§B1.3数列の和と一般項

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数列について、第nn項ana_nを与える式と、初項から第nn項までの和を与える式は、どちらか一方が分かれば他方を求めることができます。本記事は、和のほうが先に与えられている場合に、そこから一般項を取り出す方法を扱います。あわせて、Σ\Sigmaの公式を直接には用いることのできない二つの和、すなわち等差数列の項と等比数列の項の積の和と、数列を群に区切って番号を付け直した和の求め方を扱います。

1 和から一般項を取り出す

はじめに、和そのものを表す記号を定めます。

定義 1.1 (第nn項までの和). 数列{an}\{a_n\}に対して、初項から第nn項までを足し合わせた値

Sn=a1+a2+⋯+an=∑k=1nak(n≥1)S_n = a_1 + a_2 + \cdots + a_n = \sum_{k=1}^{n} a_k \qquad (n \ge 1)

を、{an}\{a_n\}の第nn項までの和という。SnS_nは、nnを番号とする一つの数列である。

SnS_nがnnの式として与えられているとき、番号が一つだけ違う二つの和の差を取ると、共通する部分が打ち消し合って、第nn項だけが残ります。

定理 1.2 (和と一般項の関係). 数列{an}\{a_n\}の第nn項までの和をSnS_nとする。このとき

a1=S1,an=Sn−Sn−1(n≥2)a_1 = S_1, \qquad a_n = S_n - S_{n-1} \quad (n \ge 2)

が成り立つ。

証明.S1=a1S_1 = a_1は定義 1.1にn=1n = 1を当てはめたものです。n≥2n \ge 2のとき、

Sn−Sn−1=(a1+⋯+an−1+an)−(a1+⋯+an−1)=anS_n - S_{n-1} = (a_1 + \cdots + a_{n-1} + a_n) - (a_1 + \cdots + a_{n-1}) = a_n

となります。▨

注意 1.3 (n≥2n \ge 2という範囲を落とさない).an=Sn−Sn−1a_n = S_n - S_{n-1}をn=1n = 1に対して用いることはできない。n=1n = 1のとき右辺に現れるS0S_0は、初項から第00項までの和にあたるが、定義 1.1はn≥1n \ge 1に対してしかSnS_nを定めていないからである。初項は、a1=S1a_1 = S_1として別に求める。

n≥2n \ge 2について求めた式にn=1n = 1を代入した値は、a1a_1と一致することもあれば、一致しないこともあります。一致する場合は、一般項をすべてのn≥1n \ge 1について一つの式で書くことができます。一致しない場合は、n=1n = 1とn≥2n \ge 2に分けて書きます。

例 1.4 (一つの式にまとまる場合).Sn=n2+nS_n = n^2 + nとする。n≥2n \ge 2のとき定理 1.2より

an=Sn−Sn−1=(n2+n)−{(n−1)2+(n−1)}=2na_n = S_n - S_{n-1} = (n^2 + n) - \bigl\{(n-1)^2 + (n-1)\bigr\} = 2n

である。一方a1=S1=2a_1 = S_1 = 2であり、2n2nにn=1n = 1を代入した値22と一致する。よって、すべてのn≥1n \ge 1についてan=2na_n = 2nである。

例 1.5 (一つの式にまとまらない場合).Sn=2 n+1S_n = 2^{\,n} + 1とする。n≥2n \ge 2のとき定理 1.2より

an=Sn−Sn−1=(2 n+1)−(2 n−1+1)=2 n−1a_n = S_n - S_{n-1} = (2^{\,n} + 1) - (2^{\,n-1} + 1) = 2^{\,n-1}

である。一方a1=S1=3a_1 = S_1 = 3であり、2 n−12^{\,n-1}にn=1n = 1を代入した値11とは一致しない。よって一般項は

a1=3,an=2 n−1(n≥2)a_1 = 3, \qquad a_n = 2^{\,n-1} \quad (n \ge 2)

と、二つに分けて書く。

2 等差数列の項と等比数列の項の積の和

すでに導いた∑k\sum k、∑k2\sum k^2、∑k3\sum k^3の公式は多項式の和に、等比数列の和の公式は等比数列に、それぞれ用いるものです。k r k−1k\,r^{\,k-1}のように、等差数列の項と等比数列の項を掛け合わせて並べた数列の和は、どちらの公式にも当てはまりません。

この和は、等比数列の和を導いたときと同じ手順で求めます。和をSSとおき、SSからrSrSを引きます。rSrSはSSの各項のrrのべきを一つずつ繰り上げたものなので、差を取ると同じべきどうしが対応します。等差数列の隣り合う項の差は公差で一定であるため、対応した部分は、公差を係数に持つ等比数列の和になります。対応する相手を持たない両端の項だけが、そのまま残ります。

例 2.1 (∑k=1nk⋅2 k−1\sum_{k=1}^{n} k\cdot 2^{\,k-1}を求める).n≥1n \ge 1とし、S=∑k=1nk⋅2 k−1S = \displaystyle\sum_{k=1}^{n} k \cdot 2^{\,k-1}とおく。すなわち

S=1⋅2 0+2⋅2 1+3⋅2 2+⋯+n⋅2 n−1S = 1\cdot 2^{\,0} + 2\cdot 2^{\,1} + 3\cdot 2^{\,2} + \cdots + n\cdot 2^{\,n-1}

