§C4.16媒介変数表示と極座標による面積と長さ

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曲線がy=f(x)y=f(x)の形で与えられているとき、その曲線とxx軸が囲む面積は∫f(x) dx\displaystyle\int f(x)\,dxです。サイクロイドやアステロイドのように、曲線が媒介変数ttによってx=x(t)x=x(t)、y=y(t)y=y(t)と与えられている場合には、yyをxxの式として書き直すことができるとは限りません。書き直さずに面積を求めるには、∫y dx\displaystyle\int y\,dxを置換積分によってttの積分へ移します。

本記事は、媒介変数で表された閉曲線について、囲む面積がxx、yyとそれらの導関数の組み合わせの積分で与えられることを示し、サイクロイドとアステロイドの面積と長さを計算します。あわせて、極方程式r=f(θ)r = f(\theta)で与えられた曲線が、媒介変数表示の特別な場合にあたることを確かめ、面積と長さを同じ形の積分で求めます。曲線の長さを∫(x′)2+(y′)2 dt\displaystyle\int\sqrt{(x')^2+(y')^2}\,dtで表す立式は「微積分」が扱い、本記事はそれを用います。

1 媒介変数で表された閉曲線が囲む面積

まず、∫y dx\displaystyle\int y\,dxを媒介変数の積分へ移します。

定理 1.1 (媒介変数表示による面積).xx、yyは[α,β][\alpha,\beta]で微分可能で、導関数が連続であるとし、次の三つを満たすとする。

  1. (x(α),y(α))=(x(β),y(β))(x(\alpha),y(\alpha)) = (x(\beta),y(\beta))である。すなわち、この曲線は閉じている。
  2. α<t1<t2<β\alpha < t_1 < t_2 < \betaならば(x(t1),y(t1))≠(x(t2),y(t2))(x(t_1),y(t_1)) \ne (x(t_2),y(t_2))である。すなわち、この曲線は途中で自分自身と交わらず、1周だけする。
  3. この曲線が囲む図形DDは、a<ba<bと、[a,b][a,b]で連続かつg(x)≤f(x)g(x) \le f(x)を満たす二つの関数ff、ggによってD={(x,y)∣a≤x≤b, g(x)≤y≤f(x)}D = \{(x,y) \mid a\le x\le b,\ g(x)\le y\le f(x)\}と表され、曲線はy=g(x)y=g(x)を与える部分とy=f(x)y=f(x)を与える部分に分かれて、そのそれぞれでx(t)x(t)は単調である。

このとき、DDの面積SSは

S=∣∫αβy(t) x′(t) dt∣S = \left|\int_\alpha^\beta y(t)\,x'(t)\,dt\right|

である。

証明. 仮定3により、α<γ<β\alpha < \gamma < \betaを満たすγ\gammaをとって、[α,γ][\alpha,\gamma]がy=g(x)y=g(x)を与える部分に、[γ,β][\gamma,\beta]がy=f(x)y=f(x)を与える部分に対応するようにすることができます(必要なら媒介変数の向きを反転させ、始点を取り替えます)。[α,γ][\alpha,\gamma]でx(t)x(t)はaaからbbまで単調に動き、[γ,β][\gamma,\beta]でbbからaaまで単調に動くとします。

[α,γ][\alpha,\gamma]ではy(t)=g(x(t))y(t) = g(x(t))なので、置換積分により

∫αγy(t)x′(t) dt=∫abg(x) dx\int_\alpha^\gamma y(t)x'(t)\,dt = \int_a^b g(x)\,dx

です。同じく[γ,β][\gamma,\beta]ではy(t)=f(x(t))y(t) = f(x(t))なので

∫γβy(t)x′(t) dt=∫baf(x) dx=−∫abf(x) dx\int_\gamma^\beta y(t)x'(t)\,dt = \int_b^a f(x)\,dx = -\int_a^b f(x)\,dx

です。二つを足すと

∫αβy(t)x′(t) dt=∫ab{g(x)−f(x)} dx=−S\int_\alpha^\beta y(t)x'(t)\,dt = \int_a^b \{g(x)-f(x)\}\,dx = -S

となります。媒介変数の向きを反転させた場合には符号が変わるので、絶対値をとって結論を得ます。▨

上の式はxxとyyの役割が対等ではありません。閉じていることを使うと、対等な形へ直すことができます。

公式 1.2 (対等な形による面積).定理 1.1の仮定のもとで

S=12∣∫αβ{x(t)y′(t)−y(t)x′(t)} dt∣S = \frac12\left|\int_\alpha^\beta \bigl\{x(t)y'(t) - y(t)x'(t)\bigr\}\,dt\right|

