§C2.9ポンスレの閉形定理

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ポンスレの閉形定理とは、外側の円周上を頂点が動き、内側の円に各辺が接する多角形が1つ閉じるなら、開始点をどこへ動かしても同じ辺数で閉じるという定理である。

定理 1 (ポンスレの閉形定理). 2つの相異なる円Γin⊂Γout\Gamma_{\mathrm{in}}\subset\Gamma_{\mathrm{out}}を取る。各開始点で、指定した向きの接線枝が一意に選べる範囲を考える。その範囲のある開始点から出発し、頂点をΓout\Gamma_{\mathrm{out}}上に置き、各辺をΓin\Gamma_{\mathrm{in}}に接するnn辺の閉じた多角形が存在すると仮定する。このとき、同じ枝を連続的に選べる任意の開始点から進んでも、ちょうどnn辺後に開始点へ戻る。

1 三角形の場合:初等幾何による証明

以下は主定理のn=3n=3の場合に限った初等幾何による証明である。一般のnnに対する証明は、次節の射影幾何による主証明が与える。三角形の場合、閉じるかどうかは二円の中心間距離と半径の間の一つの等式で決まる。

補題 1.1. 三角形ABCABCの内心をII、外接円をΓ\Gammaとし、直線AIAIがΓ\GammaとAA以外で交わる点をMMとする。このときIIは線分AMAMの内点であり、MMはAAを含まない弧BCBC上にあり、

MB=MC=MIMB=MC=MI

が成り立つ。

証明.α=∠BAC/2\alpha=\angle BAC/2、β=∠ABC/2\beta=\angle ABC/2と置く。内心の定義により半直線AIAIは∠BAC\angle BACを、半直線BIBIは∠ABC\angle ABCをそれぞれ二等分するので、∠BAI=∠IAC=α\angle BAI=\angle IAC=\alpha、∠ABI=∠IBC=β\angle ABI=\angle IBC=\betaである。半直線AIAIは∠BAC\angle BACの内部にあるので辺BCBCとその内点DDで交わり、IIは三角形ABCABCの内部にあるので線分ADADの内点である。DDは弦BCBCの内点としてΓ\Gammaの内部にあるので、直線ADADはΓ\GammaとAA以外の一点で交わり、その点がMMであって、DDは線分AMAMの内点である。したがって直線AMAM上にA,I,D,MA,I,D,Mがこの順に並び、とくにIIは線分AMAMの内点である。AAとMMは直線BCBCについて反対側にあるので、MMはAAを含まない弧BCBC上にあり、Γ\Gamma上の四点はA,B,M,CA,B,M,Cの順に並ぶ。ゆえにAAとBBは直線MCMCについて同じ側にあり、AAとCCは直線MBMBについて同じ側にある。

半直線AMAMは半直線AIAIと一致するので∠MAC=α\angle MAC=\alpha、∠MAB=α\angle MAB=\alphaである。円周角の定理により、弦MCMCに対する円周角として∠MBC=∠MAC=α\angle MBC=\angle MAC=\alphaであり、弦MBMBに対する円周角として∠MCB=∠MAB=α\angle MCB=\angle MAB=\alphaである。よって三角形MBCMBCの二つの底角は等しく、MB=MCMB=MCである。

MMは線分AIAIをIIの側へ延長した半直線上にあるので、∠BIM\angle BIMは三角形ABIABIの頂点IIにおける外角であり、三角形の外角は隣り合わない二つの内角の和に等しいので

∠BIM=∠IAB+∠IBA=α+β\angle BIM=\angle IAB+\angle IBA=\alpha+\beta

である。他方、DDは線分IMIM上かつ半直線BCBC上にあるので、半直線BCBCは∠IBM\angle IBMの内部にあり、弦CMCMに対する円周角として∠CBM=∠CAM=α\angle CBM=\angle CAM=\alphaであるから、

