§E13.9Turán の定理

最終更新

前の記事までは、一つのグラフの性質を調べてきた。本記事で扱うのは、条件を満たすグラフの族全体に対する極値問題である。すなわち、nn頂点の有限単純グラフのうち、Kr+1K_{r+1}を部分グラフとして含まないものは、辺を最大で何本もつことができるかを問う。

答えは、nn頂点を大きさの差が11以下のrr個の部へ分けた完全rr部グラフ、すなわち Turán グラフT(n,r)T(n,r)の辺数である。さらに、この最大値を達成するグラフはT(n,r)T(n,r)に同型なものに限る。本記事では、上界、達成、および等号成立グラフの決定をすべて証明する。

グラフG=(V,E)G=(V,E)と次数deg⁡G(v)\deg_G(v)については§D2.7 定義 1.1の定義を用いる。本記事では、断りのないかぎりGGは有限単純無向グラフとし、n=∣V∣n=\lvert V\rvert、m=∣E∣m=\lvert E\rvertと書く。近傍、完全グラフ、誘導部分グラフ、クリークおよび極値関数には上流に定義ブロックが無いので、次に定める。

1 部分グラフとしての完全グラフ

定義 1.1.G=(V,E)G=(V,E)を有限単純無向グラフとする。

  1. v∈Vv\in Vに対しNG(v)={u∈V: uv∈E}N_G(v)=\{u\in V:\ uv\in E\}と置き、これをvvの近傍 (neighborhood) という。定義より∣NG(v)∣=deg⁡G(v)\lvert N_G(v)\rvert=\deg_G(v)である。
  2. 正の整数ppに対し、pp元の頂点集合をもち、相異なる二頂点がすべて隣接する有限単純無向グラフを pp頂点完全グラフ (complete graph on p vertices) といい、KpK_pと書く。KpK_pの辺集合は頂点集合の二元部分集合の全体であるから、同型を除いてKpK_pはppによって定まる。
  3. S⊆VS\subseteq Vに対しE[S]={e∈E: e⊆S}E[S]=\{e\in E:\ e\subseteq S\}と置き、G[S]=(S,E[S])G[S]=(S,E[S])をSSが誘導する部分グラフ (induced subgraph) という。
  4. S⊆VS\subseteq Vが クリーク (clique) であるとは、SSの相異なる任意の二頂点がGGで隣接することをいう。∣S∣=p\lvert S\rvert=pであるクリークを pp元クリーク (p-clique) という。
  5. 正の整数ppに対し、GGがKpK_pを部分グラフとして含む (contain as a subgraph) とは、GGがpp元クリークをもつことをいう。
  6. 正の整数nnと有限単純無向グラフHHに対し、HHを部分グラフとして含まないnn頂点有限単純グラフが存在する場合に、そのようなグラフの辺数の最大値をex⁡(n;H)\operatorname{ex}(n;H)と書き、極値関数 (extremal function) という。頂点集合を固定すればグラフは有限個であるから、この最大値は定まる。

注意 1.2 (完全グラフを禁止する場合の二つの読み方). 一般のグラフHHについては、HHを部分グラフとして含むことと、HHに同型な誘導部分グラフをもつことは、異なる条件である。しかしHHが完全グラフKpK_pのときは両者が一致する。実際、SSがpp元クリークならばE[S]E[S]はSSの二元部分集合の全体に等しくG[S]G[S]はKpK_pそのものであり、逆にG[S]G[S]がKpK_pに同型ならばSSはクリークだからである。本記事が禁止するのは、あくまで部分グラフとしてのKr+1K_{r+1}である。

2 二重計数と Turán グラフ

同じ有限集合を二通りに数えて等式を得る論法を二重計数という。一般形は§E13.6 命題 2.1が与えるので、本記事で用いる形はその系として得る。

系 2.1.G=(V,E)G=(V,E)を有限単純無向グラフとし、A,B⊆VA,B\subseteq VをA∩B=∅A\cap B=\varnothingを満たす部分集合とする。一方の端点がAAに属し、他方の端点がBBに属する辺の全体をE(A,B)E(A,B)と書くと∣E(A,B)∣=∑v∈B∣NG(v)∩A∣=∑u∈A∣NG(u)∩B∣\lvert E(A,B)\rvert=\sum_{v\in B}\lvert N_G(v)\cap A\rvert=\sum_{u\in A}\lvert N_G(u)\cap B\rvertが成り立つ。

証明.S={(u,v)∈A×B: uv∈E}S=\{(u,v)\in A\times B:\ uv\in E\}と置く。§E13.6 命題 2.1をX=AX=A、Y=BY=Bおよび上のSSに対して適用する。u∈Au\in Aに対する切り口はSu={v∈B: uv∈E}=NG(u)∩BS_u=\{v\in B:\ uv\in E\}=N_G(u)\cap Bであり、v∈Bv\in Bに対する切り口はSv={u∈A: uv∈E}=NG(v)∩AS^{v}=\{u\in A:\ uv\in E\}=N_G(v)\cap Aである。ゆえに∣S∣=∑u∈A∣NG(u)∩B∣=∑v∈B∣NG(v)∩A∣\lvert S\rvert=\sum_{u\in A}\lvert N_G(u)\cap B\rvert=\sum_{v\in B}\lvert N_G(v)\cap A\rvertが成り立つ。

