形式的証明は有限列である。したがって、無限個の前提から一つの文を証明した場合でも、実際の証明が参照する前提は有限個である。強完全性定理は意味論的帰結と形式的導出を一致させるため、この構文上の有限性をモデルの存在に移すことができる。
コンパクト性定理が要求するのは、理論の各文が別々に充足可能であることではない。各有限部分理論について、そのすべての文を一つの構造が同時に満たすことが必要である。
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形式的証明は有限列である。したがって、無限個の前提から一つの文を証明した場合でも、実際の証明が参照する前提は有限個である。強完全性定理は意味論的帰結と形式的導出を一致させるため、この構文上の有限性をモデルの存在に移すことができる。
コンパクト性定理が要求するのは、理論の各文が別々に充足可能であることではない。各有限部分理論について、そのすべての文を一つの構造が同時に満たすことが必要である。
は、がの有限部分集合であることを表す。
定理 1.1 (一階論理のコンパクト性定理). 集合サイズの有限項言語と理論について、次は同値である。
証明の方針は、有限充足可能性からの構文的無矛盾性を示すことである。が矛盾を証明するなら、その有限証明で用いた有限個の前提だけでも矛盾を証明する。
証明.条件 (a)(b)を示す。が充足可能なら、そのモデルはすべてのを満たす。
条件 (b)(a)を示す。逆に、すべての有限部分集合が充足可能であるとする。が構文的に矛盾すると仮定する。するとである。§E16.10 系 5.2により、ある有限部分集合が存在してとなる。一階 Hilbert 系の健全性からである。はどの構造でも偽なので、は充足不可能であり、有限充足可能性の仮定に反する。
したがっては構文的に無矛盾である。§E16.12 定理 4.1によりはモデルをもち、充足可能である。▨
注意 1.2 (個別の充足可能性では足りない). 定数記号と一項関係記号をもつ言語で、とはそれぞれ単独では充足可能である。しかし、二つを合わせた有限集合は充足不可能である。したがって、各文の個別の充足可能性はコンパクト性定理の仮定ではない。
定理 2.1.とについて、なら、ある有限部分集合が存在してである。
証明.とする。強完全性定理によりである。§E16.10 系 5.2により、ある有限部分集合が存在してである。健全性によりを得る。▨
証明. まず帰結版を仮定する。の各有限部分集合が充足可能であるにもかかわらずが充足不可能であるとする。充足不可能な理論は任意の文を意味論的に帰結するので、特にである。帰結版により、を満たす有限集合が存在する。この帰結はが充足不可能であることを意味し、有限部分集合に関する仮定に反する。したがって充足可能性版が従う。
逆に充足可能性版を仮定し、とする。は充足不可能である。充足可能性版の対偶により、充足不可能な有限部分集合が存在する。とおく。は有限である。なら、が充足不可能なのでである。なら自身が充足不可能であり、この場合も空虚にである。したがって帰結版が従う。▨
有限個の一階文だけでは、構造が指定した有限の大きさ以上であるという条件を有限個しか要求することができない。この性質を用いて、任意に大きい有限モデルから一つの無限モデルを構成する。
正の整数に対して、を
とする。は台集合に相異なる個の要素が存在することを述べる。
定理 3.1.を理論とする。すべての正の整数について、濃度が以上である有限モデルが存在すると仮定する。このときは無限モデルをもつ。
証明.
とおく。の任意の有限部分集合を取る。に現れるの添字の最大値をとする。にが現れない場合はとする。仮定により、濃度が以上である有限モデルが存在する。はと、に現れるすべてのを同時に満たす。したがっての各有限部分集合は充足可能である。
定理 1.1によりはモデルをもつ。はすべてのを満たすため、任意の正の整数に対して相異なる個の要素をもつ。したがっては無限であり、である。▨
例 3.2 (有限線形順序から無限線形順序へ). 線形順序の公理からなる理論をとする。各正の整数について要素の線形順序が存在するので、定理 3.1によりは無限モデルをもつ。この応用は無限線形順序を具体的に構成しないが、すべての有限下界を一つのモデルで同時に満たす。
定理 4.1.を集合サイズの有限項言語とする。の有限構造全体をモデル類としてもつ一階理論は存在しない。
証明. そのような理論が存在すると仮定する。
とおく。の有限部分集合を任意に取る。に現れるの添字より大きい正の整数を選ぶ。要素集合上には構造を定めることができる。各定数記号には一つの要素を割り当て、正の項数の各関数記号は一つの固定要素を返す関数として解釈し、各関係記号は空関係として解釈すればよい。得られた構造は有限なので、仮定によりのすべての文を満たす。また、台集合が要素をもつため、に現れるすべてのを満たす。したがっては充足可能である。
定理 1.1によりはモデルをもつ。はすべてのを満たすので無限である。一方なので、のモデルはすべて有限であるという仮定に反する。したがって有限構造全体を一階理論のモデル類として指定することができない。▨
注意 4.2 (各有限濃度を一文で指定することとの違い). 固定した正の整数について、台集合の濃度がちょうどであることは一つの一階文で表すことができる。相異なる個の要素の存在に加え、すべての要素がそのいずれかに等しいと述べればよい。不可能なのは、有限な濃度のどれかであるという無限選言を、一階理論のモデル類として一括して指定することである。
問題 5.1.
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