式 (1) が代表元によらないことを示す。gN=g′NgN=g'Nならばg−1g′∈N=ker⁡φg^{-1}g'\in N=\ker\varphiである。したがって

φ(g)−1φ(g′)=φ(g−1g′)=eH\varphi(g)^{-1}\varphi(g') =\varphi(g^{-1}g') =e_H

であり、φ(g)=φ(g′)\varphi(g)=\varphi(g')を得る。よってφ‾\overline\varphiは写像として定まる。

g,h∈Gg,h\in Gに対して

φ‾((gN)(hN))=φ‾(ghN)=φ(gh)=φ(g)φ(h)=φ‾(gN)φ‾(hN)\overline\varphi\bigl((gN)(hN)\bigr) =\overline\varphi(ghN) =\varphi(gh) =\varphi(g)\varphi(h) =\overline\varphi(gN)\overline\varphi(hN)

であるため、φ‾\overline\varphiは群準同型である。im⁡φ\operatorname{im}\varphiの任意の元はφ(g)\varphi(g)と表されるため、φ‾\overline\varphiは全射である。さらに

ker⁡φ‾={gN∣φ(g)=eH}={gN∣g∈N}={N}\ker\overline\varphi =\{gN\mid \varphi(g)=e_H\} =\{gN\mid g\in N\} =\{N\}

である。§E7.3 命題 2.2からφ‾\overline\varphiは単射である。以上によりφ‾\overline\varphiは群同型である。▨

第一同型定理の写像は、§E7.7 定理 2.3をN=ker⁡φN=\ker\varphiに適用して得られる誘導準同型を、終域im⁡φ\operatorname{im}\varphiへ制限したものである。

例 1.2 (第一同型定理の使いどころ). 整数n≥1n\geq 1に対して

ρn ⁣:Z⟶Z/nZ,k⟼k+nZ\rho_n\colon\mathbb Z\longrightarrow\mathbb Z/n\mathbb Z, \qquad k\longmapsto k+n\mathbb Z

は全射準同型であり、ker⁡ρn=nZ\ker\rho_n=n\mathbb Zである。第一同型定理から

Z/nZ≅im⁡ρn=Z/nZ\mathbb Z/n\mathbb Z \cong\operatorname{im}\rho_n =\mathbb Z/n\mathbb Z

を得る。この例では同型そのものは恒等的であるが、核によって割る操作が合同類を作ることを示している。

また、符号準同型

sgn⁡ ⁣:Sn⟶{1,−1}\operatorname{sgn}\colon S_n\longrightarrow\{1,-1\}

の核は交代群AnA_nであり、n≥2n\geq 2ならば全射である。したがって

Sn/An≅{1,−1}S_n/A_n\cong\{1,-1\}

となる。

定義 1.3.KKを可換体、K×=K∖{0}K^\times=K\setminus\{0\}とし、n≥2n\geq 2とする。KnK^nの一次元部分空間全体の集合を

Pn−1(K)={Kv∣v∈Kn∖{0}}\mathbb P^{n-1}(K) =\{Kv\mid v\in K^n\setminus\{0\}\}

と書き、射影空間 (projective space) という。00でないベクトルvvが定める点KvKvを[v][v]とも書く。また、Pn−1(K)\mathbb P^{n-1}(K)の全単射全体の集合をBij⁡(Pn−1(K))\operatorname{Bij}(\mathbb P^{n-1}(K))と書く。

命題 1.4.KKを可換体、n≥2n\geq 2とする。Bij⁡(Pn−1(K))\operatorname{Bij}(\mathbb P^{n-1}(K))は写像の合成に関して群である。また、写像

Ψ ⁣:GL⁡n(K)⟶Bij⁡(Pn−1(K)),Ψ(A)([v])=[Av]\Psi\colon\operatorname{GL}_n(K) \longrightarrow\operatorname{Bij}(\mathbb P^{n-1}(K)), \qquad \Psi(A)([v])=[Av]

は群準同型であり、その核はZn(K)Z_n(K)である。したがって第一同型定理により

PGL⁡n(K)≅im⁡Ψ\operatorname{PGL}_n(K) \cong\operatorname{im}\Psi

である。特に、誘導準同型

Ψ‾ ⁣:PGL⁡n(K)⟶Bij⁡(Pn−1(K)),AZn(K)⟼Ψ(A)\overline\Psi\colon\operatorname{PGL}_n(K) \longrightarrow\operatorname{Bij}(\mathbb P^{n-1}(K)), \qquad AZ_n(K)\longmapsto\Psi(A)