∠IBM=∠IBC+∠CBM=β+α\angle IBM=\angle IBC+\angle CBM=\beta+\alpha

である。よって三角形MBIMBIのBBとIIにおける角は等しく、MB=MIMB=MIである。

▨

補題 1.2. 中心OO、半径RRの円Γ\Gammaと、中心II、半径rrの円Γ′\Gamma'をとる。Γ\Gamma上の点AAを通りΓ′\Gamma'に点EEで接する直線をℓ\ellとし、IIとEEはともにΓ\Gammaの内部にあるとする。ℓ\ellがΓ\GammaとAA以外で交わる点をBB、直線AIAIがΓ\GammaとAA以外で交わる点をMMとすると、

IA⋅MB=2RrIA\cdot MB=2Rr

が成り立つ。

証明.EEはΓ\Gammaの内部にあるので、直線ℓ=AE\ell=AEはΓ\GammaとAA以外の一点BBで交わり、EEは線分ABABの内点である。同様にIIはΓ\Gammaの内部にあるので、直線AIAIはΓ\GammaとAA以外の一点MMで交わり、IIは線分AMAMの内点である。接線と接点を通る半径は直交するのでIE⊥ℓIE\perp\ellであり、三角形AEIAEIはEEを直角の頂点とする直角三角形である(E≠AE\ne AはEEがΓ\Gammaの内部にあることから従う)。EEは半直線ABAB上に、MMは半直線AIAI上にあるので∠BAM=∠EAI\angle BAM=\angle EAIであり、直角三角形AEIAEIの鋭角として∠BAM<90°\angle BAM<90°である。

MMのΓ\Gammaにおける対蹠点をNNとすると、MNMNはΓ\Gammaの直径でありMN=2RMN=2Rである。B≠MB\ne Mである。実際、B=MB=MならばIIは直線ℓ\ell上にあり、IIとℓ\ellの距離がIE=r>0IE=r>0であることに反する。B≠NB\ne Nである。実際、B=NB=Nならばタレスの定理により∠BAM=∠NAM=90°\angle BAM=\angle NAM=90°となり、∠BAM<90°\angle BAM<90°に反する。したがって三角形NBMNBMは退化せず、タレスの定理により∠NBM=90°\angle NBM=90°であり、その鋭角として∠BNM<90°\angle BNM<90°である。

∠BNM=∠BAM\angle BNM=\angle BAMを示す。N=AN=Aならば二つの角は同じ角である。N≠AN\ne Aとする。AAとNNが直線BMBMについて同じ側にあるならば、弦BMBMに対する円周角として∠BNM=∠BAM\angle BNM=\angle BAMである。AAとNNが直線BMBMについて反対側にあるならば、四点は円周上にB,A,M,NB,A,M,Nの順に並び、内接四角形BAMNBAMNにおいてAAとNNは向かい合う頂点であり、その頂点における内角は∠BAM\angle BAMと∠BNM\angle BNMであるから、内接四角形の対角の和により∠BAM+∠BNM=180°\angle BAM+\angle BNM=180°となる。しかし二つの角はともに90°90°未満であり、この等式は成り立たない。よってAAとNNは直線BMBMについて同じ側にあり、∠BNM=∠BAM\angle BNM=\angle BAMである。

直角三角形AEIAEIとNBMNBMは、直角のほかに∠EAI=∠BNM\angle EAI=\angle BNMを共有するので相似であり、A,E,IA,E,IがそれぞれN,B,MN,B,Mに対応する。したがって

