1 媒介変数で表された閉曲線が囲む面積
まず、∫ydxを媒介変数の積分へ移します。
定理 1.1 (媒介変数表示による面積).x、yは[α,β]で微分可能で、導関数が連続であるとし、次の三つを満たすとする。
- (x(α),y(α))=(x(β),y(β))である。すなわち、この曲線は閉じている。
- α<t1<t2<βならば(x(t1),y(t1))=(x(t2),y(t2))である。すなわち、この曲線は途中で自分自身と交わらず、1周だけする。
- この曲線が囲む図形Dは、a<bと、[a,b]で連続かつg(x)≤f(x)を満たす二つの関数f、gによってD={(x,y)∣a≤x≤b, g(x)≤y≤f(x)}と表され、曲線はy=g(x)を与える部分とy=f(x)を与える部分に分かれて、そのそれぞれでx(t)は単調である。
このとき、Dの面積Sは
S=∫αβy(t)x′(t)dtである。
証明. 仮定3により、α<γ<βを満たすγをとって、[α,γ]がy=g(x)を与える部分に、[γ,β]がy=f(x)を与える部分に対応するようにすることができます(必要なら媒介変数の向きを反転させ、始点を取り替えます)。[α,γ]でx(t)はaからbまで単調に動き、[γ,β]でbからaまで単調に動くとします。
[α,γ]ではy(t)=g(x(t))なので、置換積分により
∫αγy(t)x′(t)dt=∫abg(x)dxです。同じく[γ,β]ではy(t)=f(x(t))なので
∫γβy(t)x′(t)dt=∫baf(x)dx=−∫abf(x)dxです。二つを足すと
∫αβy(t)x′(t)dt=∫ab{g(x)−f(x)}dx=−Sとなります。媒介変数の向きを反転させた場合には符号が変わるので、絶対値をとって結論を得ます。▨
上の式はxとyの役割が対等ではありません。閉じていることを使うと、対等な形へ直すことができます。
証明. 積の微分により{x(t)y(t)}′=x′(t)y(t)+x(t)y′(t)なので
∫αβ{x′(t)y(t)+x(t)y′(t)}dt=[x(t)y(t)]αβ=0です。最後の等号では、仮定1によりx(α)y(α)=x(β)y(β)であることを用いました。したがって
∫αβx(t)y′(t)dt=−∫αβy(t)x′(t)dtであり、
21∫αβ{xy′−yx′}dt=21(−∫αβyx′dt−∫αβyx′dt)=−∫αβy(t)x′(t)dtとなります。絶対値をとると定理 1.1の右辺に一致します。▨
2 サイクロイド
例 2.1 (サイクロイドの1弧が囲む面積).a>0とし、x(θ)=a(θ−sinθ)、y(θ)=a(1−cosθ)(0≤θ≤2π)とします。この曲線とx軸上の線分が囲む図形の面積を求めます。
x′(θ)=a(1−cosθ)≥0なのでxは単調に増え、x(0)=0、x(2π)=2πaです。またy(θ)≥0です。したがって図形は、下をx軸、上をこの曲線で囲まれており、その面積は∫02πaydxです。置換積分により
S=∫02πy(θ)x′(θ)dθ=a2∫02π(1−cosθ)2dθ=a2∫02π(1−2cosθ+cos2θ)dθです。∫02πcosθdθ=0であり、cos2θ=21+cos2θから∫02πcos2θdθ=πなので
S=a2(2π−0+π)=3πa2となります。これは、この曲線を描く円の面積πa2の3倍です。
例 2.2 (サイクロイドの1弧の長さ). 同じ曲線についてx′(θ)=a(1−cosθ)、y′(θ)=asinθなので
{x′(θ)}2+{y′(θ)}2=a2{(1−cosθ)2+sin2θ}=a2(2−2cosθ)=4a2sin22θです。最後の等号では1−cosθ=2sin22θを用いました。0≤θ≤2πではsin2θ≥0なので{x′}2+{y′}2=2asin2θであり、
L=∫02π2asin2θdθ=2a[−2cos2θ]02π=2a{2−(−2)}=8aとなります。
3 アステロイド
例 3.1 (アステロイドが囲む面積).a>0とし、x(t)=acos3t、y(t)=asin3t(0≤t≤2π)とします。x(0)=x(2π)=a、y(0)=y(2π)=0なので、この曲線は閉じています。