は単射であり、PGL⁡n(K)\operatorname{PGL}_n(K)はPn−1(K)\mathbb P^{n-1}(K)に忠実に作用する。

証明. 全単射の合成は全単射であり、写像の合成は結合的である。恒等写像が単位元であり、全単射の逆写像も全単射であるから、Bij⁡(Pn−1(K))\operatorname{Bij}(\mathbb P^{n-1}(K))は群である。

[v]=[w][v]=[w]ならば、あるλ∈K×\lambda\in K^\timesによってw=λvw=\lambda vと書くことができる。このときAw=λAvAw=\lambda Avであるから[Aw]=[Av][Aw]=[Av]である。また、AAは可逆であるためv≠0v\neq0ならばAv≠0Av\neq0である。したがってΨ(A)\Psi(A)は射影空間上の写像として well-defined であり、Ψ(A−1)\Psi(A^{-1})がその逆写像であるため全単射である。さらに

Ψ(AB)([v])=[ABv]=Ψ(A)([Bv])=(Ψ(A)∘Ψ(B))([v])\Psi(AB)([v]) =[ABv] =\Psi(A)([Bv]) =(\Psi(A)\circ\Psi(B))([v])

であるから、Ψ\Psiは群準同型である。

λ∈K×\lambda\in K^\timesに対してΨ(λIn)([v])=[λv]=[v]\Psi(\lambda I_n)([v])=[\lambda v]=[v]であるからZn(K)⊆ker⁡ΨZ_n(K)\subseteq\ker\Psiである。逆にA∈ker⁡ΨA\in\ker\Psiとする。e1,…,ene_1,\ldots,e_nをKnK^nの標準基底とすると、各直線KeiKe_iがAAによって固定されるため、

Aei=λiei(λi∈K×)Ae_i=\lambda_i e_i \qquad(\lambda_i\in K^\times)

と書くことができる。i≠ji\neq jに対して直線K(ei+ej)K(e_i+e_j)も固定されるから、あるμ∈K×\mu\in K^\timesによって

λiei+λjej=A(ei+ej)=μ(ei+ej)\lambda_i e_i+\lambda_j e_j =A(e_i+e_j) =\mu(e_i+e_j)

と書くことができる。基底に関する係数を比較するとλi=μ=λj\lambda_i=\mu=\lambda_jである。したがってすべてのλi\lambda_iは等しく、A=λIn∈Zn(K)A=\lambda I_n\in Z_n(K)である。ゆえに

ker⁡Ψ=Zn(K).\ker\Psi=Z_n(K).

定理 1.1と§E7.7 定義 3.4からPGL⁡n(K)≅im⁡Ψ\operatorname{PGL}_n(K)\cong\operatorname{im}\Psiを得る。この同型写像を像の包含写像と合成して得る写像がΨ‾\overline\Psiである。この写像の核は単位剰余類だけであるから単射である。▨

この構成をn=2n=2の同次座標で表す具体式は、群作用を扱う後続の記事で導く。

2 第二同型定理

証明では、積集合HNHNが一段階部分群判定を満たすことから始める。次に、NNとH∩NH\cap Nの共役を調べ、必要な二つの正規性を確立する。HHからHN/NHN/Nへの標準的な写像について、準同型性、全射性、核を順に求める。最後に、その写像へ第一同型定理を適用することへ帰着させる。

定理 2.1 (第二同型定理). 群GGの部分群H≤GH\leq Gと正規部分群N⊴GN\trianglelefteq Gに対して、次が成り立つ。

  1. HN={hn∣h∈H, n∈N}HN=\{hn\mid h\in H,\ n\in N\}はGGの部分群である。
  2. N⊴HNN\trianglelefteq HNかつH∩N⊴HH\cap N\trianglelefteq Hである。
  3. 写像 θ ⁣:H⟶HN/N,h⟼hN(2)\theta\colon H\longrightarrow HN/N,\qquad h\longmapsto hN \tag{2} は全射群準同型であり、ker⁡θ=H∩N\ker\theta=H\cap Nである。