IAMN=EIBM\frac{IA}{MN}=\frac{EI}{BM}

であり、IA⋅BM=MN⋅EI=2RrIA\cdot BM=MN\cdot EI=2Rrである。

▨

定理 1.3 (オイラーの関係式). 三角形の外心をOO、外接円の半径をRR、内心をII、内接円の半径をrrとすると

OI2=R2−2RrOI^2=R^2-2Rr

が成り立つ。

証明. 三角形をABCABC、外接円をΓ\Gamma、内接円をΓ′\Gamma'とし、直線AIAIがΓ\GammaとAA以外で交わる点をMMとする。補題 1.1により、IIは線分AMAMの内点でありMI=MBMI=MBである。Γ′\Gamma'が直線ABABに接する点をEEとすると、EEはIIから直線ABABへ下ろした垂線の足であり、三角形ABIABIのAA,BBにおける角∠BAC/2\angle BAC/2,∠ABC/2\angle ABC/2はともに鋭角であるから、EEは線分ABABの内点である。よってEEは弦ABABの内点としてΓ\Gammaの内部にあり、IIは線分AMAMの内点としてΓ\Gammaの内部にある。直線ABABがΓ\GammaとAA以外で交わる点はBBであるから、補題 1.2を円Γ′\Gamma'と接線ABABに適用してIA⋅MB=2RrIA\cdot MB=2Rrを得る。他方、IIはΓ\Gammaの内部にあり、直線AMAM上にA,I,MA,I,Mがこの順に並ぶので、方べきの定理によりIA⋅IM=R2−OI2IA\cdot IM=R^2-OI^2である。以上を合わせて

R2−OI2=IA⋅IM=IA⋅MB=2RrR^2-OI^2=IA\cdot IM=IA\cdot MB=2Rr

を得る。▨

定理 1.4. 中心OO、半径RRの円Γout\Gamma_{\mathrm{out}}と、中心II、半径rrの円Γin\Gamma_{\mathrm{in}}をとり、Γin\Gamma_{\mathrm{in}}はΓout\Gamma_{\mathrm{out}}の内部にあるとする。次の三つは同値である。

  1. 三頂点がΓout\Gamma_{\mathrm{out}}上にあり、三辺がそれぞれΓin\Gamma_{\mathrm{in}}に接する三角形が存在する。
  2. OI2=R2−2RrOI^2=R^2-2Rrが成り立つ。
  3. Γout\Gamma_{\mathrm{out}}上のどの点AAについても、AAからΓin\Gamma_{\mathrm{in}}へ引いた二本の接線がΓout\Gamma_{\mathrm{out}}と再び交わる点をBB,CCとすると、直線BCBCはΓin\Gamma_{\mathrm{in}}に接する。

証明.(3)⇒\Rightarrow(1)を示す。(3)を仮定し、Γout\Gamma_{\mathrm{out}}上の点AAを一つとる。Γin\Gamma_{\mathrm{in}}はΓout\Gamma_{\mathrm{out}}の内部にあるのでAAはΓin\Gamma_{\mathrm{in}}の外部にあり、AAからΓin\Gamma_{\mathrm{in}}へ二本の相異なる接線を引くことができる。各接線はその接点を通り、接点はΓout\Gamma_{\mathrm{out}}の内部にあるので、各接線はΓout\Gamma_{\mathrm{out}}とAA以外の一点で再び交わる。二本の接線がΓout\Gamma_{\mathrm{out}}と再び交わる点をBB,CCとする。二本の接線は相異なる直線であってともにAAを通るのでAA以外の共通点をもたず、B≠CB\ne Cである。A,B,CA,B,Cは同一円周上の相異なる三点であるから三角形をなす。辺ABAB,ACACを含む直線はΓin\Gamma_{\mathrm{in}}に接し、(3)により直線BCBCもΓin\Gamma_{\mathrm{in}}に接する。三つの接点はいずれもΓout\Gamma_{\mathrm{out}}の内部にあるので、それぞれの辺の内点である。したがって三角形ABCABCは(1)の三角形である。

(1)⇒\Rightarrow(2)を示す。(1)の三角形をABCABCとし、Γin\Gamma_{\mathrm{in}}が辺BCBC,CACA,ABABに接する点をそれぞれTaT_a,TbT_b,TcT_cとする。各接点はΓout\Gamma_{\mathrm{out}}の内部にあるので、それぞれの辺の内点である。IIと直線ABABの距離はr>0r>0なのでIIは直線ABAB上になく、円Γin\Gamma_{\mathrm{in}}のすべての点は、接線ABABについて中心IIを含む側の閉半平面にある。TaT_aは辺BCBCの内点であってBBと異なるので、直線ABABについてCCと同じ側にあり、直線ABAB上にはない。TaT_aはΓin\Gamma_{\mathrm{in}}の点であるから、IIは直線ABABについてCCと同じ側にある。同様に、TbT_bを用いてIIは直線BCBCについてAAと同じ側にあり、TcT_cを用いてIIは直線CACAについてBBと同じ側にある。よってIIは三角形ABCABCの内部にあり、IIから三辺を含む直線までの距離はいずれもrrである。二直線から等距離な点はその二直線のなす角の二等分線上にあり、IIは各内角の内部にあるので、IIは三つの内角の二等分線上にある。したがってIIは三角形ABCABCの内心であり、Γin\Gamma_{\mathrm{in}}はその内接円、rrは内接円の半径である。OOとRRは三角形ABCABCの外心と外接円の半径であるから、定理 1.3によりOI2=R2−2RrOI^2=R^2-2Rrである。