x′(t)=−3acos2tsint、y′(t)=3asin2tcostなので
xy′−yx′=3a2cos4tsin2t+3a2sin4tcos2t=3a2cos2tsin2t(cos2t+sin2t)=3a2cos2tsin2tです。costsint=2sin2tからcos2tsin2t=4sin22tであり、∫02πsin22tdt=πなので、公式 1.2により
S=21⋅43a2∫02πsin22tdt=83a2πとなります。これは、原点を中心とする半径aの円の面積πa2の83です。
例 3.2 (アステロイドの長さ). 同じ曲線について
{x′(t)}2+{y′(t)}2=9a2cos4tsin2t+9a2sin4tcos2t=9a2cos2tsin2tなので{x′}2+{y′}2=3a∣costsint∣=23a∣sin2t∣です。∣sin2t∣は周期2πをもち、∫0π/2sin2tdt=1なので∫02π∣sin2t∣dt=4であり、
L=23a⋅4=6aとなります。
4 極座標で与えられた曲線
極方程式r=f(θ)で与えられた曲線は、x=f(θ)cosθ、y=f(θ)sinθと置けば、θを媒介変数とする曲線です。この置き換えのもとで、面積と長さの積分に現れる二つの式が簡単な形になります。
定理 4.1 (極座標での組み合わせ).fは[α,β]で微分可能で導関数が連続とし、x(θ)=f(θ)cosθ、y(θ)=f(θ)sinθと置く。このとき、[α,β]のすべてのθについて
xy′−yx′={f(θ)}2,{x′}2+{y′}2={f(θ)}2+{f′(θ)}2が成り立つ。
証明. 積の微分により
x′=f′cosθ−fsinθ,y′=f′sinθ+fcosθです。したがって
xy′−yx′=fcosθ(f′sinθ+fcosθ)−fsinθ(f′cosθ−fsinθ)=f2(cos2θ+sin2θ)=f2です。また
{x′}2+{y′}2=(f′cosθ−fsinθ)2+(f′sinθ+fcosθ)2を展開すると、ff′sinθcosθを含む項が打ち消し合い、{f′}2(cos2θ+sin2θ)+f2(sin2θ+cos2θ)={f′}2+f2が残ります。▨
証明. 長さについては、定理 4.1の第二の等式をL=∫αβ{x′}2+{y′}2dθへ代入すれば得られます。
面積については、区間[α,β]をn等分し、分点をα=θ0<θ1<⋯<θn=β、幅をΔθ=nβ−αとします。Dのうちθi−1≤θ≤θiを満たす部分の面積をSiとするとS=∑i=1nSiです。β−α≤2πなので、これらの部分は互いに重なりません。fは[θi−1,θi]で連続なので、そこで最小値miと最大値Miをとります。この部分は、中心角Δθ、半径miの扇形を含み、中心角Δθ、半径Miの扇形に含まれるので、扇形の面積の公式により
21mi2Δθ≤Si≤21Mi2Δθです。iについて足し合わせると、左辺と右辺はいずれも21f(θ)2についての区分求積の和になります。f2は[α,β]で連続なので、n→∞のとき両辺はともに21∫αβf(θ)2dθへ収束し、はさみうちの原理によりSはこの値に等しくなります。▨
例 4.4 (カージオイド).a>0とし、f(θ)=a(1+cosθ)(0≤θ≤2π)とします。f(θ)≥0であり、f(0)=2a、f(2π)=2aなので、この曲線は閉じています。面積は
S=21∫02πa2(1+cosθ)2dθ=2a2∫02π(1+2cosθ+cos2θ)dθ=2a2(2π+0+π)=23πa2です。長さについてはf′(θ)=−asinθなので
f2+{f′}2=a2{(1+cosθ)2+sin2θ}=a2(2+2cosθ)=4a2cos22θです。最後の等号では1+cosθ=2cos22θを用いました。したがってf2+{f′}2=2acos2θであり、0≤θ≤πではcos2θ≥0、π≤θ≤2πではcos2θ≤0なので
L=2a(∫0πcos2θdθ−∫π2πcos2θdθ)=2a{2−(0−2)}=8aとなります。