残るのは∣S∣=∣E(A,B)∣\lvert S\rvert=\lvert E(A,B)\rvertの一手である。写像Ψ(u,v)={u,v}\Psi(u,v)=\{u,v\}はSSからE(A,B)E(A,B)への写像である。A∩B=∅A\cap B=\varnothingであるから、E(A,B)E(A,B)の各辺はAAに属する端点とBBに属する端点をちょうど一つずつもつ。ゆえにΨ(u,v)=Ψ(u′,v′)\Psi(u,v)=\Psi(u',v')ならばu=u′u=u'かつv=v′v=v'であってΨ\Psiは単射であり、またE(A,B)E(A,B)の各辺はその二つの端点の組の像として得られるからΨ\Psiは全射である。§D2.2 命題 1.5より∣S∣=∣E(A,B)∣\lvert S\rvert=\lvert E(A,B)\rvertである。▨

定義 2.2.nnとrrを正の整数とする。nn元集合VVの分割V=V1⊔V2⊔⋯⊔VrV=V_1\sqcup V_2\sqcup\dots\sqcup V_rであって、すべてのi,ji,jについて∣∣Vi∣−∣Vj∣∣≤1\bigl\lvert\lvert V_i\rvert-\lvert V_j\rvert\bigr\rvert\le1を満たすものを取る(空の部を許す)。相異なる部に属する二頂点をすべて辺で結び、同じ部に属する二頂点は結ばないグラフを Turán グラフ (Turán graph) といい、T(n,r)T(n,r)と書く。すなわちT(n,r)T(n,r)は、部の大きさの差が11以下である完全rr部グラフである。

命題 2.3.nnとrrを正の整数とし、n=qr+sn=qr+s(q=⌊n/r⌋q=\lfloor n/r\rfloor、0≤s≤r−10\le s\le r-1)と書く。

  1. 定義 2.2の条件を満たす分割が存在し、その部の大きさは、q+1q+1がss個、qqがr−sr-s個であるものに限る。
  2. T(n,r)T(n,r)はKr+1K_{r+1}を部分グラフとして含まない。
  3. n≤rn\le rのときT(n,r)≅KnT(n,r)\cong K_nである。
  4. 部の大きさの多重集合が等しい二つの完全rr部グラフは同型である。したがってT(n,r)T(n,r)は同型を除いて一意に定まる。

証明. (1)の存在.rr個の非負整数のうちss個をq+1q+1、残るr−sr-s個をqqと定めると、その総和はs(q+1)+(r−s)q=qr+s=ns(q+1)+(r-s)q=qr+s=nである。値はqqとq+1q+1の二種類だけであるから、どの二つの差も11以下である。nn元集合をこの大きさの部へ分ける分割は、nn元集合の元を順に並べて先頭から順に切り分けることで得られる。ゆえに条件を満たす分割が存在する。

(1)の一意性.定義 2.2の条件を満たす分割の部の大きさをn1,…,nrn_1,\dots,n_rとし、q′=min⁡iniq'=\min_i n_iと置く。条件より各nin_iはq′q'以上q′+1q'+1以下であるから、ni∈{q′,q′+1}n_i\in\{q',q'+1\}である。ni=q′+1n_i=q'+1である添字の個数をs′s'とするとn=rq′+s′n=rq'+s'である。最小値を取る添字が少なくとも一つ存在するからs′≤r−1s'\le r-1であり、0≤s′≤r−10\le s'\le r-1である。除法の一意性よりq′=qq'=qかつs′=ss'=sである。

(2)を示す。T(n,r)T(n,r)の頂点集合をVVとし、S⊆VS\subseteq Vを∣S∣=r+1\lvert S\rvert=r+1とする。SSの各頂点を、それが属する部へ対応させると、r+1r+1個の対象をrr個の部へ入れることになるから、§D2.3 系 4.3より同じ部に属する相異なる二頂点が存在する。この二頂点は隣接しないのでSSはクリークではない。ゆえにT(n,r)T(n,r)は(r+1)(r+1)元クリークをもたない。

(3)を示す。n≤rn\le rのときq=⌊n/r⌋q=\lfloor n/r\rfloorはn<rn<rならば00、n=rn=rならば11である。前者ではs=ns=nであるから大きさ11の部がnn個、大きさ00の部がr−nr-n個であり、後者ではs=0s=0であるから大きさ11の部がr=nr=n個である。いずれの場合も、空でない部はすべて一元であるから、相異なる二頂点はつねに相異なる部に属し、すべての対が辺になる。ゆえにT(n,r)≅KnT(n,r)\cong K_nである。

(4)を示す。 二つの完全rr部グラフの部の大きさの多重集合が等しいとする。大きさの等しい部どうしを対応させ、対応する部の間の全単射を各部で一つ選ぶ。それらを合わせると頂点集合の間の全単射が得られる。この全単射は「相異なる部に属する」という関係を両向きに保つので、辺を辺へ、非辺を非辺へ写し、グラフの同型である。(1)(1)よりT(n,r)T(n,r)の部の大きさの多重集合はnnとrrだけで定まるから、T(n,r)T(n,r)は同型を除いて一意に定まる。▨