(2)⇒\Rightarrow(3)を示す。(2)を仮定し、Γout\Gamma_{\mathrm{out}}上の点AAをとる。AAはΓin\Gamma_{\mathrm{in}}の外部にあるので、AAからΓin\Gamma_{\mathrm{in}}へ二本の相異なる接線を引くことができる。その接点をEE,FF、Γout\Gamma_{\mathrm{out}}との第二交点をBB,CCとする。(3)⇒\Rightarrow(1)の証明と同じ理由でB≠CB\ne Cであり、EEは線分ABABの内点、FFは線分ACACの内点である。IIと直線ABABの距離はr>0r>0なのでIIは直線ABAB上になく、円Γin\Gamma_{\mathrm{in}}のすべての点は接線ABABについてIIを含む側の閉半平面にあり、FFはΓin\Gamma_{\mathrm{in}}の点であって直線ABAB上にはなくCCと同じ側にあるので、IIは直線ABABについてCCと同じ側にある。同様にIIは直線ACACについてBBと同じ側にあり、IIは∠BAC\angle BACの内部にある。IIは∠BAC\angle BACの内部にあって直線ABAB,ACACから等距離(距離rr)なので、二直線から等距離な点の性質によりIIは∠BAC\angle BACの内角の二等分線上にある。

直線AIAIがΓout\Gamma_{\mathrm{out}}とAA以外で交わる点をMMとする。IIはΓout\Gamma_{\mathrm{out}}の内部にあるので、直線AMAM上にA,I,MA,I,Mがこの順に並ぶ。方べきの定理と(2)により

IA⋅IM=R2−OI2=2RrIA\cdot IM=R^2-OI^2=2Rr

である。他方、IIとEEはΓout\Gamma_{\mathrm{out}}の内部にあるので、補題 1.2を接線ABABに適用してIA⋅MB=2RrIA\cdot MB=2Rrを得る。二式からIM=MBIM=MBである。

三角形ABCABCの内心をI0I_0とする。I0I_0は∠BAC\angle BACの内角の二等分線上、すなわち直線AIAI上にあるので、直線AI0AI_0がΓout\Gamma_{\mathrm{out}}とAA以外で交わる点はMMである。補題 1.1によりI0I_0は線分AMAMの内点でありMI0=MBMI_0=MBである。IIとI0I_0はともにMMからAAへ向かう半直線上にあってMMからの距離が等しいので、I=I0I=I_0である。したがってIIは三角形ABCABCの内心であり、IIから直線BCBCまでの距離はIIから直線ABABまでの距離rrに等しい。IIから直線BCBCへ下ろした垂線の足をGGとするとIG=rIG=rであるからGGはΓin\Gamma_{\mathrm{in}}上にあり、IG⊥BCIG\perp BCであるから直線BCBCはΓin\Gamma_{\mathrm{in}}にGGで接する。▨

主定理のn=3n=3の場合は、この定理から次の形で従う。

系 1.5.Γin\Gamma_{\mathrm{in}}がΓout\Gamma_{\mathrm{out}}の内部にあり、三頂点がΓout\Gamma_{\mathrm{out}}上にあって三辺がそれぞれΓin\Gamma_{\mathrm{in}}に接する三角形が一つ存在するとする。Γout\Gamma_{\mathrm{out}}上の任意の点から出発し、Γin\Gamma_{\mathrm{in}}への接線の一方に沿ってΓout\Gamma_{\mathrm{out}}との第二交点へ進み、以後は各頂点で直前の辺と異なる接線に沿って進む。このとき、出発点と最初の接線をどう選んでも、ちょうど三辺で出発点へ戻る。