である。

証明. 積の微分により{x(t)y(t)}′=x′(t)y(t)+x(t)y′(t)\{x(t)y(t)\}' = x'(t)y(t) + x(t)y'(t)なので

∫αβ{x′(t)y(t)+x(t)y′(t)} dt=[ x(t)y(t) ]αβ=0\int_\alpha^\beta \bigl\{x'(t)y(t) + x(t)y'(t)\bigr\}\,dt = \Bigl[\,x(t)y(t)\,\Bigr]_\alpha^\beta = 0

です。最後の等号では、仮定1によりx(α)y(α)=x(β)y(β)x(\alpha)y(\alpha) = x(\beta)y(\beta)であることを用いました。したがって

∫αβx(t)y′(t) dt=−∫αβy(t)x′(t) dt\int_\alpha^\beta x(t)y'(t)\,dt = -\int_\alpha^\beta y(t)x'(t)\,dt

であり、

12∫αβ{xy′−yx′} dt=12(−∫αβyx′ dt−∫αβyx′ dt)=−∫αβy(t)x′(t) dt\frac12\int_\alpha^\beta \bigl\{xy' - yx'\bigr\}\,dt = \frac12\left(-\int_\alpha^\beta yx'\,dt - \int_\alpha^\beta yx'\,dt\right) = -\int_\alpha^\beta y(t)x'(t)\,dt

となります。絶対値をとると定理 1.1の右辺に一致します。▨

注意 1.3 (閉じていることと1周だけすることを外さない).定理 1.1の仮定1を外すと、公式 1.2の導出で用いた[xy]αβ=0\bigl[xy\bigr]_\alpha^\beta = 0が成り立たない。仮定2を外すと、囲む部分が複数に分かれ、向きが逆になる部分どうしの積分が打ち消し合うため、積分の値は面積の和を与えない。同じ閉曲線を 2周させた場合には、積分の値は面積の2倍になる。

2 サイクロイド

例 2.1 (サイクロイドの1弧が囲む面積).a>0a>0とし、x(θ)=a(θ−sin⁡θ)x(\theta) = a(\theta-\sin\theta)、y(θ)=a(1−cos⁡θ)y(\theta) = a(1-\cos\theta)(0≤θ≤2π0 \le \theta \le 2\pi)とします。この曲線とxx軸上の線分が囲む図形の面積を求めます。

x′(θ)=a(1−cos⁡θ)≥0x'(\theta) = a(1-\cos\theta) \ge 0なのでxxは単調に増え、x(0)=0x(0)=0、x(2π)=2πax(2\pi) = 2\pi aです。またy(θ)≥0y(\theta) \ge 0です。したがって図形は、下をxx軸、上をこの曲線で囲まれており、その面積は∫02πay dx\displaystyle\int_0^{2\pi a} y\,dxです。置換積分により

S=∫02πy(θ)x′(θ) dθ=a2∫02π(1−cos⁡θ)2 dθ=a2∫02π(1−2cos⁡θ+cos⁡2θ) dθS = \int_0^{2\pi} y(\theta)x'(\theta)\,d\theta = a^2\int_0^{2\pi}(1-\cos\theta)^2\,d\theta = a^2\int_0^{2\pi}\bigl(1 - 2\cos\theta + \cos^2\theta\bigr)\,d\theta

です。∫02πcos⁡θ dθ=0\displaystyle\int_0^{2\pi}\cos\theta\,d\theta = 0であり、cos⁡2θ=1+cos⁡2θ2\cos^2\theta = \dfrac{1+\cos 2\theta}{2}から∫02πcos⁡2θ dθ=π\displaystyle\int_0^{2\pi}\cos^2\theta\,d\theta = \piなので

S=a2(2π−0+π)=3πa2S = a^2(2\pi - 0 + \pi) = 3\pi a^2

となります。これは、この曲線を描く円の面積πa2\pi a^2の3倍です。

例 2.2 (サイクロイドの1弧の長さ). 同じ曲線についてx′(θ)=a(1−cos⁡θ)x'(\theta) = a(1-\cos\theta)、y′(θ)=asin⁡θy'(\theta) = a\sin\thetaなので

{x′(θ)}2+{y′(θ)}2=a2{(1−cos⁡θ)2+sin⁡2θ}=a2(2−2cos⁡θ)=4a2sin⁡2θ2\{x'(\theta)\}^2 + \{y'(\theta)\}^2 = a^2\bigl\{(1-\cos\theta)^2 + \sin^2\theta\bigr\} = a^2(2-2\cos\theta) = 4a^2\sin^2\frac{\theta}{2}

