§A2.11ベクトルの一次独立と図形問題への応用

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ここでは平面ベクトル空間R2\mathbb R^2と、その点を表す位置ベクトルを扱います。 2つのベクトルa⃗,b⃗∈R2\vec{a}, \vec{b}\in\mathbb R^2が一次独立とは、どちらも他方の実数倍で表せない(=平行でなく、ともに0⃗\vec 0でない)ことです。 一次独立な2つのベクトルがあれば、任意の位置ベクトルp⃗∈R2\vec p\in\mathbb R^2をこの2つの実数倍の和で一意に表せます。

p⃗=sa⃗+tb⃗(s,t は実数)\vec{p} = s\vec{a} + t\vec{b} \quad(s, t \text{ は実数})

このsa⃗+tb⃗s\vec a + t\vec bを一次結合、(s,t)(s, t)を「a⃗,b⃗\vec a, \vec bを基準にした座標」と見られます。図形問題を、このs,ts, tの連立方程式に翻訳するのが、ベクトルの図形応用の中心手法です。

1 一意性が効く:係数比較

一次独立をきちんと言い換えると、sa⃗+tb⃗=0⃗s\vec a + t\vec b = \vec 0となるのはs=t=0s = t = 0のときだけ、ということです(平面では「平行でなく、ともに0⃗\vec 0でない」と同値)。この性質があると、一次結合表示はただ一通りに決まります。実際、sa⃗+tb⃗=s′a⃗+t′b⃗s\vec a + t\vec b = s'\vec a + t'\vec bなら(s−s′)a⃗+(t−t′)b⃗=0⃗(s - s')\vec a + (t - t')\vec b = \vec 0となり、一次独立性からs−s′=t−t′=0s - s' = t - t' = 0、すなわちs=s′s = s',t=t′t = t'だからです。

これは整式の係数比較のベクトル版です。だから「同じ点を2通りに表して係数を等置する」ことで、未知のパラメータが決まります。

2 図形問題の解き方

「2直線の交点」「点が線分を分ける比」などは、次の手順で計算になります。

  1. 基準となる一次独立な2ベクトルa⃗,b⃗\vec a, \vec bを決める。
  2. 求める点を、2つの経路で一次結合として表す(例:直線 AB 上と直線 CD 上)。
  3. 一意性から係数を比較して、連立方程式を解く。

図形的な条件(「PPは線分ABAB上」「AP:PB=t:(1−t)AP:PB = t:(1-t)」)が、すべてs,ts, tの式になり、あとは代数計算です。

例題

条件と何を求めるかを確認してから、式と答えの対応を見比べてください。

平面を R² とし、三角形 ABC の位置ベクトルを用いる。ベクトル AB と AC は一次独立なので、任意の点 P の位置ベクトル差は AP == s·AB + t·AC とただ一通りに表せる。この一意性(=係数比較)を用いて次の問いに答えよ。

解法の型同じ点を2通りの経路で表して係数比較する(一意性が使えるのは AB, AC が一次独立だから)。P が直線 BC 上 ⇔\Leftrightarrow s + t == 1、P が三角形の内部 ⇔\Leftrightarrow s > 0 かつ t > 0 かつ s + t < 1

  1. 三角形 ABC において、点 P が AP == (1/2)AB + (1/2)AC を満たすとする。P が直線 BC 上にあるかどうかを判定し、あるならば BP:PC を求めよ。

    AP⃗=12AB⃗+12AC⃗\vec{AP} = \dfrac{1}{2}\vec{AB} + \dfrac{1}{2}\vec{AC}
  2. 三角形 ABC の3辺の長さが BC == 10、CA == 9、AB == 8 であるとき、内心 I について AI を AB, AC で表せ。

    BC=10, CA=9, AB=8のとき、内心 I についてAI⃗=?BC = 10,\ CA = 9,\ AB = 8 \quad \text{のとき、内心 I について} \quad \vec{AI} = ?
  3. 三角形 ABC において、点 P が AP == (2/7)AB + (3/7)AC を満たすとする。P は三角形 ABC の内部・周上・外部のどこにあるか判定せよ。

    AP⃗=27AB⃗+37AC⃗\vec{AP} = \dfrac{2}{7}\vec{AB} + \dfrac{3}{7}\vec{AC}
  4. 三角形 ABC において、辺 AB を 2:3 に内分する点を D、辺 AC を 3:1 に内分する点を E とし、線分 BE と線分 CD の交点を P とする。AP を AB, AC で表せ。また BP:PE と CP:PD を求めよ。

    辺 AB を 2:3 に内分する点 D、辺 AC を 3:1 に内分する点 E、BE∩CD=P⇒AP⃗=?\text{辺 AB を } 2:3 \text{ に内分する点 D、辺 AC を } 3:1 \text{ に内分する点 E、} BE \cap CD = P \quad \Rightarrow \quad \vec{AP} = ?
  5. 三角形 ABC において、点 P が AP == (1/3)AB + (4/3)AC を満たすとする。P は三角形 ABC の内部・周上・外部のどこにあるか判定せよ。

    AP⃗=13AB⃗+43AC⃗\vec{AP} = \dfrac{1}{3}\vec{AB} + \dfrac{4}{3}\vec{AC}
  6. 三角形 ABC において、点 P が AP == (3/4)AC を満たすとする。P は三角形 ABC の内部・周上・外部のどこにあるか判定せよ。

    AP⃗=34AC⃗\vec{AP} = \dfrac{3}{4}\vec{AC}
  7. 三角形 ABC において、点 P が AP == −(1/2)AB + (1/2)AC を満たすとする。P は三角形 ABC の内部・周上・外部のどこにあるか判定せよ。

    AP⃗=−12AB⃗+12AC⃗\vec{AP} = -\dfrac{1}{2}\vec{AB} + \dfrac{1}{2}\vec{AC}
  8. 三角形 ABC において、辺 AB を 1:2 に内分する点を D、辺 AC を 1:2 に内分する点を E とし、線分 BE と線分 CD の交点を P とする。AP を AB, AC で表せ。また BP:PE と CP:PD を求めよ。

    辺 AB を 1:2 に内分する点 D、辺 AC を 1:2 に内分する点 E、BE∩CD=P⇒AP⃗=?\text{辺 AB を } 1:2 \text{ に内分する点 D、辺 AC を } 1:2 \text{ に内分する点 E、} BE \cap CD = P \quad \Rightarrow \quad \vec{AP} = ?
  9. 三角形 ABC において、点 P が AP == (5/3)AB + (2/3)AC を満たすとする。P が直線 BC 上にあるかどうかを判定し、あるならば BP:PC を求めよ。

    AP⃗=53AB⃗+23AC⃗\vec{AP} = \dfrac{5}{3}\vec{AB} + \dfrac{2}{3}\vec{AC}
  10. 三角形 ABC の3辺の長さが BC == 3、CA == 3、AB == 3 であるとき、内心 I について AI を AB, AC で表せ。

    BC=3, CA=3, AB=3のとき、内心 I についてAI⃗=?BC = 3,\ CA = 3,\ AB = 3 \quad \text{のとき、内心 I について} \quad \vec{AI} = ?

演習

問題を解いてから「解答・解説」を開けます。

平面を R² とし、三角形 ABC の位置ベクトルを用いる。ベクトル AB と AC は一次独立なので、任意の点 P の位置ベクトル差は AP == s·AB + t·AC とただ一通りに表せる。この一意性(=係数比較)を用いて次の問いに答えよ。

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