証明.定理 1.4により定理 1.4 (3)が成り立つ。出発点をAAとし、最初に選んだ接線がΓout\Gamma_{\mathrm{out}}と再び交わる点をBB、もう一方の接線が再び交わる点をCCとする。BBからΓin\Gamma_{\mathrm{in}}へ引くことができる接線は直線BABAともう一本の二本であり、定理 1.4 (3)により直線BCBCはΓin\Gamma_{\mathrm{in}}に接し、C≠AC\ne Aであるから直線BCBCは直線BABAと異なる。よってBBで選ぶ接線は直線BCBCであり、次の頂点はCCである。同様にCCで選ぶ接線は直線CBCBと異なる接線、すなわち直線CACAであり、次の頂点はAAである。B≠AB\ne A,C≠AC\ne Aなので一辺でも二辺でも戻らず、ちょうど三辺でAAへ戻る。▨

注意 1.6. この節ではΓin\Gamma_{\mathrm{in}}がΓout\Gamma_{\mathrm{out}}の内部にあることを仮定した。この仮定の下ではΓout\Gamma_{\mathrm{out}}上のどの点もΓin\Gamma_{\mathrm{in}}の外部にあって二本の接線をつねに引くことができるので、主定理にいう「接線の枝が定まる開始点」の制限は現れない。二円が交わる場合とΓin\Gamma_{\mathrm{in}}がΓout\Gamma_{\mathrm{out}}の外部にある場合は、この節では扱わない。四角形の場合にはOI2=R2−2RrOI^2=R^2-2Rrの役割を

1(R−OI)2+1(R+OI)2=1r2\frac{1}{(R-OI)^2}+\frac{1}{(R+OI)^2}=\frac{1}{r^2}

(フスの関係式)が果たし、冒頭の図の二円はこの関係式を満たす配置である。辺数が四以上の場合の初等幾何による証明は本記事では扱わず、一般のnnは次節の主証明が扱う。

2 主証明:パスカルの定理を使う方法

2.1 1. 射影平面へ移す

円を、実射影平面の非退化な円錐曲線KK(外側)とCC(内側)として扱う。2点x,yx,yを通る直線をx−yx-y、2直線ℓ,m\ell,mの交点をℓ∧m\ell\wedge mと書く。円錐曲線上の隣り合う点が一致する極限では、x−xx-xはその点での接線を表す。

使う道具は次のパスカルの定理である。

定理 2.1 (パスカルの定理). 同じ円錐曲線上の6点1,2,3,4,5,61,2,3,4,5,6に対して、

(1−2)∧(4−5),(2−3)∧(5−6),(3−4)∧(6−1) (1-2)\wedge(4-5),\qquad (2-3)\wedge(5-6),\qquad (3-4)\wedge(6-1)

は一直線上にある。

その双対であるブリアンションの定理は、6本の接線について、対応する3本の交点連結線が一点で交わることを述べる。以下では、同じ局所配置にパスカルまたはブリアンションを適用する。

2.2 2. 閉鎖補題

外側の円錐曲線KK上に、すでに閉じているnn角形

a1,a2,…,ana_1,a_2,\ldots,a_n

があり、その辺ai−ai+1a_i-a_{i+1}(添字は巡回的)がすべてCCに接しているとする。別に、KK上の点列

b1,b2,…,bnb_1,b_2,\ldots,b_n

を取り、最初のn−1n-1本の辺bi−bi+1b_i-b_{i+1}だけがCCに接しているとする。次を示すのが閉鎖補題である。

補題 2.2 (パスカル型閉鎖補題).n≥4n\ge4とし、上の2列の点が退化しないとする。このとき

I=(a1−a2)∧(b1−b2),X=(a2−bn−1)∧(b2−an−1), I=(a_1-a_2)\wedge(b_1-b_2),\quad X=(a_2-b_{n-1})\wedge(b_2-a_{n-1}),I′=(an−1−an)∧(bn−1−bn) I'=(a_{n-1}-a_n)\wedge(b_{n-1}-b_n)