3 独立集合への分割と辺数

Turán グラフの辺数を求め、独立集合への分割をもつグラフの辺数を上から評価する。

命題 3.1.G=(V,E)G=(V,E)をnn頂点の有限単純無向グラフとし、V=V1⊔⋯⊔VrV=V_1\sqcup\dots\sqcup V_rを、各ViV_iが独立集合、すなわちViV_iの二頂点を結ぶ辺が存在しない分割とする。ni=∣Vi∣n_i=\lvert V_i\rvertと置くと∣E∣≤(n2)−∑i=1r(ni2)\lvert E\rvert\le\binom n2-\sum_{i=1}^{r}\binom{n_i}{2}が成り立つ。等号が成立することと、相異なる部に属する任意の二頂点が隣接することは同値である。

証明.P\mathcal PをVVの二元部分集合の全体とすると、§D2.2 命題 3.1より∣P∣=(n2)\lvert\mathcal P\rvert=\binom n2である。P\mathcal Pを、両方の頂点が同じ部に属する対の全体P0\mathcal P_0と、相異なる部に属する対の全体P1\mathcal P_1へ分ける。二つは互いに素であり合併はP\mathcal Pであるから、§D2.2 定理 2.1より∣P0∣+∣P1∣=(n2)\lvert\mathcal P_0\rvert+\lvert\mathcal P_1\rvert=\binom n2である。

P0\mathcal P_0は、各iiについてViV_iの二元部分集合の全体を集めたものであり、相異なるiiに対するこれらは互いに素である。ゆえに§D2.2 定理 2.1と§D2.2 命題 3.1より∣P0∣=∑i=1r(ni2)\lvert\mathcal P_0\rvert=\sum_{i=1}^{r}\binom{n_i}{2}である。したがって∣P1∣=(n2)−∑i=1r(ni2).\lvert\mathcal P_1\rvert=\binom n2-\sum_{i=1}^{r}\binom{n_i}{2}.

各ViV_iは独立集合であるから、EEの元は同じ部に属する二頂点の対ではない。ゆえにE⊆P1E\subseteq\mathcal P_1であり∣E∣≤∣P1∣\lvert E\rvert\le\lvert\mathcal P_1\rvertである。等号が成立することはE=P1E=\mathcal P_1と同値であり、これは相異なる部に属する任意の二頂点が隣接することにほかならない。▨

命題 3.2.nnとrrを正の整数とし、m1,…,mrm_1,\dots,m_rを命題 2.3が定めるT(n,r)T(n,r)の部の大きさとする。∑i=1rni=n\sum_{i=1}^{r}n_i=nを満たす任意の非負整数の組(n1,…,nr)(n_1,\dots,n_r)に対し∑i=1r(ni2)≥∑i=1r(mi2)\sum_{i=1}^{r}\binom{n_i}{2}\ge\sum_{i=1}^{r}\binom{m_i}{2}が成り立つ。等号が成立することと、(n1,…,nr)(n_1,\dots,n_r)が(m1,…,mr)(m_1,\dots,m_r)の並べ替えであることは同値である。

証明. 和がnnである非負整数の組は有限個であるから、F(n1,…,nr)=∑i=1r(ni2)F(n_1,\dots,n_r)=\sum_{i=1}^{r}\binom{n_i}{2}を最小にする組が存在する。そのような組を一つ取り、(n1,…,nr)(n_1,\dots,n_r)と書く。

この組はすべてのi,ji,jについて∣ni−nj∣≤1\lvert n_i-n_j\rvert\le1を満たす。実際、ni≥nj+2n_i\ge n_j+2を満たす添字の対が存在するとし、nin_iをni−1n_i-1へ、njn_jをnj+1n_j+1へ置き換えた組を考える。和は変わらず、FFの値の変化は[(ni−12)−(ni2)]+[(nj+12)−(nj2)]=−(ni−1)+nj=nj−ni+1≤−1\left[\binom{n_i-1}{2}-\binom{n_i}{2}\right]+\left[\binom{n_j+1}{2}-\binom{n_j}{2}\right]=-(n_i-1)+n_j=n_j-n_i+1\le-1である。ここで(a2)−(a−12)=a−1\binom{a}{2}-\binom{a-1}{2}=a-1を用いた。FFの値が真に小さくなるので、最小性に反する。

ゆえに最小値を与える組は定義 2.2の条件を満たす部の大きさであり、命題 2.3 (1)より(m1,…,mr)(m_1,\dots,m_r)の並べ替えである。並べ替えはFFの値を変えないから、(m1,…,mr)(m_1,\dots,m_r)の並べ替えはすべて最小値を与える。

