1 求め方の手順は決まっている
- 求める点を(x,y)とおく。 軌跡を描く当の点に文字を割り当てる。
- 条件をx,yの式に翻訳する。 途中に補助的な変数(上の図なら P の位置)があれば、それを消去してx,yだけの関係式にする。
- 整理して図形を読み取る。 出てきた方程式が円・直線・放物線などのどれかを言う。
- 必要条件と十分条件を両方向で確認する。 得られた式を満たす任意の点が、もとの条件から実際に作れるかを確かめ、分母の非零条件や符号条件などの除外を答えに反映する。
上の例なら、P(3cosθ,3sinθ)、M(x,y)としてx=24+3cosθ,y=23sinθ。ここからcosθ,sinθをx,yで表してcos2θ+sin2θ=1に代入すると、(x−2)2+y2=(23)2という円が得られます。
逆向きも確認できます。この円上の任意の点(x,y)に対してu=3/2x−2, v=3/2yとおけばu2+v2=1なので、あるθにより(u,v)=(cosθ,sinθ)と表せます。したがってP=(3cosθ,3sinθ)を選べば、Mはもとの中点条件を満たします。
2 除外点を必ず確認する
軌跡の方程式を出したあと、その式を満たすのに実際には条件を満たさない点が紛れ込んでいないかを必ず確かめます。式変形(とくに分母を払う操作や、補助変数の消去)で、もとの条件になかった点が入り込むことがあるからです。
除外点の見落としは、計算をいくら重ねても解消しない種類の誤りの典型で、軌跡の問題で最も差がつくところです。「求めた図形から、○○の点を除く」という但し書きが答えに付くことは珍しくありません。
たとえば分母を払って得た式にx=0の点が含まれていても、もとの式が1/xを含むならx=0なのでその点は除きます。同様に、平方根を二乗したときは元の符号条件も再確認します。具体的にはx=x−2を二乗するとx=1,4が出ますが、x=1は右辺が負なので元の式を満たさず、余分な解です。
閑話休題:条件が図形を生み、図形が電波を集める 「条件を満たす点の全体」という軌跡の発想は、実は名だたる曲線たちの定義そのものです。定点(焦点)と定直線(準線)から等距離な点の軌跡——これが放物線。2定点からの距離の和が一定なら楕円、差が一定なら双曲線。二次関数のグラフとして出会った放物線が、距離の条件だけからも生まれるのです(円錐曲線の単元で正面から扱います)。
そして放物線には、軌跡の定義から従う魔法のような性質があります。軸に平行にやってきた光や電波は、放物線で反射するとすべて焦点の1点に集まるのです。パラボラアンテナ(parabola=放物線)がお椀型なのはこのためで、衛星から降ってくる微弱な電波を焦点の受信機に総動員で集めています。電波望遠鏡も、車のヘッドライト(こちらは逆向きに、焦点の光源から平行光を作る)も同じ原理。ちなみに楕円では「一方の焦点から出たものが他方の焦点に集まる」ので、ささやき声が部屋の反対側の
1点でだけ聞こえる「ささやきの回廊」や、体外から衝撃波を結石の1点に集中させる医療機器に使われています。「条件 → 図形」という翻訳が、そのまま工学の設計図になっている例です。