です。最後の等号では1−cos⁡θ=2sin⁡2θ21-\cos\theta = 2\sin^2\dfrac{\theta}{2}を用いました。0≤θ≤2π0 \le \theta \le 2\piではsin⁡θ2≥0\sin\dfrac{\theta}{2} \ge 0なので{x′}2+{y′}2=2asin⁡θ2\sqrt{\{x'\}^2+\{y'\}^2} = 2a\sin\dfrac{\theta}{2}であり、

L=∫02π2asin⁡θ2 dθ=2a[−2cos⁡θ2]02π=2a{2−(−2)}=8aL = \int_0^{2\pi} 2a\sin\frac{\theta}{2}\,d\theta = 2a\left[-2\cos\frac{\theta}{2}\right]_0^{2\pi} = 2a\{2-(-2)\} = 8a

となります。

3 アステロイド

例 3.1 (アステロイドが囲む面積).a>0a>0とし、x(t)=acos⁡3tx(t) = a\cos^3 t、y(t)=asin⁡3ty(t) = a\sin^3 t(0≤t≤2π0 \le t \le 2\pi)とします。x(0)=x(2π)=ax(0)=x(2\pi)=a、y(0)=y(2π)=0y(0)=y(2\pi)=0なので、この曲線は閉じています。

x′(t)=−3acos⁡2tsin⁡tx'(t) = -3a\cos^2 t\sin t、y′(t)=3asin⁡2tcos⁡ty'(t) = 3a\sin^2 t\cos tなので

xy′−yx′=3a2cos⁡4tsin⁡2t+3a2sin⁡4tcos⁡2t=3a2cos⁡2tsin⁡2t(cos⁡2t+sin⁡2t)=3a2cos⁡2tsin⁡2tx y' - y x' = 3a^2\cos^4 t\sin^2 t + 3a^2\sin^4 t\cos^2 t = 3a^2\cos^2 t\sin^2 t(\cos^2 t + \sin^2 t) = 3a^2\cos^2 t\sin^2 t

です。cos⁡tsin⁡t=sin⁡2t2\cos t\sin t = \dfrac{\sin 2t}{2}からcos⁡2tsin⁡2t=sin⁡22t4\cos^2 t\sin^2 t = \dfrac{\sin^2 2t}{4}であり、∫02πsin⁡22t dt=π\displaystyle\int_0^{2\pi}\sin^2 2t\,dt = \piなので、公式 1.2により

S=12⋅3a24∫02πsin⁡22t dt=3a28πS = \frac12\cdot\frac{3a^2}{4}\int_0^{2\pi}\sin^2 2t\,dt = \frac{3a^2}{8}\pi

となります。これは、原点を中心とする半径aaの円の面積πa2\pi a^2の38\dfrac38です。

例 3.2 (アステロイドの長さ). 同じ曲線について

{x′(t)}2+{y′(t)}2=9a2cos⁡4tsin⁡2t+9a2sin⁡4tcos⁡2t=9a2cos⁡2tsin⁡2t\{x'(t)\}^2 + \{y'(t)\}^2 = 9a^2\cos^4 t\sin^2 t + 9a^2\sin^4 t\cos^2 t = 9a^2\cos^2 t\sin^2 t

なので{x′}2+{y′}2=3a∣cos⁡tsin⁡t∣=3a2∣sin⁡2t∣\sqrt{\{x'\}^2+\{y'\}^2} = 3a|\cos t\sin t| = \dfrac{3a}{2}|\sin 2t|です。∣sin⁡2t∣|\sin 2t|は周期π2\dfrac{\pi}{2}をもち、∫0π/2sin⁡2t dt=1\displaystyle\int_0^{\pi/2}\sin 2t\,dt = 1なので∫02π∣sin⁡2t∣ dt=4\displaystyle\int_0^{2\pi}|\sin 2t|\,dt = 4であり、

L=3a2⋅4=6aL = \frac{3a}{2}\cdot 4 = 6a

となります。

注意 3.3 (導関数が同時に00になる点). アステロイドでは、t=0t = 0、π2\dfrac{\pi}{2}、π\pi、3π2\dfrac{3\pi}{2}においてx′(t)x'(t)とy′(t)y'(t)がともに00になる。これらの点で曲線は尖っており、接線の向きが定まらない。定理 1.1と長さの積分が要求するのはx′x'とy′y'が連続であることだけなので、これらの点があっても二つの積分を用いることができる。一方、この4点を境にx(t)x(t)の単調性が変わるので、定理 1.1の仮定3を確かめるときには、曲線を4点で区切って考える。