したがって

H/(H∩N)≅HN/NH/(H\cap N)\cong HN/N

が成り立つ。同型はh(H∩N)↦hNh(H\cap N)\mapsto hNによって与えられる。

証明.eG=eGeG∈HNe_G=e_Ge_G\in HNである。h1n1,h2n2∈HNh_1n_1,h_2n_2\in HNに対して

(h1n1)(h2n2)−1=h1n1n2−1h2−1=h1h2−1(h2n1n2−1h2−1)(h_1n_1)(h_2n_2)^{-1} =h_1n_1n_2^{-1}h_2^{-1} =h_1h_2^{-1}\bigl(h_2n_1n_2^{-1}h_2^{-1}\bigr)

である。h1h2−1∈Hh_1h_2^{-1}\in Hであり、N⊴GN\trianglelefteq Gからh2n1n2−1h2−1∈Nh_2n_1n_2^{-1}h_2^{-1}\in Nである。したがって§E7.2 命題 1.2によりHN≤GHN\leq Gである。

x∈HNx\in HNとn∈Nn\in Nに対して、N⊴GN\trianglelefteq Gからxnx−1∈Nxnx^{-1}\in Nである。ゆえにN⊴HNN\trianglelefteq HNである。また、h∈Hh\in Hとx∈H∩Nx\in H\cap Nに対してhxh−1∈Hhxh^{-1}\in Hかつhxh−1∈Nhxh^{-1}\in Nであるからhxh−1∈H∩Nhxh^{-1}\in H\cap Nである。したがってH∩N⊴HH\cap N\trianglelefteq Hである。

N⊴HNN\trianglelefteq HNであるため、式 (2) の終域は商群である。h1,h2∈Hh_1,h_2\in Hに対して

θ(h1h2)=h1h2N=(h1N)(h2N)=θ(h1)θ(h2)\theta(h_1h_2)=h_1h_2N=(h_1N)(h_2N)=\theta(h_1)\theta(h_2)

であるから、θ\thetaは群準同型である。任意のhnN∈HN/NhnN\in HN/Nに対してhnN=hN=θ(h)hnN=hN=\theta(h)であるため、θ\thetaは全射である。さらに

ker⁡θ={h∈H∣hN=N}=H∩N\ker\theta =\{h\in H\mid hN=N\} =H\cap N

である。第一同型定理をθ\thetaに適用するとH/(H∩N)≅HN/NH/(H\cap N)\cong HN/Nを得る。第一同型定理の標準的な写像から、この同型はh(H∩N)↦hNh(H\cap N)\mapsto hNで与えられる。▨

3 対応定理

証明では、標準射影による部分群の像と逆像から二つの対応を構成する。両者の合成を計算して互いに逆であることを示し、包含関係の保存を確認する。次に、共役の計算によって正規性が対応することを証明する。最後に、二段階の剰余類の間の写像が全単射であることを示し、指数の一致へ帰着させる。

定理 3.1 (部分群の対応定理).N⊴GN\trianglelefteq Gとし、標準射影をqN ⁣:G→G/Nq_N\colon G\to G/Nとする。対応

{K≤G∣N⊆K}⟶{L≤G/N},K⟼K/N(3)\{K\leq G\mid N\subseteq K\} \longrightarrow \{L\leq G/N\}, \qquad K\longmapsto K/N \tag{3}

は全単射であり、その逆対応は

L⟼qN−1(L)(4)L\longmapsto q_N^{-1}(L) \tag{4}

である。この対応は包含関係を保ち、次の性質を満たす。

  1. K⊴GK\trianglelefteq GであることとK/N⊴G/NK/N\trianglelefteq G/Nであることは同値である。
  2. 左剰余類の集合の間の写像 G/K⟶(G/N)/(K/N),gK⟼(gN)(K/N)(5)G/K\longrightarrow (G/N)/(K/N), \qquad gK\longmapsto (gN)(K/N) \tag{5} は全単射である。したがって、有限または無限の指数について[G:K]=[G/N:K/N][G:K]=[G/N:K/N]が成り立つ。

