この段は、高校数学の入口である。中学までの計算に、式の計算・座標・論証・整数・図形という土台を重ねる。手を動かす量で習熟する段階であり、定義の精密さは、混乱を防ぐために必要な箇所へ集中して投入する。

段は学年の帯ではなく、扱う対象の層である。この段の単元はいずれも高校1年から3年の内容にまたがり、各単元のなかで基礎・発展・応用として並べてある。

この段に置く単元

単元 扱うこと
数と式の計算 数の概念、多項式、因数分解、方程式、不等式の証明、複素数。以降すべての土台となる代数計算
図形と方程式 三角比と、座標平面上の図形(点・直線・円・軌跡・領域)。発展でベクトル・2×2行列・複素数平面・2次曲線へ
集合と論理 命題・条件・量化の扱い。論理の操作を「計算」として身につけ、後の定義駆動の数学への移行を支える
初等整数論 整除・素数・互除法・不定方程式から合同式・フェルマー・オイラーへ。展望は平方剰余・暗号・競技数論
初等幾何学 座標を使わず、合同・相似・円の性質から図形を論証するユークリッド幾何。展望は複比・射影・反転

この並びにした理由

この段の中心にあるのは、論理である。高校数学は、中学までの「計算して答えを出す」数学から、「条件を確かめ、根拠を述べて示す」数学へと重心が移る。その移行を支えるために、命題・条件・証明の扱いを早い段階で独立した単元として置いている。

数と式の計算と図形と方程式は、計算そのものを鍛える2単元である。前者は式の変形に、後者は座標という道具で図形を代数に翻訳することに、それぞれ専念する。この2つで身につけた正確さと段取りは、後に続くほとんどの単元がそのまま土台として使う。

初等整数論と初等幾何学は、「定義から出発して定理を積む」経験を、高校の題材で先取りするための2単元である。整除と合同式、相似と円周角という具体的な対象を扱いながら、証明を書くこと自体が学習の中心になる。関数・数列・確率を対象として扱う段階は次の段に置き、この段では計算と論証の土台づくりに徹する。

参考にした基準

この段は、日本の学習指導要領の数学Ⅰ・数学Aを基準に据え、式と証明・図形と方程式(数学Ⅱ)、ベクトル・複素数平面(数学C)まで各単元の発展として含んでいる。注意したいのは、日本の高校数学が「高1・高2・高3」に内容を直接割り当てているわけではないことである。高校数学は数学Ⅰ〜Ⅲ・A〜C という科目からなり、履修順序で定められている。数学Ⅰは共通必履修で内容全体を履修し、数学Aは3つの項目から学校や生徒の実態に応じて選択する。

したがって、本サイトの段は学習者向けの推奨であって、指導要領による学年指定ではない。

範囲と段階の付け方は、韓国・中国・ドイツ・フランスの中等教育課程も参考にしている。数の拡張・座標幾何・初等的な整数論・図形の論証を中等教育の段階で扱う点は、これらの課程に共通している。

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この段の計算と論証が固まると、Part B(関数・数列・確率)で、関数・数列・確率そのものを対象として扱う段階に進む。