多項式の微分係数と導関数を定義し、接線を求めます。導関数の符号から増減表を作り、極値を判定します。
定義 1 (微分係数と導関数). 関数fの定義域の内部の点aに対して、極限
limh→0hf(a+h)−f(a)
が存在するとき、fはaで微分可能であるといい、その極限をaにおける微分係数と呼んでf′(a)と書く。fが定義域の内部の各点で微分可能であるとき、各点aにf′(a)を対応させる関数をfの導関数という。
証明. 正の整数n、実数a、およびh=0をとる。二項展開により
h(a+h)n−an=nan−1+k=2∑n(kn)an−khk−1である。n=1のとき右辺の和は空である。h→0とすると、和の各項は0に近づくので、(xn)′=nxn−1を得る。定数関数の差商は0である。また、fとgがaで微分可能ならば、
hλf(a+h)−λf(a)=λhf(a+h)−f(a),h(f+g)(a+h)−(f+g)(a)=hf(a+h)−f(a)+hg(a+h)−g(a)である。極限の定数倍と和の規則により、(λf)′(a)=λf′(a)および(f+g)′(a)=f′(a)+g′(a)が成り立つ。したがって、任意の多項式の導関数は各項の導関数の和として得られる。▨
定理 4 (内部極値における導関数の必要条件). 関数fが定義域の内部の点aで微分可能であり、aで局所的な極大値または極小値をとるならば、f′(a)=0である。
証明.aが局所的な極小点であるとする。十分小さい正のhに対してf(a+h)−f(a)≥0であるから、
hf(a+h)−f(a)≥0である。十分小さい負のhに対しても分子は0以上であるが分母は負であるから、
hf(a+h)−f(a)≤0である。fはaで微分可能であるため、右差商と左差商は共通の値f′(a)に近づく。したがってf′(a)≥0かつf′(a)≤0であり、f′(a)=0である。aが局所的な極大点である場合には二つの不等号が反転し、同じ結論を得る。▨
この定理の逆は成り立ちません。また、微分可能でない点には定理を適用できません。
例 5 (二つの反例).f(x)=x3ではf′(0)=0であるが、x<0でf(x)<0、x>0でf(x)>0であるから、x=0は極値をとる点ではない。
g(x)=∣x∣はx=0で極小値をとるが、0における差商はh>0で1、h<0で−1となるため、微分係数が存在しない。したがってg′(0)=0と書くことはできない。
定理 6 (導関数の符号と増減). 開区間I上で微分可能な関数fについて、f′(x)>0がすべてのx∈Iで成り立つならば、fはI上で狭義単調増加である。f′(x)<0ならば狭義単調減少である。
例 8 (増減表から極値を求める).f(x)=x3−3xとする。f′(x)=3(x−1)(x+1)である。臨界点、導関数の符号、増減、関数値を一つの増減表にまとめる。
| x |
(−∞,−1) |
−1 |
(−1,1) |
1 |
(1,∞) |
| f′(x) |
+ |
0 |
− |
0 |
+ |
| f(x) |
増加 |
2 |
減少 |
−2 |
増加 |
−2<x<0ではx−2<0であるから、f(x)−2=(x−2)(x+1)2≤0である。したがってx=−1は局所的な極大点である。0<x<2ではx+2>0であるから、f(x)+2=(x+2)(x−1)2≥0である。したがってx=1は局所的な極小点である。よって、極大値はf(−1)=2、極小値はf(1)=−2である。