証明.N⊆K≤GN\subseteq K\leq Gとする。qN(K)=K/N={kN∣k∈K}q_N(K)=K/N=\{kN\mid k\in K\}は準同型による部分群の像であるからG/NG/Nの部分群である。逆に、L≤G/NL\leq G/Nに対してqN−1(L)q_N^{-1}(L)は部分群である。実際、a,b∈qN−1(L)a,b\in q_N^{-1}(L)ならば

qN(ab−1)=qN(a)qN(b)−1∈Lq_N(ab^{-1})=q_N(a)q_N(b)^{-1}\in L

である。

N⊆KN\subseteq Kから

qN−1(K/N)=K(6)q_N^{-1}(K/N)=K \tag{6}

が成り立つ。k∈Kk\in KならばqN(k)=kN∈K/Nq_N(k)=kN\in K/Nであるから、K⊆qN−1(K/N)K\subseteq q_N^{-1}(K/N)である。g∈qN−1(K/N)g\in q_N^{-1}(K/N)ならば、あるk∈Kk\in Kに対してgN=kNgN=kNである。したがってk−1g∈N⊆Kk^{-1}g\in N\subseteq Kであり、g∈Kg\in Kとなる。また、qNq_Nは全射であるから、任意のL≤G/NL\leq G/Nに対して

qN(qN−1(L))=L(7)q_N(q_N^{-1}(L))=L \tag{7}

が成り立つ。(6) と (7) により、(3) と (4) は互いに逆である。像と逆像はいずれも包含関係を保つため、この対応も包含関係を保つ。

K⊴GK\trianglelefteq Gとする。gN∈G/NgN\in G/NとkN∈K/NkN\in K/Nに対して

(gN)(kN)(gN)−1=gkg−1N∈K/N(gN)(kN)(gN)^{-1}=gkg^{-1}N\in K/N

であるから、K/N⊴G/NK/N\trianglelefteq G/Nである。逆にK/N⊴G/NK/N\trianglelefteq G/Nとする。g∈Gg\in Gとk∈Kk\in Kに対して

qN(gkg−1)=(gN)(kN)(gN)−1∈K/Nq_N(gkg^{-1}) =(gN)(kN)(gN)^{-1} \in K/N

である。(6) からgkg−1∈Kgkg^{-1}\in Kとなるため、K⊴GK\trianglelefteq Gである。

最後に式 (5) を調べる。gK=g′KgK=g'Kならばg−1g′∈Kg^{-1}g'\in Kであるから(gN)−1(g′N)=g−1g′N∈K/N(gN)^{-1}(g'N)=g^{-1}g'N\in K/Nとなる。したがって式 (5) は代表元によらない。任意の(gN)(K/N)(gN)(K/N)はgKgKの像であるから全射である。二つの像が等しいならば(gN)−1(g′N)∈K/N(gN)^{-1}(g'N)\in K/Nであり、あるk∈Kk\in Kに対してg−1g′N=kNg^{-1}g'N=kNとなる。よってk−1g−1g′∈N⊆Kk^{-1}g^{-1}g'\in N\subseteq Kであり、g−1g′∈Kg^{-1}g'\in KとなるためgK=g′KgK=g'Kである。ゆえに式 (5) は単射でもある。剰余類集合の全単射から指数の等式が従う。▨

4 第三同型定理

証明では、対応定理を用いてK/NK/NのG/NG/Nにおける正規性を確立する。次に、gNgNをgKgKへ送る写像の代表元独立性と準同型性を確認する。この写像の全射性を示し、核をK/NK/Nと同定する。最後に、第一同型定理を適用して二段階の商をG/KG/Kへ帰着させる。

定理 4.1 (第三同型定理).N⊴GN\trianglelefteq G、K⊴GK\trianglelefteq G、およびN⊆KN\subseteq Kを仮定する。このときK/N⊴G/NK/N\trianglelefteq G/Nであり、写像

ψ ⁣:G/N⟶G/K,gN⟼gK(8)\psi\colon G/N\longrightarrow G/K, \qquad gN\longmapsto gK \tag{8}

は全射群準同型で、その核はK/NK/Nである。したがって

(G/N)/(K/N)≅G/K(G/N)/(K/N)\cong G/K

が成り立つ。同型は(gN)(K/N)↦gK(gN)(K/N)\mapsto gKによって与えられる。

証明.定理 3.1によりK/N⊴G/NK/N\trianglelefteq G/Nである。

式 (8) が代表元によらないことを示す。gN=g′NgN=g'Nならばg−1g′∈N⊆Kg^{-1}g'\in N\subseteq KであるからgK=g′KgK=g'Kとなる。したがってψ\psiは写像として定まる。g,h∈Gg,h\in Gに対して

