§B4.11二項分布

最終更新

成功確率が一定で、各回が独立である反復試行について、成功回数の確率分布を求めます。

1 定義と確率

定義 1.1 (二項分布). 成功確率ppの試行を独立にnn回行い、成功回数をXXとします。このときXXの確率分布を、試行回数nn、成功確率ppの二項分布といい、B(n,p)B(n,p)と書きます。ただしnnは正の整数、0≤p≤10\le p\le1とします。

公式 1.2 (二項分布の確率関数).X∼B(n,p)X\sim B(n,p)ならば、k=0,1,…,nk=0,1,\ldots,nについて

P(X=k)=nCkpk(1−p)n−kP(X=k)={}_nC_kp^k(1-p)^{n-k}

が成り立ちます。

証明. 成功するkk回の選び方はnCk{}_nC_k通りです。各選び方が起こる確率は独立性によりpk(1−p)n−kp^k(1-p)^{n-k}です。これらは排反なので、確率を足すと公式を得ます。▨

例 1.3 (成功が2回になる確率). 成功確率ppの独立な試行を5回行うとき、成功がちょうど2回になる確率は

5C2p2(1−p)3=10p2(1−p)3{}_5C_2p^2(1-p)^3=10p^2(1-p)^3

です。

2 期待値と分散

各回の成否を0と1の確率変数へ分けます。

定理 2.1 (二項分布の期待値と分散).X∼B(n,p)X\sim B(n,p)ならば、

E[X]=np,V[X]=np(1−p)E[X]=np,\qquad V[X]=np(1-p)

が成り立ちます。

証明. 第ii回が成功すればXi=1X_i=1、失敗すればXi=0X_i=0とします。このとき

X=X1+⋯+Xn,E[Xi]=p,V[Xi]=p(1−p)X=X_1+\cdots+X_n,\qquad E[X_i]=p,\qquad V[X_i]=p(1-p)

です。期待値の線形性からE[X]=npE[X]=npを得ます。各回が独立なのでXiX_iも互いに独立であり、分散の加法性からV[X]=np(1−p)V[X]=np(1-p)を得ます。▨

3 分布の形

注意 3.1 (パラメータと分布の形).p=1/2p=1/2では分布はn/2n/2を中心として対称です。p<1/2p<1/2では小さい成功回数に確率が集まり、p>1/2p>1/2では大きい成功回数に確率が集まります。nnを増やすと分散は増えますが、成功割合X/nX/nの分散はp(1−p)/np(1-p)/nへ減少します。

公式 3.2 (二項分布の隣接確率比).0<p<10<p<1とし、0≤k<n0\le k<nを満たす整数kkについて、

P(X=k+1)P(X=k)=n−kk+1p1−p\frac{P(X=k+1)}{P(X=k)} =\frac{n-k}{k+1}\frac{p}{1-p}

が成り立ちます。この比を調べると、確率が増加から減少へ変わる位置を判断することができます。

注意 3.3 (成功確率が端点にある場合).p=0p=0ではP(X=0)=1P(X=0)=1、p=1p=1ではP(X=n)=1P(X=n)=1であり、分布は一点に集中します。隣接確率比はppまたは1−p1-pによる除算を含むため、これらの端点では用いず、確率関数から分布を直接判断します。

4 演習

  1. X∼B(10,0.3)X\sim B(10,0.3)のとき、P(X=3)P(X=3)、E[X]E[X]、V[X]V[X]を求めます。
  2. B(8,0.2)B(8,0.2)とB(8,0.8)B(8,0.8)の確率関数が左右反転の関係にあることを説明します。
  3. X∼B(n,p)X\sim B(n,p)のとき、成功割合X/nX/nの標準偏差を求め、nnの増加による変化を説明します。

1の答えは10C3(0.3)3(0.7)7{}_{10}C_3(0.3)^3(0.7)^7、33、2.12.1です。2では

P0.8(X=k)=8Ck(0.8)k(0.2)8−k=P0.2(X=8−k)P_{0.8}(X=k)={}_8C_k(0.8)^k(0.2)^{8-k}=P_{0.2}(X=8-k)

なので左右反転します。3の標準偏差はp(1−p)/n\sqrt{p(1-p)/n}であり、ppを固定するとnnの平方根に反比例して減少します。

例題

条件と何を求めるかを確認してから、式と答えの対応を見比べてください。

次の確率を求めよ。

X∼B(5,12)X \sim B\left(5, \dfrac{1}{2}\right) のとき、次の確率を求めよ。

解法の型P(X=k)=nCkpk(1−p)n−kP(X = k) = {}_n\mathrm{C}_k p^k(1-p)^{n-k}

  1. 例題 1

    P(X=4)P(X = 4)

次の二項分布の期待値 E[X]E[X] と分散 V[X]V[X] を求めよ。

期待値と分散を求めよ。

解法の型E[X]=np,V[X]=np(1−p)E[X] = np,\quad V[X] = np(1-p)

  1. 例題 1

    X∼B(4,12)X \sim B\left(4, \dfrac{1}{2}\right)

演習

問題を解いてから「解答・解説」を開けます。

演習を読み込み中…

演習を読み込み中…

前提記事