逆に、(n1,…,nr)(n_1,\dots,n_r)が(m1,…,mr)(m_1,\dots,m_r)の並べ替えでないとする。このとき命題 2.3 (1)より、ni≥nj+2n_i\ge n_j+2を満たす添字の対が存在する。上の置き換えによってFFの値が真に小さい組が得られるから、(n1,…,nr)(n_1,\dots,n_r)は最小値を与えず、F(n1,…,nr)>∑i(mi2)F(n_1,\dots,n_r)>\sum_i\binom{m_i}{2}である。▨

命題 3.3.nnとrrを正の整数とし、m1,…,mrm_1,\dots,m_rをT(n,r)T(n,r)の部の大きさとする。

  1. ∣E(T(n,r))∣=(n2)−∑i=1r(mi2)\displaystyle\lvert E(T(n,r))\rvert=\binom n2-\sum_{i=1}^{r}\binom{m_i}{2}が成り立つ。
  2. n>rn>rのとき∣E(T(n,r))∣=(r2)+(r−1)(n−r)+∣E(T(n−r,r))∣\lvert E(T(n,r))\rvert=\binom r2+(r-1)(n-r)+\lvert E(T(n-r,r))\rvertが成り立つ。

証明.(1)を示す。T(n,r)T(n,r)は相異なる部に属する二頂点をすべて結んだグラフであるから、命題 3.1の等号成立条件を満たす。ゆえに主張の等式が成り立つ。

(2)を示す。n>rn>rのときq=⌊n/r⌋≥1q=\lfloor n/r\rfloor\ge1であるから、すべてのiiについてmi≥1m_i\ge1である。組(m1−1,…,mr−1)(m_1-1,\dots,m_r-1)は非負整数の組であり、その和はn−r≥1n-r\ge1、各成分の差は(m1,…,mr)(m_1,\dots,m_r)の差と同じであるから11以下である。命題 2.3 (1)より、これはT(n−r,r)T(n-r,r)の部の大きさの組である。ゆえに(1)(1)より∣E(T(n−r,r))∣=(n−r2)−∑i=1r(mi−12)\lvert E(T(n-r,r))\rvert=\binom{n-r}{2}-\sum_{i=1}^{r}\binom{m_i-1}{2}である。差を取ると、(mi2)−(mi−12)=mi−1\binom{m_i}{2}-\binom{m_i-1}{2}=m_i-1と∑i(mi−1)=n−r\sum_i(m_i-1)=n-rより∣E(T(n,r))∣−∣E(T(n−r,r))∣=(n2)−(n−r2)−∑i=1r(mi−1)=(n2)−(n−r2)−(n−r).\lvert E(T(n,r))\rvert-\lvert E(T(n-r,r))\rvert=\binom n2-\binom{n-r}{2}-\sum_{i=1}^{r}(m_i-1)=\binom n2-\binom{n-r}{2}-(n-r).ここで(n2)−(n−r2)=n(n−1)−(n−r)(n−r−1)2=2nr−r2−r2=nr−r(r+1)2\binom n2-\binom{n-r}{2}=\frac{n(n-1)-(n-r)(n-r-1)}{2}=\frac{2nr-r^{2}-r}{2}=nr-\frac{r(r+1)}{2}であるから∣E(T(n,r))∣−∣E(T(n−r,r))∣=nr−r(r+1)2−n+r=n(r−1)−r(r−1)2\lvert E(T(n,r))\rvert-\lvert E(T(n-r,r))\rvert=nr-\frac{r(r+1)}{2}-n+r=n(r-1)-\frac{r(r-1)}{2}となる。一方(r2)+(r−1)(n−r)=r(r−1)2+(r−1)n−r(r−1)=n(r−1)−r(r−1)2\binom r2+(r-1)(n-r)=\frac{r(r-1)}{2}+(r-1)n-r(r-1)=n(r-1)-\frac{r(r-1)}{2}であるから、二つは等しい。▨

4 Turán の定理

上界の証明には、辺をこれ以上加えることのできないKr+1K_{r+1}を含まないグラフが、rr元クリークをもつという事実を用いる。

補題 4.1.rrを正の整数、n≥rn\ge rとし、G=(V,E)G=(V,E)をnn頂点の有限単純無向グラフで、Kr+1K_{r+1}を部分グラフとして含まず、かつVVの任意の非辺uv∉Euv\notin E(u≠vu\ne v)についてG+uvG+uvがKr+1K_{r+1}を部分グラフとして含むものとする。このときGGはrr元クリークをもつ。

証明.GGが完全グラフである場合、VV自身がクリークであり、Kr+1K_{r+1}を含まないことからn≤rn\le rである。仮定n≥rn\ge rとあわせてn=rn=rであり、VVがrr元クリークである。

GGが完全グラフでない場合、u≠vu\ne vかつuv∉Euv\notin Eを満たすu,v∈Vu,v\in Vが存在する。仮定よりG+uvG+uvは(r+1)(r+1)元クリークSSをもつ。GGはKr+1K_{r+1}を含まないから、SSの二頂点の対のうち少なくとも一つはGGの辺ではない。G+uvG+uvで新たに加わった辺はuvuvだけであるから、その対は{u,v}\{u,v\}であり、u,v∈Su,v\in Sである。