は相異なる一直線上の3点である。

証明. まず、局所的な伝播を2段階に分ける。2≤p<q≤n−12\le p<q\le n-1とし、

Lj=(aj−aj+1)∧(bj−bj+1),Xp,q=(ap−bq)∧(bp−aq) L_j=(a_j-a_{j+1})\wedge(b_j-b_{j+1}),\qquad X_{p,q}=(a_p-b_q)\wedge(b_p-a_q)

と置く。

第1段階(ブリアンションによる窓の拡大)。もしLp,Xp,q,Lq−1L_p,X_{p,q},L_{q-1}が相異なる一直線上にあれば、局所配置に現れる6本のCCへの接線にブリアンションを適用することで、

Lp−1, Xp,q, Lq L_{p-1},\ X_{p,q},\ L_q

も相異なる一直線上にある。ここで重要なのは、LpL_pとLq−1L_{q-1}が同一直線上にあるという仮定が、6本の接線の交点を通る1本の線を与える点である。ブリアンションは残りの2本の接線に対応する交点も同じ線上に送る。

相異性は、例えばLp−1=LqL_{p-1}=L_qと仮定すると、4本の相異なる接線が一点に集まることから矛盾する。非退化な円錐曲線CCについて、1点から引ける接線は高々2本なので、4本の接線のうち2本が一致する。しかしそれらはKK上の相異なる8点を結ぶ直線なので一致できない。同様にXp,qX_{p,q}との一致も排除できる。

第2段階(パスカルによる窓の移動)。第1段階の結論を仮定し、

Xp,q′=(ap−1−bq+1)∧(bp−1−aq+1),J=(ap−1−aq)∧(bp−1−bq) X'_{p,q}=(a_{p-1}-b_{q+1})\wedge(b_{p-1}-a_{q+1}),\qquad J=(a_{p-1}-a_q)\wedge(b_{p-1}-b_q)

と置く。パスカルを次の2通りに適用する。

  1. 6点ap−1,ap,bq,bp−1,bp,aqa_{p-1},a_p,b_q,b_{p-1},b_p,a_qに適用すると、Lp−1,Xp,q,JL_{p-1},X_{p,q},Jが共線。
  2. 6点ap−1,bq+1,bq,bp−1,aq+1,aqa_{p-1},b_{q+1},b_q,b_{p-1},a_{q+1},a_qに適用すると、Xp,q′,J,LqX'_{p,q},J,L_qが共線。

仮定よりLp−1,Xp,q,LqL_{p-1},X_{p,q},L_qも共線なので、3本の共線性をつなげて

Lp−1, Xp,q′, Lq L_{p-1},\ X'_{p,q},\ L_q

が共線となる。パスカルの3交点が一致しないことと、KKが非退化であることから、この3点も相異なる。

第1段階で添字の窓を外側へ広げ、第2段階で交点Xp,qX_{p,q}を次の窓の交点へ移す。この操作を交互に繰り返すと、中央の添字から出発して端まで到達する。偶数nnでは中央の6接線配置にブリアンション(n=4n=4はそのまま)を使い、奇数nnでは中央の6点配置にパスカルを使う。したがって最終的にI,X,I′I,X,I'が共線となる。これが一般nnの帰納の中身である。□

2.3 3. 閉鎖補題からポンスレの結論へ

証明. 任意に選んだ開始点をb1b_1とし、指定した接線枝を順に選んでb2,…,bnb_2,\ldots,b_nを作る。b1−b2,…,bn−1−bnb_1-b_2,\ldots,b_{n-1}-b_nは構成上CCに接している。

閉鎖補題からI,X,I′I,X,I'は共線である。さらに

J=(an−1−a1)∧(bn−1−b1),X′=(an−b1)∧(bn−a1) J=(a_{n-1}-a_1)\wedge(b_{n-1}-b_1),\qquad X'=(a_n-b_1)\wedge(b_n-a_1)