4 極座標で与えられた曲線

極方程式r=f(θ)r = f(\theta)で与えられた曲線は、x=f(θ)cos⁡θx = f(\theta)\cos\theta、y=f(θ)sin⁡θy = f(\theta)\sin\thetaと置けば、θ\thetaを媒介変数とする曲線です。この置き換えのもとで、面積と長さの積分に現れる二つの式が簡単な形になります。

定理 4.1 (極座標での組み合わせ).ffは[α,β][\alpha,\beta]で微分可能で導関数が連続とし、x(θ)=f(θ)cos⁡θx(\theta) = f(\theta)\cos\theta、y(θ)=f(θ)sin⁡θy(\theta) = f(\theta)\sin\thetaと置く。このとき、[α,β][\alpha,\beta]のすべてのθ\thetaについて

xy′−yx′={f(θ)}2,{x′}2+{y′}2={f(θ)}2+{f′(θ)}2x y' - y x' = \{f(\theta)\}^2, \qquad \{x'\}^2 + \{y'\}^2 = \{f(\theta)\}^2 + \{f'(\theta)\}^2

が成り立つ。

証明. 積の微分により

x′=f′cos⁡θ−fsin⁡θ,y′=f′sin⁡θ+fcos⁡θx' = f'\cos\theta - f\sin\theta, \qquad y' = f'\sin\theta + f\cos\theta

です。したがって

xy′−yx′=fcos⁡θ(f′sin⁡θ+fcos⁡θ)−fsin⁡θ(f′cos⁡θ−fsin⁡θ)=f2(cos⁡2θ+sin⁡2θ)=f2xy' - yx' = f\cos\theta(f'\sin\theta + f\cos\theta) - f\sin\theta(f'\cos\theta - f\sin\theta) = f^2(\cos^2\theta+\sin^2\theta) = f^2

です。また

{x′}2+{y′}2=(f′cos⁡θ−fsin⁡θ)2+(f′sin⁡θ+fcos⁡θ)2\{x'\}^2+\{y'\}^2 = (f'\cos\theta - f\sin\theta)^2 + (f'\sin\theta + f\cos\theta)^2

を展開すると、ff′sin⁡θcos⁡θf f'\sin\theta\cos\thetaを含む項が打ち消し合い、{f′}2(cos⁡2θ+sin⁡2θ)+f2(sin⁡2θ+cos⁡2θ)={f′}2+f2\{f'\}^2(\cos^2\theta+\sin^2\theta) + f^2(\sin^2\theta+\cos^2\theta) = \{f'\}^2 + f^2が残ります。▨

公式 4.2 (極座標による面積と長さ).ffは[α,β][\alpha,\beta]で微分可能で導関数が連続、f(θ)≥0f(\theta) \ge 0とし、β−α≤2π\beta-\alpha \le 2\piとする。図形

D={(rcos⁡θ, rsin⁡θ)∣α≤θ≤β, 0≤r≤f(θ)}D = \{(r\cos\theta,\ r\sin\theta) \mid \alpha \le \theta \le \beta,\ 0 \le r \le f(\theta)\}

の面積SSと、曲線r=f(θ)r = f(\theta)(α≤θ≤β\alpha\le\theta\le\beta)の長さLLは

S=12∫αβ{f(θ)}2 dθ,L=∫αβ{f(θ)}2+{f′(θ)}2 dθS = \frac12\int_\alpha^\beta \{f(\theta)\}^2\,d\theta, \qquad L = \int_\alpha^\beta \sqrt{\{f(\theta)\}^2 + \{f'(\theta)\}^2}\,d\theta

である。

証明. 長さについては、定理 4.1の第二の等式をL=∫αβ{x′}2+{y′}2 dθL = \displaystyle\int_\alpha^\beta\sqrt{\{x'\}^2+\{y'\}^2}\,d\thetaへ代入すれば得られます。

面積については、区間[α,β][\alpha,\beta]をnn等分し、分点をα=θ0<θ1<⋯<θn=β\alpha = \theta_0 < \theta_1 < \cdots < \theta_n = \beta、幅をΔθ=β−αn\Delta\theta = \dfrac{\beta-\alpha}{n}とします。DDのうちθi−1≤θ≤θi\theta_{i-1}\le\theta\le\theta_iを満たす部分の面積をSiS_iとするとS=∑i=1nSiS = \sum_{i=1}^{n} S_iです。β−α≤2π\beta-\alpha \le 2\piなので、これらの部分は互いに重なりません。ffは[θi−1,θi][\theta_{i-1},\theta_i]で連続なので、そこで最小値mim_iと最大値MiM_iをとります。この部分は、中心角Δθ\Delta\theta、半径mim_iの扇形を含み、中心角Δθ\Delta\theta、半径MiM_iの扇形に含まれるので、扇形の面積の公式により