S′=S∖{v}S'=S\setminus\{v\}と置くと∣S′∣=r\lvert S'\rvert=rである。S′S'の相異なる二頂点の対は{u,v}\{u,v\}とは異なるから、G+uvG+uvの辺であることとGGの辺であることが同値である。SSがクリークであることより、S′S'のすべての対はG+uvG+uvの辺であり、したがってGGの辺である。ゆえにS′S'はGGのrr元クリークである。▨

rr元クリークが見つかったあとの分解と評価は、上界の証明と等号成立の証明の双方が同じ形で用いる。そこで、独立の補題として取り出しておく。

補題 4.2.rrを正の整数、n>rn>rとし、G=(V,E)G=(V,E)をKr+1K_{r+1}を部分グラフとして含まないnn頂点の有限単純無向グラフとする。A⊆VA\subseteq VをGGのrr元クリークとし、B=V∖AB=V\setminus Aと置く。このとき次が成り立つ。

  1. ∣E∣=(r2)+∣E(A,B)∣+∣E[B]∣\lvert E\rvert=\dbinom r2+\lvert E(A,B)\rvert+\lvert E[B]\rvert。
  2. ∣E(A,B)∣=∑v∈B∣NG(v)∩A∣≤(r−1)(n−r)\lvert E(A,B)\rvert=\displaystyle\sum_{v\in B}\lvert N_G(v)\cap A\rvert\le(r-1)(n-r)。等号が成立することと、すべてのv∈Bv\in Bについて∣NG(v)∩A∣=r−1\lvert N_G(v)\cap A\rvert=r-1が成り立つことは同値である。
  3. G[B]G[B]はKr+1K_{r+1}を部分グラフとして含まないn−rn-r頂点の有限単純無向グラフである。

証明.∣B∣=n−r≥1\lvert B\rvert=n-r\ge1であるからB≠∅B\ne\varnothingであり、G[B]G[B]はn−rn-r頂点のグラフである。

(1)を示す。GGの各辺は、両端点がAAに属するか、両端点がBBに属するか、一方の端点がAAで他方がBBに属するかのいずれかであり、V=A⊔BV=A\sqcup Bであるから三つの場合は互いに排反である。ゆえに§D2.2 定理 2.1より∣E∣=∣E[A]∣+∣E(A,B)∣+∣E[B]∣\lvert E\rvert=\lvert E[A]\rvert+\lvert E(A,B)\rvert+\lvert E[B]\rvertである。AAはクリークであるからE[A]E[A]はAAの二元部分集合の全体に等しく、§D2.2 命題 3.1より∣E[A]∣=(r2)\lvert E[A]\rvert=\binom r2である。

(2)を示す。 和による表示は系 2.1による。v∈Bv\in BがAAのすべての頂点と隣接するとすると、AAがクリークであることからA∪{v}A\cup\{v\}は(r+1)(r+1)元クリークとなり、GGがKr+1K_{r+1}を部分グラフとして含まないことに反する。ゆえに各項はr−1r-1以下であり、項の個数は∣B∣=n−r\lvert B\rvert=n-rであるから∣E(A,B)∣≤(r−1)(n−r)\lvert E(A,B)\rvert\le(r-1)(n-r)である。各項がr−1r-1以下であるn−rn-r個の和が(r−1)(n−r)(r-1)(n-r)に等しいことと、各項がr−1r-1に等しいことは同値である。

(3)を示す。G[B]G[B]のクリークはGGのクリークでもあるから、GGが(r+1)(r+1)元クリークをもたないことよりG[B]G[B]も(r+1)(r+1)元クリークをもたない。▨

4.1 証明方針

nnについての累積帰納法による。n≤rn\le rのときは命題 2.3 (3)よりT(n,r)≅KnT(n,r)\cong K_nであり、辺数の上界は二元部分集合の個数そのものである。

n>rn>rのときは、まずGGに辺を加えて辺極大なKr+1K_{r+1}を含まないグラフG+G^{+}を作る。辺を加えても辺数は減らないから、G+G^{+}について上界を示せば十分である。補題 4.1よりG+G^{+}はrr元クリークAAをもつ。B=V∖AB=V\setminus Aと置き、補題 4.2によって辺数を三つへ分けて評価する。第三項には帰納法の仮定を適用する。三つを加え、命題 3.3 (2)を用いると、目標の上界になる。BBの頂点数はn−rn-rでありn−1n-1とは限らないので、ここで用いる帰納法は累積帰納法である(§D2.1 命題 1.2)。

定理 4.3 (Turán の定理).rrを正の整数とし、G=(V,E)G=(V,E)をKr+1K_{r+1}を部分グラフとして含まないnn頂点の有限単純無向グラフとすると∣E(G)∣≤∣E(T(n,r))∣\lvert E(G)\rvert\le\lvert E(T(n,r))\rvertが成り立つ。すなわちex⁡(n;Kr+1)=∣E(T(n,r))∣\operatorname{ex}(n;K_{r+1})=\lvert E(T(n,r))\rvertである。