と置く。

6点へのパスカルの定理を2回使うと、

I,X,JおよびI′,J,X′ I,X,J\quad\text{および}\quad I',J,X'

がそれぞれ共線になる。すでにI,X,I′I,X,I'が共線なので、I,X′,I′I,X',I'も共線である。

ここで6本の直線

a1−a2,b1−b2,an−1−an,bn−1−bn,an−a1,bn−b1 a_1-a_2,\quad b_1-b_2,\quad a_{n-1}-a_n,\quad b_{n-1}-b_n,\quad a_n-a_1,\quad b_n-b_1

に双対パスカル(ブリアンション/カルノーの形)を適用する。最初の5本はCCに接しているから、6本すべてが接する円錐曲線C′C'は5本の接線によってC′=CC'=Cと決まる。したがって最後の直線bn−b1b_n-b_1もCCに接する。

つまり、任意の開始点b1b_1から出発してもnn辺後に閉じる。円の場合は、退化点を避けて同じ枝を連続的に選ぶことで、これが冒頭の定理の主張になる。□

この証明で本質的なのは、パスカルを一度だけ使うことではない。中央の局所配置から共線性を「窓」として伝播させ、最後に5本の既知の接線から閉鎖辺を決めることである。

3 補助証明:楕円曲線上の平行移動

外側の円周上の点PPから内側の円へ引ける接線を1本選ぶと、次の頂点T(P)T(P)が決まる。これを円周上の写像と見る。閉じたnn辺形があることは、Tn(P)=PT^n(P)=Pとなる点があることに対応する。

ポンスレの核心は、一般の円周上の写像を単なる回転と誤認することではない。2円の接線配置を二重被覆曲線へ持ち上げると、対応は楕円曲線上の一定の点の加法になる。したがってTn(P)=PT^n(P)=Pが1点で成り立つなら、その加法点はnn倍して0になる。

補題 3.1 (閉形条件の群論的な形). 適切な二重被覆曲線EEと、その上の点qqを用いて、接線を1辺進める操作はu↦u+qu\mapsto u+qと表される。したがって、ある開始点でnn辺閉じることはnq=0nq=0と同値である。

証明. 2円と接線の接点をパラメータ化し、接線条件を平方根の分岐をもつ代数曲線へ移す。その滑らかな射影閉包が種数1の曲線EEとなり、基点を単位元にすると楕円曲線の群構造が入る。隣接する接線の交換はこの曲線上の一定の点qqの加法として表される。この「接線対応が一定の加法になる」部分は楕円曲線の群則を用いる標準結果として受け入れる。▨

この補題を受け入れると、1つの開始点でnn辺閉じることはnq=0nq=0を意味する。すると任意のuuについて

u+nq=u u+nq=u

なので、すべての開始点が同じnn辺で閉じる。パスカルの証明が射影幾何の共線性を積み上げるのに対し、こちらは同じ事実を楕円曲線上の torsion(有限位数点)として表している。

参考文献

  1. H. S. M. Coxeter and S. L. Greitzer, Geometry Revisited, New Mathematical Library 19, Mathematical Association of America, 1967.三角形の場合に用いるオイラーの関係式 OI²=R²−2Rr の初等的な証明(内心と弧の中点、対蹠点を使う相似)を参考にしました。
  2. H. F. Baker, Principles of Geometry, Cambridge Library Collection - Mathematics, vol. 3, Cambridge University Press, Cambridge, 2010, originally published 1923.
  3. Vladimir Dragović and Milena Radnović, Poncelet Porisms and Beyond: Integrable Billiards, Hyperelliptic Jacobians and Pencils of Quadrics, Frontiers in Mathematics, Birkhäuser, 2011.
  4. Lorenz Halbeisen and Norbert Hungerbühler, A Simple Proof of Poncelet's Theorem (on the Occasion of Its Bicentennial), The American Mathematical Monthly 122 (2015), no. 6, 537–551.

前提記事