1 分数関数
定義 1.1 (分数関数). 実係数多項式P(x)と、零多項式でない実係数多項式Q(x)を用いて
f(x)=Q(x)P(x)
と表される関数を 分数関数 (rational function) という。その定義域はQ(x)=0を満たす実数全体である。
例 1.2 (約分しても穴は残る).f(x)=x+22x+4の定義域はx=−2である。x=−2ではf(x)=2であるが、x=−2における値は定義されていない。グラフは点(−2,2)を除いた水平な直線であり、水平線全体でも双曲線でもない。
例 1.4 (一次分数関数のグラフ).f(x)=x−11+2とする。分母が0でない条件から定義域はR∖{1}である。y=f(x)とおくとy−2=1/(x−1)であるからy=2であり、逆にy=2に対してx=1+1/(y−2)とおけばf(x)=yとなる。したがって値域はR∖{2}である。x=1とy=2が漸近線である。
2 無理関数
定義 2.1 (無理関数). 実数値関数Rに対してf(x)=R(x)と表される関数を 無理関数 (irrational function) と呼び、その定義域はR(x)が定義され、かつR(x)≥0を満たす実数x全体である。
例 2.2 (根号の定義域).g(x)=2x−6の定義域は2x−6≥0、すなわちx≥3である。g(x)≥0であり、任意のy≥0に対してx=(y2+6)/2とおけばg(x)=yとなるので、値域は[0,∞)である。グラフは端点(3,0)から右上へ延びる。また、g(x)は負の値をとらないため、方程式2x−6=−1は解をもたない。
3 両辺を二乗する場合
定理 3.1 (二乗は一般には同値変形でない). 実数A、BについてA=BならばA2=B2である。しかしA2=B2からはA=BまたはA=−Bが従うだけであり、一般にはA=Bは従わない。
証明. 実数A,Bをとる。等式
A2−B2=(A−B)(A+B)が成り立つ。A=BならばA2=B2である。一方、A2=B2ならば(A−B)(A+B)=0であるから、A=BまたはA=−Bである。実際、A=1、B=−1ではA2=B2であるがA=Bであるため、逆向きは一般には成り立たない。▨
4 演習
- x−1x2−1の定義域と、約分後の式を答えなさい。穴の位置も答えなさい。
- 3−xの定義域と値域を答えなさい。
- x+2=xを解き、二乗で得た候補をもとの式へ代入して確認しなさい。
- x−11+2と2x−6について、定義域と値域を記し、前者では漸近線、後者では端点を示してグラフの概形を描きなさい。
解答 (演習の解答).
- 分母が0にならないため、定義域はx=1である。x=1では
x−1x2−1=x+1である。x=1における値は定義されていないので、穴の位置は(1,2)である。
2. 根号の内部について3−x≥0が必要であるから、定義域はx≤3である。関数の値は0以上であり、任意のy≥0に対してx=3−y2とおけば3−x=yとなる。したがって、値域は[0,∞)である。
3. 根号の内部と右辺の符号からx≥0が必要である。両辺を二乗すると
x+2=x2,すなわち(x−2)(x+1)=0であるから、候補はx=2,−1である。x=−1はx≥0を満たさず、もとの式も満たさない。x=2は2+2=2を満たす。したがって、解はx=2だけである。
4.f(x)=1/(x−1)+2の定義域はR∖{1}、値域はR∖{2}であり、漸近線はx=1とy=2である。グラフは二つの漸近線に近づく二つの枝からなる。g(x)=2x−6の定義域は[3,∞)、値域は[0,∞)である。グラフは端点(3,0)から右上へ延びる。▨