である。両辺を22倍すると

2S=1⋅2 1+2⋅2 2+⋯+(n−1)⋅2 n−1+n⋅2 n2S = 1\cdot 2^{\,1} + 2\cdot 2^{\,2} + \cdots + (n-1)\cdot 2^{\,n-1} + n\cdot 2^{\,n}

となる。辺々を引くと、2 12^{\,1}から2 n−12^{\,n-1}までの項の係数がいずれも11になり

S−2S=1+(2 1+2 2+⋯+2 n−1)−n⋅2 nS - 2S = 1 + (2^{\,1} + 2^{\,2} + \cdots + 2^{\,n-1}) - n\cdot 2^{\,n}

が得られる。右辺の括弧の中は、初項22、公比22、項数n−1n-1の等比数列の和2 n−22^{\,n} - 2である(n=1n = 1のときは項が一つも無く、和は00であり、2 1−2=02^{\,1} - 2 = 0と一致する)。よって

−S=1+(2 n−2)−n⋅2 n=(1−n)2 n−1-S = 1 + (2^{\,n} - 2) - n\cdot 2^{\,n} = (1-n)2^{\,n} - 1

であり、S=(n−1)2 n+1S = (n-1)2^{\,n} + 1である。n=1n = 1のとき右辺は11であり、S=1⋅2 0=1S = 1\cdot 2^{\,0} = 1と一致する。n=2n = 2のとき右辺は55であり、1+2⋅2=51 + 2\cdot 2 = 5と一致する。

注意 2.2 (公比が11のときは用いない). 公比が11のとき、SSからrSrSを引く方法を用いることはできない。r=1r = 1ではS−rS=0S - rS = 0となり、SSについての情報が残らないからである。公比が11のとき、和∑k=1nak⋅1 k−1\displaystyle\sum_{k=1}^{n} a_k\cdot 1^{\,k-1}は等差数列{ak}\{a_k\}の和そのものなので、等差数列の和の公式で求める。

3 群に区切って番号を付け直す和

一つの数列の項を、先頭から順にいくつかずつまとめて扱う和を考えます。

定義 3.1 (群数列). 数列{an}\{a_n\}の項を、先頭から順に第11群、第22群、…\dotsと区切って並べ直したものを群数列という。第mm群に属する項の個数をcmc_mと書く。

群数列では、二つの番号を区別します。一つは、もとの数列における番号、すなわち第何項かです。もう一つは、群に分けたあとの番号、すなわち第何群の何番目かです。この二つの対応が付けば、あとは各群の中で通常の数列として計算します。

第11群から第mm群までに含まれる項の個数の合計はc1+c2+⋯+cmc_1 + c_2 + \cdots + c_mです。これが、第mm群の末尾の項がもとの数列の第何項にあたるかを与えます。したがって、第mm群の最初の項は、もとの数列の第(c1+⋯+cm−1+1)(c_1 + \cdots + c_{m-1} + 1)項です。

例 3.2 (第mm群がmm個の項を持つ群数列). 正の奇数を小さい順に並べた数列1,3,5,7,…1, 3, 5, 7, \dotsを

1∣3, 5∣7, 9, 11∣13, 15, 17, 19∣⋯1 \mid 3,\ 5 \mid 7,\ 9,\ 11 \mid 13,\ 15,\ 17,\ 19 \mid \cdots

と、第mm群がmm個の項を持つように区切る。もとの数列の第nn項は2n−12n - 1である。

第11群から第mm群までの項の個数の合計は1+2+⋯+m=m(m+1)21 + 2 + \cdots + m = \dfrac{m(m+1)}{2}である。よって第mm群の最初の項は、もとの数列の第((m−1)m2+1)\left(\dfrac{(m-1)m}{2} + 1\right)項であり、その値は

2((m−1)m2+1)−1=m2−m+12\left(\frac{(m-1)m}{2} + 1\right) - 1 = m^2 - m + 1

である。第mm群は、初項m2−m+1m^2 - m + 1、公差22、項数mmの等差数列であるから、その和は

m{2(m2−m+1)+(m−1)⋅2}2=m3\frac{m\bigl\{2(m^2 - m + 1) + (m-1)\cdot 2\bigr\}}{2} = m^3

である。m=1m = 1のとき11、m=2m = 2のとき3+5=83 + 5 = 8、m=3m = 3のとき7+9+11=277 + 9 + 11 = 27であり、いずれもm3m^3と一致する。

例 3.3 (もとの数列の第100100項がどの群の何番目かを求める).例 3.2の群数列について、もとの数列の第100100項が第何群の何番目にあたるかを求める。第mm群の末尾はもとの数列の第m(m+1)2\dfrac{m(m+1)}{2}項であるから、

(m−1)m2<100≤m(m+1)2\frac{(m-1)m}{2} < 100 \le \frac{m(m+1)}{2}

を満たすmmを探せばよい。13⋅142=91\dfrac{13\cdot 14}{2} = 91、14⋅152=105\dfrac{14\cdot 15}{2} = 105であるからm=14m = 14である。第1414群の最初の項はもとの数列の第9292項であるから、第100100項は第1414群の100−91=9100 - 91 = 9番目である。

注意 3.4 (二つの番号を取り違えない). 「第mm群までに含まれる項の個数」と「第mm群の最初の項の番号」は11だけ異なる。例 3.2では、前者がm(m+1)2\dfrac{m(m+1)}{2}であるのに対し、後者は(m−1)m2+1\dfrac{(m-1)m}{2} + 1である。どちらを求めているのかを、そのつど書き分ける。

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