関数を、定義域の各要素に値をただ一つ対応させる規則として定義し、値域とグラフを扱います。式が同じでも定義域が異なれば別の関数であること、図形が関数のグラフになるかを縦線で判定できることを確かめます。
1 関数、定義域、値域
定義 1.1 (関数・定義域・値域). 集合の各要素に実数をただ一つ対応させる規則を、上の 関数 (function) という。を関数の定義域、を関数の値域という。関数は、対応の規則と定義域をともに指定して定める。
たとえばを実数値の関数として扱うとき、根号の中身が以上でなければならないため、定義域は、値域もです。
例 1.2 (同じ式でも定義域が異なる二つの関数).とを、ともに、で定める。二つの式は同じであるが、は負の入力を受け入れず、は受け入れる。したがってとは別の関数である。
さらに、との値域はいずれもである。値域が同じであっても、定義域が異なれば関数は一致しない。
注意 1.3 (式を変形しても定義域は自動では広がらない).の定義域はである。ではと約分できるが、約分後の式を定義域全体で扱う関数とは異なる。もとの関数ではに値がない。
2 グラフ
定義 2.1 (関数のグラフ). 定義域上の関数に対して、座標平面上の点()の全体をのグラフという。
定理 2.2 (縦線による判定). 座標平面上の図形が、ある定義域上の実数値関数のグラフであるための必要十分条件は、各実数に対し、直線との共有点が高々一つであることである。
証明. 図形が定義域上の関数のグラフであるとし、任意の実数を固定する。ならば直線はグラフと交わらず、ならば共有点はだけである。したがって、各直線とグラフとの共有点は高々一つである。
逆に、各直線との共有点が高々一つである図形に対して、とおく。各についてを満たす実数は存在し、仮定によりただ一つである。その実数をと定めると、は上の実数値関数であり、は点()の全体に一致する。ゆえにはのグラフである。▨
円は、でとの二つの値をもつため、関数のグラフではありません。
3 演習
- 、を、ともにで定める。とが同じ関数でない理由を、定義域を用いて説明せよ。
- の定義域と、約分した後の式を答えよ。を定義域に加えてよいかを説明せよ。
- 円が関数のグラフでないことを、縦線による判定を用いて示せ。
証明 (演習の要点).
- の定義域は、の定義域はであり、たとえばはの定義域だけに属する。したがってとは同じ関数ではない。
- の定義域はであり、ではである。もとの式はで分母がになるため、約分後もを定義域に加えることはできない。
- 直線は円と、の二点で交わる。したがって定理 2.2により、この円は実数値関数のグラフではない。
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