証明.nnについての累積帰納法(§D2.1 命題 1.2)で不等式を示す。

n≤rn\le rの場合.命題 2.3 (3)よりT(n,r)≅KnT(n,r)\cong K_nであり、∣E(T(n,r))∣=(n2)\lvert E(T(n,r))\rvert=\binom n2である。E(G)E(G)はVVの二元部分集合の集合の部分集合であるから∣E(G)∣≤(n2)\lvert E(G)\rvert\le\binom n2である。

n>rn>rの場合.VV上の有限単純無向グラフHHであってE(G)⊆E(H)E(G)\subseteq E(H)かつHHがKr+1K_{r+1}を部分グラフとして含まないものの全体を考える。VV上のグラフは有限個であり、GG自身がこの条件を満たすから、この全体は空でない有限集合である。ゆえに、そのうち辺数が最大のものを一つ取ることができる。これをG+G^{+}とする。G+G^{+}の非辺uvuvを加えて得られるグラフは、辺数がG+G^{+}より大きくE(G)E(G)を含むから、G+G^{+}の取り方よりKr+1K_{r+1}を部分グラフとして含む。したがってG+G^{+}は補題 4.1の仮定を満たす。n>rn>rよりn≥rn\ge rであるから、G+G^{+}はrr元クリークAAをもつ。

B=V∖AB=V\setminus Aと置くと∣B∣=n−r≥1\lvert B\rvert=n-r\ge1である。補題 4.2 (1)と補題 4.2 (2)より∣E(G+)∣=(r2)+∣E(A,B)∣+∣E[B]∣≤(r2)+(r−1)(n−r)+∣E[B]∣\lvert E(G^{+})\rvert=\binom r2+\lvert E(A,B)\rvert+\lvert E[B]\rvert\le\binom r2+(r-1)(n-r)+\lvert E[B]\rvertである。ここで記号E[B]E[B]とE(A,B)E(A,B)は定義 1.1と系 2.1のものであり、いずれもG+G^{+}について取る。

補題 4.2 (3)より、G+[B]G^{+}[B]はKr+1K_{r+1}を部分グラフとして含まないn−rn-r頂点のグラフである。1≤n−r<n1\le n-r<nであるから、帰納法の仮定より∣E[B]∣≤∣E(T(n−r,r))∣\lvert E[B]\rvert\le\lvert E(T(n-r,r))\rvertである。

以上を合わせ、命題 3.3 (2)を用いると∣E(G)∣≤∣E(G+)∣≤(r2)+(r−1)(n−r)+∣E(T(n−r,r))∣=∣E(T(n,r))∣\lvert E(G)\rvert\le\lvert E(G^{+})\rvert\le\binom r2+(r-1)(n-r)+\lvert E(T(n-r,r))\rvert=\lvert E(T(n,r))\rvertを得る。

最後に、命題 2.3 (2)よりT(n,r)T(n,r)はKr+1K_{r+1}を部分グラフとして含まないから、上界は達成される。ゆえにex⁡(n;Kr+1)=∣E(T(n,r))∣\operatorname{ex}(n;K_{r+1})=\lvert E(T(n,r))\rvertである。▨

5 等号が成立するグラフ

5.1 証明方針

上界の証明と同じく補題 4.2で辺数を三つへ分け、そこに現れる評価がすべて等号になることから出発する。とくにBBの各頂点はAAのちょうどr−1r-1個の頂点と隣接するので、AAのうち隣接しない頂点がただ一つ定まる。この対応によってBBをrr個の部分へ分け、AAの対応する頂点を加えてVVの分割を作る。同じ部分に属する二頂点が隣接すると(r+1)(r+1)元クリークが現れるので、各部は独立集合である。あとは命題 3.1と命題 3.2の等号成立条件を順に適用すればよい。

定理 5.1.rrを正の整数とし、G=(V,E)G=(V,E)をKr+1K_{r+1}を部分グラフとして含まないnn頂点の有限単純無向グラフとする。∣E(G)∣=∣E(T(n,r))∣\lvert E(G)\rvert=\lvert E(T(n,r))\rvertが成り立つことと、G≅T(n,r)G\cong T(n,r)が成り立つことは同値である。

証明. 十分性.G≅T(n,r)G\cong T(n,r)ならば辺数は等しい。

必要性.∣E(G)∣=∣E(T(n,r))∣\lvert E(G)\rvert=\lvert E(T(n,r))\rvertとする。

n≤rn\le rの場合.命題 2.3 (3)より∣E(G)∣=(n2)\lvert E(G)\rvert=\binom n2であり、E(G)E(G)はVVの二元部分集合の全体に含まれて同じ濃度をもつから、E(G)E(G)はその全体に等しい。ゆえにG≅Kn≅T(n,r)G\cong K_n\cong T(n,r)である。

n>rn>rの場合. まずGGが辺極大であることを示す。定理 4.3の証明と同じく、GGを含みKr+1K_{r+1}を部分グラフとして含まないVV上のグラフのうち辺数が最大のものをG+G^{+}とする。定理 4.3より∣E(G+)∣≤∣E(T(n,r))∣=∣E(G)∣≤∣E(G+)∣\lvert E(G^{+})\rvert\le\lvert E(T(n,r))\rvert=\lvert E(G)\rvert\le\lvert E(G^{+})\rvertであるからE(G)=E(G+)E(G)=E(G^{+})であり、GG自身が補題 4.1の仮定を満たす。ゆえにGGはrr元クリークA={a1,…,ar}A=\{a_1,\dots,a_r\}をもつ。