ψ((gN)(hN))=ψ(ghN)=ghK=(gK)(hK)=ψ(gN)ψ(hN)\psi\bigl((gN)(hN)\bigr) =\psi(ghN) =ghK =(gK)(hK) =\psi(gN)\psi(hN)

であるから、ψ\psiは群準同型である。任意のgK∈G/KgK\in G/KはgNgNの像であるため、ψ\psiは全射である。また

ker⁡ψ={gN∈G/N∣gK=K}={gN∣g∈K}=K/N\ker\psi =\{gN\in G/N\mid gK=K\} =\{gN\mid g\in K\} =K/N

である。第一同型定理をψ\psiに適用すると(G/N)/(K/N)≅G/K(G/N)/(K/N)\cong G/Kを得る。標準的な同型は(gN)(K/N)↦gK(gN)(K/N)\mapsto gKである。▨

例 4.2 (整数群における第三同型定理). 正の整数m,nm,nがm∣nm\mid nを満たすとする。このときnZ⊆mZ⊴Zn\mathbb Z\subseteq m\mathbb Z\trianglelefteq\mathbb Zであり、第三同型定理から

(Z/nZ)/(mZ/nZ)≅Z/mZ\bigl(\mathbb Z/n\mathbb Z\bigr)/ \bigl(m\mathbb Z/n\mathbb Z\bigr) \cong\mathbb Z/m\mathbb Z

を得る。商を二段階で取る操作は、大きい部分群mZm\mathbb Zで一度に割る操作と一致する。

例 4.3 (正規性を欠く場合).S3S_3の部分群H=⟨(1 2)⟩H=\langle(1\,2)\rangleは正規部分群ではない。したがって剰余類集合S3/HS_3/Hは商群ではなく、第一同型定理の形S3/H≅im⁡φS_3/H\cong\operatorname{im}\varphiを核ではないHHに対して適用することはできない。実際、準同型の核は必ず§E7.7 定理 1.3である。

5 演習

問題 5.1.

  1. 第一同型定理の写像 (1) について、φ‾−1(φ(g))=gker⁡φ\overline\varphi^{-1}(\varphi(g))=g\ker\varphiと書くことが代表元によらないことを証明せよ。
  2. H≤GH\leq GとN⊴GN\trianglelefteq Gに対して、第二同型定理で得た同型H/(H∩N)→HN/NH/(H\cap N)\to HN/Nがh(H∩N)↦hNh(H\cap N)\mapsto hNであることを、代表元によらないことから直接確認せよ。
  3. N⊴GN\trianglelefteq GとN⊆K≤GN\subseteq K\leq Gを仮定する。K/N⊴G/NK/N\trianglelefteq G/NならばK⊴GK\trianglelefteq Gであることを、標準射影による逆像を用いて証明せよ。
解答 (演習の解答).
  1. φ(g)=φ(g′)\varphi(g)=\varphi(g')ならばφ(g−1g′)=eH\varphi(g^{-1}g')=e_Hであるからg−1g′∈ker⁡φg^{-1}g'\in\ker\varphiである。よってgker⁡φ=g′ker⁡φg\ker\varphi=g'\ker\varphiとなる。
  2. h(H∩N)=h′(H∩N)h(H\cap N)=h'(H\cap N)ならばh−1h′∈H∩N⊆Nh^{-1}h'\in H\cap N\subseteq NであるためhN=h′NhN=h'Nとなる。積の保存は(h1h2)(H∩N)↦h1h2N=(h1N)(h2N)(h_1h_2)(H\cap N)\mapsto h_1h_2N=(h_1N)(h_2N)から従う。
  3. 対応定理の (6) によりK=qN−1(K/N)K=q_N^{-1}(K/N)である。正規部分群の準同型による逆像は正規部分群であるためK⊴GK\trianglelefteq Gとなる。具体的には、g∈Gg\in Gとk∈Kk\in Kに対してqN(gkg−1)=qN(g)qN(k)qN(g)−1∈K/Nq_N(gkg^{-1})=q_N(g)q_N(k)q_N(g)^{-1}\in K/Nである。

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参考文献

  1. Joseph J. Rotman, An Introduction to the Theory of Groups, 4th ed., Graduate Texts in Mathematics 148, Springer, 1995.群の同型定理と対応定理の扱いを参考にした。
  2. David S. Dummit and Richard M. Foote, Abstract Algebra, 3rd ed., Wiley, 2004.商群と同型定理の扱いを参考にした。

前提記事