12mi2 Δθ≤Si≤12Mi2 Δθ\frac12 m_i^2\,\Delta\theta \le S_i \le \frac12 M_i^2\,\Delta\theta

です。iiについて足し合わせると、左辺と右辺はいずれも12f(θ)2\dfrac12 f(\theta)^2についての区分求積の和になります。f2f^2は[α,β][\alpha,\beta]で連続なので、n→∞n\to\inftyのとき両辺はともに12∫αβf(θ)2 dθ\dfrac12\displaystyle\int_\alpha^\beta f(\theta)^2\,d\thetaへ収束し、はさみうちの原理によりSSはこの値に等しくなります。▨

注意 4.3 (二つの面積の式は同じ形である).定理 4.1により{f(θ)}2=xy′−yx′\{f(\theta)\}^2 = xy'-yx'なので、公式 4.2の面積の式は12∫αβ(xy′−yx′) dθ\dfrac12\displaystyle\int_\alpha^\beta (xy'-yx')\,d\thetaと書き直される。これは公式 1.2と同じ形である。二つの式は導き方が異なる。公式 1.2は閉曲線について∫y dx\displaystyle\int y\,dxから導いたもので、上下を二つのグラフではさまれた図形であることを仮定している。公式 4.2は扇形による評価から導いたもので、原点から見て各方向に 1点ずつ境界がある図形であれば、上下をグラフではさまれた形でなくても用いることができる。

例 4.4 (カージオイド).a>0a>0とし、f(θ)=a(1+cos⁡θ)f(\theta) = a(1+\cos\theta)(0≤θ≤2π0 \le \theta \le 2\pi)とします。f(θ)≥0f(\theta)\ge0であり、f(0)=2af(0) = 2a、f(2π)=2af(2\pi) = 2aなので、この曲線は閉じています。面積は

S=12∫02πa2(1+cos⁡θ)2 dθ=a22∫02π(1+2cos⁡θ+cos⁡2θ) dθ=a22(2π+0+π)=32πa2S = \frac12\int_0^{2\pi} a^2(1+\cos\theta)^2\,d\theta = \frac{a^2}{2}\int_0^{2\pi}\bigl(1+2\cos\theta+\cos^2\theta\bigr)\,d\theta = \frac{a^2}{2}(2\pi + 0 + \pi) = \frac{3}{2}\pi a^2

です。長さについてはf′(θ)=−asin⁡θf'(\theta) = -a\sin\thetaなので

f2+{f′}2=a2{(1+cos⁡θ)2+sin⁡2θ}=a2(2+2cos⁡θ)=4a2cos⁡2θ2f^2 + \{f'\}^2 = a^2\bigl\{(1+\cos\theta)^2+\sin^2\theta\bigr\} = a^2(2+2\cos\theta) = 4a^2\cos^2\frac{\theta}{2}

です。最後の等号では1+cos⁡θ=2cos⁡2θ21+\cos\theta = 2\cos^2\dfrac{\theta}{2}を用いました。したがってf2+{f′}2=2a∣cos⁡θ2∣\sqrt{f^2+\{f'\}^2} = 2a\left|\cos\dfrac{\theta}{2}\right|であり、0≤θ≤π0\le\theta\le\piではcos⁡θ2≥0\cos\dfrac{\theta}{2}\ge0、π≤θ≤2π\pi\le\theta\le2\piではcos⁡θ2≤0\cos\dfrac{\theta}{2}\le0なので

L=2a(∫0πcos⁡θ2 dθ−∫π2πcos⁡θ2 dθ)=2a{2−(0−2)}=8aL = 2a\left(\int_0^{\pi}\cos\frac{\theta}{2}\,d\theta - \int_{\pi}^{2\pi}\cos\frac{\theta}{2}\,d\theta\right) = 2a\{2 - (0-2)\} = 8a

となります。

注意 4.5 (本記事が扱う範囲). 本記事は、媒介変数表示と極座標で与えられた曲線について、囲む面積と曲線の長さを積分で求めるところを扱う。曲線の長さを∫{x′}2+{y′}2 dt\displaystyle\int\sqrt{\{x'\}^2+\{y'\}^2}\,dtで表す立式そのものと、媒介変数表示と極方程式から曲線の形を読み取る手順は「微積分」および「図形と方程式」が扱う。定理 1.1の仮定3を外した一般の単純閉曲線についての面積の公式は、本単元では扱わない。

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