B=V∖AB=V\setminus Aと置くと∣B∣=n−r≥1\lvert B\rvert=n-r\ge1である。補題 4.2 (1)と補題 4.2 (2)、補題 4.2 (3)と定理 4.3、および命題 3.3 (2)を順に用いると∣E(G)∣=(r2)+∣E(A,B)∣+∣E[B]∣≤(r2)+(r−1)(n−r)+∣E(T(n−r,r))∣=∣E(T(n,r))∣=∣E(G)∣\lvert E(G)\rvert=\binom r2+\lvert E(A,B)\rvert+\lvert E[B]\rvert\le\binom r2+(r-1)(n-r)+\lvert E(T(n-r,r))\rvert=\lvert E(T(n,r))\rvert=\lvert E(G)\rvertとなるから、途中の二つの不等号はいずれも等号である。とくに∣E(A,B)∣=(r−1)(n−r)\lvert E(A,B)\rvert=(r-1)(n-r)であり、補題 4.2 (2)の等号成立条件より、すべてのv∈Bv\in Bについて∣NG(v)∩A∣=r−1\lvert N_G(v)\cap A\rvert=r-1である。

∣A∣=r\lvert A\rvert=rであるから、各v∈Bv\in Bに対しva∉Eva\notin Eを満たすa∈Aa\in Aがただ一つ存在する。これをf(v)f(v)と書き、Bi={v∈B: f(v)=ai},Vi=Bi∪{ai}(i=1,…,r)B_i=\{v\in B:\ f(v)=a_i\},\qquad V_i=B_i\cup\{a_i\}\qquad(i=1,\dots,r)と置く。B=B1⊔⋯⊔BrB=B_1\sqcup\dots\sqcup B_rかつA={a1,…,ar}A=\{a_1,\dots,a_r\}であるから、V=V1⊔⋯⊔VrV=V_1\sqcup\dots\sqcup V_rはVVの分割である。

各ViV_iが独立集合であることを示す。まず、v∈Biv\in B_iに対しf(v)=aif(v)=a_iであるからvai∉Eva_i\notin Eである。次に、相異なるu,v∈Biu,v\in B_iがuv∈Euv\in Eを満たすと仮定する。S={u,v}∪(A∖{ai})S=\{u,v\}\cup(A\setminus\{a_i\})と置くと∣S∣=2+(r−1)=r+1\lvert S\rvert=2+(r-1)=r+1である。SSの相異なる二頂点の対を調べる。対{u,v}\{u,v\}は仮定より辺である。j≠ij\ne iのとき、f(u)=aif(u)=a_iよりuuはA∖{ai}A\setminus\{a_i\}のすべての頂点と隣接するから、対{u,aj}\{u,a_j\}は辺である。同じ理由で対{v,aj}\{v,a_j\}も辺である。AAはクリークであるから、j≠kj\ne kに対する対{aj,ak}\{a_j,a_k\}も辺である。ゆえにSSは(r+1)(r+1)元クリークとなり、GGがKr+1K_{r+1}を部分グラフとして含まないことに反する。したがってBiB_iは独立集合であり、ViV_iも独立集合である。

ni=∣Vi∣n_i=\lvert V_i\rvertと置く。命題 3.1と命題 3.2、および命題 3.3 (1)より∣E(G)∣≤(n2)−∑i=1r(ni2)≤(n2)−∑i=1r(mi2)=∣E(T(n,r))∣=∣E(G)∣\lvert E(G)\rvert\le\binom n2-\sum_{i=1}^{r}\binom{n_i}{2}\le\binom n2-\sum_{i=1}^{r}\binom{m_i}{2}=\lvert E(T(n,r))\rvert=\lvert E(G)\rvertであるから、二つの不等号はいずれも等号である。ここでm1,…,mrm_1,\dots,m_rはT(n,r)T(n,r)の部の大きさである。

第一の等号と命題 3.1の等号成立条件より、GGは分割V1,…,VrV_1,\dots,V_rに関する完全rr部グラフである。第二の等号と命題 3.2の等号成立条件より、(n1,…,nr)(n_1,\dots,n_r)は(m1,…,mr)(m_1,\dots,m_r)の並べ替えである。GGとT(n,r)T(n,r)はいずれも完全rr部グラフであって部の大きさの多重集合が等しいから、命題 2.3 (4)よりG≅T(n,r)G\cong T(n,r)である。▨

6 具体例

例 6.1 (小さなnnとrrでの再計算). r=2r=2、n=5n=5の場合.5=2⋅2+15=2\cdot2+1であるから、T(5,2)T(5,2)の部の大きさは33が11個、22が11個であり、T(5,2)≅K2,3T(5,2)\cong K_{2,3}である。命題 3.3 (1)より∣E(T(5,2))∣=(52)−(32)−(22)=10−3−1=6\lvert E(T(5,2))\rvert=\binom52-\binom32-\binom22=10-3-1=6である。直接数えると、K2,3K_{2,3}の辺は2⋅3=62\cdot3=6本であり一致する。

