§B4.22組合せの技法

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最適値を求めるときは、構成による下からの評価と、不可能性の証明による上からの評価を分けます。二つの値が一致して初めて最適値が定まります。

1 三角形を含まないグラフ

定理 1.1 (Mantel 型の上界).nn頂点の単純無向グラフが三角形を含まないならば、辺数mmは

m≤⌊n24⌋m\le\left\lfloor\frac{n^2}{4}\right\rfloor

を満たします。この上界は達成されます。

証明.m=0m=0ならば結論は明らかです。以下ではm>0m>0とします。

辺uvuvを一つ取ります。uuとvvに共通の隣接頂点があればグラフは三角形を含むので、両端の次数は

d(u)+d(v)≤nd(u)+d(v)\le n

を満たします。すべての辺について足すと、各頂点vvの次数d(v)d(v)が、その頂点に接続する各辺について一回ずつ現れるので、

∑vd(v)2=∑uv∈E(d(u)+d(v))≤mn\sum_{v}d(v)^2 =\sum_{uv\in E}(d(u)+d(v)) \le mn

です。

また、平方完成またはコーシー・シュワルツの不等式と握手補題から、

∑vd(v)2≥(∑vd(v))2n=4m2n\sum_vd(v)^2\ge\frac{\left(\sum_vd(v)\right)^2}{n} =\frac{4m^2}{n}

です。したがって4m2/n≤mn4m^2/n\le mnです。m>0m>0なのでmmで割るとm≤n2/4m\le n^2/4を得ます。mmは整数なのでm≤⌊n2/4⌋m\le\lfloor n^2/4\rfloorです。

頂点を個数が⌊n/2⌋\lfloor n/2\rfloorと⌈n/2⌉\lceil n/2\rceilの二群へ分け、異なる群の頂点をすべて辺で結び、同じ群の内部には辺を置きません。この完全二部グラフは三角形を含まず、辺数は

⌊n2⌋⌈n2⌉=⌊n24⌋\left\lfloor\frac n2\right\rfloor \left\lceil\frac n2\right\rceil =\left\lfloor\frac{n^2}{4}\right\rfloor

です。したがって上界は達成されます。▨

証明では、各辺の局所条件を全辺について足し合わせ、握手補題によって全体の辺数へ変換しました。

2 演習

  1. n=7n=7のとき、上の構成が三角形を含まず、辺を12本もつことを確認します。
  2. 三角形を含まないグラフで、辺uvuvに対してd(u)+d(v)≤nd(u)+d(v)\le nが成り立つ理由を、共通の隣接頂点に着目して説明します。
  3. m=0m=0の場合を分けずに証明中の不等式をmmで割ると、どのような問題が生じますか。
  4. nn頂点のグラフについて、次数の総和が2m2mであることを二通りに数える方法で証明します。

1では3頂点と4頂点の二群に分け、群間の辺をすべて結ぶと3⋅4=123\cdot4=12本です。2では共通の隣接頂点が存在すると、その頂点とu,vu,vが三角形を作ります。3ではm=0m=0のとき0で割る操作が定義されません。4は頂点と接続辺の組を頂点側と辺側から数えます。

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