定理 4.3は、三角形(K3K_3)を部分グラフとして含まない55頂点グラフの辺数が66以下であることを主張する。長さ55の閉路C5C_5は三角形を含まないが辺数は55であり、66には達しない。定理 5.1によれば、辺数66を達成する三角形を含まない55頂点グラフはK2,3K_{2,3}に同型なものに限る。

漸化式の検算.命題 3.3 (2)をn=5n=5、r=2r=2に適用すると(22)+(2−1)(5−2)+∣E(T(3,2))∣=1+3+∣E(T(3,2))∣\binom22+(2-1)(5-2)+\lvert E(T(3,2))\rvert=1+3+\lvert E(T(3,2))\rvertである。T(3,2)T(3,2)の部の大きさは22と11であるからT(3,2)≅K1,2T(3,2)\cong K_{1,2}であり、辺数は22である。ゆえに合計は1+3+2=61+3+2=6となり、上で求めた∣E(T(5,2))∣=6\lvert E(T(5,2))\rvert=6と一致する。

r=3r=3、n=7n=7の場合.7=3⋅2+17=3\cdot2+1であるから、T(7,3)T(7,3)の部の大きさは33が11個、22が22個である。∣E(T(7,3))∣=(72)−(32)−(22)−(22)=21−3−1−1=16.\lvert E(T(7,3))\rvert=\binom72-\binom32-\binom22-\binom22=21-3-1-1=16.漸化式で確かめる。T(4,3)T(4,3)の部の大きさは2,1,12,1,1であるから∣E(T(4,3))∣=(42)−(22)−(12)−(12)=6−1−0−0=5\lvert E(T(4,3))\rvert=\binom42-\binom22-\binom12-\binom12=6-1-0-0=5であり、(32)+(3−1)(7−3)+∣E(T(4,3))∣=3+8+5=16\binom32+(3-1)(7-3)+\lvert E(T(4,3))\rvert=3+8+5=16となって一致する。

大きさの差を広げると辺数が減ること.n=7n=7、r=3r=3で部の大きさを4,2,14,2,1に取ると(72)−(42)−(22)−(12)=21−6−1−0=14<16\binom72-\binom42-\binom22-\binom12=21-6-1-0=14<16であり、5,1,15,1,1に取ると21−(52)−0−0=21−10=11<1621-\binom52-0-0=21-10=11<16である。命題 3.2が主張するとおり、大きさの差が11以下の分割だけが最大の辺数を与える。

7 演習

問題 7.1.

  1. 定理 4.3の証明で、GGを直接扱わずに辺極大なG+G^{+}へ移る理由を述べよ。GGがrr元クリークをもつとは限らない例を、r=2r=2について一つ挙げよ。
  2. 補題 4.2 (2)の評価を、系 2.1のもう一方の表示、すなわちAAの頂点ごとの和を用いて書き直すことを試みよ。この向きでは各項をどのように評価することができるか、またできないかを述べよ。
  3. 補題 4.1の証明で、G+uvG+uvに現れる(r+1)(r+1)元クリークSSがuuとvvの両方を含むことを示す一手を書き下せ。この一手を省くと結論が導けなくなる理由を述べよ。
  4. 定理 5.1の証明で構成した写像ffの定義域と値域を明示し、ffが写像として定まるために必要な等号がどれであったかを述べよ。
  5. 命題 3.2を、最小値を取る組の存在から出発する形ではなく、(n1,…,nr)(n_1,\dots,n_r)から出発して有限回の置き換えで(m1,…,mr)(m_1,\dots,m_r)に到達することを示す形へ設計し直せ。置き換えの回数が有限であることの根拠を明示せよ。
  6. r=2r=2の場合の定理 4.3、すなわち三角形を部分グラフとして含まないnn頂点グラフの辺数が⌊n2/4⌋\lfloor n^{2}/4\rfloor以下であることを、T(n,2)T(n,2)の辺数を計算して確かめよ。nnが偶数の場合と奇数の場合に分けて計算せよ。

9 扱った範囲と次の記事

本記事では、Kr+1K_{r+1}を部分グラフとして含まない有限単純グラフの最大辺数が Turán グラフの辺数であることと、等号成立グラフが Turán グラフに同型なものに限ることを証明した。完全グラフ以外の禁止部分グラフに対する極値関数、二部グラフを禁止する場合の漸近的な評価、および極値グラフの安定性は扱っていない。次の記事では、辺を二色に塗り分けたときに単色の完全グラフが必ず現れる頂点数を扱う。

参考文献

  1. Reinhard Diestel, Graph Theory, 6th ed., Graduate Texts in Mathematics 173, Springer, Berlin, 2025.極値グラフ理論における Turán の定理の定式化と、Turán グラフの辺数の表示を参考にした。
  2. Martin Aigner and Günter M. Ziegler, Proofs from THE BOOK, 6th ed., Springer, Berlin, 2018.完全多部グラフへ帰着する証明の構成と、等号成立グラフの決定を参考にした。

前提記事